JP4619315B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

この発明は、大気圧近傍下でプラズマ放電を形成するとともにこのプラズマ放電に被処理物を晒して表面処理を行なうプラズマ処理装置に関し、特に、前記被処理物がガラス基板等の誘電体である場合に適した大気圧プラズマ処理装置に関する。
大気圧近傍下でプラズマ放電を形成するとともにこのプラズマ放電空間内にガラス基板等の被処理物を配置して表面処理を行なう常圧プラズマ処理装置は公知である。この種の装置には、高圧電極と接地電極が互いに対向するように設けられている。各電極の対向面には安定放電のために固体誘電体層が形成されている。固体誘電体層は、アルミナの溶射やセラミック板で構成されている。多くの場合、接地電極は、被処理物を設置するステージを兼ねている。この接地電極兼ステージ上の被処理物に高圧電極が対向配置される。高圧電極への電圧供給により、高圧電極と接地電極兼ステージの間に電界が印加され、大気圧プラズマ放電が形成される。この大気圧プラズマ放電に処理目的に応じたプロセスガスが導入されて、プラズマ化されるとともに被処理物に接触して反応を起こし、被処理物の表面処理がなされる。
特開2004−228136号公報
近年、被処理物の大型化が進み、これに伴い、接地電極兼ステージの大型化が必要となっている。ステージが大型になると、その上面の固体誘電体層も大面積化する必要がある。しかし、大面積の固体誘電体層を作るのは容易でなく製造費の上昇を避けられない。
一方、被処理物は、ガラスなどの誘電体で構成されることが多い。そこで、誘電体製被処理物をステージの固体誘電体層として代用することにすれば、ステージの金属表面自体に固体誘電体層を設ける必要が無くなる。その場合、アーク放電の防止のために、被処理物でステージの金属表面を完全に覆い、被処理物の周縁部をステージの金属表面より少し突出させるのが望ましい。
しかし、そうすると、電極が被処理物の周縁部及びそれより外側に位置している時は放電が起きず、電極が被処理物の周縁部より内側に移動してステージの金属表面の端部上に来た時、いきなりプラズマ放電が起き、処理が開始される。そのため、処理開始地点(被処理物の周縁部とそこより内側の主部分との境部分(主部分の端部))等の放電状態が不安定になり、処理不良になったり損傷を受けたりしてしまう。
本発明は、上記考察に基づいてなされたものであり、ガラス基板等の誘電体からなる被処理物を大気圧近傍のプラズマ放電に晒して表面処理する装置において、
露出された第1金属表面(金属にて構成された主設置面)を有する第1ステージ部(主設置部)と、固体誘電体層(側辺誘電部)で被覆された第2金属表面(側辺金属部)を有して前記第1ステージ部の外周部に設けられた第2ステージ部(側辺部)とを含み、前記第1ステージ部の第1金属表面上に、前記被処理物が周縁部を前記第2ステージ部の側へ突出させるようにして設置されるステージと、
前記ステージに対し、前記第1ステージ部と対向して前記プラズマ放電を形成する第1移動範囲(第1位置)と、前記第2ステージ部と対向する第2移動範囲(第2位置)、この第2移動範囲より前記第1移動範囲側とは反対側の第3移動範囲とを含む範囲で相対移動される電極と、
前記電極が前記第3移動範囲から第2移動範囲を経て第1移動範囲へ向かうとき、前記電極が前記第2移動範囲と第3移動範囲とに跨る位置と前記第1移動範囲の直近に在る位置との間における所定の位置に達した時点で前記電極に前記プラズマ放電のための電圧供給を開始する電源回路と、
を備えたことを特徴とする。
これによって、被処理物をステージの第1金属表面の固体誘電体層として代用でき、第1金属表面に溶射膜やセラミック板の固体誘電体層を設ける必要がなく、製造コストを低く抑えることができ、ステージの大型化が容易になる。第2移動範囲の電極と第2ステージ部の間にも電界が印加されるようにすることができ、これによって、電極が第1移動範囲に入るのに先立って助走的な放電を起こして正規のプラズマ処理の準備をしておくことができる。この結果、被処理物の周縁部とそれより内側の主部分との境での正規のプラズマ放電開始時における放電状態を安定させることができ、被処理物の主部分の端部等の損傷防止や処理の良好性確保を図ることができる。
しかも、電極が第3移動範囲と第2移動範囲とに跨る位置と前記第1移動範囲の直近に在る位置までの間における所定位置に位置した段階で電圧供給を開始することにより、電圧供給開始時の電極からの電界方向を第2金属に確実に向かわせることができ、電極から異常放電が発生するのを防止することができる。また、電極からの電界が第2金属の外端部等に局所的に集中するのを回避でき、第2ステージ部の固体誘電体層等が損傷するのを防止することができる。
前記所定位置において、前記電極が前記第2移動範囲と第3移動範囲に跨っていてもよい。その場合、前記電極の約3〜7割の部分が、前記第2移動範囲に在り、残部が前記第3移動範囲に在ることが好ましい。
約3割以上とすることによって、電圧供給開始時の異常放電を確実に防止できるとともに、第2金属の外端部等への電界集中を確実に回避できる。約7割以下とすることによって第2ステージ部の幅を必要以上に大きくする必要がない。
前記所定位置において、前記電極の約5割の部分が、前記第2移動範囲に在り、残部が前記第3移動範囲に在ることが、より好ましい。
これによって、電極からの異常放電発生を確実に防止できるとともに、第2金属の外端部等への電界集中を確実に回避することができる。
前記電極の前記相対移動方向に沿う幅は、前記第2ステージ部(ひいては前記第2移動範囲)の前記相対移動方向に沿う幅より大きくてもよく、等しくてもよく、小さくてもよい。
前記所定位置は、前記第2移動範囲と第3移動範囲とに跨る位置から少なくとも前記第1移動範囲に入る前までの間で設定されていればよい。
