JP4617598B2 - 内燃機関制御方法及び装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法及び内燃機関制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの吸気ポートを備えた内燃機関において、燃料と吸入空気との混合を良好にするためや吸気充填効率を高めるために、一方の吸気ポートに気流制御弁を設けることにより、燃焼室内にて乱流や旋回流動等の気流を生じさせるシステムが知られている(特開2000−274253公報)。このシステムは、所定の内燃機関運転状態、例えば、内燃機関の低回転高負荷時や低負荷高回転時において、気流制御弁を閉じることで一方の吸気ポートを閉塞し、他方の吸気ポートのみから吸入空気を燃焼室内に導入させている。このことにより、吸入空気を高速に燃焼室内に吹き込んで、混合気の乱流や旋回流動を生じさせ、混合性と吸気充填効率とを高めるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高負荷高回転などの運転状態となることにより多量の吸入空気が要求されるような状況、あるいは燃焼室内に乱流や旋回流を生じさせたくない状況となった場合には、気流制御弁は開弁されて、2つ吸気ポートから吸入空気を燃焼室内に導入することになる。ところが、直前まで、気流制御弁が閉弁されていた吸気ポートでは、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間には、吸気弁が開弁した際に燃焼室側から未燃ガスや既燃ガスが入り込んで蓄積し、通常の吸入空気よりも酸素が不足したガス状態となっている。したがって、制御の開弁要求に応じて気流制御弁が開弁された場合には、この酸素不足のガスが燃焼室内に流れ込み、燃焼室内の燃料濃度や既燃ガス濃度が一時的に過剰なものとなってしまう。
【0004】
このため、過剰な燃料濃度状態や既燃ガス濃度状態で燃焼することになり、一時的なトルク低下を引き起こし、ショックが発生するという問題がある。
本発明は、気流制御弁が閉弁状態から開弁状態に切り替わった場合におけるトルク低下によるショックを抑制することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の内燃機関制御方法は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時に、空燃比を維持するように一時的に内燃機関の燃焼室への燃料供給量を低減することを特徴とする。
【0006】
このように本発明では、気流制御弁が開弁して、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に蓄積していた未燃ガスや既燃ガスが燃焼室に供給される際に、一時的に燃焼室への燃料供給量を低減している。このため、通常の吸入空気よりも相対的に酸素が不足したガス状態となっている燃焼室内を、より適切な燃料濃度にすることができる。このため、トルク低下が補償されて、ショックが抑制される。
【0007】
請求項2記載の内燃機関制御方法では、請求項1記載の構成において、前記一時的な燃料供給量低減は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時から遅延期間経過後に開始することを特徴とする。
【0008】
尚、気流制御弁が実際に閉弁状態から開弁状態に完全に切り替わるまでに時間を要することを考慮して、上記のごとくの遅延期間を設けても良い。このことにより、燃焼室内における酸素濃度不足の開始タイミングに、一時的な燃料供給量低減開始を、より適切に合わせることができ、ショックが一層適切に抑制される。
【0009】
請求項3記載の内燃機関制御方法では、請求項1記載の構成において、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時とは、実際に前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わったことが検出された時点であることを特徴とする。
【0010】
このように、実際に気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わったことが検出された時は、実際に酸素不足の吸入空気が燃焼室内に流入するタイミングを示している。このため、このタイミングにて一時的な燃料供給量低減を開始することにより、気流制御弁の応答性のばらつきにかかわらず、燃焼室内における酸素濃度不足が実際に開始するタイミングに、燃料供給量低減開始を適合させることができ、ショックが一層適切に抑制される。
【0011】
請求項4記載の内燃機関制御方法では、請求項1〜3のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量の一時的な低減の程度は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での燃料供給時期が進角している程、大きくすることを特徴とする。
【0012】
燃料供給時期が進角側にあるほど、内燃機関のピストンが吸気ポートに近い位置で燃料が燃焼室内に供給されることになり、ピストン頂部により跳ね返された燃料が吸気ポート側に到達しやすくなる。このため、燃料供給時期が進角側にあるほど、気流制御弁と吸気弁との間に溜まる未燃ガスの量が多くなる傾向にある。したがって、燃料供給量の一時的な低減の程度は、気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での燃料供給時期が進角している程、大きくすることにより、燃焼室内の酸素不足の程度に適合させて、より適切な燃料濃度にすることができる。こうして、トルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0013】
