JP4618281B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、噴射前の燃料を加熱させることの可能な内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
近年、自動車業界においては、自動車を取り巻く環境の変化に対応させる為に様々な取り組みが行われている。例えば、内燃機関の分野では、異なる燃料性状の燃料を用いても運転を行うことのできる所謂多種燃料内燃機関についての取り組みが為されている。この種の多種燃料内燃機関が搭載された車輌は、一般にフレキシブル燃料車(FFV:Flexible Fuel Vehicle)と呼ばれており、その一例としては、ガソリン燃料,アルコール燃料又はこれらの混合燃料の何れを利用しても運転を可能にし、埋蔵量の限界が謳われ続けているガソリン燃料等の化石燃料の消費抑制などのような環境性能の向上を図らんとするものが知られている。例えば、下記の特許文献1には、ガソリン燃料とアルコール燃料からなるアルコール混合燃料を使用して運転させる多種燃料内燃機関について開示されている。
ところで、一般に、ガソリン燃料に比べるとアルコール燃料の方が蒸発特性に劣る(つまり、蒸発潜熱が大きい)ので、外気温、機関冷却水の温度や機関潤滑油の温度が低い状態での低温始動時には、アルコール濃度が高いほど始動性が悪化してしまう。これが為、従来においては、噴射前の燃料をヒータ等の加熱手段で加熱することによって蒸発特性を向上させ、これにより低温始動性の向上を図らんとする技術について知られている。例えば、かかる技術については、下記の特許文献2に開示されている。
尚、下記の特許文献3には、ピストンの停止位置の制御を行う技術について開示されている。この特許文献3に記載の技術は、燃料カット後にクランクシャフトに対してモータジェネレータの駆動力を付与することによって機関回転数を一定にし、そのときの慣性エネルギを利用してクランク角度を最適なクランク角度停止位置に停止させる、というものである。
特開平2−305335号公報 特開平5−209579号公報 特開2004−263569号公報
ここで、そのような燃料の加熱により低温始動性の向上を図る技術においては、燃料が噴射されるに従って、加熱手段よりも上流側(つまり、燃料タンク側)の低温の燃料が加熱手段で暖められる前に燃料噴射弁側へと送り出される。従って、かかる技術においては、予め加熱手段で暖められていた燃料が燃料供給経路上で低温の燃料と混ざり合って温度を下げてしまい、せっかく向上していた蒸発特性を低下させてしまうので、低温始動性の改善が図れなくなる。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、加熱された燃料による低温始動性の改善効果を実効あるものにすることが可能な内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、請求項1記載の発明では、燃料ポンプからの送出後に加熱された燃料を燃料デリバリパイプに繋がれた気筒毎の燃料噴射弁に噴射させることの可能な内燃機関の燃料噴射制御装置において、低温始動時に内燃機関を安定始動させる上で最低限必要な前記加熱された燃料の着火回数に応じて、その各燃料噴射弁の中から低温始動性を高めるのに適した初動燃料噴射弁の設定を行う初動燃料噴射弁設定手段と、その設定された初動燃料噴射弁から燃料噴射を開始させるように制御を行う燃料噴射制御手段と、を設けている。
この請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置は、低温始動時に初動燃料噴射弁を始点にして燃料噴射を行うことができるので低温始動性が高まる。
例えば、その燃料噴射制御手段は、請求項2記載の発明の如く、低温始動させる際に前記設定された初動燃料噴射弁よりも先に別の燃料噴射弁の燃料噴射時期が来るならば、その先に燃料噴射時期の来る別の燃料噴射弁の燃料噴射動作を禁止させるよう構成すればよい。これにより、この請求項2記載の内燃機関の燃料噴射制御装置は、設定された初動燃料噴射弁から燃料噴射を開始させることができる。
また、上記目的を達成する為、請求項3記載の発明では、燃料ポンプからの送出後に加熱された燃料を燃料デリバリパイプに繋がれた気筒毎の燃料噴射弁に噴射させることの可能な内燃機関の燃料噴射制御装置において、低温始動時に内燃機関を安定始動させる上で最低限必要な前記加熱された燃料の着火回数に応じて、前記各燃料噴射弁の中から低温始動性を高めるのに適した初動燃料噴射弁の設定を行う初動燃料噴射弁設定手段と、前記初動燃料噴射弁に係る気筒が機関始動時に吸気行程で始まるよう当該気筒のピストンの停止位置を機関停止時に制御する機関停止制御手段と、を設けている。
この請求項3記載の内燃機関の燃料噴射制御装置は、上記請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置と同様に、低温始動時に初動燃料噴射弁を始点にして燃料噴射を行うことができるので低温始動性が高まる。
ここで、例えば、その初動燃料噴射弁としては、請求項4記載の発明の如く、燃料デリバリパイプにおける燃料ポンプからの燃料供給口の近くに配置された燃料噴射弁を設定することができる。
