JP4623926B2 - トレーコラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1の前段に記載されたトレーコラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トレーコラムは、(仕切トレーとしても公知である)有孔トレーを含み、その上で、いずれの場合にも、底部から頂部まで交叉流として流れるガス相が物質の交換のためトレー上を流れる液相と接触せしめられる。少なくとも一つの下降管が、各仕切トレーに、このトレーと下記において“負荷されるトレー”と称せられるその下にあるトレーとの間に液体を輸送するため設けられている。トレーコラムはその下降管が特殊な形式に作られる米国特許第5,454,989号に記載され、排出孔は下降管の下端を形成する基部に設けられている。基部は、負荷されるトレー上の液体/ガス混合物の上方境界層によって与えられる高さの上方に間隔をおいて設けられる。排出孔はある領域に限定され、そこからジェットの形式で分散される液体は、流れの主要方向に対して部分的に横方向に、負荷されるトレー上に拡散されなければならない。同様の下降管を備えた別のトレーコラムが、米国特許第6,250,611号から公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
負荷されるトレー上における液体の拡散は、中央領域において高速を側方領域において低速を有する、不均一な流れの場において発生する。不均一な流れの場は、液体が滞留時間の異なった物質交換容積を通じて流れることを意味する。改善された物質交換を達成するため、流れの場は滞留時間が一致するような影響を受けなければならない。
【0004】
本発明の目的は、前記トレーコラムを、流れの場に影響を与えることにより、改善された物質交換が個々の仕切トレーに対して得られるように、さらに発展させることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
トレーコラムは隣接するトレーの間の液体の輸送のための下降管を有する。液体輸送は、各下降管において、負荷されるトレー上への多数の排出孔を通して実施される。ジェットの形式で排出孔から流出する液体は、負荷されるトレーに衝突する際地域的に拡散する流れの場に混入し、前記流れの場は縦方向の流れの主要な方向に対して流れ速度の横方向成分を有する。案内要素が排出孔の下方にかつ負荷されるトレーから離して設けられている。これらはそれぞれ液体の衝撃を分散する流れの場に対応するように案内する。横方向速度成分の形成は、各平面内の流れ速度の縦方向成分が主要な流れ方向に対して垂直な多分一定のプロフィルを有するように、案内要素によって制御される。排出孔は好適には中央の領域において隣接する側方領域におけるよりも一層小さくなるように徐々に変化する異なった大きさに形成される。
【0006】
請求項2から10は、本発明によるトレーコラムの有利な実施例に関するものである。
【0007】
下記において、本発明を図面を参照して説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1,2に示されたコラムトレー1は、仕切トレー2を備えている。液相51は下降管3から、液体/ガス混合物5の形式で、トレー2の上を別の下降管3へ流出し(矢印51′)、それによって隣接するトレー2へさらに輸送され、その間ガス状部分を分離する。ガス相52は底部から頂部にトレー2の孔23を通って流れ(矢印52′)、泡の形式の横流れとして液体/ガス混合物5を横切る。物質および熱のいずれか一方または双方の交換が、共存する相51と52の間に実施される。
【0009】
液体/ガス混合物5は、その上方境界が高さ50にある液体を富む下方領域と、高さ50の上方に位置するガスを富む泡よりなる。泡は図1,2には図示されていない。多数の排出孔32を備えた基部は、下降管3の下端を形成している。
基部は、高さ50の上方のある距離に位置している。
【0010】
排出孔32はある領域32′に制限され、そこからジェット60の形式で分散される液体51が、負荷されるトレー2上に拡散される。排出孔32から流出する液体ジェット60は、負荷されるトレー2に衝突する際地域的に分散する流れの場6内に混合し、前記流れの場は縦方向主要流れ方向61に対して横方向の速度成分を有する。排出孔32は、少なくとも部分的に、それぞれ液体ジェット60の衝突を案内する、分散する流れの場6の所望の形成に対応する案内要素4を備え、これに関連してとくに流れ速度の横方向成分が十分に大きくなるのに役立つ。
