JP4621914B2 - 極細管内壁面のコーティング方法およびコーティング装置 - Google Patents

極細管内壁面のコーティング方法およびコーティング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4621914B2
JP4621914B2 JP2005121592A JP2005121592A JP4621914B2 JP 4621914 B2 JP4621914 B2 JP 4621914B2 JP 2005121592 A JP2005121592 A JP 2005121592A JP 2005121592 A JP2005121592 A JP 2005121592A JP 4621914 B2 JP4621914 B2 JP 4621914B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ultra
plasma
thin tube
sputter target
magnetic field
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005121592A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006299333A (ja
Inventor
寛 藤山
Original Assignee
国立大学法人 長崎大学
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 国立大学法人 長崎大学 filed Critical 国立大学法人 長崎大学
Priority to JP2005121592A priority Critical patent/JP4621914B2/ja
Publication of JP2006299333A publication Critical patent/JP2006299333A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4621914B2 publication Critical patent/JP4621914B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

本発明は、極細管内壁面への成膜を行う極細管内壁面のコーティング方法およびコーティング装置に関する。
例えば医療関連の、泌尿器系、呼吸器系、消化器系、循環器系等における透析用のフィルタ、チューブ類、人工血管などのカテーテルとして、患者の苦痛の軽減から、より細い極細管の要求が高まっている。
一方、この医療関係等に用いるチューブ、カテーテルにあっては、その内壁面に、化学的安定化変質防止、血液凝固防止、血液等の流通性向上等の目的をもって、Au、Ag等の金属、あるいはプラスティック等の各種材料を強固に、かつ均質、均一厚さに成膜することが望まれる。
しかしながら、その内径が数mmないしは1mm以下の極細管において、その内壁面に目的とする材料をコーティングするコーティング方法は、未だ確立されていない。
従来、通常の管体内壁面への成膜を行うコーティング方法としては、ドライコーティング方法がある。これは、高気圧プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)あるいはプラズマPVD(Physical Vapor Deposition)によるものであるが、細管内に低気圧条件下でプラズマを生成することが困難であることから、これら成膜方法を上述した医療用細管に適用することはできない。
このために、細管に対する成膜は、ウェットコーティングによることが主流となっていた。しかしながら、この方法による場合、コーティング材の選定の自由度が小さく、また、この場合においても極細管への適用はできない。
これに対して、本発明者等は、先に、例えば医療用細管内に、ECR(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)によってプラズマ生成を行って、これら細管の内壁面に各種材料のスパッタリング成膜を行うコーティング方法とコーティング装置を提案した(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
このECRによるプラズマ発生によってスパッタリングする方法は、目的とするコーティング、すなわち成膜がなされる被成膜管内に、棒状ないしはワイヤ状のスパッタリング材のターゲットを同心的に配置し、両者間の空間に、プラズマソースガスの導入、マイクロ波の導入、磁場の印加によってECRを発生させてプラズマを生成し、これによって発生させたイオンを陰極側のターゲットに衝撃させることによってこのターゲット材を叩き出して、被成膜管の内壁面にスパッタリング成膜させるものである。
しかしながら、このECR法によっても、上述した数mmないしは1mm以下の極細管の内壁面に各種材料のスパッタリングを良好に行うことは極めて困難、ないしは不可能である。