前記電極の幅が前記第2ステージ部より大きい場合等は、前記所定位置が、前記第2移動範囲と第3移動範囲とに跨り、且つ、前記第1移動範囲の直近に在る位置であってもよい。
前記電極の幅が前記第2ステージ部より小さい場合は、前記所定位置が、前記第2移動範囲と第3移動範囲とに跨る位置を越えて、前記電極の幅方向の全体が前記第2移動範囲内に在る位置であってもよい。
前記ステージが、前記第2ステージ部の第1ステージ部側とは反対側に設けられた絶縁性の第3ステージ部を更に有し、前記第3移動範囲において、前記電極前記第3ステージ部と対向することが好ましい。
これによって、電極を第3ステージ部上に待機させることができる。第2ステージ部の外側にも電極と第3ステージ部との間に処理ガスの通路が形成されるようにすることができる。
第3ステージ部の表面は、第2ステージ部の固体誘電体層の表面と面一であるのが好ましい。
前記第2移動範囲の電極と第2ステージ部との間にプラズマ放電が形成されるように、前記第2ステージ部の固体誘電体層の厚さ及び誘電率が設定されていることが好ましい。
これによって、電極が第1移動範囲に入る前の助走放電を確実に起こすことができ、被処理物の主部分の端部での放電状態を確実に安定させることができる。
前記第2ステージ部の固体誘電体層が、前記被処理物の周縁部が設置されるべき内側誘電部(周縁設置部)と、この内側誘電部より前記第1ステージ部とは反対側に配置され、前記被処理物の周縁部より突出されるべき外側誘電部とを有しているのが好ましい。
前記内側誘電部と外側誘電部のうち少なくとも外側誘電部が、前記第2金属表面に対応して配置され、第2金属表面を覆っていることが好ましい。
前記第2ステージ部の固体誘電体層が、前記被処理物の周縁部が設置されるべき内側誘電部と、この内側誘電部より側に配置され、前記被処理物の周縁部の外側に沿在する外側誘電部とを有しているのが好ましい。
前記内側誘電部と外側誘電部のうち少なくとも外側誘電部が、前記第2金属表面に対応して配置され、第2金属表面を覆っていることが好ましい。
これによって、助走放電が被処理物の周縁部より外側に形成されるようにすることができる。
前記第2移動範囲において、前記電極と前記外側誘電部との間にプラズマ放電が形成されるように、前記外側誘電部の厚さ及び誘電率が設定されていることが好ましい。
これによって、助走放電が被処理物の周縁部より外側の外側誘電部上で形成されるようにすることができる。
前記外側誘電部の厚さと誘電率の比が、前記被処理物の厚さと誘電率の比と略同じであることが好ましい。前記外側誘電部の単位面積あたりの静電容量が前記被処理物の単位面積あたりの静電容量と互いに等しくなるように、前記外側誘電部の誘電率と厚さが設定されているのが好ましい。
これによって、外側誘電部上の助走放電の状態を被処理物の主部分上での正規の放電状態と同様のレベルにすることができる。
前記第1金属表面と前記内側誘電部の表面とが面一になっているのが好ましい。前記内側誘電部の表面が、前記第1金属表面と面一に連続していることが好ましい。
これによって、被処理物の主部分を第1金属表面に確実に接触させるとともに被処理物の周縁部を内側誘電部に確実に接触させることができ、被処理物の裏面とステージの間に隙間が出来るのを防止することができる。
前記外側誘電部の表面が、前記第1金属表面より前記被処理物の厚さと略同じ大きさだけ前記電極の側に突出されていることが好ましい。
これによって、助走放電時の電極と第2ステージ部の間のプロセスガスの流通状態を、正規のプラズマ放電時の電極と被処理物の間の流通状態と略同じになるようにすることができる。
前記第1金属表面が、前記第2金属表面(第2金属部と固体誘電体層の接合面)より前記電極の側に突出していてもよく、前記外側誘電部の表面が、前記第1金属表面より前記電極の側に突出していてもよい。この構成は、外側誘電部の誘電率が、被処理物の誘電率より大きい場合に好適である。
外側誘電部の誘電率が、前記被処理物の誘電率より小さい場合は、前記第2金属部と固体誘電体層の接合面が、前記第1金属表面より前記電極の側に突出されているのが好ましい。
また、本発明は、誘電体からなる被処理物を大気圧近傍のプラズマ放電に晒して表面処理するプラズマ処理装置において、
露出された第1金属表面を有する第1ステージ部と、固体誘電体層で被覆された第2金属表面を有して前記第1ステージ部の外周部に設けられた第2ステージ部とを含み、前記第1ステージ部の第1金属表面上に、前記被処理物が周縁部を前記第2ステージ部の側へ突出させるようにして設置されるステージと、
前記ステージに対し、前記第1ステージ部と対向する第1移動範囲と、前記第2ステージ部と対向する第2移動範囲と、この第2移動範囲より前記第1移動範囲側とは反対側の第3移動範囲とを含む範囲で相対移動される第1電極と、
この第1電極の前記第3移動範囲側に配置され、第1電極と一体になって、前記ステージに対し、前記第1移動範囲と前記第2移動範囲と前記第3移動範囲とを含むように相対移動される第2電極と、
前記第1、第2電極が前記第3移動範囲から第2移動範囲を経て第1移動範囲へ向かう入移動のとき、前記第1電極が前記第2移動範囲と第3移動範囲とに跨る位置と前記第1移動範囲の直近に在る位置との間における所定の位置に達した時点で前記第1電極に前記プラズマ放電のための電圧供給を開始する第1電源回路と、
前記入移動のとき、前記第2電極が前記第2移動範囲と第3移動範囲とに跨る位置と前記第1移動範囲の直近に在る位置との間における所定位置に達した時点で前記第2電極に前記プラズマ放電のための電圧供給を開始する第2電源回路と、
を備えたことを特徴とする。
これによって、被処理物をステージの第1金属表面の固体誘電体層として代用でき、第1金属表面に溶射膜やセラミック板の固体誘電体層を設ける必要がなく、製造コストを低く抑えることができ、ステージの大型化が容易になる。第2移動範囲の電極と第2ステージ部の間にも電界が印加されるようにすることができ、これによって、電極が第1移動範囲に入るのに先立って助走的な放電を起こして正規のプラズマ処理の準備をしておくことができる。この結果、被処理物の周縁部とそれより内側の主部分との境での正規のプラズマ放電開始時における放電状態を安定させることができ、被処理物の主部分の端部等の損傷防止や処理の良好性確保を図ることができる。
