JP4628115B2 - 筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、ペン芯を有する筆記具に関し、更に詳しくは、角度を変えることなく幅広描線と細い描線を1本のペン芯で筆記することができる筆記具に関する。
従来より、マーキングペン、サインペン等のように繊維芯からなるペン芯にインキを浸透させて筆記するようにした筆記具が知られている。
このタイプの筆記具にあっては、ペン芯の形状として多種の形状が数多く知られている。
例えば、1つのペン芯を遮蔽板を介して配設した複数の描線幅が得られるペン芯により構成したことを特徴とするマーカー(例えば、特許文献1参照)や、図5(a)及び(b)に示すように、ペン軸1aに挿着したペン芯1b下端部を偏心円錐状に削成して、下端の偏芯より漸次上部に連れ側面短辺1cより中辺1dを経て長辺1eに及び斜面を形成すると共に、上記短辺1c、中辺1d、長辺1eと各反対側のペン軸1b上に各辺に該当する標識1eを設けなるサインペン1が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、図6(a)及び(b)に示すように、ペン主体2aの略中軸線先端に錐状突出部2bを残して該突出部2bの周囲斜め後方に深浅広狭各種の谷状凹部2c…を穿ってこれら凹部間2c…にそれぞれ異なる角度で長短各種の線状ペン先2dを形成したサインペン2(例えば、特許文献3参照)、更に、図7(a)〜(c)に示すように、液状のマーカー用媒体を吸収できるような関係位置に保持される、中心軸3aをもつ細長い筒状のボディ3bと、該ボディ3bの一端又は両端に略円錐状のマーカー端3cとを有するマーカーチップ3dにおいて、該マーカー端3cを形成する円錐形の頂点3dが該ボディの中心軸線上にない偏芯位置3eにあって、該円錐形面が該筒状のボディ3bの表面と交叉する境界線上の各点と頂点との間の距離が異なる長さとなることを特徴とし、該マーカーチップ3dをマークすべき面に対して一定の角度に保持しながら回転させて、該面に接触させてから線を引くことによって、種々の幅を有する線をマークすることができる、偏芯尖端をもつペン芯3(例えば、特許文献4参照)が知られている。
しかしながら、これらの特許文献1〜4に記載されるペン芯等は、角芯部分が多くあり、様々な太さの描線幅を選択できるものであるが、山になっている先端や、点で筆記するために良好な幅広の筆記性が得られないことがあり、また、様々な太さの描線を得るためには筆記時に角度調節などが必要であり、筆記し難いところがあるなどの課題を有するものである。
実開昭57−103884号公報(特許請求の範囲、実施例等) 実公昭56−48537号公報(特許請求の範囲、実施例等) 実公平2−35505号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特許第3209685号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、筆記時に角度調節を行うことなく、幅広描線と細い描線を簡単に筆記することができる筆記具を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討した結果、ペン芯を有する筆記具において、上記ペン芯を特定形状とすることにより、上記目的の筆記具が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) 略円柱状の外形のペン芯を有する筆記具であって、このペン芯は先端にアール部と面部からなる稜線部とを有し、上記稜線部の中心線と、このペン芯の中心線と、を含む断面と、上記アール部との交線は円弧であって、上記断面と上記アール部及び上記稜線部の交線Xとの交点近傍の、上記稜線部の中心線乃至上記円弧からなる交線は尖っていない形状となり、上記稜線部を形成する平面と上記アール部を形成する面との交Xは、このペン芯直径を1とした際に、上記断面と上記交線Xとの交点が、上記断面の稜線部側側線からの垂線方向の位置が0.1以上0.9以下の範囲になると共に、上記稜線部を形成する平面は中心線からの角度θが40°<θ ≦80°の範囲になり、かつ、稜線を形成する平面の大きさは、ペン芯直径を1とした際に、長辺が0.4以上及び短辺が0.1以上であり、このペン芯先端の上記円弧の半径は、ペン芯直径を1とした際に、0.2〜2の範囲になることを特徴とする筆記具。
