JP4624632B2 - シュウ酸カルシウムのスケーリングを測定する方法および装置 - Google Patents

シュウ酸カルシウムのスケーリングを測定する方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
技術分野
この発明は、流体のシュウ酸カルシウムスケール形成性向およびシュウ酸カルシウムスケール抑制物質の効果を測定するための方法および装置に関する。特に、この発明は、流体中に浸漬された圧電微量天秤の表面上へのシュウ酸カルシウムスケールの析出速度を測定する方法であって、微量天秤の近傍において電気化学的に制御されるpH変化によりスケールの析出が促進される方法に関する。
【0002】
発明の背景
シュウ酸カルシウムスケールは、パルプ漂白や砂糖製造等の、水を含む様々な工業の工程において根強い問題である。シュウ酸カルシウムスケールは、水中に浮遊して残存し、あるいは、水と接触するあらゆる材料の表面上に蓄積する硬い堆積物を形成する場合がある。このような蓄積によって、効果的な熱伝達が妨げられて、流体の流れが妨げられるとともに、腐食が容易に進行し、バクテリアの繁殖を招く。
【0003】
スケール形成および堆積物に関連する主な有害な効果は、水の貯留および移動に使用される容器および管路の容積や内径の減少である。スケールで汚染された水を移動させるために使用される管路の場合、スケール堆積物によって生じる流れのインピーダンスは、非常に重大である。
【0004】
しかしながら、多くの同等に重要な問題は、スケールで汚染された水の利用によって生じる。例えば、工程水のための、搬送ラインおよび収納容器の表面上のスケール堆積物は、遊離して、工程水と共に運ばれ、工程水が通過する装置、例えばチューブ、弁、フィルタ、スクリーンを損傷させたり詰まらせたりする虞がある。また、これらの堆積物は、その工程によって得られる最終生成物、例えばパルプの懸濁液から形成される紙に現われて、質を低下させる。
【0005】
また、スケールによって汚染された水が「熱媒体」または冷媒体として熱交換プロセス中に含まれる場合、水と接触する熱交換器表面上にスケールが形成される。このようなスケール形成により、熱伝達効率を低下させ且つシステムを通じた流れを妨げる断熱バリアすなわち熱遮断バリアが形成される。したがって、スケール形成は、多くの工業水のシステムにおいて費用のかかる問題であり、この堆積物の清掃および除去のための操業休止に伴う遅延や費用を生じさせる。
【0006】
生物学的な流体におけるシュウ酸カルシウムスケールは、もう1つの重大な問題である。特に、腎臓結石はシュウ酸カルシウムによって形成され、また、シュウ酸カルシウムの析出に関する尿分析は、腎臓結石形成に対する患者の感受性を評価したり、医薬治療をモニタしてスクリーニングするために使用される。
【0007】
したがって、現在、流体中でのシュウ酸カルシウムスケールの形成を防止し又は抑制する新たな物質を開発することが必要であり、また、これらの抑制物質の効果を測定する便利な方法が必要である。また、天然の抑制物質が対象となる溶液中に既に存在している場合には、工業的および生物学的な溶液そのものがシュウ酸カルシウム沈殿物を形成する傾向を測定する有効な方法が必要である。
【0008】
これらのシュウ酸カルシウムスケール抑制物質の効果は、結晶化の潜在的な中心の活性部位をブロックして、成長する結晶の凝集を防止することにより結晶の成長を抑制する抑制物質の能力によって明示される。
【0009】
上述のプロセスに共通していることは、固−液界面でそれらがおこるという点である。したがって、シュウ酸カルシウムスケール抑制物質の存在下において固−液界面における結晶の成長速度をその場で(in situ)測定することが特に重要である。従来の測定は、結晶形成後の溶解度、伝導率、濁度等といった試験液のバルク特性の変化に、主に関係したものである。結晶成長速度を測定する方法は僅かしか存在せず、固−液界面においてその場で(in situ)測定を行なう方法は更に少ない。
【0010】
圧電微量天秤を使用して、固−液界面で結晶成長速度を測定する方法は、米国特許第5,201,215号、米国特許出願第09/338,699号、欧州特許出願公開第676 637号に開示されている。圧電質量測定の原理は、析出物質の質量および粘弾性特性に比例してその機械的な共振周波数f0を変える水晶振動子の特性に基づいている。周波数の変化は、以下のように表わされる。
【0011】
【化1】
Figure 0004624632
【0012】
ここで、f0は水晶の定常共振周波数であり、Nは調和次数、μμは水晶の剪断剛性、ρqは水晶の密度、ρsは堆積物の表面密度(質量/面積)、ρは振動子と接触する媒体の密度、ηは振動子と接触する媒体の粘度である。
【0013】
システムの粘弾性特性を無視しても良い場合、あるいは、システムの粘弾性特性が測定中において一定のままである場合、最大5%(約4.5mg/cm2)の共振周波数変化を引き起こす負荷に対して使用できる簡単な式を使用して、表面密度を測定することができる。
ρs=−CΔf0
ここで、Cは、較正によって決定され、5MHzの水晶において一般に1.77×10-5mg/(sec cm2 Hz)に等しい。
【0014】
しかしながら、ここで述べるように、前記引用例に記載された圧電微量天秤は、微量天秤の表面上にシュウ酸カルシウム結晶が析出するために必要な条件を与えないため、シュウ酸カルシウム溶液の試験に適していない。したがって、シュウ酸カルシウムスケール形成挙動を示す条件下で、溶液のシュウ酸カルシウムスケール形成傾向を測定する方法の必要性が依然として存在する。
【0015】
発明の概要
我々は、金属メッキされた水晶微量天秤を使用し、特に、適切な電気分極を金属表面(作用電極)に与えて微量天秤の近傍の溶液pHを制御することによって、微量天秤の表面上にシュウ酸カルシウム結晶を析出させるために必要な条件を与えることができることを見出した。
【0016】
しかしながら、水晶微量天秤のメッキ用には、いずれの材料も使用することができるわけではない。すなわち、従来の金コーティングされた結晶を利用する圧電微量天秤を使用してシュウ酸カルシウムスケール抑制物質を試験することはできない。これは、シュウ酸塩スケール形成に適したpHを表面近傍に与える電位で、激しい水素放出が見られるからである。この水素放出は、微量天秤上におけるシュウ酸カルシウムスケールの析出を妨げたり、完全に起こらないようにする場合がある。
【0017】
また、試験液は、適切なpHおよびシュウ酸カルシウム濃度を有していなければならない。溶液のpHは、構成物質の完全な溶解をもたらすように十分低くなければならない。しかしながら、2を下回るpHは、電気化学的な分極にとって非常に低いため、水素気泡の放出を避けながら、溶液からシュウ酸カルシウムを析出させる十分なpH増大を水晶微量天秤で生じさせることができない場合がある。一方、3を上回るpHでは、適度な析出速度および迅速な試験の完了にとって十分なシュウ酸イオン濃度およびカルシウムイオン濃度をバルク溶液内で得られない場合がある。