これは、上述したECR法による場合、電子の軌跡、すなわち電子の閉じ込めを十分狭小にすることができないことから、狭隘な極細管の中心軸上に配置されたターゲットと極細管の内壁面との間の狭間隔(狭ギャップ)において、電子がプラズマソースガスの原子に衝突することによってプラズマ発生に寄与すべき電子が、空間の壁に衝突して消失してしまうこと、また強い電界による加速によってプラズマソースガスとの衝突確率が小さくなることにより、極細管内でのプラズマ生成ができなくなることに因る。
特開平7−252663号公報 特開平8−296038号公報
本発明は、例えば医療用カテーテル、チューブ等の、その内径が例えば数mmから1mm以下にも及ぶ、上述した極細管に関しても、安定して極細管内壁面への例えば金属、セラミックそのほかの各種材料の成膜を良好に、すなわち確実にスパッタリングすることができる極細管内壁面のコーティング方法およびコーティング装置を提供するものである。
本発明による極細管内壁面へのコーティング方法は、真空空間内に、極細管を配置し、該極細管内に、該極細管の軸心に沿ってスパッタターゲットを配置した状態で、上記極細管と上記スパッタターゲットとの間に、上記スパッタターゲット側を負側とする電圧を印加し、上記スパッタターゲット側に繰り返し負電圧パルスバイアスを印加し、上記極細管の内壁面と、上記スパッタターゲットとの間のギャップ内に、プラズマソースガスを導入するとともに、マイクロ波導入と磁場印加により、
ωce/ω=0.5 (1)
ここで、ωceは、電子のサイクロトロン周波数
ωは、マイクロ波周波数
の条件下でのプラズマ生成を行って、上記極細管の内壁面に上記スパッタターゲット材をスパッタリングして上記極細管内にコーティングを施すことを特徴とする。
このように、本発明方法においては、スパッタターゲット側を中心電極とし、内壁面に成膜がなされる極細管側を外側電極とする同軸型配置とされ、上記(1)式を満たす条件によるプラズマ生成によってイオンを発生させて、このイオンを中心負極側のスパッタターゲットに入射することによってスパッタリングを行う。
なお、このスパッタリングは、前述した先に本発明者らが提案したECR、つまりωce/ω=1によるプラズマ生成に対して、上記(1)式のωce/ω=0.5という条件に設定されることから、2nd Harmonic (第2高調波)ECRによるプラズマ生成と呼称する。
この2nd Harmonic ECRによれば、低気圧、低電力でのプラズマ生成を行うことができること、また、電子の閉じ込めを良好に行うことができるものである。
また、本発明によるコーティング法は、上述した極細管内壁面へのコーティング方法にあって、上記プラズマガスソースとしてAr、Xe、Neのいずれかのガスを用いることを特徴とする。
そして、本発明による極細管内壁面のコーティング装置は、真空容器と、該真空容器の外周に配置された磁場発生装置と、プラズマソースガス供給源と、マイクロ波発生装置と、上記真空容器の排気手段と、上記真空容器内に、内壁面にコーティングを行う極細管を配置する極細管の配置部と、上記極細管内に該極細管と同心的にスパッタターゲットを配置するスパッタターゲットの配置部と、上記極細管と上記スパッタターゲットとの間に、上記スパッタターゲット側に負電圧パルスバイアスを印加する電源部とを有し、上記排気手段によって上記真空容器内を所要の気圧に排気し、上記極細管の内壁面と、上記スパッタターゲットとの間のギャップ内に、上記プラズマソースガス供給源から、プラズマソースガスを導入するとともに、上記マイクロ波発生装置からマイクロ波導入と上記磁場発生装置によって磁場印加して、上記(1)式、すなわち、
ωce/ω=0.5 (1)
ここで、ωceは、電子のサイクロトロン周波数
ωは、マイクロ波周波数
の条件下でのプラズマ生成を行って、上記極細管の内壁面に上記スパッタリングターゲット材をスパッタリングして上記極細管内にコーティングを施すことを特徴とする。
また、本発明は、上述した極細管内壁面のコーティング装置にあって、上記磁場発生装置は、上記真空容器の外周に、上記極細管の軸心方向に沿って、複数の電磁コイルが配置されて成り、該複数の電磁コイルに対する通電もしくは通電量を切換えて主たる磁場印加位置を上記極細管の軸心方向に沿って移動するようにしたことを特徴とする。
上述した本発明による極細管内壁面へのコーティング方法においては、2nd Harmonic ECRによるものであり、この2nd Harmonic ECRは、後述するところから明らかなように、低気圧でのプラズマ生成を行うことができること、また、電子の閉じ込めを良好に行うことができるという効果を有するものである。
したがって、極細管内のせまい空間中で、良好にプラズマ生成がなされ、極細管、例えば数mmないしは1mm以下に及ぶ内径を有するカテーテル等の極細管の内壁面に、良質のコーティングをスパッタリングによって形成することができるものである。
また、低電力化がなされることから、消費電力の低減化を図ることができるものである。
また、上述したように、ターゲット側に繰り返し負電圧パルスバイアスを印加することによって、そのオフ時間において、イオンシースの減少、すなわち、プラズマの回復を行うようにすることによって、良好にスパッタリングを行うことができるものである。
