JP4996763B2 - 熱交換構造及び射出成形品の製造方法 - Google Patents

熱交換構造及び射出成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱交換構造及び射出成形品の製造方法に関する。
所用冷却部分に形成された冷却水通路の中に粒状物を通水間隙が残るように充填してなることを特徴とした金型の冷却装置が知られている(特許文献1)。
特開平1−178358号公報
従来の金型の冷却装置では、キャビティー面やコア面と冷却水通路との距離が長く(肉厚)であるため、冷却効率が不十分であるという問題がある。一方、冷却効率を向上させるためにキャビティー面やコア面と冷却水通路との距離が短く(薄肉)にすることは強度的にできないという問題がある。
本発明の目的は、強度及び冷却効率の両方に優れた熱交換構造を提供することである。
本発明の熱交換構造の特徴は、土台(1)に、壁体(2)を被嵌すると共に、
土台(1)と壁体(2)との隙間にスペーサー(3)を嵌めてなる熱交換空間(4)を設け、スペーサー(3)が、粒状物の集合体、金網、エキスパンドメタル、パンチングメタル、多孔質金属体、エンボスプレート若しくはこれらの組合わせであるか、又は
土台(1)及び/又は壁体(2)にシボ加工、転造、放電加工又はNC加工して千鳥配列となるように形成される突起体をスペーサー(3)として、土台(1)と壁体(2)との隙間に熱交換空間(4)を設け、
熱交換空間(4)に、熱交換流体を供給するための供給口(5)と、熱交換空間(4)から熱交換流体を排出するための排出口(6)とを設け、
土台(1)と壁体(2)とが、スペーサー(3)を介して接合してなり、
熱交換空間(4)に熱交換流体を流入させることにより壁体(2)を介して被熱交換体と熱交換できるものであり、
壁体(2)に、マシニングセンター又は放電加工により切削してキャビティー面又はコア面を設けた点を要旨とする。
「被嵌する」とは、あるものに被せるように嵌めることを意味する。
「密嵌する」とは、密着させて嵌めることを意味する。
「嵌める(はめる)」とは、ある形に合うように中に入れておさめること、又はある形に合うように外側に被せることを意味する。
「フィレット(隅肉)」とは、直交する二つの面の隅において三角形(又は三角形に近い形状)の断面をもつ部分を意味する。
「千鳥配列」とは、ピン配列の1種であり、ピン間ピッチの半分の位置に交互にピンを並べた配置を意味する。
本発明の熱交換構造は、土台(1)に、壁体(2)を被嵌すると共に、土台(1)と壁体(2)との隙間にスペーサー(3)を嵌めてなる熱交換空間(3)を設けてなるものである。すなわち、本発明の熱交換構造は、土台(1)と、スペーサー(3)を嵌めてなる熱交換空間(4)と、壁体(2)とがサンドイッチ構造となっているものであり、熱交換空間(4)に熱交換流体を流入させることによって壁体(2)を介して熱交換できるものである。
熱交換空間(4)は、壁体(2)を介して、熱交換流体と対象物(溶湯、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ガラス、セラミックス(分散液)、その他熱源等)と熱交換するため、熱交換流体を流通することができる空間である。熱交換流体の温度と対象物の温度との関係(高い、低い、同じくらい)により、熱交換空間(1)は、冷却空間、加熱空間又は保温空間ともなり得るものである。すなわち、本発明の熱交換構造は、冷却構造、加熱構造又は保温構造を含むものである。
スペーサー(3)としては、土台(1)と壁体(2)との隙間に嵌められて、外部から壁体(2)に加えられる力をスペーサー(3)を介して土台(1)が受け止めること{土台(1)と壁体(2)との補強部材として働くこと}ができ、熱交換構造に、圧縮応力が加えられても熱交換構造が変形しにくくなる他に、熱交換流体からの熱(温熱、冷熱)を被熱交換体(熱交換される対象)へ伝熱するためのヒートシンク(放熱器)としても作用する。また、スペーサー(3)は、熱交換流体が熱交換空間(4)内を流動する際、流動抵抗による乱流を発生させ、熱交換流体の拡散性(熱交換空間の隅々まで拡散できる性質)を良好にさせる。
スペーサー(3)としては、上記の作用を奏すれば、形、大きさ、材質等に制限はなく、たとえば、粒状物の集合体(蒸留用のラシヒリング等を含む)、金網、エキスパンドメタル、パンチングメタル、多孔質金属体、エンボスプレート及びこれらの組み合わせ等が含まれる。さらにスペーサー(3)は、土台(1)及び/又は壁体(2)にシボ加工、転造、フォトエッチング、放電加工又はNC加工により突起体を設けることにより形成してもよい。さらに、土台(1)及び/又は壁体(2)を引き抜き加工、押出加工、旋盤加工、鍛造、鋳造、ロストワックス、電鋳メッキ又はこれらの組合せにより製造し、その表面に突起体を設けることによりスペーサー(3)を形成してもよい。
スペーサー(3)の材質については、熱伝導率の高い物質でできているものや、表面が熱伝導率の高い物質で覆われているものが好ましく、さらに好ましくは金属製(合金を含む。以下同じ。)、セラミックス製及び樹脂製(樹脂製の場合、後述のように、無電解メッキを施す。以下同じ。)、製造コスト、耐熱性及び強度等の観点から、次に好ましくは金属製、特に好ましくは壁体(2)と同じ金属製、鋼製、ステンレス製、純ニッケル製、純鉄製及び樹脂製、最も好ましくは鋼製、ステンレス製、純ニッケル製及び純鉄製である。
スペーサー(3)が粒状物の場合、粒状物の形状としては、球状、紡錘状、半球状、半紡錘状、立方体状、直方体状、円柱状、円錐状、三角柱状、三角錘状、六角柱状、六角錐状、薄片状及びこれらの形状を組合わせた形状が含まれる。これらのうち、球状及び紡錘状が好ましく、さらに好ましくは球状である。球状や紡錘状であると、応力分散性(壁体等に加えられた応力が一カ所に集中せず分散する特性)がさらに良好となると共に、熱交換流体の拡散性(熱交換空間の隅々まで拡散できる性質)がさらに良好となるため、さらに素早く均一な温度に熱交換できる。
