JP4625539B1 - 熱交換構造及び射出成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
圧縮−引っ張り応力が繰り返し加えられても、割れ(サーマルショックを含む)が発生しにくく、射出成形装置の構成体(金型等)の寿命を長くすることができる熱交換構造を提供することである。
【解決手段】
熱交換空間と、熱交換空間に熱交換流体を供給するための供給口と、熱交換空間から熱交換流体を排出するための排出口とをもち、壁体を介して熱交換する熱交換構造において、熱交換空間に充填体が充填されていることを特徴とする熱交換構造を用いる。充填体は球状粒状物の集合体が好ましく、さらに好ましくは鋼球又は純鉄球の集合体である。供給口に接続され、熱交換流体を熱交換空間の内部へ供給するためのパイプが、熱交換空間に挿入されたり、熱交換流体のショートパスを防止するための仕切板を熱交換空間に設けて、熱交換流体が仕切板の先端を遠回りして熱交換空間の内部を供給口から排出口へ流れるように構成してもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱交換構造及び射出成形品の製造方法に関する。
外パイプの中に内パイプを同芯状に配設して冷却水の往路と復路を形成し、外パイプの一端側に、冷却水の復路となる外パイプの内部に通じる出水接続口と冷却水の往路となる内パイプの内部に通じる入水接続口とを取付けてなる金型用冷却パイプが知られている(特許文献1)。
特開2000−141010号公報
従来の金型用冷却パイプでは、金型キャビティーへの溶湯射出、溶湯の冷却、金型の型開き、成形品離型、金型の締めの繰り返しサイクルにおいて、金型は圧縮−引っ張り応力が繰り返し加えられるため、金型の冷却穴を起点とする割れ(サーマルショックを含む)が発生しやすく、金型寿命が短くなるという問題がある。
本発明の目的は、上記の繰り返しサイクルにおいて、圧縮−引っ張り応力が繰り返し加えられても、割れ(サーマルショックを含む)が発生しにくく、射出成形装置の構成体(金型等)の寿命を長くすることができる熱交換構造を提供することである。
本発明の熱交換構造の特徴は、壁体で仕切られた熱交換空間(1)と、熱交換空間(1)に熱交換流体を供給するための供給口(2)と、熱交換空間(1)から熱交換流体を排出するための排出口(3)とをもち、壁体を介して熱交換する熱交換構造において、
熱交換空間(1)に充填体(4)が充填され、
熱交換空間(1)に充填体(4)が充填され、
充填体(4)が、焼結、ろう付け若しくは接着して流動しないように充填された鋼球又は純鉄球の集合体である点を要旨とする。
熱交換空間(1)は、壁体で仕切られて構成され、熱交換空間(1)に熱交換流体を流入させることによってこの壁体を介して熱交換できれば制限はなく、たとえば、射出成形装置の構成体{金型、融解物の流路、融解物を加熱融解するための加熱炉、融解物を押し出すための押出機(プランジャー等)及びその他の射出成形装置の構成体等}に充填される融解物(溶湯、加熱融解した熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等)を壁体を介して間接的に熱交換(加熱、冷却又は保温等の温度調節)できればよく、これらの構成体の内部空間や外部空間(ジャケット、ハウジング)等が含まれ、公知の構造等がそのまま適用できる(たとえば、特許文献1、特開2009−72803号公報、特開2009−72798号公報、実用新案登録第3134212号公報、特開平5−169189号公報及び特開2001−105096号公報)。これらの他に、熱交換空間(1)としては、ヒーターロール、CPU、電気モーター、スピンドル、ジェットエンジン、ガスタービン、太陽光温水パネル又は床暖房用パネル等の内部空間又は外部空間(ジャケット、パネル等)等が含まれる。
本発明の熱交換構造を射出成形装置に適用する場合、融解物としては、射出成形した後、冷却固化又は加熱硬化(反応固化)により成形されるものであり、溶湯(アルミニウム、マグネシウム、亜鉛又はこれらの金属を含む合金を融解してなる溶湯(液体)等)、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイト又はポリサルホンを融解した液体等)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂又はウレタン樹脂を構成できるモノマー液体等)が含まれる。
熱交換空間(1)は、壁体を介して、熱交換流体と対象物(溶湯、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、その他熱源等)と熱交換するため、熱交換流体を流通することができる空間である。熱交換流体の温度と対象物の温度との関係(高い、低い、同じくらい)により、熱交換空間(1)は、冷却空間、加熱空間又は保温空間ともなり得るものである。すなわち、本発明の熱交換構造は、冷却構造、加熱構造又は保温構造を含むものである。
熱交換空間(1)を構成する壁体は、たとえば、射出成形装置の構成体{金型、ジャケット、ハウジング等}そのもの又はこの一部分等を形成でき、また、ヒーターロール、CPU、電気モーター、スピンドル、ジェットエンジン、ガスタービン、太陽光温水パネル又は床暖房用パネル等そのもの又はこれらの一部分を形成できる。
