JP2011207096A - 液体吐出ヘッド - Google Patents

Abstract

【課題】吐出不良を目立たなくすることができる液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】各共通インク室７ａａ，７ａｂ，７ｂ〜７ｄは、ノズル列方向の両方の端部からその中央部に向けてインクが供給されるようになっている。そして、前記各共通インク室それぞれにおける第１のインク供給口４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄでのインク流速と第２のインク供給口４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄでのインク流速とが異なるとともに、隣り合う２つの前記共通インク室における第１のインク供給口どうしでのインク流速が異なり、隣り合う２つの前記共通インク室における第２のインク供給口４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄどうしでのインク流速が異なる。これにより、隣り合う前記共通インク室どうしでは前記両方の端部から供給されるインクの見かけ上の合流位置が前記ノズル列方向において異なるようになっている。
【選択図】 図５

Description

本発明は、液体吐出ヘッドに関するものである。

液体吐出ヘッドの１つとして、前面に複数のノズルがそれぞれ列状に配置された複数のノズル列と、前記各ノズルに連通する複数の圧力室と、前記各ノズル列に対応して互いに平行に延び前記各圧力室に連通する複数の共通インク室（共通液室）とを有するキャビティユニットを備え、前記各共通インク室から前記圧力室を経由して前記ノズルにインクが供給されるインクジェットヘッドは知られている（例えば特許文献１参照）。

特許文献１に記載のキャビティユニットは、背面側であって前記ノズル列方向の一方の端部に、前記複数の共通インク室に連通する複数のインク供給口が、前記ノズル列方向に直交する方向に並んで形成されている。

従って、前記特許文献１の構成では、前記各プレートの積層方向から見て重なる位置関係にあるノズル列、圧力室の列、共通インク室及びインク供給口は、それぞれ１対１の関係で対応している。また、複数の前記インク供給口の箇所には、インク中の塵除去用のフィルタが接着剤によって接合されている。すなわち、複数の前記インク供給口は、１枚のフィルタでまとめて覆われている。

近年、そのようなインクジェットプリンタのインクジェットヘッドにおいて、ノズル数を増加させて記録の高画質・高品質を確保するために、圧力室の高密度化の要求がある。

ところで、そのような圧力室の高密度化に対応するには、圧力室に連通する共通インク室へのインク供給量を増加させる必要があり、そのような増加のために、共通インク室に対し複数のインク供給孔からインクが供給されるようにしたものがある（例えば特許文献２，３参照）。

特開２００５−２３１３１４号公報 特開２００４−１１４５０５号公報 特開平９−２３４８８６号公報

例えばブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンという４色のインクについて、それぞれの共通インク室に対し複数のインク供給孔からインクが供給されるように、例えば図７（ａ）に示すように、インク供給口１０１ａ〜１０１ｄ、１０２ａ〜１０２ｄをノズル列方向Ｘの両方の端部に設け、各共通インク室１０３ａ〜１０３ｄに対し、各共通インク室１０３ａ〜１０３ｄの、ノズル列方向Ｘの両方の端部から、中央部に向けてインクが供給されるようになる。なお、図７（ａ）において、１０４は圧電アクチュエータである。

そして、各共通インク室１０３ａ〜１０３ｄに対し、各共通インク室１０３ａ〜１０３ｄの、ノズル列方向Ｘの両方の端部からその中央部に向けてインクが供給されるようにすると、図７（ｂ）に示すように、前記両方の端部から供給されるインクの流れが合流する見かけ上の合流点Ｐａ，Ｐｂ，Ｐｃ，Ｐｄが存在する。供給されるインクに含まれる気泡
はフィルタ体などにてできるだけ取り除くようにしてはいるが、前記見かけ上の合流点Ｐａ〜Ｐｄ付近ではインクの流れの衝突により気泡が滞留し、その部分に対応するノズルでは、前記気泡の存在を理由として吐出不良となりやすい傾向になる。特に、見かけ上の合流点Ｐａ〜Ｐｄの位置が、すべての共通インク室１０３ａ〜１０３ｄにおいてノズル列方向Ｘで一致すると、ノズル列方向Ｘでの吐出不良ノズルによる吐出位置が揃ってしまう。その結果、記録用紙Ｔに印字した場合、図７（ｃ）に示すように、気泡の存在を理由とする吐出不良による白抜き部分Ｓが、インクジェットヘッド走査方向（記録用紙搬送方向に直交する方向）に太く現れてしまい、印字上非常に目立ってしまう。