スペーサー(3)が粒状物の場合、粒状物が互いに接触するように充填することが好ましい。このように密に充填すると、応力分散性がさらに良好となると共に、熱交換流体の拡散性(熱交換空間の隅々まで拡散できる性質)がさらに良好となるため、さらに素早く均一な温度に熱交換できる。
スペーサー(3)が粒状物の場合、粒状物の大きさとしては、熱交換空間(4)の大きさや熱交換流体の圧損失等を考慮して適宜決定され、1×10−5〜530cmが好ましく、さらに好ましくは1×10−4〜33cm、さらに次に好ましくは1×10−3〜33cm、特に好ましくは0.03〜33cm、特に次に好ましくは0.1〜14cm、最も好ましくは0.2〜4cmである。粒状物が球状の場合、球状粒状物の直径は、0.5〜50mm程度が好ましく、直径が1、1.5、4、6、15、20又は50mmの球状粒状物等が使用できる。この範囲であると、熱交換流体の供給がさらに容易になり(熱交換流体の圧損失が大きくなりすぎず)、熱交換の効率(冷却効率等)がさらに向上する。
スペーサー(3)が粒状物の場合、粒状物は、形状、材質及び/又は大きさが異なるものを組合わせて充填してもよいが、熱交換の効率(冷却効率等)等の観点から、同じ形状、同じ材質、同じ大きさのものを用いることが好ましい。
スペーサー(3)として、粒状物の集合体を適用する場合、粒状物の集合体は、熱交換空間(4)に充填されていればよいが、粒状物が流動しないように充填されることが好ましい。したがって、粒状物の集合体(球状粒状物が好ましい)をできるだけ密になるように(最密充填又はこれに近い状態に)充填することが好ましい(できるだけ数多くの粒状物を充填することが好ましい)。粒状物の集合体を充填した後、焼結(真空加圧焼結等)、接着剤(耐熱性及び熱伝導率の高いものが好ましい)による接着、ろう付け(液層拡散接合等)又は無電解金属メッキ(無電解ニッケルメッキ、無電解金メッキ等)により、粒状物同士を互いに接合することが好ましい。ただし、樹脂製の粒状物を用いる場合、粒状物同士は、接着剤による接着又は無電解メッキにより接合される。粒状物が密になるように充填すると、土台(1)と壁体(2)との補強部材として働きがさらに向上し、熱交換構造に、圧縮応力等が加えられても熱交換構造がさらに変形しにくくなることの他に、粒状物同士の接触により粒状物の集合体全体の温度分布がさらに均一になると共に、より早く熱が移動しりやすいため、より早く、より均一に熱交換できる。粒状物同士が焼結、ろう付け、接着又は無電解金属メッキにより互いに接合すると、これらの効果がさらに向上する。
粒状物同士を互いに接合する場合、焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解金属メッキにより接合した箇所に、フィレット(隅肉)部が形成されるので好ましい。フィレット(隅肉)部が形成されると、機械的強度が向上するだけでなく、さらに熱移動が良好となり、さらに早く、さらに均一に熱交換できる(熱交換の効率がさらに向上する。)。また、ろう付けする場合や無電解金属メッキする場合、粒状物及び熱交換空間(4)内の表面をろう材や金属でコーティングできるので、腐食等に対する耐性も向上する。ろう付けする場合、ろう材を用いる代わりに、粒状物を金属メッキ(たとえば、ニッケルメッキ;この場合、電解金属メッキ、無電解金属メッキのいずれでもよい。)してから熱処理することによっても、互いに接合でき、かつ、粒状物の表面をコーティングできる。なお、無電解メッキを施す場合、熱交換空間(4)やその他の容器の中に粒状物を充填してから、無電解メッキ液を循環することにより、達成できる(メッキ条件、前処理及び後処理等は公知の方法と同様である。)。
スペーサー(3)が金網、エキスパンドメタル、パンチングメタル、多孔質金属体、エンボスプレートの場合、スペーサー(3)として、上記の作用を奏すれば、形、大きさ、材質等に制限はなく、目開き、凹部、凸部等の大きさや形状は熱交換流体の流量等によって適宜決定できる。この場合、通常、材質は金属製であるが、樹脂製のものを無電解金属メッキして用いてもよい。
金網、エキスパンドメタル、パンチングメタル、多孔質金属体、エンボスプレートとしては、市場から入手できるものをそのまま使用でき、多孔質金属体としては、その内部に、熱交換流体が通過できる空隙を有するもの{連続気泡発泡体(多孔質アルミニウムや多孔質鋼等)等}が含まれる。
スペーサー(3)が、土台(1)及び/又は壁体(2)にシボ加工、転造、放電加工又はNC加工して形成する突起体である場合、スペーサー(3)として、上記の作用を奏すれば、形{円柱、楕円柱、多角柱(三角柱、四角柱、六角柱等)、円錐、楕円錐、多角錐等}、大きさ等に制限はなく、熱交換流体の流量等によって適宜決定できる。この場合、形成される突起体はできるだけ数多く、互いに接近するように点在させることが好ましい。また、突起体は、千鳥配列になるように設けることが好ましく、さらに好ましくは正三角形千鳥配列になるように設けることである。このような配列にすると、熱交換流体の拡散性(熱交換空間の隅々まで拡散できる性質)がさらに良好となる。
土台(1)及び/又は壁体(2)を引き抜き加工、押出加工、旋盤加工、鍛造、鋳造、ロストワックス、電鋳メッキ又はこれらの組合せにより製造し、その表面に突起体を設けることによりスペーサー(3)を形成する場合、スペーサー(3)として、上記の作用を奏すれば、形、大きさ等に制限はなく、熱交換流体の流量等によって適宜決定できる。この場合、形成される突起体はできるだけ数多く、互いに接近するように点在させることが好ましい。また、突起体は、千鳥配列になるように設けることが好ましく、さらに好ましくは正三角形千鳥配列になるように設けることである。このような配列にすると、熱交換流体の拡散性(熱交換空間の隅々まで拡散できる性質)がさらに良好となる。