しかも、第1電極が所定位置に達した時点で第1電極に対し電圧供給を開始することにより、第1電極からの電界方向を第2金属に確実に向かわせることができ、その後、第2電極が所定位置に達した時点で第2電極に対し電圧供給を開始することにより、第2電極からの電界方向を第2金属に確実に向かわせることができる。このように、第1、第2電極に対し電圧供給開始を順次行なうことにより、電圧供給開始時に異常放電や電界集中が起きるのを防止することができる。
前記電極の前記相対移動方向に沿う幅が、前記外側誘電部から前記第1ステージ部に跨り得る大きさであってもよい。
これによって、電極が第2移動範囲から第1移動範囲へ移るとき、電界が被処理物の主部分の端部上だけでなく外側誘電部上にも存続しているようにすることができ、被処理物の主部分の端部上に電界集中が起きるのを防止でき、被処理物の主部分の端部の処理の良好性を確実に確保することができる。
前記電極の前記相対移動方向に沿う幅は、少なくとも前記内側誘電部の前記相対移動方向に沿う幅より大きいのが好ましい。
前記第1金属表面が、前記被処理物より僅かに小面積であるのが好ましい。これにより、前記被処理物の主部分によって、前記第1金属表面の全体を覆うことができる。前記被処理物の周縁部は、前記第2ステージ部に設置されるようになっているのが好ましい。
前記内側誘電部の表面が、前記第1金属表面と面一になっており、内側誘電部の裏面が第1ステージ部に向うにしたがって表側へ傾く斜面になり、内側誘電部の厚さが、前記第1ステージ部に近づくにしたがって小さくなっていてもよい。
これにより、内側誘電部とその上に設置された被処理物の周縁部とを合わせた全体の誘電率が、第1ステージ部の側に向かうにしたがって被処理物単独の誘電率に近づくようにすることができる。よって、被処理物の周縁部上の助走放電部分でのプラズマ放電状態を、正規放電部に近づくにしたがって正規放電部でのプラズマ放電状態に近づけ、被処理物の周縁部と主部分の端部の境界での放電状態が不連続になるのを防止することができる。
前記内側誘電部と前記外側誘電部とが、一体に連なっていることが好ましい。
これによって、内側誘電部と外側誘電部との境において第2金属部が露出しないようにすることができ、内側誘電部と外側誘電部との境を通して第2金属部に沿面放電等が落ちるのを防止することができる。
前記内側誘電部と外側誘電部とが、別体になっていてもよい。
前記内側誘電部と外側誘電部との間に段差が形成されていることが好ましい。この段差に被処理物の端面が宛がうことができ、被処理物を確実に位置決めすることができる。
前記第1ステージ部の第1金属部と前記第2ステージ部の第2金属部とが、互いに接し、ないしは互いに連続していることが好ましく、第2金属部が内側誘電部の裏側にも配置されているのが好ましい。
これによって、電極が第2移動範囲から第1移動範囲に跨るとき、プラズマ放電の助走部と正規のプラズマ放電部が連続するようにでき、被処理物の主部分の端部の処理の良好性を一層確実に確保することができる。
本発明は、大気圧近傍(略常圧)の圧力環境での常圧プラズマ処理に特に効果的である。ここで、大気圧近傍とは、1.013×104〜50.663×104Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、1.333×104〜10.664×104Paが好ましく、9.331×104〜10.397×104Paがより好ましい。
本発明によれば、被処理物をステージの第1金属表面の固体誘電体層として代用でき、第1金属表面に溶射膜やセラミック板の固体誘電体層を設ける必要がなく、製造コストを低く抑えることができ、ステージの大型化が容易になる。加えて、第2移動範囲の電極と第2ステージ部の間にも電界が印加されるようにすることができる。これによって、助走的な放電を起こして正規のプラズマ処理の準備をしておくことができる。この結果、被処理物の主部分の端部上での正規のプラズマ放電開始時における放電状態を安定させることができ、被処理物の主部分の端部等の損傷防止や処理の良好性確保を図ることができる。
しかも、電極が第3移動範囲と第2移動範囲とに跨る所定位置より第1移動範囲側に位置した段階で電圧供給を開始することができる。これにより、電圧供給開始時の電極からの電界方向を第2金属に確実に向かわせることができ、電極から異常放電が発生するのを防止することができる。また、電極からの電界が第2金属の外端部等に局所的に集中するのを回避でき、第2ステージ部の固体誘電体層等が損傷するのを防止することができる。
以下、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、常圧プラズマ処理装置Mの概略構成を示したものである。常圧プラズマ処理装置Mは、処理ユニット10と、ステージ20を備えている。処理ユニット10には、3つ(複数)の高圧電極11,11,11が設けられている。以下、これら3つの電極11,11,11を互いに区別するときは、右側の電極の符号を11Aとし、中央の電極の符号を11Bとし、左側の電極の符号を11Cとする(図2〜図6参照)。
各電極11は、四角形断面をなして図1の紙面直交方向に長く延びている。図示は省略するが、各電極11の下面には、固体誘電体層としてのセラミック製の固体誘電体層が設けられている。3つの電極11,11,11は、左右に等間隔で並べられている。
