JP4625708B2 - 炎症性腸疾患の検出方法 - Google Patents
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Description
(a)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約4160のイオンピークを生じるタンパク質、
(b)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH4.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約6640のイオンピークを生じるタンパク質、
(c)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約8840のイオンピークを生じるタンパク質、
(d)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約8940のイオンピークを生じるタンパク質、
(e)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約9440のイオンピークを生じるタンパク質、
(f)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約12880のイオンピークを生じるタンパク質、
(g)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH5.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約132700のイオンピークを生じるタンパク質、
(h)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH7.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約147940のイオンピークを生じるタンパク質、
(i)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH4.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約6440のイオンピークを生じるタンパク質、
(j)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約8220のイオンピークを生じるタンパク質、
(k)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約8710のイオンピークを生じるタンパク質、
(l)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約9730のイオンピークを生じるタンパク質、
(m)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH3.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約12640のイオンピークを生じるタンパク質、
(n)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH5.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約39770のイオンピークを生じるタンパク質、
(o)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH5.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約99850のイオンピークを生じるタンパク質。
(1)体液中の前記マーカー物質(o)の濃度値を健常値と比較する工程、
(2)工程(1)において濃度値が健常値未満である場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(e)の濃度値を健常値と比較する工程、
(3)工程(2)において濃度値が健常値未満である場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(h)の濃度値を健常値と比較して、炎症性腸疾患の有無を判定する工程。
(4)体液中の前記マーカー物質(o)の濃度値を健常値と比較する工程、
(5)工程(4)において濃度値が健常値以上である場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(d)の濃度値を健常値と比較して、炎症性腸疾患の有無を判定する工程、
(6)工程(5)において炎症性腸疾患が無と判定された場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(a)の濃度値を健常値と比較して、炎症性腸疾患の有無を判定する工程。
(7)体液中の前記マーカー物質(o)の濃度値を健常値と比較する工程、
(8)工程(7)において濃度値が健常値未満である場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(e)の濃度値を健常値と比較する工程、
(9)工程(8)において濃度値が健常値以上である場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(m)の濃度値を健常値と比較して、炎症性腸疾患の有無を判定する工程、
(10)工程(9)において炎症性腸疾患が無と判定された場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(f)の濃度値を健常値と比較して、炎症性腸疾患の有無を判定する工程、
(11)工程(10)において炎症性腸疾患が有と判定された場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(e)の濃度値を、工程(8)で設定した健常値とは異なる基準値と比較して炎症性腸疾患の有無を判定する工程。
潰瘍性大腸炎患者38名分、健常者44名分、計82名分の血清サンプルを収集した。各血清サンプル20μLに、変性バッファー(9M 尿素、2% CHAPS、50mM Tris−HCl(pH9.0))30μLを加えて前処理を行い、タンパク質を変性させた。次に、前処理した各血清サンプルを強陰イオン交換樹脂カラム(Q Ceramic Hyper D、バイオセプラ社)にアプライした。次に、pH9.0の緩衝液(50mM Tris−HCl(pH9.0)、0.1%(w/v)1−o−N−オクチル−β−D−グルコピラノシド(以下、「OGP」と称する。))、pH7.0の緩衝液(50mM HEPES−NaOH(pH7.0)、0.1%(w/v)OGP)、pH5.0の緩衝液(100mM 酢酸ナトリウム(pH5.0)、0.1%(w/v)OGP)、pH4.0の緩衝液(100mM 酢酸ナトリウム(pH4.0)、0.1%(w/v)OGP)、pH3.0の緩衝液(50mM クエン酸ナトリウム(pH3.0)、0.1%(w/v)OGP)、及び有機溶媒(33.3%イソプロピルアルコール、16.7%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸からなる混合液)各200μLで順に溶出させ、画分1(pH9.0で溶出、素通り)、画分2(pH7.0で溶出)、画分3(pH5.0で溶出)、画分4(pH4.0で溶出)、画分5(pH3.0で溶出)、画分6(有機溶媒)の6つの画分を得た。
銅修飾チップIMAC30を用い、画分6(有機溶媒)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が4155(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において高値を示した。図4(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図4(b)に、図4(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図4(c)に本ピークのROC曲線を示す。なお、ROC面積が1に近いほど(曲線が左上に寄るほど)その測定系の精度が高いことを示す。その結果、P値は0.013、ROC面積は0.611であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約4160のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(a))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約4160のピーク強度が健常値より高い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
弱陽イオン交換チップCM10を用い、画分4(pH4.0)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が6636(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において高値を示した。図5(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図5(b)に、図5(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図5(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.033、ROC面積は0.599であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約6640のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(b))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約6640のピーク強度が健常値より高い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
弱陽イオン交換チップCM10を用い、画分6(有機溶媒)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が8835(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において低値を示した。図6(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図6(b)に、図6(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図6(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.020、ROC面積は0.662であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約8840のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(c))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約8840のピーク強度が健常値より低い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