壁体は、プラスチック、セラミックス、金属又はこれらの組合わせ等の材料から構成されてもよいが、熱伝導性の観点から、金属製が好ましく、さらに好ましくは鉄、鉄合金、、アルミニウム及びアルミニウム合金である。
熱交換空間(1)には、熱交換空間(1)に熱交換流体を供給するための供給口(2)と、熱交換空間(1)から熱交換流体を排出するための排出口(3)とが設けられている。
熱交換流体は、供給口(2)から、熱交換空間(1)に供給され、充填体(4)の空隙を通り、拡散しながら熱交換空間(1)内に行き渡り、壁体を介して、対象物と熱交換しながら、排出口(3)から排出される。
熱交換流体としては、冷却・加熱液体(水、水溶液、シリコーン油、鉱物油及び熱媒等)、冷却・加熱ガス(空気、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、水蒸気及び炭酸ガス等)及びこれらの組合せ(均一溶解して用いる組合わせ、分散混合して用いる組合せ又はそれぞれ別々に供給して用いる組合せ)等が挙げられる。すなわち、熱交換流体は、冷却だけではなく、保温や加熱、急冷、徐冷等ができる。
従来、冷却・加熱ガス(気体)は冷却・加熱液体に比べて、粘性係数が低いため、流動抵抗が小さく、熱交換空間(1)の内壁(壁体)付近で層流になりやすく、この層流部分等が熱交換の効率を低くする原因となっていたと考えられるが、本発明の熱交換構造では、下記の通り充填体(4)の作用により、熱交換流体(冷却・加熱ガスであっても)を熱交換空間(1)の全域(内壁付近を含む)において乱流にでき、また、充填体と壁体とが直接熱伝導することができるため、熱交換の効率が著しく向上する。また、冷却・加熱ガスは冷却・加熱液体に比べて、粘性係数が低いため、流動抵抗が小さくなる他、冷却・加熱ガス(気体)は、冷却・加熱液体に比べて、腐食や汚れ等による詰まりの問題も著しく低減できる。
熱交換流体の温度と被熱交換体(熱交換される対象)との温度差が大きい場合(たとえば、500〜800℃)、熱交換構造(特に壁体等)がサーマルショック(熱間衝撃割)により破損しやすくなる。このサーマルショックによる破損を防止するため、冷却・加熱ガスを用いるか、温度差の小さな冷却・加熱液体又は冷却・加熱ガスを用いることが好ましい。
本発明の熱交換構造には、熱交換空間(1)内に又はこの空間に近接して、電気ヒーター(シーズヒーター、電磁誘導ヒーター、カーボンヒーター及びセラミックヒーター等)を埋設してもよい。
供給口(2)と排出口(3)とは、熱交換の効率(冷却効率等)等の観点から、できるだけ離れた位置に設けることが好ましい(図1、3参照)。
供給口(2)及び排出口(3)は、熱交換空間(1)1つに対して、それぞれ1つずつであってもよいし、いずれか一方又は両方が複数個あってもよい。
供給口(2)及び排出口(3)の数、大きさ(口径)、開口形状は適宜決定できる。
複数種類の熱交換流体をそれぞれ別々に供給する場合、熱交換流体はそれぞれ複数個の供給口(2)から供給されるが、1種類の熱交換流体がさらに複数の供給口(2)から供給されてもよい。また、この場合、熱交換流体はそれぞれ複数個の排出口(3)から排出してもよく、1種類の熱交換流体がさらに複数の排出口(3)から排出されてもよい。
供給口(2)と排出口(3)には、充填体(4)の流出防止具{たとえば、不織布(金属製、樹脂製等)、網(金属製、樹脂製等)、パンチングメタル等)を設けて充填物(4)が熱交換空間(1)から排出されないようにしてもよい(特に、充填体が球状粒状物の集合体であって、供給口等の口径よりも小さく、固定されていない場合、流出防止具を設けることが好ましい)。また、供給口(2)と排出口(3)が充填体(4)で塞がれないように、上記の流出防止具を設けてもよい(充填体が球状粒状物の集合体である場合、供給口等の開口形状を楕円形状又は多角形状等としてもよい)。
充填体(4)は、熱交換構造(金型等)に、圧縮応力が加えられても熱交換構造(金型等)が変形しにくくできれば、形状や大きさ、材質に制限がないが、熱交換の効率(冷却効率等)等の観点から以下の通りである。この充填体(4)は、熱交換構造(金型等)に、圧縮応力が加えられても熱交換構造(金型等)が変形しにくくなる他に、熱交換流体からの熱(温熱、冷熱)を被熱交換体(熱交換される対象)へ伝熱するためのヒートシンク(放熱器)としても作用する。また、充填体(4)は、熱交換流体が熱交換空間(1)内を流動する際、流動抵抗による乱流を発生させ、熱交換流体の拡散性(熱交換空間の隅々まで拡散できる性質)を良好にさせる。
充填体(4)の材質としては、熱伝導のよい物質であれば制限ないが、金属及びセラミックス等が好ましく、さらに好ましくは金属、特に好ましくは熱交換空間(1)を構成する壁体(金型等)と同じ金属、鋼及び純鉄、最も好ましくは鋼及び純鉄である。
充填体(4)としては、粒状物の集合体及び成形体が含まれる。
粒状物の形状としては、球状、紡錘状、半球状、半紡錘状、立方体状、直方体状、円柱状、円錐状、三角柱状、三角錘状、六角柱状、六角錐状、薄片状及びこれらの形状を組合わせた形状が含まれる。これらのうち、球状及び紡錘状が好ましく、さらに好ましくは球状である。球状や紡錘状であると、応力分散性がさらに良好となるため、圧縮−引っ張り応力が繰り返し加えられても、さらに割れ(サーマルショックを含む)が発生しにくくなると共に、熱交換流体の拡散性(熱交換空間の隅々まで拡散できる性質)がさらに良好となるため、さらに素早く均一な温度に熱交換できる。
