本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する前に、本発明を理解する上で参考になる第1参考形態に係るプリンタについて説明する。
まず、第1参考形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、第1参考形態に係るプリンタの概略構成図である。図において、このプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kを備えている。これらは、像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例にすると、図2に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置3Y、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。感光体1Yは、直径25〜100[mm]のアルミ製円筒に、光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されている。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザー光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、後述の第1中間転写ベルト8上に1次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電装置3Yは、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスカートリッジ6M,C,Kにおいても、同様にして感光体1M,C,K上にM,C,Kトナー像が形成され、第1中間転写ベルト8上に1次転写される。
先に示した図1において、上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中下方には露光装置7が配設され、その更に下方には画像データ処理装置E1が配設されている。画像データ処理装置E1は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報信号に基づいて、露光走査制御信号を生成して露光装置7に送る。潜像形成手段たる露光装置7は、この露光走査制御信号に基づいて発したレーザー光Lを、プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体に照射する。この照射を受けて露光された感光体1Y,M,C,K上には、Y,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザー光Lを、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成の露光装置7に代えて、LEDアレイからのLED光を照射する露光手段を採用しても良い。
上記画像データ処理装置E1の図中下側には、第1紙収容カセット26a、第2紙収容カセット26b、第3紙収容カセット26cこれらカセットにそれぞれ個別に組み込まれた給紙ローラ27a,b,c、レジストローラ対28など有する給紙手段が配設されている。レジストローラ対28は、第1レジストローラ28aと第2レジストローラ28bとを有している。記録体収容手段たる3つの紙収容カセット(26a、b,c)は、記録体たる転写紙Pを複数枚重ねて収容しており、それぞれの一番上の転写紙Pには給紙ローラ27a,b,cが当接している。これら給紙ローラ27a,b,cが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の転写紙Pが記録体供給路たる給紙路35に向けて送られる。そして、給紙路35の最下流側に配設されているレジストローラ対28のローラ間に至る。レジストローラ対28は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを回転駆動させているが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中上方には、第1トナー像担持体(第1ベルト)たる第1中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる第1転写ユニット15が配設されている。この第1転写ユニット15は、第1中間転写ベルト8の他、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,K、第1クリーニング装置10などを備えている。また、2次転写バックアップローラ12、第1クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども備えている。第1中間転写ベルト8は、これら3つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる第1中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらは第1中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写バイアスを印加する方式のものであるが、電極から放電させるチャージャ方式のものであってもよい。
上記第1中間転写ベルト8は、1次転写バイアスによる静電転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、ポリイミド、ポリアミド、ゴムなどからなる50〜500[μm]の厚みのベルト基体に、低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が106〜1014[Ωcm]になっている。また、表面抵抗率が、105〜1015[Ω/□]の範囲に調整されている。そして、無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく。各1次転写ニップでは、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像がニップ圧や1次転写バイアスの作用によって重ね合わせて1次転写される。これにより、第1中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。1次転写ローラ9Y,M,C,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。
第1中間転写ベルト8を張架している2次転写バックアップローラ12は、後述の第2中間転写ベルト16に食い込むような配設位置になっている。このような食い込み配置により、第1中間転写ベルト8と、第2トナー像担持体(第2ベルト)たる第2中間転写ベルト16とをそれぞれ周長方向に広く当接させる2次転写ニップが形成されている。
第1中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、2次転写ニップで第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写される。2次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト8には、第2中間転写ベルト16や転写紙Pに2次転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、第1クリーニング装置10によってクリーニングされる。具体的には、第1中間転写ベルト8は、そのループ外面(おもて面)側に当接するように配設された第1クリーニング装置10と、そのループ内面側に配設された第1クリーニングバックアップローラ13との間に挟まれる。そして、おもて面上の転写残トナーが第1クリーニング装置10に機械的あるいは静電的に回収されてクリーニングされる。
かかる構成の第1転写ユニット15の図中上方には、ボトル収容器54が配設されている。このボトル収容器54内には、各プロセスカートリッジ(6Y,M,C,K)内の現像器に補給するためのトナーを内包するトナーボトルBY,BM,BC,BKが収められている。この第1転写ユニット15の図中左側方には、プリンタ本体内の空気を外部に排出する冷却ファンF1が配設され、本体内の温度の過昇を防いでいる。
また、第1転写ユニット15の図中右側方には、第2中間転写ベルト16を張架しながら無端移動せしめる第2転写ユニット25が配設されている。この第2転写ユニット25は、第2中間転写ベルト16の他、第2クリーニング装置18、転写チャージャ23、廃トナー収容器24などを備えている。また、ニップ拡張ローラ19、2次転写ローラ17、テンションローラ20、第2クリーニングバックアップローラ21、3次転写バックアップローラ22なども備えている。第2中間転写ベルト16は、これら5つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめられる。
上述した第1転写ユニット15の2次転写バックアップローラ12は、ニップ拡張ローラ19と2次転写ローラ17との間の第2中間転写ベルト16架橋部分に食い込んで2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ17は、金属製ローラか、あるいは芯金に導電性のゴム層が被覆されたローラで、図示しない電源によってトナーと反対極性(例えばプラス極性)の2次転写バイアスが印加される。第2転写ユニット25におけるこれ以外のローラは全て接地されている。
上述したレジストローラ対28は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを第1中間転写ベルト8上に1次転写された上記4色トナー像に密着させ得るタイミングで上記2次転写ニップに向けて送り出す。但し、この4色トナー像が、転写紙Pの第2面(後述のスタック部40上で上を向く面)に転写されるべき第2トナー像である場合には、転写紙Pを送り出さない。よって、このとき、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像は、2次転写ニップでニップ圧や2次転写バイアスの作用を受けて第2中間転写ベルト16上に2次転写される。これに対し、第1中間転写ベルト8上の4色トナー像が転写紙Pの第1面(スタック部40上で下を向く面)に転写されるべき第1トナー像である場合には、レジストローラ対28は、この第1トナー像に同期させて転写紙Pを送り出す。よって、第1トナー像は、2次転写ニップで転写紙Pの第1面に2次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。第2中間転写ベルト16は、このような静電的な2次転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、ポリイミドやポリアミドイミドなどからなる厚み50〜500[μm]のベルト基体に、フッ素などの低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が106〜1014になっている。また、表面抵抗率が105〜1015[Ω/□]に調整されている。