これら3つの電極11は、共通の電源回路30に接続されている。電源回路30は、各電極11に大気圧プラズマ放電を形成するための電圧を供給するようになっている。供給電圧は、正弦波等の連続波電圧でもよく、パルス波等の間欠波電圧でもよい。電源回路30には、各電極11に対応する3つ(複数)のスイッチ部31が設けられている。スイッチ部31Aは電極11Aに接続され、スイッチ部31Bは電極11Bに接続され、スイッチ部31Cは電極11Cに接続されている(図2〜図6参照)。
図示は省略するが、プラズマ処理装置Mには、プロセスガス源からのプロセスガス供給ラインが接続されている。このプロセスガス供給ラインからのプロセスガスが、各電極11の下方に吹出されるようになっている。プロセスガスとしては、処理目的に合わせたガス種が用いられている。例えば、エッチング処理、親水化処理、撥水化処理ではCF等のフッ化炭素化合物と窒素が用いられている。
処理ユニット10の下側にステージ20が設置されている。ユニット10の下面(各電極11の上記固体誘電体層の下面)とステージ20の間のギャップは数mm程度である。図において、上記のギャップは誇張して示されている。
左右に隣り合う電極11,11どうし間のギャップは、処理ユニット10の下面とステージ20の間の実際のギャップよりも大きい。
ステージ20は、第1ステージ部21と、この第1ステージ部21の外周部に設けられた第2ステージ部22と、この第2ステージ部22の外周部に設けられた第3ステージ部23とを備えている。
第1ステージ部21は、アルミニウム等の金属(第1金属)にて構成され、平面視四角形になっている。第1ステージ部21の奥行き(図1の紙面と直交する方向の寸法)は、電極11の長さとほぼ同じになっている。
第1ステージ部21の上面21a(第1金属表面)は、水平になっている。第1金属表面21a上には固体誘電体層が設けられておらず、該金属表面21aが露出されている。
金属製第1ステージ部21は、電気的に接地されている。第1ステージ部21は、高圧電極11に対する接地電極としての役目を兼ねている。
図1において仮想線で示すように、露出された第1金属表面21a上に、処理すべき基板(被処理物)Wが設置されるようになっている。基板Wは、例えば大型液晶用のガラス等の誘電体で構成され、平面視四角形状をなしている。基板Wを構成するガラスの比誘電率εは、ε=5程度である。基板Wの厚さtは、例えばt=0.7mm程度である。
第1金属表面21aの面積(第1ステージ部21の面積)は、基板Wの面積より少し小さい。そのため、基板Wの周縁部Wbより内側の主部分Waが第1金属表面21aの全体を覆い、基板Wの周縁部Wbは第1金属表面21aから外側すなわち第2ステージ部22の側に突出するようになっている。基板周縁部Wbの第1金属表面21aからの突出量は、例えば10mm程度である。
第2ステージ部22は、第2金属24と、固体誘電体層25とを有している。第2金属24は、アルミニウム等の金属にて構成されている。第2金属24の内端部は、第1ステージ部21を構成する第1金属と接合されている。
第2金属24は、第1ステージ部21を介して電気的に接地されているが、第1ステージ部21を介さずに第2金属24に接地線を直接接続してもよい。
第2ステージ部22の第2金属24の上面24a(第2金属表面)は、第1ステージ部21の第1金属表面21aより下に位置しており、両者間に段差が形成されている。(第1金属表面21aは、第2金属表面24aより上に突出されている。)第2金属表面24aは、水平になっている。
第2金属表面24a上に、固体誘電体層25が設けられている。固体誘電体層25は、第2金属表面24aの全体を覆っている。固体誘電体層25は、アルミナ(Al)等のセラミック部材で構成されている。固体誘電体層25を構成するアルミナの比誘電率ε25は、基板Wの約2倍のε25=10程度である。
固体誘電体層25は、第1ステージ部21側の内側誘電部26と、第3ステージ部23側の外側誘電部27とを有している。内外の誘電部26,27は一体に連なっている。
内側誘電部26の内端面(第1ステージ部21側の端面)は、第1金属表面21aと第2金属表面24aとの間の段差面に突き当たっている。内側誘電部26の上面は、第1金属表面21aと面一をなしている。
内側誘電部26の上面に基板Wの周縁部Wbが設置されるようになっている。内側誘電部26の左右方向の幅(基板周縁部Wbの幅)は、各電極11の左右方向の幅より小さい。
外側誘電部27は、内側誘電部26より厚肉になっており、内側誘電部26の上面及び第1金属表面21aより上に突出されている。外側誘電部27と内側誘電部26の間に段差が形成されている。
外側誘電部27と内側誘電部26の間の段差面に基板Wの周端面が宛がわれるようになっている。外側誘電部27と内側誘電部26との間の段差の高さは、基板Wの厚さと略同じになっている。したがって、外側誘電部27の上面と基板Wの上面とは略面一になるようになっている。
外側誘電部27は、基板Wより外側に位置されることになる。外側誘電部27の左右方向の幅は、各電極11の左右方向の幅より大きく、左端電極11Cの左端部と右端電極11Aの右端部の間の距離より小さい。
外側誘電部27の厚さと誘電率の比は、基板Wの厚さと誘電率の比と略同じになるように設定されている。したがって、固体誘電体層25の誘電率が基板Wの2倍である場合には、外側誘電部27の厚さは、基板Wの略2倍に設定されている。ガラス製基板Wの比誘電率がε=5.3〜6.5程度、厚さがt=0.5〜0.7mm程度であり、固体誘電体層25の比誘電率がε25=9〜11程度である場合、外側誘電部27の厚さは、t27=0.69〜1.45mm程度になるように設定されている。例えば、基板Wが比誘電率ε=5、厚さt=0.7mm程度である場合、比誘電率ε25=10のアルミナからなる固体誘電体層25の外側誘電部27の厚さt27は、t27=1.4mm程度に設定されている。
第2ステージ部22の第2金属24と固体誘電体層25の外端部は、面一に揃えられているが、固体誘電体層25の外側誘電部27が、第2金属24より外側に突出されていてもよい。