粒状物の大きさ(体積;cm)としては、熱交換空間(1)の大きさや熱交換流体の圧損失等を考慮して適宜決定され、1×10−5〜530が好ましく、さらに好ましくは1×10−4〜33、次に好ましくは1×10−3〜33、特に好ましくは0.03〜33、次に好ましくは0.1〜14、次に好ましくは0.2〜4である。粒状物が球状の場合、球状粒状物の直径は、0.5〜50mm程度が好ましく、1、1.5、4、6、15、20又は50mmの球状粒状物等が使用できる。この範囲であると、熱交換流体(冷却水等)の供給がさらに容易になり(熱交換流体の圧損失が大きくなりすぎず)、熱交換の効率(冷却効率等)がさらに向上する。
粒状物は、形状、材質及び/又は大きさが異なるものを組合わせて充填してもよいが、熱交換の効率(冷却効率等)等の観点から、同じ形状、同じ材質、同じ大きさのものを用いることが好ましい。
粒状物の集合体は、熱交換空間(1)に充填されていればよいが、粒状物が流動しないように充填されることが好ましい。したがって、粒状物の集合体(球状粒状物が好ましい)をできるだけ密になるように(最密充填又はこれに近い状態に)充填することが好ましい(できるだけ数多くの粒状物を充填することが好ましい)。粒状物の集合体を充填した後、焼結(真空加圧焼結等)やろう付け(真空ろう付け等)により、粒状物の集合体を焼き固めてもよいし、接着剤(耐熱性及び熱伝導率の良いものが好ましい)を粒状物に塗布してから充填して、粒状物同士を固定してもよい。
粒状物の集合体を密になるように充填すると、熱交換構造(金型等)に、圧縮応力が加えられても熱交換構造(金型等)がさらに変形しにくくなることの他に、粒状物同士の接触により粒状物の集合体全体の温度分布がさらに均一になると共に、より早く熱が移動しりやすいため、より早く、より均一に熱交換できる。
粒状物の集合体を焼結、ろう付け又は接着して流動しないように充填すると、熱交換構造(金型等)に、圧縮応力が加えられても熱交換構造(金型等)がさらに変形しにくくなることの他に、粒状物同士の接触がより良好となり、さらに熱移動が良好となり、さらに早く、さらに均一に熱交換できる。特に、ろう付け又は接着する場合、熱伝導性の良好な材料を用いてフィレット(隅肉)部を設けることにより、さらに熱移動が良好となり、さらに早く、さらに均一に熱交換できる。また、ろう付けする場合、粒状物及び温度調節空間(1)の表面をろう材でコーティングできるので、腐食等に対する耐性も向上する。
以上の通り、本発明の熱交換構造を適用すると、従来は強度維持のため変肉(肉厚の厚い箇所と薄い箇所とが混在している)にする必要があった熱交換構造(金型等)であっても、熱交換空間(1)を構成する壁体を均一の厚さにでき、また、この壁体を従来の熱交換構造に比べて薄くすることができるため、容易に均一かつ早い熱交換ができる。また、従来困難であった急速冷却や急速加熱等も容易にできる他、強度等の観点から、熱交換構造を設けることができなかった小さな部材(たとえば、金型の薄リブ部分等)にも本発明の熱交換構造が適用できる。
充填体(4)として成形体を用いる場合、成形体は、熱交換空間(1)に充填できる形状であれば制限ないが、熱交換空間(1)の壁面に密着するする形状とすることが好ましい。
成形体は、その内部に、熱交換流体が通過できる空隙を有する。このような成形体としては、多孔質成形体(連続気泡発泡体等、たとえば、多孔質アルミニウムや多孔質鋼等)等の他に、粒状物の集合体を焼結(真空加圧焼結等)やろう付け(真空ろう付け等)、接着剤による接着等によって、粒状物同士を固定して得られる成形体(熱交換空間(1)を構成する壁体と接合していない点で、上記の粒状物の集合体と相違する。)が含まれる。
充填体(4)は、粒状物の集合体と成形体との両方から構成されていてもよい。
これらの充填体のうち、製造コスト、熱交換の効率等の観点から、粒状物の集合体が好ましく、さらに好ましくは球状粒状物の集合体、特に好ましくは鋼球又は純鉄球の集合体である。球状粒状物の集合体(特に鋼球又は純鉄球の集合体)であると、応力分散性がさらに良好となるため、圧縮−引っ張り応力が繰り返し加えられても、さらに割れ(サーマルショックを含む)が発生しにくくなると共に、熱交換流体の拡散性(熱交換空間の隅々まで拡散できる性質)がさらに良好となるため、さらに素早く均一な温度に熱交換できる。
充填体(4)は、熱交換空間(1)に充填されていれば、熱交換空間(1)の全体に充填されていてもよく、その一部だけに充填されていてもよい(局在化されていてもよい)。
充填体(4)を熱交換空間(1)の一部だけに充填する(局在化して充填する)場合、被熱交換体(熱交換されるもの)に近接するように充填すること{一般的に、供給口(1)から離れた範囲に充填すること}が好ましい(たとえば、図5参照)。
充填体(4)を熱交換空間(1)の一部だけに充填する(局在化して充填する)場合、
充填体(4)が充填されされていない範囲に、充填体(4)が充填された範囲とは相違する種類の熱交換流体を供給してもよい(たとえば、図6参照)。
熱交換空間(1)には、供給口(2)に接続され、熱交換流体(冷却水等)を熱交換空間(1)の内部へ供給するためのパイプ(5)が挿入されていてもよい(図2参照)。供給口(2)に接続されたパイプ(5)が挿入されていると、熱交換流体(冷却水等)が供給口(2)から排出口(3)へショートパスするのを防止できるため、熱交換の効率(冷却効率等)がさらに向上する。