2次転写ニップで第1トナー像が転写紙Pの第1面に2次転写されるとき、転写紙Pの第2面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれている第2トナー像は、2次転写バイアスの作用によってベルト側に引き寄せられる。このため、転写紙Pの第2面に密着しているが、そこに転写されるわけではない。
上述の第1転写ユニット15において、2次転写バックアップローラ12は、第1中間転写ベルト8を、その移動方向をほぼ反転させるような形状で張架している。そして、移動方向を反転させつつある第1中間転写ベルト部分を第2中間転写ベルト16に当接させて2次転写ニップを形成している。よって、2次転写ニップの出口では、第1中間転写ベルト8が転写紙Pから離間し、転写紙Pが第2中間転写ベルト16の表面だけに保持されて搬送されるようになる。そして、第2転写ユニット25内において、第2中間転写ベルト16の無端移動に伴って、非接触転写部に送られる。第2転写ユニット25の非接触転写部では、第2中間転写ベルト16の3次転写バックアップローラ22による張架部分に対し、転写チャージャ23が所定の間隙を介して配設されている。第2中間転写ベルト16上の転写紙Pは、転写チャージャ23によって第1面側にトナーと反対極性(例えばプラス極性)の電荷が付与される。この電荷の付与により、転写紙Pの第2面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれていた第2トナー像が転写紙Pの第2面に3次転写されてフルカラー画像になる。
以上のように、本プリンタ100では、第1転写ユニット15、第2転写ユニット25などの組合せにより、後述の定着装置30に送る前の転写紙Pの両面に4色トナー像を静電転写する転写手段が構成されている。なお、1次転写バイアスや2次転写バイアスが印加される部材として、ローラ(9,17)ではなく、ブラシなど他の形状のものを用いてもよい。また、転写バイアスを部材に印加する静電転写方式ではなく、非接触放電式を採用してもよい。
上記3次転写バックアップローラ22は、第2中間転写ベルト16をほぼ90[°]に折り曲げるような形状で張架している。このような張架形状では、上記非接触転写部を通過した転写紙Pの先端側が第2中間転写ベルト16の折れ曲がり地点付近でベルトから離間して、ベルトの折れ曲がり前の移動方向(図中矢印D方向)に延出する。この移動方向側には、定着手段たる定着装置30が配設されている。よって、第2中間転写ベルト16から離間した転写紙Pは、定着装置30内に送られる。
上記定着装置30は、互いに順方向に回転しながら当接して定着ニップを形成する2つの定着ローラ30a,bを有している。これら定着ローラ30a,bは、何れも図示しないハロゲンランプ等の発熱手段を有しており、定着ニップに挟み込まれた転写紙Pを両面から加熱する。この加熱により、転写紙Pの両面にそれぞれ形成されたフルカラー画像が、これを構成するトナーの軟化によって転写紙Pに定着せしめられる。定着後の転写紙Pは、反転ガイド部材31に沿って反転せしめられた後、排紙ローラ対32を経て機外へと排出される。そして、プリンタ本体の筺体の上面に形成されたスタック部40にスタックされる。
2つの定着ローラ30a,bは、それぞれ図示しない温度検知手段によって表面温度が検知される。この温度検知手段は、上記ボトル収容器54の図中右側方に配設された制御部E2に送信する。制御部E2は、温度検知手段から送られてくる表面温度の検知結果に基づいて、定着ローラ30a,bの上記発熱手段に対する電源供給をON/OFF制御して、定着ローラ30a,bの表面温度を一定範囲(目標範囲)に維持する。
上記非接触転写部を通過した後の第2中間転写ベルト16は、第2クリーニングバックアップローラ21と第2クリーニング装置18との間に挟み込まれて、表面の転写残トナーが機械的又は静電的にクリーニングされる。クリーニングによって第2クリーニング装置18に回収された転写残トナーは、スクリュウ部材等によって廃トナー収容器に落とし込まれる。廃トナー収容器24を第2クリーニング装置18とは別に設けることで、廃トナーの取り扱い性を向上させることができる。
上記第2クリーニング装置18が第2中間転写ベルト16に常に当接していると、第2中間転写ベルト16上に2次転写された第2トナー像もクリーニングしてしまうことになる。そこで、第2クリーニング装置18は、図示しない揺動機構によって揺動軸18aを中心に図中矢印方向に揺動せしめられることで、第2中間転写ベルト16に接離するようになっている。そして、少なくともそのクリーニング位置を第2トナー像が通過する間は、第2中間転写ベルト16から離間して、第2トナー像のクリーニングを回避する。
以上の構成のプリンタ100においては、各プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kや露光装置7などの組合せにより、第1像担持体たる第1中間転写ベルト8の表面に第1トナー像を形成する第1トナー像形成手段が構成されている。また、各プロセスカートリッジ6Y,M,C,K、露光装置7、第1転写ユニット15、第2転写ユニット25などの組合せにより、第2像担持体たる第2中間転写ベルト16の表面に第2トナー像を形成する第2トナー像形成手段が構成されている。また、上述の2次転写ニップやその周囲構成が、第1中間転写ベルトの表面に担持される第1トナー像を転写紙Pの第1面に転写する第1転写部として機能している。また、上述の非接触転写部が、第2中間転写ベルト16の表面に担持される第2トナー像を転写紙Pの第2面に転写する第2転写部として機能している。
本プリンタ100のように、感光体等の潜像担持体を複数並べて配設し、それぞれで形成したトナー像を連続的に重ね合わせ転写して多色画像等の重ね合わせ画像を形成する方式をタンデム方式という。これに対し、1つの潜像担持体に可視像を形成して中間転写体に転写した後、再び潜像担持体にトナー像を形成して中間転写体上のトナー像に重ね合わせ転写する工程を繰り返して重ね合わせ画像を形成する方式もある。この方式では、トナー像の形成、転写という工程を繰り返し行わなくてはならない。一方、タンデム方式では、重ね合わせ転写すべき複数のトナー像をそれぞれに対応する潜像担持体上でほぼ同時に形成することができるので、画像形成速度を大幅に速めることができる。
上述の第2トナー像は第1トナー像に先行して形成される。そして、2次転写ニップで第1中間転写ベルト8から第2中間転写ベルト16に2次転写された後、上記非接触転写部で転写紙Pの第2面に3次転写される。この第2面とは、上記スタック部40で上方を向く面である。よって、スタック部40にスタックされる転写紙Pは、先行して形成された第2トナー像を上に向け、且つその後に形成された第1トナー像を上に向けた状態で順次スタックされていく。本プリンタ100は、このようにスタックされていく転写紙Pの頁番号を小さい方から順に揃えるべく、奇数、偶数と連続する2つの頁番号の画像について、頁番号の大きい方を先に上記第2トナー像として形成する。例えば1頁目の画像に先行して2頁目の画像を第2トナー像として形成するのである。そうすると、数頁にわたる原稿を連続して出力しても、スタック部40において、頁番号を下から順に揃えることが可能になる。但し、転写紙Pの第1面だけに画像を形成する片面プリントモードを実行する際には、頁番号の小さい画像から順に形成していき、それぞれ転写紙Pの第1面に2次転写せしめる。このことにより、片面プリントモードにおいても、スタック部40で頁番号を下から順に揃えることができる。
4つの感光体1Y,M,C,Kにおいて、上記第1トナー像は非鏡像(以下、正像という)として形成される。これは、形成された第1トナー像が、1次転写、2次転写という2回の転写工程を経て転写紙Pに至る過程で鏡像、正像と変化するからである。各感光体ドラム上で正像として形成されることで、転写紙Pの第1面においても正像になるのである。これに対し、第2トナー像は、3次転写まで行われるため、第1トナー像よりも転写工程が1回多くなる。よって、各感光体ドラム上で鏡像として形成される。このことにより、転写毎に正像、鏡像、正像と変化して、転写紙Pの第2面において正像となることができる。
図3は、第1参考形態に係るプリンタ100の電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、制御部E2には、画像データ処理装置E1、2次転写バイアス電源102、転写チャージャ電源103などが接続されている。
2次転写バイアス電源102は、2次転写バイアスを出力して2次転写ローラ17に印加する。この2次転写バイアスの値については、制御部E1から送られてくる制御信号に応じて変化させる。この変化により、2次転写ニップに形成される転写電界の強度が変化する。そして、2次転写ニップにおける第1トナー像の転写性も変化する。
転写チャージャ電源103は、非接触転写部の静電転写手段である転写チャージャ23に出力する電源電圧値を、制御部E2から送られてくる制御信号に応じて変化させる。この変化により、転写チャージャ23から転写紙に付与される電荷量が変化する。そして、非接触転写部における第2トナー像の転写性も変化する。
画像データ処理装置E1は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報信号に基づいて、フルカラー画像についてのY,M,C,K毎の色分解画像信号を制御部E2に送る。制御部E2は、これらの色分解画像信号に基づいて、転写紙Pの第1面や第2面に対する各色毎の出力画素数(出力ドット数)を演算する。これら各色毎の出力画素数は、転写紙Pの第1面や第2面に対する各色毎の単位面積あたりのトナー付着量と相関関係にある。制御部E2は、出力画素数に基づいてこのトナー付着量を求めるためのアルゴリズムやデータテーブルをRAM等の記録手段に記憶している。そして、このアルゴリズムやデータテーブルに基づいて、転写紙Pの第1面や第2面に対する各色毎のトナー付着量を算出した後、算出結果を合計した4色分のトナー付着量を算出する。即ち、制御部E2は、第1トナー像の転写による第1面に対する単位面積あたりのトナー付着量と、第2トナー像の転写による上記第2面に対する単位面積あたりのトナー付着量とをそれぞれ個別に検知するトナー付着量検知手段として機能している。
