JP4620201B2 - 液滴放出チップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴放出容器に関し、特に、このような液体放出容器用の液滴形成用チップに関する。
【0002】
【従来の技術】
様々な液滴放出容器が、当該技術分野で用いられてきており、かつ知られている。このような容器は、例えば、使用者の目に液状試薬を投薬する場合のように、液滴を形成しかつ放出するように構成されたチップを有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの様々な容器が入手可能でありかつ用いられているにも係わらず、雫の垂れを生じさせることなく液状試薬を投薬することはできず、従って、高価な無駄を生じさせている。よって、雫の垂れを生じることなくほぼ均一な液滴を容易に放出し得る、このような容器用の改良されたチップが要求されている。本発明は、この要求を満たすものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の広い局面によれば、容器に適用されかつ中空軸を有する液滴放出チップであって、前記中空軸が液体流路を形成し、かつ前記液体流路を、容器に通じる上流チャンバーと、液滴出口で終了する下流チャンバーとに分離する内部分離壁を有し、前記内部分離壁が、前記上流チャンバーと下流チャンバーとの間の制限された液体流路と、前記液体流路に存在する液体が液体出口を通過する前に液体緩衝面に接触するように、該液体出口と対向するように、かつ下流チャンバーにおいて前記内部分離壁に一体に設けられた半球状の液体緩衝面とを構成しており、前記上流チャンバーと前記下流チャンバーとを接続している前記制限された液体流路から前記下流チャンバーに至った液体が前記液体緩衝面に接触するように、前記液体緩衝面が、前記制限された液体流路の下流側に該制限された液体流路と隔てられて設けられており、かつ前記液体緩衝面の位置が固定されている液滴放出チップが提供される。
【0005】
液滴放出容器には、液体流路を形成する中空軸を有する放出チップが備えられている。この軸内の内部分離壁は、液体流路を、上流チャンバーと、下流チャンバーとに分離している。上流チャンバーは、容器内部に連通され、下流チャンバーは液滴出口で終了している。液体流路が、内部分離壁内に備えられており、かつ上流チャンバーと下流チャンバーとの間に流通を与えている。一体的なヘッド部が、上記分離壁から下流チャンバー内に延びており、かつ半球状の液体緩衝面を形成している。上流チャンバーから下流チャンバーへの液体が通過すると、液体は、半球状の緩衝面に接触し、かつ液滴出口を介して液滴が通過する。
【0006】
好ましい実施例では、上記液体流路は、上記液体緩衝面から中心を外されて位置決めされており、かつ該液体緩衝面から分離されている。上記内部分離壁は、開口されており、かつ外側に広がっている第1,第2の表面を有し、第1,第2の表面は、部分的に下流チャンバーを形作っている。上記液体流路は、該第1の表面に位置されている開口において終了しており、かつ一体的なヘッド部が、上記第2の表面から下流チャンバー内に外側に延びている。
【0007】
また、本発明は、容器用の上記液滴放出チップを成形するための装置にも関する。すなわち、液滴放出チップが、内部分離壁により、制限された流路を介して連通している上流チャンバーと下流チャンバーとに分離されている中空軸を有し、下流チャンバーにおいて、内部分離壁に液体緩衝面が一体に設けられており、上流チャンバーと下流チャンバーとを接続している制限された液体流路から下流チャンバーに至った液体が液体緩衝面に接触するように、液体緩衝面が、制限された流路の下流側に隔てられかつその位置が固定されている。この装置は、内部分離壁の一方側と、チップ内の下流チャンバーとを形成するための第1の金型インサートと、内部分離壁の他方側と、チップ内の上流チャンバーとを形成するための第2の金型インサートとを有する。第2の金型インサートは、内部分離壁内の液体流路を形成するための細長いピンを有する。
【0008】
第1の金型インサートの末端部は、第1,第2の傾斜面を有し、第1,第2の傾斜面は、端縁に沿って交叉している。第1の金型インサートの第1の傾斜面内のキャビティは、半球状の緩衝面に補完しており、該表面は、分離壁から下流チャンバーに延びている。
【0009】
第2の金型インサートは、その長手方向に延びるピンを有する。このピンの末端は、第2の金型インサートを超えて突出している。双方の金型インサートがチップ成形方法の間互いに向かい合って位置決めされているときに、上記ピンの末端が、第1の金型インサートの一面から突出し、かつ成形材料が金型内に注入されるにつれて、上流チャンバーと下流チャンバーとの間に液体流路を構成する。