請求項5記載の内燃機関制御方法では、請求項1〜4のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量の一時的な低減の程度は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での内燃機関の負荷が高い程、小さくすることを特徴とする。
【0014】
内燃機関の高負荷側では燃料供給量は多量となるが、多量となるほど燃料供給期間の終わりでは、内燃機関のピストンは吸気ポートから離れる。このことにより、燃料供給量の割には吸気ポート側への燃料の到達量は増加しない。そして、内燃機関の高負荷側では吸入空気量が増加するため、トータルとしては気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる未燃ガスや既燃ガスの割合は少なくなる。このため、高負荷ほど燃料供給量の一時的な低減の程度を小さくすることにより、燃焼室内の酸素不足の程度に適合させて、より適切な燃料濃度にすることができ、トルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0015】
請求項6記載の内燃機関制御方法では、請求項1〜5のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量の一時的な低減の程度は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、小さくすることを特徴とする。
【0016】
直前の気流制御弁の閉弁期間が短い程、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる未燃ガスや既燃ガスの量は少なくなる。このため、気流制御弁の閉弁期間が短い程、燃料供給量の一時的な低減の程度を小さくすることにより、燃焼室内の酸素不足の程度に適合させて、より適切な燃料濃度にすることができ、トルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0017】
請求項7記載の内燃機関制御方法では、請求項1〜6のいずれか記載の構成において、前記一時的な燃料供給量低減の期間は、サイクル数で判断されていることを特徴とする。
【0018】
気流制御弁が開弁した場合に、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる未燃ガスや既燃ガスは、サイクル毎に掃気されることから、一時的な燃料供給量低減の期間としては、特にサイクル数にて判断することが、より適切な燃料供給量低減期間を設定できる。
【0019】
請求項8記載の内燃機関制御方法では、請求項7記載の構成において、前記燃料供給量の一時的な低減は、1サイクル毎に減衰することを特徴とする。
気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まっている未燃ガスや既燃ガスは、サイクル毎に掃気される。このことにより、気流制御弁の開弁後に、燃焼室内に流れ込む未燃ガスや既燃ガスの量は次第に少なくなるため、経過するサイクル毎に、必要とする燃料供給量低減の程度は小さくなる。したがって、燃料供給量低減を1サイクル毎に減衰することにより、燃焼室内を、より適切な燃料濃度状態に維持することができ、トルク低下が一層適切に補償されてショックが一層適切に抑制される。
【0020】
請求項9記載の内燃機関制御方法では、請求項8記載の構成において、前記減衰の程度は、内燃機関の負荷が高い程、大きくすることを特徴とする。
内燃機関の高負荷側では吸入空気量が増加するため、掃気が早まる。このため燃料供給量低減の減衰の程度を内燃機関の負荷が高い程、大きくすることにより、燃焼室内を、より適切な燃料濃度状態に維持することができ、トルク低下が一層適切に補償されてショックが一層適切に抑制される。
【0021】
請求項10記載の内燃機関制御方法は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時に、前記気流制御弁から吸気弁までの間の吸気ポート空間に蓄積されていた既燃ガスが掃気されて無くなるまでの期間、内燃機関の点火時期を前記切り替え時ではない場合に設定される基準の点火時期よりも進角させることを特徴とする。
【0022】
点火時期を進角することにより気流制御弁から吸気弁までの間の吸気ポート空間に蓄積されていた既燃ガスが掃気されて無くなるまでの期間、トルクを上昇させることができる。すなわち、気流制御弁が開弁することにより既燃ガスが燃焼室内に流れ込み、燃焼速度が低下することにより引き起こされるトルクの低下を、点火時期の進角により補償させることができる。このようにしてショックが抑制される。
【0023】
請求項11記載の内燃機関制御方法では、請求項10記載の構成において、前記点火時期の進角は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時から遅延期間経過後に開始することを特徴とする。
【0024】
尚、気流制御弁が実際に閉弁状態から開弁状態に完全に切り替わるまでに時間を要することを考慮して、点火時期の進角開始に遅延期間を設けても良い。このことにより、既燃ガスによるトルク低下の開始タイミングに、点火時期の進角によるトルク上昇の開始タイミングを適合させることができ、ショックが適切に抑制される。