そこで、本発明は、このような吐出不良を目立たなくすることができる液体吐出ヘッドを提供することを目的とするものである。

請求項１の発明は、前面に複数のノズルがそれぞれ列状に配置された複数のノズル列と、前記各ノズルに連通する複数の圧力室と、前記各ノズル列に対応して互いに平行に延び前記各圧力室に連通する複数の共通液室とを有するキャビティユニットを備え、前記各共通液室から前記圧力室を経由して前記ノズルに液体が供給される液体吐出ヘッドであって、前記各共通液室は、前記ノズル列方向の両方の端部からその中央部に向けて液体が供給され、隣り合う前記共通液室どうしでは前記両方の端部から供給される液体の合流位置が前記ノズル列方向において異なることを特徴とするものである。ここで、「液体の合流位置」とは、液体の見かけ上における合流位置、つまり、純粋な液体の合流位置ではなく、模式的または等価的な意味での合流位置である。さらに、「液体の合流位置」とは、前記共通液室の前記両方の端部（さらには、後述する液体供給部）からのそれぞれの流路抵抗値が等しく、かつその流路抵抗値が最大となる位置である。また、「隣り合う前記共通液室どうしでは前記両方の端部から供給される液体の合流位置が前記ノズル列方向において異なる」とは、隣り合う共通液室どうしで異なるだけでなく、すべての共通液室において、合流位置がすべて異なる位置であってもよいのはもちろんである。両方の端部から各共通液室に供給される液体の総液量が同じであればよいからである。

このようにすれば、隣り合う前記共通液室どうしでは前記両方の端部から供給される液体の合流位置が前記ノズル列方向において異なるようにしたから、ノズル列方向での吐出不良ノズルの位置が揃わず、前述したような白抜き部分が太く現れてしまうことがなくなり、前記気泡の存在を理由とする吐出不良を目立たなくすることができる。

請求項２の発明は、請求項１の液体吐出ヘッドにおいて、前記キャビティユニットの背面側であって前記ノズル列方向の一方端側に前記各共通液室の一方の端部にそれぞれ連通する複数の第１の液体供給部が、他方端側に前記各共通液室の他方の端部にそれぞれ連通する複数の第２の液体供給部が形成され、前記各共通液室それぞれにおける前記第１の液体供給部での液体流速と前記第２の液体供給部での液体流速とが異なるとともに、隣り合う２つの前記共通液室における前記第１の液体供給部どうしでの液体流速が異なり、前記隣り合う２つの前記共通液室における前記第２の液体供給部どうしでの液体流速が異なるというものである。ここで、第１及び第２の液体供給部は、キャビティユニットの背面側から、共通液室の間に存在していればよい。

このようにすれば、前記各共通液室それぞれにおける前記第１の液体供給部での液体流速と前記第２の液体供給部での液体流速とが異なるとともに、隣り合う２つの前記共通液室における前記第１の液体供給部どうしでの液体流速が異なり、前記隣り合う２つの前記共通液室における前記第２の液体供給部どうしでの液体流速が異なるようにすることで、隣り合う前記共通液室どうしでは前記両方の端部から供給される液体の合流位置が前記ノズル列方向において異なるようにすることができる。

請求項３の発明は、請求項２の液体吐出ヘッドにおいて、前記複数の第１及び第２の液体供給部には、複数の第１及び第２のフィルタがそれぞれ設けられ、前記第１及び第２の液体供給部での液体流速は、前記第１及び第２のフィルタを前記液体が通過する際の抵抗を変えることで、異なるというものである。ここで、「第１及び第２のフィルタを前記液体が通過する際の抵抗を変える」には、フィルタの有効面積が等しい場合にはフィルタの孔径（目の粗さ）を変えて抵抗を変える場合や、フィルタの孔径（目の粗さ）が等しい場合には液体が通過するフィルタの有効面積を変えて抵抗を変える場合、フィルタの有効面積およびフィルタの孔径（目の粗さ）の両方を変えて抵抗を変える場合などが含まれる。

このようにすれば、前記第１及び第２のフィルタを前記液体が通過する際の抵抗を変えることで、簡単に、前記第１及び第２の液体供給部での液体流速が異なるようにすることができる。特に、他の構成要素を変更することなく、フィルタを変更するだけでよいので、簡単に実施することができる。

請求項４の発明は、請求項３の液体吐出ヘッドにおいて、前記複数の第１のフィルタは共通の第１のベース部材に設けられ、前記複数の第２のフィルタは共通の第２のベース部材に設けられているというものである。