本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、低温始動時に低温始動性を高めるのに適した初動燃料噴射弁を始点にして燃料噴射を開始させることができるので、換言すれば、少なくとも低温始動性を高めるのに適した回数だけ連続して加熱された燃料の噴射を行うことができるので、その加熱燃料による低温始動時の始動性の改善効果を非加熱燃料によって阻害されることなく維持することができる。つまり、この内燃機関の燃料噴射制御装置は、非加熱燃料の噴射に伴う失火等を防ぐことができるので、その加熱燃料による低温始動性の改善効果が実効あるものとなる。
以下に、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置の実施例1を図1から図7に基づいて説明する。以下においては、適用対象たる内燃機関の一例を説明しつつ本実施例1の燃料噴射制御装置について詳述する。
ここで例示する内燃機関とは、ガソリン燃料,アルコール燃料(エタノール、メタノール、ブタノール等)又はこれらの混合燃料等のように異なる燃料性状の燃料を用いても運転を行うことのできる所謂フレキシブル燃料車に搭載される多種燃料内燃機関であって、図1に示す電子制御装置(ECU)1によって燃焼制御等の各種制御動作が実行されるものである。尚、その電子制御装置1は、図示しないCPU(中央演算処理装置),所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory),そのCPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory),予め用意された情報等を記憶するバックアップRAM等で構成されている。
最初に、ここで例示する内燃機関の構成について図1に基づき説明を行う。尚、その図1においては、便宜上1気筒のみを図示しているが、実際には複数の気筒が具備されている。
この内燃機関には、燃焼室CCを形成するシリンダヘッド11,シリンダブロック12及びピストン13が備えられている。ここで、そのシリンダヘッド11とシリンダブロック12は図1に示すヘッドガスケット14を介してボルト等で締結されており、これにより形成されるシリンダヘッド11の下面の凹部11aとシリンダブロック12のシリンダボア12aとの空間内にピストン13が往復移動可能に配置される。そして、上述した燃焼室CCは、そのシリンダヘッド11の凹部11aの壁面とシリンダボア12aの壁面とピストン13の頂面13aとで囲まれた空間によって構成される。
この内燃機関は、機関回転数や機関負荷等の運転条件に従って空気と燃料を燃焼室CCに送り込み、その運転条件に応じた燃焼制御を実行する。その空気については、図1に示す吸気通路21とシリンダヘッド11の吸気ポート11bを介して外部から吸入される。一方、その燃料については、図1に示す燃料供給装置50を用いて供給される。
先ず、空気の供給経路について説明する。
この内燃機関の吸気通路21上には、外部から導入した空気に含まれる塵埃等の異物を除去するエアクリーナ22と、外部からの吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段23と、が設けられている。その吸入空気量検出手段23としては、吸入空気量を直接検出するエアフロメータ等の空気量検出センサ、吸気通路21内の圧力(即ち、吸気圧)を検出する吸気管圧センサなどが考えられる。後者の吸気管圧センサを利用する場合、吸入空気量は、その吸気圧と機関回転数から間接的に求める。この内燃機関においては、その吸入空気量検出手段23の検出信号が電子制御装置1へと送られ、その検出信号に基づいて電子制御装置1が吸入空気量や機関負荷等を算出する。尚、機関回転数については、クランクシャフト15の回転角度の検出を行うクランク角センサ16の検出信号から把握させることができる。
また、その吸気通路21上における吸入空気量検出手段23よりも下流側には、燃焼室CC内への吸入空気量を調節するスロットルバルブ24と、このスロットルバルブ24を開閉駆動するスロットルバルブアクチュエータ25と、が設けられている。本実施例1の電子制御装置1には、そのスロットルバルブアクチュエータ25を運転条件に従って駆動制御し、その運転条件に応じた弁開度(換言すれば、吸入空気量)となるようにスロットルバルブ24の開弁角度を調節させるスロットルバルブ制御手段が用意されている。ここでは、そのスロットルバルブアクチュエータ25とスロットルバルブ制御手段とでスロットルバルブ開度制御手段を構成する。例えば、そのスロットルバルブ24については、運転条件に応じた空燃比を成す為に必要な吸入空気量の空気が燃焼室CCへと吸入されるよう調節される。この内燃機関においては、そのスロットルバルブ24の弁開度を検出し、その検出信号を電子制御装置1に送信するスロットル開度センサ26が設けられている。
一方、吸気ポート11bはその一端が燃焼室CCに開口しており、その開口部分に当該開口を開閉させる吸気バルブ31が配設されている。その開口の数量は1つでも複数でもよく、その開口毎に吸気バルブ31が配備される。従って、この内燃機関においては、その吸気バルブ31を開弁させることによって吸気ポート11bから燃焼室CC内に空気が吸入される一方、その吸気バルブ31を閉弁させることによって燃焼室CC内への空気の流入が遮断される。