(2) 稜線部を形成する角度θは60°≦θ≦80°となる上記(1)記載の筆記具。
(3) 稜線部の長辺の長さは、0.6以上となる上記(1)又は(2)に記載の筆記具
本発明によれば、筆記時に角度調節を行うことなく、幅広描線と細い描線を簡単に筆記することができる筆記具が提供される。
以下に、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳しく説明する。
図1〜図4は、本発明の筆記具の実施形態の一例を示すものであり、図1及び図2は本発明の要部となるペン芯の一例を示す図面、図3は、本発明の要部となるペン芯の他の実施形態の一例を示す図面、図4は、図1のペン芯を搭載した筆記具の一例を示す図面である。
本実施形態のペン芯10は、図1(a)〜(c)に示すように、筆記具本体に固着される先軸内に取り付けられる取り付け溝11a,11bを有するペン芯本体部11を有し、ペン芯本体部11の先端にアール(R)部12と面部13aからなる稜線部13とを有し、稜線部13の中心線と、このペン芯の中心線と、を含む断面と、アール部12及び稜線部13の交線Xとの交点近傍の、アール部12からの円弧線乃至稜線部13の中心線かなる交線は筆記時に角度調節を行うことなく、幅広描線と細い描線を簡単に筆記するために尖っていない形状となっている(条件1)。
また、上記稜線部13を形成する平面13aとアール部12を形成する面との交X(始点)は、図2(a)に示すように、このペン芯直径を1とした際に、上記断面と上記交線Xとの交点が、上記断面の稜線部側側線からの垂線方向の位置が0.1以上0.9以下の範囲(条件2)になると共に、上記稜線部分を形成する平面13aは、図2(b)に示すように、上記稜線部を形成する平面は中心線からの角度θが40°<θ ≦80°の範囲(条件3)に設定され、かつ、稜線を形成する平面の大きさは、図2(c)に示すように、ペン芯直径を1とした際に、長辺が0.4以上及び短辺が0.1以上(条件4)に設定され、ペン芯先端の上記円弧の半径は、ペン芯直径を1とした際に、0.2〜2の範囲(条件5)に設定されている。
本発明では、上記(条件1)と共に、上記稜線部13を形成する平面13aとアール部12を形成する面との交Xを、0.1以上0.9以下の範囲(条件2)に設定し、上記稜線部13を形成する平面13aの中心線からの角度θを40°<θ ≦80°の範囲(条件3)に設定し、稜線部13を形成する平面13aの長辺aを0.4以上及び短辺bを0.1以上(条件4)に設定し、ペン芯先端の上記円弧の半径をペン芯直径を1とした際に、0.2〜2の範囲(条件)に設定とすること、上記条件1〜5を充足することにより、初めて本発明の効果である筆記時に角度調節を行うことなく、幅広描線と細い描線を1本のペン芯で簡単に筆記することができるものとなる。
従って、本発明では、上記条件1)〜条件5)の少なくとも1つを充足しない場合、すなわち、上記条件1の形状、または、交線Xが0.1以上0.9以下の範囲外なる場合、または、上記角度θが40°<θ ≦80°の範囲外となる場合、あるいは、上記稜線部13を形成する平面13aの長辺aが0.4未満又は短辺bが0.1未満の場合、更に、ペン芯先端の上記円弧の半径が0.2〜2の範囲外となる場合には、いずれも本発明の効果を達成できないものとなる(この点に関しては更に後述する実施例等で更に詳述する)。
本発明では、筆記時に角度調節を行うことなく、幅広描線と細い描線を更に簡単に筆記するために、好ましくは、稜線を形成する角度θを60°≦θ≦80°とすること、また、稜線の長辺aの長さを、0.6以上(1未満)とすることが好ましい。
更に好ましくは、上記交線Xを、0.2以上0.5以下とすることが望ましく、短辺bを0.3以上(1未満)、並びに、ペン芯先端の上記円弧の半径を0.2〜0.5の範囲とすることが望ましい。