スペーサー(3)のうち、製造コスト、熱交換の効率等の観点から、粒状物の集合体及びシボ加工等で形成される突起体が好ましく、さらに好ましくは粒状物の集合体、つぎに好ましくは球状又は紡錘状の粒状物の集合体、特に好ましくは球状の粒状物の集合体、最も好ましくは鋼製、純ニッケル製又は純鉄製の球状粒状物の集合体である。このような好ましいスペーサーであると、応力分散性がさらに良好となると共に、熱交換流体の拡散性(熱交換空間の隅々まで拡散できる性質)がさらに良好となるため、さらに素早く均一な温度に熱交換できる。スペーサー(3)は、粒状物や突起体等を複合して用いてもよい。
スペーサー(3)は、熱交換空間(4)に充填されていれば、熱交換空間(4)の全体に充填されていてもよく、その一部だけに充填されていてもよい(局在化されていてもよい)。これらのうち、熱交換構造の強度等の観点から、熱交換空間(4)の全体に充填されていることが好ましい。
スペーサー(3)を熱交換空間(4)の一部だけに充填する(局在化して充填する)場合、被熱交換体(熱交換されるもの)に近接するように充填すること{一般的に、供給口(5)から離れた範囲に充填すること}が好ましい。
土台(1)と壁体(2)との隙間は、スペーサー(3)を嵌めることができ、熱交換流体を流すことができれば大きさに制限はないが、同じ幅(同じ厚さ)の隙間であることが好ましい。この隙間を同じ幅(同じ厚さ)にすると、熱交換流体がさらに均一に流れやすくなり、壁体(2)を介してさらに均一に熱交換することができる{熱交換が不均一に行われると、被熱交換体(熱交換される対象)全体が均一に熱が伝達されず、残留応力が部分的に集中したり、模様が生じたりすることがある。)。
土台(1)と壁体(2)との隙間は、狭い程(薄い程)、熱交換流体を早く流すことができるため、さらに素早く均一な温度に熱交換できる。
土台(1)と壁体(2)との隙間にスペーサー(3)を嵌めることにより、土台(1)及び壁体(2)のそれぞれの表面には、スペーサー(3)が接触している部分(島)と、スペーサー(3)が接触していない部分(海)とが存在することとなる(連通する海の中に島が点在している海島構造)。そして、この海の中を熱交換流体が流れるが、流れは島にぶつかり、乱流となって、熱交換空間(4)全体に拡散することができる。これは土台(1)及び壁体(2)のそれぞれの表面付近の流れの状態であり、熱交換空間(4)全体では、スペーサー(3)の形状によってその程度は異なるが、2次元的に拡散するだけではなく、3次元的に拡散することとなる。すなわち、スペーサー(3)は、熱交換空間(4)に嵌められることにより、熱交換空間(4)自体が、高度に発達した迷路(短い流路)が形成されることとなる。
土台(1)と壁体(2)とは、スペーサー(3)を介して接合されていれば接合方法に制限はないが、焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解金属メッキにより接合されていることが好ましい。土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して接合すると、土台(1)、壁体(2)及びスペーサー(3)が一体化するため、熱交換構造の強度がさらに向上すると共に、熱伝導性がさらに良好となるため、さらに素早く均一な温度に熱交換できる。
土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して接合する場合、焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解メッキにより接合した箇所に、フィレット(隅肉)部が形成されるので好ましい。フィレット(隅肉)部が形成されると、機械的強度が向上するだけでなく、熱交換の効率がさらに向上する。
なお、スペーサー(3)が、土台(1)及び/又は壁体(2)にシボ加工、転造、放電加工又はNC加工して形成する突起体である場合、突起体が形成されていない土台(1)又は壁体(2)と、突起体とは簡単に分離できる程度に接合してもよい。このように、突起体が形成された部材と、他の部材とを分離できるように構成すると、熱交換空間(4)の清掃や点検等が容易に行うことができる。
壁体(2)は、熱交換効率の観点から薄い程好ましいが、強度の観点から、材料や使用条件等の制限を受ける。たとえば、本発明の熱交換構造を射出成形用金型に適用する場合、壁体(2)の厚さとしては0.5〜50mm程度が好ましく、さらに好ましくは0.3〜10mm程度、特に好ましくは1〜7mm、最も好ましくは1.5〜5mmである。
壁体(2)は、たとえば、射出成形装置、ブロー成形装置又はヒートプレス成形装置等の構成体{金型、ジャケット、ハウジング等}そのもの又はこの一部分等を形成でき、また、ヒーターロール、CPU、電気モーター、スピンドル、ジェットエンジン、ガスタービン、太陽光温水パネル又は床暖房用パネル等そのもの又はこれらの一部分を形成できるものである。
壁体は、プラスチック、セラミックス、金属又はこれらの組合わせ等の材料から構成されてもよいが、熱伝導性及び強度等の観点から、金属製が好ましく、さらに好ましくは鉄、鉄合金、アルミニウム及びアルミニウム合金である。
熱交換空間(4)には、熱交換空間(4)に熱交換流体を供給するための供給口(5)と、熱交換空間(4)から熱交換流体を排出するための排出口(6)とが設けられている。
熱交換流体は、供給口(5)から熱交換空間(4)に供給され、スペーサー(3)の空隙を通り、拡散しながら熱交換空間(4)内に行き渡り、壁体を介して、対象物と熱交換しながら、排出口(6)から排出される。
土台(1)に、開放端を少なくとも2個有する流路(7)を設けて、開放端の一個を供給口(5)又は排出口(6)とすることが好ましく、さらに好ましくはこの開放端を供給口(5)とすることである。流路(7)を設けると、最も熱交換したい部分に、いち早く熱交換流体を流入することができ、また、熱交換流体を最も早く排出したい部分から、熱交換流体を排出することができる。この流路(7)は複数個設けてもよい。なお、本発明において、「開放端」とは、金型の分野でいう開放端(流出口)を意味せず、流路に解放された末端を有するという意味で用いる(流出口としても、流入口としても使用できる。)。
