JP7161169B2 - ヒートパイプ機能付成形金型 - Google Patents
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Description
なお、ここでは、冷却を前提に説明するが、金型の要部加熱についても基本的に同一であるから、ここでは、冷却のみを前提に説明する。
図1乃至図3は射出成形の対象が針状の山で掲載されている針状突起部3a,3b,3c,3dである場合の成形の仕方を説明するものである。
一般に、図1乃至図3に示すような射出成形体3の対象が針状突起部3a,3b,3c,3dである場合、金型1及び図2に示す入子2との間に射出成形体3が形成されるように配置し、入子2の内部には上部で折り返す冷媒路6を形成し、入子2を内部から冷やすように形成されている。冷媒の通路として形成された冷媒路6は入子2の中心にドリル穴4aを穿設し、ドリル穴4aには1/2断面となる位置に遮蔽板5が配設されている。冷媒路6を通過する冷媒が、右方向から入ると、遮蔽板5で進路を変更されて、直角に上昇し、遮蔽板5の上端でUターンし、下降して左方に流れる。
針状突起部3a,3b,3c,3dが長い場合には、図2に示すように、射出成形体3の全体を入子2の全長よりも若干短くし、射出成形体3の全体を冷媒路6で冷却している。即ち、入子2の上部で折り返す冷媒路6を形成し、入子2を太い冷媒路6a、細い冷媒路6bで冷やすようにしている。しかし、冷媒路6bは先端に行くほど細くなること、先端では冷媒の流速が乱れ、酸化物等により流路詰まりが発生する確率が高くなる。
また、冷媒路6を複数個直列に接続し、供給圧力を上げ、詰まり難さの条件を設定する方法を選択する当業者もいる。しかし、この直列接続された1個が流路詰まりを起こすと、必要な流量を確保できなくなるという問題点がある。
また、逆に、並列に接続する方法を採用すると、各冷媒路6の流体抵抗により、圧力バランスの調整が難しくなる。また、射出成形を繰り返した後、熱のこもりが生じた後、流路詰まりが発見できるものであるから、針状突起部3a,3b,3c,3dの成形ロスに無駄が生じざるを得ない。
図3に示す金型のa点の温度は低いが、金型のb点の温度はa点の温度よりも低くならない。金型のb点の温度はa点の温度よりも低くならないばかりか、樹脂製品で断熱され、そこに熱がこもり、冷却できない箇所が生じることになる。
このとき、細管を流れる冷媒の流動抵抗が細管より高くなる。したがって、流動抵抗の高さにより、細管を流れる冷媒の量が低減され、流れる冷媒の量が低減するから、冷却能力を上げることができない。
即ち、図1の欠点を解消するために金型1,1aの先端部まで冷媒を通すとすると、その細管の内径は細くなり、毛細管に近似したものとなるから、その細管を直列に繋げば流動抵抗が大きくて、流量を稼ぐことができない。更に、細管は詰まる可能性が高く実用化できない。
したがって、図4に示す直列接続した細管を配設するにしても、射出成形体3の径を小さくするには限度があることを示している。
加えて、細管が複数本配設され、それらの長さが均一であっても、その配設位置によってベルヌーイの定理により、流体圧、流量が異なり、金型1,1aの温度を均一に冷却するには、その流量制御理論が確立されておらず不明である。
特許文献1の技術は、図7に示すように、金型1Aと金型1Bのキャビティ面1Cの背後に設けられたノズル室1Dと、ノズル室1Dに連通し外部に接続された外部接続通路1Eと、ノズル室1Dに配設され炭酸ガスをノズル室1Dのキャビティ面1C側へ向けて噴射するノズル1Fと、炭酸ガス供給手段からノズル1Fへ炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給通路1Gとを有し、一つの射出成形体を成形する射出成形の1ショットにおいて、溶融樹脂がキャビティ1Hへ注入され始めた後に、炭酸ガスを所定時間、噴射するものである。
