JP4627526B2 - 強制開・閉弁用カム及び強制開・閉弁用カムのカムプロフィール設定方法 - Google Patents

強制開・閉弁用カム及び強制開・閉弁用カムのカムプロフィール設定方法 Download PDF

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Description

本発明は、強制開・閉弁用カム及び強制開・閉弁用カムのカムプロフィール設定方法の改良に関するものである。
例えば、内燃機関には、吸気バルブや排気バルブを、開閉時にカムで直接、あるいはロッカアームを介して強制的に駆動するバルブ強制開閉型の動弁装置を備えたものがある。
バルブ強制開閉型の動弁装置では、バルブを開けるための開弁用カムと、バルブを閉じるための閉弁用カムとの両方が必要で、これらの開弁用カムと閉弁用カムとでバルブを直接、あるいはロッカアームを介して駆動させる場合、バルブ、ロッカアーム、開弁用カム、閉弁用カムのそれぞれの加工精度や組付精度、これらの動弁系部品の熱による膨張収縮などを考慮して開弁用カム、閉弁用カムとバルブ側とにクリアランスが設けられている。
このクリアランスは、開弁用カムのカム回転角度とバルブリフト量との関係を表すバルブリフト曲線と、閉弁用カムのカム回転角度とバルブリフト量との関係を表すバルブリフト曲線とを描いたときに、これら2つのバルブリフト曲線間のバルブリフト量の差で表される。これを以下の図で説明する。
図9は従来の開弁用カム及び閉弁用カムの特性を示すグラフである。グラフの縦軸はバルブリフト量、このバルブリフト量から求められるバルブ速度、及びこのバルブ速度から求められるバルブ加速度、横軸はカム回転角度を表す。
開弁用カムのバルブリフト曲線201は、中央部が高い山形とした曲線であり、カム回転角度θ1での変曲点202及びカム回転角度θ3での変曲点203と、カム回転角度θ2での最大リフト点204とを有する。
閉弁用カムのバルブリフト曲線206は、バルブリフト曲線201と同じ曲線を上方にクリアランスCCだけ移動させて形成したものであり、2つの変曲点207,208と、最大リフト点209とを有する。
バルブ速度曲線211は、バルブリフト曲線201,206をそれぞれ微分して求められた曲線であり、バルブリフト曲線201,206の変曲点202,207に対応する最大速度点212と、バルブリフト曲線201,206の最大リフト点204,209に対応する速度ゼロ点213と、バルブリフト曲線201,206の変曲点203,208に対応する最小速度点214とを有する。
上記のバルブ速度曲線は、バルブリフト曲線201,206毎にそれぞれ得られるが、それらのバルブ速度曲線は同一形状であるため、ここでは、一つのバルブ速度曲線211で説明する。図3及び図5についても同様である。
上記の最大速度点212は、開弁用カムのカム面から従動子(吸気バルブ又は排気バルブに直接設けられた従動子、あるいはロッカアームに設けられた従動子である。)が離れる点、即ち、飛出し点であり、また、図中に示した着地点216は、閉弁用カムのカム面に従動子が着地する点である。最大速度点212のバルブ速度をVU、飛出し点(最大速度点)212での飛出し速度(バルブ速度)と、着地点216での着地速度(バルブ速度)との速度差をΔVUとする。上記の着地速度は、ここでは、閉弁用カムのカム面の速度であり、従動子が閉弁用カムのカム面に衝突する衝突速度(即ち、速度差ΔVUである。)と区別する。図3及び図5についても同様である。
同様に、上記の最小速度点214は、閉弁用カムのカム面から従動子が離れる飛出し点であり、また、図中に示した着地点218は、開弁用カムのカム面に従動子が着地する点である。最小速度点214のバルブ速度をVL、飛出し点(最小速度点)214での飛出し速度と、着地点218での着地速度との速度差をΔVLとする。上記の着地速度は、ここでは、開弁用カムのカム面の速度であり、従動子が開弁用カムのカム面に衝突する衝突速度(即ち、速度差ΔVLである。)と区別する。図3及び図5についても同様である。
バルブ加速度曲線221は、バルブ速度曲線211を微分して求められた曲線であり、バルブ速度曲線211の最大速度点212に対応する加速度ゼロ点222と、バルブ速度曲線211の速度ゼロ点213に対応する最小加速度点223と、バルブ速度曲線211の最小速度点214に対応する加速度ゼロ点224とを有する。
上記のバルブ加速度曲線は、バルブリフト曲線201,206毎に求められたバルブ速度曲線からそれぞれ得られるが、それらのバルブ加速度曲線は同一形状であるため、ここでは、一つのバルブ加速度曲線221で説明した。図3及び図5についても同様である。
上記したように、バルブリフト曲線201,206間にはクリアランスCCがある、即ち、バルブを直接駆動する場合には、開弁用カム、閉弁用カムと吸気バルブ、排気バルブとの間にはクリアランスがあるため、このクリアランスによって、吸気バルブ、排気バルブが一旦開弁用カム、閉弁用カムから離れてから開弁用カム、閉弁用カムに衝突し、あるいは、バルブをロッカアームを介して駆動する場合には、開弁用カム、閉弁用カムとロッカアームとの間にはクリアランスがあるため、このクリアランスによって、ロッカアームが一旦開弁用カム、閉弁用カムから離れてから開弁用カム、閉弁用カムに衝突して、撃力が発生(現象として騒音が発生)することになる。
このような騒音を防止するためのバルブ強制開閉型とした従来の強制開・閉弁用カム、内燃機関の動弁装置及びカムプロフィール設定方法として、開弁用カムのバルブリフト曲線と、閉弁用カムのバルブリフト曲線とのクリアランスを部分的に狭くしたものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
特開昭60−108513号公報 特開平6−221119号公報
特許文献1の第5図を以下の図10で説明する。なお、符号は振り直した。
図10は従来の内燃機関の動弁装置におけるバルブリフト量とカム回転角との関係を示すグラフである。
図中のAは開弁用カムのカム曲線、Bは開弁用カムのカム曲線Aに対して一定のクリアランスが設けられた閉弁用カムのカム曲線、Dは閉弁用カムのカム曲線Bに対して一部のクリアランスが修正された閉弁用カムのカム曲線である。
即ち、カム曲線Dは、カム曲線Bの最大リフト点PEと、閉弁用カムによって駆動されるロッカアームのスリッパーが閉弁用カムのカム面から開弁用カムのカム面へジャンプするときのジャンプ開始点PDとの間の範囲ニの部分の曲率を、カム曲線Aに対するクリアランスが、カム曲線Aとカム曲線Bとのクリアランスよりも大きくなるように湾曲させて設定したものである。
カム曲線Dでは、ジャンプ開始点PDを、カム曲線Bの変曲点PBより回転方向手前側、即ちカム曲線Bの最大リフト点PE側に寄せ、ロッカアームのスリッパーがジャンプ開始点PDからジャンプしてカム曲線Aに移行する点を、カム曲線Aの変曲点PA2より最大リフト点PF側に寄せ、しかもカム曲線Bの変曲点PBから最大リフト点PEまでの間のカム回転角度を4等分したうちの変曲点PBから数えて1番目の範囲ホ内に設定してある。PA1はカム曲線Bからスリッパーがジャンプした場合にカム曲線Aに移行する点である。
従って、ロッカアームのスリッパーが閉弁用カムのカム面(カム曲線D)から開弁用カムのカム面(カム曲線A)に移行する部分が急勾配となり、ジャンプ開始点PDからジャンプしたスリッパーがカム面に衝突するときに衝撃は小さくなる。
特許文献2の図1を以下の図11で説明する。なお、符号は振り直した。
図11は従来の内燃機関の動弁装置におけるバルブリフト量及び動弁系慣性力とカム回転角との関係を示すグラフであり、縦軸はバルブリフト量及び動弁系慣性力、横軸はカム回転角を表す。
図中のEは開弁用カムのバルブリフト曲線、Fはバルブリフト曲線Eに対して一定のクリアランスを有する閉弁用カムのバルブリフト曲線、Gはバルブリフト曲線Fの一部を修正した閉弁用カムのバルブリフト曲線、Hは動弁系慣性力を示す曲線、Cは開弁用カムと閉弁用カムとのベースサークル径の差である。
