JP4623804B2 - 粉体供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカスト鋳造において、金型のキャビティ面や射出スリーブの内周面等(以下、被塗布面と称する。)に粉体の離型剤や潤滑剤(以下、粉体の離型剤や潤滑剤を総称して単に粉体と称する。)を付着・塗布させるべく、上記被塗布面に粉体を送出供給するため粉体供給装置に関するものである。
【0002】
ちなみに、ダイカスト鋳造においてこの種の粉体は、鋳造品の型離れを向上させるための離型剤として、射出スリーブや金型キャビティ内に供給された溶湯がこれら射出スリーブの内周面や金型キャビティ面に直接的に接触しないように断熱・保温して湯回りを向上させるための断熱・保温剤として、或いは射出スリーブにあってはプランジャチップとの潤滑性を向上させるための潤滑剤として使用塗布され、その目的ごとに周知の適切な特性を有する材料・性状のものが選択される。
【0003】
【従来の技術】
ダイカスト鋳造において、粉体を金型のキャビティ面や射出スリーブの内周面等に塗布する場合、従来では、粉体を1個又は複数個のスプレーノズルを用いて吹き付ける(スプレー塗布法)か、又は帯電させた粉体をスプレーノズルから吹き出して被塗布面に付着させ(静電塗布法)ていた。
しかし、前者のスプレー塗布法では、粉体の塗布膜厚がスプレーノズルに近いほど厚くなり遠くなるほど薄くなってしまう不具合があると同時に、吹き付け方向と反対側に位置する窪みの側面や底面及び鋳抜きピンの裏側等には粉体を均一に塗布することが非常に難しく、塗布むらが発生しやすい不具合があった。
また、後者の静電塗布法では、被塗布面が導電性を有してないと粉体を塗布することができない制限がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来の不具合に鑑みてなされたものであり、簡単な設備でもって、金型のキャビティ面や射出スリーブの内周面等の被塗布面に粉体を、全面にわたって均一に且つ必要最小限の厚さに塗布することが可能な粉体供給装置を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成する本発明の粉体供給装置は、金型のキャビティ面や射出スリーブの内周面等の被塗布面に粉体の離型剤や潤滑剤を供給するための粉体供給装置であって、前記粉体を収容する収容タンクの上壁部分にエアーを吹き込むためのエアー吹込みパイプを設けると共に、前記収容タンク内に収容せしめた粉体を外部へ吐出させるための粉体吐出口を設け、前記エアー吹込みパイプは、シリコーンまたはフッ素系樹脂からなる柔軟性を有する中空管であって、前記収容タンク内に垂下状に設け、前記エアー吹込みパイプへのエアーの吹込み時に、前記垂下状のエアー吹込みパイプ全体ないし先端部が、前後左右に振動または水平方向に回転動作されて、前記収容タンク内の粉体を当該収容タンク内で舞い上がらせつつ前記粉体吐出口から前記被塗布面へ送出するようにしたことを特徴としたものである。
つまり、前記収容タンクの上壁部分に柔軟性を有するエアー吹込みパイプを前記収容タンクの内部にあって垂下状に接続せしめることによって、エアー吹込みパイプを通して収容タンク内にエアーを吹き込んだ際に、エアー吹込みパイプが、前後左右に振れ動いたり水平方向に回転する挙動を示すようになり、収容タンク内の粉体を収容タンク内において効果的に舞い上がらせることが出来る。
この時、前記粉体吐出口から前記被塗布面へ送出させる粉体の送出供給量を、前記エアー吹込みパイプを通して前記収容タンク内に吹き込むエアーの供給量によりコントロールするように構成することが好ましい。
そして、前記収容タンクの底壁部分を平坦状よりも略漏斗形状に形成することが好ましい。そうすれば、収容タンク内の粉体が少なくなった場合でも所定量の粉体を安定して送出させることが容易となる。