この技術は、ターゲットとなるキャビティ面1C側の冷却方法で、蓄熱が生じ易いノズル室1Dに連通し、外部に接続された炭酸ガス供給通路1Gに高熱伝導部材としてのヒートパイプ1Jを挿入してあり、そのターゲットのキャビティ面1C側とは反対側に向けて炭酸ガスを噴射するノズル1Fを設置している。
このようにして特許文献2には、進退自在な可動側入子13の温度調整を適切に行うことができる構成を持った金型11となる。
また、特許文献2は、ヒートパイプ17の一端が可動側入子13に埋設され、他端が冷媒路14,15,16等からなる温度調整手段に取付けられて固定側入子12の温度調整に供すると共に、可動側入子13と温度調整手段とを連動して進退自在なヒートパイプ17としている。しかし、特許文献2の技術は、ヒートパイプ17を挿入して目的の箇所の温度を調整する手段に使用されているものの、温度調節は固定側入子12に留まらず、金型11に伝わって分散されてしまう。したがって、この技術も実用化には解決しなければならない問題であった。
このように、特許文献1及び特許文献2は、ヒートパイプ1J,17を使用しており、熱エネルギの伝搬はそのヒートパイプ1J,17の能力に委ねられている。特許文献1及び特許文献2の何れにせよ、急峻な立ち上がりを得るには、金型をコンパクトにする必要があった。
その意味で、図6のヒートパイプ7a,7b,7c,7dは、冷媒路6との接触が部分接触となり、熱伝導される部分が一部となる。結果、何処かに熱のこもる成形金型となり、実用的には使用できなくなる。
なお、ヒートパイプ機能構成体は、一端が前記冷媒路と熱的に結合し、他端が前記金型と熱的に結合する密閉空間、前記密閉空間内を作動液が気化と液化を繰り返す前記金型から前記冷媒路に対する熱移動を自在とした構成である。
上記立体金属出力3Dプリンターとは、球形の金属粉体を用いて立体金属粉体を積層、溶融して産業製品向けの造形物を得る金属出力3Dプリンターである。
また、上記冷媒路は、前記合成樹脂からなる前記射出成形体または前記押出成形体を冷却する公知の冷却水等からなる冷媒通路である。
ここで、上記金型に設けた前記密閉空間長孔は、その周囲を毛細管現象により封入された前記作動液を連続的に低温側から高温側に移動させるウィックとしたものである。
金属出力3Dプリンターで形成した前記金型に形成した密閉空間長孔は、ウィックを形成する空間であるから、熱エネルギの熱が移動する伝熱抵抗の小さい通路を確保できればよい。
また、ヒートパイプ機能付成形金型の前記作動液を連続的に低温側から高温側に移動させるウィックは、前記金属パイプの壁面に微細多孔構造金属(ポーラス)に形成したものである。
ここで、上記密閉空間長孔の壁面に形成した微細多孔構造金属であり、毛細管現象が生じるものであればよい。
ここで、前記金型に設けた密閉空間長孔内の壁面側の全内面に位置する連通した微細多孔構造金属から熱エネルギのロスを少なくして前記金型に形成した密閉空間長孔内の壁面側の全内面に位置する連通した微細多孔構造金属を介して1条以上のスパイラル細管または複数本のパラレル細管に熱伝導されるから、熱エネルギ損失の少ない構成が可能となる。
したがって、前記ヒートパイプ機能構成体は、前記冷媒路から分岐して設けられたものであるから、共通の作動液(水を含む)を用いることにより、金型全体の温度を均一化できる。また、金型部位によって冷却能力を任意に設定できる。
図9は従来のヒートパイプの原理を説明する構造のメッシュウィックの一部断面説明図で、図10は従来のヒートパイプ原理を説明する構造のリップルウィックの一部断面説明図である。また、図11は従来のヒートパイプ原理を説明する断面図である。なお、本実施の形態では、金属パイプ21を構成要件に有するものとして説明する。