【0018】
更に、抑制物質の表面活性および沈殿物の界面の吸収特性は、pHによって決まる。様々な溶液に対してスクリーニング条件を同一に維持するためには、微量天秤の作用電極の近傍における実際のpH情報が必要である。
【0019】
我々は、水晶微量天秤(QCM)の作用電極に代表される析出基板近傍の酸素が飽和した酸性試験液のpH変化を制御することによって、シュウ酸カルシウム抑制物質および工業的および生物学的な溶液のシュウ酸カルシウム析出能力を試験する方法および装置を開発した。
【0020】
したがって、その主な実施例において、本発明は、pHが約2から約3である連続的に流れる溶液のシュウ酸カルシウムスケール形成性向を測定する方法であって、溶液と接触する作用電極を備える上面と、溶液から離間された底面とを備える水晶微量天秤上への、溶液からのシュウ酸カルシウムスケールの析出速度を測定することを含み、微量天秤近傍の溶液のpHは、約3.5から約9に電気化学的に制御され、微量天秤近傍で3.5から9のpHを得るために必要な電位よりも更に負の電位で激しい水素の放出が起こる導電材料で、作用電極がコーティングされ或は形成されている方法に関する。
【0021】
他の形態において、この発明は、シュウ酸カルシウムスケール抑制物質の効果を測定する方法であって、
a)溶液と接触する作用電極を備える上面と、溶液から離間された底面とを備える水晶微量天秤上への、溶液からのシュウ酸カルシウムスケールの堆積速度を測定することを含む、pHが約2から約3である連続的に流れる溶液のシュウ酸カルシウムスケール形成性向を測定すること、ここで、微量天秤近傍の溶液のpHが、約3.5から約9に電気化学的に制御され、微量天秤近傍で約3.5から約9のpHを得るために必要な電位よりも更に負の電位で激しい水素の放出が起きる導電材料で、作用電極がコーティングされ或は形成されている、
b)シュウ酸カルシウムスケール抑制物質を溶液に加えること、及び
c)溶液から水晶微量天秤上へのシュウ酸カルシウムスケールの堆積速度を再測定すること
を含む方法に関する。
【0022】
他の側面において、この発明は、pHが約2から約3である連続的に流れる溶液のシュウ酸カルシウムスケール形成性向を測定するための装置であって、溶液に晒される作用電極を備える上面と、溶液から離間された底面とを有する水晶微量天秤を備え、微量天秤近傍の溶液のpHは、約3.5から約9に電気化学的に制御され、微量天秤近傍で3.5から9のpHを得るために必要な電位よりも更に負の電位で激しい水素の放出が起きる導電材料で、作用電極がコーティングされ或は形成されている装置に関する。
【0023】
他の側面において、本発明は、pHが約2から約3である連続的に流れる溶液のシュウ酸カルシウムスケール形成性向を測定するための装置であって、攪拌手段を有する測定セルを備え、測定セルには、
a)溶液に晒される作用電極を備える上面と、溶液から離間された底面とを有する水晶微量天秤と、
b)溶液と接触する表面pH測定モジュールであって、pH電極上に置かれたメッシュ電極を備え、メッシュ電極が作用電極と同じ材料によって形成されている、表面pH測定モジュールと、
c)溶液に晒される2つの参照電極と、
d)溶液に晒される2つの対向電極と、
が装着され、
水晶微量天秤および表面pH測定モジュールは、水平且つ対向する方向に装着され、2つの対向電極は、垂直に向けて装着され且つ水晶微量天秤および表面pH測定モジュールから等しい距離で下流側に配置され、参照電極は、垂直に向けて装着され且つ各対向電極から等しい距離で下流側に配置され、表面pH測定モジュールおよび水晶微量天秤の作用電極は、微量天秤近傍で3.5から9のpHを得るために必要な電位よりも更に負の電位で激しい水素の放出が起こる導電材料でコーティングされ或は形成されている装置に関する。
【0024】
この発明の方法は、溶液のpHが塩の溶解限界を超えるまで大きくなる条件下において、カルシウムイオンおよびシュウ酸イオンを含む溶液からのシュウ酸カルシウムの、この溶液の化学的性質が与える特徴的な析出速度を伴う形成をシミュレートする。溶液のpH増大は、電気化学的に行われるとともに、スケール結晶のための核生成プレートとして働く金属メッキされた水晶微量天秤の近傍でその場で(in situ)制御される。
【0025】
この発明の方法および装置は、ベンチトップ実験操作に有用であり、あるいは、持ち運びできる形態においては、現場での工程制御において有用である。この方法によれば、モデル溶液および実際の溶液の両方におけるシュウ酸カルシウムスケール抑制物質の信頼性のある迅速な試験を行なうことができる。この方法は、工業溶液中に存在する別個の成分の干渉を受ける周知の技術よりも再現性が良く、感度が良好で、用途が広い。この方法によれば、シュウ酸カルシウム結晶の成長を妨げるスケール抑制物質の能力を特に特徴付けることができるとともに、従来の化学試験と共に使用すれば、シュウ酸カルシウムスケール抑制物質の特性の包括的な特徴付けが可能となる。
【0026】
この方法は、工業溶液を試験する以外に、生物学的な溶液に適用して、その溶液のシュウ酸カルシウム堆積物の形成傾向を特徴付けることができる。この方法は、腎臓結石形成に対する感受性のための尿検査や、医薬治療のモニタリングおよびスクリーニングといった医学的な用途への大きな可能性を有している。
【0027】
また、スケールの溶解度がpHによって決まる、炭酸カルシウム、有機酸のカルシウム塩、水酸化マグネシウム等を含む任意の水溶液の無機スケール形成性向を測定するために、この発明の方法および装置を使用することができる。
【0028】
発明の詳細な説明
この方法は、溶液のpH上昇時における、カルシウムイオンおよびシュウ酸イオンを含む酸性溶液からのシュウ酸カルシウムの析出を利用する。析出速度は、感度が良い水晶微量天秤を用いて測定され、その付近で、電気化学的にpHの増大が引き起こされて制御される。また、この方法は、セルを用いた電気化学的な設備を利用する。セルでは、水晶微量天秤の表面に対して試験液の連続的(所定の一連の実験において、一定)な流れが形成される。ここで、試験液は、電気化学的な分極を起こして溶液中のシュウ酸カルシウムの沈殿を生じることができる十分高いpHを有するとともに、溶液中のシュウ酸塩を溶解させることができる十分低いpHを有している。
【0029】
水晶微量天秤は、測定・駆動回路に接続された圧電振動子である。この圧電振動子は、接続に使用される面に電極が蒸着された水晶板である。電極(作用電極)を有する圧電振動子の一方の側(上面すなわち流体側)は、試験液中に浸漬されており、他方の側(底面すなわち接点側)は、溶液を介した発振器の短絡を避けるために、大気に晒されたままとなっている。マイナスの(陰性の)電気的な分極が作用電極に与えられると、作用電極に近接する溶液中の水および溶存酸素は、水酸化物イオンの付随的な形成に伴って減少し、その結果、pHが局所的に増大し、シュウ酸カルシウムが析出する。
【0030】