ここで、その吸気バルブ31としては、例えば、図示しない吸気側カムシャフトの回転と弾性部材(弦巻バネ)の弾発力に伴って開閉駆動されるものがある。この種の吸気バルブ31においては、その吸気側カムシャフトとクランクシャフト15の間にチェーンやスプロケット等からなる動力伝達機構を介在させることによってその吸気側カムシャフトをクランクシャフト15の回転に連動させ、予め設定された開閉時期に開閉駆動させる。ここで例示する内燃機関においては、このようなクランクシャフト15の回転に同期して開閉駆動される吸気バルブ31を適用することができる。
但し、この内燃機関は、その吸気バルブ31の開閉時期やリフト量を変更可能な所謂可変バルブタイミング&リフト機構等の可変バルブ機構を具備してもよく、これにより、その吸気バルブ31の開閉時期やリフト量を運転条件及び運転モードに応じた好適なものへと可変させることができるようになる。更にまた、この内燃機関においては、かかる可変バルブ機構と同様の作用効果を得るべく、電磁力を利用して吸気バルブ31を開閉駆動させる所謂電磁駆動弁を利用してもよい。
続いて、燃料供給装置50について説明する。
この燃料供給装置50としては、1つの燃料タンク内の燃料を吸気ポート11b内又は/及び燃焼室CC内に噴射するもの,複数の燃料タンク内に貯留された燃料性状の異なる燃料を燃料混合装置等で混ぜ合わせて吸気ポート11b又は/及び燃焼室CC内に噴射するもの等が考えられる。本実施例1においては、1つの燃料タンク41に貯留されている燃料Fを吸気ポート11bに噴射し、吸入空気と共に燃焼室CCへと導くポート噴射式のものを代表して例示する。
具体的に、この燃料供給装置50は、その燃料Fを燃料タンク41から吸い上げて燃料通路51に送出する燃料ポンプとしてのフィードポンプ52と、その燃料通路51の燃料Fを夫々の気筒に分配する燃料デリバリパイプ53と、この燃料デリバリパイプ53から供給された燃料Fを夫々の吸気ポート11bに噴射する各気筒の燃料噴射弁(燃料噴射手段)54と、を備える。
この燃料供給装置50は、そのフィードポンプ52及び燃料噴射弁54を運転条件に従って燃料噴射制御装置としても機能する電子制御装置1に駆動制御させ、これにより、その運転条件に対応させた燃料噴射量,燃料噴射時期及び燃料噴射期間等の燃料噴射条件で燃料Fが噴射されるように構成する。例えば、その電子制御装置1には、その燃料Fをフィードポンプ52で燃料タンク41から吸い上げさせ、運転条件に応じた燃料噴射条件で燃料噴射弁54に噴射を実行させる。
このようにして吸気ポート11bに供給された燃料Fは、その吸気ポート11b内で上述した空気と混ざり合いながら吸気バルブ31の開弁と共に燃焼室CC内へと供給され、運転条件に応じた点火時期になると点火プラグ61の着火動作によって燃焼させられる。そして、その燃焼された後の筒内ガス(燃焼ガス)は、燃焼室CCから図1に示す排気ポート11cへと排出され、排気通路81を介して大気へと放出される。
その排気ポート11cには、燃焼室CCとの間の開口を開閉させる排気バルブ71が配設されている。その開口の数量は1つでも複数でもよく、その開口毎に上述した排気バルブ71が配備される。従って、この内燃機関においては、その排気バルブ71を開弁させることによって燃焼室CC内から排気ポート11cに燃焼ガスが排出され、その排気バルブ71を閉弁させることによって燃焼ガスの排気ポート11cへの排出が遮断される。
ここで、その排気バルブ71としては、上述した吸気バルブ31と同様に、動力伝達機構を介在させたもの、所謂可変バルブタイミング&リフト機構等の可変バルブ機構を具備したものや所謂電磁駆動弁を適用することができる。
また、排気通路81上には排気浄化装置82が配設されており、排気ガス中の有害成分の浄化が行われる。
上述したが如く、本機関に使用可能な燃料Fとしては、主としてガソリン燃料,アルコール燃料又はアルコール混合燃料が考えられる。そのアルコール混合燃料とは、アルコール燃料とこれとは燃料性状の異なる少なくとも1種類の燃料との混合燃料であり、ここでは炭化水素系燃料(例えばガソリン燃料)と混合されているものとする。従って、純粋なガソリン燃料が使用されているならば問題は起こり難いが、純粋なアルコール燃料やアルコール混合燃料が低温始動時に使用された場合には、そのアルコール燃料やアルコール混合燃料はガソリン燃料よりも蒸発特性の点で劣っているので、点火プラグ61で着火させることができなくなる又は着火したとしても直ぐに失火してしまう可能性がある。かかる不都合は、アルコール濃度が高くなるにつれて顕著に表れるようになる。
そこで、この内燃機関においては、アルコール燃料やアルコール混合燃料で運転する際の低温始動時における始動性の悪化に対処すべく、燃料供給装置50上にヒータ等の加熱手段を設け、予め燃料Fを暖めて蒸発特性の改善を図っている。
例えば、ここでは、図2に示す如く、燃料デリバリパイプ53に加熱手段55を配設し、燃料通路51から送られてきた燃料デリバリパイプ53内の燃料Fを加熱させるように構成している。その加熱手段55は、電子制御装置1の燃料加熱制御手段によってそのON/OFF動作が制御される。