パイプの開口先端(熱交換流体の排出口)には、充填体(4)の流出防止具{たとえば、不織布(金属製、樹脂製等)、網(金属製、樹脂製等)、パンチングメタル等)を設けて充填物(4)が熱交換空間(1)から排出されないようにしてもよい(特に、充填体が球状粒状物の集合体であって、パイプの口径よりも小さく、固定されていない場合、流出防止具を設けることが好ましい)。また、パイプの先端が充填体(4)で塞がれないように、上記の流出防止具を設けてもよい(充填体が球状粒状物の集合体である場合、パイプの開口形状を楕円形状、多角形状又は不定形状等としたり、開口先端付近にスリットや球状粒状物よりも小さな穴をあけてもよい。また、充填体が球状粒状物の集合体であって、パイプの口径よりも小さな場合、液層拡散接合等により固定した後放電加工機により、パイプ差込用の穴を設けてもよい。)。
熱交換空間(1)には、熱交換流体(冷却水等)のショートパスを防止するための仕切板(6)を設けて、熱交換流体(冷却水等)が仕切板(6)の先端を遠回りして熱交換空間(1)の内部を供給口(2)から排出口(3)へ流れるように構成されていてもよい(図3参照)。仕切板(6)を設けると、熱交換流体(冷却水等)が供給口(2)から排出口(3)へショートパスするのを防止できるため、熱交換の効率(冷却効率等)がさらに向上する。
本発明の射出成形品の製造方法の特徴は、上記の熱交換構造を持つ射出成形装置の金型に融解物(溶湯、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等)を射出する射出工程;
金型の熱交換空間(1)に熱交換流体を流入させて溶融物を温度調節する温度調節工程;
金型を開く型開き工程;
射出成形品を金型から取り出す離型工程;及び
金型を締めて金型を再構成する金型締め工程を含む点を要旨とする。
金型に融解物(溶湯、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等)を射出する射出工程は、上記の熱交換構造を持つ射出成形装置の金型を使用すること以外、公知の射出工程と同様に行うことができる。
温度調節工程において、一番最初の射出を行う場合、射出成形装置の金型を暖めるために、熱交換流体として、加熱液体(加熱高温水又は高温度の熱媒等)や加熱ガス(水蒸気又は加熱空気等)を熱交換空間(1)に流してもよいし、電気ヒーターで熱交換空間(1)を加熱してもよい(加熱工程)。
また、金型を開く型開き工程の前に行う温度調節工程(溶湯等を冷却する冷却工程)では、熱交換流体として、冷却液体(冷却水又は冷却した熱媒等)や冷却ガス(水蒸気又は冷却空気等)を用いてもよい(冷却工程)。
また、金型に一定温度の熱交換流体(冷却・加熱液体や冷却・加熱ガス)を熱交換空間(1)に流し続けて、融解体(溶湯等)を射出する前は金型を加熱・保温し(金型等の加熱・保温工程)、融解体(溶湯等)を射出した後は金型を冷却・保温する(融解体を冷却・保温する冷却・保温工程)というように、熱交換流体は、加熱、冷却又は保温の各工程で同じ温度であってもよく(温度調節する対象体との相対的温度差によって加熱、冷却、保温として作用する)、異なる温度であってもよい。
また、温度調節工程は、他の工程と同時に行われてもよいし、製造工程で複数回行われてもよい。
同様に、上記の熱交換構造は、射出成形装置の構成体{金型、融解物の流路、融解物を加熱融解するための加熱炉、融解物を押し出すための押出機(プランジャー等)及びその他の射出成形装置の構成体等}を温度調節することもできる。
金型を開く型開き工程、射出成形品を金型から取り出す離型工程及び金型を締めて金型を再構成する金型締め工程は、公知の工程と同様に行うことができる。
本発明の射出成形品の製造方法において、融解体(溶湯等)は特に制限がないが、射出成形した後、冷却固化又は加熱硬化(反応固化)により成形されるものであり、溶湯(アルミニウム、マグネシウム、亜鉛又はこれらの金属を含む合金を融解してなる溶湯(液体)等)、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイト又はポリサルホンを融解した液体等)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂又はウレタン樹脂を構成できるモノマー液体等)が含まれる。
本発明の熱交換構造を適用すると、射出成形装置の構成体(金型等)に圧縮−引っ張り応力が繰り返し加えられても、割れ(サーマルショックを含む)が発生しにくく、射出成形装置の構成体(金型等)の寿命を長くすることができる。また、金型のキャビティー面等を肉薄にすることができ、ピン形状であっても破損しにくい(クラックが入ったり、折れたりしにくい)。
射出成形体の構成体(金型等)の寿命を長くすることができる他、射出成形装置の構成体(金型等)を素早く均一に温度調節できる。また、従来は強度維持のため変肉(肉厚の厚い箇所と薄い箇所とが混在している)にする必要があった熱交換構造(金型等)であっても、熱交換空間(1)を構成する壁体を均一の厚さにでき、また、この壁体を従来の熱交換構造に比べて薄くすることができるため、容易に均一かつ早い熱交換ができる。また、従来困難であった急速冷却や急速加熱等も容易にできる他、強度等の観点から、熱交換構造を設けることができなかった小さな部材(たとえば、金型の薄リブ部分等)にも本発明の熱交換構造が適用できる。