【0011】
排出孔32は、コラム壁10に隣接するリングセグメント32′に設けられている。液体ジェット60は、一方ではコラム壁10により、他方では、少なくとも部分的に、それぞれ排出孔32のリムに設けられるベーン状案内要素4を通って案内される。各案内要素4は、その位置とその傾斜が達成されるべき横方向速度要素に対応するように設計される。流れの場6の横方向領域における案内要素4のために、速度の一致がそれらの内部区域に生じ、それにより滞留時間の一致そしてまた交換プロセスの進歩した結果が生ずる。
【0012】
トレー2の孔は、例えば図3,4に示されたような多数の格子要素20によって設けられている。(トレー2は、たとえば、ふるい状基板として作ることもできる)。格子要素20はそれぞれ台形をなし、台形の平行でない側辺21a,21bは底辺22より長い。底辺22は主要流れ方向に対して横方向に設けられている。格子要素20の側辺は、溝23として形成されている。格子要素20は、溝23を通って排出されるガス52が液体51の輸送の際輸送作用を奏するように、主要流れ方向61に傾斜している。すべての格子要素20は、好適には、すべて同じ向きを有しかつ規則的格子25の交差点25aに設けられている。
【0013】
記載されたトレーコラム1は、円形断面を有する。下降管3が各トレー2に設けられている。隣接するトレー2の下降管3は互いに直径方向反対側に設けられている。
【0014】
内壁30と基部31の直ぐ上のコラム壁10の間の空間領域を占める下降管3の部分は、傾斜した壁部分30bのため下方に傾斜した形状を有する。堰を通って下降管に流れ込む液体/ガス混合物は、傾斜部分の一定の高さ50′までせき止められる。ガス相52は混合物から凝縮される(52″)。流入する液体51によって駆動される液体ローラ53が形成される。液体51のあるものは排出孔32を通って液体ローラ53から連続的に輸送される。
【0015】
液体ローラ53の形成のため、液体流の運動エネルギは部分的に消失するに過ぎない。残存する運動エネルギは分散する流れの場に影響を与えるため、負荷されるトレー2上にさらに輸送された後に使用される。
【0016】
運動エネルギの避けられない消失が排出孔32からの液体の流出の間に生じないように、排出孔32は列をなして設けられている。第1実施例が図5に示されている。排出孔32は内面を部分的に切り開くことにより(切開端33)、また内面を端部34の周りを曲げることによって作られる。
【0017】
案内要素4は、異なった傾斜角度ψを有する。排出孔32の列の中心Zに対して、傾斜角度ψは中心Zとの距離が増加するに連れて徐々に増大し、とくに0°から60°まで、好適には45まで増大する。
【0018】
図1,2,5に基づいて記載された実施例において、排出孔32は異なった大きさに作られている。列状配置において、排出孔32は、列の中心領域35において、中央領域35に隣接する二つの周辺区域36におけるよりも、実際とくに多くの液体が列の長さに対して一層大きい排出孔32を通って分配されるように小さい。このことは液体51の付加的量が分散する流れの場61の横方向領域に対して負荷されるトレー2において要求されるため必要であり、前記の量は下降管3の周辺領域36を通って側方領域に分配されなければならない。
【0019】
図6に示す排出孔32の実施例において、これらは異なった向きを有する。湾曲端部34は、もはやコラム壁10に垂直ではない。簡単のため、すべての排出孔32は同じ大きさに図示されている。しかしながら、排出孔32を側方領域において大きくすることも必要である。湾曲端部34とコラム壁10の間の角度は、可変パラメータとすることができる。
【0020】
図7の実施例において、一点鎖線で示された条片32′に設けられた、排出孔32の列は中心に溝状孔37を有し、その領域のみにおいてコラム壁10は液体51を案内するようになっている。
【0021】
排出孔32を設計するため下記のように実施することができる。図8に図示されたように、仕切トレー2は、下降管3の基部31(平面図参照)と次の下降管3の排出堰31aとの間の領域において楕円65によって2N個の条片Sn(n=1,・・・N;たとえばN=4)に分割されている。楕円の長軸は主要流れ方向61にあるコラムの直径と一致する。短軸はそれぞれ一定量b(=d/N)だけ相違し、最小の楕円は、直径d上にある長さまで短縮される。条片Snの中心の長さは、(n=1,・・・N)によって示される。