バルブリフト曲線Eとバルブリフト曲線Gとは、閉弁状態ではクリアランスがC0(例えば吸気バルブではC0=0.25mm、排気バルブではC0=0.35mm)であり、また、動弁系慣性力の方向が変化するカム回転角JではクリアランスC1(例えば、C1はほぼ0.05mm)であり、最大リフト時では同様のクリアランスC2(=C1)である。
図10に示された特許文献1において、カム曲線Dの範囲ホでは、カム曲線Aとのクリアランスがカム回転角が大きくなるにつれて小さくなっているが、このクリアランスが小さいと、開弁用カムや閉弁用カム、ロッカアーム及びバルブの加工精度、組立精度を高めなければならないため、コストアップを招くことになる。
図11に示された特許文献2において、最大リフト時から動弁系慣性力の方向が変化するカム回転角Jまでの範囲ではクリアランスを小さくしてできるだけ0に近づけているため、特許文献1と同様に、開弁用カム、閉弁用カム、ロッカアーム、吸気バルブ、排気バルブ等の動弁系の部品を高精度で加工、組立しなければならない。
本発明の目的は、開弁用カム及び閉弁用カムのそれぞれのバルブリフト曲線間のクリアランスを比較的大きな所定値に保ちながら、吸気バルブ及び排気バルブ側、あるいはロッカアーム側に設けられた従動子と、開弁用カム、閉弁用カムとの衝突を緩和してバルブ強制開閉型の動弁装置の低騒音化を図ることにある。
請求項1に係る発明は、吸気バルブ及び排気バルブを強制的に開閉する強制開・閉弁用カムであって、グラフの縦軸に吸気バルブ及び排気バルブのバルブリフト量、横軸にカム回転角度をとったときの、開弁用カムのカム回転角度とバルブリフト量との関係を示す開弁用カムの基本バルブリフト曲線と、閉弁用カムのカム回転角度とバルブリフト量との関係を示す閉弁用カムの基本バルブリフト曲線との間に、所定値のクリアランスが縦軸方向に設定された強制開・閉弁用カムにおいて、開弁用カムの基本バルブリフト曲線及び閉弁用カムの基本バルブリフト曲線に対し、カム回転角度範囲として、吸気バルブ、排気バルブを作動させる従動子が、開弁用カムから飛び出して閉弁用カムに着地する範囲を含んだ第1移り変わり区間と、閉弁用カムから飛び出して開弁用カムに着地する範囲を含んだ第2移り変わり区間とが設けられた開弁用カムの最終バルブリフト曲線及び閉弁用カムの最終バルブリフト曲線が設定され、開弁用カムの基本バルブリフト曲線及び閉弁用カムの基本バルブリフト曲線から求められる基本バルブ速度曲線における従動子の飛出し速度と着地速度との差である基本速度差を求め、開弁用カムの最終バルブリフト曲線及び閉弁用カムの最終バルブリフト曲線から求められる最終バルブ速度曲線における従動子の飛出し速度と着地速度との差である最終速度差を求め、基本速度差よりも最終速度差が小さくなるようにカムプロフィールが設定され、第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間では、最終バルブ速度曲線におけるピークのバルブ速度の絶対値を、基本バルブ速度曲線のピークのバルブ速度の絶対値よりも小さく設定し、且つ基本バルブ速度曲線の着地速度の絶対値に対して第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間内の最終バルブ速度曲線の着地速度の絶対値を高い位置で維持されるようにカムプロフィールが設定され、第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間では、開弁用カムの最終バルブリフト曲線及び閉弁用カムの最終バルブリフト曲線から求められる最終バルブ加速度が一定値であることを特徴とする。
作用として、開弁用カムの最終バルブリフト曲線及び閉弁用カムの最終バルブリフト曲線に第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間が設けられる。
第1移り変わり区間では、従動子が、開弁用カムのカム面から飛出し、閉弁用カムのカム面に着地する。第2移り変わり区間では、従動子が、閉弁用カムのカム面から飛出し、開弁用カムのカム面に着地する。
開弁用カムの基本バルブリフト曲線及び閉弁用カムの基本バルブリフト曲線から基本バルブ速度曲線が求められる。そして、基本バルブ速度曲線における従動子の飛出し速度と着地速度との差である基本速度差が求められる。
また、開弁用カムの最終バルブリフト曲線及び閉弁用カムの最終バルブリフト曲線から最終バルブ速度曲線が求められ、最終バルブ速度曲線における従動子の飛出し速度と着地速度との差である最終速度差を求めるときに、最終速度差が、基本速度差よりも小さくなるように従動子の飛出し速度及び着地速度が設定される。
この結果、閉弁用カム又は開弁用カムに衝突する従動子の衝突速度が小さくなり、衝突時の撃力が緩和される。
さらに、基本バルブ速度曲線のピークは基本バルブリフト曲線の変曲点に対応するから、この変曲点は、従動子が開弁用カム又は閉弁用カムから飛び出す飛出し点となる。
同様に、最終バルブ速度曲線のピークは最終バルブリフト曲線の変曲点に対応するから、この変曲点は、従動子が開弁用カム又は閉弁用カムから飛び出す飛出し点となる。
第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間で、最終バルブ速度曲線におけるピークのバルブ速度の絶対値を、基本バルブ速度曲線のピークのバルブ速度の絶対値よりも小さく設定することで、最終バルブ速度曲線での飛出し速度が抑えられ、更に基本バルブ速度曲線の着地速度の絶対値に対して第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間内の最終バルブ速度曲線の着地速度の絶対値を高い位置で一定に維持されることで、最終バルブ速度曲線での着地速度が高められ、飛出し速度と着地速度との差である最終速度差が小さくなる。この結果、従動子の閉弁用カム又は開弁用カムへの衝突速度が小さくなり、衝突時の撃力が緩和される。
請求項に係る発明は、吸気バルブ及び排気バルブを強制的に開閉する強制開・閉弁用カムのカムプロフィール設定方法であって、吸気バルブ又は排気バルブが要求される所定のリフト量に基づき基本バルブリフト曲線とこの基本バルブリフト曲線から得られる基本バルブ速度曲線とを作成する第1ステップと、吸気バルブ、排気バルブを作動させる従動子が、開弁用カムから飛び出して閉弁用カムに着地する、あるいは、閉弁用カムから飛び出して開弁用カムに着地するときの、基本バルブ速度曲線における従動子の飛出し速度と着地速度との差である基本速度差を求め、この基本速度差よりも従動子の飛出し速度と着地速度との差である改良速度差が小さくなるように改良バルブ速度曲線を作成する第2ステップと、改良速度差を維持しながら、改良バルブ速度曲線のバルブ速度の積分値を基本バルブ速度曲線のバルブ速度の積分値に合致又は近づけるすり合わせ作業を行い、最終バルブ速度曲線を得る第3ステップと、最終バルブ速度曲線に基づき最終バルブリフト曲線を作成する第4ステップと、を含むことを特徴とする。
第2ステップで、基本速度差よりも改良速度差が小さくなるように改良バルブ速度曲線を作成することで、開弁用カム又は閉弁用カムのカム面に衝突する従動子の衝突速度が抑えられ、衝突時の撃力が緩和される。
第3ステップで、改良速度差を維持しながら、改良バルブ速度曲線のバルブ速度の積分値を基本バルブ速度曲線のバルブ速度の積分値に合わせる作業を行い、従動子が、開弁用カムから飛び出して閉弁用カムに着地する、あるいは、閉弁用カムから飛び出して開弁用カムに着地する範囲を含んだ区間を除いて、最終バルブリフト曲線の形状を基本バルブリフト曲線の形状に合致させる、又は近づける。