これら第2金属24と固体誘電体層25の外側面に、外枠としての第3ステージ部23が添えられている。第3ステージ部23は、樹脂等の絶縁体で構成されている。
さらに、図1に示すように、処理ユニット10には、移動機構40が接続されている。この移動機構40によって処理ユニット10の3つの電極11,11,11が一体になって左右(電極11の長手方向と直交する方向)に往復移動されるようになっている。図2〜図6に示すように、各電極11の移動範囲は、第1ステージ部21と対向する第1移動範囲R1と、第2ステージ部22と対向する第2移動範囲R2と、第3ステージ部23と対向する第3移動範囲R3とを含んでいる。
処理ユニット10ひいては電極11が固定される一方、移動機構40がステージ20に接続され、ステージ20が左右に往復移動されるようになっていてもよい。
上記構成の常圧プラズマ処理装置Mを用いて基板Wを表面処理する際は、図2に示すように、先ず、全ての電極11A〜11Cに対応するスイッチ部31A〜31Cをオフにし、処理ユニット10の全体をステージ20の少なくとも第2ステージ部22より外側(例えば左)に退避させたうえで、基板Wをステージ20に設置する。すなわち、基板Wの周縁部Wbより内側の主部分Waを、第1ステージ部21の第1金属表面21a上に設置し、周縁部Wbを、第2ステージ部22の内側誘電部26上に設置する。第1金属表面21aと内側誘電部26の上面とが面一に連続しているので、基板Wの裏面とステージ20の間に隙間が出来るのを防止することができる。基板Wの端面は、内側誘電部26と外側誘電部27の間の段差面に宛がわれる。これによって、基板Wを確実に位置決めすることができる。基板Wの上面(表側面)は、外側誘電部27の上面と面一になる。
次に、移動機構40によって処理ユニット10を図2の矢印方向(右方向)に移動させていく。
すると、図3に示すように、やがて右端の電極11Aが、第2ステージ部22に対応する第2移動範囲R2と第3ステージ部23に対応する第3移動範囲R3とに跨る所定位置に位置するようになる。この所定位置において、電極11Aの約3〜7割の部分が第2移動範囲R2に在り、残部が第3移動範囲R3に在る。好ましくは、電極11Aの約5割の部分が第2移動範囲R2に在り、残部が第3移動範囲R3に在る。この時、スイッチ部31Aをオンし、電源回路30から右端電極11Aへの電圧供給を開始する。これによって、右端電極11Aと第2ステージ部22の第2金属24との間に電界を印加することができる。右端電極11Aの約3割以上の部分、好ましくは約5割の部分が第2金属24と対向しているので、電極11Aからの電界方向を第2金属24に確実に向かわせることができ、電極11Aから周辺の金属部材に異常放電が起きるのを防止することができる。電極11Aの全体が第2移動範囲R2の外側に在るときは勿論、一部が第2移動範囲R2内に入って来ても上記所定位置より左側に位置している間は、電圧供給を停止し、上記所定位置に達した時はじめて電圧供給を行なうので、電極11Aからの電界が第2金属24の外端部に局所的に集中するのを回避できる。これにより、固体誘電体層25等が損傷するのを防止することができる。
上記の電界印加によって、右端電極11と外側誘電部27の間に大気圧プラズマ放電が生成される。これによって、基板Wより外側に助走的なプラズマ放電D2を形成することができる。このとき、第2金属24は、電極11に対する接地電極として機能する。また、外側誘電部27は、第2金属表面24aの固体誘電体層として機能し、安定放電に寄与する。外側誘電部27の厚さと誘電率の設定により、後述する基板W上での正規のプラズマ放電D1と略同じ放電状態を得ることができる。外側誘電部27の上面と基板Wの上面が面一であるので、第2位置での処理ユニット10と外側誘電部27の間のギャップを、第1位置での処理ユニット10と基板Wの間のギャップと同じ大きさにでき、助走放電D2時のプロセスガスの流通状態を、後記の正規プラズマ放電D1時の流通状態と略同じにすることができる。
電極11Aの約7割以下の部分が第2移動範囲R2内に位置していれば助走放電D2が開始されるので、第2ステージ部22の幅を必要以上に大きく必要がない。
スイッチ部31Aのオン状態を維持し、右端電極11Aへの電圧供給を継続しながら、処理ユニット10をさらに右方向に移動させる。右端電極11Aの右方向への移動に伴い、該電極11Aと第2ステージ部22との間の助走放電部D2も右に移動していく。やがて、図4に示すように、中央の電極11Bが、第2、第3移動範囲R2,R3に跨る上記所定位置に位置するようになる。この時、スイッチ部31Bをオンし、電源回路30から中央電極11Bへの電圧供給を開始する。これによって、中央電極11Bからの異常放電及び電界集中を防止しつつ、中央電極11Bと第2金属24との間に電界を印加でき、中央電極11Bと外側誘電部27の間にも助走放電D2を生成することができる。
スイッチ部31A,31Bのオン状態を維持し、右端電極11Aと中央電極11Bへの電圧供給を継続しながら、処理ユニット10をさらに右方向に移動させる。これに伴い、右端電極11Aと第2ステージ部22との間の助走放電部D2、及び中央電極11Bと第2ステージ部22との間の助走放電部D2が右へ移動していく。やがて、図5に示すように、左端の電極11Cが、第2、第3移動範囲R2,R3に跨る上記所定位置に位置するようになる。この時、スイッチ部31Cをオンし、電源回路30から左端電極11Cへの電圧供給を開始する。これによって、左端電極11Cからの異常放電及び電界集中を防止しつつ、左端電極11Cと第2金属24との間に電界を印加でき、左端電極11Cと外側誘電部27の間にも助走放電D2を生成することができる。
このように、左右に並んだ電極11A,11B,11Cが、それぞれ第2、第3移動範囲R2,R3に跨る上記所定位置よりも第3移動範囲R3側に位置している期間は、その電極への電圧供給を停止しておき、上記所定位置に入って来る度にその電極への電圧供給を開始して助走放電D2を生成し、その後、上記所定位置よりも第1移動範囲R1側に位置している期間は電圧供給を継続し放電を維持する。