ここで、例えば暖機運転終了後やガソリン燃料で運転する際には燃料Fを暖めなくとも適切に着火動作が行われると考えられるので、この加熱手段55は、主に低温始動性に劣るアルコール燃料又はアルコール混合燃料で機関始動させるときに加熱動作(ON動作)させればよい。その加熱動作は、例えば、イグニッションON信号が検出された際やドアロック解除信号が検出された際に機関冷却水温が所定よりも低ければ、機関始動動作(つまり、クランキング動作)が行われるよりも前から予め実行しておく。また、加熱動作は、暖機運転終了後であっても、機関冷却水温が所定よりも低くなったときに実行させてもよい。その機関冷却水温については、図1に示す水温センサ17から検出することができる。
ところで、フィードポンプ52は、フューエルカット等が行われない限り一般に常時駆動状態にある。このようなことから、燃料噴射弁54から燃料Fが噴射された際には、燃料デリバリパイプ53内にその噴射された分だけ燃料通路51から燃料Fが補給される。図2には直列4気筒内燃機関用の燃料デリバリパイプ53と#1気筒から#4気筒用の第1から第4の燃料噴射弁54a〜54dを図示しているが、例えば第1燃料噴射弁54aから燃料Fが噴射された際には、その噴射に使われた分の燃料Fがフィードポンプ52の圧送動作によって燃料デリバリパイプ53内に押し入ってくることになる。尚、ここでは、その燃料デリバリパイプ53における燃料供給口(燃料デリバリパイプ53と燃料通路51の繋ぎ目部分)が第4燃料噴射弁54d側に設定されている。
ここで、その図2は機関始動前であって燃料Fの噴射開始前の状態を表しているので、アルコール燃料又はアルコール混合燃料で低温始動させる場合、その図2に示す状態の燃料デリバリパイプ53内の燃料Fは、加熱手段55によって暖められた状態にある。これが為、#1気筒から#4気筒の内のどの気筒が機関始動時における最初の燃料噴射対象の気筒(以下、「第1燃料噴射気筒」という。)であったとしても、この第1燃料噴射気筒に係る燃料噴射弁(第1から第4の燃料噴射弁54a〜54dの内の何れか1つ)からは、加熱された燃料(以下、「加熱燃料」という。)Fが噴射されることになる。
一方、低温始動時に2番目や3番目に噴射動作の行われる燃料噴射弁からは、夫々の燃料噴射弁(第1から第4の燃料噴射弁54a〜54d)の燃料噴射順序にも依るが、燃料デリバリパイプ53内に元から存在している加熱燃料Fが噴射される場合もあれば、加熱燃料Fの噴射に伴い燃料通路51から補充された加熱されていない燃料(以下、「非加熱燃料」という。)Fが噴射される場合もある。
例えば、本実施例1で例示する内燃機関は、#1気筒→#3気筒→#4気筒→#2気筒の順に燃料噴射が行われるものとする。この場合、例えば#1気筒が第1燃料噴射気筒のときには、#3気筒が2番目に燃料噴射が行われる気筒(以下、「第2燃料噴射気筒」という。)となり、また、#4気筒が3番目に燃料噴射が行われる気筒(以下、「第3燃料噴射気筒」という。)となり、その#4気筒に対しては燃料通路51から補充された非加熱燃料Fが供給される。その際、第2燃料噴射気筒たる#3気筒に対しては、その#1気筒に係る第1燃料噴射弁54aの燃料噴射量と燃料デリバリパイプ53内の燃料貯留容積次第で、加熱燃料Fではなく非加熱燃料Fが供給されることもある。ここでは、この#3気筒に加熱燃料Fが供給されるものとする。これが為、低温始動時に内燃機関を安定始動させる上で最低限必要な加熱燃料Fの着火回数(以下、「最低必要着火回数」という。)が3回の場合には、失火などの着火不良を引き起こす可能性が高い。一方、その最低必要着火回数が2回の場合には、安定した低温始動を行うことができる。
また、#2気筒が第1燃料噴射気筒のときには第2燃料噴射気筒たる#1気筒に対して加熱燃料Fが供給されるが、そのときの第3燃料噴射気筒たる#3気筒に対しては、#1気筒及び#2気筒に係る第1及び第2の燃料噴射弁54a,54bの燃料噴射量と燃料デリバリパイプ53内の燃料貯留容積にも依るが、非加熱燃料Fの供給される可能性が高くなる。ここでは、その#3気筒に非加熱燃料Fが供給されるものとする。これが為、このときの内燃機関は、最低必要着火回数が2回であれば安定した低温始動を行うことができる一方、その最低必要着火回数が3回であれば失火などの着火不良を引き起こす可能性が高い。
また、#3気筒が第1燃料噴射気筒のときには#4気筒が第2燃料噴射気筒となり、この#4気筒に係る第4燃料噴射弁54dからは、#3気筒を対象とした燃料噴射に伴い補充された燃料通路51の非加熱燃料Fが噴射される。これが為、このときの内燃機関は、最低必要着火回数が2回であろうと3回であろうと、失火などの着火不良を引き起こす可能性が高い。
これらとは別に、#4気筒が第1燃料噴射気筒のときには、#2気筒及び#1気筒が各々第2燃料噴射気筒及び第3燃料噴射気筒となり、これらの気筒に係る第1及び第2及び第4の燃料噴射弁54a,54b,54dの燃料噴射量と燃料デリバリパイプ53内の燃料貯留容積にも依るが、その何れの気筒においても加熱燃料Fが噴射される可能性が高い。従って、このときの内燃機関は、最低必要着火回数が2回であろうと3回であろうと、安定した低温始動を行うことができる。
このように、低温始動性の善し悪しは、どの燃料噴射弁を第1燃料噴射気筒に係る燃料噴射弁(以下、「初動燃料噴射弁」という。)とするのかによって変化する。そして、その低温始動時における初動燃料噴射弁については、少なくとも夫々の燃料噴射弁(第1から第4の燃料噴射弁54a〜54d)の燃料噴射順序,夫々の燃料噴射弁の燃料噴射量,燃料デリバリパイプ53内の燃料貯留容積及び上述した最低必要着火回数に応じて異なるものとなる。