また、制御部E2は、上述のようにして算出した第1面に対するトナー付着量に基づいて、2次転写バイアス電源102に送る制御信号の内容を変化させる。具体的には、このトナー付着量が多くなるほど、2次転写バイアス電源102から出力される2次転写バイアスの値が大きくなるように、制御信号の内容を変化させる。更に、制御部E2は、上述のようにして算出した第2面に対するトナー付着量に基づいて、転写チャージャ電源103に送る制御信号の内容を変化させる。具体的には、このトナー付着量が多くなるほど、転写チャージャ電源103から出力される電源電圧値が大きくなるように、制御信号の内容を変化させる。
かかる構成においては、制御部E2、2次転写バイアス電源102及び転写チャージャ電源103の組合せが、2次転写ニップにおける第1転写条件と、非接触転写部における第2転写条件とをそれぞれ個別に設定する転写条件設定手段として機能している。そして、第1転写条件と第2転写条件とのうち、トナー付着量がより多い転写紙表面に対応する方を、もう一方よりも転写性が高くなる条件に設定する。こうすることで、第1転写条件と第2転写条件とを、それぞれ、転写紙表面のトナー付着量に見合った転写性を発揮させ得るものにする。これにより、第1面と第2面との両方で転写不良を抑えて、転写紙Pの何れか一方の面で転写不良による画質劣化が生ずることによる第1面と第2面との画質差を抑えることができる。
次に、実施形態に係るプリンタについて説明する。
図4は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。実施形態に係るプリンタは、プロセスカートリッジと露光装置との組合せについて、参考形態に係るプリンタにおける組合せに加えて、もう1つの組合せを備えている。上述した4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kと露光装置7との組合せの他に、他の4つのプロセスカートリッジ86Y,M,C,Kと露光装置87との組合せを備えているのである。前者の組合せは、第1トナー像を形成するためのものである。以下、この組合せについては、それぞれその構成要素を第1系統用のプロセスカートリッジ6Y,M,C,K、第1系統用の露光装置7という。一方、後者の組合せは、第2トナー像を形成するためのものである。以下、この組合せについては、それぞれその構成要素を第2系統用のプロセスカートリッジ86Y,M,C,K、第2系統用の露光装置87という。
第1系統用のプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kは、それぞれ第1トナー像を形成するための専用の画像形成部として機能している。これに対し、第2系統用のプロセスカートリッジ86Y,M,C,Kは、それぞれ第2トナー像を形成するための専用の画像形成部として機能している。プリントジョブが開始すると、第2系統用のプロセスカートリッジ86Y,M,C,Kの感光体81Y,M,C,Kに対し、それぞれ第2系統用の露光装置87による露光走査が開始される。そして、感光体81Y,M,C,K上に、第2トナー像用のY,M,C,Kトナー像が形成され、これらは第2系統用Y,M,C,K1次転写ニップにて第2中間転写ベルト16上に順次重ね合わせ転写されて転写される。これにより、第2中間転写ベルト16上に4色の重ね合わせからなる第2トナー像が形成される。この第2トナー像の形成とほぼ並行して、第1系統用のプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,K上では、第2トナー像用のY,M,C,Kトナー像が形成される。そして、これらが第1系統用Y,M,C,K1次転写ニップにて第1中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。これにより、第1中間転写ベルト8上に4色の重ね合わせからなる第1トナー像が形成される。
第2系統用のプロセスカートリッジ86Y,M,C,Kや、第2系統用の露光装置87は、第2転写ユニット25の図中右側方に配設されている。第2転写ユニット25は、第1参考形態で述べたものの他に、押圧ローラ64と、4つの第2系統用1次転写ローラ69Y,M,C,Kとを有している。また、2次転写ローラ17を備えていない代わりに、第1転写部第2内側ローラ17aと、第2転写部第2内側ローラ17bとを備えている。第1転写部第2内側ローラ17aは、実施形態に係るプリンタの第1転写部において第2ベルトたる第2中間転写ベルト16のループ内側に配設されて第2中間転写ベルト16を第1中間転写ベルト8に向けて裏面側から押圧するローラである。また、第2転写部第2内側ローラ17bは、実施形態に係るプリンタの第2転写部において第2中間転写ベルト16のループ内側に配設されて第2中間転写ベルト16を第1中間転写ベルト8に向けて裏面側から押圧するローラである。
第1転写ユニット15は、第1参考形態で述べたものの他に、ニップ上流ローラ11aを有している。また、2次転写バックアップローラ12を備えていない代わりに、第1転写部第1内側ローラ12a、第2転写部第1内側ローラ12b、及び分離ローラ11bを備えている。第1転写部第1内側ローラ12aは、実施形態に係るプリンタの第1転写部において第1中間転写ベルト8のループ内側に配設されて第1中間転写ベルト8を第2中間転写ベルト16に向けて裏面側から押圧するローラである。また、第2転写部第1内側ローラ12bは、実施形態に係るプリンタの第2転写部において第1中間転写ベルト8のループ内側に配設されて第1中間転写ベルト8を第2中間転写ベルト16に向けて裏面側から押圧するローラである。
実施形態に係るプリンタでは、第1参考形態に係るプリンタ100に比べて、かなり幅広い2次転写ニップが形成されている。この2次転写ニップは、第1中間転写ベルト8におけるニップ上流ローラ11aと分離ローラ11bとの間の展張部分と、第2中間転写ベルト16とが当接して形成されている。2次転写ニップの一部は、第1転写部第1内側ローラ12aと第1転写部第2内側ローラ17aとが第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とを重ね合わせながら挟み込むことによって形成されている。これら2つの内側ローラの対向領域が、実施形態に係るプリンタにおける第1転写部となっている。また、2次転写ニップの一部は、第2転写部第1内側ローラ12bと第2転写部第2内側ローラ17bとが第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とを重ね合わせながら挟み込むことによって形成されている。これら2つの内側ローラの対向領域が、実施形態に係るプリンタにおける第2転写部となっている。
第1中間転写ベルト8上に重ね合わせ転写された第1トナー像は、第1転写部第1内側ローラ12aと第1転写部第2内側ローラ17aとが対向している第1転写部において、両ベルト間に挟み込まれた転写紙Pの第1面に一括2次転写される。この後、転写紙Pは、第2転写部第1内側ローラ12bと第2転写部第2内側ローラ17bとが対向している第2転写部において、両ベルト間に挟み込まれた転写紙Pの第2面に一括2次転写される。なお、第2トナー像は、実施形態に係るプリンタとは異なり、2次転写工程までしか経ないため、各感光体上で正像として形成される。
ボトル収容器54内には、Yトナー用のトナーボトルBY、Mトナー用のトナーボトルBM、Cトナー用のトナーボトルMC、Kトナー用のトナーボトルBKが、それぞれ2つずつ収容されている。これにより、同色のトナーについて、第1系統用の現像装置と、第2系統用の現像装置とに対し、別々のトナーボトルからトナー補給を行うことができる。
給紙路35におけるレジストローラ対35よりも上流側には、第1反射型フォトセンサ92aと、第2反射型フォトセンサ92bとを有する光センサユニット92が配設されている。第1反射型フォトセンサ92aは、図示しない発光素子から発した光を、給紙路35内で搬送される転写紙Pの第1面に照射する。そして、第1面で得られる反射光を図示しない受光素子で受光して、第1面の光反射率に応じた信号を制御部E2に出力する。また、第2反射型フォトセンサ92bは、図示しない発光素子から発した光を、給紙路内で搬送される転写紙Pの第2面に照射する。そして、第2面で得られる反射光を図示しない受光素子で受光して、第2面の光反射率に応じた信号を制御部E2に出力する。紙面の光反射率は、紙面の表面平滑性と相関関係がある。よって、光センサユニット92は、第1面の特性である表面平滑性と、第2面の特性である表面平滑性とをそれぞれ個別に検知する特性検知手段たる表面平滑性検知手段として機能している。
図5は、2次転写ニップとその周囲構成との第1例を示す模式図である。2次転写ニップは第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16との当接によって形成されるが、同図においては、便宜上、両ベルトを離間させて示している。この第1例では、第2中間転写ベルト16の裏面に当接している第1転写部第2内側ローラ17aを、第1転写部用の転写バイアスが印加される転写バイアスローラとして機能させている。また、第2中間転写ベルト16の裏面に当接している第2転写部第2内側ローラ17bを、第2転写部用の転写バイアスが印加される転写バイアスローラとして機能させている。第1転写部第2内側ローラ17aに印加される第1転写部用の転写バイアスは、トナーの帯電極性とは逆のプラス極性となっている。これに対し、第2転写部第2内側ローラ17bに印加される第2転写部用の転写バイアスは、トナーの帯電極性と同じマイナス極性となっている。なお、転写バイアス対向部材としての第1転写部第1内側ローラ12a、第2転写部第1内側ローラ12bは、それぞれ接地されている。
2次転写ニップに挟み込まれた転写紙Pは、まず、第1転写部第1内側ローラ12aと第1転写部第2内側ローラ17aとが対向している第1転写部に進入する。この第1転写部では、トナーと逆極性であるプラスの2次転写バイアスの影響により、次のような転写電界が形成される。即ち、第1トナー像や第2トナー像を、転写バイアス対向部材である第1転写部第1内側ローラ12a側から、転写バイアス部材である第1転写部第2内側ローラ17a側に向けて静電的に引き寄せる電界である。かかる電界により、第1中間転写ベルト8の表面に担持されている第1トナー像が、ベルト表面から転写紙Pの第1面に静電転写される。第1転写部では、トナー像を転写バイアス部材に向けて静電的に引き寄せる静電引き寄せ方式の転写が行われるのである。この転写の際、第2中間転写ベルト16上の第2トナー像は、転写紙Pの第2面に向かう方向とは逆となる第1転写部第2内側ローラ17aに向けて引き寄せられるため、第2中間転写ベルト16表面に担持されたままの状態を維持する。