更に、収容タンクのエアー吹込み口に垂下状に接続せしめたエアー吹込みパイプが冬期など外気温が低い場合に動きが鈍くならないように、前記収容タンクに当該収容タンクの内部を予熱するためのヒーターを設けることが好ましい。
また、前記粉体吐出口に粉体を被塗布面に送出するための送出管を連通接続せしめ、該送出管の少なくとも被塗布面に臨む先端部分を柔軟に形成することが好ましい。そうすれば、粉体の送出時に送出管の先端部分が上記エアー吹込みパイプと同様に前後左右に振れ動いたり水平方向に回転する挙動を示し、粉体を被塗布面に一層効果的に塗布させることが可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例を、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図示実施例のものに限定されるものではない。
図面は、本発明に係る粉体供給装置Aと周知の横型締め水平射出式ダイカスト機の金型部分Bを模式的に現したものであり、図中の符号1は固定型を示し、2は可動型、3は射出スリーブ、4は粉体Pを収容するための収容タンク、5はエアー吹込みパイプ、6は粉体吐出口をそれぞれ示す。
この図示例において粉体を塗布する場所、すなわち粉体を付着・塗布すべき被塗布面は、固定型1及び可動型2のキャビティ面1’,2’と射出スリーブ3の内周面3’となる。以下、単に”被塗布面”と称し、符号を省略する。
【0007】
本粉体供給装置Aはダイカスト機の近傍に設置され、収容タンク4から粉体Pが供給されて被塗布面に塗布される。
収容タンク4には、その内部に粉体Pを収容すると共に、当該収容タンク4の内部にエアーを供給するためのエアー吹込み口43と、当該収容タンク4内で舞い上がった粉体Pを被塗布面へと送出させるための粉体吐出口6を設けてなり、エアー吹込み口43から当該収容タンク4内にエアーを吹き込むことにより、吹き込まれたエアーの風力でもって収容タンク4内の粉体Pが当該収容タンク4内で舞い上げられると同時に粉体吐出口6から被塗布面へと送出されるように構成されている。即ち、収容タンク4内に収容せしめた粉体Pを当該収容タンク4内で舞い上がらせ、当該収容タンク4内で舞い上がった粉体Pを舞い上がったままの状態で粉体吐出口6から被塗布面へと送出させるようにするものである。
【0008】
収容タンク4は、適当な容積(例えば、1日分の鋳造に使用する量の粉体Pを収容できる程度の大きさ)を有し、上壁部分41及び底壁部分44を備えた略角筒形状或いは略円筒形状に形成して気密密閉状に形成する。
この際、底壁部分44は平坦に形成しても良いが、収容タンク4内の粉体Pが少なくなった場合でも所定量の粉体を安定して送出させることが出来るように、略漏斗形状に形成することが好ましい。尚、図中の符号45はキャップを示す。
【0009】
収容タンク4の内部にエアーを供給するためのエアー吹込み口43、並びに舞い上がった粉体Pを被塗布面へ送出させるための粉体吐出口6は、収容タンク4内の粉体Pを舞い上がらせつつ粉体吐出口6から被塗布面へ送出させることが可能ならば、収容タンク4の上壁部分41に設けても側壁部分42に設けても或いは底壁部分44に設けてもかまわない。実験の結果では、エアー吹込み口43に後述するエアー吹込みパイプ5を接続させて粉体Pを効果的に舞い上がらせるためには、図示実施例のごとく、収容タンク4の上壁部分41中央位置にエアー吹込み口43を設け、側壁部分42の上部位置に粉体吐出口6を設けることが最も好ましかった。
そうして、エアー吹込み口43には、収容タンク4より外側にエアー供給源に接続されたホース(図示せず)を連通接続させ、収容タンク4より内側にエアー吹込みパイプ5を連通接続させる。
【0010】
エアー吹込みパイプ5は、金属材や天然または合成のゴム材またはシリコーンやフッ素系樹脂等のプラスチック材など適当な長さ及び太さに形成された中空管を用い、収容タンク4の上壁部分41または側壁部分42或いは底壁部分44に形成されたエアー吹込み口43に連通接続させるが、上述したとおり、収容タンク4の上壁部分41中央位置にエアー吹込み口43を形成して、そのエアー吹込み口43に収容タンク4の上壁部分41から収容タンク4の内底部へ向け垂下状に設けることが好ましい。