このようにすれば、複数の第１のフィルタや複数の第２のフィルタを、ベース部材を用いて、一体化することができ、第１及び第２の液体供給部への取付けが容易となる。

請求項５の発明は、請求項２の液体吐出ヘッドにおいて、前記第１及び第２の液体供給部での液体流速は、前記液体供給部の開口面積を変えることで、異なるというものである。

このようにすれば、液体供給部の開口面積を変えることで、簡単に前記第１及び第２の液体供給部での液体流速が異なるようにすることができる。

請求項６の発明は、請求項１の液体吐出ヘッドにおいて、前記キャビティユニットの背面側であって前記ノズル列方向の一方端側に前記各共通液室の一方の端部にそれぞれ連通する複数の第１の液体供給部が、他方端側に前記各共通液室の他方の端部にそれぞれ連通する複数の第２の液体供給部が形成され、前記複数の第１及び第２の液体供給部に対し、前記第１及び第２の液体供給部に接続される複数の液室を有し前記第１及び第２の液体供給部に前記液体を分配して供給する補助通路ユニットが接続され、前記補助通路ユニットに形成される前記複数の液室は、１つの前記共通液室それぞれに連通する前記第１の液体供給部での液体流速と前記第２の液体供給部での液体流速とが異なるとともに、隣り合う２つの前記共通液室にそれぞれ連通する前記第１の液体供給部どうしでの液体流速が異なり、前記隣り合う２つの前記共通液室における前記第２の液体供給部どうしでの液体流速が異なるように形成されているというものである。

このようにすれば、補助通路ユニットを用い、前記補助通路ユニットに形成される前記複数の液室を工夫して、１つの前記共通液室それぞれに連通する前記第１の液体供給部での液体流速と前記第２の液体供給部での液体流速とが異なるとともに、隣り合う２つの前記共通液室にそれぞれ連通する前記第１の液体供給部どうしでの液体流速が異なり、前記隣り合う２つの前記共通液室における前記第２の液体供給部どうしでの液体流速が異なるようにすることができる。

請求項７の発明は、請求項６の液体吐出ヘッドにおいて、前記複数の液室は、前記第１または第２の液体供給部に対し接続される第１及び第２の接続部を有し、前記第１または
第２の液体供給部での液体流速は、前記第１または第２の接続部の開口面積を変えることで、異なるというものである。

このようにすれば、前記第１または第２の接続部の開口面積を変えることで、簡単に前記第１及び第２の液体供給部での液体流速が異なるようにすることができる。

本発明は、上記のように、隣り合う前記共通液室どうしでは前記共通液室の両方の端部から供給される液体の合流位置が前記ノズル列方向において異なるようにしたから、ノズル列方向での吐出不良ノズルの位置が揃わず、目立ちにくくなる。

本発明の一実施の形態である圧電式インクジェットプリンタヘッドの分解斜視図である。 キャビティユニットの拡大分解斜視図である。 図１のIII−III線における拡大断面図である。 図１のIV-IV線における拡大断面図である。 作用説明図である。 変形例についての説明図である。 （ａ）（ｂ）（ｃ）はそれぞれ比較例についての作用説明図である。

次に、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。

図１は本発明の実施形態による圧電式のインクジェットプリンタヘッド１におけるキャビティユニット２と圧電アクチュエータ３の斜視図であり、キャビティユニット２は分解した状態を示している。

インクジェットプリンタヘッド１は、金属板製のキャビティユニット２にプレート型の圧電アクチュエータ３が接合され、この圧電アクチュエータ３の上面に外部機器との接続のためのフレキシブルフラットケーブル４が重ねて接合されている。そして、キャビティユニット２の前面側（図１においては下面側）に開口されたノズル５から、下向きにインクが吐出するものとする。

キャビティユニット２は、ノズルプレート１１、第１スペーサプレート１２、ダンパープレート１３、２枚のマニホールドプレート１４ａ，１４ｂ、第２スペーサプレート１５、第３スペーサプレート１６、及びベースプレート１７の合計８枚の薄い板を重ねて接合した構造としている。ノズルプレート１１には、微小径のインク吐出用の複数のノズル５が印刷時の解像度に応じた微小間隔で列状に形成されている。このノズル５は、ノズルプレート１１における長辺方向Ｘ（ノズル列方向）に沿って、千鳥配列状で複数のノズル列（この実施の形態では５列のノズル列）として配置されている。

また、ベースプレート１７には、各ノズル５に連通する複数の圧力室３６がベースプレート１７の長辺方向Ｘに沿って千鳥配列状で５列に配列されている。ここで、圧電アクチュエータ３は、各圧力室３６に対応する複数の個別表面電極９と、これらに対応するコモン電極とを有し、個別表面電極９に選択的にフレキシブルフラットケーブル４を介して電圧を印加することで、圧電縦効果による積層方向の歪みを発生させるので、この歪みにより前記選択された個別表面電極９に対する圧力室３６の内容積が縮小させ、圧力室３６内のインクをノズル５から液滴状に吐出させることで、印字できるようになっている。