第1転写部を通過した転写紙Pは、第2転写部第1内側ローラ12bと第2転写部第2内側ローラ17bとが対向している第2転写部に進入する。この第2転写部では、トナーと同極性であるマイナスの2次転写バイアスの影響により、次のような転写電界が形成される。即ち、トナー像を転写バイアス部材である第2転写部第2内側ローラ17b側から、転写バイアス対向部材である第2転写部第1内側ローラ12b側に向けて静電的に押し出す電界である。かかる電界により、第2中間転写ベルト16の表面に担持されている第2トナー像が、ベルト表面から転写紙Pの第2面に静電転写される。第2転写部では、トナー像を転写バイアス部材側から転写バイアス対向部材側に向けて静電的に押し出す静電押し出し方式の転写が行われるのである。この転写の際、転写紙Pの第1面上の第1トナー像は、転写紙Pの第1面側から第1中間転写ベルト8側に向けて静電的に押し出される。しかしながら、本発明者らの実験によれば、第2転写部にて第1面上の第1トナー像が第1中間転写ベルト8に逆転写されるようなことはなかった。
2次転写ニップやその周囲構成としては、図6に示す第2例のものも例示することができる。この第2例では、第1中間転写ベルト8の裏面に当接している第1転写部第1内側ローラ12aを、第1転写部用の転写バイアスが印加される転写バイアスローラとして機能させている。また、第1中間転写ベルト8の裏面に当接している第2転写部第1内側ローラ12bを、第2転写部用の転写バイアスが印加される転写バイアスローラとして機能させている。第1転写部第1内側ローラ12aに印加される第1転写部用の転写バイアスは、トナーの帯電極性とは逆のプラス極性となっている。これに対し、第2転写部第1内側ローラ12bに印加される第2転写部用の転写バイアスは、トナーの帯電極性と同じマイナス極性となっている。なお、転写バイアス対向部材としての第1転写部第2内側ローラ17a、第2転写部第2内側ローラ17bは、それぞれ接地されている。
第1転写部では、トナーと逆極性のプラスの2次転写バイアスの影響により、次のような転写電界が形成される。即ち、第2トナー像を、転写バイアス対向部材である第1転写部第2内側ローラ17a側から、転写バイアス部材である第1転写部第1内側ローラ12a側に向けて静電的に引き寄せる電界である。かかる電界により、第2中間転写ベルト16の表面に担持されている第2トナー像が、ベルト表面から転写紙Pの第2面に静電転写される。第1転写部では、トナー像を転写バイアス部材に向けて静電的に引き寄せる静電引き寄せ方式の転写が行われるのである。この転写の際、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像は、転写紙Pの第1面に向かう方向とは逆となる第1転写部第1内側ローラ12aに向けて引き寄せられるため、第1中間転写ベルト8表面に担持されたままの状態を維持する。
一方、第2転写部では、トナーと同極性のマイナスの2次転写バイアスの影響により、次のような転写電界が形成される。即ち、トナー像を転写バイアス部材である第2転写部第1内側ローラ12b側から、転写バイアス対向部材である第2転写部第2内側ローラ17b側に向けて静電的に押し出す電界である。かかる電界により、第1中間転写ベルト8の表面に担持されている第1トナー像が、ベルト表面から転写紙Pの第1面に静電転写される。第2転写部では、トナー像を転写バイアス部材側から転写バイアス対向部材側に向けて静電的に押し出す静電押し出し方式の転写が行われるのである。この転写の際、転写紙Pの第2面上の第2トナー像は、転写紙Pの第2面側から第2中間転写ベルト16側に向けて静電的に押し出される。しかしながら、本発明者らの実験によれば、第2転写部にて第2面上の第2トナー像が第2中間転写ベルト16に逆転写されるようなことはなかった。
なお、本発明において、記録体の第1面とは、記録体の両面のうち、トナー像が初めに転写される面のことである。また、第1トナー像とは、第1面に転写されるトナー像のことをである。また、第1像担持体とは、第1トナー像を担持する像担持体のことである。また、第1トナー像形成手段とは、第1トナー像を形成する手段のことである。図6に示した第2例においては、転写紙Pの両面のうち、まず、図中下側の面に対してトナー像が転写される。このため、第2例においては、これまで第2面と称してきた面を第1面と呼ぶべきである。そして、第1面と第2面、第1トナー像と第2トナー像、第1中間転写ベルトと第2中間転写ベルト、及び、第1系統と第2系統、という関係を、それぞれこれまでの説明とは逆にするべきである。しかしながら、混乱を避けるために、これら関係を逆にしないで第2例を説明した。このことについては、後に示す表1についても同様である。
2次転写ニップやその周囲構成としては、図7に示す第3例のものも例示することができる。この第3例では、第1中間転写ベルト8の裏面に当接している第1転写部第1内側ローラ12aを、第1転写部用の転写バイアスが印加される転写バイアスローラとして機能させている。また、第2中間転写ベルト16の裏面に当接している第2転写部第2内側ローラ17bを、第2転写部用の転写バイアスが印加される転写バイアスローラとして機能させている。第1転写部第1内側ローラ12aに印加される第1転写部用の転写バイアスは、トナーの帯電極性と同じマイナス極性となっている。また、第2転写部第2内側ローラ17bに印加される第2転写部用の転写バイアスも、マイナス極性となっている。なお、転写バイアス対向部材としての第1転写部第2内側ローラ17a、第2転写部第1内側ローラ12bは、それぞれ接地されている。
第1転写部では、トナーと同極性であるマイナスの2次転写バイアスの影響により、静電押し出し方式の転写が行われる。そして、第1トナー像が、転写バイアス部材である第1転写部第1内側ローラ12a側から、転写バイアス対向部材である第1転写部第2内側ローラ17a側に向けて静電的に押し出されて、第1面に転写される。
一方、第2転写部においても、トナーと同極性であるマイナスの2次転写バイアスの影響により、静電押し出し方式の転写が行われる。そして、第2トナー像が、転写バイアス部材である第2転写部第2内側ローラ17b側から、転写バイアス対向部材である第2転写部第1内側ローラ12b側に向けて静電的に押し出されて、第2面に転写される。この転写の際、転写紙Pの第1面上の第1トナー像は、転写紙Pの第1面側から第1中間転写ベルト8側に向けて静電的に押し出される。しかしながら、本発明者らの実験によれば、第2転写部にて第1面上の第1トナー像が第1中間転写ベルト8に逆転写されるようなことはなかった。
なお、図5、図6、図7を用いて、転写バイアス部材や転写バイアス対向部材としてそれぞれローラを用いた例を説明したが、非ローラ状の部材を用いてもよい。
2次転写ニップやその周囲構成として、図8に示す比較例のものを採用したとする。同図においては、第1転写部、第2転写部ともに、静電引き寄せ方式の転写が行われる。本発明者らはこの比較例では、第2転写部において、先に第1転写部で転写紙Pの第1面に転写された第1トナー像が第1面から第1中間転写ベルト8に逆転写してしまうことを実験によって確かめた。
実施形態に係るプリンタのように、第1転写部と第2転写部とを同一の2次転写ニップに設ける場合には、第1転写部で行われる転写としては次の2通りが考えられる。即ち、図中上側のベルトから転写紙Pの図中上側面にトナー像の転写を行った後に、図中下側のベルトから転写紙Pの図中下側面にトナー像の転写を行うケースと、この逆のケースである。第2転写部で行われる転写としても、同様の2通りのケースが考えられる。更に、第1転写部、第2転写部について、それぞれ静電引き寄せ方式であるか、静電押し出し方式であるかを考慮すると、両転写部での転写の方式の組合わせが、8通り成立する。本発明者らは、これら8通りの転写方式の全てを試験して、第2転写部におけるトナー像の逆転写の有無を調べてみた。次に示す表1は、これら8通りの転写方式と、第2転写部における逆転写の有無との関係を示している。
表1に示すように、8通りの転写方式において、第2転写部で逆転写が発生しなかったのは、実験番号3、4、7、8の4通りだけであった。これらに着目すると、全て第2転写部における転写が静電押し出し方式で行われていることがわかる。一方、逆転写が発生した実験番号1、2、5、6に注目すると、これらは全て第2転写部における転写が静電引き寄せ方式で行われていることがわかる。よって、第1転写部、第2転写部ともに、ニップにおける静電転写を採用する場合には、第2転写部に静電押し出し方式を採用しないと、逆転写を引き起こしてしまうことが判明した。そこで、実施形態に係るプリンタにおいては、転写手段として、第2転写部において第2トナー像(後に転写する方のトナー像)を第2転写部第2内側ローラから第2転写部第1内側ローラに向けて静電的に押し出して第2中間転写ベルトから転写紙の第2面に転写するものを用いている。よって、第2転写部における第1トナー像の逆転写を抑えることができる。
第2転写部で静電押し出し方式の転写を行う第1例(図5)及び第2例(図6)と、同じく第2転写部で静電押し出し方式の転写を行う第3例(図7)とを比較すると、次のようなことがわかる。即ち、前者は第1転写部における転写バイアスローラ(図5では17a、図6では12a)と、第2転写部における転写バイアスローラ(図5では17b、図6では12b)とが同じ中間転写ベルトのループ内側に配設される。例えば、図5では、2つの転写バイアスローラ(17a,17b)がそれぞれ第2中間転写ベルト16のループ内側で互いに隣り合っている。また、図6では、2つの転写バイアスローラ(12a,12b)がそれぞれ第1中間転写ベルト8のループ内側で互いに隣り合っている。このように2つの転写バイアスローラが同じ中間転写ベルトのループ内側で互いに隣り合う構成では、両ローラ間の距離や中間転写ベルトの電気抵抗によっては、中間転写ベルトを通じて両ローラ間で電流のリークを起こす可能性がある。そして、これにより、第1転写部や第2転写部での転写性を不安定にしてしまうおそれがある。一方、第3例の図7においては、2つの転写バイアスローラ(12a,17b)がそれぞれ異なる中間転写ベルトのループ内側に配設されている。このような構成では、両転写バイアスローラ間での電流のリークによる第1転写部や第2転写部での転写性の不安定化を抑えることができる。