また、陰性の電荷が十分であると、水素イオンが減少して、水素ガスが発生し、また、水素の気泡が形成される。バルクpHが低いと、水素の放出が、作用電極を部分的にブロックするとともに電極の近傍で溶液を攪拌するその気泡により、シュウ酸カルシウムの析出を効果的に防止するのに十分な程度に、水素反応の電気化学的な電位がプラス電位になり、その結果、必要なpHの増大が妨げられる。したがって、シュウ酸カルシウムの析出に必要な電位よりも更にマイナスの電位で水素気泡の激しい放出が起こる導電材料によって、微量天秤の作用電極をコーティングするか、あるいは、形成しなければならない。
【0031】
所定の電位での水素放出速度は、主として、使用される電極の材料によって決まる。したがって、この材料により起こり得る最大の陰分極で激しい水素放出が進行するような、最大の水素放出過電圧を有する電極材料を使用しなければならない。電極材料を選択する際に考慮すべき他の点は、取り扱いの容易性、コスト、酸性媒体中での耐溶解性である。高い水素過電圧を有する材料には、銀、鉛、カドミウム、イオン注入された或はされていないダイヤモンド状の薄膜電極、チタン、ニオブおよびタンタルのケイ化物、鉛−セレン合金、水銀アマルガム(例えば、水銀と鉛との合金)等が含まれる。銀は、特に好ましい電極材料である。
【0032】
他の条件は、試験液が適切なpHおよび適切なシュウ酸カルシウム濃度を有していなければならないという点である。溶液のpHは、構成物質の十分な溶解度を与えることができるように十分に低くなければならない。しかしながら、pHが2よりも小さいと、電気化学的な誘導によって、水晶微量天秤の近傍でのpHの増大が不十分になって、溶液からシュウ酸カルシウムが析出する場合がある。一方、pHが3よりも大きいと、バルク溶液中に十分な濃度のカルシウムとシュウ酸のイオンが与えられず、そのため、適度な析出速度が得られず、また、試験を迅速に完了することができない。したがって、試験溶液のpHの範囲は、約2から約3であることが好ましい。水晶微量天秤の表面上へのシュウ酸カルシウムスケールの析出は、水晶微量天秤近傍の溶液のpH(局所pH)が約3.5よりも大きくなった場合に生じる。局所pHは、約3.5から約9であることが好ましい。
【0033】
この発明の一実施例において、pH測定は、補助的な表面pH測定モジュール(3)(SPH)を使用して行なわれる。pH測定モジュール(3)は、図7および図8に示されるように、平底のコンビネーションpH電極(35)上に置かれたメッシュ電極(32)を備えている。メッシュ電極は、できる限り薄くて高密度であるべきであり、また、微量天秤の作用電極と同じ材料で形成されているべきである。メッシュ電極は、同じ試験条件に晒されると、微量天秤の表面近傍の表面pH状態に近くなる。基本的に、蒸着された金属/金属酸化物電極や、マイクロチップコンビネーション電極等を含む他の表面pH測定装置を使用することができるが、これらに限定されない。
【0034】
他の実施形態において、pH測定は、ニューハンプシャー州のベッドフォードにあるマイクロエレクトロード社から市販されているようなマイクロチップコンビネーション電極を使用して行なわれる。マイクロチップコンビネーション電極は、従来のpH電極を小型化したものであり、水素イオン検出ガラスを通るプロトンの選択的な拡散および、内部の電解液と銀−塩化銀参照電極との間の電位測定に基づくものである。
【0035】
他の実施形態において、表面pH測定は、作用水晶微量天秤(1)の表面上に蒸着されたpH電極を使用して行なわれる。微量天秤(1)の作用電極(23)は一定の寸法を有している。この電極の縁部近傍にある電気化学拡散層の幾何学的な構成により、電気化学的に誘導されたpHの変化が、電極の上近くだけでなく、電極縁部の近傍でも、同一平面内で横方向に生じると仮定される。したがって、小サイズのpHセンサを電極縁部の近傍であって微量天秤の作用電極と同じ平面内に配置すると、電極近傍のpHを測定することができる。
【0036】
そのようなpH測定においては、薄膜金属酸化物電極が好ましい。これらの材料は、タングステン、プラチナ、パラジウム、ルテニウム、およびイリジウムの金属ターゲットから成る群から選択される金属のアルゴン−酸素雰囲気中における反応性スパッタリングにより数ミクロン厚の薄膜を水晶基板(22)上に直接に形成することにより作られる。
【0037】
前述したように、電極近傍のpHは、約3.5から9の範囲であることが好ましい。この好ましいpHは、作用電極の電気化学的な分極を制御しながら、作用電極の近傍の溶液中で達成される。そのような制御は、表面pH測定モジュールを使用して行なわれる。モジュールは、所定の試験条件で、電極近傍のpHの、与えられた電気化学的分極に対する依存性を定める働きをする。電気化学的分極に関する電位制御または電流制御は、いずれも使用することができる。前述した依存性は、低い陰分極から高い陰分極へと進むゆっくりとした電位走査または電流走査で得られる。電流制御は、ハードウエアの観点から有利となり得る。なぜなら、電流制御は、参照電極を必要とせず、また、溶液の抵抗を補償する必要がないからである。
【0038】
この依存性は、一般に、2つのpH増大領域を示す。この場合、シュウ酸カルシウムの析出速度は、ヒドロキシル・イオンの生成速度に比例する。第1の領域は、物質移動によって制御される酸素の減少に対応している。第2の領域は、より高い陰性の電位に位置しており、水素に対する水の減少に対応している。酸素減少領域すなわち分極軸上における対応するpH領域の中心は、最も完全な堆積物を形成する析出測定にとって好ましい。第2の、より陰性の水素領域においては、2つの部分に区別されうる。水素領域の始まりの部分においては、溶液の流れによって簡単に取り除かれる非常に小さな水素の気泡だけが放出される。この部分は、酸素領域における場合よりも速いヒドロキシル生成速度を特徴としており、試験を早期に終了する必要がある場合に使用することができる。しかしながら、この部分を使用するには、厳重なpH−分極制御を行なって、水素ガスの大きな気泡が生じて電気接点の減少および堆積物の破壊が生じるような陰性の領域へ更に移行することを避ける必要がある。
【0039】
電極近傍のpHの、与えられた電気化学的な分極に対する依存性から、適切な制御条件を選択するために、以下の手法を使用することができる。電流制御の場合、ほぼゼロから十分に大きい陰極電流(一般に、約10mA/cm2)に至るゆっくりとした電流走査を使用して、酸素領域または水素領域の始めに、3.5から9の好ましいpH範囲を形成する電流範囲を測定することができる。その結果、スケールの堆積中に、この範囲で電流が制御される。約−0.05から約−10mA/cm2の電流が作用電極に与えられることが好ましい。
【0040】