これは、ターゲット側に負の直流電圧を印加しつづける場合、イオンシースが拡大していき、これによってプラズマが消滅し、ターゲットへのイオン電流密度が低下し、スパッタリングが低下ないしは停止する現象を、負のパルスバイアス電圧を印加する方法をとることによって負の電圧のオフ時においてイオンシースの縮小がなされ、これによりプラズマの回復を図ることができるようにするものである。
また、本発明によるコーティング装置によれば、上述したように、2nd Harmonic ECRによるプラズマ生成による構成としたことから、低電圧プラズマ生成が可能となり、こりにより、省電力化を図ることができるものである。
また、電子の閉じ込めを良好に行うことができることから、極細管内でのプラズマ生成が良好になされ、スパッタターゲットへのイオン電流の増大化、これに伴う極細管内壁面のスパッタリング成膜を良好に行うことができる。
本発明による極細管内壁面のコーティング方法とコーティング装置の実施の形態例を、図面を参照して説明するが、本発明この形態例に限定されるものではない。
図1AおよびBは、本発明によるコーティング方法およびコーティング装置の基本的動作の説明に供するコーティング装置の要部の縦断面図およびそのB−B線上の断面図である。
本発明によるコーティング方法およびコーティング装置においては、真空容器1内に、同軸上に筒状の外側電極2と、中心電極3とが配置される。
外側電極2内には、目的とする内壁面にコーティングを行う例えばプラスチック、セラミック等の絶縁体あるいは金属管による極細管4が挿入配置される。
中心電極3には、スパッタターゲット5が配置される。このスパッタターゲット5が例えばAu,Ag等の金属などの導電性材である場合には、図1で示すように、このスパッタターゲット5を中心電極3の先端に電気的機械的に結合して配置するか、あるいはこのスパッタターゲット5自体によって中心電極を構成する。
また、このスパッタターゲット5が、絶縁性のターゲットである場合は、中心電極の外周に例えば筒状スパッタターゲット5を配置するか中心電極にスパッタターゲット5を被着形成する。
いずれの場合においても、極細管4の全長に渡ってスパッタターゲット5が対向するように配置する。
そして、真空容器1内、すなわちスパッタターゲットと、極細管4の内壁面との間の空間を一旦排気して真空空間とし、その後、所要の低気圧をもってプラズマガスソースとしての例えばAr、あるいはXe、またはNe等のガスを導入する。
そして、中心電極3すなわちスパッタターゲット5と、外側電極2との間に、電源部6によって、所要の低電圧バイアスを印加する。この場合、電源部6は、パルスバイアス供給源として、中心電極3すなわちスパッタターゲット5側に負電圧パルスバイアスを印加することが望ましい。
また、中心電極3あるいはスパッタターゲット5に、例えば2.45GHzのマイクロ波を同軸モード(TEMモード)で供給し、同時に所要の磁場印加を行う。
このようにして、前記(1)式を満足する条件を形成する。すなわち、2nd Harmonic ECRを生じさせる。
そして、この2nd Harmonic ECRによってプラズマを生成し、これによって発生したイオン7を図1に模式的に示すように、ターゲット5に引き寄せて衝撃し、ターゲット5の原子8をスパッタリングにより叩き出して、極細管4の内壁面にコーティングさせる。
このようにして、極細管4の内壁面に目的とするターゲット材をコーティングする。
図2は、本発明によるコーティング装置の一実施形態例の概略構成図である。
このコーティング装置は、例えば円筒状の真空容器1を有し、真空容器1内には、目的とする内壁面にコーティングを行う極細管4を配置する極細管の配置部と、その中心軸上に棒状もしくは線状のスパッタターゲット5を配置するターゲットの配置部が設けられる。
真空容器1には、その排気を行う例えば拡散ポンプ9Dとロータリーポンプ9Rとによる排気手段9が結合される。
更に、真空容器1に、上述したプラズマソースガスを供給するプラズマソースガス供給源10がマスフローコントローラ11を介して連結される。
また、真空容器1の外周に、磁場発生装置12が配置される。この磁場発生装置12は、外側電極2および中心電極3、したがって、極細管4およびスパッタターゲット5と同軸上に、この軸心方向に沿って複数の電磁コイルC1,C2,C3・・・Cnが配列された構成とすることができる。
また、磁場発生装置12の電磁コイルC(C1,C2,C3・・・Cn)の励磁電流源13が設けられる。
この励磁電流源13は、各電磁コイルC1,C2,C3・・・Cnに、その配列の例えば一端から、他端へと通電もしくは通電量を切り換えて磁場の主たる印加位置を、真空容器21の軸方向に沿って移動させるようになされる。
更に、マイクロ波発生装置14と、そのパワーモニタ15、安定化チューナ16とが設けられ、同軸ケーブル17を通じて中心電極3あるいはターゲット5に、TEM波の例えば2.45GHzのマイクロ波が供給される。
また、外側電極2および中心電極3間、すなわち極細管4とスパッタターゲット5との間に、上述した所要の電圧を印加する電源部6例えば上述したパルスバイアス供給源が設けられる。
この構成によるコーティング装置によって、極細管4の内壁面にスパッタターゲット材によるコーティング層をスパッタリングによって形成する。