第1例(図5)及び第2例(図6)と、第3例(図7)とを、第1転写部の転写方式という観点から比較すると、次のようなことがわかる。即ち、前者は第1転写部で静電引き寄せ方式の転写が行われているのに対し、後者は第1転写部で静電押し出し方式の転写が行われている。つまり、第1転写部、第2転写部をともに、静電押し出し方式の転写を採用することにより、2つの転写バイアスローラをそれぞれ異なる中間転写ベルトの内側に配設して、両転写部での転写性の不安定化を抑えることができるのである。そこで、実施形態に係るプリンタにおいては、転写手段として、第1転写部第1内側ローラに転写バイアスを印加して、第1トナー像(先に転写する方)を第1転写部第1内側ローラ側から第1転写部第2内側ローラ側に静電的に押し出して第1中間転写ベルトから転写紙Pの第1面に転写するものを用いている。
図9は、実施形態に係るプリンタにおける転写圧調整機構を示す拡大構成図である。同図において、第1転写部で第1中間転写ベルト8の裏面に当接している第1転写部第1内側ローラ12aの軸部材Aには、第1偏心カム90のカム面が当接している。第1転写部第1内側ローラ12aは、この第1偏心カム90によって第1転写部第2内側ローラ17aに向けて押圧されるが、その押圧力は第1偏心カム90が図示しない第1カムモータによって軸90aを中心に揺動せしめられることで変化する。この変化により、転写紙Pを第1転写部で押圧する第1押圧力が調整される。
一方、第2転写部で第2中間転写ベルト16の裏面に当接している第2転写部第2内側ローラ17bの軸部材Bには、第2偏心カム91のカム面が当接している。第2転写部第2内側ローラ17bは、この第2偏心カム91によって第2転写部第1内側ローラ12bに向けて押圧されるが、その押圧力は第2偏心カム91が図示しない第2カムモータによって軸91aを中心に揺動せしめられることで変化する。この変化により、転写紙Pを第1転写部で押圧する第1押圧力が調整される。
図10は、実施形態に係るプリンタの電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、制御部E2には、第1転写部バイアス電源104、第2転写部バイアス電源105、第1モータ電源106、第2モータ電源107、光学センサユニット92、第1転写電流検知手段110、第2転写電流検知手段111などが接続されている。光学センサユニット92は、先に図4を用いて説明したように、給紙路内で搬送される転写紙Pの第1面、第2面の表面平滑性をそれぞれ個別に検知する表面平滑性検知手段として機能している。光学センサユニット92の第1反射型フォトセンサ92aから出力される光反射率信号は、第1面の表面平滑性を反映している。また、第2反射型フォトセンサ92bから出力される光反射信号は、第2面の表面平滑性を反映している。
第1モータ電源106は、制御部E2からの制御信号に基づいて第1カムモータ107を回転駆動させる。この回転駆動により、先に図9を用いて説明した第1偏心カム90が駆動して、第1転写部における第1押圧力が調整される。また、第2モータ電源108は、制御部E2からの制御信号に基づいて第2カムモータ109を回転駆動させる。この回転駆動により、先に図9を用いて説明した第2偏心カム91が駆動して、第2転写部における第2押圧力が調整される。
第1転写部バイアス電源104は、制御部E2からの制御信号に基づいて、第1転写部第1内側ローラ12aにマイナス極性の転写バイアスを印加する。この転写バイアスの電圧値は、制御部E2からの制御信号に応じて変化する。また、第2転写部バイアス電源105は、制御部E2からの制御信号に基づいて、第2転写部第2内側ローラ17bにマイナス極性の転写バイアスを印加する。この転写バイアスの電圧値も、制御部E2からの制御信号に応じて変化する。前者の転写バイアスの電圧値と、後者の転写バイアスの電圧値とが、それぞれ個別に調整可能なことは言うまでもない。
第1転写電流検知手段110は、周知の技術により、第1転写部において第1転写部第1内側ローラ12aから、第1中間転写ベルト(8)と第2中間転写ベルト(16)とを介して第1転写部第2内側ローラ17aに流れ込む第1転写電流を検知する。そして、検知信号を制御部E2に出力する。また、第2転写電流検知手段111は、周知の技術により、第2転写部において第2転写部第2内側ローラ17b」から、第2中間転写ベルト(16)と第1中間転写ベルト(8)とを介して第2転写部第1内側ローラ(12b)に流れ込む第2転写電流を検知する。そして、検知信号を制御部E2に出力する。第1転写電流や第2転写電流の値が大きくなるほど、第1転写部や第2転写部における転写性が向上することは言うまでもない。
制御部E2は、第1転写電流検知手段110からの出力信号に基づいて、第1転写電流を第1目標値付近で安定させるように、第1転写部における転写バイアスの電圧値をコントロールするようになっている。また、第2転写電流検知手段111からの出力信号に基づいて、第2転写電流を、第1目標値とは別の第2目標値付近で安定させるように、第2転写部における転写バイアスの電圧値をコントロールするようになっている。これらのコントロールにより、転写紙Pの電気抵抗値にかかわらず、第1転写部、第2転写部でそれぞれ、第1目標値の転写電流、第2目標値の転写電流を得る定電流制御が行われる。
かかる構成においては、第1転写電流検知手段110、第2転写電流検知手段111、制御部E2、第1転写部バイアス電源104、第2転写部バイアス電源105、第1モータ電源106、第1カムモータ107、第2モータ電源108、第2カムモータ109、第1偏心カム、第2偏心カムなどの組合せにより、転写条件設定手段が構成されている。
転写条件が同一である場合、転写紙Pの第1面や第2面の表面平滑性が悪くなるほど、第1面や第2面に対する転写性が悪化する。これは、表面平滑性が悪くなるほど、ベルト等の像担持体と、これに密着せしめられる紙面との間に形成される微小空間が大きくなるためであると考えられる。表面平滑性の比較的悪い紙面の場合、像担持体に密着せしめるための押圧力を高めれば、微小空間を小さくして転写性を向上させることができる。また、転写電流を増加させることによっても、転写性を向上させることができる。そこで、制御部E2は、転写紙Pの第1面の光反射率が悪くなるほど、換言すれば、第1面の表面平滑性が悪くなるほど、第1転写電流の第1目標値や、第1押圧力を高く設定する。これにより、第1面の表面平滑性が悪くなるほど、転写性を高くするような第1転写条件の設定が行われる。また、制御部E2は、第2面についても、同様にして、第2面の表面平滑性が悪くなるほど、第1転写電流の第1目標値や、第1押圧力を高く設定する制御を第1面とは別に行う。
次に示す表2は、転写紙Pの第1面や第2面における紙面平滑性と、かかる制御によって設定される第1転写条件や第2転写条件である転写電流及び転写圧(第1押圧力、第2押圧力)の組合せとの関係を示している。
表2において、標準、S1、S2は、それぞれ、紙面の表面平滑性の指標値であるベック平滑度(JIS P8119)が45[sec]、23[sec]、22[sec]であることを示している。表面平滑性が悪くなるほど、このベック平滑度の値が小さくなる。即ち、標準、S1、S2という順で、表面平滑性が悪くなっている。そして、第1面や第2面の表面平滑性が悪くなるほど、転写電流や転写圧を高めて、転写性を向上させていることがわかる。このように転写性を向上させることで、第1面や第2面で、その表面平滑性にかかわらず、それぞれ安定した転写性を発揮させる。そして、このことにより、転写紙Pの何れか一方の面で表面平滑性の悪さに起因して転写不良による画質劣化が生ずることによる第1面と第2面との画質差を抑えることができる。
なお、第1転写部や第2転写部における転写性は、環境(温湿度)によって左右される。このため、機内の温度や湿度を検知する温湿度センサを設け、表2に示した転写電流や転写圧の目標値を、温湿度センサによる検知結果に基づいて、次の表3に示す補正係数の乗算によって補正させるようにするとよい。つまり、環境が高温多湿になるほど、転写電流や転写圧を高くするのである。このようにすることで、環境変化にかかわらず、転写性を安定させて、安定した画質を得ることができる。
実施形態に係るプリンタでは、第1転写部が、転写紙Pを第1中間転写ベルト(8)に向けて押圧しながら第1トナー像に第1電界を作用させている。また、第2転写部が、転写紙Pを第2中間転写ベルト16に向けて押圧しながら第2トナー像に第2電界を作用させるものを用いている。そして、先に表2等を用いて説明したように、転写条件設定手段が、第1転写部における第1転写電流の値と、第2転写部における第2転写電流の値とをそれぞれ個別に設定する。これにより、第1電界の強度と該第2電界の強度とをそれぞれ個別に設定する。更に、第1転写部における転写圧である第1押圧力と、第2転写部における転写圧である第2押圧力とをそれぞれ個別に設定する。かかる構成では、第1転写部、第2転写部において、それぞれ、電界強度及び転写圧という2つのパラメータの調整によって第1転写条件、第2転写条件を設定することになる。すると、転写チャージャを用いた非接触転写方式のように、電界強度という1つのパラメータの調整しかできない方式に比べて、第1転写条件や第2転写条件をより広範囲に調整することが可能になる。これにより、より広範囲に渡る転写紙Pの表面平滑性や表面トナー付着量の変化に対応しながら、第1面と第2面との画質差を抑えることができる。
実施形態に係るプリンタでは、先に図4に示したように、少なくとも第1転写部の入口から第2転写部の出口に至るまで、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とを連続して当接させるようにしている。かかる構成では、第1転写部における転写開始から、第2転写部における転写終了まで、転写紙Pの第1面を第1中間転写ベルト8に密着させつつ、第2面を第2中間転写ベルト16に密着させて、紙面とベルトとの間でのトナー飛散を防止する。このことにより、第1トナー像の転写開始から第2トナー像の転写終了まで、両トナー像からのトナー飛散を防止して、トナー飛散による画質劣化を防止することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、第2転写部を通過した後の転写紙Pを、第1分離ローラ11bの曲率にならって急激に方向転換する第1中間転写ベルト8から分離するとともに、第2中間転写ベルト16の表面に引き続き保持させながら第2中間転写ベルト16の表面移動に伴って定着装置30に向けて搬送させるようにしている。かかる構成では、第1中間転写ベルト8を張架する張架ローラと、第2中間転写ベルト16を張架する張架ローラとのうち、定着装置30の近傍に後者の張架ローラだけを配設することになる。すると、転写紙Pを両方の中間転写ベルトからほぼ同時に分離して定着装置30に受け渡しさせるようにして、両方の張架ローラを定着装置30の近傍に配設してしまう場合に比べて、定着装置30近傍でのベルトレイアウトをシンプルにして、第2中間転写ベルト16からの転写紙分離位置をより定着装置30に接近させることが可能になる。そして、このことにより、転写手段から定着装置30への転写紙受渡性をより確実にすることができる。
