図1に、一例として、コントローラ10及びプリントヘッドアセンブリ20から構成されたドロップオンデマンド印刷装置を示す。プリントヘッドアセンブリ20は複数のドロップ放出式ドロップ発生器を備える構成であり、コントローラ10は、これら複数のドロップ発生器の中から駆動対象として選択されたドロップ発生器に対し駆動信号を供給することにより、当該ドロップ発生器を駆動する。各ドロップ発生器は例えば圧電トランスデューサにより構成することができるが、シアモードトランスデューサ、アニュラーコンストリクティブトランスデューサ、電歪トランスデューサ、電磁トランスデューサ、磁気抵抗トランスデューサ等によって構成することもできる。プリントヘッドアセンブリ20は、例えばステンレススチール等のシート乃至板による積層スタックの形態を採って、実現され得る。
図2は、図1に示した印刷装置中のプリントヘッドアセンブリ20におけるドロップ発生器の一例構成を示すブロック図である。この図に示したドロップ発生器30はインレットチャネル31を備えており、このインレットチャネル31には、図4A〜図10に示すインクコンテナ指状マニホルド構造161〜164からインク33が送給される。インク33の流れ込む先はインク圧力乃至ポンプチャンバ35であり、このチャンバ35は可撓性ダイアフラム37の片側に接着乃至接合されている。更に、この可撓性ダイアフラム37の他の側には、例えば圧力チャンバ35に沿うようにして、電気機械トランスデューサ39が取り付けられている。また、図示した例はこの電気機械トランスデューサ39を圧電トランスデューサによって実現した例であり、電極43と電極43との間に圧電素子41を配した構成を有している。この構成においては、2個の電極43間に、コントローラ10から、随時、ドロップ発生信号(drop firing signal)及びドロップ非発生信号(drop non-firing signal)が印加される。この構成に限らず、電気機械トランスデューサ39はコントローラ10からの信号によって作動し、圧力チャンバ35からアウトレットチャネル45を介してドロップ形成ノズル乃至オリフィス47へと至るインク流を発生させる。すると、ノズル乃至オリフィス47からインクドロップ49が放出され、転写メディア等のレシーバメディア48上にこのインクドロップ49が被着する。
インク33としては、例えば固体溶融インク乃至相変化固体インクを用いることができる。電気機械トランスデューサ39としては、例えばベンディングモードにて作動する圧電トランスデューサを用いることができる。
図3は、図2に示したドロップ発生器30を複数個、アレイ化して実装したインクジェットプリントヘッドアセンブリ20の例を示す立面図である。この図に示すインクジェットプリントヘッドアセンブリ20は、流体チャネル層乃至基板131と、この流体チャネル層131に取り付けられているダイアフラム層137と、このダイアフラム層137に取り付けられているトランスデューサ層139とを、有している。流体チャネル層131はドロップ発生器30のうちのチャネル部分及びチャンバ部分を、ダイアフラム層137は可撓性ダイアフラム37を含む部分を、トランスデューサ層139は電気機械乃至圧電トランスデューサ39を含む部分を、それぞれ実現する層である。ドロップ発生器30の構成要素たるノズル47は、流体チャネル層131の外向き面(即ちダイアフラム層137取付面とは逆側の面)131A上に、配置されている。
図示の例におけるダイアフラム層137は、例えば、ステンレススチール等の金属板乃至シートにより構成され、流体チャネル層131に固着、接着乃至接合されている。また、図示の例における流体チャネル層131は、例えばステンレススチール等の板乃至シートによる積層スタックとして構成されている。
図中プリントヘッドアセンブリ20に併記してあるXYZ座標系は、そのXY平面をプリントヘッドの外向き面131A即ちドロップ放出ノズル47を含む面と平行にとり、Y軸を紙面に直交する方向にとった座標系である。流体チャネル層131、ダイアフラム層137及びトランスデューサ層139はZ軸方向に沿って積層されている。更に、以下の説明においては、流体チャネル層131の外向き面131A即ちドロップ放出ノズル47を含む面のことをプリントヘッドの「前面」と呼び、トランスデューサ層139側のことをプリントヘッドの「背面」と呼ぶこととする。また、流体チャネル層131の外向き面131Aについては、ドロップ放出ノズル47が配置されている面であることから、プリントヘッドの「ノズル側」とも呼ぶこととする。そして、プリントヘッドアセンブリ20に対するレシーバ面の相対移動方向は、Y軸と平行であるとする。
図6〜図10に、図3に示したプリントヘッドアセンブリ20における流体チャネル層131中の流体チャネル構造の例を示す。これらの図に示す流体チャネル構造は、流体チャネル層131を構成する積層構造中の各種の層に開口、切り込み等を形成することによって、実現することができる。また、ここでは、図示の簡便化のため、流体チャネル構造中の流路部分については当該流路部分を規定する壁(厳密にはその厚み)を無視して、描いている。また、理解の容易化のため、流体チャネル構造中の各所各所、要所要所を、別々の図面に表している。
これらの図のうち図6に示されているのは、複数のマニホルド構造により形成されているマニホルドネットワークである。このマニホルドネットワークは、図示の便宜上それぞれ図4A〜図4Dに分けて表してある第1〜第4マニホルド構造51〜54によって、形成されている。また、これらマニホルド構造のうち、第1マニホルド構造51と第2マニホルド構造52の間の相対的位置関係は図5Aに、第3マニホルド構造53と第4マニホルド構造54との間の相対的位置関係は図5Bに、それぞれ示されている通りである。
図4Aに示すように、第1マニホルド構造51は第1インク分配一次マニホルド61を有しており、図4Bに示すように、第2マニホルド構造52は第2インク分配一次マニホルド62を有している。図5Aに示すように、第1及び第2一次マニホルド61及び62は、例えば、互いにほぼ平行になるようそれぞれX軸に沿って縦長に、且つZ軸に沿い並ぶよう(即ち少なくとも部分的には積み重なるよう)、配置されている。更に、図4A及び図4Bに示すように、第1及び第2一次マニホルド61及び62は、例えば、流体チャネル層131の長手辺に隣接して配置されており、インクの導入口としてそれぞれインプットポート61A又は62Aを備えている。
これらの一次マニホルドのうち第1一次マニホルド61には、図4Aに示すように、複数の第1中間乃至指状マニホルド161が流体的に接続乃至結合されており、これら指状マニホルド161は、概ね、第1一次マニホルド61と交差するよう且つ流体チャネル層131の中央部分に向けて、延びている。図示の例では、第1指状マニホルド161は互いにほぼ平行であり、その長手部分はX軸及びY軸の双方に対して斜めに交差している(傾斜している)。