図２に示すように、ノズル５と連通する圧力室３６の一端部３６ａと後述する共通インク室７（共通液室）と連通する他端部３６ｂとを結ぶ方向を圧力室３６の長手方向とする。各圧力室３６は、その長手方向がベースプレート１７における短辺方向Ｙに沿うように細幅に形成されている。

各圧力室３６の一端部３６ａは、第３スペーサプレート１６、第２スペーサプレート１５、２枚のマニホールドプレート１４ａ，１４ｂ、ダンパープレート１３、及び第１スペーサプレート１２に、同じく千鳥配列状にて形成されている微小径の貫通孔３７を介して、ノズルプレート１１における各ノズル５に連通している。

ベースプレート１７の下面に隣接する第３スペーサプレート１６には、各圧力室３６の他端部３６ｂに接続するために、各他端部３６ｂに対応する位置に連通孔３８が形成されている。

第３スペーサプレート１６の下面に隣接する第２スペーサプレート１５には、後述する共通インク室７から各圧力室３６へインクを供給するための接続流路４０が設けられる。そして、各接続流路４０には、共通インク室７からインクが入る入口孔４０ａと、圧力室３６側（連通孔３８）に開口する出口孔４０ｂと、入口孔４０ａと出口孔４０ｂとの間にあって、出口孔４０ｂよりも接続流路４０中で最も大きな流路抵抗となるように断面積を小さくして形成された絞り部４０ｃとが備えられている。この絞り部４０ｃは、例えば、第３スペーサプレート１６に隣接する面側をハーフエッチングすることによって、所定の流路抵抗を持つように形成されている。入口孔４０ａと出口孔４０ｂとは絞り部４０ｃの両端部に位置合わせして形成されている。入口孔４０ａは第２スペーサプレート１５を貫通している。出口孔４０ｂは第２スペーサプレート１５における第３スペーサプレート１６との隣接面に凹み形成されている。

２枚のマニホールドプレート１４ａ，１４ｂには、その長辺方向Ｘに沿って長い５つの共通インク室７が前記ノズル列に対応して互いに平行に延びるように板厚さを貫通して形成されている。すなわち２枚のマニホールドプレート１４ａ，１４ｂを積層し、且つその上面を第２スペーサプレート１５にて覆い、下面をダンパープレート１３にて覆うことにより、合計５つの共通インク室７が密閉状に形成される。各共通インク室７は、各プレートの積層方向から見た平面視において、圧力室３６の一部と重なって圧力室３６の列方向に沿って長く延びている。

図２及び図３に示すように、マニホールドプレート１４ａの下面に隣接するダンパープレート１３の下面側には、共通インク室７と隔絶されたダンパ室４５が凹み形成されている。この各ダンパ室４５の位置及び形状は、各共通インク室７と一致させている。このダンパープレート１３は、適宜弾性変形し得る金属素材であるため、ダンパ室４５の薄い板状の底板部は、共通インク室７側にも、ダンパ室４５側にも自由に振動することができる。インク吐出時に、圧力室３６で発生した圧力変動が共通インク室７に伝播しても、前記底板部が弾性変形して振動することにより、前記圧力変動を吸収減衰させるというダンパ効果を奏し、圧力変動が他の圧力室３６へ伝播するというクロストークを防止することができるものである。

以上のように形成された８枚の薄い板１１〜１７を互いに位置合わせして重ね接合することで、キャビティユニット２が構成される。これにより、図３に示すように、キャビティユニット２の内部に長辺方向Ｘに延びる共通インク室７が形成される。更に、この共通インク室７に開口した接続流路４０の入口孔４０ａから連通孔３８、圧力室３６、貫通孔３７を順次経由してノズル５に至る個別のインク流通路が形成される。

また、図１に示すように、キャビティユニット２の背面側であって長辺方向Ｘ（ノズル列方向）の一方端側に各共通インク室７の一方の端部にそれぞれ連通する複数の第１のインク供給口（第１の液体供給部）４７Ａが、他方端側に各共通インク室７の他方の端部にそれぞれ連通する複数の第２のインク供給口４７Ｂ（第２の液体供給部）が形成されている。

ベースプレート１７、第２スペーサプレート１５、及び第３スペーサプレート１６の両端部には、上下の位置を対応させてそれぞれ５つの第１及び第２のインク供給口４７Ａ，４７Ｂが、長辺方向Ｘの両端部において、短辺方向Ｙに沿って並ぶように形成されている。