更には、次に説明する理由により、転写手段から分離した転写紙Pをガイド板に擦りながら定着装置30に受け渡してしまうことによる画像の乱れを抑えることができる。即ち、実施形態に係るプリンタのように、第2転写部における転写圧を変更させるものでは、第2転写部第1内側ローラ12bと第2転写部第2内側ローラ17bとのうち、少なくとも何れか一方を弾性材料で構成することが望ましい。これは、図11に示すように、何れか一方のローラを押圧によって弾性変形させることで、押圧部をよりベルト移動方向に長くして、転写紙Pをより長時間押圧することが可能になるからである。図示の例では、第2転写部第1内側ローラ12bを第2転写部第2内側ローラ17bよりも高い硬度にした場合を示している。ここで、第2転写部を通過した直後の転写紙Pを両方の中間転写ベルトから同時に分離させるようにしたとする。すると、第2転写部を通過して両中間転写ベルトから分離した直後の転写紙Pは、第2転写部の出口点P1において、より硬い方の第2転写部第1内側ローラ12aとの接線方向である図中矢印D方向に進む。第2転写部を通過した直後の転写紙Pにおける第1面の第1トナー像や第2面の第2トナー像は、何れも未定着の状態である。このため、第2転写部を通過してから、図示しない定着装置に送られるまでの転写紙Pが、ガイド板等に摺擦しながら定着装置の定着ニップに向けて案内されると、ガイド板等との摺擦によって未定着のトナー像を乱してしまうことになる。このため、同図においては、図中矢印D方向の延長線上に定着ニップを位置させるように、図示しない定着装置を配設する必要がある。このような配設条件となる同図の状態から、第2転写部における転写圧を弱めたとする。すると、それに伴って、第2転写部第2内側ローラ17bの弾性変形量が低下して、押圧部の搬送方向における長さが短くなることにより、図13に示すように、第2転写部の出口点P1が搬送上流側に移動する。この場合、出口点P1で両中間転写ベルトから分離した転写紙Pは、図中矢印D方向とは異なる図中矢印D’方向に進む。すると、定着ニップに向けて真っ直ぐ搬送されなくなり、図示しないガイド等と摺擦してトナー像を乱すおそれがでてくる。そこで、本変形例装置では、先に図4に示したように、第2転写部を通過した直後の転写紙Pを、両中間転写ベルトからほぼ同時に分離させるのではなく、第2中間転写ベルト16の表面に保持させて定着装置30に向けて搬送させるようにしているのである。このようにすることで、第2中間転写ベルト16から分離した転写紙Pの進行方向を、第2転写部での転写圧にかかわらず、一定にして、転写紙Pとガイド板等との摺擦によるトナー像の乱れを抑えることができる。
なお、図4に示した例では、転写紙Pを第2転写部通過直後に第1中間転写ベルト8から分離するのではなく、第2転写部よりも下流側に配設された分離ローラ11bによる第1中間転写ベルト掛け回し箇所で、第1中間転写ベルト8から分離するようにしている。第1中間転写ベルト掛け回し箇所では、圧力変化が起こらない。よって、第2転写部通過直後の転写紙Pを何れか一方の中間転写ベルトの表面に保持させる代わりに、第2転写部よりも下流側にあるベルト張架ローラによる掛け回し箇所であれば、転写紙Pを両中間転写ベルトから同時に分離しても、分離後の転写紙Pの進行方向を一定にすることができる。つまり、第2転写部を通過した後の両中間転写ベルトを、少なくとも何れか一方のベルトを第2転写部よりもベルト移動方向下流で張架する転写部下流ローラによるベルト掛け回し箇所に移動させるまで、引き続き互いに当接させるようにしても、トナー像の乱れを抑えることができるのである。
各内側ローラ(12a,12b、17a,17b)のうち、弾性ローラにするものについては、ローラ部を例えば体積抵抗値が105〜107[[Ω・cm]程度である導電性ゴムで構成すればよい。導電性ゴムの代わりに、導電性スポンジを用いてもよい。硬度としては、AskerC硬度で20〜60度のものにするとよい。こうすることで、転写圧の変化に伴って、ベルト移動方向の転写部の押圧長さを1〜8[mm]程度の範囲で変化させることができる。
図14は、実施形態に係るプリンタの側方端部付近を示す拡大構成図である。同図において、プリンタ本体の側方カバー50は、第2転写ユニット25、第2クリーニング装置18、第2系統用のプロセスカートリッジ86Y,M,C,K、第2系統用の露光装置87などを内包している。また、定着装置30における2つの定着ローラ30a,bのうちの一方(30b)、反転ガイド部材31の2つのガイド板のうちの一方、排紙ローラ対32の一方のローラなども内包している。そして、本体底部に設けられた伸縮自在な伸縮アーム55に案内されて図中左右方向に動くことで、本外筺体から開閉されるようになっている。側方カバーが開かれると、第2転写ユニット25がプリンタ本体側に固定された第1転写ユニット15から大きく離間し、2次転写ニップを形成しなくなる。また、3つの紙収容カセット26a,b,cから排紙ローラ対32に至るまでの紙搬送路が縦方向に2分して大きく露出する。これにより、紙搬送路内で発生したジャム紙の処理作業や、紙搬送路回りの各装置の保守点検作業が容易になる。
先に説明した第1参考形態に係るプリンタにおいて、第2中間転写ベルト16上の転写残トナーをクリーニングする第2クリーニング装置18は、第2中間転写ベルト16に対して接離可能に構成されていた。これは、先に述べたように、第2中間転写ベルト16上に2次転写された第2トナー像のクリーニングを回避するためである。しかし、本プリンタでは、各第2系統用1次転写ニップでの重ね合わせによって第2中間転写ベルト16上に形成された第2トナー像が、第2クリーニング装置18によるクリーニング位置に進入する前に転写紙Pの第2面に一括2次転写される。このため、第2クリーニング装置18には上記接離機構が不要である。
図15は、第2参考形態に係るプリンタの中間転写ベルト(第1中間転写ベルト8、第2中間転写ベルト16)を部分的に示す斜視図である。中間転写ベルト(8,16)の裏面における両端部には、ベルト全周渡ってベルト面から突出する寄り止め部材(8a,16a)が設けられている。これら寄り止め部材(8a,16a)は、中間転写ベルト(8,16)の片寄り走行を防止するためのものである。具体的には、中間転写ベルト(8,16)は、これを張架する各種ローラの間で真っ直ぐに進行するように無端移動することが望ましいが、どうしてもその幅方向に微妙に片寄って走行してしまう。幅方向のうち、一方の方向への片寄り走行が継続して行われると、中間転写ベルト(8,16)は、そのうち張架ローラ上から脱線してしまう。そこで、ベルト裏面の両端に寄り止め部材(8a,16a)が設けられているのである。これら寄り止め部材(8a,16a)により、中間転写ベルト(8,16)の脱線が阻止される。所定量以上の片寄り走行が生ずると、中間転写ベルト(8,16)を張架する複数の張架ローラのローラ部端部に寄り止め突起たる寄り止め部材(8a,16a)が突き当たるからである。
但し、第1中間転写ベルト8を張架する複数の張架ローラのうち、図示しない第1転写部第1内側ローラや第2転写部第1内側ローラの端部には、第1中間転写ベルト8の寄り止め部材8aが突き当たらないようになっている。また、第2中間転写ベルト16を張架する複数の張架ローラのうち、図示しない第2転写部第1内側ローラや第2転写部第2内側ローラの端部には、第2中間転写ベルト16の寄り止め部材16aが突き当たらないようになっている。これは、先に示した図4において、第1中間転写ベルト8を第1転写部第1内側ローラ12aよりも上流側で張架するニップ上流ローラ11a、第2転写部第1内側ローラ12bよりも下流側で張架する分離ローラ11bのローラ部長さが、それぞれ、両第1内側ローラ(12a,12b)よりも長くなっているからである。第1中間転写ベルト8の寄り止め部材8aが両第1内側ローラの端部に突き当たる前に、ニップ上流ローラ11aや分離ローラ11bの端部に突き当たって、それ以上の片寄り走行が阻止されるのである。第2中間転写ベルト16についても同様で、第1転写部第2内側ローラ17aよりも上流側のニップ拡張ローラ19、第2転写部第2内側ローラ17bよりも下流側の受渡分離ローラ22のローラ部長さが、それぞれ、両第2内側ローラ(17a,17b)よりも長くなっている。このため、第2中間転写ベルト16の寄り止め部材16aが、第1転写部第2内側ローラ17aや第2転写部第2内側ローラ17bに突き当たることがないようになっている。
図16(a),(b)は、中間転写ベルト(8,16)の蛇行と転写部における内側ローラとの関係を示す模式図である。これらの図において、図示しないニップ上流ローラ(11a)、分離ローラ(11b)、ニップ拡張ローラ(19)、受渡分離ローラ(22)は、それぞれローラ部の長さが図に示した幅W1になっている。この幅W1は、第1転写部第1内側ローラ12a、第2転写部第1内側ローラ12a、第1転写部第2内側ローラ17a、第2転写部第2内側ローラ17bよりも大きくなっている。このため、第1中間転写ベルト8や第2中間転写ベルト16が、図16(a)に示すように図中左方向に最大限に寄ったとしても、図中左側の寄り止め部材8a,16aと、内側ローラとの間には幅W2の距離が確保される。また、図16(b)に示すように、第1中間転写ベルト8や第2中間転写ベルト16が図中右方向に最大限に寄ったとしても、図中右側の寄り止め部材8a,16aと、内側ローラとの間には幅W2の距離が確保される。この幅W2は、幅W1と、内側ローラとの差に等しい。
第2参考形態に係るプリンタは、図17に示すように、第1転写部にて、第1転写部第1内側ローラ12aにマイナス極性の転写バイアスを印加して、第1トナー像を転写紙Pの第1面に静電押し出し方式で転写するようになっている。また、第2転写部にて、第2転写部第2内側ローラ17bにマイナス極性の転写バイアスを印加して、第2トナー像を転写紙Pの第2面に静電押し出し方式で転写するようになっている。そして、第2転写部を通過した直後の第1中間転写ベルト8を、第2転写部第1内側ローラ12bに大きく巻き掛けて、第2中間転写ベルト16から引き離すようになっている。かかる構成では、第2転写部の出口で転写紙Pが第1中間転写ベルト8から分離される一方で、第2中間転写ベルト16の表面には引き続き保持される。そして、第2中間転写ベルト16の表面移動に伴って、図示しない定着装置に向けて搬送される。このようにしても、実施形態に係るプリンタを例にして説明したように、第2転写部での転写圧の変化にかかわらず、転写手段(図示の例では第2中間転写ベルト16)からの転写紙Pの分離方向を一定にすることができる。転写紙Pは、転写圧にかかわらず、第2転写部を通過した後の第2中間転写ベルト16の移動方向に沿って、第2中間転写ベルト16から分離されるからである。