本発明の熱交換構造は、以上の効果を奏するため、射出成形装置の構成体(金型等)の熱交換構造以外に、ヒーターロール、CPU、電気モーター、スピンドル、ジェットエンジン、ガスタービン、太陽光温水パネル又は床暖房用パネル等の熱交換構造(熱交換構造体)としても適している。後者の場合、熱交換空間(1)としては、射出成形装置の構成体(金型等)と同様に、内部空間や外部空間(ジャケット、ハウジング)等が含まれる。
本発明の射出成形品の製造方法によると、射出成形装置の構成体(金型等)に圧縮−引っ張り応力が繰り返し加えられても、割れ(サーマルショックを含む)が発生しにくく、射出成形装置の構成体(金型等)の寿命を長くすることができる。
射出成形体の構成体(金型等)の寿命を長くすることができる他、射出成形装置の構成体(金型等)を素早く均一に温度調節できる。また、従来は強度維持のため変肉(肉厚の厚い箇所と薄い箇所とが混在している)にする必要があった熱交換構造(金型等)であっても、熱交換空間(1)を構成する壁体を均一の厚さにでき、また、この壁体を従来の熱交換構造に比べて薄くすることができるため、容易に均一かつ早い熱交換ができる。また、従来困難であった急速冷却や急速加熱等も容易にできる他、強度等の観点から、熱交換構造を設けることができなかった小さな部材(たとえば、金型の薄リブ部分等)にも本発明の熱交換構造が適用できる。
したがって、本発明の射出成形品の製造方法によると、射出成形品を効率よく製造できる(サイクルタイムの短縮、金型の交換・修理の回数減少等)。
本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様を概念的に表した端面図である。 本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様(パイプを用いた例)を概念的に表した端面図である。 本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様(仕切板を用いた例)を概念的に表した端面図である。 本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様(図1の温度調整構造に電気ヒーターを付加した例)を概念的に表した端面図である。 本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様{充填体(4)を熱交換空間(1)の一部だけに充填した(局在化して充填した)例}を概念的に表した透過正面図である。 本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様{図5で表した熱交換構造において、パイプを用いて、充填体(4)が充填されされていない範囲に、充填体(4)が充填された範囲とは相違する種類の熱交換流体を供給できるように構成した例}を概念的に表した透過正面図である。 本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の熱交換の効率を評価するための評価装置を概念的に表した透過正面図である。 本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の熱交換の効率を評価するための評価装置のうち、本発明の熱交換構造の部分をアセチレンバーナーで加熱している状態を概念的に表した部分透過側面図である。 本発明の熱交換構造(供給口(2)にパイプを接続した熱交換構造)の熱交換の効率を評価するための評価装置の熱交換構造の部分を概念的に表した部分透過正面図である。 比較用の熱交換構造(従来の金型の温度調節構造)の熱交換の効率を評価するための評価装置の熱交換構造の部分を概念的に表した部分透過正面図である。
以下、図面を用いて、本発明の熱交換構造について、さらに詳細に説明する。なお、特記しない限り、最初に説明した事項は、後の図面の説明においても共通して適用できる。
<図1>
図1は、本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様を概念的に表した端面図である。
供給口(2)と排出口(3)とは、熱交換の効率(冷却効率等)等の観点から、できるだけ離れた位置に設けてある。
図1に示した熱交換構造(金型の温度調節構造)は、たとえば、次のようにして調製できる。
金属製立方体をマシニングセンター又は放電加工により切削して、熱交換空間(1)を調製した後、熱交換空間(1)に、充填体(4)(球状粒状物の集合体)を充填し、必要により、真空加圧焼結又は真空ろう付け等を施して、充填体(4)を充填した熱交換空間(1)をもつ未切削部材(A1)を調製する。電気ヒーターを埋設する場合、充填体(4)を充填する前に、電気ヒーターを埋設してもよい。
別途、別の金属製立方体に、供給口(2)及び排出口(3)と、これらと連続する流路とを穴空け加工して、供給口(2)及び排出口(3)をもつ部材(B1)を調製する。電気ヒーターを埋設する場合、電気ヒーターの端部(電源供給部)を挿入できる穴を併せて設けておくことができる。
未切削部材(A1)と部材(B1)とを、ボルト締め、液層拡散接合、HP拡散接合又はSPS接合等により接合し、必要により、焼き入れ材を使用して拡散接合した場合、熱処理した後、射出成形装置の構成体(金型)のキャビティー部分を切削して、熱交換構造(金型の温度調節構造)に仕上げる。電気ヒーターを埋設する場合、熱交換流体が漏れないように電気ヒーターの端部を挿入した穴には漏れ防止処理(液層拡散接合又はろう付け等)を施すことができる。