そして、各共通インク室７それぞれにおける第１のインク供給口４７Ａでのインク流速（液体流速）と第２のインク供給口４７Ｂでのインク流速とが異なるとともに、隣り合う２つの共通インク室７における第１のインク供給口４７Ａどうしでのインク流速が異なり、隣り合う２つの共通インク室７における第２のインク供給口４７Ｂどうしでのインク流速が異なるようになっている。

この実施の形態では、図１に示すように、インク供給口４７Ａ，４７Ｂが左右に５つずつ設けられているのに対して、共通インク室７が５つ設けられている。なお、これら左に５つ配置される第１のインク供給口４７Ａを、図１の左側から順に４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ，４７Ａｃ，４７Ａｄとし、右に５つ配置される第２のインク供給口４７Ｂを、図１の左側から順に４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ，４７Ｂｃ，４７Ｂｄとし、これらが連通する共通インク室７を、図１の左側から順に７ａａ，７ａｂ，７ｂ，７ｃ，７ｄする。

インク供給口４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ｂａａ，４７Ｂａｂには、ブラックインクが供給されるように設定され、それぞれ、図１における左側に配置された２つの共通インク室７ａａ，７ａｂに連通している。これは、モノクロ記録時の記録速度をカラー記録の場合よりも速くしたときには、ブラックインクの単位時間当りの消費量が他のカラーインクに比べて多くなることを考慮して、２つの共通インク室７ａａ，７ａｂを持つようにしている。

他のインク供給口４７Ａｂ，４７Ａｃ，４７Ａｄ，４７Ｂｂ，４Ｂｃ，４７Ｂｄには、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクがそれぞれ単独に供給され、それぞれのインク供給口４７Ａｂ，４７Ｂｂ，４７Ａｃ，４Ｂｃ，４７Ａｄ，４７Ｂｄに、対応する共通インク室７ｂ，７ｃ，７ｄの各端部に連通している（図１及び図５参照）。

そして、対応する関係にあるインク供給口と共通インク室、例えばインク供給口４７Ａａａ，４７Ｂａａと共通インク室７ａａにおける長辺方向Ｘの両端部（第１の端部及び第２の端部）とは、プレートの積層方向から見た平面視で、ほぼ重なるような位置関係となっている。そして、他のインク供給口４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄと、それらに対応する共通インク室７ａｂ，７ｂ〜７ｄの第１の端部及び第２の端部も、いずれもプレートの積層方向から見た平面視で、ほぼ重なるような位置関係となるようにほぼ同じ大きさ及び形状に設定されている。

各金属製のプレート１２〜１７におけるインク供給口４７Ａ，４７Ｂ、共通インク室７、貫通孔３７、連通孔３８、接続流路４０、ダンパ室４５等の凹みや貫通する孔等は、エッチング加工、放電加工、プラズマ加工、レーザ加工等により形成されている。

また、ベースプレート１７の背面のうちインク供給口４７Ａ，４７Ｂの群の箇所には、
薄い厚みの金属製、ポリイミド等の合成樹脂製またはセラミックス製で平面視ほぼ矩形薄シート状の第１及び第２のフィルタ体２０Ａ，２０Ｂが全てのインク供給口４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄ，４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄを覆うように接着剤にて接合されている。この第１及び第２のフィルタ体２０Ａ，２０Ｂは、各インク供給口４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄ，４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄに対応する箇所においては、インクタンク（図示せず）から供給されるインク中のゴミ・塵等の異物を取り除くための第１及び第２のフィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄがそれぞれ合計５つ対応して形成されている（図１参照）。

フィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄはそれぞれ第１及び第２のベース部材２１Ａ，２１Ｂに設けられて（形成される場合を含む）、第１及び第２のフィルタ体２０Ａ，２０Ｂとされ、取り付けられた状態で、対応するインク供給口４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄ，４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄとほぼ重なるような形状を有する。フィルタ体２０Ａ，２０Ｂにおける各フィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄの周囲（第１及び第２のベース部材２１Ａ，２１Ｂ）は、ベースプレート１７との接着代（取り付け代）になっている。

ここで、金属製のフィルタ体にフィルタを一体的に形成するには、例えば電鋳加工、プラズマ加工、レーザ加工等により、前記フィルタ体の厚み方向に貫通する微小径の孔を多数個形成すればよい。また、フィルタの平面視輪郭形状は略小判型に限らず、長円形（楕円形）、矩形状、多角形状であっても構わない。

なお、第１または第２のベース部材２１Ａ，２１Ｂにより、それぞれのフィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄをまとめてフィルタ体２０Ａ，２０Ｂとする場合だけでなく、それぞれ別々のフィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄとして形成し、それらをベースプレート１７に直接接着することも可能である。