上述したように、本発明においては、2nd Harmonic ECRによるプラズマ生成を行って極細管4の内壁面に対するプラズマスパッタリングを行うものであるが、次に、2nd Harmonic ECRによるプラズマ生成について説明する。
図3は、プラズマ発生の説明に供する電極間の間隔、すなわちギャップ長とその配置空間のプラズマソースガス気圧との関係を示す図である。通常のプラズマが発生しやすい領域は、パッシェンの法則による、P(気圧)×d(ギャップ長)がPd=1からPd=10間の領域である。
そして、PDP(Plasma Display Panel)、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)、プラズマエッチングは、通常、図3中に図示した領域によるプラズマが用いられている。
これに対し、前述した本発明者らが提案した特許文献1および2におけるECR(ωce/ω=1)および本発明における2nd Harmonic ECR(ωce/ω=0.5)は、磁場印加における高周波放電によるプラズマ生成によるものである。
すなわち、プラズマ生成は、放電開始条件、電子捕捉条件、電子のイオン化エネルギー条件に依存するものであるが、上述したECRにおいては、放電開始電界を低下させる効果を有するものであり、本発明の2nd Harmonic ECRにおいては、電子の閉じ込めによる共鳴的な捕捉効果を得ることにより、狭ギャップ長でのプラズマ形成を可能にし、低気圧化によって、良好な膜質、被着強度の高いコーティングを行うものである。
また、この場合、コーティング材料は、金属、絶縁物を問わないものである。
本発明方法によってプラズマソースガスとして、Xeを用いたマイクプラズマ生成は、ギャップ長が500μm、気圧が10−2Torrとなり、P・d積に換算するとP・d=5×10−4、したがって、図3に点aでプロットして示した通常のプラズマ発生による例えばPDPに比して、4桁低い気圧でプラズマ生成がなされるものである。
次に、上述した本発明における2nd Harmonic ECR(ωce/ω=0.5)と、ECR(ωce/ω=1)とによる場合の電子の捕捉、すなわち閉じ込めについて説明する。
図4AおよびBは2nd Harmonic ECR(ωce/ω=0.5)と、ECR(ωce/ω=1)とによる場合の電子の軌跡を示す図であり、図4AとBとを比較して明らかなように、2nd Harmonic ECRによるときは、電子の閉じ込めが強くなされているものであり、これによって、狭ギャップにおいて有効に電子がプラズマソースガスの原子と衝突してイオン化することができることがわかる。
図5Aは、気圧0.01Torr、ギャップ長500μm、プラズマソースガスをXeとしたときの、ωce/ωと、放電開始(Breakdown)電界(曲線51)、非電子捕捉(Non-trapping)電界(曲線52)、最小イオン化(Minimum Ionization)電界(曲線53)の関係を示した図である。そして、図5Bは、図5Aを、本発明で対象とする2nd Harmonic ECR(ωce/ω=0.5)の近傍について拡大表示したものである。
これによっても明らかなように、2nd Harmonic ECR(ωce/ω=0.5)において、低電界で共鳴的に強い電子の閉じ込めを生じることがわかる。
また、図6および図7は、同様に2nd Harmonic ECRによる場合の、プラズマソースガスとしてArおよびXeを用い、それぞれ気圧0.1Torrとした場合のそれぞれのギャップ長を変化させたときの放電開始電界、非電子捕捉電界、最小イオン化電界の理論値によるプロット図である。
Arを用いた場合、電極2および3間の印加電圧すなわちターゲットバイアス電圧=45.9Vにおいて、最小ギャップ長dmin=486μmとなった。
Xeを用いた場合、同様のバイアスVb=35.2Vにおいて、最小ギャップ長dmin=425μmとなった。すなわち、Xeガスによることによって、プラズマ生成が可能なギャップ長の狭小化を図ることができる。
次に、各特性の実測した結果を示す。この場合、それぞれステンレス(SUS)によって形成された同軸形電極構成とし、両者間の間隔、すなわちギャップ長をそれぞれ10mm、3.5mm、1mm、700μm、500μmに設定して、測定した。この場合のギャップ長の誤差は、±0.5μmであった。
磁場発生装置12は、図2におけるように、その同軸配置による外側電極および中心電極と、同軸心上に、電磁コイルが配置された構成とした。
そして、2.45GHzのマイクロ波(TEM)をパワー10Wで供給した。そして、被コーティング管としてのセラミックチューブを外側電極内に挿入配置した。
図8は、この構成において、プラズマガスとしてArを用いた場合の、放電開始磁界の、気圧Pとの関係の測定結果を示すもので、ECR(ωce/ω=1)と、2nd Harmonic ECR(ωce/ω=0.5)を対比して示したものである。すなわち、ギャップ長dが10mm、3.5mmの比較的大である場合は、ECRが有効であり、ギャップ長dが、1.0mm、700μmの場合2nd Harmonic ECRが有利であることが分かる。