これらの金型インサートは、成形の間相手方に向かって付勢されている。
【0010】
本発明の他の特徴及び効果は、以下の詳細な説明、添付図面及び添付の請求の範囲により容易に明らかになるであろう。
【0011】
【発明の実施の形態】
本明細書において開示されている本発明は、もちろん、多くの異なった形態で実施され得る。図面及び以下において詳細に説明されている内容は、本発明の好ましい実施例である。しかしながら、この開示内容は、本願発明の趣旨の例示であり、例示されている実施例に本発明が限定されるものではないことを理解すべきである。
【0012】
記載を容易とするために、本発明を具体化した液滴放出容器及び該液滴放出容器用チップ並びに本発明を具体化している上記チップを成形するための装置が、図3を除いて全ての図において、通常の垂直方向位置で以下において説明され、かつ上方、下方及び垂直などの用語は、この通常の位置に基づいて本明細書において用いられている。
【0013】
さらに、図面は、当該技術分野で公知であり、かつそのように当業者によって認識されている構造的要素をも含む。このような構造的要素の詳細な説明は、本願発明を理解する上で必要なものではない。従って、このような要素については、本願発明の特徴を理解するのに役立つのに必要な程度にのみ本明細書において表されている。
【0014】
図面を参照して、この液体内容物が液滴として放出されるように構成されている容器用のインサートとして適切な液滴放出チップ10が示されている。
このチップ10は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの通常の成形材料を用いて射出成形法により好ましくは成形される。チップ10は、所望とする用途に応じた様々な形状及び容量を有する液滴放出容器と共に用いることができる。ワイラー(Weiler)に対して与えられたアメリカ合衆国特許Des.369,211は、このような液体放出容器の一例を例示している。
【0015】
チップ10は、例えば、アンダーソン(Anderson)に対して与えられた米国特許第5,351,462及びWeilerに与えられた米国特許第4,707,966に記載されているインサートのような、容器の喉部(throat)内に挿入され、固定されかつ次にシールされるように構成されている、独立の成形部材である。
【0016】
図1に示されているように、チップ10は、ベース12と、中空軸14とを有し、該中空軸14は、液体流路30を形成している。ベース12は、下方の略円筒状ベース部材16と、一体的な中間の略円筒状ベース部材18とを有し、該ベース部材18は、ベース部材16の径よりも小さな径を有する。径方向外側にかつ周方向に延びる肩部20が、2個のベース部材16,18間に位置されている。ベース12は、液体容器の首部内に包含される
【0017】
中空軸14は、ベース部材18の肩部28から上方に延びている。軸14には、(図示しない)閉成キャップをねじ止めするために、軸14の外表面にねじ60が設けられ得る。
【0018】
(図2の)内部分離壁すなわちセプタム32が、軸14内の流路30を、上流チャンバー34と、下流チャンバー36とに分割している。上流チャンバー34は、容器内部に連通し、かつ下流チャンバー36は液滴出口3内で終了している。制限された、すなわち細い液体流路56が、チャンバー34,36間の流路を形成しており、かつ好ましくは三日月形のような形状を有する開口58内で終了している。
【0019】
分離壁32の表面40は、チャンバー34の上部を形成している。分離壁32の表面42は、対向されておりかつ傾斜された、第1,第2の分岐面すなわち第1,第2の傾斜面44,46をそれぞれ形成しており、それらの面44,46は液滴出口38に向かうように上方かつ外側に広がっている。
【0020】
面44は、分離壁32の表面40に対して、約30°〜75°の範囲の角度で傾斜されている。好ましくは、面44は、約60°の角度で傾斜されている。
ヘッド部48は、分離壁32と一体に構成されており、かつ傾斜面46から外側に延びている。ヘッド部48は、略円筒状の本体50と、該本体50と一体的に構成されたドーム状頂部52とを有する。ヘッド部48は、以下に詳細に述べるように、末端の液滴出口38を通じて液滴を形成しかつ放出するように構成された半球状の液体緩衝面(インピンジメント面、impingement面)54を構成している。
【0021】