このように、高温部側25と低温部側22に温度差を与えると、ヒートパイプ20内で作動液24が金属パイプ21内を循環し、高温部から低温部への熱移動が生ずる。
ここで、図9のメッシュウィックAと図10のリップルウィックBは、毛細管現象が生じやすい構造である。本発明を実施する場合には、毛細管現象によって液体が上昇し、その後、上昇しながら蒸発できるものが望ましい。
従来の1本のヒートパイプ20の下端は、使用用途からすれば、ヒートアウト(放熱部)であり、上端はヒートイン(蒸発部)で、熱エネルギは熱入力26側から入り、熱出力27から冷却水を経て排出される。
また、本発明の実施の形態のヒートパイプ機能付成形金型のヒートパイプ機能構成体は、一端が冷媒路53と熱的に結合し、他端が上金型40と熱的に結合する密閉空間が、金属出力3Dプリンターで金属粉を多層化、一体化してヒートパイプ20状の空間として形成したものである。ここでは、ヒートパイプ20とは全く異なるが、表現し難いので仮想ヒートパイプ20Aとして説明する。
そして、密閉空間内、仮想ヒートパイプ20A内の作動液24が気化と液化を繰り返し、上金型40を冷媒路53で冷却する熱移動が自在となる。
上金型40に形成した密閉空間長孔41の壁面には、図12に示す微細多孔構造金属(ポーラス)Cを構成しており、毛細管現象が生じるものである。微細多孔構造金属Cは発泡金属または細かい穿孔によって毛細管現象を生じさせるように形成した材料であり、上金型40との熱伝導が良好なように金属で形成されている。
なお、図9に示す金属パイプ21、即ち、仮想ヒートパイプ20Aの内周のメッシュウィックA、図10に示すリップルウィックBでも基本的にウィックの性質として相違するものではない。
また、微細多孔構造金属Cの開口側にOリング39を配置し、微細多孔構造金属Cの開口側にOリング39を配置し、そのOリング39と連続する銅合金によって、密閉空間長孔41を減圧にし、所定量の作動液24を収容する容積溜まりを形成してもよい。
上金型40に形成した密閉空間長孔41は、その壁面に形成した微細多孔構造金属(ポーラス)C1及び3条の螺合させたスパイラル細管D1、D2、D3及びスパイラル細管D1、D2、D3の中心に配設した中心管路Eから構成されている。ここで、微細多孔構造金属C1はスパイラル細管D1、D2、D3に対する熱伝導を良くしている。3条の螺合させたスパイラル細管D1、D2、D3は、その中心上端には、作動液24が熱入力26を受けて蒸発する蒸気溜まりFが配設されている。したがって、3条の螺合させたスパイラル細管D1、D2、D3内の作動液24は、ウィック等の毛細管現象で還流となって上昇する。その温度の影響を受けて中心管路Eは、熱入力26を受けて蒸発するスパイラル細管D1、D2、D3の頭部の蒸気溜まりFから、中心管路Eを下降しながら作動液24の蒸気が液体化する。
なお、本実施の形態では、密閉空間長孔41の内壁23に微細多孔構造金属C1とスパイラル細管D1、D2、D3と中心管路Eを具備しているが、微細多孔構造金属C1、スパイラル細管D1、D2、D3、中心管路Eの1以上を割愛することができる。
上金型40に形成した密閉空間長孔41は、その密閉空間長孔41の壁面の周囲に配設したパラレル細管G1,G2,・・・,Gnが密閉空間長孔41の周りに均一に配置されている。パラレル細管G1,G2,・・・,Gnの上端には、作動液24が熱入力26を受けて蒸発する蒸気を集める蒸気溜まりJが配設されている。その蒸気溜まりJの中心から下方には、熱エネルギは熱入力26から入り、熱出力27から排出される通路が形成されている。密閉空間長孔41の壁面の周囲に配設された大径管路Hの下端部は、作動液24の液面より上に密閉空間長孔41の下端が設けられている。大径管路Hも下端が作動液24の液面より上に密閉空間長孔41の下端が設けられている。