【0011】
また、エアー吹込みパイプ5は、金属等の柔軟性がない中空管で形成するよりも、天然または合成のゴム材またはシリコーンやフッ素系樹脂等のプラスチック材などの柔軟性を有する中空管で形成することが好ましい。エアー吹込みパイプ5を柔軟性を有する中空管で形成することにより、エアー吹込み口43からエアー吹込みパイプ5を通して収容タンク4内にエアーを吹き込んだ際に、収容タンク4内に垂下状に設けられたエアー吹込みパイプ5の垂下部分全体ないしは先端部分が前後左右に振れ動いたり水平方向に回転動作する挙動を示すようになる。
【0012】
更に、収容タンク4には、当該収容タンク4の内部を所定温度に予熱し保持するためのヒーター10を設ける。このヒーター10としては、収容タンク4の外側または内側にあって当該収容タンク4の内部を予熱しえるものであれば何らの制約もなく、例えば周知のリボンヒーター等を使用し得る。ちなみに図示実施例では、リボンヒーターを用い収容タンク4の側壁部分42外周に巻き付けたものである。
【0013】
而して、エアー吹込み口43から収容タンク4内にエアーを吹き込むことにより、吹き込まれたエアーの風力でもって収容タンク4内の粉体Pが当該収容タンク4内で舞い上げられ、同時に、収容タンク4の内部で舞い上がった粉体Pがそのままの状態(舞い上がった状態)で粉体吐出口6から送出管9を通して被塗布面に送出される。すると、図示実施例の場合、覆い部材7で被われた空間8内が粉体Pの雰囲気となって、当該空間8内で暴露している被塗布面(固定型1及び可動型2のキャビティ面1’,2’と射出スリーブ3の内周面3’)に粉体Pが自然に付着・塗布されるようになる。
【0014】
この際、上記送出管9を、少なくとも被塗布面に臨む先端部分(図示実施例の場合、覆い部材7より内側に挿入された部分)9aを柔軟性良くに形成することが好ましい。そうすると、粉体の送出時に送出管9の先端部分9aが、エアー吹込みパイプ5と同様に前後左右に振れ動いたり水平方向に回転する挙動を示し、粉体Pが被塗布面に一層効果的に付着・塗布されるようになる。
【0015】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載に係る粉体供給装置は、粉体を収容する収容タンクの上壁部分にエアーを吹き込むためのエアー吹込みパイプを設けると共に、前記収容タンク内に収容せしめた粉体を外部へ吐出させるための粉体吐出口を設け、前記エアー吹込みパイプは、シリコーンまたはフッ素系樹脂からなる柔軟性を有する中空管であって、前記収容タンク内に垂下状に設けたので、エアー吹込みパイプを通して収容タンク内にエアーを吹き込んだ時に、エアー吹込みパイプの垂下部分全体ないしは先端部分が前後左右に振れ動いたり水平方向に回転動作する挙動を示すようになる。その結果、エアー吹込みパイプ(の垂下部分全体ないしは先端部分)が動かない場合と比較して、収容タンク内に収容せしめた粉体をより効果的に舞い上がらせることが可能となり、粉体吐出口から被塗布面へ、微細(サブミクロン〜数十ミクロン)且つ少量定量の粉体を被塗布面に連続的に送出させることが可能となる。
【0016】
しかも、収容タンク内で舞い上がった粉体を粉体吐出口から送出管を通して被塗布面に送出する際に、粉体を被塗布面に送り出す送出管内の粉体は、収容タンクから排出されるエアーの残分により、ほとんど残ることなく被塗布面まで送出されるので、送出管を長く形成しても粉体による目詰まりが発生しにくくなり、被塗布面に粉体を長期にわたって安定して供給することが可能となる。
【0017】