熱交換流体としては、冷却・加熱液体(水、水溶液、シリコーン油、鉱物油及び熱媒等)、冷却・加熱ガス(空気、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、水蒸気及び炭酸ガス等)及びこれらの組合せ(均一溶解して用いる組合わせ、分散混合して用いる組合せ(たとえば、液体と気体とを混合したミスト)又はそれぞれ別々に供給して用いる組合せ)等が挙げられる。すなわち、熱交換流体は、冷却だけではなく、保温や加熱、急冷、徐冷等ができる。
従来、冷却・加熱ガス(気体)は冷却・加熱液体に比べて、粘性係数が低いため、流動抵抗が小さく、熱交換空間の内壁(壁体)付近で層流になりやすく、この層流部分等が熱交換の効率を低くする原因となっていたと考えられるが、本発明の熱交換構造では、スペーサー(3)の作用により、熱交換流体(冷却・加熱ガスであっても)を熱交換空間(4)の全域(内壁付近を含む)において乱流にでき、また、充填体と壁体とが直接熱伝導することができるため、熱交換の効率が著しく向上する。また、冷却・加熱ガスは冷却・加熱液体に比べて、粘性係数が低いため、流動抵抗が小さくなる他、冷却・加熱ガス(気体)は、冷却・加熱液体に比べて、腐食や汚れ等による詰まりの問題も著しく低減できる。
熱交換流体の温度と被熱交換体(熱交換される対象)との温度差が大きい場合(たとえば、500〜800℃)、熱交換構造(特に壁体等)がサーマルショック(熱間衝撃割)により破損しやすくなる。このサーマルショックによる破損を防止するため、冷却・加熱ガスを用いるか、温度差の小さな冷却・加熱液体又は冷却・加熱ガスを用いることが好ましい。
本発明の熱交換構造には、熱交換空間(4)内に又はこの空間に近接して、電気ヒーター(シーズヒーター、電磁誘導ヒーター、カーボンヒーター及びセラミックヒーター等)を埋設してもよい。
供給口(5)と排出口(6)とは、熱交換の効率(冷却効率等)等の観点から、できるだけ離れた位置に設けることが好ましい。
供給口(5)及び排出口(6)は、熱交換空間(4)1つに対して、それぞれ1つずつであってもよいし、いずれか一方又は両方が複数個あってもよい。熱交換の際に熱交換空間(4)が加圧されるような場合、供給口(5)の数よりも、排出口(6)の数を多くすることが好ましい。この場合、排出口(6)の位置は、熱交換流体が均一に排出できるように、供給口(5)に対してすべての排出口が同じ距離となるように設計することが好ましい。
供給口(5)及び排出口(6)の数、大きさ(口径)、開口形状は、用途や形状等に応じて適宜決定できる。
複数種類の熱交換流体をそれぞれ別々に供給する場合、熱交換流体はそれぞれ複数個の供給口(5)から供給されるが、1種類の熱交換流体がさらに複数の供給口(5)から供給されてもよい。また、この場合、熱交換流体はそれぞれ複数個の排出口(6)から排出してもよく、1種類の熱交換流体がさらに複数の排出口(6)から排出されてもよい。
以上の通り、本発明の熱交換構造を適用すると、従来は強度維持のため変肉(肉厚の厚い箇所と薄い箇所とが混在している)にする必要があった熱交換構造(金型等)であっても、壁体(2)を均一の厚さにでき、また、この壁体(2)を従来の熱交換構造に比べて薄くすることができるため、容易に均一かつ早い熱交換ができる。また、従来困難であった急速冷却や急速加熱等も容易にできる他、強度等の観点から、熱交換構造を設けることができなかった小さな部材(たとえば、金型の薄リブ部分等)にも本発明の熱交換構造が適用できる。
本発明の熱交換構造は、たとえば、射出成形装置の構成体{金型、融解物の流路、融解物を加熱融解するための加熱炉、融解物を押し出すための押出機(プランジャー等)及びその他の射出成形装置の構成体等}に充填される融解物(溶湯、加熱融解した熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等)を間接的に熱交換(加熱、冷却又は保温等の温度調節)できればよく、これらの構成体の内部空間や外部空間(ジャケット、ハウジング)等に適用でき、公知の構造等(たとえば、特許文献1、特開2009−72803号公報、特開2009−72798号公報、実用新案登録第3134212号公報、特開平5−169189号公報及び特開2001−105096号公報)に適用できる。これらの他に、ブロー成形装置、ヒートプレス装置、ヒーターロール、CPU、電気モーター、スピンドル、ジェットエンジン、ガスタービン、太陽光温水パネル又は床暖房用パネル等の内部空間又は外部空間(ジャケット、パネル等)等にも適用できる。
本発明の熱交換構造を射出成形装置等に適用する場合、融解物としては、射出成形した後、冷却固化又は加熱硬化(反応固化)により成形されるものであり、溶湯(アルミニウム、マグネシウム、亜鉛又はこれらの金属を含む合金を融解してなる溶湯(液体)等)、ガラス、セラミックス(分散液)、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイト又はポリサルホンを融解した液体等)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂又はウレタン樹脂を構成できるモノマー液体等)が含まれる。
本発明の射出成形品の製造方法の特徴は、上記の熱交換構造を持つ射出成形装置の金型に融解物(溶湯、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等)を射出する射出工程;
金型の熱交換空間(4)に熱交換流体を流入させて溶融物を温度調節する温度調節工程;
金型を開く型開き工程;
射出成形品を金型から取り出す離型工程;及び
金型を締めて金型を再構成する金型締め工程を含む点を要旨とする。