【0025】
請求項12記載の内燃機関制御方法では、請求項10記載の構成において、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時とは、実際に前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わったことが検出された時点であることを特徴とする。
【0026】
このように、実際に気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わったことが検出された時は、実際に既燃ガスが燃焼室内に流入するタイミングを示している。このため、このタイミングにて点火時期の進角を開始することにより、気流制御弁の応答性のばらつきにかかわらず、既燃ガスによるトルク低下の開始タイミングに、点火時期の進角開始を適合させることができ、ショックが一層適切に抑制される。
【0027】
請求項13記載の内燃機関制御方法では、請求項10〜12のいずれか記載の構成において、前記点火時期の進角は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前でのバルブオーバーラップが大きい程、大きくすることを特徴とする。
【0028】
バルブオーバーラップが大きい程、すなわち排気弁の開弁期間と吸気弁の開弁期間との重複が大きい程、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる既燃ガスの量は大きくなり、トルクの低下の程度も大きくなる。したがって、直前のバルブオーバーラップが大きい程、点火時期の進角を大きくすることによりトルクの上昇程度を大きくすることで、トルクの低下を適切に補償することができ、ショックが一層適切に抑制できる。
【0029】
請求項14記載の内燃機関制御方法では、請求項10〜13のいずれか記載の構成において、前記点火時期の進角は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、小さくすることを特徴とする。
【0030】
直前の気流制御弁の閉弁期間が短い程、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる既燃ガスの量は少なくなる。このため、気流制御弁の閉弁期間が短い程、点火時期の進角の程度を小さくすることにより、トルクの低下を適切に補償することができ、ショックが適切に抑制できる。
【0031】
請求項15記載の内燃機関制御方法では、請求項10〜14のいずれか記載の構成において、前記点火時期の進角の期間は、サイクル数で判断されていることを特徴とする。
【0032】
気流制御弁が開弁した場合に、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる既燃ガスは、サイクル毎に掃気されることから、点火時期の進角の期間としては、特にサイクル数にて判断することが、より適切な点火時期の進角期間を設定できる。
【0033】
請求項16記載の内燃機関制御方法では、請求項15記載の構成において、前記点火時期の進角は、1サイクル毎に減衰することを特徴とする。
気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まっている既燃ガスは、サイクル毎に掃気される。このことにより、気流制御弁の開弁後に、燃焼室内に流れ込む既燃ガスの量は次第に少なくなるため、サイクル毎に必要とする点火時期の進角の程度は小さくなる。したがって、点火時期の進角を1サイクル毎に減衰することにより、トルクの低下をより適切に補償することができ、ショックがより適切に抑制できる。
【0034】
請求項17記載の内燃機関制御方法では、請求項16記載の構成において、前記減衰の程度は、内燃機関の負荷が高い程、大きくすることを特徴とする。
内燃機関の高負荷側では吸入空気量が増加するため、掃気が早まる。このため点火時期の進角減衰の程度を内燃機関の負荷が高い程、大きくすることにより、トルクの低下をより適切に補償することができ、ショックがより適切に抑制できる。
【0035】
請求項18記載の内燃機関制御方法は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時に、空燃比を維持するように一時的に内燃機関の吸入空気量を前記切り替え時ではない場合の吸入空気量よりも増量させることを特徴とする。
【0036】
吸入空気量の増量が行われると、この増量に対応する燃料も加わって、内燃機関の燃焼室内の混合気量が増加し、燃焼時のトルクが増加する。又、吸入空気量増量に対応する燃料が加わらなくても、吸入空気量の増量により、燃焼室内の空燃比がより適切なものとなり、燃焼時のトルクが増加する。このことにより、トルク低下が補償されてショックが抑制される。しかも、吸入空気量の増量調整時の応答遅れは、気流制御弁の開弁による空燃比変化の応答遅れに類似している。
このことから、タイミング的にも適切なトルク補償が可能となる。
【0037】
請求項19記載の内燃機関制御方法は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替えに先だって、一時的に内燃機関の燃料供給時期を前記切り替えが行われない場合の燃料供給時期よりも遅角させることを特徴とする。
【0038】
吸気弁の開弁時には、閉じている気流制御弁と吸気ポートとの間隙からわずかに侵入する吸気により吸気ポート内は掃気されるが、通常の燃料供給時期では、内燃機関のピストンにて反射される燃料が多く、未燃ガスが気流制御弁が配置されている吸気ポート内に蓄積する。