弱陽イオン交換チップCM10を用い、画分6(有機溶媒)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が8940(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において低値を示した。図7(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図7(b)に、図7(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図7(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.011、ROC面積は0.634であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約8940のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(d))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約8940のピーク強度が健常値より低い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
銅修飾チップIMAC30を用い、画分6(有機溶媒)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が9436(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において低値を示した。図8(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図8(b)に、図8(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図8(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.003、ROC面積は0.627であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約9440のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(e))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約9440のピーク強度が健常値より低い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
弱陽イオン交換チップCM10を用い、画分6(有機溶媒)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が12884(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において低値を示した。図9(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図9(b)に、図9(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図9(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.040、ROC面積は0.636であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約12880のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(f))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約12880のピーク強度が健常値より低い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
弱陽イオン交換チップCM10を用い、画分3(pH5.0)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が132701(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において低値を示した。図10(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図10(b)に、図10(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図10(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.008、ROC面積は0.644であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約132700のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(g))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約132700のピーク強度が健常値より低い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
銅修飾チップIMAC30を用い、画分2(pH7.0)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が147936(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において低値を示した。図11(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図11(b)に、図11(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図11(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.005、ROC面積は0.614であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約147940のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(h))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約147940のピーク強度が健常値より低い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
弱陽イオン交換チップCM10を用い、画分4(pH4.0)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が6436(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において高値を示した。図12(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図12(b)に、図12(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図12(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.013、ROC面積は0.638であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約6440のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(i))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約6440のピーク強度が健常値より高い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
弱陽イオン交換チップCM10を用い、画分6(有機溶媒)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が8219(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において低値を示した。図13(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図13(b)に、図13(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図13(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.032、ROC面積は0.617であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約8220のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(j))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約8220のピーク強度が健常値より低い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
弱陽イオン交換チップCM10を用い、画分6(有機溶媒)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が8709(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において低値を示した。図14(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図14(b)に、図14(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図14(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.038、ROC面積は0.605であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約8710のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(k))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約8710のピーク強度が健常値より低い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
銅修飾チップIMAC30を用い、画分6(有機溶媒)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が9727(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において低値を示した。図15(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図15(b)に、図15(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図15(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.032、ROC面積は0.599であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約9730のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(l))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約9730のピーク強度が健常値より低い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
銅修飾チップIMAC30を用い、画分5(pH3.0)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が12638(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において高値を示した。図16(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図16(b)に、図16(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図16(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.021、ROC面積は0.591であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約12640のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(m))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約12640のピーク強度が健常値より高い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