上金型40に形成した密閉空間長孔41は、その密閉空間長孔41の壁面の周囲に配設したパラレル細管G1,G2,・・・,Gnが密閉空間長孔41の周りに均一に配置されている。パラレル細管G1,G2,・・・,Gnの中心上端には、作動液24が熱入力26を受けて蒸発する蒸気を集める蒸気溜まりJが配設されている。その中心から下方には、熱エネルギは熱入力26から入り、熱出力27から排出される大径管路Hが形成されている。密閉空間長孔41の壁面の周囲に配設したパラレル細管Gの下端部は、作動液24の液面より上に密閉空間長孔41の下端が設けられている。大径管路Hも下端が作動液24の液面より上に密閉空間長孔41の下端が設けられている。
なお、ここでは、微細多孔構造金属C、スパイラル細管D、中心管路E、蒸気溜まりF、パラレル細管G、大径管路H、蒸気溜まりJ等を組み合わせたものであるが、本発明を実施する場合には、これを任意に組み合わせればよい。
本実施の形態では、微細多孔構造金属Cの開口側に銅または銅合金製の金属製のOリング39を配置し、それを密閉空間長孔41の端部に螺合出るように形成した雌螺子42を螺合させて封止させている。特に、密封が必要であるから、押圧力が加わるように設けている。
また、微細多孔構造金属Cの開口側にOリング39を配置し、微細多孔構造金属Cの開口側にOリング39を配置し、そのOリング39と連続する銅合金によって、密閉空間長孔41を減圧にし、所定量の作動液24を収容する容積溜まりを形成してもよい。
例えば、図16及び図17に示すように、上金型40及び下金型50からなる金型60が構成されている。このとき、密閉空間長孔41には冷却媒体を循環させる冷媒路42a及び冷媒路42b、図示しない他の冷媒路が配設されていて、上金型40のキャビティ全体を所定温度に冷却している。射出成形体70としては、所定幅の円弧状のベース71、その外方向側に4本の針状突起部72,73,74,75を設けたものである。下金型50には上金型40と同様、冷媒路52、図示しない冷媒路が配設されていて、下金型50の全体を冷却している。設計的に上金型40と下金型50からなる金型60は、全体が均一に冷却されるようになっている。
なお、冷媒路42a及び冷媒路42bを通る「冷却媒体(冷媒=冷却水)」は、冷却水が殆どであり、金型60を冷却するのに使用される。これに対して、後述するヒートパイプ90が内蔵するのは、作動液であり、代替フロン、水等が使用される。
結果、上金型40のキャビティの中央に設けた2本の針状突起部73,74の先端には、溶融樹脂が回りきらない事態も生じ得る。
通常、ベース71は熱損失が少なくなるように、射出成形機の注口を決定しているが、本発明ではそれらを考慮しないで設定できる。以下、これを仔細に説明する。
更に、下金型50には、冷媒路52が配設されており、冷媒路52の相互間には冷媒を収容可能な冷媒空間53としており、冷媒空間53の内面に一致、或いはその前後の距離に設定されている。冷媒空間53は冷媒路52a,52bの相互間に配設され、当該冷媒の流れにある。
本実施の形態では、冷媒空間53を特定サイズのボックスで形成し、冷媒路52a,52bの両端部は、冷媒路52に形成された冷媒を収容可能としている。
但し、射出成形体70を射出するとき、高温高圧の樹脂を供給するので、下金型50の膨張が無視できないので、それを補償できる構造とする必要がある。
また、複数枚のフィンからなるヒートシンク30には、ヒートアウト(放熱部)とヒートイン(受熱部)の温度を排出等により攪拌できるようにしている。
ヒートシンク30は、本実施の形態においては4枚のフィンから構成されており、しかも、金属出力3Dプリンターで金属を多層化して形成しているが、本発明を実施する場合には、それに限定されるものではない。