【0039】
しかし、燃料供給時期を遅くすれば、燃料供給期間におけるピストン位置は吸気ポートから離れる。このことにより、吸気ポートへの燃料の到達量は少なくなる。したがって、吸気ポートから掃気により排出される未燃ガス量が、燃料供給時に侵入する未燃ガス量よりも多くなり、気流制御弁が配置されている吸気ポートに蓄積されている未燃ガス量は次第に少なくなる。
【0040】
このため、気流制御弁が開弁する場合に、この開弁に先立って、一時的に内燃機関の燃料供給時期を遅角することにより、気流制御弁が開弁した後に生じる燃焼室内の酸素不足の程度を小さくすることができる。このように気流制御弁を開弁させた後の酸素不足の程度が抑制されるので、燃焼室内をより適切な燃料濃度に維持することができ、トルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0041】
請求項20記載の内燃機関制御方法は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、内燃機関の運転状態から、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替えが予測された場合に、一時的に内燃機関の燃料供給時期を前記切り替えが予測されない場合の燃料供給時期よりも遅角させることを特徴とする。
【0042】
このように一時的に燃料供給時期を遅角するタイミングを、内燃機関の運転状態から気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替えが予測された場合としても良い。このことにより、気流制御弁の開弁動作を一時的にも待機させて燃料供給時期を遅角する必要が無くなる。このため、気流制御弁の制御に与える影響を無くして、トルク低下を適切に補償させ、ショックを適切に抑制させることができる。
【0043】
請求項21記載の内燃機関制御方法は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替えに先だって、一時的にバルブオーバーラップを前記切り替えが行われない場合のバルブオーバーラップよりも小さくすることを特徴とする。
【0044】
吸気弁の開弁時には、閉じている気流制御弁と吸気ポートとの間隙からわずかに侵入する吸気により吸気ポート内は掃気されるが、バルブオーバーラップを通常通りに許していると、燃焼室側からの既燃ガスの侵入により吸気ポート内に既燃ガスが蓄積する。
【0045】
しかし、前述したごとくバルブオーバーラップを小さくすれば、既燃ガスの侵入は少なくなる。したがって、掃気により吸気ポートから排出される既燃ガス量が侵入する既燃ガス量よりも多くなり、次第に吸気ポートに蓄積されている既燃ガス量は少なくなる。
【0046】
このように、気流制御弁の開弁に先立って、一時的にバルブオーバーラップを小さくすることにより、気流制御弁が開弁した後に生じる燃焼室内の既燃ガス濃度の程度を小さくできる。したがって、トルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0047】
請求項22記載の内燃機関制御方法は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、内燃機関の運転状態から、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替えが予測された場合に、一時的にバルブオーバーラップを前記切り替えが予測されない場合のバルブオーバーラップよりも小さくすることを特徴とする内燃機関制御方法。。
【0048】
このように一時的にバルブオーバーラップを小さくするタイミングを、内燃機関の運転状態から気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替えが予測された場合としても良い。このことにより、気流制御弁の開弁動作を一時的にも待機させてバルブオーバーラップを小さくする必要が無くなる。このため、気流制御弁の制御に与える影響を無くして、トルク低下を適切に補償させ、ショックを適切に抑制させることができる。
【0049】
請求項23記載の内燃機関制御方法では、請求項21又は22記載の構成において、一時的にバルブオーバーラップを小さくしている期間においては、点火時期を遅角することを特徴とする。
【0050】
バルブオーバーラップを小さくすると、既燃ガス量が低下するに伴い内燃機関の充填効率が向上するため、逆にトルク上昇が過剰となるおそれがある。このため、一時的にバルブオーバーラップを小さくしている期間において点火時期を遅角することにより、トルク上昇を抑えてショックを防止しても良い。
【0053】
請求項24記載の内燃機関制御方法は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、前記気流制御弁が閉じたときに、前記気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、前記気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも早くすることを特徴とする。
【0054】