請求項3に係る発明は、第3ステップにおいて、改良バルブ曲線のバルブ速度の積分値と基本バルブ曲線のバルブ速度の積分値との差が、この基本バルブ曲線のバルブ速度の積分値に対して0〜10%の範囲内にあるようにすり合わせ作業が行われることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、グラフの縦軸に吸気バルブ及び排気バルブのバルブリフト量、横軸にカム回転角度をとったときの、開弁用カムのカム回転角度とバルブリフト量との関係を示す開弁用カムの基本バルブリフト曲線と、閉弁用カムのカム回転角度とバルブリフト量との関係を示す閉弁用カムの基本バルブリフト曲線との間にバルブリフト量差が設定され、これらの開弁用カムの基本バルブリフト曲線及び閉弁用カムの基本バルブリフト曲線に対し、カム回転角度範囲として、吸気バルブ、排気バルブを作動させる従動子が、開弁用カムから飛び出して閉弁用カムに着地する範囲を含んだ第1移り変わり区間と、閉弁用カムから飛び出して開弁用カムに着地する範囲を含んだ第2移り変わり区間とが設けられた開弁用カムの最終バルブリフト曲線及び閉弁用カムの最終バルブリフト曲線が設定され、開弁用カムの基本バルブリフト曲線及び閉弁用カムの基本バルブリフト曲線から求められる基本バルブ速度曲線における従動子の飛出し速度と着地速度との差である基本速度差を求め、開弁用カムの最終バルブリフト曲線及び閉弁用カムの最終バルブリフト曲線から求められる最終バルブ速度曲線における従動子の飛出し速度と着地速度との差である最終速度差を求め、基本速度差よりも最終速度差が小さくなるようにカムプロフィールが設定されているので、開弁用カムの最終バルブリフト曲線と閉弁用カムの最終バルブリフト曲線とのクリアランスを比較的大きくしても、第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間で、従動子が開弁用カム又は閉弁用カムに衝突するときの衝突速度を抑えることができ、衝突時の撃力が緩和されるため、コストを低減しつつ騒音の発生を抑えることができる。
また、第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間では、最終バルブ速度曲線におけるピークのバルブ速度の絶対値を、基本バルブ速度曲線のピークのバルブ速度の絶対値よりも小さく設定し、且つ基本バルブ速度曲線の着地速度の絶対値に対して第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間内の最終バルブ速度曲線の着地速度の絶対値を高い位置で一定に維持されるようにカムプロフィールが設定されているので、最終バルブ速度曲線での従動子の飛出し速度が抑えられ、更に最終バルブ速度曲線での従動子の着地速度が高められて、飛出し速度と着地速度との差である最終速度差を小さくすることができ、従動子の閉弁用カム又は開弁用カムへの衝突速度が小さくすることができて、衝突時の撃力を緩和することができる。
請求項2及び請求項3に係る発明では、吸気バルブ又は排気バルブが要求される所定のリフト量に基づき基本バルブリフト曲線とこの基本バルブリフト曲線から得られる基本バルブ速度曲線とを作成する第1ステップと、吸気バルブ、排気バルブを作動させる従動子が、開弁用カムから飛び出して閉弁用カムに着地する、あるいは、閉弁用カムから飛び出して開弁用カムに着地するときの、基本バルブ速度曲線における従動子の飛出し速度と着地速度との差である基本速度差を求め、この基本速度差よりも従動子の飛出し速度と着地速度との差である改良速度差が小さくなるように改良バルブ速度曲線を作成する第2ステップと、改良速度差を維持しながら、改良バルブ速度曲線のバルブ速度の積分値を基本バルブ速度曲線のバルブ速度の積分値に合わせる作業を行い、最終バルブ速度曲線を得る第3ステップと、最終バルブ速度曲線に基づき最終バルブリフト曲線を作成する第4ステップと、を含むので、第2ステップで、開弁用カム又は閉弁用カムのカム面に衝突する従動子の衝突速度を抑えることができて、衝突時の撃力を緩和することができ、第3ステップで、改良速度差を維持しながら、改良バルブ速度曲線のバルブ速度の積分値を基本バルブ速度曲線のバルブ速度の積分値に合わせる作業を行い、従動子が、開弁用カムから飛び出して閉弁用カムに着地する、あるいは、閉弁用カムから飛び出して開弁用カムに着地する範囲を含んだ区間を除いて、最終バルブリフト曲線の形状を基本バルブリフト曲線の形状に合致させる、又は近づけることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る内燃機関の動弁装置の第1実施形態を示す断面図であり、内燃機関10は、シリンダヘッド11を備え、このシリンダヘッド11は、吸気バルブ12及び排気バルブ13を強制的に駆動して開閉するバルブ強制開閉型の動弁装置15を設けたものである。
動弁装置15は、シリンダヘッド本体17に回転自在に取付けられたカムシャフト18と、シリンダヘッド本体17に取付けられたロッカシャフト21と、このロッカシャフト21にスイング自在に取付けられるとともにカムシャフト18で駆動されるロッカアーム22と、このロッカアーム22の端部に連結機構23を介して連結されてシリンダヘッド本体17の吸気ポート24を開閉する吸気バルブ12と、図示せぬロッカシャフトにスイング自在に取付けられたロッカアーム(不図示)の端部に連結されてシリンダヘッド本体17の排気ポート26を開閉する排気バルブ13とを備える。なお、31は吸気ポート24及び排気ポート26に連通する燃焼室、32は燃焼室31に突出する点火プラグである。
カムシャフト18は、軸線に直交するように形成された円板部41を備え、この円板部41の側面41aにカム溝42が形成されている。
カム溝42は、ロッカアーム22の先端に形成された従動子22aが挿入された部分であり、吸気バルブ12を開くための開弁用カム44と、吸気バルブ12を閉じるための閉弁用カム45とを備え、これらの開弁用カム44及び閉弁用カム45が前述の従動子22aと摺動する。なお、47,48はバルブガイドである。
図2は本発明に係る内燃機関の動弁装置の第2実施形態を示す断面図であり、内燃機関60は、シリンダヘッド61を備え、このシリンダヘッド61は、吸気バルブ62を強制的に駆動して開閉するバルブ強制開閉型の動弁装置65を設けたものである。
動弁装置65は、シリンダヘッド本体61aに回転自在に取付けられたカムシャフト67と、シリンダヘッド本体61aに取付けられたロッカシャフト71,72と、これらのロッカシャフト71,72にスイング自在に取付けられるとともにカムシャフト67で駆動される開弁用ロッカアーム73及び閉弁用ロッカアーム74と、これらの開弁用ロッカアーム73及び閉弁用ロッカアーム74で駆動されて吸気ポート76を開閉する吸気バルブ62とからなる。なお、78は吸気バルブ62が開いたときに吸気ポート76に連通する燃焼室である。
カムシャフト67は、開弁用ロッカアーム73を駆動する開弁用カム81と、閉弁用ロッカアーム74を駆動する閉弁用カム82とを備える。なお、81aは開弁用ロッカアーム73と摺動する開弁用カム面、82aは閉弁用ロッカアーム74と摺動する閉弁用カム面である。
開弁用ロッカアーム73は、開弁用カム81と摺動するカム側摺動面73aと、吸気バルブ62の端部62Aと摺動するバルブ側摺動面73bとを備える。
閉弁用ロッカアーム74は、閉弁用カム82と摺動するカム側摺動面74aと、吸気バルブ62の端部62Aと摺動するバルブ側摺動面74bとを備える。
吸気バルブ62の端部62Aは、開弁用ロッカアーム73のバルブ側摺動面73bと摺動する開弁側摺動面62aと、閉弁用ロッカアーム74のバルブ側摺動面74bと摺動する閉弁側摺動面62bとを備える。
この実施形態では、吸気バルブ62の端部62Aが図1に示された実施形態の従動子22aに相当する。