図5に示すように、左端の電極11Cが上記所定位置に達するのに前後して、右端電極11Aが、基板Wの周縁部Wbの上方に位置するようになる。これによって、右端電極11Aと基板周縁部Wbの間に助走放電D2bが生成される。この右端電極11Aと基板周縁部Wbの間にプロセスガスが導入されることによって、基板周縁部Wbの表側面をプラズマ処理することができる。このとき、基板周縁部Wbは、内側誘電部26と共に第2金属24の表面の固体誘電体層として機能し、安定放電に寄与する。
なお、基板周縁部Wbと内側誘電部26を合わせた誘電率は、外側誘電部27単独の誘電率や基板主部Wa単独の誘電率と多少異なり、放電D2bの状態が外側誘電部27上での助走放電D2や基板主部Wa上での正規のプラズマ放電D1と若干異なることになるが、基板周縁部Wbは製品の品質とは無関係な部分であるため支障はない。
図5に示すように、右端電極11Aは、さらに第2移動範囲R2から第1移動範囲R1に跨るようになる。これによって、右端電極11Aと第1ステージ部21の端部との間にも電界が印加される。これにより、右端電極11Aと基板Wの主部分Waの端部Wae(周縁部Wbとの境の部分)との間に、正規の大気圧プラズマ放電D1が形成される。この正規のプラズマ放電部D1にプロセスガスが導入されることにより、基板主部分の端部Waeに対するプラズマ処理を行なうことができる。
この正規のプラズマ処理の開始当初は、電極11Aと第2ステージ部22との間の助走放電D2又はD2bが存続している。したがって、電界が、狭小な正規放電部D1だけに集中するのを防止できる。これによって、電源回路30の損傷を防止することができるだけでなく、基板主部分の端部Wae上での放電状態を安定させることができる。また、電極11Aは、正規のプラズマ放電D1に先立ち、第2ステージ部22上での助走放電D2によって温度が高められ、該電極11Aの表面の図示しないセラミック製固体誘電層が乾燥される等の放電準備がなされている。したがって、基板主部分の端部Wae上での放電状態を一層安定化させることができる。また、電極11Aによる助走放電部D2(D2bを含む)と正規放電部D1が連続しているので、プラズマが2つの放電部D1,D2間を行き来でき、全体的に均質なプラズマを得ることができる。したがって、基板主部分の端部Waeを、基板Wの中央部分と同じ様に処理することができ、処理の均質化を図ることができる。
さらに処理ユニット10を右方向に移動させていくと、右端電極11Aの全体が第1移動範囲R1に入るとともに、中央電極11Bが第2移動範囲R2から第1移動範囲R1に跨るようになり、中央電極11Bと基板周縁部Wbとの間にプラズマ放電D2bが形成され、さらには、中央電極11Bと基板主部分の端部Waeとの間にもプラズマ放電D1が形成されるようになる。
続いて、この中央電極11Bの全体が第1移動範囲R1に入るとともに、左端電極11Cが第2移動範囲R2から第1移動範囲R1に跨るようになり、左端電極11Cと基板周縁部Wbとの間にプラズマ放電D2bが形成され、さらには左端電極11Cと基板主部分の端部Waeとの間にもプラズマ放電D1が形成されるようになる。
そして、図6に示すように、処理ユニット10全体が第1移動範囲R1に位置するようになり、各電極11A,11B,11Cと第1ステージ部21との間に電界が印加され、各電極11A,11B,11Cと基板主部分Waとの間に正規のプラズマ放電D1が生成される。これにより、基板主部分Waにおける各電極11A,11B,11Cの下側の部分をプラズマ表面処理することができる。このとき、基板Wは、第1ステージ部21の固体誘電体層として機能する。したがって、第1金属表面21aに固体誘電体層を設ける必要がなく、製造コストを低く抑えることができる。よって、基板Wの大面積化に対応して、ステージ20を容易に大型化することができる。
処理ユニット10は、更に矢印方向へ移動し、ステージ20の反対側の端部(図1において右側)へ向かう。図示は省略するが、この反対側端部において、各電極11が第2移動範囲R2と第3移動範囲R3に跨る所定位置になる度に、対応するスイッチ部31をオフし、その電極11への電圧供給を停止する。
なお、反対側端部における電圧オフのタイミングは、各電極11が第1移動範囲R1と第2移動範囲R2に跨る所定位置になった時点に設定してもよい。
すべての電極11がステージ20の反対側の端部に達することにより、基板Wの全体をプラズマ処理することができる。
必要に応じて処理ユニット10を左右に往復させることにしてもよい。
処理の終了後は、処理ユニット10をステージ20の外側に退避させ、基板Wをピックアップする。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において第1実施形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、上記の各電極11の左右の幅寸法は、第2ステージ部22の左右の幅より小さく、ひいては第2移動範囲R2の左右の幅より小さい。したがって、電極11の幅方向の全体が第2移動範囲R2内に納まる区間が存在する。そこで、電圧供給タイミングとなる「所定位置」を、電極11が第2移動範囲R2と第3移動範囲R3に跨る位置よりも第1移動範囲R1側へずらし、電極11の幅方向の全体が第2移動範囲R2内に在る位置に設定してもよい。すなわち、各電極11の幅方向の全体が第2移動範囲R2内に入っている時、当該電極11への電圧供給及び助走放電D2の形成を開始する。
これによって、電圧供給開始時の電極11からの電界方向を一層確実に第2ステージ部22の第2金属24に向かわせることができ、電極11から異常放電が発生するのを一層確実に防止することができるとともに、第2金属の外端部等への電界集中を一層確実に回避することができる。