同様に、第2一次マニホルド62には、図4Bに示すように、複数の第2中間乃至指状マニホルド162が流体的に接続乃至結合されており、これら指状マニホルド162は、概ね、第2一次マニホルド62と交差するよう且つ流体チャネル層131の中央部分に向けて、延びている。図5Aにより詳細に示されているように、第2指状マニホルド162は第1指状マニホルド161と互い違いに咬合している(“指”が互い違いになるよう且つ“指”の向きを概ね揃えて配置されている)。図4Bに示した例では、第2指状マニホルド162は互いにほぼ平行であり、その長手部分はX軸及びY軸の双方に対して斜めに交差している(傾斜している)。
図5Aに示した例では、第1及び第2指状マニホルド161及び162は互いにほぼ平行である。言い換えれば、第1及び第2指状マニホルド161及び162は、第1及び第2一次マニホルド61及び62の長手部分に沿って横並びに配置されている。
このように、本実施形態においては、“斜め指”的な指状マニホルドをほぼ横並びに配置した第1リニアアレイが第1指状マニホルド161によって形成され、同じく“斜め指”的な指状マニホルドをほぼ横並びに配置した第2リニアアレイが第2指状マニホルド162によって形成されている。これら、斜め指状マニホルドによる第1及び第2リニアアレイは、図4A中に示したX軸に沿って延びている。また、図5Aに示すように互い違いに咬合している第1及び第2指状マニホルドは、斜め指状マニホルドをX軸に沿いほぼ横並びに配置したコンポジットリニアアレイを形成している。いわば、第1指状マニホルド161による第1リニアアレイはコンポジットリニアアレイの第1リニアサブアレイであり、第2指状マニホルド162による第2リニアアレイはコンポジットリニアアレイの第2リニアサブアレイである。
更に、第3マニホルド構造53は図4Cに示すように第3インク分配一次マニホルド63を備えており、第4マニホルド構造54は図4Dに示すように第4インク分配一次マニホルド64を備えている。図示の例では、第3及び第4一次マニホルド63及び64はX軸に沿って延びており、また第1及び第2一次マニホルド61及び62に対してほぼ平行である。第3及び第4一次マニホルド63及び64は、図5Bに示すようにX軸に対して横並びに配置されており、少なくともその一部分はZ軸方向に重なり合っている。第3及び第4一次マニホルド63及び64は、例えばプリントヘッド流体チャネル層131の辺に隣り合うよう配置されている。また、流体チャネル層131の辺のうち第3及び第4一次マニホルド63及び64が隣接配置されている辺は、図6から読み取れるように、第1及び第2一次マニホルド61及び62が隣接配置されている辺と対向している。そして、第3及び第4一次マニホルド63及び64は、図4C及び図4Dに示すように、インク導入口としてそれぞれインプットポート63A又は64Aを備えている。
図4Cに示すように、第3一次マニホルド63には複数の第3中間乃至指状マニホルド163が流体的に接続乃至結合されており、これら指状マニホルド163は、概ね、第3一次マニホルド63に交差するよう且つ流体チャネル層131の中央部分に向けて延びている。図示の例では、第3指状マニホルド163は互いにほぼ平行であり、その長手部分はX軸及びY軸の双方に対して斜めに交差している(傾斜している)。図6に示されているように、第3指状マニホルド163は第1及び第2指状マニホルド161及び162とほぼ平行である。
また、図4Dに示すように、第4一次マニホルド64には複数の第3中間乃至指状マニホルド164が流体的に接続乃至結合されており、これら指状マニホルド164は、概ね、第4一次マニホルド64に交差するよう且つ流体チャネル層131の中央部分に向けて延びている。特に図5Bに詳細に示されているように、第4指状マニホルド164は第3指状マニホルド163と互い違いに咬合している(“指”が互い違いになるよう且つ“指”の向きを略揃えて配置されている)。図4Dに示した例では、第4指状マニホルド164は互いにほぼ平行であり、その長手部分はX軸及びY軸の双方に対して斜めに交差している(傾斜している)。図6に示されているように、第4指状マニホルド164は第1及び第2指状マニホルド161及び162とほぼ平行である。
図5Bに示すように、第3及び第4指状マニホルド163及び164は互いにほぼ平行である。言い換えれば、第3及び第4指状マニホルド163及び164は第3及び第4一次マニホルド63及び64の長手部分に沿って横並びに配置されている。
このように、斜め指状マニホルドをほぼ横並びに配置した第3リニアアレイが第3指状マニホルド163により、また斜め指状マニホルドをほぼ横並びに配置した第4リニアアレイが第4指状マニホルド164により、それぞれ形成されている。これら第3及び第4リニアアレイはそれぞれ図4C又は図4Dに示すようにX軸に沿って延びており、互いに咬合している第3及び第4指状マニホルド163及び164は、図5Bに示すように、X軸に沿って延びる斜め指状マニホルドをほぼ横並びに配置したコンポジットリニアアレイを、形成している。従って、いわば、第3指状マニホルド163による第3リニアアレイはこのコンポジットリニアアレイの第1リニアサブアレイであり、第4指状マニホルド164による第4リニアアレイは第2リニアサブアレイである。
また、図示の例では第1乃至第4指状マニホルド161〜164は互いにほぼ平行である。更に、図6に示すように、第1指状マニホルド161と第4指状マニホルド164は互いに同一線上に並んでおり、また第2指状マニホルド162と第3指状マニホルド163も互いに同一線上に並んでいる。
第1及び第2一次マニホルド61及び62に流通させるインクは、同一色であってもよいし互いに異色であってもよい。図示の例では、第1一次マニホルド61にはマジェンタ(M)のインクを、第2一次マニホルド62にはシアン(C)のインクを、それぞれ送給し流通させている。同じく、第3及び第4一次マニホルド63及び64に流通させるインクは、同一色であってもよいし互いに異色であってもよい。図示の例では、第3一次マニホルド63にはイエロー(Y)のインクを、第4一次マニホルド64にはブラック(K)のインクを、それぞれ送給し流通させている。図示と理解を容易にするため、本願各図中においては、対応するインク色を、符号M,C,Y及びKによって要所要所に示してある。