図3は本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムに関するバルブリフト量、バルブ速度及びバルブ加速度を示すグラフであり、例えば、図1に示された開弁用カム44及び閉弁用カム45で吸気バルブ12を開閉する場合のものである。
図9に示された実施形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。グラフの縦軸はバルブリフト量、このバルブリフト量から算出されるバルブ速度、及びこのバルブ速度から算出されるバルブ加速度、横軸はカム回転角度を表す。
開弁用カムのバルブリフト曲線101は、図9に示されたバルブリフト曲線201に対してカム回転角度がα1〜α2の範囲及びα4〜α5の範囲で変更されたものであり、これらの範囲で傾斜した直線部101A,101Bを備えている。これらの直線部101A,101Bの両端は変曲点103,104、変曲点106,107である。
閉弁用カムのバルブリフト曲線111は、図9に示されたバルブリフト曲線206に対してカム回転角度がα1〜α2の範囲及びα4〜α5の範囲で変更したものであり、これらの範囲で傾斜した直線部111A,111Bを備えている。これらの直線部111A,111Bの両端は変曲点113,114、変曲点116,117である。
上記したバルブリフト曲線101,111におけるカム回転角度がα1〜α2の範囲を、後に詳述する第1移り変わり区間、カム回転角度がα4〜α5の範囲を、後に詳述する第2移り変わり区間とする。
上記した直線部101Aと直線部111Aとは平行で、同様に、直線部101Bと直線部111Bとは平行である。
バルブリフト曲線101,111間のバルブリフト量差、即ち、クリアランスCCは、例えば0.1mmであり、第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間でもこの値である。このように、本実施形態では、第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間でのバルブリフト曲線101,111間のクリアランスCCを、例えば、図10に示された従来技術のものよりも大きくして、動弁装置の各部品の加工精度、組付精度を低くしている。これにより、内燃機関のコスト低減することが可能になる。また、従動子が開弁用カムや閉弁用カムと摺動するときの潤滑油の粘性抵抗、撹拌抵抗が小さくなり、内燃機関の出力の損失を低減することも可能になる。
上記のカム回転角度α1〜α2の範囲は、図9に示されたバルブリフト曲線201,206の変曲点202,207が存在する範囲であり、カム回転角度α4〜α5の範囲は、図9に示されたバルブリフト曲線201,206の変曲点203,208が存在する範囲である。
バルブリフト曲線101,111を微分して得られるバルブ速度曲線121におけるカム回転角度α1〜α2の範囲は、水平な直線部121Aとなり、バルブ速度曲線121におけるカム回転角度α4〜α5の範囲は、水平な直線部121Bとなる。
直線部121Aは、バルブ速度が、バルブ速度曲線121のピーク、即ち、バルブ速度曲線211(図9参照)のピークである最大速度点212よりも低下している部分であり、バルブ速度が一定に維持される部分でもある。
直線部121Bは、バルブ速度の絶対値が、バルブ速度曲線121の負側のピーク、即ち、バルブ速度曲線211(図9参照)の負側のピークである最小速度点214のバルブ速度の絶対値よりも低下している部分であり、バルブ速度の絶対値が一定に維持される部分でもある。
図中の123は開弁用カムのカム面から従動子(即ち、従動子22a(図1参照)、端部62A(図2参照)である。)が離れる飛出し点であり、バルブ速度曲線121上のカム回転角度α1に位置し、バルブ速度曲線121の正側でバルブ速度(=V1)が最大となるピークである。124は閉弁用のカム面に従動子が着地する着地点であり、直線部121A上に位置する。これらの飛出し点123及び着地点124については、図4で詳述する。
これらの飛出し点123での従動子の飛出し速度(バルブ速度)と、着地点124での従動子の着地速度(バルブ速度)との速度差をΔV1とする。
本実施形態では、飛出し点123のバルブ速度V1を、飛出し点212(図9も参照)のバルブ速度よりも低下させ、着地点124のバルブ速度を、着地点216(図9も参照)のバルブ速度よりも高くすることで、速度差ΔV1を速度差ΔVUよりも小さくしている。
同様に、図中の127は閉弁用カムのカム面から従動子が離れる飛出し点であり、バルブ速度曲線121上のカム回転角度α4に位置し、バルブ速度曲線121の負側でバルブ速度(=V2)の絶対値が最大となるピークである。128は開弁用のカム面に従動子が着地する着地点であり、直線部121B上に位置する。これらの飛出し点127及び着地点128については、図4で詳述する。
これらの飛出し点127での従動子の飛出し速度と、着地点128での従動子の着地速度との速度差をΔV2とする。
本実施形態では、飛出し点127のバルブ速度V2の絶対値を、飛出し点214(図9も参照)のバルブ速度の絶対値よりも小さくし、着地点128のバルブ速度の絶対値を、着地点218(図9も参照)のバルブ速度の絶対値よりも大きくすることで、速度差ΔV2を速度差ΔVLよりも小さくしている。
バルブ速度曲線121を微分して得られるバルブ加速度曲線125は、バルブ速度曲線121の直線部121Aに対応してカム回転角度α1〜α2の範囲にバルブ加速度が一定でゼロとなる直線部125Aと、バルブ速度曲線121の直線部121Bに対応してカム回転角度α4〜α5の範囲にバルブ加速度が一定でゼロとなる直線部125Bとを備える。
図4(a)〜(d)は本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムに関するバルブリフト曲線の作用を示す作用図であり、(a),(c)の実施例は図3に示されたバルブリフト曲線101,111のカム回転角度α1〜α2の範囲及びカム回転角度α4〜α5の範囲を拡大したものであり、(b),(d)の比較例は図9に示されたバルブリフト曲線201,206のカム回転角度θ1及びカム回転角度θ3を中心とした部分を拡大したものである。
(a)の実施例において、バルブリフト曲線101,111を図1に示されたカム溝42に見立て、バルブリフト曲線101を開弁用カム44、バルブリフト曲線111を閉弁用カム45とし、図1に示されたロッカアーム22の従動子22aをハッチングを施した丸印とする。また、従動子22aは実際にはカム溝42の動きに伴ってカム溝42のほぼ法線方向(図の上下方向)に移動するが、ここでは、説明の都合上、バルブリフト曲線101,111側を静止させ、従動子22aがバルブリフト曲線101,111間を移動するようにした。
まず、従動子22aが、矢印で示すように、開弁用カム44のバルブリフト曲線101と摺動しながら変曲点103に至ると、変曲点103から先は、変曲点103から飛出し速度V1(図3参照)で離れ、慣性力によって変曲点103での接線101Tに沿って移動し、バルブリフト曲線111の直線部111Aに着地する。図中の111Lは直線部111A上の着地点である。
(b)の比較例においても、バルブリフト曲線201,206をカム溝に見立て、バルブリフト曲線201をカム溝の開弁用カム、バルブリフト曲線206をカム溝の閉弁用カムとし、バルブリフト曲線201,206間を従動子22aが移動するものとする。
まず、従動子22aが、矢印で示すように、開弁用カムのバルブリフト曲線201と摺動しながら変曲点202に至ると、変曲点202から先は、変曲点202から飛出し速度VU(図9参照)で離れ、慣性力によって変曲点202での接線201Tに沿って移動し、バルブリフト曲線206に着地する。図中の206Lはバルブリフト曲線206上の着地点である。