図9は、プラズマガスとしてArを用いた場合の、ギャップ長700μmにおけるプラズマ発生領域を示すブレークダウン磁界と、最大捕捉磁界の気圧との関係の測定結果を示すものであり、気圧0.02Torrでプラズマが生成される。
また、図10は、プラズマガスとしてXeを用いた場合の、ギャップ長500μmにおけるプラズマ発生領域を示すブレークダウン磁界と、最大捕捉磁界の気圧との関係の測定結果を示すものであり、気圧0.01Torrでプラズマが生成される。
図9および図10のそれぞれプロット点による曲線91および92間、101および102間において、プラズマ発生が生じることになる。
なお、図11は、Arイオンの平均自由行程(mean free path)の気圧依存性を示した図で、これによれば、スパッタリングに際して有効となる平均自由行程を考慮すると、40mTorr以下の気圧に選定することが望ましいと言える。
図12は、上述した本発明方法で、Xeガスを用い、電界Eおよび磁界Bが印加され、かつ2nd Harmonic ECRによるプラズマ生成による場合と、通常の電界Eのみによるプラズマ生成による冒頭で触れたPDPプラズマ生成の場合とを対比した表図で、これより明らかなように、2nd Harmonic ECRによるプラズマは、PDPの場合に比べて気圧を4桁低くでき、また、放電開始電圧の低減化が図られ低電圧化が図られている。
図13は、各プラスチックソースガスのAr、Xe、Neについての衝突断面積(Collision Cross Section)σと、イオン化エネルギー(Ionization Energy)Vi(eV)を比較して示した表図で、Xeがプラズマソースガスとして適していることがわかる。図13において二重丸印はきわめて良好であり、一重丸印は良好、三角印は劣るという評価を示すものである。
上述したように、本発明方法によれば、プラズマ生成が効果的になされるものであるが、実際のスパッタリングにおいては、陽極側の外側電極2と陰極側の中心電極3との間に直流電圧を印加する場合、すなわち一定電圧を連続して印加するときは、プラズマ生成と同時に、陰極側すなわちターゲット側にチャイルド則シースが発生し、これによってプラズマがターゲット側から遠のく方向に押しやられて、遂にはプラズマが消失されてしまって、スパッタリングができなくなるという現象が生じる。
そこで、本発明においては、ターゲットに負のパルスバイアスを電源部6から印加する。
すなわち図14に示すように、aで示すtoffにおけるイオンシースが消滅している状態から、負のパルスの立ち上がり区間triseで bを経て負パルスバイアスの印加区間tonの状態とする。このときc〜dの時点tiからtchildでチャイルド則によるイオンシースが発達し、プラズマを抑圧してくる。そして、負のパルスのオフがなされると、ターゲットへの印加電圧が区間tfallで低下し、イオンシースが消滅してきてプラズマの抑圧が緩和し、イオンターゲット電流が生じ、スパッタリング可能な状態を経て、バイアスがオフのtoffとする。そして、この動作が繰り返される。
つまり、tonによってプラズマ生成を行うものであるが、これと同時にイオンシースがチャイルド則によって生じてくることによるプラズマの消滅を回避することができる。
そして、この場合のtriseおよびtfallの傾きは、図2で示した電源部6と各電極間に挿入された抵抗R1およびR2の抵抗値の選定によって任意に選定できるものである。
また、図15および図16は、それぞれ70mTorrにおいて、ターゲット直径2mm、パルス周波数2kHzとしたときのターゲットに対する負バイアス電圧Vbを変化させたときの、パルス波形と、このときのそれぞれのイオン電流密度の時間的変化を示した図である。図15は、ギャップ長が1.85mmである場合で、それぞれターゲットバイアス電圧Vbを、−300V、−200V、−100Vとしたときの波形図と、このときのそれぞれのイオン電流密度の変化を示した図で、曲線15a、15b、15cは、そのイオン電流密度を示すものである。
また、図16は、ギャップ長が3.5mmのときのターゲットパルスバイアス電圧Vbを、−500V、300V、−100Vとしたときの、イオン電流密度を曲線16a、16b、16cで示したものである。
これによってわかるように、印加電圧の増加に伴って、イオン電流密度が減少し、プラズマ密度の復元によってパルス立下り時にイオン電流が増加することから、スパッタリングがなされるものである。
このようにして、イオンシースによるスパッタリングの阻害を回避することができ、有効にスパッタリングを行うことができ、極細管4内の内壁に成膜がなされる。
なお、ターゲットイオン電流は、ターゲットに対する負パルス電圧波形、電圧依存性は有するものの、ギャップ長の変化に関しては、シース内のイオン密度で決まることから大きな変化は生じない。
上述した本発明方法および本発明装置によって成膜速度は、
投入マイクロ波パワー 30W
動作気圧 40mTorr
使用プラズマソースガス Ar
印加磁場 437gauss
ターゲット材料 Ag
極細管材料 パイレックスガラス
印加電圧 −300V
パルス幅 5μs
堆積速度(パルス周波数2kHz) 8.33Å/s