図8に示す実施形態では、処理ユニット10に電極11が1つだけ備えられている。この電極11の左右方向の幅は、第1実施形態の各電極11A,11B,11Cの左右方向の幅より大きく、更には第2ステージ部22の左右方向の幅より大きい。したがって、電極11の進行方向前端部(右端部)が第1移動範囲R1の直近に至った時、進行方向後端部(左端部)は未だ第3移動範囲R3に在り、当該電極11は、第2移動範囲R2と第3移動範囲R3とに跨った状態にある(図9参照)。
電源回路30にはスイッチ部31が1つだけ設けられており、このスイッチ部31を介して電極11が電源回路30に接続されている。
本実施形態において、単一の幅広電極11が、第3移動範囲R3に位置している期間は、スイッチ部31をオフしておき、電極11への電圧供給を停止する。電極11が図8の矢印方向(右方向)へ移動し、第2、第3移動範囲R2,R3に跨る所定位置に達した時、スイッチ部31をオンして電極31への電圧供給を開始し、電極31と第2ステージ部22との間に助走放電D2を生成する。上記所定位置は、例えば幅広電極11の約3〜7割の部分が第2移動範囲R2に在り、残部が第3移動範囲R3に在る位置に設定し、幅広電極11がこの所定位置に達した時、電圧供給を開始する。好ましくは、図8に示すように、上記所定位置を、幅広電極11の約5割の部分が第2移動範囲R2に在り、残部が第3移動範囲R3に在る位置に設定し、幅広電極11がこの所定位置に達した時、電圧供給を開始する。これにより、幅広電極11からの異常放電の発生や第2金属24の外端部への電界集中を確実に防止することができる。
さらに好ましくは、図9に示すように、上記所定位置を、幅広電極11が第1移動範囲R1の直近に在る位置に設定し、幅広電極11がこの所定位置に達した時、電圧供給を開始する。これにより、幅広電極11からの異常放電の発生や第2金属24の外端部への電界集中を一層確実に防止でき、安全性を一層高めることができる。
その後、幅広電極11が上記所定位置よりも第1移動範囲R1側に位置している期間は電圧供給を継続する。これにより、基板Wをプラズマ表面処理することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、種々の改変をなすことができる。
例えば、第1ステージ部21は、露出された金属表面を有していればよく、金属表面の全体が露出されている必要はなく、金属表面の一部分が固体誘電体層や、固体誘電体層としては機能しない絶縁体(例えばテープや塗料や半導体分野で使用される絶縁薄膜)等で被覆されていてもよい。ここで、固体誘電体層とは、電極の金属本体に被覆されてアーク放電等の異常放電を防ぎ良好なグロー放電を得る機能を果たす固体誘電体を言う。
電極の数は、1つ又は3つに限られず、2つでもよく、4つ以上でもよい。2以上の電極は、ステージに対する相対移動方向に沿って並べられるのが好ましい。2以上の電極のうちの1つを「第1電極」とすると、それより上記移動方向の後側(第3移動範囲側)に配置された他の1つの電極が「第2電極」となる。
電源回路30は、複数の電極の各々に対し別々に設けられていてもよい。上記第1電極に対応する電源回路が「第1電源回路」を構成し、第2電極に対応する電源回路が「第2電源回路」を構成する。勿論、第1実施形態(図1)のように第1電源回路と第2電源回路が共通の電源回路にて構成されていてもよい。
第2ステージ部22の第2金属24は、外側誘電部27の裏側(下面)にだけ設けられていればよく、内側誘電部26の裏側(下面)には設けられていなくてもよい。
内側誘電部26と外側誘電部27は、互いに別体になっていてもよく、誘電率が互いに異なっていてもよい。
第1ステージ部21を構成する第1金属と第2ステージ部22の第2金属24とが、一体に連なっていてもよい。ステージ20がアルミニウム等の金属からなるステージ本体を備え、このステージ本体の中央部(周縁部より内側の部分)が、表面の露出された第1金属21(第1ステージ部)となり、ステージ本体の周縁部が、固体誘電体層25で覆われた第2金属24になっていてもよい。
本発明は、例えば半導体基板や液晶用基板の製造において、基板の表面をプラズマを用いて洗浄、改質(親水化、撥水化等)、成膜、エッチングないしアッシング等するのに適用可能である。
本発明の第1実施形態に係る常圧プラズマ処理装置の概略を示す正面断面図である。 上記常圧プラズマ処理装置による基板処理において、処理ユニットをステージの外側に退避させ基板をステージに設置した後、処理ユニットをステージの上方位置へ向けて移動を開始する状態を示す正面断面図である。 上記常圧プラズマ処理装置による基板処理において、右端電極が第2移動範囲と第3移動範囲に跨る所定位置に達したときの状態を示す正面断面図である。 上記常圧プラズマ処理装置による基板処理において、中央電極が上記所定位置に達したときの状態を示す正面断面図である。 上記常圧プラズマ処理装置による基板処理において、左端電極が上記所定位置に達し、右端電極が第1移動範囲と第2移動範囲に跨る位置に在る状態を示す正面断面図である。 上記常圧プラズマ処理装置による基板処理において、処理ユニットの全体が第1移動範囲内に位置し、基板の主部分をプラズマ処理する状態を示す正面断面図である。 電圧供給開始のポイントとなる所定位置を各電極の全体が第2移動範囲内に在るときとした変形例を、右端電極が上記所定位置に達した状態で示す常圧プラズマ処理装置の正面断面図である。 本発明の第2実施形態を示し、第2ステージ部より幅広の単一電極を有する常圧プラズマ処理装置を、上記電極が第2移動範囲と第3移動範囲に跨る所定位置に達したときの状態で示す正面断面図である。 上記第2実施形態において、電極が第1移動範囲の直前まで来た位置を電圧供給開始のポイントとなる所定位置とした変形例を示す正面断面図である。
符号の説明
M 大気圧プラズマ処理装置
10 処理ユニット
11(11A,11B,11C) 電極
20 ステージ