(c)の実施例において、従動子22aが、矢印で示すように、閉弁用カム45のバルブリフト曲線111と摺動しながら変曲点116に至ると、変曲点116から先は、変曲点116から飛出し速度V2(図3参照)で離れ、慣性力によって変曲点116の接線111Tに沿って移動し、バルブリフト曲線101の直線部101Bに着地する。図中の101Lは直線部101B上の着地点である。
(d)の比較例において、従動子22aが、矢印で示すように、閉弁用カムのバルブリフト曲線206と摺動しながら変曲点208に至ると、変曲点208から先は、変曲点208から飛出し速度VL(図9参照)で離れ、慣性力によって変曲点208での接線206Tに沿って移動し、バルブリフト曲線201に着地する。図中の201Lはバルブリフト曲線201上の着地点である。
以上の(a),(b)において、(b)の比較例では、従動子22aが、変曲点202でバルブリフト曲線201から離れるため、図9に示したように、バルブ速度が最大の位置で離れることになるため、従動子22aの飛出し速度VUは最大となり、この飛出し速度VUをほとんど維持したまま、バルブリフト曲線206に着地するが、従動子22aがバルブリフト曲線201から飛出してバルブリフト曲線206に着地する間は、実際には、バルブリフト曲線206(即ち、閉弁用カム)の速度(即ち、バルブ速度)が次第に小さくなり、従動子22aがカム回転角度α2よりも角度が進んだ位置でバルブリフト曲線206に着地するときには、図9に示したように、従動子22aの着地速度は飛出し速度VUよりも大幅に小さくなるので、上記の飛出し速度と着地速度との速度差ΔVU、即ち、従動子22aのバルブリフト曲線206への衝突速度は大きくなり、衝突時の撃力は大きくなる。
更に、従動子22aの着地時のバルブリフト曲線206への入射角θi11が大きくなるため、衝突面に対して直交する向きの従動子22aのバルブ速度成分が大きくなり、このことからも、撃力は大きくなる。
これに対して、(a)の実施例では、比較例の変曲点202((b)参照)よりもカム回転角度が手前の位置にある変曲点103で従動子22aがバルブリフト曲線101から離れるため、図3に示したように、従動子22aの飛出し速度V1(図3参照)は、比較例に対して小さくなる。この飛出し速度V1は、従動子22aの移動中はほとんど維持されて直線部111Aに着地するが、従動子22aがバルブリフト曲線101から飛出してバルブリフト曲線111に着地する間に、実際には、バルブリフト曲線111(即ち、閉弁用カム45)の速度(即ち、バルブ速度)が変化し、従動子22aがカム回転角度α2よりも手前の位置で直線部111Aに着地するときには、図3に示したように、従動子22aの着地速度は飛出し速度よりもやや小さくなるだけで、上記の飛出し速度と着地速度との速度差ΔV1、即ち、従動子22aの直線部111Aへの衝突速度は、比較例の場合よりも小さくなり、衝突時の撃力は小さくなる。即ち、騒音が抑えられる。
更に、従動子22aの着地時の直線部111Aへの入射角θi1は(b)の比較例の入射角θi11よりも小さくなるため、衝突面に対して直交する向きの従動子22aのバルブ速度成分は小さくなり、このことからも、撃力は比較例に比べて小さくなる。
上記したカム回転角度がα1〜α2の範囲は、実施例において、従動子22aがバルブリフト曲線101からバルブリフト曲線111へ移り変わるので、第1移り変わり区間と呼ぶ。
以上の(c),(d)においても同様に、(d)の比較例では、従動子22aが、変曲点208でバルブリフト曲線206から離れるため、図9に示したように、バルブ速度の絶対値が最大の位置で離れることになるため、従動子22aの飛出し速度VLの絶対値は最大となり、この飛出し速度VLをほとんど維持したまま、バルブリフト曲線201に着地するが、従動子22aがバルブリフト曲線206から飛出してバルブリフト曲線201に着地する間は、実際には、バルブリフト曲線201(即ち、開弁用カム)の速度(即ち、バルブ速度)の絶対値が次第に小さくなり、従動子22aがカム回転角度α5よりも角度が進んだ位置でバルブリフト曲線201に着地するときには、図9に示したように、従動子22aの着地速度の絶対値は飛出し速度VLの絶対値よりも大幅に小さくなるので、上記の飛出し速度VLの絶対値と着地速度の絶対値との速度差ΔVL、即ち、従動子22aのバルブリフト曲線201への衝突速度は大きくなり、衝突時の撃力は大きくなる。
更に、従動子22aの着地時のバルブリフト曲線201への入射角θi12が大きくなるため、衝突面に対して直交する向きの従動子22aのバルブ速度成分が大きくなり、このことからも、撃力は大きくなる。
これに対して、(c)の実施例では、比較例の変曲点208((b)参照)よりもカム回転角度が手前の位置にある変曲点116で従動子22aがバルブリフト曲線111から離れるため、図3に示したように、従動子22aの飛出し速度V2の絶対値は、比較例の飛出し速度の絶対値に対して小さくなる。この飛出し速度V2は、従動子22aの移動中はほとんど維持されて直線部101Bに着地するが、従動子22aがバルブリフト曲線111から飛出してバルブリフト曲線101に着地する間に、実際には、バルブリフト曲線101(即ち、開弁用カム44)の速度(即ち、バルブ速度)が変化し、従動子22aがカム回転角度α5よりも手前の位置で直線部101Bに着地するときには、図3に示したように、従動子22aの着地速度は飛出し速度よりもやや小さくなるだけで、上記の飛出し速度と着地速度との速度差ΔV2、即ち、従動子22aの直線部101Bへの衝突速度は、比較例の場合よりも小さくなり、衝突時の撃力は小さくなる。即ち、騒音が抑えられる。
更に、従動子22aの着地時の直線部101Bへの入射角θi2は(d)の比較例の入射角θi12よりも小さくなるため、衝突面に対して直交する向きの従動子22aのバルブ速度成分は小さくなり、このことからも、撃力は比較例に比べて小さくなる。
上記したカム回転角度がα4〜α5の範囲は、実施例において、従動子22aがバルブリフト曲線111からバルブリフト曲線101へ移り変わるので、第2移り変わり区間と呼ぶ。
図5は本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムに関するバルブリフト量、バルブ速度及びバルブ加速度の別実施形態を示すグラフであり、例えば、図1に示された開弁用カム44及び閉弁用カム45で吸気バルブ12を開閉する場合のものである。
図9に示した実施形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。グラフの縦軸はバルブリフト量、このバルブリフト量から求められるバルブ速度、及びこのバルブ速度から求められるバルブ加速度、横軸はカム回転角度を表す。
開弁用カムのバルブリフト曲線131は、図9に示したバルブリフト曲線201に対してカム回転角度がα1〜α2の範囲(即ち、第1移り変わり区間)及びα4〜α5の範囲(第2移り変わり区間)で変更したものであり、これらの範囲で二次曲線部131A,131Bを備えている。これらの二次曲線部131A,131Bの両端は変曲点133,134、変曲点136,137である。
閉弁用カムのバルブリフト曲線141は、図9に示されたバルブリフト曲線206に対してカム回転角度がα1〜α2の範囲及びα4〜α5の範囲で変更したものであり、これらの範囲で二次曲線部141A,141Bを備えている。これらの二次曲線部141A,141Bの両端は変曲点143,144、変曲点146,147である。
上記した二次曲線部131Aと二次曲線部141Aとは平行で、同様に、二次曲線部131Bと二次曲線部141Bとは平行である。
上記のカム回転角度α1〜カム回転角度α2の範囲は、図9に示されたバルブリフト曲線201,206の変曲点202,207が存在する範囲であり、カム回転角度α4〜カム回転角度α5の範囲は、図9に示されたバルブリフト曲線201,206の変曲点203,208が存在する範囲である。