堆積速度(パルス周波数4kHz) 16.66Å/s
が得られた。
上述したところから明らかなように、本発明によるコーティング方法および装置によれば、極細管4およびスパッタ材について、絶縁性、導電性を問わない各種材料の組み合わせをもって、極細管内壁面に、低電圧によって、したがって、省電力化を図りつつ、低気圧をもって、したがって、膜質にすぐれたコーティングを強固に被着形成することができるものである。
そして、このコーティングすなわちスパッタリングにおいて、ターゲットに負の電圧パルスによるターゲットバイアス電圧を繰り返し印加する方法および装置とすることによって、イオンシースによってプラズマが消滅してスパッタリングを阻害することを有効に回避でき、優れた成膜を行うことができるものである。
また、本発明装置において、磁場印加を、複数のコイルCに順次電流を通電することによって長さが例えば1m以上に及ぶ長いターゲットおよび極細管に対してその全長にわたって均一な磁場印加を行うことができる。したがって、このように長い、極細管に対して、全長に渡って均一なプラズマ生成を行うことができ、良好なスパッタリングを行うことができ、均質で、均一な厚みを有する安定した成膜を行うことができる。
そのため、安全性にすぐれ、患者の苦痛を低減化することのできる極細管による医療用のカテーテル、チューブをはじめとして各種の内壁面に安定したコーティングを必要とする極細管の形成に適用できるものである。
なお、本発明によるコーティング方法およびコーティング装置は、上述した例に限定されるものではなく、使用目的等に応じて種々の変更を行うことができることはいうまでもない。
AおよびBは、本発明の基本的動作を説明するに供するコーティング装置の要部の縦断面図およびそのB−B線上の断面図である。 本発明によるコーティング装置の一実施形態例の概略構成図である。 通常のプラズマ生成におけるギャップ長と気圧の関係を示すパッシェンの法則を示す図である。 AおよびBは2nd Harmonic ECR(ωce/ω=0.5)と、ECR(ωce/ω=1)とによる場合の電子の軌跡を示す図である。 Aは、ωce/ωと、放電開始電界、非電子捕捉電界、最小イオン化電界の関係を示した図で、Bはその2nd Harmonic ECR(ωce/ω=0.5)近傍を拡大表示した図である。 Arを用いたときの、2nd Harmonic ECRによるプラズマ生成におけるギャップ長を変化させたときの放電開始電界、非電子捕捉電界、最小イオン化電界の理論値によるプロット図である。 Xeを用いたときの、2nd Harmonic ECRによるプラズマ生成におけるギャップ長を変化させたときの放電開始電界、非電子捕捉電界、最小イオン化電界の理論値によるプロット図である。 Arを用いた場合の、放電開始磁界の圧力Pとの関係の測定結果を示す図である。 Arを用いた場合の、ギャップ長700μmにおける放電開始磁界と、最大捕捉磁界の気圧依存性の測定結果を示す図である。 Xeを用いた場合の、ギャップ長500μmにおける放電開始磁界と、最大捕捉磁界の気圧依存性の測定結果を示す図である。 Arイオンの平均自由工程の圧力との関係を示す図である。 本発明方法におけるプラズマ生成条件と、従来のPDPで用いられているプラズマ生成条件を対比した表図である。 各ガス、Ar、Xe、Neの特性を示す表図である。 ターゲットバイアス電圧のパルスを示す模式図である。 ターゲットパルスバイアス電圧とイオン電流密度の変化を示す図である。 ターゲットパルスバイアス電圧とイオン電流密度の変化を示す図である。
符号の説明
1……真空容器、2……外側電極、3……中心電極、4……極細管、5……スパッタターゲット、6……電源部〈パルスバイアス供給源〉、7……イオン、8……原子、9……排気手段、9R……ロータリーポンプ、9D……拡散ポンプ、10……プラズマソースガス供給源、11……マスフローコントローラ、12……磁場発生装置、13……励磁電流源、14……マイクロ波発生装置、15……パワーモニタ、16……安定化チューナ、17……同軸ケーブル、C(C1,C2,C3,……Cn)、R1、R2……抵抗

Claims (4)

  1. 真空空間内に、極細管を配置し、
    該極細管内に、該極細管の軸心に沿ってスパッタターゲットを配置した状態で、上記極細管と上記スパッタターゲットとの間に、上記スパッタターゲット側を負側とする電圧を印加し、上記スパッタターゲット側に繰り返し負電圧パルスバイアスを印加し、上記極細管の内壁面と、上記スパッタターゲットとの間のギャップ内に、プラズマソースガスを導入するとともに、マイクロ波導入と磁場印加により、
    ωce/ω=0.5
    ここで、ωceは、電子のサイクロトロン周波数
    ωは、マイクロ波周波数
    の条件下でのプラズマ生成を行って、上記極細管の内壁面に上記スパッタターゲット材をスパッタリングして上記極細管内壁にコーティングを施すことを特徴とする極細管内壁面のコーティング方法。
  2. 上記プラズマガスソースとしてAr、Xe、Neのいずれかのガスを用いることを特徴とする請求項1に記載の極細管内壁面のコーティング方法。
  3. 真空容器と、