例えば、本実施の形態における射出成形体70の円弧状の薄いベース71は、型開きするまでに形状が崩れない程度に硬化している必要がある。また、射出成形機の注口が針状突起部72,75側にあると、針状突起部73と針状突起部74に充填する溶融樹脂が通過する場合には、部分的に熱エネルギが大きくなることがある。
このような場合には、下金型50で形成される円弧状の薄いベース71側に、射出成形する際の射出圧によって変形しない程度の厚み以内に、機械的に必要な程度の厚みを残して冷媒空間53を形成する。また、冷媒空間63には冷媒路52に冷却水が流れ、冷媒路52の一部としているように冷媒路52等の冷却路を形成する。また、その冷媒空間53には、両端に嵌め合いができる寸法精度で形成され、その冷却水が漏れることなくボルト等で締められている。
複数枚のフィンは、所定の上下間隔で配設された薄手の銅板等からなり、ヒートパイプ20の機能部と密着しており、所定の位置に固着されている。複数枚のフィンの質量が小さいため、ヒートパイプ20の機能のみを固定しても、摺動することはない。しかし、フィン相互間に移動が生じないように、スペーサとして所定の厚みのリングを配設してもよい。
例えば、上記実施の形態の図16及び図17に示すように、上金型40及び下金型50からなる金型60が構成されている。射出成形体70としては、所定幅の円弧状のベース71、その外方向側に4本の針状突起部72,73,74,75を設けたものである。下金型50には上金型40と同様、冷媒路52a及び冷媒路52b及び図示しない冷媒路が配設されていて、下金型50の全体を冷却している。設計的に上金型40と下金型50からなる金型60は、全体が均一に冷却されるようになっている。
本実施の形態では、冷媒空間53を特定サイズのボックスとして金属出力3Dプリンターで形成しており、冷媒路52a,52bの端部は、形成された冷媒を収容可能な冷媒空間53とし、冷媒空間53と冷媒路52a,52bとは冷媒が漏れないように緻密に形成されている。
冷媒路52a,52bから冷媒空間53に供給された冷媒は、冷媒路52a,52bの反対側から排出される。実施例では4枚のフィンからなるヒートシンク30を形成している。また、ヒートシンク30は、本実施の形態においては4枚のフィンから構成されており、しかも、金属出力3Dプリンターで金属を多層化して形成しているが、本発明を実施する場合には、それに限定されるものではない。
図示する複数本の仮想ヒートパイプ20Aの下端はヒートアウト(放熱部)、上端はヒートイン(蒸発部)であり、ヒートアウトで冷却して冷媒路52から排熱される。詳しくは、仮想ヒートパイプ20Aの上端は射出成形体70があり、射出成形体70を冷却する場合には、射出成形体70側がヒートイン側の受熱部を構成している。ここでは、射出成形体70の熱を作動液の蒸発に使用し、このときの作動液の蒸気は、上金型40に形成した密閉空間長孔41内を移動する。このとき、上金型40に形成した密閉空間長孔41の壁面、ウィックに接触し、そこで蒸気が液体に変化し、作動液に戻る。上金型40に形成した密閉空間長孔41の壁面、ウィックに接触して凝縮した作動液24はヒートアウト(放熱部)で放熱し、凝縮した作動液はウィック等の毛細管現象で還流となって上昇する。このように、射出成形体70の温度は、複数本の仮想ヒートパイプ20Aによって冷却化される。
例えば、本実施の形態における射出成形体70の円弧状の薄いベース71は、型開きするまでに形状が崩れない程度に硬化している必要がある。また、射出成形機の注口が針状突起部72,75側にあると、針状突起部73と針状突起部74に充填する溶融樹脂が通過する場合には、部分的に熱エネルギが大きくなることがある。このような場合には、下金型50の円弧状の薄いベース71側に位置し、射出成形する際の射出圧によって変形しない程度の厚み以内に、機械的に必要な程度の厚みを残して冷媒空間65を形成する。また、冷媒空間53には、冷媒路52に冷却水が流れ、冷媒路52aと冷媒路52bの一部としているように冷媒路52a,52b等の冷却路を形成する。