フィルタ体２０Ａ，２０Ｂを接合するときの取付け誤差を考慮して、各フィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄは、それぞれ対応するインク供給口４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄ，４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄよりも若干大きめに形成している。また、一端部側における第１のフィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄは、ブラックインク用のフィルタ２０Ａａｂ、マゼンタインク用のフィルタ２０Ａｃの有効面積（開口面積）が、ブラックインク用のフィルタ２０Ａａａ，イエローインク用のフィルタ２０Ａｂ、シアンインク用のフィルタ２０Ａｄの有効面積より大きく形成されている。他端部側における第２のフィルタ２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄは、ブラックインク用フィルタ２０Ｂａａ，イエローインク用のフィルタ２０Ｂｂ、シアンインク用のフィルタ２０Ｂｄの有効面積が、ブラックインク用のフィルタ２０Ｂａｂ、マゼンタインク用のフィルタ２０Ｂｃの有効面積より大きく形成されている。すなわち、すべての色のフィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄについて、孔径（目の粗さ）が等しく、１つの共通インク室７に連通する各インク供給口４７Ａ、４７Ｂに設けられるフィルタ２０Ａ，２０Ｂの有効面積が異なり、隣り合うフィルタ２０Ａ，２０Ｂの有効面積も異なるようになっている。この実施の形態では、各端部において有効面積が大きいフィルタ２０Ａａｂ，２０Ａｃ（２０Ｂａａ，２０Ｂｂ，２０Ｂｄ）と小さいフィルタ２０Ａａａ，２０Ａｂ，２０Ａｄ（２０Ｂａｂ，２０Ｂｃ）とが交互に配置されている。ここで、フィルタとしては、すべての色のフィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０
Ｂｄについて、孔径（目の粗さ）を等しくして、有効面積が大きいフィルタ２０Ａａｂ，２０Ａｃ（２０Ｂａａ，２０Ｂｂ，２０Ｂｄ）と小さいフィルタ２０Ａａａ，２０Ａｂ，２０Ａｄ（２０Ｂａｂ，２０Ｂｃ）との２種類を組み合わせて用いているが、２種類に拘ることはなく、それぞれの共通インク室７ａａ，７ａｂ，７ｂ〜７ｄ間において、１つの共通インク室に対する抵抗値の総和が同じになるようすれば、第１および第２のフィルタ体２０Ａ，２０Ｂにおける各フィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄの有効面積をすべての共通インク室で変更させてもよい。

よって、第１及び第２のフィルタ体２０Ａ，２０Ｂのフィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄの有効面積（開口面積）が異なることで、フィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄをインクが通過する際の抵抗を変え、第１及び第２のインク供給口４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄ，４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄでのインク流速は、異なるようになっている。

以上の構成において、インクタンク（図示せず）からキャビティユニット２に流入するインクは、フィルタ体２０Ａ，２０Ｂの各フィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄで異物を捕捉（除去）した後、インク供給口４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄ，４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄから共通インク室７ａａ，７ａｂ，７ｂ〜７ｄに供給される。これにより各共通インク室７ａａ，７ａｂ，７ｂ〜７ｄは、長辺方向Ｘ（ノズル列方向）の両方の端部からその中央部に向けてインクが供給されるようになっている。これにより、各共通インク室７への、インク供給量の増加を図ることができるようになる。

次いで、図２に示すように、インクは、第２スペーサプレート１５の接続流路４０及び第３スペーサプレート１６の連通孔３８を経由して各圧力室３６の他端部３６ｂに分配供給される。そして、後述するように、圧電アクチュエータ３の駆動により、インクは各圧力室３６内から貫通孔３７を通って、その圧力室３６に対応するノズル５に至り、記録用紙への印字に用いられる。

そして、前述したように、フィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄの有効面積が異なることから、各共通インク室７ａａ，７ａｂ，７ｂ〜７ｄそれぞれにおける第１のインク供給口４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄでのインク流速と第２のインク供給口４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄでのインク流速とが異なるとともに、隣り合う２つの共通インク室７ａａ，７ａｂ，７ｂ〜７ｄにおける第１のインク供給口４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄどうしでのインク流速が異なり、隣り合う２つの共通インク室７ａａ，７ａｂ，７ｂ〜７ｄにおける第２のインク供給口４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄどうしでのインク流速が異なることになる。よって、図５に示すように、隣り合う共通インク室７ａａ，７ａｂ，７ｂ〜７ｄどうしでは前記両方の端部から供給されるインクの見かけ上の合流位置Ｐ１１，Ｐ１２，Ｐ１３，Ｐ１４が長辺方向Ｘ（ノズル列方向）においてずれて異なり、吐出不良となるノズル５の位置が揃わなくなるようにすることができる。その結果、前述したような気泡の存在を理由とする吐出不良に基づく、記録用紙上の生じる白抜き部分が短辺方向Ｙにおいて揃わず、白抜き部分が目立ちにくくなる。