なお、細い描線を更に簡単に筆記するため、筆記部となるペン芯先端の上記円弧の半径は、ペン芯直径を1とした際に、0.2〜2の範囲であれば、先端アール部12は一種類でなくてもよいものである。
図3(a)及び(b)は、本発明の要部となるペン芯の他の実施形態の一例を示す部分正面図、平面図である。本実施形態のペン芯10は、稜線部13を形成する平面13aが円形状としたものである。
本発明の上記形状等からなるペン芯10は、上記条件1〜5を充足できる形状であれば、ペン芯の材質、製法、気孔率等は、特に限定されるものではなく、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組み合わせからなる平行繊維束、フェルト等の繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、上記各種のプラスチック粉末などを融結したポーラス体などからなる気孔率が50〜80%のペン芯となるものが挙げられる。
本発明の筆記具は、上記構成のペン芯10に特徴を有するものであるので、該ペン芯10を取り付ける筆記具本体の構造は特に限定されるものではなく、例えば、図4に示すインキの終了サインを視認することができるペン芯10を有する筆記具Aを挙げることができる。
本実施形態の筆記具Aは、図4に示すように、先軸20に取り付けられる上記構成のペン芯10と、尾栓部21を一体に有する後軸22からなる軸筒(筆記具本体)23と、軸筒23内に収容されるインキ吸蔵体(図示せず)、該インキ吸蔵体に接続される中継芯(図示せず)、上記インキ吸蔵体及び中継芯を保持する保持部材(図示せず)と、インキ誘導管24とを備えたものである。
このように構成される本実施形態の筆記具Aでは、インキ吸蔵体に含浸されたインキは中継芯を介してインキ誘導管24内をとおり、ペン芯10に浸透して筆記が可能となるものであり、上記構成のペン芯10により、筆記時に角度調節を行うことなく、稜線部13で幅広描線と、アール部12で細い描線を簡単に筆記することができるものとなる。
また、この筆記具Aでは、インキ吸蔵体からのインキ終了サインを先軸20に形成した視認部20aを介して視認性を有するインキ誘導管24を視認することにより検知することができるものである。従って、ぺン芯10でのインキのカスレがペン芯10での乾燥によるものか、または、インキの消費による本来の終了によるのかを視覚により明確に、かつ簡単に判断することができるものである。
本発明の筆記具は、上記構成のペン芯10に特徴を有するものであるので、該ペン芯10を取り付ける筆記具本体の構造は上述の図4の筆記具Aの他、例えば、1)インキを直接貯溜する軸体となるインキタンク部を有すると共に、一時的にインキを保溜するコレクター部材を有し、インキタンク部からペン芯10へのインキの導出が中継芯を介して(又は直接)行われる直液筆記具や、2)インキを直接貯溜する軸体となるインキタンク部を有すると共に、インキタンク部からペン芯10へのインキの導出がバルブ機構部を介して直接(又は中継芯を介して)行われるバルブ機構を有する筆記具や、3)軸体内にインキを吸蔵したインキ吸蔵体を有し、該インキ吸蔵体からペン芯10へのインキ導出が直接(又は中継芯を介して)行われる中綿式の筆記具などであってもよいものである。
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〜及び比較例1〜6〕
下記表1に示す各特性〔長さ、比率、先端アール部(R)角度θ〕となるペン芯(AuBEX社製のポリエステル芯、気孔率66%)を調製し、図4に準拠する筆記具本体(三菱鉛筆社製、PWB−120軸)に取り付けて、下記方法により筆記性(角部、アール部での筆記)の評価を行った。
実施例1〜6のペン芯は、本発明範囲(上記条件1〜5)を充足するペン芯を用いたものであり、比較例1は、従来のチゼルカットペン芯(スタビロボス)、比較例2は従来の丸ペン芯(三菱鉛筆社製、PM122)、比較例3は、特許第3209685号(図7)開示のペン芯、比較例4〜6は、本発明範囲外の(上記条件1〜5の少なくとも1つを充足しない)ペン芯を用いた筆記具である。