また、本発明の請求項2記載に係る粉体供給装置によれば、収容タンクの粉体吐出口から被塗布面へ送出させる粉体の送出供給量を、エアー吹込みパイプを通して収容タンク内に吹き込むエアーの供給量によりコントロールするようにしたので、簡単な構成でもって必要定量の粉体を被塗布面へ送出供給することが可能となる。即ち、エアー吹込みパイプを通して収容タンク内に吹き込まれたエアーの風力により収容タンク内で舞い上がった粉体が、収容タンク内に吹き込まれたエアーと共に被塗布面へ送出されることになるので、収容タンク内に吹き込むエアーの供給量(圧力と吹込み時間)により粉体の送出供給量をコントロールすることが可能となり、その結果、必要定量の粉体を被塗布面へ安定して送出供給することが可能となる。
【0019】
また、本発明の請求項3記載に係る粉体供給装置によれば、収容タンクの底壁部分を略漏斗形状に形成してなるので、エアー吹込み口に柔軟性を有するエアー吹込みパイプを垂下状に接続せしめた構成と相俟って、収容タンク内の粉体が少なくなった場合でも所定量の粉体を安定して送出させることが出来る。
【0020】
更に、本発明の請求項4記載に係る粉体供給装置によれば、収容タンクに、当該収容タンクの内部を予熱するためのヒーターを設けてなるので、収容タンクの内部を所定温度に保持することができ、よって収容タンクのエアー吹込み口に垂下状に接続せしめたエアー吹込みパイプを冬期など外気温が低い場合でも所定の温度に保持することが可能となる。従って、エアー吹込みパイプが、外気温度の変化に影響されることなく前後左右に振れ動いたり水平方向に回転する挙動を支障なく示すことができ、その結果、収容タンク内の粉体を効果的に舞い上がらせて、所定量の粉体を被塗布面へ安定的に送出供給することが可能となる。
【0021】
そして、本発明の請求項5記載に係る粉体供給装置によれば、粉体吐出口に粉体を被塗布面に送出するための送出管を連通接続せしめ、該送出管の少なくとも被塗布面に臨む先端部分を柔軟に形成してなるので、粉体の送出時に送出管の先端部分が上記エアー吹込みパイプと同様に前後左右に振れ動いたり水平方向に回転する挙動を示し、粉体を被塗布面に効果的に付着・塗布させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一例を示す模式断面図。
【符号の説明】
A:粉体供給装置 B:ダイカスト機の金型部分
1’,2’:キャビティ面 P:粉体
3:射出スリーブ 3’:射出スリーブ内周面
4:収容タンク 43:エアー吹込み
5:エアー吹込みパイプ 6:粉体吐出口
7:覆い部材 8:空間
9:送出管 9a:送出管の先端部分
10:ヒーター
Claims (5)
- 金型のキャビティ面や射出スリーブの内周面等の被塗布面に粉体の離型剤や潤滑剤を供給するための粉体供給装置であって、前記粉体を収容する収容タンクの上壁部分にエアーを吹き込むためのエアー吹込みパイプを設けると共に、前記収容タンク内に収容せしめた粉体を外部へ吐出させるための粉体吐出口を設け、前記エアー吹込みパイプは、シリコーンまたはフッ素系樹脂からなる柔軟性を有する中空管であって、前記収容タンク内に垂下状に設け、前記エアー吹込みパイプへのエアーの吹込み時に、前記垂下状のエアー吹込みパイプ全体ないし先端部が、前後左右に振動または水平方向に回転動作されて、前記収容タンク内の粉体を当該収容タンク内で舞い上がらせつつ前記粉体吐出口から前記被塗布面へ送出するようにしたことを特徴とする粉体供給装置。
- 前記収容タンクの粉体吐出口から前記被塗布面へ送出させる粉体の送出供給量を、前記エアー吹込みパイプを通して前記収容タンク内に吹き込むエアーの供給量によりコントロールするようにしたことを特徴とする請求項1記載の粉体供給装置。
- 前記収容タンクの底壁部分を略漏斗形状に形成してなる請求項1記載の粉体供給装置。
- 前記収容タンクに、当該収容タンクの内部を予熱するためのヒーターを設けてなる請求項1記載の粉体供給装置。
- 前記粉体吐出口に粉体を被塗布面に送出するための送出管を連通接続せしめ、該送出管の少なくとも被塗布面に臨む先端部分を柔軟に形成してなる請求項1記載の粉体供給装置。
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