分離壁32の表面40は、ほぼ平坦でありかつ流路30を横切っている。略円筒状の液体流路すなわち開口56は、分離壁32内に形成されており、かつ流路30の長手方向軸の中心からずらされて配置されている。液体流路56は、出口表面42の傾斜面44内に至っており、かつ容器から半球状の液体緩衝面54に向かって液体が通過するように開口58(図2及び図3)が傾斜面44に形成されている。
【0022】
図示の実施例において、液体流路56と開口58とは近接して配置されているが、ヘッド部48及び液体緩衝面54からは隔てられて配置されている。
一定量の液体が上流チャンバー34(図2及び図3)から下流チャンバー36に分離壁32内の制限された流路56を通って流れると、液体は液体緩衝面54に接触し、ドーム状頂部52に沿って流れる。その結果、液滴が形成され、次に液滴出口38から放出される。形成され、かつヘッド部48の頂部から次に放出される液滴の寸法は、液体流路30の内径を変更することにより調整することができる。
【0023】
本発明の放出チップは、(図4及び図5の)金型インサート62と、(図6及び図7の)金型インサート64とを用いて射出成形することができる。
図4及び図5を参照して、金型インサート62は、一般的には、鉄または同様の材料からなり、細長い剛性の本体66であり、該本体66の径よりも大きな径を有する略円筒状ヘッド部68が一端側に備えられている。径方向外側に延びる肩部70が、本体部66とヘッド部68との間に形成されている。ヘッド部68は、インサート取付けねじ(図示せず)を受け入れるように構成されている穴71を有する。金型インサート62の末端72は、内部分離壁32、面42,44並びにヘッド部48を形成するように形作られている。末端72は、それぞれ、対向されておりかつ外側に広がっている第1,第2の傾斜面74,76を有し、傾斜面74,76は細長い末端端縁78で交叉している。面74は、ヘッド部48の形に応じた略楕円形のキャビティ80をも形成している。
【0024】
図6及び図7を参照して、金型インサート64は、金型インサート62と協動しており、かつインサート62のように、鉄あるいは同様の材料からなる。金型インサート64は、細長い剛性の本体82と、近い側に設けられた略円筒状のヘッド部84とを有し、該ヘッド部84は、ヘッド部84と本体82との間に肩部86を形成するように、本体82よりも大きな径を有する。ヘッド部84は、第1のキャビティすなわちキー穴88を有し、該キー穴88は、ヘッド部84の外周縁から内側に延びており、かつ円筒状キャビティ90内で終了しなおり、またヘッド部84内に位置されている。
【0025】
内側にテーパーが付けられた肩部92が、金型インサート64に設けられており、該金型インサート64は、本体82の径よりも小さな径を有する末端部分94内で終了している。末端部分94は径方向の平坦面96で終了している。
【0026】
細長いキャビティ98が、金型インサート64に設けられており、かつ外側表面から隔てられかつ外側表面と平行な関係となるように、肩部92から長手方向内側に、本体82の内部まで延びている。図7及び図8は、2つのキャビティ98のみを示しているが、図6及び図7に示されている金型インサートの実施例は、3個のこのようなキャビティ98を有し、均等な間隔を隔てて配置されている。これらのキャビティは、成形されたチップにおけるリブを形成し、ブロー(blow)/フィル(fill)/シール(seal)容器の製造の間、チップが挿入ステーションに供給される際に、チップのネスティング(nesting )を極小化する。
【0027】
さらに、孔100が、金型インサート64の全長さを通じて長手方向に延びている。
細長いピン102は、孔100内に受け入れられ、かつ一端の径方向平坦面96から外側に突出している先端104を有する。ピン102の他端106は、キャビティ90内に受け入れられたワッシャー108に対して固定される。
【0028】
図8に示されているように、金型インサート62,64は、内部分離壁32、並びにチップ10の各下流及び上流チャンバー36,34を形成するように形作られている。
【0029】
成形の間、金型インサート62,64は、図8に示されているように、ピン102の先端104が金型インサート62の面74に当接するように、対向された関係に位置決めされている。この方法では、チップを成形するために熱可塑性樹脂が金型内に導入されると、液体流路56及び予め定められた寸法の開口58が形成される。
【0030】
本発明の真の精神及び新規な概念の範囲から離れることなく、本発明の上述した詳細な説明及びその例示から様々な変形を行い得ることを容易に理解し得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】液滴放出チップの部分切欠斜視図。