ここで、その燃料噴射順序や燃料噴射量、燃料デリバリパイプ53内の燃料貯留容積については、機関固有の値として予め設定されている不変のものである。これとは異なり、最低必要着火回数については、低温始動時における外気温や吸気温、冷却水温や筒内温度の違い等によって変化するものである。従って、低温始動性を高める上で何れの燃料噴射弁を初動燃料噴射弁とすべきかについては、その際の最低必要着火回数に応じて変えればよい。
そこで、本実施例1の燃料噴射制御装置(電子制御装置1)には、外気温,吸気温,冷却水温又は筒内温度の内の少なくとも1つに基づいて最低必要着火回数を求める最低必要着火回数演算手段と、この最低必要着火回数に基づいて低温始動性を高めるのに適した初動燃料噴射弁を設定する初動燃料噴射弁設定手段と、を設ける。
また、本実施例1の燃料噴射制御装置(電子制御装置1)には、その設定された初動燃料噴射弁(以下、「設定初動燃料噴射弁」ともいう。)から低温始動時に燃料噴射を開始させるように制御を行う燃料噴射制御手段も設ける。例えば、本実施例1の燃料噴射制御手段は、その設定初動燃料噴射弁と噴射制御対象の燃料噴射弁とが一致するまで燃料噴射を禁止させ、これらが一致したときに燃料噴射を開始させるように構成する。つまり、この燃料噴射制御手段には、低温始動させる際にその設定初動燃料噴射弁よりも先に別の燃料噴射弁の燃料噴射時期が来るならば、その先に燃料噴射時期の来る別の燃料噴射弁の燃料噴射動作を禁止させる。
具体的に、本実施例1の電子制御装置1(燃料噴射制御装置)は、図3のフローチャートに示す如く、機関始動させる際に加熱手段55による燃料Fへの加熱動作が実行されているのか否かについての判断を行う(ステップST1)。この判断は、その電子制御装置1の燃料加熱制御手段が加熱手段55に対してON動作を指令しているのか、それともOFF動作を指令しているのかを観ることによって行うことができる。
ここで、この電子制御装置1の燃料噴射制御手段は、その加熱動作が行われていなければ後述するステップST6に進み、その際の初動燃料噴射弁(第1から第4の燃料噴射弁54a〜54dの内の何れか1つ)を駆動制御して燃料Fを噴射させる。尚、ここでは、フィードポンプ52を予め駆動させておくものとする。
一方、加熱手段55による加熱動作が実行中の場合、本実施例1の電子制御装置1は、その最低必要着火回数演算手段に対して今回の低温始動時における最低必要着火回数の演算を実行させる(ステップST2)。ここでは、例えば、図1に示す水温センサ17によって検出された冷却水温を所定のマップデータに照らし合わせ、このマップデータから最低必要着火回数を導き出す。そのマップデータとは、冷却水温と最低必要着火回数との対応関係を予め実験やシミュレーションによって求めて用意しておいたものである。
そして、この電子制御装置1は、その初動燃料噴射弁設定手段に対して、低温始動性の向上に適している初動燃料噴射弁の設定を上記ステップST2で求めた最低必要着火回数に基づき実行させる(ステップST3)。
かかる設定は、最低必要着火回数と低温始動性の向上に適している初動燃料噴射弁とをパラメータにしたマップデータを参照して行う。このマップデータは、予め実験やシミュレーションを行って用意しておく。例えば、最低必要着火回数が2回の場合には、低温始動性を高める初動燃料噴射弁として、上述したが如く、#1気筒に係る第1燃料噴射弁54a,#2気筒に係る第2燃料噴射弁54b又は#4気筒に係る第4燃料噴射弁54dの内の何れかがマップデータに適用される。また、そのマップデータには、最低必要着火回数が3回の場合の初動燃料噴射弁として#4気筒に係る第4燃料噴射弁54dが設定される。
しかる後、この電子制御装置1の燃料噴射制御手段は、自らが今現在で噴射制御対象としている燃料噴射弁が上記ステップST3の設定初動燃料噴射弁であるのか否かについての判定を行う(ステップST4)。
ここで、その噴射制御対象の燃料噴射弁と設定初動燃料噴射弁とが一致していないとの判定が為されたならば、この燃料噴射制御手段は、その噴射制御対象の燃料噴射弁からの燃料噴射を禁止させる(ステップST5)。ここで行う燃料噴射の禁止動作は、噴射制御対象の燃料噴射弁と設定初動燃料噴射弁とが一致するまで繰り返される。つまり、ここでは、図示しないスタータモータによるクランキング動作が行われてクランクシャフト15を回転させてはいるが、噴射制御対象の燃料噴射弁が設定初動燃料噴射弁に到達するまでは一切燃料の供給を行わせない。
一方、上記ステップST4にて噴射制御対象の燃料噴射弁と設定初動燃料噴射弁とが一致しているとの判定が為されたならば、この燃料噴射制御手段は、その設定初動燃料噴射弁としての噴射制御対象の燃料噴射弁を起点として燃料噴射動作を開始させる(ステップST6)。
例えば、ここでは、最低必要着火回数が3回であり、図4に示す如く第4燃料噴射弁54dが設定初動燃料噴射弁として設定されているものとする。そして、そのときの噴射制御対象の燃料噴射弁が第1燃料噴射弁54aである場合、燃料噴射制御手段は、ステップST4で否定判定を行ってステップST5に進み、図4に示す如くその第1燃料噴射弁54aの燃料噴射動作を禁止させる。その際、フィードポンプ52については、駆動状態を保持させてもよく、一旦停止させてもよい。その後、次の噴射制御対象の燃料噴射弁は#3気筒に係る第3燃料噴射弁54cになるので、燃料噴射制御手段は、この第3燃料噴射弁54cに対しても燃料噴射動作を禁止させる。