また、金型60に密閉空間長孔41の内壁23の面を形成するものであるから、熱伝導が良好であり、熱エネルギの損失が少なくなる。また、仮想ヒートパイプ20Aの機能で冷却されるから、通常の熱伝導による放射よりも放熱効率を良くすることができる。
前記仮想ヒートパイプ20Aは、前記金型60に形成した密閉空間長孔41内の壁面側に位置し、毛細管現象により封入された作動液24を連続的に低温側から高温側に移動させるウィック、及び作動液24が沸騰し、その蒸気が高温側(ヒートイン)から低温側(ヒートアウト)へと移動し、前記蒸気が凝縮することによって、凝縮熱が凝縮部で放出される構造としたのである。
そして、金型60に設けた密閉空間長孔41としては、上金型40及び/または下金型50またはキャビティまたはコアを含むものであり、また、配置関係に拘束を受けるものではない。
更に、冷媒路42a,42b,52a,52bは、上金型40及び/または下金型50またはキャビティまたはコアを含むも金型60に熱的に結合しており、金型60に対する熱移動を自在としたものを含むものである。
この作動液24を連続的に低温側から高温側に移動させるウィックは、金型60に形成した密閉空間長孔41内の壁面側の全内面に位置する連通した微細多孔構造金属Cとするか、前記密閉空間長孔41内の壁面側に位置する1条以上のスパイラル細管とその中心管路を端部でまとめてなる中心管路Eとするか、前記密閉空間長孔41内の壁面側に位置する複数本のパラレル細管及び端部でまとめた中心管路Eとするかの何れか1つからなるものである。
また、金型60は、合成樹脂を成形する射出成形体または押出成形体を金属粉体で積層造形されてなるが、本発明を実施する場合には、部分的に構成部品を組み付けてもよい。
そして、金型60の密閉空間長孔41は、雄螺子28及びボルト頭28aとの比率は、任意に設定することができる。また、金型60に設けた密閉空間長孔41は、1段のヒートパイプ20の機能を持たせた事例で説明したが、本発明を実施する場合には、冷媒路42a,42b,52a,52bから直列に2段の仮想ヒートパイプ20Aの機能を持たせることができる。
図18(a)に示すように、往復ロッド101は、ロボットハンド100の操作杆で、ロボット本体104の図面の左右方向に移動させるものである。往復ロッド101の往復動作は、往復ロッド101の先端に軸支されている一対の補助杆103a,103bに接続されている。一対の補助杆103a,103bの他端は、回動自在に軸支されたハンド対102a,102bに接続されている。したがって、往復ロッド101の往復動作は、一対の補助杆103a,103bの回動角度を変化させ、ハンド対102a,102bを開閉し、その把持力で所望の物品を持ったり、放したりする。
そこで、図18(b)に示すように、合成樹脂製(合成ゴムでも可)の射出成形体である外被カバー200を被せて使用することが望ましい。この場合、外被カバー200の厚みが場所によって変化するので、従来の技術では対応できなかった。しかし、本発明の実施の形態のように、仮想ヒートパイプ20Aを使用すると、製造が簡単化でき、しかも、対応が簡単化できる。
図示のように、金型60に並列に冷媒路201a,201b、冷媒路202a,202b及び冷媒路203を形成する。冷媒路201a,201b及び冷媒路203は、従来技術と相違するものではない。冷媒路202a,202bには、冷媒路202a,202bよりも細い径で仮想ヒートパイプ20a,20bを形成したものである。