【0022】
基部31は、等しい大きさの角度α/2Nを有する2N個の扇形S′n(n=1,・・・N)に分割され、ここにαはコラム中心において基部31によって画成される中心角である。各扇形S′nはそれに関連した面積Anを有する排出孔32を有する。液体ジェット60は、そのような排出孔32を通って容積流Vnで通過する。VnとAnの比は流出指数μnである。この指数は排出孔32の構造による流出減少の目安である。流出指数μnは案内要素4の形状、とくにその傾斜角度ψに依存する。一つの排出孔32の代わりに、扇形S′n当たり一つ以上の排出孔32を設けることができる。下記においては、各扇形S′nがただ一つの下降管32のみを有する場合を論ずる。
【0023】
流れの場における滞留時間が一致するように、対応する条片Snにおける滞留時間に比例する比率An対Vnは、各条片Snにおいて同じ大きさでなければならない。こうして面積Anに対して図8に記載された関係が得られる。全容積流(=2V1+2V2+・・・+2VN)を予め設定することにより、面積Anの設計が実施可能となり、それは流出指数μnが公知であることが(例えば試験が実施されたことにより)前提である。
【0024】
図9に図示された堰状流れブレーカ7は、下降管3の下方のそして条片32′に設けられた(図示しない)排出孔32下方の仕切トレー2上に設けられる。トレーコラム1の外壁は、図面では省略され、一点鎖線で図示されているに過ぎない。少なくとも案内要素4のあるものは、流れブレーカ7の溢流端部70に設けられている。
【0025】
流れブレーカ7は、いずれの場合にも、金属板条片から作るのが有利である。案内要素4は、金属板条片から部分面積の切断および曲げによって簡単に製造可能である。流れブレーカ7は、多数の部品から組合わせることができる。図9に示されたように、それは曲げられているが、しかしながら、多数の真直ぐな部分を有する多角形の列の形状を備えることができる。
【0026】
流れブレーカ7が使用されるとき、いかなる案内要素も排出孔32に設けないことも可能である。この場合、案内要素4は下降管3のいかなる部分でもなく、流れブレーカ7そのものに過ぎない。排出孔32はまったく同じ大きさにすることができる。
【0027】
上記実施例に加えて、下降管3の別の変形、すなわち、少なくとも請求項1の変形b)およびc)に対応する下記のものも可能である。
【0028】
図1,5に示された実施例の変形に関して、変形b)において、案内要素4は下方には曲げられていないが、排出孔32前方上流の流入割合に影響を与えるため、上方には曲げられる。流れは、均一な流れの場に対して必要な横方向衝突成分が発生するように、上流に設けられた案内要素4によっても影響をうけることができる。
【0029】
別の実施例の変形に関して、変形c)において、基部31の代わりに、垂直壁片31′は下降管3の下端の部分を形成している(図10,11参照)。図10は図1,5の実施例に対応する実施例を示している。図11は図9に示されたものと同じ実施例を示している。そこでは、流れブレーカ7が案内要素4の前方に設けられている。流れブレーカ7の案内要素の一つだけが、図11に見られる。しかしながら、図9の実施例におけるように、多数の案内要素4が存在する。
【図面の簡単な説明】
【図1】二つの隣接した仕切トレーを有する縦方向に切断した本発明によるトレーコラムの断面図。
【図2】図1に示されたトレーコラムの仕切トレーにおけるおよびその上の流れ比率図。
【図3】仕切トレーの格子要素の図。
【図4】格子要素を備えた格子装置の図。
【図5】本発明によるトレーコラム用の下降管の排出孔の列の図。
【図6】排出孔の変形実施例の図。
【図7】排出孔の別の変形実施例の図。
【図8】排出孔に対する設計方法の図。
【図9】仕切トレーの下降管の下方に設けられる案内要素を備えた流れブレーカの図。
【図10】本発明による下降管の変形実施例の図。
【図11】本発明による下降管の別の変形実施例の図。
【符号の説明】
1 トレーコラム
2 トレー
3 下降管
4 案内要素
5 ガス/液体混合物
6 流れの場
7 流れブレーカ
10 コラム壁
20 格子要素
23 溝
31 中央領域
32 排出孔
33 切断端
34 周辺領域
35 中央領域
51 液相
52 ガス相
60 ジェット
61 主要流れ方向

Claims (10)