【図2】図1に示した液滴放出チップの垂直方向断面図。
【図3】図2に示した液滴放出チップの部分切欠拡大垂直方向断面図。
【図4】液滴放出チップを成形するために、本願発明に従って構成された金型インサートの斜視図。
【図5】図4に示した金型インサートの垂直方向断面図。
【図6】図4の金型インサートと協動する、本発明に従って構成された他方の金型インサートの斜視図。
【図7】図6の金型インサートの垂直方向断面図。
【図8】チップの入口及び出口チャンバーを形成するために位置決めされている図4及び図6の金型インサートを示す、部分切欠拡大垂直方向断面図。
【符号の説明】
10…液滴放出チップ
12…ベース
14…中空軸
16…ベース部材
18…ベース部材
20…肩部
28…肩部
30…流路
32…内部分離壁
34…上流チャンバー
36…下流チャンバー
38…液滴出口
40…面
42…面
44,46…第1,第2の傾斜面
48…ヘッド部
50…本体
52…ドーム状頂部
54…半球状の液体緩衝面
56…制限された液体流路
58…開口
62…金型インサート
64…金型インサート
66…本体部
68…ヘッド部
70…肩部
72…末端
74,76…第1,第2の傾斜面
82…本体
84…ヘッド部
88…キー穴
90…キャビティ
92…肩部
94…末端
100…孔
102…ピン
104…先端

Claims (8)

  1. 容器に適用されかつ中空軸を有する液滴放出チップであって、
    前記中空軸が液体流路を形成し、かつ前記液体流路を、容器に通じる上流チャンバーと、液滴出口で終了する下流チャンバーとに分離する内部分離壁を有し、
    前記内部分離壁が、前記上流チャンバーと下流チャンバーとの間の制限された液体流路と、前記液体流路に存在する液体が液体出口を通過する前に液体緩衝面に接触するように、該液体出口と対向するように、かつ下流チャンバーにおいて前記内部分離壁に一体に設けられた半球状の液体緩衝面とを構成しており、
    前記上流チャンバーと前記下流チャンバーとを接続している前記制限された液体流路から前記下流チャンバーに至った液体が前記液体緩衝面に接触するように、前記液体緩衝面が、前記制限された液体流路の下流側に該制限された液体流路と隔てられて設けられており、かつ前記液体緩衝面の位置が固定されている、液滴放出チップ。
  2. 前記制限された液体流路が、前記液体緩衝面に対して隔てられた関係に位置されている、請求項1に記載の液滴放出チップ。
  3. 前記液体緩衝面がドーム状の形状を有する請求項1に記載の液滴放出チップ。
  4. 前記制限された液体流路が、内部分離壁内の三日月状開口内で終了している、請求項1に記載の液滴放出チップ。
  5. 前記中空軸の外側表面にねじ部が設けられている、請求項1に記載の液滴放出チップ。
  6. 前記液体緩衝面が、前記中空軸の長手軸方向に沿って設けられており、かつ前記制限された液体流路が、中空軸の長手方向軸から隔てられた開口内で終了している、請求項1に記載の液滴放出チップ。
  7. 前記内部分離壁が、前記下流チャンバー内の一対の分岐面を形成しており、前記液体流路が外側に広がっている分岐面の一方に設けられた開口内で終了している、請求項1に記載の液滴放出チップ。
  8. 液体容器用液滴放出チップの成形装置であって、
    前記液滴放出チップが、内部分離壁により、制限された流路を介して連通している上流チャンバーと下流チャンバーとに分離されている中空軸を有し、下流チャンバーにおいて、内部分離壁に半球状の液体緩衝面が一体に設けられており、
    前記上流チャンバーと前記下流チャンバーとを接続している前記制限された液体流路から前記下流チャンバーに至った液体が前記液体緩衝面に接触するように、前記液体緩衝面が、前記制限された液体流路の下流側に該制限された液体流路と隔てられて設けられており、かつ前記液体緩衝面の位置が固定されており
    前記装置が、一対の細長い協動する金型インサートを備え、該金型インサートが、各末端において互いに対向しており、一対の金型インサートの一方の末端が前記下流チャンバーを成形するように構成されており、他方の金型インサートの末端が上流チャンバーを成形するように構成されており、
    前記他方の金型インサートが、該金型インサートを超えて延びており、かつ前記一方の金型インサートの末端に当接するピンをさらに備える、液滴放出チップ成形装置。
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