図19(a)では、仮想ヒートパイプ20a,20bを各々1本配設した事例を描いているが、本発明を実施する場合には、更に、仮想ヒートパイプ20aまたはヒートパイプ20bを2本以上の多数を配設することもできる。特に、仮想ヒートパイプ20a及び仮想ヒートパイプ20bは、金型60に並列に冷媒路201a,201b、冷媒路202a,202b、冷媒路203に配設し、かつ、それらよりも小径であるので、仮想ヒートパイプ20aまたは仮想ヒートパイプ20bの本数を多くし、その密度を上げることにより、図19(b)のように、温度制御条件を多岐に設定できる。
そして、作動液24として水を使用する場合には、冷媒路201a,201b、冷媒路202a,202b、冷媒路203の端部を共通させ、共通する作動液24を水とすることができる。水としない場合でも、共通する作動液24を用いることができる。
上記実施の形態の成形金型の仮想ヒートパイプ20A,20a,20bは、冷媒路203、冷媒路201a,201b、冷媒路202a,202b側には、前記射出成形体または押出成形体を冷却するヒートシンク30を配設したものであるから、熱効率を上げることができる。
また、一端が冷媒路53,42a,42b,52a,52b、と熱的に結合し、他端が金型60(40,50)と熱的に結合する密閉空間長孔41、密閉空間長孔41内を作動液24が気化と液化を繰り返す金型60(40,50)から冷媒路53,42a,42b,52a,52bに対する熱移動を自在としたヒートパイプ機能構成体は、設計的理由により、上金型40として下金型50及び/または金型60となる。
更に、冷媒路53,42a,42b,52a,52bについても、仮想ヒートパイプ20A,20a,20bの一端が配置される場所を特定するものであるから、仮想ヒートパイプ20A,20a,20bの一端によって決定される。
B リップルウィック
C 微細多孔構造金属、
D スパイラル細管
E 中心管路
F,J 蒸気溜まり
G パラレル細管
H 中心管路
20A 仮想ヒートパイプ
30 ヒートシンク
40 上金型
41 密閉空間長孔
42a,42b 冷媒路
50 下金型
52a,52b 冷媒路
201a,201b 冷媒路
202a,202b 冷媒路
203 冷媒路
53 冷媒空間
60 金型
70 射出成形体
71 ベース
72,73,74,75 針状突起部
Claims (1)
- 金属粉体で積層造形されてなり、合成樹脂の射出成形体または押出成形体を形成する 金型と、
前記射出成形体または前記押出成形体を冷却する前記金型に形成された冷媒路と、
前記金属粉体で積層造形されてなる前記金型に形成され、一端側を前記金型内に形成した長孔とし他端側を前記冷媒路に配設して作動液を封入し、前記他端側 が前記冷媒路と熱的に結合し、前記一端側が前記金型と熱的に結合して前記封入された前記作動液が気化と液化を繰り返す前記金型から前記冷媒路に対する熱移動を自在とし、前記冷媒路から熱的に分岐して前記金型を冷却するヒートパイプ機能構成体とを具備し、
前記ヒートパイプ機能構成体は、前記金型に形成した前記長孔内の壁面側に位置し、毛細管現象により前記封入された前記作動液を連続的に低温側から高温側に移動させるウィックを備え、前記作動液が沸騰し、その蒸気が高温側(ヒートイン)から低温側(ヒートアウト)へと移動し、前記蒸気が凝縮することによって、凝縮熱が凝縮部で放出される構造とし、
前記作動液を連続的に低温側から高温側に移動させるウィックは、前記金型に形成した前記長孔内の壁面側の全内面に位置する連通した微細多孔構造金属(ポーラス)とするか、前記長孔内の壁面側に位置する1条以上のスパイラル細管とその中心管路を端部でまとめてなる中心管路とするか、前記長孔内の壁面側に位置する複数本のパラレル細管及び端部でまとめた中心管路とするかの何れか1つからなることを特徴とするヒートパイプ機能付成形金型。
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