更にその次の噴射制御対象の燃料噴射弁は、燃料噴射順序が#1気筒→#3気筒→#4気筒→#2気筒なので、#4気筒に係る第4燃料噴射弁54dとなる。これが為、燃料噴射制御手段は、ステップST4で肯定判定を行ってステップST6に進み、その第4燃料噴射弁54dを駆動制御して図5に示す如く加熱燃料Fを噴射させる。
ここで、その第4燃料噴射弁54dの燃料噴射終了後には、図6に示す如く燃料デリバリパイプ53内に燃料通路51から非加熱燃料Fが補充されている。しかしながら、そのときには、図6に示す如く、その後に順次噴射制御対象となる第2燃料噴射弁54bと第1燃料噴射弁54aとに対して燃料デリバリパイプ53内の加熱燃料Fが供給される状態にあり、その第2燃料噴射弁54bと第1燃料噴射弁54aから加熱燃料Fを噴射させることができる。つまり、かかる低温始動時の内燃機関においては、#4気筒→#2気筒→#1気筒と3回連続で加熱燃料Fが供給される。従って、この内燃機関においては、低温始動時に最低必要着火回数を満たす3回連続での着火と燃焼が繰り返されるので、その後も安定した燃焼動作を続けることができるようになる。
以上示した如く、本実施例1の燃料噴射制御装置は、低温始動時に設定初動燃料噴射弁の噴射時期が来るまで全ての燃料噴射弁の噴射動作を停止させることによって、その設定初動燃料噴射弁を始点にした少なくとも最低必要着火回数分だけの加熱燃料Fの噴射を夫々の燃料噴射弁に実行させ、該当する気筒に対して加熱燃料Fの供給を行うことができる。従って、この燃料噴射制御装置は、低温始動時に少なくとも最低必要着火回数分だけ加熱燃料Fで内燃機関を運転させることができるので、アルコール燃料又はアルコール混合燃料を使用した際の低温始動時における始動性の改善を図ることができる。
ところで、ここで例示している内燃機関の#4気筒に係る第4燃料噴射弁54dについては、最低必要着火回数が2回の場合でも3回の場合でも初動燃料噴射弁として機能させることができる。これが為、本実施例1においては、その第4燃料噴射弁54d(つまり、燃料デリバリパイプ53の燃料供給口に最も近い燃料噴射弁)を初動燃料噴射弁として予め設定しておいてもよい。
更に、上記においては直列4気筒の内燃機関を例として挙げたが、上述した本実施例1の燃料噴射制御装置は、それとは異なる型式の内燃機関に対しても適用可能である。例えば、ここでは、V型6気筒の内燃機関を例に挙げて説明する。この内燃機関は、#1気筒→#2気筒→#3気筒→#4気筒→#5気筒→#6気筒の順に燃料噴射が行われるものとする。
このV型6気筒の内燃機関には、図7に示す燃料デリバリパイプ153と#1気筒から#6気筒用の第1から第6の燃料噴射弁154a〜154fが用意されている。その燃料デリバリパイプ153は、#1気筒,#3気筒及び#5気筒を有する一方のバンク用の第1デリバリパイプ主体153aと、#2気筒,#4気筒及び#6気筒を有する他方のバンク用の第2デリバリパイプ主体153bと、これら第1及び第2のデリバリパイプ主体153a,153b同士を連通させる燃料通路153cと、を備えている。また、その第1及び第2のデリバリパイプ主体153a,153bには各々にヒータ等の加熱手段155が用意されており、その各加熱手段155は、第1及び第2のデリバリパイプ主体153a,153bの中に供給されてきた燃料Fの加熱を行う。
ここで、その第1デリバリパイプ主体153aには第1,第3及び第5の燃料噴射弁154a,154c,154eが接続されており、第2デリバリパイプ主体153bには第2,第4及び第6の燃料噴射弁154b,154d,154fが接続されている。そして、この燃料デリバリパイプ153においては、その第2デリバリパイプ主体153bに燃料通路51が接続されており、フィードポンプ52から圧送されてきた燃料Fが第2デリバリパイプ主体153bに供給され、燃料通路51を介して第1デリバリパイプ主体153aへと供給される。ここでは、その燃料デリバリパイプ153における燃料供給口(燃料デリバリパイプ153と燃料通路51の繋ぎ目部分)が第2デリバリパイプ主体153bの第6燃料噴射弁154f側に設定されている。
このV型6気筒の内燃機関においても、電子制御装置1(燃料噴射制御装置)は、夫々の加熱手段155による燃料Fの加熱が行われているならば、設定初動燃料噴射弁の噴射時期が来るまで全ての燃料噴射弁の噴射動作を停止させ、加熱燃料Fへの着火動作が少なくとも最低必要着火回数分だけ連続して実行されるようにする。
例えば、このV型6気筒の内燃機関の設定初動燃料噴射弁については、以下に示す如く設定すればよい。尚、ここでは、第1から第6の燃料噴射弁154a〜154fによる総噴射量と燃料デリバリパイプ153内の燃料貯留容積とが略同等になっているものと仮定する。
先ず、#1気筒が第1燃料噴射気筒のときには、少なくとも#2気筒と#3気筒に対してまで加熱燃料Fを供給することができる。これが為、その#1気筒に係る第1燃料噴射弁154aは、最低必要着火回数が2回の場合と3回の場合に設定初動燃料噴射弁として設定することができる。
また、#2気筒が第1燃料噴射気筒のときには、少なくともその次の#3気筒に対してまでしか加熱燃料Fを供給することができない。これが為、その#2気筒に係る第2燃料噴射弁154bは、最低必要着火回数が2回の場合にのみ設定初動燃料噴射弁として設定することができる。