    該真空容器の外周に配置された磁場発生装置と、
    プラズマソースガス供給源と、
    マイクロ波発生装置と、
    上記真空容器の排気手段と、
    上記真空容器内に、内壁面にコーティングを行う極細管を配置する極細管の配置部と、
    上記極細管内に該極細管と同心的にスパッタターゲットを配置するスパッタターゲットの配置部と、
    上記極細管と上記スパッタターゲットとの間に、上記スパッタターゲット側に負電圧パルスバイアスを印加する電源部とを有し、
    上記排気手段によって上記真空容器内を所要の気圧に排気し、
    上記極細管の内壁面と、上記スパッタターゲットとの間のギャップ内に、上記プラズマソースガス供給源から、プラズマソースガスを導入するとともに、上記マイクロ波発生装置からマイクロ波導入と上記磁場発生装置によって磁場印加して、
    ωce/ω=0.5
    ここで、ωceは、電子のサイクロトロン周波数
    ωは、マイクロ波周波数
    の条件下でのプラズマ生成を行って、上記極細管の内壁面に上記スパッタリングターゲット材をスパッタリングして上記極細管内にコーティングを施すことを特徴とする極細管内壁面のコーティング装置。
  4. 上記磁場発生装置は、上記真空容器の外周に、上記極細管の軸心方向に沿って、複数の電磁コイルが配置されて成り、該複数の電磁コイルに対する通電もしくは通電量を切換えて主たる磁場印加位置を上記極細管の軸心方向に沿って移動するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の極細管内壁面のコーティング装置。
JP2005121592A 2005-04-19 2005-04-19 極細管内壁面のコーティング方法およびコーティング装置 Active JP4621914B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005121592A JP4621914B2 (ja) 2005-04-19 2005-04-19 極細管内壁面のコーティング方法およびコーティング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005121592A JP4621914B2 (ja) 2005-04-19 2005-04-19 極細管内壁面のコーティング方法およびコーティング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006299333A JP2006299333A (ja) 2006-11-02
JP4621914B2 true JP4621914B2 (ja) 2011-02-02

Family

ID=37467984

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005121592A Active JP4621914B2 (ja) 2005-04-19 2005-04-19 極細管内壁面のコーティング方法およびコーティング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4621914B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4693120B2 (ja) * 2006-03-15 2011-06-01 国立大学法人 長崎大学 極細長軸体へのコーティング方法および極細長軸体へのコーティング装置
US9224582B2 (en) 2007-11-29 2015-12-29 Applied Materials, Inc. Apparatus and method for depositing electrically conductive pasting material
KR101439781B1 (ko) 2013-07-01 2014-09-12 박태수 유리 코팅장치
CN111962038B (zh) * 2020-09-23 2023-05-12 兰州天亿石化设备维修技术有限公司 一种大口径高压金属软管内壁镀膜装置及方法
CN112680706B (zh) * 2020-12-18 2022-08-16 武汉理工大学 一种用于大长径比管内壁镀膜的磁控溅射装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6270578A (ja) * 1985-09-24 1987-04-01 Sumitomo Electric Ind Ltd パイプ内面のコ−テイング方法
JPH03260065A (ja) * 1990-03-08 1991-11-20 Nitto Kohki Co Ltd 内周面円筒状体のコーティング方法
JPH08296038A (ja) * 1995-04-28 1996-11-12 Nissin Electric Co Ltd 管体内周面に膜形成する方法及び装置
JPH11510302A (ja) * 1995-07-19 1999-09-07 チャン,チュン 大きな領域の基板のプラズマ処理のためのシステム