但し、本発明を実施するに当たっては、例えば第1及び第2一次マニホルド61及び62に第1色のインクを、第3及び第4一次マニホルド63及び64に第2色のインクを、それぞれ流通させる、という形態を採ることもできる。他の実施形態としては、一次マニホルド61〜64全てに同一色のインクを流通させるという実施形態もあり得る。更に他の実施形態としては、第1一次マニホルド61に第1色のインクを、第2一次マニホルド62に第2色のインクを、第3及び第4一次マニホルド63及び64に第3色のインクを、それぞれ流通させるという実施形態もあり得る。インク色とその流通先マニホルドとの関係や色の組合せ等については、上述した例以外にも様々な例を掲げ得る。本発明の実施に当たっては、それらを適宜選択使用することができる。
図7に、インクドロップ発生器30とこれに流体的に接続乃至結合している指状マニホルド(161〜164の何れか)との関係を、指状マニホルド161を例として示す。この図に示すように、複数あるインクドロップ発生器30は、それぞれ指状マニホルド161の両脇のうち何れかに配置されている。各インクドロップ発生器30は、そのアウトレットチャネル45がその接続乃至結合先指状マニホルド(図の例では161)と隣り合うこととなるよう、また当該接続乃至結合先指状マニホルドとその隣の指状マニホルド(例えば162。図示省略)との間の間隙内を延びるよう、配置されている。各インクドロップ発生器30のインク圧力チャンバ35は、その接続乃至結合先指状マニホルドの後背(図7中の上側)に配置されており、ノズル47は当該接続乃至結合先指状マニホルドの手前(図7中の下側)に配置されている。
本実施形態においては、特にマニホルド構造51及び52の隣接部位に関して図8〜図10に示すように、ある角度で“傾いた”リニアカラム状配列がそれらインクドロップ発生器30により形成されるよう、また各インクドロップ発生器30のアウトレットチャネル45が隣接指状マニホルド間(161と162の間、又は163と164の間)間隙内を延びるよう、インクドロップ発生器30が配置されている。各カラムに係るインクドロップ発生器30は、相隣り合っている一方の指状マニホルド(例えば161)に流体的に接続乃至結合しているインクドロップ発生器30と、他方の指状マニホルド(例えば162)に流体的に接続乃至結合しているインクドロップ発生器30とが、そのカラム内で交互に位置することとなるよう、交番配置されている。言い換えれば、ある指状マニホルドに接続されているインクドロップ発生器群と、その指状マニホルドに隣接する他の指状マニホルドに接続されているインクドロップ発生器群は、XY平面上で交番的に現れている。
図11に、プリントヘッド20におけるドロップ発生器30の配置例を示す。この図は、第1乃至第4一次マニホルド61〜64にそれぞれマジェンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の基本色インクを流通させる例を、プリントヘッド20のノズル側131Aから見たものである。読解を容易にするため、この図には、インク圧力チャンバ35及びアウトレットチャネル45の位置も記してある。また、図示しないが、指状マニホルドは、アウトレットチャネル45によるカラムとカラムの間に延びているほか、突端部にあるアウトレットチャネルによるカラムの突端側に沿って延びている。
図11に示した例においては、多数あるインクドロップ発生器30が、A,Bの2グループ乃至アレイに区分・分類されている。この区分乃至分類は、各インクドロップ発生器30と各指状マニホルド乃至一次マニホルドとの関係に基づく区分乃至分類である。即ち、まず、アレイAに属するインクドロップ発生器30は、第1指状マニホルド161のうち1本或いは第2指状マニホルド162のうち1本と、流体的に接続乃至結合している。従って、アレイAに属するインクドロップ発生器30は、第1一次マニホルド61又は第2一次マニホルド62とも、流体的に接続乃至結合していると言える。また、アレイBに属するインクドロップ発生器30は、第3指状マニホルド163のうち1本或いは第4指状マニホルド164のうち1本と、流体的に接続乃至結合している。従って、アレイBに属するインクドロップ発生器30は、第3一次マニホルド63又は第4一次マニホルド64とも、流体的に接続乃至結合していると言える。説明を容易にするため、この図においては、各一次マニホルド61〜64を介して送給流通されるインクの色を示す符号M,C,Y及びKを併記することによって、各ドロップ発生器30が指状マニホルド161〜164のうちどれと流体的に接続乃至結合しているのかを、表すこととしている。
図中、符号AC1〜ACNはアレイAに属するインクドロップ発生器30の列(カラム)を、符号AR1〜AR8はアレイAに属するインクドロップ発生器30の行(ロー)を、それぞれ特定している。図示の便宜上、カラムの個数をN、ローの個数を8としている。各カラムは、アレイAにおけるアレイ化方向即ちX軸方向に対して斜めに交わるほか、アレイ化方向と直交する方向即ちY軸方向に対しても斜めに交わっている。以下、同一アレイの同一カラムに属するインクドロップ発生器30の集まりのことをカラム別アレイと呼ぶこととする。例えばアレイAは、N個のカラム別アレイAC1〜ACNをX軸方向に沿ってアレイ化したものである、と言える。また、図示の例では、アレイAを構成するカラム別アレイ同士は互いにほぼ平行であり、各カラム別アレイに含まれるインクドロップ発生器30の個数は同一(図の例では8個)である。即ち、Y軸に沿って見た場合、符号AR1〜AR8で表される8ローが順に並んでいる。各ローは互いに平行であり、またX軸に対しほぼ平行である。各ローにおいては、あるカラム位置にあるインクドロップ発生器30を配置し、その隣のカラム位置に次のインクドロップ発生器30を配置し、というように、N個のインクドロップ発生器30がロー軸ひいてはX軸に沿って順にずらして(コリニアに)配置されている。また、各カラム別アレイにおいては、あるロー位置にあるインクドロップ発生器30を配置し、その隣のロー位置に次のインクドロップ発生器30を配置し、というように、8個のインクドロップ発生器30がカラム軸(X軸及びY軸双方に交差している配置線)に沿って順にずらして(コリニアに)配置されている。なお、図示の例ではローの個数を8としているが、設計に当たってローの個数は適宜選択することができる。また、留意すべきことに、アレイAを構成するインクドロップ発生器30及びその位置は、例えばAC1/AR1、AC1/AR2等といった具合にその所属先カラム及びローを特定することにより、特定することができる。