しかしながら、図17に示した構成の場合、第2転写部第1内側ローラ12bと第2転写部第2内側ローラ17bとの硬度関係によっては、第2転写部の出口で転写紙Pの先端側を搬送ベルトとして機能する第2中間転写ベルト16表面上でばたつかせる(微妙な接離を起こす)おそれがある。そして、このばたつきにより、転写紙Pの第2面上の第2トナー像を乱してしまうおそれがある。具体的には、同図において、第2転写部第1内側ローラ12bと第2転写部第2内側ローラ17bとのうち、前者を後者よりも高い硬度にしたとする。すると、前者を後者に食い込ませることになるので、第2転写部の出口点P1で、転写紙Pが前者との接線L1の方向に沿って進もうとする。この方向は、転写紙Pを第2中間転写ベルト16から引き離そうとする方向であるため、出口点P1から出た転写紙Pの先端が第2中間転写ベルト16から離間する。この後、ベルト移動に伴って、転写紙Pの先端だけでなくその後端側も徐々に出口点P1から出てくるようになると、今度は、転写紙Pの腰の強さや第2中間転写ベルト16の電荷により、第2中間転写ベルト16から離れていた転写紙Pの先端が第2中間転写ベルト16の表面に向けて引き戻される。このように、転写紙Pの先端は、離間と引き戻しとを起こすことで、第2中間転写ベルト16上でばたつくのである。
一方、第2転写部第2内側ローラ17bを第2転写部第1内側ローラ12bよりも高い硬度にしたとする。すると、第2転写部第2内側ローラ17bを第2転写部第1内側ローラ12bに食い込ませることになるので、第2転写部の出口点P1で、転写紙Pが前者との接線L2の方向に沿って進もうとする。この方向は、転写紙Pを第2中間転写ベルト16に密着させる方向であるため、出口点P1から出た転写紙Pの先端が第2中間転写ベルト16表面に密着せしめられる。これにより、転写紙Pの先端のばたつきを防止することができる。そこで、第2参考形態に係るプリンタでは、第2転写部第2内側ローラ17bを第2転写部第1内側ローラ12bよりも高い硬度にしている。
第1転写部第1内側ローラ12a、第2転写部第1内側ローラ12b、第1転写部第2内側ローラ17a、第2転写部第2内側ローラ17bは、それぞれ弾性ローラとなっている。これらのうち、第2転写部第2内側ローラ17bが第2転写部第1内側ローラ12bよりも高い硬度になっているのは既に述べた通りであるが、その他の硬度大小関係は次のようになっている。
・第1転写部第1内側ローラ12a>第2転写部第2内側ローラ12b
・第1転写部第2内側ローラ17a<第2転写部第2内側ローラ17b
4つの内側ローラ(12a,12b,17a,17b)は、それぞれ弾性ローラであるため、図18に示すように、第1転写部や第2転写部で押圧されることにより、弾性のローラ部がローラ軸線方向に向けて膨張する。この膨張はローラ部の両端で起こるので、膨張量は、図中に示した幅dの2倍である。このように膨張している部分には、相当の圧力がかかっているので、それに対して何らかの部材を外側から押し当ててしまうと、膨張部を破損してしまうおそれがある。膨張部に外側から押し当ててしまう部材としては、中間転写ベルトの寄り止め部材(8a,16a)が考えられる。寄り止め部材(8a,16a)については、上述したように、内側ローラのローラ部長さと、転写部の上流や下流でベルトを張架するローラのローラ部長さとに差をもたせることで、いずれの内側ローラにも突き当てないようになっている。しかし、この差が小さすぎると、第1転写部や第2転写部において内側ローラの膨張部が寄り止め部材に突き当たるおそれがある。なお、上述したような硬度関係により、第1転写部第1内側ローラ12aよりも第2転写部第1内側ローラ12bの膨張量の方が大きくなる。また、第1転写部第2内側ローラ17bよりも第2転写部第2内側ローラ17aの膨張量が大きくなる。
そこで、第2参考形態に係るプリンタにおいては、第1転写部第1内側ローラ12aとニップ上流ローラ(図4の11a)とのローラ部長さ差や、第2転写部第1内側ローラ12bと分離ローラ(図4の11b)とのローラ部長さ差を、次のように設定している。即ち、転写条件設定手段が第1転写部での第1押圧力を最大に設定した際の第1転写部第1内側ローラ12aの膨出量と、第2押圧力を最大に設定した際の第2転写部第1内側ローラ12bの膨出量とのうち、より大きい方である後者の膨張量(d×2)よりも大きくしているのである。このようにすることで、何れの第1内側ローラ(12a,12b)のローラ部を最大限に膨張させたとしても、寄り止め部材への突き当たりを防止することができる。
また、第1転写部第2内側ローラ17aとニップ拡張ローラ(図4の19)とのローラ部長さ差や、第2転写部第2内側ローラ17bと受渡分離ローラ22(図4の22)とのローラ部長さ差を、次のように設定している。即ち、転写条件設定手段が第2転写部での第2押圧力を最大に設定した際の第1転写部第2内側ローラ17aの膨出量と、第2押圧力を最大に設定した際の第2転写部第2内側ローラ17bの膨出量とのうち、より大きい方である前者の膨張量(d×2)よりも大きくしているのである。このようにすることで、何れの第2内側ローラ(17a,17b)のローラ部を最大限に膨張させたとしても、寄り止め部材への突き当たりを防止することができる。
[第3参考形態]
第3参考形態に係るプリンタの構成は、以下に、特に説明がない限り、第2参考形態に係るプリンタと同様である。図19は、第3参考形態に係るプリンタにおける2次転写ニップとその周囲構成とを示す拡大構成図である。第3参考形態に係るプリンタでは、同図に示すように、第2転写部を通過した直後の第1中間転写ベルト8を第2転写部第1内側ローラ12bに大きく巻き掛けて第2中間転写ベルト16から引き離している。また、第2転写部を通過した直後の第2中間転写ベルト16を第2転写部第2内側ローラ17bに大きく巻き掛けて第1中間転写ベルト8から引き離している。これらにより、第2転写部を通過した転写紙Pは、両中間転写ベルトからほぼ同時に分離される。かかる構成では、先に図13を用いて説明したように、第2押圧力の変化に伴って、第2転写部の出口点P1における転写紙Pの進行方向を変化させて、転写紙Pをガイド板等に擦ってしまうおそれがある。しかしながら、第3参考形態に係るプリンタにおいては、第2転写部第1内側ローラ12bと第2転写部第2内側ローラ17bとで、ローラ部を互いに同じ硬度にしている。かかる構成では、両第2内側ローラを第2押圧力の変化にかかわらず、互いに同じ量だけ弾性変形させるので、出口点P1における転写紙Pの進行方向を一定にすることができる。よって、第2押圧力の変化に伴って出口点P1での転写紙Pの進行方向を変化させてしまうことによる転写紙Pとガイド板等との擦れを防止することができる。
これまで、潜像担持体としてドラム状の感光体を用いた例について説明したが、ベルト上の感光体など、他の方式のものを用いてもよい。また、中間転写体については、ベルト方式のものに限られず、ローラ方式などもものでも良い。また、粉体トナーではなく、トナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、フルカラー画像を形成する例について説明したが、1つの感光体(像担持体)を用いて単色画像を形成する画像形成装置でもよい。また、電子写真方式のプリンタについて説明したが、直接記録方式の画像形成装置にも本発明の適用が可能である。この直接記録方式とは、潜像担持体によらず、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナー群を像担持体に直接付着させて画素像を形成することで、画像を直接形成する方式である。
以上、実施形態に係るプリンタ100においては、第1トナー像の転写による転写紙Pの第1面に対する単位面積あたりのトナー付着量と、第2トナー像の転写による転写紙Pの第2面に対する単位面積あたりのトナー付着量とをそれぞれ個別に検知するトナー付着量検知手段を設けている。そして、このトナー付着量検知手段による検知結果に基づいて、第1転写部における第1転写条件と、第2転写部における第2転写条件とをそれぞれ個別に設定させるように、転写条件設定手段を構成している。かかる構成では、既に述べた理由により、転写紙Pの第1面と第2面とのうち、何れか一方でトナー付着量が相当に大きくなって転写不良による画質劣化が生ずることによる第1面と第2面との画質差を抑えることができる。更には、第1面、第2面ともに、トナー付着量にかかわらず、安定した画質を得ることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、転写紙Pの第1面の特性と第2面の特性とをそれぞれ個別に検知する特性検知手段たる光学センサユニット92を設け、これによる検知結果に基づいて、第1転写条件と第2転写条件とをそれぞれ個別に設定させるように、転写条件設定手段を構成している。かかる構成では、既に述べた理由により、転写紙Pの第1面と第2面とのうち、何れか一方で表面特性に起因する転写不良による画質劣化が生ずるといった事態を抑えて、第1面と第2面との画質差を抑えることができる。更には、第1面、第2面ともに、表面特性にかかわらず、安定した画質を得ることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、特性検知手段として、表面平滑性を検知する表面平滑性検知手段たる光学センサユニット92を用いている。かかる構成では、既に述べた理由により、転写紙Pの第1面と第2面とのうち、何れか一方で表面平滑性が相当に粗くなって転写不良による画質劣化が生ずることによる第1面と第2面との画質差を抑えることができる。更には、第1面、第2面ともに、表面平滑性にかかわらず、安定した画質を得ることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、第1転写部として、転写紙Pを第1像担持体たる第1中間転写ベルト8に向けて押圧しながら第1トナー像に第1電界を作用させるものを用いている。更に、第2転写部として、転写紙Pを第2像担持体たる第2中間転写ベルト16に向けて押圧しながら第2トナー像に第2電界を作用させるものを用いている。