これらの評価結果を下記表1に示す。なお、インキは、三菱鉛筆社製「プロッキー」黒インキを用いた。
〔筆記性の評価方法〕
極端にペンを立てたり、寝かしたりすることなく、試験用紙に実筆記〔ペン芯10における角部(稜線部13)、丸部(先端アール部12)での通常の筆記〕で描線を求め、下記評価基準で筆記性を官能評価した。
評価基準:
◎:非常に筆記し易い。
○:無理なく筆記できる。実使用上問題のないレベル。
△:筆記はできるが求める描線を表現するのが困難。
×:通常の筆記方法などでは求める描線が表現できない。
Figure 0004628115
上記表1の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜のペン芯を用いた筆記具は、本発明の範囲外となる比較例1〜6のペン芯を用いた筆記具に較べ、筆記時に角度調節を行うことなく、稜線部となる平面部13aで幅広の描線が筆記でき、かつ、丸芯部分となる先端アール部12があるため、角度を調節することなく中字描線を筆記でき、どれも角芯と丸芯の特徴を1本のペン芯で筆記できることが判明した。
比較例を個別的に見ると、比較例1では、チゼルカットペン芯による描線のみ、比較例2では丸ペン芯による描線のみしか筆記できず、比較例3では、太さの違う描線は筆記することができるが、丸芯部分がないため、筆記の際に角度を調節する必要があり、筆記し難いことが判った。
また、比較例4では、丸形状の先端アール部(R)が本発明の範囲外(Rが15)となる場合であり、Rが大き過ぎるため丸芯として機能できず、比較例5では稜線部の角度θが本発明の範囲外(30°)となるため、筆記時の角度調節がし難く、筆記し難いものとなり、比較例6では、稜線部の長辺aが本発明の範囲外(0.34)となるため、丸芯部分で筆記線幅と差がなく本発明の効果を発揮できないことが判った
本発明の要部となるペン芯の一例を示し、(a)は、正面図、(b)右側面図、(c)は平面図である。 (a)〜(c)は、本発明の要部となるペン芯の特徴を説明するための部分正面態様で示す説明図である。 (a)及び(b)は、本発明の要部となるペン芯の他の実施形態の一例を示す部分正面図、平面図である。 図1のペン芯を有する筆記具の一例を示す正面図である。 (a)及び(b)は、従来構造のペン芯を有する筆記具の使用状態の一例を示す各斜視図である。 (a)及び(b)は、従来構造の他例となるペン芯を有する筆記具正面図、平面図である。 (a)〜(c)は、従来構造の他例となるペン芯を有する筆記具の側面図、上面図、端面図である。
符号の説明
A 筆記具
10 ペン芯
12 先端アール部
13 稜線部
13a 稜線面

Claims (3)

  1. 略円柱状の外形のペン芯を有する筆記具であって、このペン芯は先端にアール部と面部からなる稜線部とを有し、上記稜線部の中心線と、このペン芯の中心線と、を含む断面と、上記アール部との交線は円弧であって、上記断面と上記アール部及び上記稜線部の交線Xとの交点近傍の、上記稜線部の中心線乃至上記円弧からなる交線は尖っていない形状となり、上記稜線部を形成する平面と上記アール部を形成する面との交Xは、このペン芯直径を1とした際に、上記断面と上記交線Xとの交点が、上記断面の稜線部側側線からの垂線方向の位置が0.1以上0.9以下の範囲になると共に、上記稜線部を形成する平面は中心線からの角度θが40°<θ ≦80°の範囲になり、かつ、稜線を形成する平面の大きさは、ペン芯直径を1とした際に、長辺が0.4以上及び短辺が0.1以上であり、このペン芯先端の上記円弧の半径は、ペン芯直径を1とした際に、0.2〜2の範囲になることを特徴とする筆記具。
  2. 稜線部を形成する角度θは60°≦θ≦80°となる請求項1記載の筆記具。
  3. 稜線部の長辺の長さは、0.6以上となる請求項1又は2に記載の筆記具。
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