電位制御の場合、開回路電位から十分に大きい陰性電位(一般に、Ag/AgCl電極に対して、3ボルト)に至るゆっくりとした電位走査を使用して、酸素領域または水素領域の始めに、3.5から9の好ましいpH範囲を形成する電極電位範囲が測定される。その結果、スケールの堆積中に、この範囲で電位が制御される。電位制御法で単独の表面pH測定モジュールを使用する場合、表面pH測定モジュールおよび微量天秤の、参照電極と作用電極との間の液抵抗を同一にし或は補償することが必要である。この液抵抗は同一にすることが好ましい。それは、pH−分極依存関係における電位の相対的な高さの情報が、電極近傍の溶液の必要なpH範囲を定めるのに十分となるからである。銀−塩化銀参照電極に対して約−0.5から約−2Vの電位を作用電極に与えることが好ましく、銀−塩化銀約−0.9から約−1.5Vの電位を作用電極に与えることが更に好ましい。
【0041】
前述した電位制御法または電流制御法のいずれかにおいても、微量天秤および表面pH測定モジュールの両方を同時に使用すると、試験の初めに、制御ハンドルを使用して、所望の試験pHをプリセットすることができる。
【0042】
本発明の装置の実施形態が図1から図3に示されている。
【0043】
本発明の装置の実施例のブロック図が図1に示されている。この装置は、作用水晶微量天秤(1)と、任意に設けられる参照水晶微量天秤(2)と、表面pH測定モジュール(3)と、参照電極(4)と、対向電極(5)と、バルク溶液温度、流量、pHを制御および測定する手段(6)と、外部のコンピュータ(8)に接続されたデータ処理・制御ユニット(7)とから成る。
【0044】
溶液の電極に近い層で必要なpHを形成するレベルに分極が達すると、作用水晶微量天秤(1)でシュウ酸カルシウムの堆積が生じる。粘度、導電率、バルクpHといった溶液のバルクパラメータは、実験中に変化する場合がある。参照水晶微量天秤(2)は、そのような起こり得る変化が実験結果に及ぼす影響を排除するために使用される。参照水晶微量天秤(2)は、分極しないため、その表面にシュウ酸カルシウムが堆積しない。参照水晶微量天秤(2)および作用水晶微量天秤(1)は同じ溶液中に浸漬されているため、堆積物累積によって生じる結晶の共振周波数の変化を容易に区別することができる。
【0045】
データ取得・制御ユニット(7)は、実験の手順を実行して、実験データを外部のコンピュータ(8)に中継する。コンピュータソフトウエアは、実験の設備およびデータ取得を制御するとともに、データを処理してプロットする。プログラムされたパラメータは、電気化学的な分極(又は、考えられる実施形態のうちの1つにおいては、所定の表面pH)、溶液抵抗に関する補償、温度、および溶液の流量(連続流れシステムでの流速またはバッチシステムでの回転速度)である。外部のコンピュータは、実験データを処理して記憶する一方、試験パラメータおよび堆積グラフ(堆積量および堆積速度)をリアルタイムで表示する。
【0046】
測定セル(19)は、参照電極(4)と対向電極(5)と作用水晶微量天秤(1)の作用電極(23)とを使用した3電極配置で構成されている。対向電極(5)は、バルク流体と電解的に接続されるとともに、作用水晶微量天秤(1)の流体側電極(23)および表面pHモジュール(3)に対して均一な電場を与えることができる。対向電極(5)は、グラファイトまたは当業者に良く知られた他の耐性材料、例えばプラチナやステンレススチール等によって製造されている。
【0047】
参照電極(4)は、作用水晶微量天秤(1)の作用面の電位および表面pHモジュール(3)の電位を測定する。銀−塩化銀参照電極が好ましい。参照電極(4)は流体中に配置され、好ましくは作用水晶微量天秤(1)の作用電極(23)または表面pH測定モジュール(3)にできる限り近接して配置される。しかしながら、参照電極は、電流制御(ガルバノスタティック)操作においては必要でない場合がある。作用電極と参照電極との間での溶液抵抗における電位低下を電気化学的システムによって補償できる場合には、これら電極間の距離が大きくても構わない。
【0048】
基本的に、この発明の装置は、極性、適切な大きさの分極、および安定性を作用電極に与えることができる任意の電源を使用することができる。回路で形成される電気的な状態は、当業者によって一般に使用される装置を使用して制御し測定することができる。
【0049】
また、本発明の装置は、バルク流体温度、pH、および試験液の流量を測定して制御するための手段(6)を有している。
【0050】
作用水晶微量天秤(1)、参照水晶微量天秤(2)、表面pHモジュール(3)を通るバルク液体の安定した流れは、適当な攪拌装置を使用して得られる。適当な攪拌装置としては、例えば、バッチシステムではインペラや、機械式パドル攪拌器、又は、磁気撹拌バー、連続流れシステムでは送水ポンプを挙げることができる。“安定した”とは、比較的一定の流れを意味する。この流れは、シュウ酸カルシウムの析出にとって最適かつ、シミュレートされたシステムの実際の流れに出来るだけ近く維持された流体力学的な関係を有すれば、層流又は乱流であっても良い。
【0051】
流体の温度は、任意の適当な温度調節手段を使用して制御される。前記温度調節手段としては、バルク液体中に配置された冷却器やヒータが挙げられるが、これらに限定されない。バルク液体の温度は、コントローラに接続された熱電対によって測定される。熱電対によって測定されたバルク液体の温度は、所望のシステムを実際に近くシミュレートするために、一定に維持することができ、あるいは、変化させることができる。
【0052】
この発明の装置は、図2に示されるようにバッチシステムとして操作されても良く、あるいは、図3に示されるように連続流れシステムとして操作されても良い。バッチシステムおよび連続流れシステムは、共に、図5から図8に示される同一の作用水晶微量天秤(1)および表面pH測定モジュール(3)を使用する。測定セルは、化学的に耐性があるソリッド体のプラスチック(例えば、PVCやアクリル)によって形成される。
【0053】
図2に示されるバッチシステムの構成において、セルは、作用水晶微量天秤(1)と、参照水晶微量天秤(2)と、作用電極(32)を有する表面pHモジュール(3)と、2つの参照電極(4)(断面図であるため、一方の参照電極は図示されていない)と、2つの対向電極(5)と、テフロン(登録商標)コーティングされたカートリッジヒータ(12)と、温度センサ(図示せず)と、攪拌バー(11)とを有している。セルは、正確に調整された磁気攪拌器(9)のプレート上に配置されている。データ取得および制御ユニット(7)は、水晶微量天秤を操作する回路と、電気化学的な分極を行なう回路と、pH測定を行なう回路と、温度制御を行なう回路と、コンピュータ(8)へのインタフェースとを組み込んでいる。
【0054】
バッチシステムにおいて、表面pH測定モジュール(3)および作用微量天秤(1)は、連続的に使用され、あるいは、同時に使用される。後者の場合、微量天秤の表面上で目標pHに達するように、分極をオンライン調整することができる。
【0055】
測定セル(19)には、2つの微量天秤アッセンブリが設けられている。このうち、作用微量天秤(1)は堆積物の測定に使用され、また、粘度や密度といった溶液の特性が実験中に変化する場合に、参照微量天秤(2)(分極されていない)が、ベースライン補正に使用される。また、この構成は、溶液での沈殿が自然に生じる場合、例えば、繊維や粒子が浮遊した状態で存在している場合に有益である。