弱陽イオン交換チップCM10を用い、画分3(pH5.0)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が39773(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において高値を示した。図17(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図17(b)に、図17(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図17(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.008、ROC面積は0.640であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約39770のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(n))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約39770のピーク強度が健常値より高い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
弱陽イオン交換チップCM10を用い、画分3(pH5.0)についてSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が99853(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、潰瘍性大腸炎患者において低値を示した。図18(a)に、健常者と潰瘍性大腸炎患者とに分けて本ピークのピーク強度をプロットしたグラフを示す。また、図18(b)に、図18(a)の結果を、最大値、75%値、中央値、25%値、及び最小値で示したグラフを示す。さらに、図18(c)に本ピークのROC曲線を示す。その結果、P値は0.004、ROC面積は0.646であった。このように、血液中のタンパク質でSELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約99850のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(o))の濃度が、潰瘍性大腸炎患者と健常者との間で有意に差があり、当該タンパク質の濃度を指標として潰瘍性大腸炎の検出が可能であることが示された。すなわち、被検者の血清を検査材料として、上記した条件のSELDI−TOF−MSを行い、質量/電荷比が約99850のピーク強度が健常値より低い場合、その被検者が潰瘍性大腸炎であると検出することができる。
1枚の弱陽イオン交換チップCM10、1枚の銅修飾チップIMAC30、500mLの変性バッファー(pH9.0)、500mLの溶出バッファー(pH7.0)、500mLの溶出バッファー(pH4.0)、1gのSPAを1セットとして、潰瘍性大腸炎の検出用キットを構築した。本キットは、SELDI−TOF−MSによって被検者の体液中のマーカー物質の濃度を測定し、潰瘍性大腸炎の検出を行うためのものである。
Claims (10)
- 体液中の下記マーカー物質(a)〜(o)の少なくとも1つの濃度を測定し、その値を健常値と比較することを特徴とする炎症性腸疾患の検出方法。
(a)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約4160のイオンピークを生じるタンパク質、
(b)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH4.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約6640のイオンピークを生じるタンパク質、
(c)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約8840のイオンピークを生じるタンパク質、
(d)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約8940のイオンピークを生じるタンパク質、
(e)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約9440のイオンピークを生じるタンパク質、
(f)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約12880のイオンピークを生じるタンパク質、
(g)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH5.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約132700のイオンピークを生じるタンパク質、
(h)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH7.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約147940のイオンピークを生じるタンパク質、
(i)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH4.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約6440のイオンピークを生じるタンパク質、
(j)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約8220のイオンピークを生じるタンパク質、
(k)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約8710のイオンピークを生じるタンパク質、
(l)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、有機溶媒で強陰イオン交換体に結合せず、pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約9730のイオンピークを生じるタンパク質、
(m)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH3.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約12640のイオンピークを生じるタンパク質、
(n)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH5.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約39770のイオンピークを生じるタンパク質、
(o)pH9.0で強陰イオン交換体に結合し、pH5.0で強陰イオン交換体に結合せず、pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約99850のイオンピークを生じるタンパク質。 - 前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎であることを特徴とする請求項1に記載の炎症性腸疾患の検出方法。
- 前記体液は、血液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炎症性腸疾患の検出方法。
- 下記工程(1)〜(3)を包含することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炎症性腸疾患の検出方法。
(1)体液中の前記マーカー物質(o)の濃度値を健常値と比較する工程、
(2)工程(1)において濃度値が健常値未満である場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(e)の濃度値を健常値と比較する工程、
(3)工程(2)において濃度値が健常値未満である場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(h)の濃度値を健常値と比較して、炎症性腸疾患の有無を判定する工程。 - 下記工程(4)〜(6)を包含することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炎症性腸疾患の検出方法。
(4)体液中の前記マーカー物質(o)の濃度値を健常値と比較する工程、
(5)工程(4)において濃度値が健常値以上である場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(d)の濃度値を健常値と比較して、炎症性腸疾患の有無を判定する工程、
(6)工程(5)において炎症性腸疾患が無と判定された場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(a)の濃度値を健常値と比較して、炎症性腸疾患の有無を判定する工程。 - 下記工程(7)〜(11)を包含することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炎症性腸疾患の検出方法。
(7)体液中の前記マーカー物質(o)の濃度値を健常値と比較する工程、
(8)工程(7)において濃度値が健常値未満である場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(e)の濃度値を健常値と比較する工程、
(9)工程(8)において濃度値が健常値以上である場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(m)の濃度値を健常値と比較して、炎症性腸疾患の有無を判定する工程、
(10)工程(9)において炎症性腸疾患が無と判定された場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(f)の濃度値を健常値と比較して、炎症性腸疾患の有無を判定する工程、
(11)工程(10)において炎症性腸疾患が有と判定された場合に、さらに、体液中の前記マーカー物質(e)の濃度値を、工程(8)で設定した健常値とは異なる基準値と比較して炎症性腸疾患の有無を判定する工程。 - 質量分析により体液中における前記マーカー物質の濃度を測定することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の炎症性腸疾患の検出方法。
- 被検者から体液を採取し、該体液又は体液成分を前記マーカー物質に対する親和性を有する物質を固定化した担体に接触させて、前記マーカー物質を捕捉し、前記マーカー物質の濃度を測定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の炎症性腸疾患の検出方法。
- 前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、イオン交換体又は金属キレート体であることを特徴とする請求項8に記載の炎症性腸疾患の検出方法。
- 前記担体は平面部分を有し、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、該平面部分の一部に固定化されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の炎症性腸疾患の検出方法。
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