JP2000064040A (ja) * 1998-08-17 2000-02-29 Nagasaki Pref Gov 管内面の表面処理方法及び装置
JP2002206167A (ja) * 2000-12-28 2002-07-26 Toshiba Corp プラズマコーティング装置及びプラズマコーティング方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6270578A (ja) * 1985-09-24 1987-04-01 Sumitomo Electric Ind Ltd パイプ内面のコ−テイング方法
JPH03260065A (ja) * 1990-03-08 1991-11-20 Nitto Kohki Co Ltd 内周面円筒状体のコーティング方法
JPH08296038A (ja) * 1995-04-28 1996-11-12 Nissin Electric Co Ltd 管体内周面に膜形成する方法及び装置
JPH11510302A (ja) * 1995-07-19 1999-09-07 チャン,チュン 大きな領域の基板のプラズマ処理のためのシステム
JP2000064040A (ja) * 1998-08-17 2000-02-29 Nagasaki Pref Gov 管内面の表面処理方法及び装置
JP2002206167A (ja) * 2000-12-28 2002-07-26 Toshiba Corp プラズマコーティング装置及びプラズマコーティング方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006299333A (ja) 2006-11-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4693120B2 (ja) 極細長軸体へのコーティング方法および極細長軸体へのコーティング装置
JP3948857B2 (ja) ビーム源
JP4621914B2 (ja) 極細管内壁面のコーティング方法およびコーティング装置
JP5159960B2 (ja) オニオンライクカーボンの作製方法
JP2004281232A (ja) ビーム源及びビーム処理装置
JP2009536691A (ja) 電極システムおよび電極を使用する方法
JPH05263223A (ja) 内側部を有する被コーティング体のコーティング方法及び装置
CN111088472B (zh) 涂布系统
US6110540A (en) Plasma apparatus and method
JP2007529632A (ja) 予備イオン化に伴うパルス型マグネトロンスパッタリング蒸着
JP5420835B2 (ja) プラズマ発生装置およびこれを用いた成膜方法
US20070256927A1 (en) Coating Apparatus for the Coating of a Substrate and also Method for Coating
US20080299337A1 (en) Method for the formation of surfaces on the inside of medical devices
JP3345079B2 (ja) 大気圧放電装置
JP4481657B2 (ja) 化学蒸着室のプラズマ内にて金属基質の表面に窒化チタンの膜を形成する方法
JP2700280B2 (ja) イオンビーム発生装置および成膜装置および成膜方法
JP2008127610A (ja) イオンビーム源及びこれを備えた成膜装置
JP6991543B2 (ja) プラズマ生成装置及びこれを用いたプラズマ生成方法
JP2010168648A (ja) 成膜装置及び基板の製造方法
Yukimura et al. Generation of RF plasma assisted high power pulsed sputtering glow discharge without using a magnetic field
US6342139B1 (en) Sputtering system
JP4251713B2 (ja) スパッタ装置
JPH05129163A (ja) 高容量電解コンデンサ用電極材料
JP2004031461A (ja) プラズマ表面処理方法及び装置
JPH10265946A (ja) 蒸着装置およびこれを用いた薄膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080227

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100521

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100622

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100819

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101005

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150