【0056】
図3に示される連続流れシステムにおいて、試験液は、ガラスまたはプラスチックの漏斗状容器(14)内に蓄えられて熱的に調整される。ポンプ(15)は、漏斗状容器(14)からの溶液を、流量を制御する弁(16)および流量計(17)を経由して送り、更に、入口チャンネル(18)を経由して、測定セル(19)内に供給する。この、溶液は、チューブ(21)を経由してセルから排出される。例えば工業プロセスのサイドフローからの試験液を外部から流入させることができるように、連続流れシステムを変更しても良い。
【0057】
図3の符号(20)は、測定セル(19)に、表面pH測定モジュール(3)または水晶微量天秤アッセンブリ(36)を取り付けることができる、測定セル(19)における位置を示している。
【0058】
測定セル(19)は、参照電極(4)および対向電極(5)を有している。測定セル(19)とポンプ(15)と漏斗(14)との接続は、プラスチックチューブを使用して行なうことが好ましい。作用微量天秤(1)、参照電極(4)、補助電極(5)は、データ取得・制御ユニット(7)に接続されている。データ取得・制御ユニット(7)は、作用微量天秤(1)と、表面pHモジュール(3)と、1以上の電気化学ポテンショスタットと、コンピュータ(8)とを操作する回路を組み込んでいる。
【0059】
最初に、組み込まれた表面pHモジュール(3)を用いて、最適なpH状態が測定される。その後、スケール形成能力を測定するために、水晶微量天秤アッセンブリ(36)が取り付けられる。最初の場合、表面pHモジュール(3)のメッシュ電極(32)は、微量天秤(1)の作用電極(23)と同じ電気化学システムに接続されて、同じ試験条件に晒される。系内の表面pHおよびバルクpHは、共に、データ取得・制御ユニット(7)内のpH読み取り回路に接続された表面pH測定モジュール(3)を使用して測定される。
【0060】
この発明の他の側面において、図3に示される連続流れセルが変更されて、作用微量天秤(1)と表面pHモジュール(3)と分岐入口(18)とが測定セル(19)内に組み込まれており、バッチシステムに関して前述したように、微量天秤の表面上で目標pHに達するように分極のオンライン調整ができるようになっている。
【0061】
水晶微量天秤(1)および水晶微量天秤アッセンブリ(36)の好ましい構成が図4および図5に示されている。この実施形態において、圧電微量天秤の質量検出素子は、電極(23)(24)および(25)が蒸着されて成るATカット水晶(22)である。電極(23)は、測定中に試験流体中に浸漬されるため、作用電極である。
【0062】
作用電極(23)は、水晶(22)の縁部を、上部すなわち流体側から底面まで覆い、図5に示されるように接点(24)を形成している。また、水晶(22)の底面は、接点(25)を有する第2の励起電極(24)を有している。接点(24)および(25)は、接続ワイヤにより、データ取得・制御ユニット(7)の微量天秤作動回路に電気的に接続される。
【0063】
図6には、水晶微量天秤アッセンブリ(36)が示されている。水晶(22)は、定流れセル又は固定セルの開口部においてシールされている。保持リング(26)および少なくとも1つのOリング(27)により、水晶(22)の上面だけが試験液に晒されるとともに、水晶の底面が空気にのみ晒されるようになっている。バネ接点(28)は、接続リード線(30)および(31)をそれぞれ水晶電極(23)および(25)に動作可能に接続する。そして、これらのリード線は、データ取得・制御ユニット(7)の微量天秤作動回路に接続される。
【0064】
この発明の好ましい表面pH測定モジュール(3)の上面すなわち流体側が図7および図8に示されている。この実施形態において、上下逆さまに装着可能な平底のコンビネーションpH電極(35)は、その平坦検出面がメッシュ(32)と直接に接触するように、プラスチックシリンダ(33)内で同軸上に装着されている。この場合、メッシュ(32)は、微量天秤の電極(23)と同じ材料によって形成されるとともに、プラスチックシリンダの上端に取り付けられている。
【0065】
メッシュ(32)における1インチ当たりの開口数を最大にすると、微量天秤作用電極の良好なシミュレーションができる。このパラメータは、実際に利用できる薄く且つ密度の高いメッシュを使用することにより、変えることができる。好ましい実施形態において、メッシュは、0.0764mmのワイヤを編み込んで形成した網目が50個の2層(向きを45°変えた)のシルバーガーゼから成り25000kgのプレスで平坦にされたものである。
【0066】
図8に示されるように、平坦なメッシュ(32)は、プラスチックシリンダ(33)中の偏心チャンネル(34)を貫通するワイヤ(13)を使用して、データ取得・制御ユニット(7)の電気化学回路に接続される。ワイヤ(13)およびpH電極(3)は、共に、シリンダ(33)の対応するチャンネル内で液密にシールされている。pH電極(35)は、データ取得・制御ユニットのpH読み取り回路に接続されている。メッシュ(32)の厚さを電気化学拡散層よりも薄くすると、その装置は分極した電極表面の近傍のpHを測定することができ、その結果、作用水晶微量天秤の表面近傍の環境をシミュレートすることができる。pHの測定中、表面pHモジュール(3)は、図2に示されるように作用微量天秤(1)と同時に使用され、あるいは、図3に示されるように作用微量天秤(1)の代わりに装着される。表面pHモジュール(3)のメッシュ電極(32)と、水晶微量天秤(1)の作用電極とには、同じ分極が与えられる。
【0067】
ここで説明したように、この発明の方法を使用した最適な結果は、バルク溶液pHが約2から約3であり且つ最適な濃度のカルシウムイオンおよびシュウ酸イオンを溶液が含んでいる場合、好ましくは、カルシウムイオンとシュウ酸イオンとを合わせた濃度が1リットル当たり約20ミリグラムよりも高い場合に得られる。したがって、カルシウムイオンおよびシュウ酸イオンの濃度およびpHが適切なモデル溶液を使用することにより、試験プロセスの効率を高めることができる。この場合、前記モデル溶液は、装置の測定セル内に導入される前に作られ得る。これらのモデル溶液は、工程水のpH、およびカルシウムとシュウ酸のイオン濃度を調整することによって、あるいは、水と、HCl水溶液等の酸性水溶液と、シュウ酸ナトリウムや塩化カルシウム二水和物といったカルシウムとシュウ酸のイオン源とを混合することによって作られ得る。シュウ酸カルシウムスケール抑制物質を選別するために、1以上の所定量の抑制物質がモデル溶液に加えられても良い。
【0068】
したがって、他の側面において、この発明は、pHが約2から約3となり且つカルシウムイオンとシュウ酸イオンとを合わせた濃度が1リットル当たり20ミリグラムを越えるように、酸およびカルシウム・シュウ酸イオンを工程水に加えることによって作られるモデル溶液に関する。