図示の例においては、各カラムに属するインクドロップ発生器30のうち奇数番目のローAR1,AR3,AR5,AR7に属するインクドロップ発生器30が、第1指状マニホルド161と流体的に接続乃至結合されている。これに対して、偶数番目のローAR2,AR4,AR6,AR8に属するインクドロップ発生器30は、第1指状マニホルド161の隣に位置している第2指状マニホルド162と、流体的に接続乃至結合されている。言い換えれば、各カラムAC1〜ACNに属するインクドロップ発生器30は、対をなす指状マニホルド161及び162のうち一方に対しロー毎に交互に、即ちあるローが第1指状マニホルド161に接続されていたらその隣のローは隣の指状マニホルド162に接続されるというように交番的に、流体的に接続乃至結合されている。従って、奇数番目のローAR1,AR3,AR5,AR7に属するインクドロップ発生器30は第1一次マニホルド61に、偶数番目のローAR2,AR4,AR6,AR8に属するインクドロップ発生器30は第2一次マニホルド62に、それぞれ流体的に接続乃至結合されていると言える。即ち、インクドロップ発生器30のローAR1〜AR8は、第1一次マニホルド61及び第2一次マニホルド62に対し交互に、流体的に接続乃至結合されている。
このように、アレイAはX軸に沿って少しずつオフセットしている8個のローAR1〜AR8から成り立っており、同一ローに属するインクドロップ発生器30は同一の一次マニホルドに対し流体的に接続乃至結合されている。
インクドロップ発生器30により構成されている各斜めカラムAC1〜ACNは、2個のサブカラムが互い違いに咬合した構成として、とらえることができる。ここで言う2個のサブカラムのうち1個は奇数番目のローAR1,AR3,AR5,AR7に属するインクドロップ発生器30により構成されるサブカラムであり、もう1個は偶数番目のローAR2,AR4,AR6,AR8に属するインクドロップ発生器30により構成されるサブカラムである。これらのサブカラムのうち、マジェンタインクを送給するための第1指状マニホルド161にインクドロップ発生器30が流体的に接続乃至結合されているサブカラムは、流通するインク色をとってマジェンタサブカラムと呼ぶことができる。他方のサブカラムは、シアンインクを送給するための第2指状マニホルド162にインクドロップ発生器30が流体的に接続乃至結合されているサブカラムであることから、シアンサブカラムと呼ぶことができる。各斜めカラムAC1〜ACNは、これらマジェンタサブカラムとシアンサブカラムとが、互い違いに咬合している構成であると言える。
また、図11中、符号BC1〜BCNはアレイBに属するインクドロップ発生器30のカラムを、符号BR1〜BR8はアレイBに属するインクドロップ発生器30のローを、それぞれ特定している。カラム及びローの個数についてはアレイAと同様である。各カラムは、アレイBにおけるアレイ化方向即ちX軸方向に対して斜めに交わるほか、アレイ化方向と直交する方向即ちY軸方向に対しても斜めに交わっている。即ち、アレイBは、N個のカラム別アレイBC1〜BCNをX軸方向に沿ってアレイ化したものである。また、図示の例では、アレイBを構成するカラム別アレイ同士は互いにほぼ平行であり、各カラム別アレイに含まれるインクドロップ発生器30の個数は同一(図の例では8個)である。即ち、Y軸に沿って見た場合、符号BR1〜BR8で表される8ローが順に並んでいる。各ローは互いに平行であり、またX軸に対しほぼ平行である。各ローにおいては、あるカラム位置にあるインクドロップ発生器30を配置し、その隣のカラム位置に次のインクドロップ発生器30を配置し、というように、N個のインクドロップ発生器30がロー軸ひいてはX軸に沿って順にずらして(コリニアに)配置されている。また、各カラム別アレイにおいては、あるロー位置にあるインクドロップ発生器30を配置し、その隣のロー位置に次のインクドロップ発生器30を配置し、というように、8個のインクドロップ発生器30がカラム軸(X軸及びY軸双方に交差している配置線)に沿って順にずらして(コリニアに)配置されている。なお、図示の例ではローの個数を8としているが、設計に当たってローの個数は適宜選択することができる。また、留意すべきことに、アレイBを構成するインクドロップ発生器30及びその位置は、例えばBC1/BR1、BC1/BR2等といった具合にその所属先カラム及びローを特定することにより、特定することができる。
図示の例においては、各カラムに属するインクドロップ発生器30のうち奇数番目のローBR1,BR3,BR5,BR7に属するインクドロップ発生器30が、第3指状マニホルド163と流体的に接続乃至結合されている。これに対して、偶数番目のローBR2,BR4,BR6,BR8に属するインクドロップ発生器30は、第3指状マニホルド163の隣に位置している第4指状マニホルド164と、流体的に接続乃至結合されている。言い換えれば、各カラムBC1〜BCNに属するインクドロップ発生器30は、対をなす指状マニホルド163及び164のうち一方に対しロー毎に交互に、即ちあるローが第3指状マニホルド163に接続されていたらその隣のローは隣の指状マニホルド164に接続されるというように交番的に、流体的に接続乃至結合されている。従って、奇数番目のローBR1,BR3,BR5,BR7に属するインクドロップ発生器30は第3一次マニホルド63に、偶数番目のローBR2,BR4,BR6,BR8に属するインクドロップ発生器30は第4一次マニホルド64に、それぞれ流体的に接続乃至結合されていると言える。即ち、インクドロップ発生器30のローBR1〜BR8は、第3一次マニホルド63及び第4一次マニホルド64に対し交互に、流体的に接続乃至結合されている。
このように、アレイBはX軸に沿って少しずつオフセットしている8個のローBR1〜BR8から成り立っており、同一ローに属するインクドロップ発生器30は同一の一次マニホルドに対し流体的に接続乃至結合されている。
インクドロップ発生器30により構成されている各斜めカラムBC1〜BCNは、2個のサブカラムが互い違いに咬合した構成として、とらえることができる。ここで言う2個のサブカラムのうち1個は奇数番目のローBR1,BR3,BR5,BR7に属するインクドロップ発生器30により構成されるサブカラムであり、もう1個は偶数番目のローBR2,BR4,BR6,BR8に属するインクドロップ発生器30により構成されるサブカラムである。これらのサブカラムのうち一方は、イエローインクを送給するための第3指状マニホルド163にインクドロップ発生器30が流体的に接続乃至結合されているサブカラムであることから、イエローサブカラムと呼ぶことができる。他方のサブカラムは、ブラックインクを送給するための第4指状マニホルド164にインクドロップ発生器30が流体的に接続乃至結合されたサブカラムであることから、ブラックサブカラムと呼ぶことができる。各斜めカラムBC1〜BCNは、これらイエローサブカラムとブラックサブカラムとが、互い違いに咬合している構成であると言える。