  1. 液体(51)が流れかつ隣接するトレー(2)の間の液体の輸送のための下降管(3)を有し、液体輸送は負荷されるトレー上に多数の排出孔(32)を通して各下降管に発生しかつ液体はジェット(60)の形式で排出孔から流出するトレーコラム(1)において、前記ジェットが負荷されるトレーに衝突する際に地域的に拡散する流れの場(6)内に混合し、前記流れの場は縦方向主要流れ方向(61)に対して流れ速度の横方向成分を有し、
    さらに案内要素を含み、該案内要素が
    a)排出孔の下にかつ負荷されるトレーから離して、または
    b)排出孔上にかつ上方に、または
    c)排出孔の後方に、配置されていて、
    前記案内要素(4)がそれぞれ分散する流れの場に対応する液体の衝突を案内し、それにより流れ速度の縦方向要素が主要流れ方向に垂直な各平面において十分に一定のプロフィルを有するように横方向速度成分を形成するのに役立つこと、
    および、記排出孔隣接する側方領域より中央領域において徐々に小さくなるように異なった大きさにされていること
    を特徴とするトレーコラム。
  2. 排出孔(32)が列をなして設けられていること、案内要素(4)がそれぞれ排出孔の一つと対応していること、および各案内要素それに溶接される対応する排出開口のリム(33,34)に隣接することを特徴とする請求項1に記載されたトレーコラム。
  3. 排出孔(32)がコラム壁(10)に隣接する部分的なリング形状のリングセグメント(32′)に設けられていること、および排出孔から流出する液体(51)が一方ではコラム壁により、他方では少なくとも部分的に案内要素(4)によって案内可能であること、または排出孔(32)が前記下降管の下端部を形成する垂直壁部片(31′)に設けられ、各案内要素がベーン状に作られその位置および傾斜が発生されるべき横方向速度成分に対応することを特徴とする請求項2に記載されたトレーコラム。
  4. 排出孔(32)が前記内壁基部における少なくとも部分的に切開かれた内面によって形成されかつ内面が前記内面の内壁側の端部(34)の周りに曲げられること、および曲げられた内面がベーン状案内要素(4)を形成し、案内要素が異なった傾斜角度ψを有すること、および傾斜角度が、中央領域の中心Zに対して、中心Zとの距離が増加するとき、0°から60°まで徐々に変化することを特徴とする請求項3に記載されたトレーコラム。
  5. 堰状流れブレーカ(7)個々のまたはすべての下降管(3)の排出孔(32)の下方にまたは前方に設けられること、および少なくとも案内要素(4)のあるものがそれらが溶接される、堰状流れブレーカの溢流リム(70)に設けられていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載されたトレーコラム。
  6. 堰状流れブレーカ(7)がそれぞれ金属板条片から作られていること、および案内要素(4)が部分区域の切断および曲げによって製造されることを特徴とする請求項5に記載されたトレーコラム。
  7. 案内要素(4)が堰状流れブレーカ(7)の部分のみにあることを特徴とする請求項5または6に記載されたトレーコラム。
  8. 排出孔(32)がそれぞれ下降管(3)の下端または下方部分を形成する壁部片に設けられ、壁部片水平基部(31)または垂直壁部片(31′)であること、および内壁(30,30b)と基部のすぐ上のコラム壁(10)の間の空間領域を占める、下降管の部分が下方に傾けられていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載されたトレーコラム。
  9. トレー(2)が、それぞれ台形の形状を有し、台形の平行でない側辺(21a,21b)が底辺(22)より長い、多数の格子要素(20)を有すること、および底辺がさらに主要流れ方向(61)に対して横方向に設けられ、格子要素の側辺が溝(23)として形成され、格子要素が主要流れ方向に傾斜しすべての格子要素が同じ向きを有し、かつ規則的点格子(25)上に設けられていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載されたトレーコラム。
  10. 円形断面を有すること、下降管(3)が各トレー(2)に設けられていること、および隣接するトレーの下降管が互いに直径方向反対側に設けられていることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載されたトレーコラム。
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