本発明は、前述した実施の形態に限らず、次のように変更して実施することも可能である。

(i)前述した実施の形態では、ブラックインク用の共通インク室は、前述した理由から
２つの共通インク室７ａａ，７ａｂとしているが、このブラックインク用の共通インク室も他のインクと同様に１つの共通インク室としてよいのはもちろんである。

(ii)前述した実施の形態では、第１及び第２のインク供給口４７Ａ，４７Ｂでのインク流速を異なるようにするのは、フィルタ体２０Ａ，２０Ｂのフィルタの有効面積を変えることで異なるようにしているが、本発明はそれに限定されるものではなく、フィルタ体２０Ａ，２０Ｂのフィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄの有効面積を等しくし、フィルタの孔径（目の粗さ）を変えることで異なるようにしてもよいし、フィルタの有効面積およびフィルタの孔径（目の粗さ）の両方を変えることで異なるようにしてもよいし、インク供給口４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄ，４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄ自体の有効面積を変えることで異なるようにすることも可能である。

また、複数の第１及び第２のインク供給口４７Ａ，４７Ｂ（４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄ，４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄ）に対し、フィルタ体２０Ａ，２０Ｂ（フィルタ２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ，２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄ）を介して接続される複数のインク室５１Ａを有し第１及び第２のインク供給口４７Ａ，４７Ｂにインクを分配して供給する補助通路ユニット５１が接続される場合には、この補助通路ユニット５１に形成される複数のインク室５１Ａを、１つの共通インク室７それぞれにおける第１のインク供給口４７Ａでのインク流速と第２のインク供給口４７Ｂでのインク流速とが異なるとともに、隣り合う２つの共通インク室７における第１のインク供給口どうしでのインク流速が異なり、隣り合う２つの共通インク室７における第２のインク供給口どうしでのインク流速が異なるように形成することで、同様の効果を得ることも可能である。なお、５２はインクタンク（図示せず）からのインク供給パイプである。この場合は、複数のインク室５１Ａは、第１及び第２のインク供給口４７Ａ，４７Ｂに対し接続される第１及び第２の接続口（接続部）５１Ａａ，５１Ａｂを有するので、例えば第１及び第２のインク供給口４７Ａ，４７Ｂでのインク流速は、第１及び第２の接続口４７Ａ，４７Ｂの開口面積を変えることで、異なるようにすることができる。また、前述したようにインク流速が異なるように各インク室５１Ａの内部形状を変えるようにすることも可能である。

(iii)液体吐出ヘッドはインクジェットヘッドである場合に限定されるものではなく、
着色液を微小液滴として塗布、あるいは導電液を吐出して配線パターンを形成するなどの他の液体吐出ヘッドにも適用することができる。

(iv)被液体吐出媒体としては記録用紙だけでなく、樹脂、布などの各種のものを用いることができ、また吐出される液体としてはインクだけでなく、着色液、機能液、前処理液、画質向上液などの各種のものを含めて用いることができる。
インク供給口から供給されるインクの種類は、前述のカラーインクに限らず、艶出し液などを含めてもよい。カラーインクの種類も問わない。

(v)インク供給口の平面視輪郭形状も、略円形、略小判型、長円形（楕円形）、矩形状
、多角形状等といった様々な形状を採用することができる。ここで、キャビティユニットの短辺方向の巾寸法を短くするに際しては、インク供給口も、積層方向から見た平面視において、キャビティユニットの長辺方向Ｘに沿って長い平面視輪郭形状にすべきであることはいうまでもない。また、インク供給口の数自体も前述の実施形態に限定されない。

(vi)インクジェットヘッドに適用する場合には、シリアルタイプのインクジェットヘッドに限らず、記録用紙の幅以上のノズル列を有するラインヘッドとすることもできる。また、インクジェットヘッドの駆動方式としては、圧電方式、静電吸引方式、電気−熱変換
方式（サーマル方式）などを利用することができる。