金型に融解物(溶湯、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等)を射出する射出工程は、上記の熱交換構造を持つ射出成形装置の金型を使用すること以外、公知の射出工程と同様に行うことができる。
温度調節工程において、一番最初の射出を行う場合、射出成形装置の金型を暖めるために、熱交換流体として、加熱液体(加熱高温水又は高温度の熱媒等)や加熱ガス(水蒸気又は加熱空気等)を熱交換空間(4)に流してもよいし、電気ヒーターで熱交換空間(4)を加熱してもよい(加熱工程)。
また、金型を開く型開き工程の前に行う温度調節工程(溶湯等を冷却する冷却工程)では、熱交換流体として、冷却液体(冷却水又は冷却した熱媒等)や冷却ガス(水蒸気又は冷却空気等)を用いてもよい(冷却工程)。
また、金型に一定温度の熱交換流体(冷却・加熱液体や冷却・加熱ガス)を熱交換空間(4)に流し続けて、融解体(溶湯等)を射出する前は金型を加熱・保温し(金型等の加熱・保温工程)、融解体(溶湯等)を射出した後は金型を冷却・保温する(融解体を冷却・保温する冷却・保温工程)というように、熱交換流体は、加熱、冷却又は保温の各工程で同じ温度であってもよく(温度調節する対象体との相対的温度差によって加熱、冷却、保温として作用する)、異なる温度であってもよい。
また、温度調節工程は、他の工程と同時に行われてもよいし、製造工程で複数回行われてもよい。
同様に、上記の熱交換構造は、射出成形装置の構成体{金型、融解物の流路、融解物を加熱融解するための加熱炉、融解物を押し出すための押出機(プランジャー等)及びその他の射出成形装置の構成体等}を温度調節することもできる。
金型を開く型開き工程、射出成形品を金型から取り出す離型工程及び金型を締めて金型を再構成する金型締め工程は、公知の工程と同様に行うことができる。
本発明の射出成形品の製造方法において、融解体(溶湯等)は特に制限がないが、射出成形した後、冷却固化又は加熱硬化(反応固化)により成形されるものであり、溶湯(アルミニウム、マグネシウム、亜鉛又はこれらの金属を含む合金を融解してなる溶湯(液体)等)、ガラス、セラミックス(分散液)、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイト又はポリサルホンを融解した液体等)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂又はウレタン樹脂を構成できるモノマー液体等)が含まれる。
本発明の熱交換構造は、強度及び冷却効率の両方に優れている。すなわち、本発明の熱交換構造は、強度が高く、キャビティー面やコア面と冷却水通路との距離が短く(薄肉)にできるため、優れた冷却効率を発揮する(素早く熱交換することができる。)。
したがって、従来は強度維持のため変肉(肉厚の厚い箇所と薄い箇所とが混在している)にする必要があった熱交換構造(金型等)であっても、壁体(2)を均一の厚さにでき、また、この壁体(2)を従来の熱交換構造に比べて薄くすることができるため、容易に均一かつ早い熱交換ができる。また、従来困難であった急速冷却や急速加熱等も容易にできる他、強度等の観点から、熱交換構造を設けることができなかった小さな部材(たとえば、金型の薄リブ部分等)にも本発明の熱交換構造が適用できる。
本発明の熱交換構造は、以上の効果を奏するため、射出成形装置、ブロー成形装置、ヒートプレス装置等の構成体(金型等)の熱交換構造以外に、ヒーターロール、CPU、電気モーター、スピンドル、ジェットエンジン、ガスタービン、太陽光温水パネル又は床暖房用パネル等の熱交換構造(熱交換構造体)としても適している。後者の場合、熱交換空間(4)としては、射出成形装置、ブロー成形装置、ヒートプレス装置等の構成体(金型等)と同様に、内部空間や外部空間(ジャケット、ハウジング)等が含まれる。
本発明の射出成形品の製造方法によると、熱交換構造の強度が高いため、キャビティー面やコア面と冷却水通路との距離が短く(薄肉)にできるため、優れた冷却効率を発揮する(素早く熱交換することができる。)。
したがって、従来は強度維持のため変肉(肉厚の厚い箇所と薄い箇所とが混在している)にする必要があった熱交換構造(金型等)であっても、壁体(2)を均一の厚さにでき、また、この壁体(2)を従来の熱交換構造に比べて薄くすることができるため、容易に均一かつ早い熱交換ができる。また、従来困難であった急速冷却や急速加熱等も容易にできる他、強度等の観点から、熱交換構造を設けることができなかった小さな部材(たとえば、金型の薄リブ部分等)にも本発明の熱交換構造が適用できる。
したがって、本発明の射出成形品の製造方法によると、射出成形品を効率よく製造できる(サイクルタイムの短縮、金型の交換・修理の回数減少等)。
本発明の熱交換構造の一態様{シボ加工によりスペーサーを設けた例}を概念的に表した端面図である。 図1のA及びB付近を拡大した部分拡大図である。 図1の熱交換構造を構成する壁体(2)を概念的に表した端面図である。 図1の熱交換構造を構成する土台(1)及びシボ加工面を概念的に表した部分端面図である。 図1の熱交換構造を構成できる土台(1){開放端を4個有する流路(7)を設けた例}を概念的に表した端面図である。 本発明の熱交換構造の一態様{粒状物の充填によりスペーサーを設けた例}を概念的に表した端面図である。 図6の先端部分を拡大した部分拡大図である。 本発明の熱交換構造の一態様{シボ加工によりスペーサーを設けた例}を概念的に表した端面図である。 図8の一部分を拡大した部分拡大図である。 図8の熱交換構造を構成する壁体(2)を概念的に表した端面図である。 図8の熱交換構造を構成する土台(1)及びシボ加工面を概念的に表した部分端面図である。 図8の熱交換構造を構成できる土台(1){開放端を4個有する流路(7)を設けた例}を概念的に表した端面図である。 本発明の熱交換構造の一態様{粒状物の充填によりスペーサーを設けた例}を概念的に表した端面図である。 図13の一部分を拡大した部分拡大図である。