図示の例は、以上の説明からも明らかな通り、アレイAとそのレプリカ乃至コピーといい得るアレイBとを、Y軸に沿い隣り合わせに配置した構成を有している。アレイAを構成する任意のインクドロップ発生器30(例えばAC1/AR1)と、アレイB上でこれに対応する位置にある他のインクドロップ発生器30(例えばBC1/BR1)との間の位置関係は、そのX軸座標値が同じでY座標値が各アレイのY軸方向寸法分だけずれている、という位置関係である。アレイAを構成するインクドロップ発生器30とアレイBを構成するインクドロップ発生器30との間にあるこの関係や、アレイAを構成する各カラム別アレイAC1〜ACNとアレイBを構成する各カラム別アレイBC1〜BCNとの間にある同様の関係を、本願では、“垂直方向に沿って関連づけられている”関係と称している。図示の例の如く第1乃至第4指状マニホルド161〜164がそれぞれマジェンタ、シアン、イエロー又はブラックのインクを送給するために使用される例では、Mインクドロップ発生器30はYインクドロップ発生器30に対して、またCインクドロップ発生器30はKインクドロップ発生器30に対して、垂直方向に関連づけられている関係にある。また、本実施形態では、アレイAを構成するカラム別アレイ(例えばAC1)乃至それを構成する個別のインクドロップ発生器30(例えばAC1/AR1)と、アレイBを構成するカラム別アレイ(例えばBC1)乃至それを構成する個別のインクドロップ発生器30(例えばBC1/BR1)とを、図中実線で示すように直線で結ぶと、この直線がY軸とほぼ平行になる。即ち、本実施形態では、垂直方向に沿って関連づけられているもの同士を結ぶ直線が、Y軸とほぼ平行になっている。もちろん、垂直方向に沿って関連づけられているもの同士のX軸座標値をずらした形態で、本発明を実施することも可能である。
インクドロップ発生器30によるアレイA及びBは、その斜めカラムの延長方向に関して言えば、カラム別アレイAC2とカラム別アレイBC1とが一直線に並び、カラム別アレイAC3とカラム別アレイBC2とが一直線に並び、というように、アレイAを構成するカラム別アレイのうちAC2〜ACNと、アレイBを構成するカラム別アレイのうちBC1〜BC(N−1)とが、順に一直線に並ぶように配置されている(図中の二点鎖線を参照)。本願では、一直線に並ぶ位置関係にある2個のカラム別アレイ(例えばAC2とBC1、AC3とBC2等々)間の関係を、“同一コンポジット斜めアレイを形成する”関係、と称しており、また、同一コンポジット斜めアレイを形成する2個のカラム別アレイに係る符号を例えばAC2/BC1の如くスラッシュで区切って表記することにより、コンポジット斜めアレイを特定している。更に、本実施形態におけるインクドロップ発生器間隔及びアレイ間隔は、コンポジット斜めアレイAC2/BC1〜ACN/BC(N−1)相互の間隔が均一となるよう、定められている。
図12〜図16に、それぞれ、プリントヘッド20におけるノズル47の配置例を示す。これらの図は、何れも、プリントヘッド20のノズル側131Aから見た図である。先に述べたように、アレイA,Bを構成する各インクドロップ発生器30においては、そのアウトレットチャネル45の端部にノズル47が設けられている。そのため、インクドロップ発生器30によるアレイと並行して、そのノズル47によるアレイも形成されている。本願では、ノズル47により形成されるアレイのことをノズルアレイと呼び、符号NA,NBで表している。ノズルアレイNA,NBは概略Y軸方向に沿って隣り合っている。
インクドロップ発生器30を構成するノズル47の外径は、アウトレットチャネル45の端面寸法よりも小さい。従って、アウトレットチャネル45の端面上どの部位にノズル47を設けるかについては、選択の余地がある。また、アウトレットチャネル45の端面形状自体、円形(図12等参照)にも非円形(例えば卵形。図13参照)にもすることができる。更に、本実施形態ではインクドロップ発生器30による斜めカラムが傾斜している。これらのことからすれば、本実施形態では、ノズル47の位置乃至配置を決めるに際し、一次マニホルド及び指状マニホルド並びにこれらに対するインクドロップ発生器30の配置だけでなく、アウトレットチャネル45の端面上のどこにノズル47を設けるのか、どのような端面形状のアウトレットチャネル45においてそのノズル47を用いるのか、またインクドロップ発生器30による斜めカラムの傾斜角は何度か等といった事項を、併せ考慮するのが有効であろう。図12〜図16に示したバリエーションは、かかる考慮により生まれたものである。
ノズルアレイNAを構成するノズル47は、斜めカラム別アレイNAC1〜NACNを形成するようリニアアレイ状に配置されている。またこれら斜めカラム別ノズルアレイNAC1〜NACNは、インクドロップ発生器30により構成されるアレイAの各斜めカラム別アレイAC1〜ACNに、概略対応している。ノズル47のアレイ化方向はX軸と平行であり、斜めカラム別ノズルアレイNAC1〜NACNは、互いにほぼ平行であってX軸及びY軸方向に対し斜めに交わっている(傾斜している)。斜めカラム別ノズルアレイNAC1〜NACNは、何れも同一個数のノズル47を含んでいる。また、斜めカラム別ノズルアレイNAC1〜NACNを形成しているノズル47は、Y軸に沿ってノズル47によるローNAR1〜NAR8が並ぶよう、配置されている。これらのローNAR1〜NAR8は互いに平行であり、またX軸に対してほぼ平行である。ローの個数は、図示の例では8個であるが、これは設計上適宜選択できる。また、ノズルアレイNAを構成するノズルは、その所属先カラム別アレイ及びローを示す符号により、例えばNAC1/NAR1若しくはNAC1/1、NAC1/NAR2若しくはNAC1/2等といった具合に、特定することができる。
図示した斜めカラム別ノズルアレイNAC1〜NACNにおいては、奇数番目のローNAR1,NAR3,NAR5,NAR7に属するノズル47が第1指状マニホルド161に、偶数番目のローNAR2,NAR4、NAR6,NAR8に属するノズル47がその隣の第2指状マニホルド162に、それぞれ流体的に接続乃至結合している。言い換えれば、各斜めカラム別ノズルアレイNAC1〜NACNを構成するノズル47は、対をなし互いに隣り合っている指状マニホルド161及び162に対し、ロー毎に交番的に、流体的に接続乃至結合している。即ち、あるローに属するノズル47は第1指状マニホルド161に流体的に接続乃至結合し、その隣のローに属するノズル47は第2指状マニホルド162に流体的に接続乃至結合し、といった具合である。従って、奇数番目のローNAR1,NAR3,NAR5,NAR7に属するノズル47は第1一次マニホルド61に、偶数番目のローNAR2,NAR4、NAR6,NAR8に属するノズル47は第2一次マニホルド62に、それぞれ流体的に接続乃至結合しており、また、ノズル47により構成されるローNAR1〜NAR8は、ロー毎に交番的に且つ流体的に、第1及び第2一次マニホルド61及び62に接続乃至結合している。