【0069】
他の形態において、この発明は、pHが約2から約3となり且つカルシウムイオンとシュウ酸イオンとを合わせた濃度が1リットル当たり20ミリグラムを越えるように、水と、酸と、カルシウムイオンと、シュウ酸イオンとを混合することによって調整されるモデル溶液に関する。
【0070】
以上の説明は、以下の実施例を参照することにより更に理解できる。以下の例は、例証を目的としたものであり、この発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0071】
実施例1
以下、クラフトパルプ漂白工場で、シュウ酸カルシウムスケール抑制物質を測定するために、この発明の方法および装置を使用する場合について説明する。以下の内容は、この発明の1つの用途を例証するものであり、これに限定されるものではない。
【0072】
クラフト法で製造されるパルプは、通常、多段シーケンスで漂白されて、所望の輝度および強度を得る。パルプ漂白の主な目的は、パルプの輝度を高めるとともに、非漂白パルプからリグニンおよびその分解生成物を除去又は変性したりすることにより、パルプを印刷用紙およびティッシュペーパーの製造に適するようにすることである。化学パルプの漂白は、二酸化塩素、腐食剤、過酸化水素、および他の漂白剤を含む一連の処理によって行われる。化学パルプの漂白は、通常、二酸化塩素を用いる第1ステージから始まる。パルプの漂白は、様々な温度、時間、濃度、pHの各条件における、パルプの着色物質およびリグニンと、漂白剤との化学反応によって行われる。
【0073】
ストックパイプライン、洗浄フィルタ、濾過水タンク、精製プレートおよび熱交換器の性能に悪影響を及ぼす可能性があるシュウ酸カルシウムを制御することは難しい問題である。これらの堆積物の形成は、2から8のpHで操作する工程装置内におけるシュウ酸カルシウムの比較的高い濃度によってもたらされる。この材料を除去することは難しく、高価な不稼動時間を招く。
【0074】
パルプ漂白工程でのシュウ酸カルシウム源は、究極的には、木材に起因している。一部のカルシウムは、製造機の清水および蒸解液(水酸化ナトリウムおよび硫化ナトリウム)からプロセス内に導入される場合もあるが、カルシウムは、主として木材からその製造機内に導入される。シュウ酸は、パルプ化および漂白の際中に形成されるが、天然木にも存在する。シュウ酸カルシウムの析出は、温度およびpHに大きく依存している。
【0075】
A.装置
市販されている様々な抑制物質の存在下で、工場水からのシュウ酸カルシウムスケール形成の速度は、図2に示されるバッチシステムまたは図3に示される連続流れシステムを使用して測定される。
【0076】
工場水の組成は、様々な工程の段階中に変化する。したがって、それぞれの工場水試料について、微量天秤の読み取り及び表面pH測定を使用した動的分極実験が利用され、堆積物に最適なpHおよび分極が測定される。試験溶液の流量は、シュウ酸カルシウム堆積物の核生成および成長と電極表面への酸素供給との間に釣り合いを与える定常的な流体力学的流れ状態を成し得るように調整される。
【0077】
この実施例において、表面pHモジュールは、銀−塩化銀参照電極に対する一般に0から−2Vの範囲の一連の分極電圧について、分極が得られる際の金属表面近傍のpH変化を測定するために使用される。電極の近傍のpHは、開回路電位から始まって陰性の方向に進む2mV/秒のポテンショダイナミック走査で測定される。対応する、pHの分極依存性は、一般に、2つのpH増大領域を示す。第1の領域は、物質移動によって制御される最大酸素減少率に対応している。第2の領域は、より陰性の電位に位置しており、水素の放出を伴う水の減少に対応している。酸素減少領域すなわちpH増大領域の中心に対応する分極は、析出測定にとって好ましいと考えられる。この分極は、水晶微量天秤を堆積物測定装置として使用するその後の全ての実験で使用される。
【0078】
使用される水晶微量天秤は、銀コートされた5MHzの研磨水晶である(カリフォルニア州のトランスのMaxtek社)。
【0079】
表面pH測定モジュールは、同軸に穿孔された直径15mmのチャンネルと偏心位置で穿孔された直径2mmのチャンネルとを有する50×35mmPVCプラスチックシリンダである。0.0764mmのワイヤを編み込んで成る15×15mmの50メッシュの2層(互いに45°の角度を成して位置する2つの層)のシルバーガーゼ(マサチューセッツ州のウォードヒルのAlfa−Aesar)は、25000kgのプレスで平坦にされ、エポキシ接着剤を用いてプラスチックシリンダの上端に取り付けられる。メッシュ電極は、偏心チャンネルを貫通するワイヤを使用して、データ取得・制御ユニットの電気化学ポテンショスタットに接続される。直径が15mmの上下逆に装着可能な平底のコンビネーションpH電極(カリフォルニア州のスタントンのSensorex)は、そのpH検出面がシルバーメッシュ同一面となるように、同軸チャンネル内に挿入される。偏心チャンネルおよび同軸チャンネルは、PVCシリンダ内で液密にシールされる。表面pH測定中に、シルバーメッシュは、水晶微量天秤の作用電極と同じ電気化学分極を受ける。
【0080】
バッチシステムおよび連続流れシステムは、以下のように構成されている。
【0081】
バッチシステムにおいて、作用微量天秤および表面pHモジュールは、互いに対向して設置されている。2つの対向電極は、作用微量天秤および表面pHモジュールから等しい距離にそれぞれ設置されている。対向電極の長さは、対向電極がセルの上端を貫通して底部に至り且つ攪拌バーの回転を可能にするように設定されている。溶液は時計周りに回転する。各参照電極は、表面pHモジュールおよび微量天秤の作用電極の左側に、これらの中心軸から1cmの距離で設置されている。ゲルが充填された参照体を有するエポキシ基体内の単接点銀−塩化銀参照電極(カリフォルニア州のスタントンのSensorex)と、高密度グラファイト対向電極(テネシー州のオークリッジのPerkin−Elmer)とが使用される。
【0082】
バッチシステムおよび連続流れシステムは、1Lのサンプルを使用できるように設計されている。測定セルは、Plexiglas(バッチシステム)およびポリ塩化ビニル(PVC)(連続流れシステム)によって形成されている。バッチシステムでは、デジタル制御される400S StirrerおよびTeflonコーティングされた62mmのSpinstar攪拌バー(VWR、イリノイ州のシカゴ)が使用される。連続流れシステムでは、内径が1cmの柔軟なPVCチューブを使用して、ユニットが遠心ウォーターポンプ、流量計、試験液を蓄えたガラス漏斗状容器に接続される。これらのシステムは、データ取得・制御ユニットに接続される。
【0083】