気流制御弁が閉じたときに、気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも早くすると、気流制御弁が閉じた状態で下流の吸気弁が開弁し、かつ気流制御弁が配置されていない吸気ポートでは吸気弁が閉じた状態が一時的に出現する。このような状態で、ピストンが低下して燃焼室内の容積が増加すると、気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁が閉じているため、気流制御弁が配置された吸気ポート内の圧力が大きく低下する。このことにより、気流制御弁が配置された吸気ポート内の気体の一部が燃焼室内に排出される。
【0055】
更に、この圧力低下により気流制御弁に大きな吸引力が作用する。このことにより、閉弁状態の気流制御弁と吸気ポートとのわずかな隙間から気流制御弁と吸気弁との間の空間に吸入空気が侵入し、開弁状態の吸気弁を通って燃焼室内に入る。
【0056】
このため、気流制御弁の下流の吸気ポートに未燃ガスや既燃ガスが侵入しにくく、かつ侵入したとしても掃気されてしまう。このように未燃ガスや既燃ガスの蓄積を未然に防止することができるので、気流制御弁が開弁しても燃焼室内を適切な燃料濃度に維持することができ、トルク低下が補償されショックが抑制される。
【0057】
請求項25記載の内燃機関制御方法は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、前記気流制御弁が閉じたときに、前記気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、前記気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも遅くすることを特徴とする。
【0058】
気流制御弁が閉じたときに、気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも遅くすると、気流制御弁が配置されていない吸気ポートでは吸気弁が開弁しているが、気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁は閉じている状態が出現する。このような状態で、バルブオーバーラップや燃料供給がなされた場合、既燃ガスや未燃ガスが逆流したとしても、気流制御弁が配置されていない吸気ポートのみに侵入する。このように侵入したとしても気流制御弁が配置されていない吸気ポート内に存在する既燃ガスや未燃ガスは気流制御弁が作用しないため、蓄積されることなくサイクル毎に直ちに燃焼室内に吸入される。
【0059】
そして、気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁が開いた後に、燃料供給が継続していても、ピストンの頂面は吸気ポートから離れているので、反射による吸気ポートへの燃料到達量もほとんど無くなる。
【0060】
このため、その後、気流制御弁が開弁しても、既燃ガスや未燃ガスは、気流制御弁が配置された吸気ポートにはほとんど蓄積されていないので、燃焼室内が酸素不足状態とはならない。このように未燃ガスや既燃ガスの蓄積を未然に防止することにより、気流制御弁が開弁しても燃焼室内を適切な燃料濃度に維持することができ、トルク低下が補償されショックが抑制される。
【0061】
請求項26記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、前記気流制御弁の開閉状態を判定する開閉判定手段と、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え時に、空燃比を維持するように一時的に内燃機関の燃焼室への燃料供給量を低減する燃料供給量低減手段とを備えたことを特徴とする。
【0062】
このように開閉判定手段による閉弁状態から開弁状態への判定切り替え時に、燃料供給量低減手段は、一時的に燃焼室への燃料供給量を低減している。このため、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に蓄積されていた未燃ガスや既燃ガスが供給されることで燃焼室内が通常の吸入空気よりも相対的に酸素が不足したガス状態となっても、より適切な燃料濃度にすることができる。このためトルク低下が補償され、ショックが抑制される。
【0063】
請求項27記載の内燃機関制御装置では、請求項26記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記一時的な燃料供給量低減を、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え時から遅延期間経過後に開始することを特徴とする。
【0064】
尚、気流制御弁が実際に閉弁状態から開弁状態に完全に切り替わるまでに時間を要することを考慮して、燃料供給量低減手段は、一時的な燃料供給量低減に対して上記のごとくの遅延期間を設けても良い。このことにより、燃料供給量低減手段は、燃焼室内における酸素濃度不足の開始タイミングに、一時的な燃料供給量低減開始を、より適切に合わせることができ、ショックが一層適切に抑制される。
【0065】
請求項28記載の内燃機関制御装置では、請求項26記載の構成において、前記開閉判定手段は、実際に前記気流制御弁の状態を検出した結果に基づいて前記気流制御弁の開閉状態を判定することを特徴とする。
【0066】
このように、開閉判定手段は、実際に気流制御弁の状態を検出した結果に基づいて開閉状態を判定しても良い。このことにより、気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わったことが検出された時は、実際に酸素不足の吸入空気が燃焼室内に流入するタイミングを示している。このため、このタイミングにて、燃料供給量低減手段は、一時的な燃料供給量低減を開始することにより、燃焼室内における酸素濃度不足の開始タイミングに、燃料供給量低減開始を適合させることができ、ショックが一層適切に抑制される。