更に、各斜めカラム別ノズルアレイNAC1〜NACNは、互い違いに咬合しているほぼ平行な奇数及び偶数リニアローサブカラムによって、構成されている。これらのうち奇数ローサブカラムは奇数番目のローNAR1,NAR3,NAR5,NAR7に属するノズル47によって構成されており、偶数ローサブカラムは偶数番目のローNAR2,NAR4、NAR6,NAR8に属するノズル47によって構成されている。本実施形態では第1一次マニホルド61によりマジェンタインクをまた第2一次マニホルド62によりシアンインクをそれぞれ送給するようにしているため、図では、奇数番目のローNAR1,NAR3,NAR5,NAR7に属するノズル47に符号Mを、また偶数番目のローNAR2,NAR4、NAR6,NAR8に属するノズル47に符号Cを、それぞれ併記している。また、便宜上、ノズルアレイNAにおける奇数ローサブカラムをMサブカラムと呼び、偶数ローサブカラムをCサブカラムと呼ぶこととする。カラム別ノズルアレイNAC1〜NACNを構成するM及びCサブカラムは、互い違いに咬合しておりまた互いにほぼ平行であって、非コリニアである。このようにして、Mサブカラムに属するノズル47は第1指状マニホルド161ひいては第1一次マニホルド61に対し流体的に接続乃至結合しており、Cサブカラムに属するノズル47は第2指状マニホルド162ひいては第2一次マニホルド62に対し流体的に接続乃至結合している。更に、任意のサブカラムにおけるノズル47のX軸方向間隔即ちX軸方向ノズルピッチXPは、そのサブカラムにおけるノズル間隔及びY軸に対するそのサブカラムの傾斜角によって、決定されている。MサブカラムについてのノズルピッチXPと、CサブカラムについてのノズルピッチXPは、例えば互いに等しい値にすることができる。また、任意のサブカラムによるX軸方向スパンは、Y軸に対するそのサブカラムの傾斜角ひいてはノズルピッチXPと、そのサブカラムにおけるノズル個数とにより、決定されている。更に、図示の例では、Mサブカラムの傾斜角及び各Mサブカラムにおけるノズル個数は、X軸に沿ったノズルピッチXPが全Mサブカラムについてほぼ均一となるよう、選択されている。同様に、Cサブカラムの傾斜角及び各Cサブカラムにおけるノズル個数も、X軸に沿ったノズルピッチXPが全Cサブカラムについてほぼ均一となるよう、選択されている。図示の例では、M及びCサブカラムは略同一個数のノズル47を含んでいるため、X軸に沿ったノズルピッチXPは両サブカラム間で略同一且つ均一となっている。そして、ノズルピッチXPは、例えば1/75インチとすることができる(1インチ=約2.54×10-2m)。好ましくは、最大約1/37.5インチとする。
図示の例では、1個のカラム別アレイに属するノズル47の個数は8個であり、1個のカラム別ノズルアレイ上では1個のMサブカラムと1個のCサブカラムとが互い違いに咬合している。従って、この互い違いに咬合しているM及びCサブカラム、即ち同一カラム別ノズルアレイに所属し対をなしているサブカラムには、それぞれ4個のノズル47が含まれている。即ち、1個のカラム別アレイに属するMのノズル47とCのノズル47の対の個数は4対である。また、カラム別ノズルアレイの個数(=各ローに含まれるノズル47の個数>1)は、ノズルアレイNA全体でN個である。従って、Mサブカラムひいては奇数番目のローに属するノズル1個とCサブカラムひいては偶数番目のローに属するノズル1個とによる対(例えばNAC1/1とNAC1/2との対、NAC1/3とNAC1/4との対等)は、全斜めカラム別ノズルアレイNAC1〜NACNにおいて合計で4N個形成されている。本願では、このようなノズル対のことを奇偶ノズル対と呼んでおり、各奇偶ノズル対を、その所属先カラム別アレイを特定する符号(例えばNAC1)と、対をなしているノズルそれぞれの所属先ローを特定する符号(例えば1と2)と、の組合せにより、例えばNAC1/1_2の如く特定している。図中、奇偶ノズル対をなすノズル47同士を、短い破線で結んである。また、図示の例では、ノズルアレイNAにおける奇数番目のローに属するノズル47によってマジェンタインクのドロップが、また偶数番目のローに属するノズル47によってシアンインクのドロップが、それぞれ生成されている。そこで、ノズルアレイNAにおける奇偶ノズル対のことをMCノズル対とも称する。更に、互い違いに咬合している奇数ローサブカラムと偶数ローサブカラムとの間のずれを適宜選択することにより、様々なノズル配置が実現され得る。例えば、図12に示されているように、互いに奇偶ノズル対をなしている2個のノズル47がX軸上に即ち一直線上に並ぶように、奇数ローサブカラムと偶数ローサブカラムとの間のずれを選択する。このようにすると、当該対をなしている2個のノズル47を結ぶ線はY軸と平行になる。この配置は、ノズル配置線がY軸に対して傾いていないという意味で、“非傾斜”配置と呼ぶことができる。また、これに対して、互いに奇偶ノズル対をなしている2個のノズル47のX軸座標値が異なる値となるよう、即ち当該対をなしている2個のノズル47を結ぶ線がY軸と非平行になるよう、奇数ローサブカラムと偶数ローサブカラムとの間のずれを選択してもよい。この配置は、ノズル配置線がY軸に対して傾いているという意味で、“傾斜”配置と呼ぶことができる。
このように、ノズルアレイNAに属するノズル47は奇偶ノズル対を横並びに配置した構成として、また当該奇偶ノズル対をなしている2個のノズル47を結ぶ線がY軸に対し(平行に或いは非平行に)寄り添った構成として、把握できる。
ノズルアレイNBを構成するノズル47は、斜めカラム別アレイNBC1〜NBCNを形成するようリニアアレイ状に配置されている。またこれら斜めカラム別ノズルアレイNBC1〜NBCNは、インクドロップ発生器30により構成されるアレイBの各斜めカラム別アレイBC1〜BCNに、概略対応している。ノズル47のアレイ化方向はX軸と平行であり、斜めカラム別ノズルアレイNBC1〜NBCNは、互いにほぼ平行であってX軸及びY軸方向に対し斜めに交わっている(傾斜している)。斜めカラム別ノズルアレイNBC1〜NBCNは、何れも同一個数のノズル47を含んでいる。また、斜めカラム別ノズルアレイNBC1〜NBCNを形成しているノズル47は、Y軸に沿ってノズル47によるローNBR1〜NBR8が並ぶよう、配置されている。これらのローNBR1〜NBR8は互いに平行であり、またX軸に対してほぼ平行である。ローの個数は、図示の例では8個であるが、これは設計上適宜選択できる。また、ノズルアレイNBを構成するノズルは、その所属先カラム別アレイ及びローを示す符号により、例えばNBC1/NBR1若しくはNBC1/1、NBC1/NBR2若しくはNBC1/2等といった具合に、特定することができる。