バルブリフト曲線131,141を微分して得られるバルブ速度曲線151におけるカム回転角度α1〜α2の範囲は、傾斜した直線部151Aとなり、バルブ速度曲線151におけるカム回転角度α4〜α5の範囲は、傾斜した直線部151Bとなる。
直線部151Aは、バルブ速度が、バルブ速度曲線151のピーク、即ち、バルブ速度曲線211(図9参照)のピークである最大速度点212よりも低下している部分であり、バルブ速度が一定の割合で低下する部分でもある。
直線部151Bは、バルブ速度の絶対値が、バルブ速度曲線151の負側のピーク、即ち、バルブ速度曲線211(図9参照)の負側のピークである最小速度点214のバルブ速度の絶対値よりも低下している部分であり、バルブ速度の絶対値が一定の割合で低下する部分でもある。
図中の153は開弁用カムのカム面から従動子(即ち、従動子22a(図1参照)、端部62A(図2参照)である。)が離れる飛出し点であり、バルブ速度曲線151上のカム回転角度α1に位置し、バルブ速度曲線151の正側でバルブ速度(=V3)が最大となるピークである。154は閉弁用のカム面に従動子が着地する着地点であり、直線部151A上に位置する。これらの飛出し点153及び着地点154については、図6で詳述する。
これらの飛出し点153での従動子の飛出し速度(バルブ速度)と、着地点154での従動子の着地速度(バルブ速度)との速度差をΔV3とする。
本実施形態では、飛出し点153のバルブ速度を、飛出し点212(図9も参照)のバルブ速度よりも小さくし、着地点154のバルブ速度を、着地点216(図9も参照)のバルブ速度よりも大きくすることで、速度差ΔV3を速度差ΔVUよりも小さくしている。
同様に、図中の157は閉弁用カムのカム面から従動子が離れる飛出し点であり、バルブ速度曲線151上のカム回転角度α4に位置し、バルブ速度曲線151の負側でバルブ速度(=V4)の絶対値が最大となるピークである。158は開弁用のカム面に従動子が着地する着地点であり、直線部151B上に位置する。これらの飛出し点157及び着地点158については、図6で詳述する。
これらの飛出し点157での従動子の飛出し速度と、着地点158での従動子の着地速度との速度差をΔV4とする。
本実施形態では、飛出し点157のバルブ速度の絶対値を、飛出し点214(図9も参照)のバルブ速度の絶対値よりも小さくし、着地点158のバルブ速度の絶対値を、着地点218(図9も参照)のバルブ速度の絶対値よりも大きくすることで、速度差ΔV4を速度差ΔVLよりも小さくしている。
バルブ速度曲線151を微分して得られるバルブ加速度曲線155は、バルブ速度曲線151の直線部151Aに対応してカム回転角度α1〜α2の範囲にバルブ加速度が一定で負となる直線部155Aと、バルブ速度曲線151の直線部151Bに対応してカム回転角度α4〜α5の範囲にバルブ加速度が一定で正となる直線部155Bとを備える。
図6(a)〜(d)は本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムに関するバルブリフト曲線の別実施形態の作用を示す作用図であり、(a),(c)の実施例は図5に示されたバルブリフト曲線131,141のカム回転角度α1〜α2の範囲及びカム回転角度α4〜α5の範囲を拡大したものであり、(b),(d)の比較例は図9に示されたバルブリフト曲線201,206のカム回転角度θ1及びカム回転角度θ3を中心とした部分を拡大したものである。
(a)の実施例において、バルブリフト曲線131,141を図1に示されたカム溝42に見立て、バルブリフト曲線131を開弁用カム44、バルブリフト曲線141を閉弁用カム45とし、図1に示されたロッカアーム22の従動子22aをハッチングを施した丸印とする。また、従動子22aは実際にはカム溝42の動きに伴ってカム溝42のほぼ法線方向(図1の上下方向)に移動するが、ここでは、説明の都合上、バルブリフト曲線131,141側を静止させ、従動子22aがバルブリフト曲線131,141間を移動するようにした。
まず、従動子22aが、矢印で示すように、開弁用カム44のバルブリフト曲線131と摺動しながら変曲点133に至ると、変曲点133から先は、変曲点133から飛出し速度V3(図5参照)で離れ、慣性力によって変曲点133での接線131Tに沿って移動し、バルブリフト曲線141の直線部141Aに着地する。図中の141Lは直線部141A上の着地点、141Sは着地点141Lでの接線である。
(b)の比較例において、従動子22aは、矢印で示すように、開弁用カムのバルブリフト曲線201と摺動しながら変曲点202に至ると、変曲点202から先は、変曲点202での接線201Tに沿って移動し、バルブリフト曲線206の着地点206Lに着地する。
(c)の実施例において、従動子22aが、矢印で示すように、閉弁用カム45のバルブリフト曲線141と摺動しながら変曲点146に至ると、変曲点146から先は、変曲点146から飛出し速度V4(図5参照)で離れ、慣性力によって変曲点146の接線141Tに沿って移動し、バルブリフト曲線131の二次曲線部131Bに着地する。図中の131Lは二次曲線部131B上の着地点、131Sは着地点131Lでの接線である。
(d)の比較例において、従動子22aが、矢印で示すように、閉弁用カムのバルブリフト曲線206と摺動しながら変曲点208に至ると、変曲点208から先は、変曲点208での接線206Tに沿って移動し、バルブリフト曲線201の着地点201Lに着地する。
以上の(a),(b)において、(b)の比較例では、従動子22aの変曲点202での飛出し速度と着地点206Lでの着地速度との速度差VUが大きく、バルブリフト曲線206に衝突したときの撃力は大きくなり、更に、従動子22aの着地時のバルブリフト曲線206への入射角θi11が大きくなるために衝突面に対して直交する向きの従動子22aのバルブ速度成分が大きくなり、このことからも、撃力は大きくなる。
これに対して、(a)の実施例では、比較例の変曲点202((b)参照)よりもカム回転角度が手前の位置にある変曲点133で従動子22aがバルブリフト曲線131から離れるため、図5に示したように、従動子22aの飛出し速度V3(図5参照)は、比較例に対して小さくなる。この飛出し速度V3は、従動子22aの移動中はほとんど維持されて二次曲線部141Aに着地するが、従動子22aがバルブリフト曲線131から飛出してバルブリフト曲線141に着地する間に、実際には、バルブリフト曲線141(即ち、閉弁用カム45)の速度(即ち、バルブ速度)が変化し、従動子22aがカム回転角度α2よりも手前の位置で二次曲線部141Aに着地するときには、図5に示したように、従動子22aの着地速度は飛出し速度よりもやや小さくなるだけで、上記の飛出し速度と着地速度との速度差ΔV3、即ち、従動子22aの二次曲線部141Aへの衝突速度は、比較例の場合よりも小さくなり、撃力は小さくなる。即ち、騒音が抑えられる。
更に、従動子22aの着地時の二次曲線部141Aへの入射角θi3は(b)の比較例の入射角θi11よりも小さくなるため、衝突面に対して直交する向きの従動子22aのバルブ速度成分は小さくなり、このことからも、撃力は比較例に比べて小さくなる。
以上の(c),(d)においても同様に、(d)の比較例では、従動子22aの飛出し速度の絶対値と着地速度の絶対値との速度差ΔVLが大きく、この速度差ΔVLで従動子22aのバルブリフト曲線201に衝突したときの撃力は大きくなり、更に、従動子22aの着地時のバルブリフト曲線201への入射角θi12が大きくなるために衝突面に対して直交する向きの従動子22aのバルブ速度成分が大きくなり、このことからも、撃力は大きくなる。