１ インクジェットヘッド
２ キャビティユニット
３ 圧電アクチュエータ
４ フレキシブルフラットケーブル
５ ノズル
７（７ａａ，７ａｂ，７ｂ〜７ｄ） 共通インク室（共通液室）
９ 個別表面電極
１１ ノズルプレート
１２ 第１スペーサプレート
１３ ダンパープレート
１４ａ，１４ｂ マニホールドプレート
１５ 第２スペーサプレート
１６ 第３スペーサプレート
１７ ベースプレート
２０Ａ，２０Ｂ フィルタ体
２０Ａａａ，２０Ａａｂ，２０Ａｂ〜２０Ａｄ 第１のフィルタ
２０Ｂａａ，２０Ｂａｂ，２０Ｂｂ〜２０Ｂｄ 第２のフィルタ
２１Ａ，２１Ｂ ベース部材
３６ 圧力室
３７ 貫通孔
３８ 連通孔
４０ 接続流路
４５ ダンパ室
４７Ａ（４７Ａａａ，４７Ａａｂ，４７Ａｂ〜４７Ａｄ） 第１のインク供給口（第１の液体供給部）
４７Ｂ（４７Ｂａａ，４７Ｂａｂ，４７Ｂｂ〜４７Ｂｄ） 第２のインク供給口（第２の液体供給部）
５１ 補助通路ユニット
５１Ａ インク室（液室）
５１Ａａ，５１Ａｂ 接続口
Ｔ 記録用紙

Claims (7)

1. 前面に複数のノズルがそれぞれ列状に配置された複数のノズル列と、前記各ノズルに連通する複数の圧力室と、前記各ノズル列に対応して互いに平行に延び前記各圧力室に連通する複数の共通液室とを有するキャビティユニットを備え、前記各共通液室から前記圧力室を経由して前記ノズルに液体が供給される液体吐出ヘッドであって、
   前記各共通液室は、前記ノズル列方向の両方の端部からその中央部に向けて液体が供給され、
   隣り合う前記共通液室どうしでは前記両方の端部から供給される液体の合流位置が前記ノズル列方向において異なることを特徴とする液体吐出ヘッド。
   
2. 前記キャビティユニットの背面側であって前記ノズル列方向の一方端側に前記各共通液室の一方の端部にそれぞれ連通する複数の第１の液体供給部が、他方端側に前記各共通液室の他方の端部にそれぞれ連通する複数の第２の液体供給部が形成され、
   前記各共通液室それぞれにおける前記第１の液体供給部での液体流速と前記第２の液体供給部での液体流速とが異なるとともに、
   隣り合う２つの前記共通液室における前記第１の液体供給部どうしでの液体流速が異なり、前記隣り合う２つの前記共通液室における前記第２の液体供給部どうしでの液体流速が異なることを特徴とする請求項１記載の液体吐出ヘッド。
   
3. 前記複数の第１及び第２の液体供給部には、複数の第１及び第２のフィルタがそれぞれ設けられ、
   前記第１及び第２の液体供給部での液体流速は、前記第１及び第２のフィルタを前記液体が通過する際の抵抗を変えることで、異なることを特徴とする請求項２記載の液体吐出ヘッド。
   
4. 前記複数の第１のフィルタは共通の第１のベース部材に設けられ、前記複数の第２のフィルタは共通の第２のベース部材に設けられていることを特徴とする請求項３記載の液体吐出ヘッド。
   
5. 前記第１及び第２の液体供給部での液体流速は、前記液体供給部の開口面積を変えることで、異なることを特徴とする請求項２記載の液体吐出ヘッド。
   
6. 前記キャビティユニットの背面側であって前記ノズル列方向の一方端側に前記各共通液室の一方の端部にそれぞれ連通する複数の第１の液体供給部が、他方端側に前記各共通液室の他方の端部にそれぞれ連通する複数の第２の液体供給部が形成され、
   前記複数の第１及び第２の液体供給部に対し、前記第１及び第２の液体供給部に接続される複数の液室を有し前記前記第１及び第２の液体供給部に前記液体を分配して供給する補助通路ユニットが接続され、
   前記補助通路ユニットに形成される前記複数の液室は、１つの前記共通液室それぞれに連通する前記第１の液体供給部での液体流速と前記第２の液体供給部での液体流速とが異なるとともに、隣り合う２つの前記共通液室における前記第１の液体供給部どうしでの液体流速が異なり、前記隣り合う２つの前記共通液室にそれぞれ連通する前記第２の液体供給部どうしでの液体流速が異なるように形成されていることを特徴とする請求項１記載の液体吐出ヘッド。
   
7. 前記複数の液室は、前記第１または第２の液体供給部に対し接続される第１及び第２の接続部を有し、
   前記第１または第２の液体供給部での液体流速は、前記第１または第２の接続部の開口面積を変えることで、異なることを特徴とする請求項６記載の液体吐出ヘッド。

Images