以下、図面を用いて、本発明の熱交換構造について、さらに詳細に説明する。なお、特記しない限り、最初に説明した事項は、後の図面の説明においても共通して適用できる。
<図1>
図1は、本発明の熱交換構造の一態様{シボ加工によりスペーサーを設けた例}を概念的に表した端面図である。図1で表した熱交換構造は、本発明の熱交換構造を金属金型に応用した冷却ピンである。このようなキャビティ面やコア面を持つ従来の冷却ピン(特許文献1)では、冷却流路を狭くして、キャビティー面やコア面と冷却水通路との距離が長く(肉厚に)設定せざるを得なかった。したがって、従来の冷却ピンでは、素早く冷却することができなかった。しかし、本発明の熱交換構造を適用すれば、このようなキャビティ面やコア面も均一に素早く冷却することができる。
図1に示した熱交換構造は、たとえば、次のようにして調製できる。
金属製円柱を旋盤加工、放電加工又はMC加工等により切削して、土台(1)を密嵌できるように空洞を設け、さらに熱交換空間(4)を設けるためにさらに切削して、図2に示した壁体(2)を形成するための部材(2’)を調製する。
別途、金属製円柱をマシニングセンター又は放電加工等により切削して、壁体(2)に密嵌できるように土台形状に調製すると共に、開放端を2個有する流路(7)を設け、さらに、壁体(2)と密嵌する面をシボ加工してスペーサー(3)を形成して、スペーサー(3)を設けた土台(1)を調製する(図4)。
土台(1)には、開放端を2個有する流路(7)を設けているが(図1、4)、図5に示したように、開放端を4個有する流路(7)でもよい。さらに、4個を超える開放端を有する流路でもよい。流路(7)を設けると、最も熱交換したい部分に、いち早く熱交換流体を流入することができ、また、熱交換流体を最も早く排出したい部分から、熱交換流体を排出することができる。
図4において、「3★」部分は、シボ加工した面を表しており、この箇所だけ端面図とはなっていない。図1の熱交換構造においては、シボ加工により、多数の小さな円柱体を設けたものである(この形状や大きさは、用途等によって適宜変更できる。)。スペーサー(3)(突起体)は、シボ加工以外に、転造、フォトエッチング、放電加工、NC加工、引き抜き加工、押出加工、旋盤加工、鍛造、鋳造、ロストワックス、電鋳メッキ又はこれらの組合せにより形成してもよい。
壁体(2)(図2)を形成するための部材(2’)と、スペーサー(3)を設けた土台(1)とを密嵌し、土台(1)と部材(2’)とを、スペーサー(3)を介して、焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解金属メッキにより接合した後、マシニングセンター又は放電加工等により切削して、キャビティ面やコア面を設けて、本発明の熱交換構造を調製する。
なお、土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して、接着剤による接着、又は無電解金属メッキにより接合する場合、壁体(2)(図2)を形成するための部材(2’)をマシニングセンター又は放電加工等により切削して、キャビティ面やコア面を設けて、壁体(2)を調製してから、壁体(2)とスペーサー(3)を設けた土台(1)とを密嵌し、接着剤による接着又は無電解金属メッキにより壁体(2)と土台(1)とをスペーサー(3)を介して接合して、本発明の熱交換構造を調製してもよい。
土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して接合する場合、焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解金属メッキにより接合した箇所に、フィレット(隅肉)部が形成されるので好ましい。フィレット(隅肉)部が形成されると、機械的強度が向上するだけでなく、熱交換の効率がさらに向上する。
<図6>
図6は、本発明の熱交換構造の一態様{粒状物の充填によりスペーサーを設けた例}を概念的に表した端面図である。図6で表した熱交換構造は、図1で表した熱交換構造と同様のキャビティ面やコア面を持つ冷却ピンである。
図6に示した熱交換構造は、たとえば、次のようにして調製できる。
金属製円柱を旋盤加工、放電加工又はMC加工等により切削して、土台(1)を密嵌できるように空洞を設け、さらに熱交換空間(4)を設けるためにさらに切削して、図2に示した壁体(2)を形成するための部材(2’)を調製する。
別途、金属製円柱をマシニングセンター又は放電加工等により切削して、壁体(2)に密嵌できるように土台(1)を調製する。
土台(1)と壁体(2)(図2)を形成するための部材(2’)とをスペーサー(3){図6では球状粒状体}を介して密嵌させ、スペーサー(3){図6では球状粒状体}同士を、焼結(真空加圧焼結等)、接着剤(耐熱性及び熱伝導率の高いものが好ましい)による接着、ろう付け(液層拡散接合等)又は無電解金属メッキにより、粒状物同士を互いに接合すると共に、土台(1)と部材(2’)とをスペーサー(3)を介して接合した後、土台(1)に開放端を少なくとも2個有する流路(7)を細穴放電加工機等で形成し、マシニングセンター又は放電加工等により切削して、キャビティ面やコア面を設けて、本発明の熱交換構造を調製する。
なお、土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して、接着剤による接着、又は無電解金属メッキにより接合する場合、壁体(2)(図2)を形成するための部材(2’)をマシニングセンター又は放電加工等により切削して、キャビティ面やコア面を設けて、壁体(2)を調製してから、壁体(2)とスペーサー(3)を設けた土台(1)とを密嵌し、接着剤による接着又は無電解金属メッキにより壁体(2)と土台(1)とをスペーサー(3)を介して接合して、本発明の熱交換構造を調製してもよい。