データ取得・制御ユニットは、水晶微量天秤、pH測定、および2つの電気化学ポテンショスタット(作用微量天秤用に1つ、表面pHモジュール用に1つ)を操作する回路を組み込んだマイクロプロセッサ制御の電子機器である。このデータ取得・制御ユニットは、外部のIBM適合型のコンピュータに接続される。コンピュータソフトウエアは、実験設備と、データ取得と、データの処理およびプロットとを管理する。プログラムされたパラメータは、電気化学分極(又は、考えられる実施形態の1つでは、必要な表面pH)、温度、溶液の流量(連続流れシステムでは流速、バッチシステムでは回転速度)である。コンピュータソフトウエアは、実験データを処理して記憶する一方で、試験パラメータおよび堆積物グラフ(堆積の量および速度)をリアルタイムで表示する。
【0084】
また、前述したデータ取得・制御ユニットは、機能上、CMS100(ペンシルバニア州のGamry)等の電気化学システム、パーソナルコンピュータにインストールされてDASYLab(ニューハンプシャー州のDasyTec)等のデータ取得ソフトウエアを実行するデータ取得カードCYDAS−1602(マサチューセッツ州のサイバーリサーチ)に代えられても良い。
【0085】
測定は、1mMのシュウ酸カルシウムを含む(モデル溶液)或は1mMのシュウ酸カルシウムでスパイクされた(漂白工場水)溶液に対して、25℃、およびバルクがpH2.5から2.7において行なわれる。バッチシステムにおいて、攪拌バーは、400rpmの回転速度に維持される。連続流れシステムでは、流速が0.5L/分に維持される。
【0086】
B.モデル溶液を使用したシュウ酸カルシウムスケール抑制物質のスクリーニング
1mM(128ppm)のシュウ酸カルシウム試験液を以下のようにして調製する。シュウ酸ナトリウム(0.268g)および塩化カルシウム二水和物(0.294g)を35mlの0.1Nの各HCL中に別々に溶解させる。これらの溶液はそれぞれ、脱イオン水を用いて100mlまで希釈された後混合され、激しく攪拌される。混合された溶液は、脱イオン水を用いて2Lの容積まで希釈される。この場合、pHを2.6に調整するため、必要に応じて、0.1NのHClが加えられる。この溶液は、コントロール用として使用される。試験において、候補となる抑制物質が加えられる。この溶液サンプル700から900mlが、分析毎に使用される未添加溶液の一部と共に使用される。
【0087】
C.工場水を使用したシュウ酸カルシウムスケール抑制物質のスクリーニング
試験液は、1mM(128ppm)の添加シュウ酸カルシウムを含んでいる。シュウ酸ナトリウム(0.107g)および塩化カルシウム二水和物(0.118g)を400mlの各工場水中に別々に溶解させる。pHを約2.5に維持するために、0.1NのHClがサンプルに加えられる。これらの溶液は、混合され、抑制物質を伴わない或はスクリーニング用の抑制物質を伴うコントロール液として使用される。なお、実際の工場水は、天然のスケール抑制物質として作用し得る様々な有機物質を含んでいるのが一般的な特徴である。また、工場原水は、目に見える分散したセルロース微粉を含んでいた。ガラスフィルタを通して真空濾過されてセルロース微粉が除去された工場水を使用して、実験が繰り返される。その結果は、濾過されていない工場原水を用いて先に得られた結果と良好に一致する。
【0088】
システムは、分析直後に、脱イオン水により洗浄される。モデル溶液または工場水の各分析後、水晶の表面は、0.1NのHCl(5から10分)を用いて堆積物洗浄が行われるとともに、脱イオン水を用いて洗浄される。
【0089】
D.バッチ・連続流れシステムを用いたシュウ酸カルシウムスケール抑制物質スクリーニング
この発明の方法および装置を使用して、様々なシュウ酸カルシウムスケール抑制物質が選別される。1mMのシュウ酸カルシウムでスパイクされた濾過された工場水(漂白廃液)に対し、バルクpH2.4から2.7で、試験が行なわれる。最初の工場水からのシュウ酸カルシウムの析出は全く見られず、実験前にシステム中にシュウ酸塩が加えられる。
【0090】
工場原水及びガラスフィルタを通過した工場水の挙動は同じである。分散した細かい繊維は、見かけ上、圧電性結晶の表面を摩耗させなかった。これは、工業用液の分析に本発明を使用する場合において、極めて重要である。
【0091】
溶液のスケール形成能力は、設定時間で観察される析出速度で評価されるとともに、試験の終了までに蓄積する全体の堆積物によって評価される。抑制百分率は、以下のように計算される。
【0092】
抑制%=
100%×(抑制物質が無い場合の全堆積物−抑制物質がある場合の全堆積物)/抑制物質が無い場合の全堆積物
以下にまとめられた実験データは、効果の高い抑制剤の構成物と効果の低い抑制剤の構成物を明確に識別する。すなわち、構成物Aは、析出速度を劇的に低下させ、工場水およびモデル溶液の両方において最も有効である。結果が表1,2(バッチシステム)および表3,4(連続流れシステム)にまとめられている。
【0093】
表1から表4において、サンプルAは有機酸のターポリマーである。サンプルBは、硫黄含有無機塩を少量含むアクリルポリマーのアルカリ性溶液である。サンプルCは、亜リン酸無機塩とアクリルポリマーとの混合物である。構成物Dは炭水化物系の抑制物質である。構成物AからDは、イリノイ州のネーパービルにあるナルコ・ケミカル社から市販されている。
【0094】
【表1】
Figure 0004624632
【0095】
【表2】
Figure 0004624632
【0096】
【表3】
Figure 0004624632
【0097】
【表4】
Figure 0004624632
【0098】
E.様々な硬材D0処理段階から得られた実際の工場水のシュウ酸カルシウムスケーリング能力のスクリーニング
様々な硬材D0処理段階から得られた実際の工場水のシュウ酸カルシウムスケーリング能力のスクリーニングにおいて、バッチシステムを使用した結果が表5に示されている。工場での操作方法の変更前後で得られた2組の工場水が分析される。試験は、原溶液および同一の溶液に、1mMのシュウ酸カルシウムがスパイクされたものに関して行なわれる。
【0099】
【表5】
Figure 0004624632
【0100】
【図面の簡単な説明】
【図1】 溶液中のシュウ酸カルシウムスケールの成長速度を測定するこの発明の装置であって、作用水晶微量天秤(1)と、参照水晶微量天秤(2)と、表面pH測定モジュール(3)と、参照電極(4)と、対向電極(5)と、バルク溶液の温度、pH、溶液流量を制御して測定するための手段(6)と、外部コンピュータ(8)に接続されたデータ処理制御ユニット(7)とを有する装置のブロック図である。
【図2】 バッチモードに構成されたこの発明の装置の部分断面図である。
【図3】 連続流れシステムとして構成されたこの発明の装置の概略図である。
【図4】 水晶微量天秤(1)の水晶センサの平面図である。
【図5】 水晶微量天秤(1)の水晶センサの底面図である。
【図6】 水晶微量天秤アッセンブリ(36)の断面図である。
【図7】 表面pH測定モジュール(3)の平面図である。
【図8】 表面pH測定モジュール(3)の断面図である。

Claims (22)

