JP4622240B2 - フラッシュランプ発光装置 - Google Patents
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近年、このような要望に応える加熱手段として、点灯時間が極めて短く高い照射エネルギーが得られるフラッシュランプを用い、被処理物の大きさに応じてその配列本数を適宜設定して構成したランプ装置が用いられるようになっている。
図5は、ランプハウスの中に配列するフラッシュランプの構成を示し、図6は図5のZ−Z線から見たランプハウスの断面図を示す。
フラッシュランプ10は複数本が互いに並行となるように配置している。各フラッシュランプ10は管型の放電容器11の中に陽極12と陰極13が配置され、その外表面にはトリガワイヤ14が配設されている。各トリガワイヤ14には、陽極12、陰極13とは独立した電圧が印加される。
フラッシュランプ10の後方には反射鏡15が設けられており、この反射鏡15は支持部材16によってランプハウス20の天板20aに取り付けられている。
なお、ランプハウス20の一側面(天板20aと反対側)は開口になっているが、光透過性ガラスを設けることもある。
これは、複数のフラッシュランプ10は、互いに他のフラッシュランプに流れる電流によってローレンツ力を発生するからと考えられる。特に、フラッシュランプには、例えば2kAもの大電流が同一方向に流れ、また、各フラッシュランプは、例えば15mmという短い間隔で配置していることも影響している。また、フラッシュランプの放電容器11は、一般に細長く、その中央部には大きなモーメント力が加わることも原因している。
このようなフラッシュランプや反射鏡の振動は、半導体や液晶基板の熱処理という用途における特有の課題であり、例えば、従来から広く知られているカメラのストロボやプリンターの光源に使われるフラッシュランプなどでは決して生じることのない現象であるといえる。
つまり、カメラのストロボやプリンターの光源に使うフラッシュランプなどの高電圧の発生という問題が大きな影響を及ぼさないため反射鏡は金属部材やバネ部材を使うこともできるのに対し、半導体や液晶基板の熱処理という用途に使うフラッシュランプ発光装置では支持部材として絶縁性物質を使わなければならない。
一方、支持部材として絶縁性無機物質を使うと、フラッシュランプの放射光による照射損傷という問題は発生しない。しかし、前記したフラッシュランプおよび反射鏡の激しい振動により、亀裂を生じて損傷するという問題が発生する。
図5に示す番号と同一番号は同一部分を示す。この構造の特徴は支持部材16が絶縁性無機物質からなり天板20aとの間に緩衝材17を挟んでいることである。
フラッシュランプ10は、反射鏡15の内部で等間隔に並行配列しており、反射鏡15はこれらフラッシュランプ10に対して共通の反射鏡として機能する。各フラッシュランプ10は図示略の給電装置により点灯制御される。
反射鏡15は、アルミニウム(材質)からなり、厚みは、例えば5mmである。内部に多数のフラッシュランプ10を内蔵するだけの大きさが必要であり、数値例を上げると幅(ランプが並ぶ方向の長さ)500mm、奥行き(ランプの長さ方向)500mm、高さ40mmである。
なお、天板20aは、例えばアルミニウム(材質)などからなり、厚さ10mm程度である。
直管型の石英ガラス製放電容器11には、例えば、キセノンガスが封入されており、両端が封止されて内部に放電空間が区画される。放電空間内には陽極12、陰極13が対向配置しており、放電容器11の外面には長手方向にトリガ電極14がトリガバンドに保持されて配設される。
封入ガスであるキセノンガスの封入量は200〜1500torrの範囲から選択され、例えば500torrである。また、主発光成分としてはキセノンガスに限らず、その代わりにアルゴンやクリプトンガスを採用することもできる。また、キセノンガスに加えて水銀など他の物質を添加することもできる。
電極は、タングステンを主成分とする焼結型電極であって、大きさは外径が4〜10mmの範囲から選択され、例えば5mm、長さが5〜9mmの範囲から選択され、例えば7mmである。電極間距離は160〜500mmの範囲から選択され、例えば280mmである。また、陰極にはエミッターとして酸化バリウム(BaO),酸化カルシウム(CaO),酸化ストロンチウム(SrO),アルミナ(Al2O3)、酸化ランタン(La2O3)、酸化トリウム(ThO2)などが混入されている。
さらに、トリガ電極は、ニッケルやタングステンで形成されるワイヤ状のものであり放電容器に接触される。