これに対して、(c)の実施例では、比較例の変曲点208((b)参照)よりもカム回転角度が手前の位置にある変曲点146で従動子22aがバルブリフト曲線141から離れるため、図5に示したように、従動子22aの飛出し速度V4は、比較例に対して小さくなる。この飛出し速度V4は、従動子22aの移動中はほとんど維持されて二次曲線部141Bに着地するが、従動子22aがバルブリフト曲線141から飛出してバルブリフト曲線131に着地する間に、実際には、バルブリフト曲線131(即ち、開弁用カム44)の速度(即ち、バルブ速度)が変化し、従動子22aがカム回転角度α5よりも手前の位置で二次曲線部131Bに着地するときには、図5に示したように、従動子22aの着地速度は飛出し速度よりもやや小さくなるだけで、上記の飛出し速度と着地速度との速度差ΔV4、即ち、従動子22aの直線部101Bへの衝突速度は、比較例の場合よりも小さくなり、撃力は小さくなる。即ち、騒音が抑えられる。
更に、従動子22aの着地時の二次曲線部131Bへの入射角θi4は(d)の比較例の入射角θi12よりも小さくなるため、衝突面に対して直交する向きの従動子22aのバルブ速度成分は小さくなり、このことからも、撃力は比較例に比べて小さくなる。
図7(a)〜(c)は本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムのカムプロフィールの設定手順(前半)を示す説明図である。
(a)の第1ステップでは、エンジンの基本仕様に基づき、基本バルブリフト曲線201と、この基本バルブリフト曲線201を微分して求められる基本バルブ速度曲線211を作成する。バルブが開いているカム回転角度範囲を基本カム開角とする。
(b)の第2ステップでは、基本バルブ速度曲線201における速度差ΔVU((a)参照)よりも小さな速度差ΔV1となる部分を含む任意のバルブ速度曲線(改良バルブ速度曲線である。)として、例えば、改良バルブ速度曲線231A、改良バルブ速度曲線231Bを作成する。
改良バルブ速度曲線231Aでのバルブが開いているカム回転角度範囲をカム開角A、改良バルブ速度曲線231Bでのバルブが開いているカム回転角度範囲をカム開角Bとする。
(c)の第3ステップでは、改良バルブ速度曲線(改良バルブ速度曲線231A、改良バルブ速度曲線231B)のバルブ速度の積分値が基本バルブ速度曲線211のバルブ速度の積分値に合致する又は近づくように、改良バルブ速度曲線231A,231Bのバルブ速度の積分値を基本バルブ速度曲線211のバルブ速度の積分値に合わせる作業を行い、最終バルブ速度曲線121を作成する。このステップでは、カム開角A,Bを基本カム開角に合わせる作業も行う。
ここで、改良バルブ速度曲線231A,231Bのバルブ速度の積分値が基本バルブ速度曲線211のバルブ速度の積分値に合致する、又は近づくとは、基本バルブ速度曲線211のバルブ速度の積分値と改良バルブ速度曲線231A,231Bのバルブ速度の積分値との差が、基本バルブ速度曲線211のバルブ速度の積分値に対して0〜10%の範囲にあることをいう。
図8(a),(b)は本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムのカムプロフィールの設定手順(後半)を示す説明図である。
(a)の第4ステップでは、最終バルブ速度曲線を積分して、例えば、開弁用カムの最終バルブリフト曲線を作成する。なお、閉弁用カムの最終バルブリフト曲線については、開弁用カムの最終バルブリフト曲線にバルブリフト量差を加味して作成する。
(b)の第5ステップでは、最終バルブリフト曲線にロッカアーム仕様を加味した上で、開弁用カム44,81及び閉弁用カム45,82のプロフィールを決定する。
以上の図1、図3及び図9に示したように、本発明は第1に、吸気バルブ12及び排気バルブ13を強制的に開閉する強制開・閉弁用カム44,45において、グラフの縦軸に吸気バルブ12及び排気バルブ13のバルブリフト量、横軸にカム回転角度をとったときの、開弁用カム44のカム回転角度とバルブリフト量との関係を示す開弁用カム44の基本バルブリフト曲線としてのバルブリフト曲線201と、閉弁用カム45のカム回転角度とバルブリフト量との関係を示す閉弁用カム45の基本バルブリフト曲線としてのバルブリフト曲線206との間にバルブリフト量差としてのクリアランスCCが設定され、これらの開弁用カム44のバルブリフト曲線201及び閉弁用カム45のバルブリフト曲線206に対し、カム回転角度範囲として、吸気バルブ12、排気バルブ13を作動させる従動子22aが、開弁用カム44から飛び出して閉弁用カム45に着地する範囲を含んだ第1移り変わり区間と、閉弁用カム45から飛び出して開弁用カム44に着地する範囲を含んだ第2移り変わり区間とが設けられた開弁用カム44の最終バルブリフト曲線としてのバルブリフト曲線101及び閉弁用カム45の最終バルブリフト曲線としてのバルブリフト曲線111が設定され、開弁用カム44のバルブリフト曲線201及び閉弁用カム45のバルブリフト曲線206から求められる基本バルブ速度曲線としてのバルブ速度曲線211における従動子22aの飛出し速度と着地速度との差である基本速度差としての速度差ΔVUを求め、開弁用カム44のバルブリフト曲線101及び閉弁用カム45のバルブリフト曲線111から求められる最終バルブ速度曲線としてのバルブ速度曲線121における従動子22aの飛出し速度と着地速度との差である最終速度差としての速度差ΔV1を求め、速度差ΔVUよりも速度差ΔV1が小さくなるようにカムプロフィールが設定されていることを特徴とする。
これにより、開弁用カム44のバルブリフト曲線101と閉弁用カム45のバルブリフト曲線111とのクリアランスを比較的大きくしても、第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間で、従動子22aが開弁用カム44又は閉弁用カム45に衝突するときの衝突速度を抑えることができ、衝突時の撃力が緩和されるため、コストを低減しつつ騒音の発生を抑えることができる。
本発明は第2に、第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間では、バルブ速度曲線121におけるピークとしての飛出し点123のバルブ速度の絶対値を、バルブ速度曲線211のピークとしての最大速度点212のバルブ速度の絶対値よりも小さく設定し、且つ
バルブ速度曲線211の着地速度の絶対値に対して第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間内のバルブ速度曲線121の着地速度の絶対値を高い位置で一定に維持されるようにカムプロフィールが設定されていることを特徴とする。
これにより、バルブ速度曲線121での従動子22aの飛出し速度V1が抑えられ、更にバルブ速度曲線121での従動子22aの着地速度が高められて、飛出し速度V1と着地速度との差である速度差ΔV1を小さくすることができ、従動子22aの閉弁用カム45又は開弁用カム44への衝突速度が小さくすることができて、衝突時の撃力を緩和することができる。
本発明は第3に、図1、図3、図7、図8、図9に示したように、吸気バルブ12及び排気バルブ13を強制的に開閉する強制開・閉弁用カム44,45のカムプロフィール設定方法であって、吸気バルブ12又は排気バルブ13が要求される所定のリフト量に基づきバルブリフト曲線201,206とこれらのバルブリフト曲線201,206から得られるバルブ速度曲線211とを作成する第1ステップと、吸気バルブ12、排気バルブ13を作動させる従動子22aが、開弁用カム44から飛び出して閉弁用カム45に着地する、あるいは、閉弁用カム45から飛び出して開弁用カム44に着地するときの、バルブ速度曲線211における従動子22aの飛出し速度VUと着地速度との差である速度差ΔVUを求め、この速度差ΔVUよりも従動子22aの飛出し速度V1と着地速度との差である速度差ΔV1が小さくなるように改良バルブ速度曲線231A,231Bを作成する第2ステップと、速度差ΔV1を維持しながら、バルブ速度曲線231A,231Bのバルブ速度の積分値をバルブ速度曲線211のバルブ速度の積分値に合わせる作業を行い、バルブ速度曲線121を得る第3ステップと、バルブ速度曲線121に基づきバルブリフト曲線101,111を作成する第4ステップと、を含むことを特徴とする。