<図2>
図2は、本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様(パイプを用いた例)を概念的に表した端面図である。
図2に示した熱交換構造(金型の温度調節構造)は、たとえば、次のようにして調製できる。
金属製立方体をマシニングセンター又は放電加工により切削して、熱交換空間(1)を調製した後、熱交換空間(1)に、パイプ(5)を挿入し、充填体(4)(球状粒状物の集合体)を充填し、必要により、真空加圧焼結又は真空ろう付け等を施して、充填体(4)を充填した熱交換空間(1)をもつ未切削部材(A2)を調製する。電気ヒーターを埋設する場合、充填体(4)を充填する前{パイプ(5)を挿入する前又は後}に、電気ヒーターを埋設してもよい。
別途、別の金属製立方体に、パイプ(5)を挿入できる供給口(2)と、排出口(3)と、これらと連続する流路とを穴空け加工して、供給口(2)及び排出口(3)をもつ部材(B2)を調製する。電気ヒーターを埋設する場合、電気ヒーターの端部(電源供給部)を挿入できる穴を併せて設けておくことができる。
パイプ(5)を供給口(2)に挿入しながら、未切削部材(A2)と部材(B2)とを重ね合わせて、ボルト締め、液層拡散接合、HP拡散接合又はSPS接合等により接合し、必要により、焼き入れ材を使用して拡散接合した場合、熱処理した後、射出成形装置の構成体(金型等)のキャビティー部分を切削して、熱交換構造(金型の温度調節構造)に仕上げる。電気ヒーターを埋設する場合、熱交換流体が漏れないように電気ヒーターの端部を挿入した穴には漏れ防止処理(液層拡散接合又はろう付け等)を施すことができる。
<図3>
図3は、本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様(仕切板を用いた例)を概念的に表した端面図である。
図3に示した熱交換構造(金型の温度調節構造)は、たとえば、次のようにして調製できる。
金属製立方体をマシニングセンター又は放電加工により切削して、熱交換空間(1)を調製した後、熱交換空間(1)に、仕切板(6)を挿入し、充填体(4)(球状粒状物の集合体)を充填し、必要により、真空加圧焼結又は真空ろう付け等を施して、充填体(4)を充填した熱交換空間(1)をもつ未切削部材(A3)を調製する。電気ヒーターを埋設する場合、充填体(4)を充填する前{仕切板(6)を挿入する前又は後}に、電気ヒーターを埋設してもよい。
別途、別の金属製立方体に、仕切板(6)の一端部を嵌合できる溝(7)を切削し、供給口(2)と、排出口(3)と、これらと連続する流路とを穴空け加工して、溝(7)と供給口(2)と排出口(3)とをもつ部材(B3)を調製する。電気ヒーターを埋設する場合、電気ヒーターの端部(電源供給部)を挿入できる穴を併せて設けておくことができる。
仕切板(6)を溝(7)に嵌合しながら、未切削部材(A3)と部材(B3)とを重ね合わせて、ボルト締め、液層拡散接合、HP拡散接合又はSPS接合等により接合し、必要により、焼き入れ材を使用して拡散接合した場合、熱処理した後、射出成形装置の構成体(金型等)のキャビティー部分を切削して、熱交換構造(金型の温度調節構造)に仕上げる。電気ヒーターを埋設する場合、熱交換流体が漏れないように電気ヒーターの端部を挿入した穴には漏れ防止処理(液層拡散接合又はろう付け等)を施すことができる。
<図4>
図4は、本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様(電気ヒーターを用いた例)を概念的に表した端面図である。
図4に示した熱交換構造(金型の温度調節構造)は、たとえば、図1の未切削部材(A1)を調製する際、充填体(4)を充填する前に、電気ヒーターを埋設し、図1の部材(B1)に電気ヒーターの端部(電源供給部)を挿入できる穴を併せて設けておき、未切削部材(A1)と部材(B1)とを、ボルト締め、液層拡散接合、HP拡散接合又はSPS接合等により接合し、必要により、焼き入れ材を使用して拡散接合した場合、熱処理した後、射出成形装置の構成体(金型)のキャビティー部分を切削して、熱交換構造(金型の温度調節構造)に仕上げることによって製造できる。この場合、熱交換流体が漏れないように電気ヒーターの端部を挿入した穴には漏れ防止処理(液層拡散接合又はろう付け等)を施すことができる。
<図5>
図5は、本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様{充填体(4)を熱交換空間(1)の一部だけに充填した(局在化して充填した)例}を概念的に表した透過正面図である。
充填体(4)を熱交換空間(1)の一部だけに充填した(局在化して充填した)場合{たとえば、図5に示したような熱交換構造(金型の温度調節構造)の場合}、被熱交換体(熱交換されるもの)が高温であって、熱交換流体が水や水等の低沸点物質を含むものであるとき、熱交換空間(1)に熱交換流体を供給する際、急激な気化による体積膨張(いわゆる水蒸気爆発等)が生じて熱交換流体の供給が困難になることを防止又は低減することができる。これは、高温の被熱交換体から離れた範囲に充填体(4)が存在しない空間を設けることにより、この空間が急激な体積膨張のクッションの役目をするものと考えられる。しかし、このように充填体(4)を局在化して充填すると、熱交換の効率は局在化しない場合にくらべて低下する傾向にある。