図示した斜めカラム別ノズルアレイNBC1〜NBCNにおいては、奇数番目のローNBR1,NBR3,NBR5,NBR7に属するノズル47が第3指状マニホルド163に、偶数番目のローNBR2,NBR4、NBR6,NBR8に属するノズル47がその隣の第4指状マニホルド164に、それぞれ流体的に接続乃至結合している。言い換えれば、各斜めカラム別ノズルアレイNBC1〜NBCNを構成するノズル47は、対をなし互いに隣り合っている指状マニホルド163及び164に対し、ロー毎に交番的に、流体的に接続乃至結合している。即ち、あるローに属するノズル47は第3指状マニホルド163に流体的に接続乃至結合し、その隣のローに属するノズル47は第4指状マニホルド164に流体的に接続乃至結合し、といった具合である。従って、奇数番目のローNBR1,NBR3,NBR5,NBR7に属するノズル47は第3一次マニホルド63に、偶数番目のローNBR2,NBR4、NBR6,NBR8に属するノズル47は第4一次マニホルド64に、それぞれ流体的に接続乃至結合しており、また、ノズル47により構成されるローNBR1〜NBR8は、ロー毎に交番的に且つ流体的に、第3及び第4一次マニホルド63及び64に接続乃至結合している。
更に、各斜めカラム別ノズルアレイNBC1〜NBCNは、互い違いに咬合しているほぼ平行な奇数及び偶数リニアローサブカラムによって、構成されている。これらのうち奇数ローサブカラムは奇数番目のローNBR1,NBR3,NBR5,NBR7に属するノズル47によって構成されており、偶数ローサブカラムは偶数番目のローNBR2,NBR4、NBR6,NBR8に属するノズル47によって構成されている。本実施形態では第3一次マニホルド63によりイエローインクをまた第4一次マニホルド64によりブラックインクをそれぞれ送給するようにしているため、図では、奇数番目のローNBR1,NBR3,NBR5,NBR7に属するノズル47に符号Yを、また偶数番目のローNBR2,NBR4、NBR6,NBR8に属するノズル47に符号Kを、それぞれ併記している。また、便宜上、ノズルアレイNBにおける奇数ローサブカラムをYサブカラムと呼び、偶数ローサブカラムをKサブカラムと呼ぶこととする。カラム別ノズルアレイNBC1〜NBCNを構成するY及びKサブカラムは、互い違いに咬合しておりまた互いにほぼ平行であって、非コリニアである。このようにして、Yサブカラム乃至奇数番目のローに属するノズル47は第3指状マニホルド163ひいては第3一次マニホルド63に対し流体的に接続乃至結合しており、Kサブカラム乃至偶数番目のローに属するノズル47は第4指状マニホルド164ひいては第4一次マニホルド64に対し流体的に接続乃至結合している。更に、YサブカラムについてのノズルピッチXPと、KサブカラムについてのノズルピッチXPは、例えば互いに等しい値にすることができる。また、任意のサブカラムによるX軸方向スパンは、Y軸に対するそのサブカラムの傾斜角ひいてはノズルピッチXPと、そのサブカラムにおけるノズル個数とにより、決定されている。更に、図示の例では、Yサブカラムの傾斜角及び各Yサブカラムにおけるノズル個数は、X軸に沿ったノズルピッチXPが全Yサブカラムについてほぼ均一となるよう、選択されている。同様に、Kサブカラムの傾斜角及び各Kサブカラムにおけるノズル個数も、X軸に沿ったノズルピッチXPが全Kサブカラムについてほぼ均一となるよう、選択されている。図示の例では、Y及びKサブカラムは略同一個数のノズル47を含んでいるため、X軸に沿ったノズルピッチXPは両サブカラム間で略同一且つ均一となっている。そして、ノズルピッチXPは、例えば1/75インチとすることができる。好ましくは、最大約1/37.5インチとする。
図示の例では、1個のカラム別アレイに属するノズル47の個数は8個であり、1個のカラム別ノズルアレイ上では1個のYサブカラムと1個のKサブカラムとが互い違いに咬合している。従って、この互い違いに咬合しているY及びKサブカラム、即ち同一カラム別ノズルアレイに所属し対をなしているサブカラムには、それぞれ4個のノズル47が含まれている。即ち、1個のカラム別アレイに属するYのノズル47とKのノズル47の対の個数は4対である。また、カラム別ノズルアレイの個数(=各ローに含まれるノズル47の個数>1)は、ノズルアレイNB全体でN個である。従って、Yサブカラムひいては奇数番目のローに属するノズル1個とKサブカラムひいては偶数番目のローに属するノズル1個とによる対(例えばNBC1/1とNBC1/2との対、NBC1/3とNBC1/4との対等)は、全斜めカラム別ノズルアレイNBC1〜NBCNにおいて合計で4N個形成されている。このようなノズル対即ち奇偶ノズル対は、それぞれ、その所属先カラム別アレイを特定する符号(例えばNBC1)と、対をなしているノズルそれぞれの所属先ローを特定する符号(例えば1と2)と、の組合せにより、例えばNBC1/1_2の如く特定されている。図中、奇偶ノズル対をなすノズル47同士を、短い破線で結んである。また、図示の例では、ノズルアレイNBにおける奇数番目のローに属するノズル47によってイエローインクのドロップが、また偶数番目のローに属するノズル47によってブラックインクのドロップが、それぞれ生成されている。そこで、ノズルアレイNBにおける奇偶ノズル対のことをYKノズル対とも称する。更に、互い違いに咬合している奇数ローサブカラムと偶数ローサブカラムとの間のずれを適宜選択することにより、様々なノズル配置が実現され得る。例えば、図12に示されているように、互いに奇偶ノズル対をなしている2個のノズル47がX軸上に即ち一直線上に並ぶように、奇数ローサブカラムと偶数ローサブカラムとの間のずれを選択する。このようにすると、当該対をなしている2個のノズル47を結ぶ線はY軸と平行になる。この配置は、ノズル配置線がY軸に対して傾いていないという意味で、“非傾斜”配置と呼ぶことができる。また、これに対して、互いに奇偶ノズル対をなしている2個のノズル47のX軸座標値が異なる値となるよう、即ち当該対をなしている2個のノズル47を結ぶ線がY軸と非平行になるよう、奇数ローサブカラムと偶数ローサブカラムとの間のずれを選択してもよい。この配置は、ノズル配置線がY軸に対して傾いているという意味で、“傾斜”配置と呼ぶことができる。