加えて、転写条件として、第1電界の強度と第2電界の強度とをそれぞれ個別に設定する一方で、転写紙Pを第1転写部で押圧する第1押圧力と、転写紙Pを第2転写部で押圧する第2押圧力とをそれぞれ個別に設定させるように、転写条件設定手段を構成している。かかる構成では、既に述べた理由により、転写チャージャを用いた非接触転写方式のように、電界強度という1つのパラメータの調整しかできない方式に比べて、第1転写条件や第2転写条件をより広範囲に調整することが可能になる。これにより、より広範囲に渡る転写紙Pの表面平滑性や表面トナー付着量の変化に対応しながら、第1面と第2面との画質差を抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、第1像担持体、第2像担持体として、無端移動可能に張架される第1ベルト、第2ベルトである第1中間転写ベルト8、第2中間転写ベルト16をそれぞれ用いている。更に、第1転写部として、第1中間転写ベルト8のループ内側に配設した第1転写部第1内側ローラ12aと、第2中間転写ベルト16のループ内側に配設した第1転写部第2内側ローラ17aとの間に両中間転写ベルトを挟み込んで両ベルトの当接部を形成し、この当接部に挟み込んだ転写紙Pの第1面に第1トナー像を転写するものを用いている。加えて、第2転写部として、第1中間転写ベルト16のループ内側に配設した第2転写部第1内側ローラ12bと、第2中間転写ベルト16のループ内側に配設した第2転写部第2内側ローラ17bとの間に両中間転写ベルトを挟み込んで両ベルトの当接部を形成し、この当接部に挟み込んだ転写紙Pの第2面に第2トナー像を転写するものを用いている。かかる構成では、ベルト張架姿勢を工夫することで、第1像担持体、第2像担持体として、それぞれドラム状のものを用いる場合に比べて像担持体のレイアウト自由度を向上させて、装置のコンパクト化を図ることができる。更には、第1転写部、第2転写部でそれぞれトナー像を転写先である転写紙Pの第1面や第2面に密着せしめながら転写することで、非接触転写方式に比べて転写チリの発生を抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、転写手段として、第2転写部第2内側ローラ17bに転写バイアスを印加して、第2トナー像を第2転写部第2内側ローラ17bから第2転写部第1内側ローラ12bに向けて静電的に押し出して第2中間転写ベルト16から第2面に転写するものを用いている。かかる構成では、先に表1を用いて説明したように、第2転写部で第1トナー像を第1中間転写ベルト8に逆転写してしまうといった事態を回避することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、転写手段として、第1転写部第1内側ローラ12aに転写バイアスを印加して、第1トナー像を第1転写部第1内側ローラ12a側から第1転写部第2内側ローラ17a側に静電的に押し出して第1中間転写ベルト16から第1面に転写するものを用いている。かかる構成では、図5及び図6と、図7とを比較しながら説明したように、第1転写部や第2転写部において2つの転写バイアスローラ間で電流をリークさせることによる転写性の不安定化を抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、第1転写部第1内側部材、第1転写部第2内側部材、第2転写部第1内側部材、第2転写部第2内側部材として、第1転写部内側ローラ12a、第1転写部第2内側ローラ17a、第2転写部第1内側ローラ12b、第2転写部第2内側ローラ17bをそれぞれ用いている。かかる構成では、各内側ローラ(12a,12b,17a,17b)として、それぞれローラを用いることで、非ローラ形状のものを用いる場合で生ずる非ローラ形状の内側部材とベルトとの摺擦を回避することができる。これにより、ベルトの摩耗を抑えることができる。
また、第2参考形態や第3参考形態に係るプリンタにおいては、第1中間転写ベルト8、第2中間転写ベルト16として、それぞれ、ループ裏面におけるベルト幅方向の両端部にてベルト周方向に延在する寄り止め突起たる寄り止め部材8a、16aを有するものを用いている。更に、第1中間転写ベルト8をループ裏面で支持する複数の第1ベルト支持ローラの少なくとも2つであるニップ上流ローラ11a、分離ローラ11bとして、次のようなものを用いている。即ち、第1転写部第1内側ローラ12a及び第2転写部第1内側ローラ12bの何れよりもローラ部の軸線方向の長さが大きいものである。加えて、第2中間転写ベルト16をループ裏面で支持する複数の第2ベルト支持ローラの少なくとも2つであるニップ拡張ローラ19、受渡分離ローラ22として、次のようなものを用いている。即ち、第1転写部第2内側ローラ17a及び第2転写部第2内側ローラ17bの何れよりもローラ部の軸線方向の長さが大きいものである。かかる構成では、寄り止め部材8a,16aにより張架ローラからの第1中間転写ベルト8や第2中間転写ベルト16の脱輪を阻止することができる。また、図16(a)、図16(b)及び図18を用いて説明したように、第1転写部や第2転写部での押圧によってローラ軸線方向に膨張する各内側ローラ(12a,12b,17a,17b)の膨張部を寄り止め部材(8a,16a)に突き当てることによる各内側ローラの破損を抑えることができる。
また、第2参考形態や第3参考形態に係るプリンタにおいては、ニップ上流ローラ11aや分離ローラ11bとして、それぞれ、転写条件設定手段が第1押圧力を最大に設定した際の第1転写部第1内側ローラ12aの軸線方向への膨出量(d×2)と、上記第2押圧力を最大に設定した際の第2転写部第1内側ローラ12bの軸線方向への膨出量(d×2)とのうち、より大きい方よりも、第1転写部第1内側ローラ12aとの長さの差や、第2転写部第1内側ローラ12bとの長さの差が何れも大きくなるものを用いている。加えて、ニップ拡張ローラ19や受渡分離ローラ22として、それぞれ、転写条件設定手段が第1押圧力を最大に設定した際の第1転写部第2内側ローラ17aの軸線方向への膨張量(d×2)と、上記第2押圧力を最大に設定した際の第2転写部第2内側ローラの軸線方向への膨張量(d×2)とのうち、より大きい方よりも、第1転写部第2内側ローラ17aとの長さの差や、第2転写部第2内側ローラ17bとの長さの差が何れも大きくなるものを用いている。かかる構成では、既に述べた理由により、第1転写部や第2転写部での各内側ローラ(12a,12b,17a,17b)の膨張部を中間転写ベルトの寄り止め部材8a,16aに突き当ててしまうといった事態を確実に回避する。これにより、膨張部を寄り止め部材(8a,16a)に突き当てることによる各内側ローラの破損を確実に回避することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、少なくとも第1転写部の入口から第2転写部の出口に至るまで、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とを連続して当接させるようにしている。かかる構成では、既に述べた理由により、第1トナー像の転写開始から第2トナー像の転写終了まで、両トナー像からのトナー飛散を防止して、トナー飛散による画質劣化を防止することができる。
また、第3参考形態に係るプリンタにおいては、第2転写部を通過した後の転写紙Pを、何れか一方のベルトである第1中間転写ベルト8から分離するとともに、他方のベルトである第2中間転写ベルト16に引き続き保持させながら第2中間転写ベルト16の表面移動に伴って定着手段たる定着装置30に向けて搬送させるようにして、第2中間転写ベルト16を搬送ベルトとして機能させている。かかる構成では、既に述べた理由により、第2転写部での第2押圧力の変化に伴って、第2転写部の出口点P1での転写紙Pの進行方向を変化させることに起因して、転写紙Pをガイド板等に擦りながら定着装置30に受け渡しさせることによる未定着トナー像の乱れを回避することができる。
また、第3参考形態に係るプリンタにおいては、第2転写部第1内側ローラ12bと第2転写部第2内側ローラ17bとのうち、搬送ベルトとして機能する第2中間転写ベルト16の裏面に当接する方である第2転写部第2内側ローラ17bを、もう一方である第2転写部第1内側ローラ12bよりも高い硬度にしている。かかる構成では、図17を用いて説明したように、第2転写部の出口点P1で第1中間転写ベルト8から分離した転写紙Pの先端を接線L2に沿って進行させて第2中間転写ベルト16に密着させることで、出口点P1の近傍にて転写紙Pの先端を第2中間転写ベルト16上でばらつかせることによる第2トナー像の乱れを回避することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とのうち搬送ベルトとして機能しない方である第1中間転写ベルト8を、第2転写部よりもベルト移動方向下流で張架する転写部下流ローラである分離ローラ11bによるベルト掛け回し箇所で、第1中間転写ベルト8から転写紙Pを分離させるようにしている。かかる構成においては、第2転写部からある程度の距離をおいて第1中間転写ベルト8を転写紙Pから分離することで、第2転写部の下流近傍で転写紙Pを確実に第2中間転写ベルト16に密着させる。このことにより、第2転写部の下流近傍で転写紙Pの先端をばたつかせることによる第2トナー像の乱れを回避することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、第2転写部を通過した後の両中間転写ベルトを、少なくとも何れか一方である第1中間転写ベルト8を第2転写部よりもベルト移動方向下流で張架する転写部下流ローラである分離ローラ11bによるベルト掛け回し箇所に移動させるまで、引き続き互いに当接させるような姿勢で張架している。かかる構成においても、第2転写部の下流近傍で転写紙Pの先端をばたつかせることによる第2トナー像の乱れを回避することができる。
また、第3参考形態に係るプリンタにおいては、第2転写部第1内側ローラ12b及び第2転写部第2内側ローラ17bとして、互いに硬度が同じであるものを用いている。かかる構成では、既に述べた理由により、第2転写部の出口点P1で転写紙Pを両中間転写ベルトからほぼ同時に分離させるようにしたとしても、出口点P1における転写紙Pの進行方向を、第2転写部の第2押圧力にかかわらず一定にする。そして、このことにより、第2押圧力の変化に伴って出口点P1での進行方向を変化させることに起因して、転写紙Pをガイド板等に擦りながら定着装置30に受け渡しすることによる未定着トナー像の乱れを回避することができる。