図5に示した熱交換構造(金型の温度調節構造)は、たとえば、図1に示した熱交換構造(金型の温度調節構造)と同様にして調製できる。ただし、充填体(4)は熱交換空間(1)の全体に充填せず、局在化するように充填する。
<図6>
図6は、本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の一態様{図5で表した熱交換構造において、パイプ(5)を用いて、充填体(4)が充填されされていない範囲に、充填体(4)が充填された範囲とは相違する種類の熱交換流体を供給できるように構成した例}を概念的に表した透過正面図である。このような熱交換構造の場合、供給口(2)のうち、パイプ(5)に接続された供給口に加熱・冷却ガス(空気等)を供給し、他一方の供給口には加熱・冷却液体(水等)を供給することができる。
図5で表した熱交換構造において、パイプを用いて、充填体(4)が充填されされていない範囲に、充填体(4)が充填された範囲とは相違する種類の熱交換流体を供給できるように構成した場合{たとえば、図6に示したような熱交換構造(金型の温度調節構造)の場合}、図5で表した熱交換構造のように、急激な気化による体積膨張(いわゆる水蒸気爆発等)が生じて熱交換流体の供給が困難になることを防止又は低減することができる他に、充填体(4)を局在化して充填することとによる熱交換の効率の低下を防止又は低減することができる。
図6に示した熱交換構造(金型の温度調節構造)は、たとえば、図2に示した熱交換構造(金型の温度調節構造)と同様にして調製できる。ただし、充填体(4)は熱交換空間(1)の全体に充填せず、局在化するように充填する。
<図7〜10>
図7は、本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)の熱交換の効率を評価するための評価装置を概念的に表した透過正面図である。この評価装置のうち、本発明の熱交換構造の部分をアセチレンバーナーで加熱している状態を概念的に表した部分透過側面図を図8に示した。また、この評価装置のうち、本発明の熱交換構造の部分を供給口(2)にパイプを接続した熱交換構造に置き換えた熱交換構造の部分を概念的に表した部分透過正面図を図9に示した。また、この評価装置のうち、本発明の熱交換構造の部分を比較用の熱交換構造(従来の金型の温度調節構造)に置き換えた熱交換構造の部分を概念的に表した部分透過正面図を図10に示した。
以上のような評価装置を用い、以下のようにして、本発明の熱交換構造(金型の温度調節構造)と比較用の熱交換構造(従来の金型の温度調節構造)とについて、熱交換の効率(冷却速度)を評価した。
本発明の熱交換構造及び比較用の熱交換構造として、アルミダイカスト金型のリブ形状とし、熱交換空間(1)とは別に穴を空けこの穴の中に熱電対温度計(8)の先端部がリブ先端部から3mmの位置となるようにして熱電対温度計(8)を挿入した。そして、熱交換構造(リブ形状)の側面(熱電対温度計の挿入されていない側面)からアセチレン加熱バーナー(12)で熱電対温度計が約800℃を示すまで加熱した後(図8参照)、アセチレン加熱バーナー(12)を遠ざけ放冷して720℃に到達した時点で熱交換流体を供給口(2)から供給して、この時点から熱電対温度計が320℃(冷却到達温度)を示すまでの時間(冷却時間)を計測した。冷却時間を4回計測し、算術平均値を算出して、表1及び2に示した。
なお、熱交換流体として、10℃の水道水又は14℃の圧縮空気を用いた。また、供給口(2)及び排出口(3)の口径は2mmとした。
また、本発明の熱交換構造には、充填体(4)として、直径1、1.2、1.5又は2mmの鋼球(SUS304)を熱交換空間に充填したもの(使用個数は下表に示した。)を用いた。また、熱交換空間(1)を仕切る壁体(リブ形状部分)は、外寸9.3mm×34mm×40mm、内寸{熱交換空間(1)内の大きさ}3.3mm×28mm×37mm、肉厚3mmのSKD61製で調製した。
一方、比較用の熱交換構造には、アルミダイカスト金型として強度不足となるため、熱交換空間をリブ形状の先端付近に設けることができず、強度上許容できるリブ形状先端から離れた範囲に設けた(図9参照;図7、8の熱交換空間の一部分に相当する)。比較用の熱交換空間内の大きさは、内寸3.3mm×28mm×5mm、肉厚3mmのSKD61製で調製した。
Figure 0004625539
水道水1.3L/分(圧力0.4〜0.38MPa)
圧縮空気32L/分(圧力0.64〜0.61MPa)
表1から、本発明の熱交換構造は、比較用の熱交換構造に比較して、熱交換流体として、水道水又は圧縮空気の何れを用いた場合でも、著しく優れた熱交換の効率(冷却速度)を示した。また、本発明の熱交換構造において、鋼球の大きさ、数が上記の範囲内であれば熱交換の効率(冷却速度)に大きな影響を与えないことが判った。
Figure 0004625539
表2から、本発明の熱交換構造は、比較用の熱交換構造に比較して、圧縮空気の流量を増加させた場合でも、著しく優れた熱交換の効率(冷却速度)を示した。