このように、ノズルアレイNBに属するノズル47は奇偶ノズル対を横並びに配置した構成として、また当該奇偶ノズル対をなしている2個のノズル47を結ぶ線がY軸に対し(平行に或いは非平行に)寄り添った構成として、把握できる。
本実施形態においては、ノズルアレイNA,NBを構成する各カラム別ノズルアレイNAC1〜NACN,NBC1〜NBCNは、互いに同一個数(=8)のノズル47によって構成されている。また、本実施形態においては、ノズルアレイNAにおけるカラム別アレイNAC1〜NACNの個数(=4)とノズルアレイNBにおけるカラム別アレイNBC1〜NBCNの個数(=4)は同一である。更に、各サブカラム中に含まれるノズルの個数(=4)も同一である。そして、各カラム別ノズルアレイ中に含まれる奇偶ノズル対の個数(=4)も同一である。加えて、ノズルアレイNAにおけるノズル配置はノズルアレイNBにおけるノズル配置と同一である(但し後述の通り異なる配置とすることもできる)。
本実施形態におけるノズルアレイNA,NBはY軸に沿って直に隣り合っており、そのX軸方向位置は、カラム別ノズルアレイ間及び奇偶ノズル対間の対応関係が成り立つよう、相対的に合わせられている。ここで言う対応関係とは、一つには、ノズルアレイNAを構成する各カラム別ノズルアレイNAC1〜NACNと、当該カラム別ノズルアレイNAC1〜NACNから見てY軸方向に沿いずれた位置にありノズルアレイNBを構成する各カラム別ノズルアレイNBC1〜NBCNと、の間の対応関係であり、また一つには、ノズルアレイNAを構成する各奇偶ノズル対NAC1/1_2〜NACN/7_8と、ノズルアレイNBを構成する各奇偶ノズル対NBC1/1_2〜NBCN/7_8と、の間の対応関係である。NAC1とNBC1、NAC2とNBC2、…NACNとNBCN、というように対応関係にあるカラム別ノズルアレイ同士は、X軸に沿って整列している(ずらすこともできる)。
図12及び図13に示した例では、ノズルアレイNA,NBを構成するカラム別ノズルアレイ中で各奇偶ノズル対をなしているノズル47のX軸方向位置が揃っている(例えばNAC1/1とNAC1/2のX軸方向位置が同じである)。本願では、このようにX軸方向に沿って互いにずれていないノズル47同士により構成されている奇偶ノズル対のことを、便宜上、非オフセットノズル対或いは非傾斜ノズル対と呼ぶこととする。ノズルアレイNBを構成する各非傾斜ノズル対のX軸方向位置は、図12に示す例では、ノズルアレイNAを構成する非傾斜ノズル対のうち対応する非傾斜ノズル対のX軸方向位置に対して、揃っている(例えば長い破線で示すようにNAC1/7_8とNBC1/7_8のX軸方向位置が同じである)。このような配置に代え、図13に示すように、ノズルアレイNBを構成する各非傾斜ノズル対のX軸方向位置を、ノズルアレイNAを構成する非傾斜ノズル対のうち対応する非傾斜ノズル対のX軸方向位置に対して、ずらすようにしてもよい(例えば長い破線で示すようにNAC1/7_8とNBC1/7_8のX軸方向位置が同じでない)。このずれは例えば0〜0.005インチとし、或いはノズルピッチXPを基準として0〜XP/3とする。
ノズルアレイNA,NBを構成するカラム別ノズルアレイ中の各奇偶ノズル対に含まれるノズル47のX軸方向位置は、例えば図14及び図15に示すように、互いにずらしてもよい(例えばNAC1/1とNAC1/2のX軸方向位置が同じでない)。本願では、X軸方向に沿って互いにずれている2個のノズル47同士により構成されている奇偶ノズル対のことを、便宜上、オフセットノズル対或いは傾斜ノズル対と呼ぶこととする。オフセット乃至傾斜ノズル対をなしている2個のノズル47間のX軸方向位置ずれは、例えばおよそ0〜0.005インチとする。或いは、ノズルピッチXPを基準として、0〜XP/3としてもよい。ノズルアレイNBを構成する各傾斜ノズル対のX軸方向位置は、図14に示す例では、ノズルアレイNAを構成する傾斜ノズル対のうち対応する傾斜ノズル対のX軸方向位置に対して、揃っている。このような配置に代え、図15に示すように、ノズルアレイNBを構成する各傾斜ノズル対のX軸方向位置を、ノズルアレイNAを構成する傾斜ノズル対のうち対応する傾斜ノズル対のX軸方向位置に対して、ずらすようにしてもよい。図示した例においては、傾斜ノズル対のうち偶数番目のローに属するノズル47即ちC及びKのノズル47のX軸方向位置が互いに揃っており、これらを結ぶ線はY軸に平行となっている。また、奇数番目のローに属するノズル47即ちM及びYのノズル47は、X軸方向に沿い、偶数番目のローに属するノズルに対し左右何れかの側に配置されている。傾斜ノズル対間のX軸方向位置ずれは例えば0〜0.005インチであり、或いはノズルピッチXPを基準として0〜XP/3である。
また、図16に例示するように、ノズルアレイNAを構成する奇偶ノズル対を非傾斜ノズル対とし、ノズルアレイNBを構成する奇偶ノズル対を傾斜ノズル対とすることもできる。この場合、例えば、ノズルアレイNBを構成する傾斜ノズル対のうち1個のX軸方向位置を、ノズルアレイNAを構成する非傾斜ノズル対のうち対応するもののX軸方向位置と合わせる。更に、図16に示した例では、ノズルアレイNBを構成する傾斜ノズル対中、奇数ローノズル即ちYのノズル47のX軸方向位置を、ノズルアレイNAを構成する非傾斜ノズル対のうち対応するもの、即ちM及びCのノズル47により構成される対のX軸方向位置と合わせることにより、傾斜ノズル対を構成する偶数ローノズル即ちKのノズル47のX軸方向位置を、対応する奇数ローノズルのX軸方向位置並びにノズルアレイNA中の対応する非傾斜ノズル対のX軸方向位置に対して、ずらしている。非傾斜ノズルにおけるこのずれの量は、例えば0〜0.005インチとし、或いはノズルピッチXPを基準として0〜XP/3とする。
以上、本発明の一実施形態に関し説明した。本発明の要旨及び技術的範囲については、出願当初の又は補正後の特許請求の範囲を参照されたい。本発明は、特許請求の範囲に記載された構成に対して、また本願にて実施形態として記載した構成に対して、現在想起し得る又は将来想起し得ることとなる様々な拡張、変形、代替物、改良、置換、等価物、均等物等を、それが本願出願人によるものか他者によるものかを問わず、包含するものである。
なお、本願は、以下の発明も包含する。
請求項1記載のドロップ放出装置において、X軸方向ノズルピッチXPが最大約1/75インチであるドロップ放出装置。
請求項1記載のドロップ放出装置において、X軸方向ノズルピッチXPが最大約1/37.5インチであるドロップ放出装置。
請求項1記載のドロップ放出装置において、第1色がマジェンタ、第2色がシアンであるドロップ放出装置。
請求項1記載のドロップ放出装置において、第3色がイエロー、第4色がブラックであるドロップ放出装置。