また、#3気筒が第1燃料噴射気筒のときには、少なくとも#4気筒と#5気筒に対してまで加熱燃料Fを供給することができる。これが為、その#3気筒に係る第3燃料噴射弁154cは、最低必要着火回数が2回の場合と3回の場合に設定初動燃料噴射弁として設定することができる。
また、#4気筒が第1燃料噴射気筒のときには、少なくともその次の#5気筒に対してまでしか加熱燃料Fを供給することができない。これが為、その#4気筒に係る第4燃料噴射弁154dは、最低必要着火回数が2回の場合にのみ設定初動燃料噴射弁として設定することができる。
更に、#6気筒が第1燃料噴射気筒のときには、少なくともその次の#1気筒から#3気筒に対してまで加熱燃料Fを供給することができる。これが為、その#6気筒に係る第6燃料噴射弁154fは、最低必要着火回数が2回の場合と3回の場合、更には4回の場合に設定初動燃料噴射弁として設定することができる。
尚、#5気筒が第1燃料噴射気筒のときには、その次の#6気筒に係る第6燃料噴射弁154fから非加熱燃料Fが噴射されてしまう。従って、その#5気筒に係る第5燃料噴射弁154eは、設定初動燃料噴射弁として設定できない。
ところで、このV型6気筒の内燃機関の#6気筒に係る第6燃料噴射弁154fについては、最低必要着火回数が2回の場合でも3回の場合でも、そして、4回の場合でも初動燃料噴射弁として機能させることができる。これが為、本実施例1においては、その第6燃料噴射弁154f(つまり、燃料デリバリパイプ153の燃料供給口に最も近い燃料噴射弁)を初動燃料噴射弁として予め設定しておいてもよい。
次に、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置の実施例2について説明する。本実施例2の燃料噴射制御装置は、実施例1と同様に電子制御装置1の一機能として用意されているものとする。
前述した実施例1においては、低温始動時に設定初動燃料噴射弁を始点にして燃料噴射を開始させるべく、その設定初動燃料噴射弁が実際に噴射制御対象の燃料噴射弁となるまで他の燃料噴射弁の燃料噴射を禁止させている。
しかしながら、例えば、先の機関停止時に設定初動燃料噴射弁に係る気筒が吸気行程で終わった場合には、その設定初動燃料噴射弁が実際の噴射制御対象の燃料噴射弁になるまでに時間を要し、クランキング時間が長くなって図示しないバッテリの消費電力を増やしてしまう。このことは、内燃機関の気筒数が増えるほど顕著になる。
そこで、本実施例2においては、設定初動燃料噴射弁に係る気筒が機関始動時に吸気行程で始まるよう、その気筒のピストンの停止位置を機関停止時に制御させる。これが為、本実施例2の燃料噴射制御装置(電子制御装置1)には、そのような機関停止時におけるピストンの停止位置の制御を行う機関停止制御手段が用意されている。従って、本実施例2の燃料噴射制御手段は、低温始動時にその設定初動燃料噴射弁を始点とした燃料噴射を行うことができる。
ここで、本実施例2においては、設定初動燃料噴射弁を所定のものとして予め定めておく。例えば、実施例1で例示した直列4気筒の内燃機関の場合には、最低必要着火回数が2回の場合でも3回の場合でも初動燃料噴射弁として機能させることができるので、#4気筒に係る第4燃料噴射弁54dを初動燃料噴射弁として予め定めておけばよい。また、実施例1で例示したV型6気筒の内燃機関の場合には、最低必要着火回数が2回、3回、4回の場合にも初動燃料噴射弁として機能させることができるので、#6気筒に係る第6燃料噴射弁154fを初動燃料噴射弁として予め定めておけばよい。つまり、ここでは、燃料デリバリパイプ53,153の燃料供給口に最も近い燃料噴射弁(第4燃料噴射弁54d,第6燃料噴射弁154f)を初動燃料噴射弁として設定する。
具体的に、本実施例1の機関停止制御手段は、予め設定された設定初動燃料噴射弁に係る気筒のピストン13を排気行程(好ましくは排気行程の終わり近く)のときに停止させるように機関停止動作を行うものである。この機関停止制御手段は、この技術分野において周知の方法や機構により為されるものであって、例えば前述した特許文献3の技術の如きものを利用すればよい。
このように、本実施例2の燃料噴射制御装置は、設定初動燃料噴射弁に係る気筒が次の機関始動時に吸気行程で始まるよう予め機関停止制御を行っているので、低温始動時にその設定初動燃料噴射弁を始点にした少なくとも最低必要着火回数分だけの加熱燃料Fの噴射を夫々の燃料噴射弁に実行させ、該当する気筒に対して加熱燃料Fの供給を行うことができる。従って、この燃料噴射制御装置は、実施例1と同様に、低温始動時に少なくとも最低必要着火回数分だけ加熱燃料Fで内燃機関を運転させることができるので、アルコール燃料又はアルコール混合燃料を使用した際の低温始動時における始動性の改善を図ることができる。更に、本実施例2の燃料噴射制御装置は、低温始動時におけるクランキング動作の早い段階から加熱燃料Fの噴射を開始させることができるので、そのクランキング動作に伴うバッテリの消費電力の浪費を抑えることができる。