粒状物は密に充填することが好ましい。粒状物を密に充填すると、土台(1)と壁体(2)との補強部材として働きがさらに向上し、熱交換構造に、圧縮応力等が加えられても熱交換構造がさらに変形しにくくなることの他に、粒状物同士の接触により粒状物の集合体全体の温度分布がさらに均一になると共に、より早く熱が移動しりやすいため、より早く、より均一に熱交換できる。粒状物同士が互いに接合すると、これらの効果がさらに向上する。また、土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して接合すると、熱交換構造の強度がさらに向上すると共に、熱伝導性がさらに良好となるため、さらに素早く均一な温度に熱交換できる。
スペーサー(3)同士を接合する場合や、土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して接合する場合、焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解金属メッキにより接合した箇所に、フィレット(隅肉)部が形成されるので好ましい。フィレット(隅肉)部が形成されると、機械的強度が向上するだけでなく、熱交換の効率がさらに向上する。
流路(7)を設けると、最も熱交換したい部分に、いち早く熱交換流体を流入することができ、また、熱交換流体を最も早く排出したい部分から、熱交換流体を排出することができる。
<図8>
図8は、本発明の熱交換構造の一態様{シボ加工によりスペーサーを設けた例}を概念的に表した端面図である。図8で表した熱交換構造は、本発明の熱交換構造を応用した金属金型である。基本的には図1で示した熱交換構造を複合したものである。
図8に示した熱交換構造は、たとえば、次のようにして調製できる。
金属製直方体を旋盤加工、放電加工又はMC加工等により切削して、土台(1)を密嵌できるように空洞を設け、さらに熱交換空間(4)を設けるためにさらに切削して、図10に示した壁体(2)を形成するための部材(2’)を調製する。
別途、金属製直方体をマシニングセンター又は放電加工等により切削して、壁体(2)に密嵌できるように土台形状に調製すると共に、開放端を2個有する流路(7)を設け、さらに、壁体(2)と密嵌する面をシボ加工してスペーサー(3)を形成して、スペーサー(3)を設けた土台(1)を調製する(図11)。
土台(1)には、開放端を2個有する流路(7)を7本設けているが(図8、11)、図12に示したように、開放端を4個有する流路(7)でもよく、開放端を2個有する流路(7)と開放端を4個有する流路(7)との混在でもよい。さらに、4個を超える開放端を有する流路でもよい。流路(7)を設けると、最も熱交換したい部分に、いち早く熱交換流体を流入することができ、また、熱交換流体を最も早く排出したい部分から、熱交換流体を排出することができる。また、開放端を3個以上有する流路(7)を設けると、高温度の被熱交換体に対して適用する場合、熱交換流体としてその高温度でガス化するような物質を用いても(たとえば、水)、熱交換空間(4)内の圧力が上昇しても熱交換流体を流入することができる。
図11において、「3★」部分は、シボ加工した面を表しており、この箇所だけ端面図とはなっていない。図8の熱交換構造においては、シボ加工により、多数の小さな円柱体を設けたものである(この形状や大きさは、用途等によって適宜変更できる。)。スペーサー(3)(突起体)は、シボ加工以外に、転造、フォトエッチング、放電加工、NC加工、引き抜き加工、押出加工、旋盤加工、鍛造、鋳造、ロストワックス、電鋳メッキ又はこれらの組合せにより形成してもよい。
壁体(2)(図10)を形成するための部材(2’)と、スペーサー(3)を設けた土台(1)とを密嵌し、土台(1)と部材(2’)とを、スペーサー(3)を介して、焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解金属メッキにより接合した後、マシニングセンター又は放電加工等により切削して、キャビティ面やコア面を設けて、本発明の熱交換構造を調製する。
なお、土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して、接着剤による接着、又は無電解金属メッキにより接合する場合、壁体(2)(図2)を形成するための部材(2’)をマシニングセンター又は放電加工等により切削して、キャビティ面やコア面を設けて、壁体(2)を調製してから、壁体(2)とスペーサー(3)を設けた土台(1)とを密嵌し、接着剤による接着又は無電解金属メッキにより壁体(2)と土台(1)とをスペーサー(3)を介して接合して、本発明の熱交換構造を調製してもよい。
土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して接合する場合、焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解金属メッキにより接合した箇所に、フィレット(隅肉)部が形成されるので好ましい。フィレット(隅肉)部が形成されると、機械的強度が向上するだけでなく、熱交換の効率がさらに向上する。
<図13>
図13は、本発明の熱交換構造の一態様{粒状物の充填によりスペーサーを設けた例}を概念的に表した端面図である。図13で表した熱交換構造は、図8で表した熱交換構造と同様のキャビティ面やコア面を持つ金属金型である。基本的には図6で示した熱交換構造を複合したものである。
図13に示した熱交換構造は、たとえば、次のようにして調製できる。
金属製直方体を旋盤加工、放電加工又はMC加工等により切削して、土台(1)を密嵌できるように空洞を設け、さらに熱交換空間(4)を設けるためにさらに切削して、図10に示した壁体(2)を形成するための部材(2’)を調製する。
別途、金属製直方体をマシニングセンター又は放電加工等により切削して、壁体(2)に密嵌できるように土台(1)を調製する。