上記の評価装置のうち、本発明の熱交換構造の部分を供給口(2)にパイプ(外径2.0mm、内径1.2mm、SUS304)を接続した図9に表した熱交換構造(パイプの先端から熱交換空間の壁体までの最短距離は10mm)に置き換えたこと、及び熱交換流体として、12.5℃の水道水(圧力0.4〜0.38MPa)又は14℃の圧縮空気(圧力0.64〜0.61MPa)を用いたこと以外、上記と同様にして、冷却時間を6回計測し、算術平均値を算出して、表3に示した。
Figure 0004625539
水道水1.6L/分
圧縮空気32L/分
(注1)圧縮空気35L/分
(注2)実施例9において、直径1.5mmの鋼球(SUJ)20重量部(890個)、ニッケルろう(JIS Z3265:1998のBNi−2)1重量部及び二クロブレーズセメント(株式会社ハードフェース ウエルド カンパニー)少量を混合して熱交換空間に充填して風乾した後、1020〜1030℃で真空ろう付けして、鋼球同士を固定した。
上記の評価装置のうち、本発明の熱交換構造の部分を供給口(2)にパイプを接続した図9に表した熱交換構造に置き換えたこと、冷却到達温度320℃を320、250、150、100℃(それぞれ連続して測定した)に変更したこと、及び熱交換流体として、14℃の圧縮空気(圧力0.64〜0.61MPa)を用いたこと以外、上記と同様にして、冷却時間を6回計測し、算術平均値を算出して、表4に示した。
Figure 0004625539
圧縮空気32L/分
(注1)圧縮空気35L/分
(注2)実施例9と同様にして、ろう付けにより鋼球同士を固定した。
上記の評価装置のうち、本発明の熱交換構造の部分を供給口(2)にパイプを接続した図9に表した熱交換構造に置き換えたこと、及び熱交換流体として、12.5℃の水道水(圧力0.4〜0.38MPa)又は14℃の圧縮空気(圧力0.64〜0.61MPa)を用いたこと以外、上記と同様の装置を用いて、熱交換流体を供給口(2)から供給しながら、熱交換構造(リブ形状)の先端付近の正面からアセチレン加熱バーナー(12)で加熱して250℃に到達した時点から、熱電対温度計が320、400、420℃を示すまでの時間(加熱時間)を6回計測し、算術平均値を算出して、表5に示した。
なお、12.5℃の水道水1.6L/分を用いた場合、100℃以上に温度が上昇しなかった。
Figure 0004625539
圧縮空気32L/分
(注1)圧縮空気35L/分
(注2)実施例9と同様にして、ろう付けにより鋼球同士を固定した。
表3〜5等の結果から、供給口(2)にパイプを接続した熱交換構造を用いると、熱交換の効率(冷却効率、保温効率)がさらに良好となることを確認できた。仕切板(6)を用いた場合も同様に熱交換の効率がさらに向上すると予測できる。また、ろう付けにより鋼球同士を固定した場合、さらに優れた熱交換の効率(冷却速度)を示した。これはろう付けすることにより、鋼球同士の接触がより良好となり、さらに熱移動が良好となり、さらに早く、さらに均一に熱交換できるためであると考えられる。
1 熱交換空間
2 供給口
3 排出口
4 充填体(球状粒状物の集合体)
5 パイプ
6 仕切板
7 電気ヒーター
8 熱電対温度計
9 流量計
10 バルブ
11 圧力計
12 アセチレン加熱バーナー

Claims (8)

  1. 壁体で仕切られた熱交換空間(1)と、熱交換空間(1)に熱交換流体を供給するための供給口(2)と、熱交換空間(1)から熱交換流体を排出するための排出口(3)とをもち、壁体を介して熱交換する熱交換構造において、
    熱交換空間(1)に充填体(4)が充填され、
    充填体(4)が、焼結、ろう付け若しくは接着して流動しないように充填された鋼球又は純鉄球の集合体であることを特徴とする熱交換構造。
  2. 鋼球又は純鉄球がろう付け若しくは接着で互いに接合して、これらの接合部にフィレット(隅肉)部を有する請求項に記載の熱交換構造。
  3. 壁体が金属製である請求項1又は2に記載の熱交換構造。
  4. 供給口(2)に接続され、熱交換流体を熱交換空間(1)の内部へ供給するためのパイプ(5)が、熱交換空間(1)に挿入されている請求項1〜のいずれかに記載の熱交換構造。
  5. 熱交換流体のショートパスを防止するための仕切板(6)を熱交換空間(1)に設けて、熱交換流体が仕切板(6)の先端を遠回りして熱交換空間(1)の内部を供給口(2)から排出口(3)へ流れるように構成されている請求項1〜のいずかに記載の熱交換構造。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載された熱交換構造を持つ射出成形装置の金型に融解物を射出する射出工程;
    熱交換空間(1)に熱交換流体を流入させて融解物を温度調節する温度調節工程;
    金型を開く型開き工程;
    射出成形品を金型から取り出す離型工程;及び
    金型を締めて金型を再構成する金型締め工程を含むことを特徴とする射出成形品の製造方法。
  7. 融解物が、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛又はこれらの金属を含む合金を融解してなる溶湯である請求項に記載の製造方法。
  8. 融解物が、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である請求項に記載の製造方法。
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