ところで、前述した実施例1,2においては、直列4気筒の内燃機関の場合には燃料デリバリパイプ53に加熱手段55を設けている。また、V型6気筒の内燃機関の場合には、燃料デリバリパイプ153に加熱手段155を設けている。しかしながら、その加熱手段55,155は、フィードポンプ52よりも下流の燃料通路51上に配設してもよく、かかる構成であっても同様の効果を奏することができる。尚、その場合には、燃料通路51における加熱手段55,155よりも下流側に加熱燃料Fが存在することになる。
また、前述した実施例1,2では燃料Fのアルコール濃度が一定のものとして例示したが、異なるアルコール濃度の燃料Fが給油された場合を考慮に入れて、実施例1,2の燃料噴射制御装置(電子制御装置1)には、そのアルコール濃度の検出を行うアルコール濃度検出手段やアルコール濃度の推定を行うアルコール濃度推定手段を設けておくことが望ましい。そのアルコール濃度検出手段やアルコール濃度推定手段は、この技術分野において周知の技術により成されたものであり、アルコール濃度センサの検出値や給油時の燃焼性状情報、排気ガス中の酸素濃度等を利用する。
この場合には、そのアルコール濃度に応じて加熱手段55(加熱手段155)による燃料Fの加熱動作の要否を判断させる。例えば、燃料Fは、そのアルコール濃度が濃くなるにつれて加熱手段55による加熱動作が行われ易くなる。また、この場合には、そのアルコール濃度も考慮に入れて最低必要着火回数を設定させる。例えば、ここでは、アルコール濃度が濃くなるほどに最低必要着火回数を多く設定する。
以上のように、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、加熱された燃料による低温始動性の改善効果を実効あるものにする技術として有用である。
本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置の適用対象となる内燃機関の一例について示す図である。 噴射開始前の直列4気筒内燃機関用の燃料デリバリパイプ内の状態について示す図である。 実施例1の燃料噴射制御装置による低温始動時の制御動作について説明するフローチャートである。 実施例1における低温始動時の燃料噴射制御動作の一例を示す図であって、燃料の噴射禁止状態について表した図である。 実施例1における低温始動時の燃料噴射制御動作の一例を示す図であって、初動燃料噴射弁による燃料の噴射開始時の状態について表した図である。 実施例1における低温始動時の燃料噴射制御動作の一例を示す図であって、初動燃料噴射弁による燃料の噴射終了後の状態について表した図である。 噴射開始前のV型6気筒内燃機関用の燃料デリバリパイプ内の状態について示す図である。
符号の説明
1 電子制御装置
11b 吸気ポート
13 ピストン
17 水温センサ
41 燃料タンク
50 燃料供給装置
51 燃料通路
52 フィードポンプ(燃料ポンプ)
53,153 燃料デリバリパイプ
54 燃料噴射弁
54a 第1燃料噴射弁
54b 第2燃料噴射弁
54c 第3燃料噴射弁
54d 第4燃料噴射弁
55,155 加熱手段
154a 第1燃料噴射弁
154b 第2燃料噴射弁
154c 第3燃料噴射弁
154d 第4燃料噴射弁
154e 第5燃料噴射弁
154f 第6燃料噴射弁
CC 燃焼室
F 燃料(加熱燃料,非加熱燃料)

Claims (4)

  1. 燃料ポンプからの送出後に加熱された燃料を燃料デリバリパイプに繋がれた気筒毎の燃料噴射弁に噴射させることの可能な内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    低温始動時に内燃機関を安定始動させる上で最低限必要な前記加熱された燃料の着火回数に応じて、前記各燃料噴射弁の中から低温始動性を高めるのに適した初動燃料噴射弁の設定を行う初動燃料噴射弁設定手段と、該設定された初動燃料噴射弁から燃料噴射を開始させるように制御を行う燃料噴射制御手段と、を設けたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記燃料噴射制御手段は、低温始動させる際に前記設定された初動燃料噴射弁よりも先に別の燃料噴射弁の燃料噴射時期が来るならば、該先に燃料噴射時期の来る別の燃料噴射弁の燃料噴射動作を禁止させるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 燃料ポンプからの送出後に加熱された燃料を燃料デリバリパイプに繋がれた気筒毎の燃料噴射弁に噴射させることの可能な内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    低温始動時に内燃機関を安定始動させる上で最低限必要な前記加熱された燃料の着火回数に応じて、前記各燃料噴射弁の中から低温始動性を高めるのに適した初動燃料噴射弁の設定を行う初動燃料噴射弁設定手段と、前記初動燃料噴射弁に係る気筒が機関始動時に吸気行程で始まるよう当該気筒のピストンの停止位置を機関停止時に制御する機関停止制御手段と、を設けたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記初動燃料噴射弁は、前記燃料デリバリパイプにおける前記燃料ポンプからの燃料の供給口の近くに配置された燃料噴射弁とすることを特徴とした請求項1,2又は3に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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