土台(1)と壁体(2)を形成するための部材(2’)とをスペーサー(3){図13では球状粒状体}を介して密嵌させ、スペーサー(3){図13では球状粒状体}同士を、焼結(真空加圧焼結等)、接着剤(耐熱性及び熱伝導率の高いものが好ましい)による接着、ろう付け(液層拡散接合等)又は無電解金属メッキにより、粒状物同士を互いに接合すると共に、土台(1)と部材(2’)とをスペーサー(3)を介して接合した後、土台(1)に開放端を少なくとも2個有する流路(7)を細穴放電加工機等で形成し、マシニングセンター又は放電加工等により切削して、キャビティ面やコア面を設けて、本発明の熱交換構造を調製する。
なお、土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して、接着剤による接着、又は無電解金属メッキにより接合する場合、壁体(2)(図2)を形成するための部材(2’)をマシニングセンター又は放電加工等により切削して、キャビティ面やコア面を設けて、壁体(2)を調製してから、壁体(2)とスペーサー(3)を設けた土台(1)とを密嵌し、接着剤による接着又は無電解金属メッキにより壁体(2)と土台(1)とをスペーサー(3)を介して接合して、本発明の熱交換構造を調製してもよい。
粒状物は密に充填することが好ましい。粒状物を密に充填すると、土台(1)と壁体(2)との補強部材として働きがさらに向上し、熱交換構造に、圧縮応力等が加えられても熱交換構造がさらに変形しにくくなることの他に、粒状物同士の接触により粒状物の集合体全体の温度分布がさらに均一になると共に、より早く熱が移動しりやすいため、より早く、より均一に熱交換できる。粒状物同士が互いに接合すると、これらの効果がさらに向上する。また、土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して接合すると、熱交換構造の強度がさらに向上すると共に、熱伝導性がさらに良好となるため、さらに素早く均一な温度に熱交換できる。
スペーサー(3)同士を接合する場合や、土台(1)と壁体(2)とがスペーサー(3)を介して接合する場合、焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解金属メッキにより接合した箇所に、フィレット(隅肉)部が形成されるので好ましい。フィレット(隅肉)部が形成されると、機械的強度が向上するだけでなく、熱交換の効率がさらに向上する。
流路(7)を設けると、最も熱交換したい部分に、いち早く熱交換流体を流入することができ、また、熱交換流体を最も早く排出したい部分から、熱交換流体を排出することができる。
1 土台
2 壁体
3 スペーサー
4 熱交換空間
5 供給口
6 排出口
7 流路

Claims (11)

  1. 土台(1)に、壁体(2)を被嵌すると共に、
    土台(1)と壁体(2)との隙間にスペーサー(3)を嵌めてなる熱交換空間(4)を設け、スペーサー(3)が、粒状物の集合体、金網、エキスパンドメタル、パンチングメタル、多孔質金属体、エンボスプレート若しくはこれらの組合わせであるか、又は
    土台(1)及び/又は壁体(2)にシボ加工、転造、放電加工又はNC加工して千鳥配列となるように形成される突起体をスペーサー(3)として、土台(1)と壁体(2)との隙間に熱交換空間(4)を設け、
    熱交換空間(4)に、熱交換流体を供給するための供給口(5)と、熱交換空間(4)から熱交換流体を排出するための排出口(6)とを設け、
    土台(1)と壁体(2)とが、スペーサー(3)を介して接合してなり、
    熱交換空間(4)に熱交換流体を流入させることにより壁体(2)を介して被熱交換体と熱交換できるものであり、
    壁体(2)に、マシニングセンター又は放電加工により切削してキャビティー面又はコア面を設けたことを特徴とする熱交換構造。
  2. さらに、土台(1)に、開放端を少なくとも2個有する流路(7)を設けて、開放端一個を供給口(5)又は排出口(6)とし、他の開放端を熱交換空間(4)に開放する請求項1に記載の熱交換構造。
  3. 粒状物が、球状又は紡錘状である請求項1又は2に記載の熱交換構造。
  4. 粒状物が、鋼製、純ニッケル製又は純鉄製である請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換構造。
  5. 焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解金属メッキにより、粒状物同士が互いに接合してなる請求項1〜4のいずれかに記載の熱交換構造。
  6. 土台(1)と壁体(2)とのスペーサー(3)を介しての接合が、焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解金属メッキによる接合である請求項1〜のいずれかに記載の熱交換構造。
  7. 焼結、接着剤による接着、ろう付又は無電解金属メッキにより接合した箇所に、フィレット(隅肉)部を有する請求項5又は6に記載の熱交換構造。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載された熱交換構造を持つ射出成形装置の金型に融解物を射出する射出工程;
    熱交換空間(4)に熱交換流体を流入させて融解物を温度調節する温度調節工程;
    金型を開く型開き工程;
    射出成形品を金型から取り出す離型工程;及び
    金型を締めて金型を再構成する金型締め工程を含むことを特徴とする射出成形品の製造方法。
  9. 融解物が、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛又はこれらの金属を含む合金を融解してなる溶湯である請求項に記載の製造方法。
  10. 融解物が、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である請求項に記載の製造方法。
  11. 融解物が、ガラス又はセラミックス分散液である請求項8に記載の製造方法。
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