これにより、第2ステップで、開弁用カム44又は閉弁用カム45のカム面に衝突する従動子22aの衝突速度を抑えることができて、衝突時の撃力を緩和することができ、第3ステップで、速度差ΔV1を維持しながら、バルブ速度曲線231A,231Bのバルブ速度の積分値をバルブ速度曲線211のバルブ速度の積分値に合わせる作業を行い、従動子22aが、開弁用カム44から飛び出して閉弁用カム45に着地する、あるいは、閉弁用カム45から飛び出して開弁用カム44に着地する範囲を含んだ区間を除いて、バルブリフト曲線101の形状をバルブリフト曲線201の形状に合致させる、又は近づけることができる。
尚、図1に示された実施形態では、カムシャフト18のカム溝42で従動子22aを介してロッカアーム22を駆動し、ロッカアーム22で吸気バルブ12を開閉し、図2に示された実施形態では、カムシャフト67の開弁用カム81及び閉弁用カム82で開弁用ロッカアーム73及び閉弁用ロッカアーム74を介して吸気バルブ62を開閉する構造としたが、これに限らず、図2に示された吸気バルブ62の端部62Aを従動子として図1に示されたカム溝42内で摺動させて、カム溝42で直接に図2に示された吸気バルブ62を開閉する構造にしてもよい。
本発明の内燃機関の動弁装置及び同カムプロフィール設定方法は、バルブ強制開閉型に好適である。
本発明に係る内燃機関の動弁装置の第1実施形態を示す断面図である。 本発明に係る内燃機関の動弁装置の第2実施形態を示す断面図である。 本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムに関するバルブリフト量、バルブ速度及びバルブ加速度を示すグラフである。 本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムに関するバルブリフト曲線の作用を示す作用図である。 本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムに関するバルブリフト量、バルブ速度及びバルブ加速度の別実施形態を示すグラフである。 本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムに関するバルブリフト曲線の別実施形態の作用を示す作用図である。 本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムのカムプロフィールの設定手順(前半)を示す説明図である。 本発明に係る開弁用カム及び閉弁用カムのカムプロフィールの設定手順(後半)を示す説明図である。 従来の開弁用カム及び閉弁用カムのカム回転角度とバルブリフト量との関係を示すグラフである。 従来の内燃機関の動弁装置におけるバルブリフト量とカム回転角との関係を示すグラフである。 従来の内燃機関の動弁装置におけるバルブリフト量及び動弁系慣性力とカム回転角との関係を示すグラフである。
符号の説明
12,62…吸気バルブ、13…排気バルブ、22,73,74…ロッカアーム、22a,62A…従動子、44,81…開弁用カム、45,82…閉弁用カム、101,111,131,141…最終バルブリフト曲線(バルブリフト曲線)、121…最終バルブ速度曲線(バルブ速度曲線)、123,127…ピーク(飛出し速度)、151…最終バルブ速度曲線(バルブ速度曲線)、201,206…基本バルブリフト曲線(バルブリフト曲線)、211…基本バルブリフト曲線(バルブリフト曲線)、212,214…ピーク(最大速度点、最小速度点)、231A,231B…改良バルブ速度曲線、CC…バルブリフト量差(クリアランス)、V1〜V4…飛出し速度、VL,VU…バルブ速度、ΔV1〜ΔV4…改良速度差(速度差)、ΔVL,ΔVU…基本速度差(速度差)。

Claims (3)

  1. 吸気バルブ及び排気バルブを強制的に開閉する強制開・閉弁用カムであって
    グラフの縦軸に前記吸気バルブ及び前記排気バルブのバルブリフト量、横軸にカム回転角度をとったときの、前記開弁用カムの前記カム回転角度と前記バルブリフト量との関係を示す開弁用カムの基本バルブリフト曲線と、前記閉弁用カムの前記カム回転角度と前記バルブリフト量との関係を示す閉弁用カムの基本バルブリフト曲線との間に、所定値のクリアランスが前記縦軸方向に設定された前記強制開・閉弁用カムにおいて、
    前記開弁用カムの基本バルブリフト曲線及び閉弁用カムの基本バルブリフト曲線に対し、カム回転角度範囲として、前記吸気バルブ、前記排気バルブを作動させる従動子が、開弁用カムから飛び出して閉弁用カムに着地する範囲を含んだ第1移り変わり区間と、閉弁用カムから飛び出して開弁用カムに着地する範囲を含んだ第2移り変わり区間とが設けられた開弁用カムの最終バルブリフト曲線及び閉弁用カムの最終バルブリフト曲線が設定され、
    前記開弁用カムの基本バルブリフト曲線及び前記閉弁用カムの基本バルブリフト曲線から求められる基本バルブ速度曲線における前記従動子の飛出し速度と着地速度との差である基本速度差を求め、
    前記開弁用カムの最終バルブリフト曲線及び前記閉弁用カムの最終バルブリフト曲線から求められる最終バルブ速度曲線における前記従動子の飛出し速度と着地速度との差である最終速度差を求め、
    前記基本速度差よりも前記最終速度差が小さくなるようにカムプロフィールが設定され
    前記第1移り変わり区間及び前記第2移り変わり区間では、前記最終バルブ速度曲線におけるピークのバルブ速度の絶対値を、前記基本バルブ速度曲線のピークのバルブ速度の絶対値よりも小さく設定し、且つ前記基本バルブ速度曲線の着地速度の絶対値に対して前記第1移り変わり区間及び第2移り変わり区間内の前記最終バルブ速度曲線の着地速度の絶対値を高い位置で維持されるようにカムプロフィールが設定され、
    前記第1移り変わり区間及び前記第2移り変わり区間では、前記開弁用カムの最終バルブリフト曲線及び前記閉弁用カムの最終バルブリフト曲線から求められる最終バルブ加速度が一定値であることを特徴とする強制開・閉弁用カム。
  2. 吸気バルブ及び排気バルブを強制的に開閉する強制開・閉弁用カムのカムプロフィール設定方法であって、
    前記吸気バルブ又は前記排気バルブが要求される所定のリフト量に基づき基本バルブリフト曲線とこの基本バルブリフト曲線から得られる基本バルブ速度曲線とを作成する第1ステップと、
    前記吸気バルブ、前記排気バルブを作動させる従動子が、開弁用カムから飛び出して閉弁用カムに着地する、あるいは、閉弁用カムから飛び出して開弁用カムに着地するときの、前記基本バルブ速度曲線における従動子の飛出し速度と着地速度との差である基本速度差を求め、この基本速度差よりも従動子の飛出し速度と着地速度との差である改良速度差が小さくなるように改良バルブ速度曲線を作成する第2ステップと、
    前記改良速度差を維持しながら、前記改良バルブ速度曲線のバルブ速度の積分値を基本バルブ速度曲線のバルブ速度の積分値に合致又は近づけるすり合わせ作業を行い、最終バルブ速度曲線を得る第3ステップと、
    前記最終バルブ速度曲線に基づき最終バルブリフト曲線を作成する第4ステップと、
    を含むことを特徴とする強制開・閉弁用カムのカムプロフィール設定方法。
  3. 前記第3ステップにおいて、前記改良バルブ曲線のバルブ速度の積分値と前記基本バルブ曲線のバルブ速度の積分値との差が、この基本バルブ曲線のバルブ速度の積分値に対して0〜10%の範囲内にあるように前記すり合わせ作業が行われることを特徴とする請求項2記載の強制開・閉弁用カムのカムプロフィール設定方法。
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