21 第1ステージ部
21a 第1金属表面
22 第2ステージ部
23 第3ステージ部
24 第2金属部
24a 第2金属表面
25 固体誘電体層
26 内側誘電部
27 外側誘電部
30 電源
31(31A,31B) 電源回路
40 移動機構
D1 正規のプラズマ放電部
D2,D2b プラズマ放電の助走部
R1 第1移動範囲
R2 第2移動範囲
R3 第3移動範囲
W 基板(被処理物)
Wa 基板の主部分
Wae 基板の主部分の端部
Wb 基板の周縁部

Claims (10)

  1. 誘電体からなる被処理物を大気圧近傍のプラズマ放電に晒して表面処理するプラズマ処理装置において、
    露出された第1金属表面を有する第1ステージ部と、固体誘電体層で被覆された第2金属表面を有して前記第1ステージ部の外周部に設けられた第2ステージ部とを含み、前記第1ステージ部の第1金属表面上に、前記被処理物が周縁部を前記第2ステージ部の側へ突出させるようにして設置されるステージと、
    前記ステージに対し、前記第1ステージ部と対向する第1移動範囲と、前記第2ステージ部と対向する第2移動範囲と、この第2移動範囲より前記第1移動範囲側とは反対側の第3移動範囲とを含む範囲で相対移動される電極と、
    前記電極が前記第3移動範囲から第2移動範囲を経て第1移動範囲へ向かうとき、前記電極が前記第2移動範囲と第3移動範囲とに跨る位置と前記第1移動範囲の直近に在る位置との間における所定の位置に達した時点で、前記電極に前記プラズマ放電のための電圧供給を開始する電源回路と、
    を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記所定位置において、前記電極の約3〜7割の部分が、前記第2移動範囲に在り、残部が前記第3移動範囲に在ることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記所定位置において、前記電極の約5割の部分が、前記第2移動範囲に在り、残部が前記第3移動範囲に在ることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記電極の前記相対移動方向に沿う幅が、前記第2ステージ部の前記相対移動方向に沿う幅より小さく、
    前記所定位置が、前記電極の幅方向の全体が前記第2移動範囲内に在る位置であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記ステージが、前記第2ステージ部の第1ステージ部側とは反対側に設けられた絶縁性の第3ステージ部を更に有し、前記第3移動範囲において、前記電極前記第3ステージ部と対向することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記第2ステージ部の固体誘電体層が、前記被処理物の周縁部が設置されるべき内側誘電部と、この内側誘電部より側に配置され、前記被処理物の周縁部の外側に沿在する外側誘電部とを有し、
    前記内側誘電部と外側誘電部のうち少なくとも外側誘電部が、前記第2金属表面に対応して配置され、第2金属表面を覆っていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記第2移動範囲において、前記電極と前記外側誘電部との間にプラズマ放電が形成されるように、前記外側誘電部の厚さ及び誘電率が設定されていることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記外側誘電部の厚さと誘電率の比が、前記被処理物の厚さと誘電率の比と略同じであることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置。
  9. 前記第1金属表面と前記内側誘電部の表面とが面一になり、
    前記外側誘電部の表面が、前記第1金属表面より前記被処理物の厚さと略同じ大きさだけ前記電極の側に突出されていることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載のプラズマ処理装置。
  10. 誘電体からなる被処理物を大気圧近傍のプラズマ放電に晒して表面処理するプラズマ処理装置において、
    露出された第1金属表面を有する第1ステージ部と、固体誘電体層で被覆された第2金属表面を有して前記第1ステージ部の外周部に設けられた第2ステージ部とを含み、前記第1ステージ部の第1金属表面上に、前記被処理物が周縁部を前記第2ステージ部の側へ突出させるようにして設置されるステージと、
    前記ステージに対し、前記第1ステージ部と対向する第1移動範囲と、前記第2ステージ部と対向する第2移動範囲と、この第2移動範囲より前記第1移動範囲側とは反対側の第3移動範囲とを含む範囲で相対移動される第1電極と、
    この第1電極の前記第3移動範囲側に配置され、第1電極と一体になって、前記ステージに対し、前記第1移動範囲と前記第2移動範囲と前記第3移動範囲とを含むように相対移動される第2電極と、
    前記第1、第2電極が前記第3移動範囲から第2移動範囲を経て第1移動範囲へ向かう入移動のとき、前記第1電極が前記第2移動範囲と第3移動範囲とに跨る位置と前記第1移動範囲の直近に在る位置との間における所定の位置に達した時点で前記第1電極に前記プラズマ放電のための電圧供給を開始する第1電源回路と、
    前記入移動のとき、前記第2電極が前記第2移動範囲と第3移動範囲とに跨る位置と前記第1移動範囲の直近に在る位置との間における所定位置に達した時点で前記第2電極に前記プラズマ放電のための電圧供給を開始する第2電源回路と、
    を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
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