  1. pHが2から3である連続的に流れる溶液のシュウ酸カルシウムスケール形成性向を測定する方法であって、溶液と接触する作用電極を備える上面と、溶液から離間された底面とを備える水晶微量天秤上への、溶液からのシュウ酸カルシウムスケールの堆積速度を測定することを含み、微量天秤近傍の溶液のpHは、3.5から9に電気化学的に制御され、微量天秤近傍で3.5から9のpHを得るために必要な電位よりも更に負の電位で激しい水素の放出が起こる導電材料で、作用電極がコーティング或は形成されている方法。
  2. 作用電極が、銀、鉛、カドミウム、イオン注入された又はされていないダイヤモンド状薄膜電極、チタン、ニオブおよびタンタルのケイ化物、鉛−セレン合金、および水銀アマルガムから選択される1以上の導電材料によって形成或はコーティングされている、請求項1に記載の方法。
  3. 作用電極が、銀によって形成或はコーティングされている、請求項2に記載の方法。
  4. 作用電極が、銀でコーティングされたチタンによって形成されている、請求項3に記載の方法。
  5. 銀−塩化銀参照電極に対して−0.5から−2.0Vの電位を、作用電極に与えることによって、微量天秤の表面近傍の溶液のpHが制御される、請求項1乃至4いずれかに記載の方法。
  6. −0.05から−10mA/cm2の陰極電流を作用電極に与えることによって、微量天秤の表面近傍の溶液のpHが制御される、請求項1乃至5いずれかに記載の方法。
  7. 微量天秤の表面近傍の溶液のpHは、pH電極上に配置されたメッシュ電極を備える表面pH測定モジュールを使用して測定され、メッシュ電極が、作用電極と同じ材料によって形成されていることを特徴とする、請求項1乃至6いずれかに記載の方法。
  8. 微量天秤の表面近傍の溶液のpHは、水晶微量天秤の表面上に蒸着されたpH電極およびマイクロチップpH電極から選択されるpH測定装置を使用して測定される、請求項1乃至6いずれかに記載の方法。
  9. 2から3のpHである溶液は、カルシウムイオンとシュウ酸イオンとを合わせた濃度が、1リットル当たり20ミリグラムよりも大きい、請求項1乃至8いずれかに記載の方法。
  10. 2から3のpHである溶液がモデル溶液であり、モデル溶液は、溶液のpHが2から3であり且つカルシウムイオンとシュウ酸イオンとを合わせた濃度が1リットル当たり20ミリグラムよりも大きくなるように、酸、およびカルシウムとシュウ酸のイオンを工程水に加えることによって調製される、請求項9に記載の方法。
  11. 2から3のpHである溶液がモデル溶液であり、モデル溶液は、溶液のpHが2から3であり且つカルシウムイオンとシュウ酸イオンとを合わせた濃度が1リットル当たり20ミリグラムよりも大きくなるように、水、酸、及びカルシウムとシュウ酸のイオンを混合することによって調製される、請求項9に記載の方法。
  12. シュウ酸カルシウムスケール抑制物質の効果を測定する方法であって、
    a)溶液と接触する作用電極を備える上面と、溶液から離間された底面とを備える水晶微量天秤上への、溶液からのシュウ酸カルシウムスケールの堆積速度を測定することを含む、pHが2から3である連続的に流れる溶液のシュウ酸カルシウムスケール形成性向を測定すること、ここで、微量天秤近傍の溶液のpHが、3.5から9に電気化学的に制御され、微量天秤近傍で3.5から9のpHを得るために必要な電位よりも更に負の電位で激しい水素の放出が起こる導電材料で、作用電極がコーティング或は形成されている、
    b)シュウ酸カルシウムスケール抑制物質を溶液に加えること、及び
    c)溶液から水晶微量天秤上へのシュウ酸カルシウムスケールの堆積速度を再測定すること
    を含む方法。
  13. pHが2から3である連続的に流れる溶液のシュウ酸カルシウムスケール形成性向を測定するための装置であって、溶液に晒される作用電極を備える上面と、溶液から離間された底面とを有する水晶微量天秤を備え、微量天秤近傍の溶液のpHは、3.5から9に電気化学的に制御され、微量天秤近傍で3.5から9のpHを得るために必要な電位よりも更に負の電位で激しい水素の放出が起きる導電材料で、作用電極がコーティング或は形成されている装置。
  14. 作用電極が、銀、鉛、カドミウム、イオン注入された或はされていないダイヤモンド状薄膜電極、チタン、ニオブおよびタンタルのケイ化物、鉛−セレン合金、および水銀アマルガムから選択される1以上の導電材料によって形成或はコーティングされている、請求項13に記載の装置。
  15. 作用電極が、銀によって形成或はコーティングされた、請求項14に記載の装置。
  16. 作用電極が、銀でコーティングされたチタンによって形成された、請求項15に記載の装置。
  17. 溶液と接触する表面pH測定モジュールを更に備え、pH測定電極アッセンブリは、pH電極上に配置されたメッシュ電極を備え、メッシュ電極は、作用電極と同じ材料によって形成されている、請求項13に記載の装置。
  18. pHが2から3である連続的に流れる溶液のシュウ酸カルシウムスケール形成性向を測定するための装置であって、攪拌手段を有する測定セルを備えることを特徴とし、測定セルには、
    a)溶液に晒される作用電極を備える上面と、溶液から離間された底面とを有する水晶微量天秤と、
    b)溶液と接触する表面pH測定モジュールであって、pH測定電極アッセンブリはpH電極上に配置されたメッシュ電極を備え、メッシュ電極が作用電極と同じ材料によって形成されている、表面pH測定モジュールと、
    c)溶液に晒される2つの参照電極と、
    d)溶液に晒される2つの対向電極と、
    が装着され、
    水晶微量天秤および表面pH測定モジュールは、水平且つ対向する方向に装着され、2つの対向電極は、垂直に向けて装着され且つ水晶微量天秤および表面pH測定モジュールから等しい距離で下流側に配置され、参照電極は、垂直に向けて装着され且つ各対向電極から等しい距離で下流側に配置され、表面pH測定モジュールおよび水晶微量天秤の作用電極は、微量天秤近傍で3.5から9のpHを得るために必要な電位よりも更に負の電位で激しい水素の放出が起こる導電材料でコーティング或は形成された装置。
  19. 攪拌手段が、インペラ、機械的なパドル攪拌器、攪拌バーを有する磁気回転装置から選択された、請求項18に記載の装置。
  20. 表面pH測定モジュールおよび水晶微量天秤の作用電極が、銀、鉛、カドミウム、イオン注入された或はされていないダイヤモンド状薄膜電極、チタン、ニオブおよびタンタルのケイ化物、鉛−セレン合金、水銀アマルガムから選択される1以上の導電材料によって形成、或はコーティングされている、請求項18又は19に記載の装置。
  21. 表面pH測定モジュールおよび水晶微量天秤の作用電極が、銀によって形成、或はコーティングされている、請求項20に記載の装置。
  22. 表面pH測定モジュールおよび水晶微量天秤の作用電極が、銀でコーティングされたチタンによって形成されている、請求項21に記載の装置。
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