フラッシュランプの本数は、前記のように5〜40本から選択されて、例えば、30本である。照射面における光強度は、フラッシュランプの総本数が5〜40の範囲として、10〜50J/cm2範囲から選択され、例えば20J/cm2となる。
本発明に係るフラッシュランプ発光装置は、上記激しい振動による影響を防止するため、支持部材16に緩衝材17を挟んでいることを特徴とする。
支持部材16は、アルミナなどの絶縁性無機物質からなり、円柱形状をしている。支持部材16と天板20aの間にはフッ素ゴムなどの緩衝材17が挟まっている。緩衝材17は、Oリング状であり、取付ビス18aとタッププレート18bなどの保持部材18によって挟圧保持されている。支持部材16にはタッププレートの挿入孔16aが設けられる。
このような構造は、支持部材16が絶縁性無機物質であるから容易に保持構造が形成できる点で有利である。
保持部材18は、支持部材16に設けられた挿入孔16bを使って、反射鏡15と支持部材16の取付けにも利用される。
ここで、幾つかの先行文献には、外部環境の振動がランプに対して影響を及ぼさないように、ランプの周囲に振動防止部材を設けることは提案されているかもしれない。しかし、本発明は、ランプ自身の激しい振動により支持部材が破損損傷するという新規な課題を解決する点でこれら先行文献とは内容を異にしている。
繰り返しになるが、本発明は、フラッシュランプや反射鏡(場合により)は、トリガ電極の高い電圧により帯電するが、この帯電をランプハウスに対して絶縁すべき支持部材として絶縁性物性を使わなければならないという前提条件が存在している。さらに、支持部材は樹脂のように有機系物質を主成分とする場合にはフラッシュランプの放射光(ランプハウスの側板による反射光)を受けて焼け焦げるという問題も生じかねない。
そして、本発明は上記前提条件における支持部材の破損損傷、最悪の場合は反射鏡の落下という問題を解消すべく生まれた発明であり、単に外部環境の振動を吸収するという従来の発想とは全く異なるものである。
さらに、緩衝材17を支持部材16と天板20aの間、および支持部材16と反射鏡15の間の両方に設けることもできる。しかしながら、緩衝材17は、いずれかの位置に介在させれば振動吸収が達成できるためコスト面その他を考慮するといずれかに設けることが望ましい。
また、緩衝材は厚さが小さいのでフラッシュランプの放射光を受ける影響は小さいが、より好ましくは外表面にアルミ箔を巻き付けることもできる。
支持部材16は、マシナブルセラミック、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを使うことができる。
例えば、図4に示すように、支持部材16にヘリサート19を取り付けて保持部材18と取り付けてもよい。
ただし、天板20aと側板20bを分離可能に構成することで、フラッシュランプ、反射鏡を取り付けたまま天板20aを引き出すことができ、ランプ交換、位置調整などのメンテナンス作業が容易になる。なお、天板20aを分離可能な構造にするためには、天板20aの保持部20cを構成している。この天板保持部20cは平板形状であり、天板20aを保持するために、ほぼ同一形状、同一の大きさの開口と、天板20aの周辺で保持する段差部を有している。ちなみに、フラッシュランプは天板保持部20cに取り付けた保持板に固定されており、フラッシュランプと反射鏡は直接固定していない。
有機物質は、例えばPTFE、PEEK、PVDFなどを使うことができる。
11 放電容器
12 陽極
13 陰極
14 トリガワイヤ
15 反射鏡
16 支持部材
17 緩衝材
18 保持部材
19 ヘリサート
20 天板
Claims (4)
- 互いに平行になるように複数個配設されたフラッシュランプと、
このフラッシュランプを覆う反射ミラーと、
このフラッシュランプと反射ミラーを取り囲むランプハウスよりなるフラッシュランプ発光装置において、
前記反射ミラーは、絶縁性の無機物質材料からなる支柱を介して前記ランプハウスの天板に保持されており、
この支柱と天板の間、および/又は支柱と反射ミラーの間に、当該支柱の損傷防止用の緩衝材を挟んでいることを特徴とするフラッシュランプ発光装置。 - 前記フラッシュランプは、発光管の外面であって、前記反射ミラーに対向してトリガワイヤーが配設されることを特徴とする請求項1のフラッシュランプ発光装置。
- 前記ランプハウスの前面開口には、光透過性窓部材が設けられたことを特徴とする請求項1のフラッシュランプ発光装置。
- 前記緩衝材は前記支柱の端部に適合するリング状部材であることを特徴とする請求項1のフラッシュランプ発光装置。
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