【0067】
請求項29記載の内燃機関制御装置では、請求項2628のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え前での燃料供給時期が進角している程、前記燃料供給量の一時的な低減の程度を大きくすることを特徴とする。
【0068】
燃料供給時期が進角側にあるほど、内燃機関のピストンが吸気ポートに近い位置で燃料が燃焼室内に供給されることになり、ピストン頂部により跳ね返された燃料が吸気ポート側に到達しやすくなる。このため、燃料供給時期が進角側にあるほど、気流制御弁と吸気弁との間に溜まる未燃ガスの量が多くなる傾向にある。したがって、燃料供給量低減手段は、燃料供給量の一時的な低減の程度を、開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え前での燃料供給時期が進角している程、大きくしている。このことにより、燃焼室内の酸素不足の程度に適合させて、より適切な燃料濃度にすることができる。こうして、トルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0069】
請求項30記載の内燃機関制御装置では、請求項2629のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え前での内燃機関の負荷が高い程、前記燃料供給量の一時的な低減の程度を小さくすることを特徴とする。
【0070】
内燃機関の高負荷側では燃料供給量は多量となるが、多量となるほど燃料供給期間の終わりでは、内燃機関のピストンは吸気ポートから離れる。このことにより、燃料供給量の割には吸気ポート側への燃料の到達量は多くならない。そして、内燃機関の高負荷側では吸入空気量が増加するため、トータルとしては気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる未燃ガスや既燃ガスの割合は少なくなる。このため、燃料供給量低減手段は、高負荷ほど燃料供給量の一時的な低減の程度を小さくしている。このことにより、燃焼室内の酸素不足の程度に適合させて、より適切な燃料濃度にすることができ、トルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0071】
請求項31記載の内燃機関制御装置では、請求項2630のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、前記燃料供給量の一時的な低減の程度を小さくすることを特徴とする。
【0072】
直前の気流制御弁の閉弁期間が短い程、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる未燃ガスや既燃ガスの量は少なくなる。このため、燃料供給量低減手段は、気流制御弁の閉弁期間が短い程、燃料供給量の一時的な低減の程度を小さくしている。このことにより、燃焼室内の酸素不足の程度に適合させて、より適切な燃料濃度にすることができ、トルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0073】
請求項32記載の内燃機関制御装置では、請求項2631のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記一時的な燃料供給量低減の期間を、サイクル数で判断することを特徴とする。
【0074】
気流制御弁が開弁した場合に、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる未燃ガスや既燃ガスは、サイクル毎に掃気される。このことから、燃料供給量低減手段では、一時的な燃料供給量低減の期間としては、特にサイクル数にて判断することが好ましい。このことにより適切な燃料供給量低減期間を設定できる。
【0075】
請求項33記載の内燃機関制御装置では、請求項32記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記燃料供給量の一時的な低減を、1サイクル毎に減衰することを特徴とする。
【0076】
気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まっている未燃ガスや既燃ガスは、サイクル毎に掃気される。このことにより、気流制御弁の開弁後に燃焼室内に流れ込む未燃ガスや既燃ガスの量は次第に少なくなるため、経過するサイクル毎に必要とする燃料供給量低減の程度は小さくなる。したがって、燃料供給量低減手段は、燃料供給量低減を1サイクル毎に減衰することにより、燃焼室内を、より適切な燃料濃度状態に維持することができ、トルク低下が一層適切に補償されてショックが一層適切に抑制される。
【0077】
請求項34記載の内燃機関制御装置では、請求項33記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記減衰の程度を、内燃機関の負荷が高い程、大きくすることを特徴とする。
【0078】
内燃機関の高負荷側では吸入空気量が増加するため、掃気が早まる。このため燃料供給量低減手段は、燃料供給量低減の減衰の程度を内燃機関の負荷が高い程、大きくすることにより、燃焼室内を、より適切な燃料濃度状態に維持することができ、トルク低下が一層適切に補償されてショックが一層適切に抑制される。
【0079】
請求項35記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、前記気流制御弁の開閉状態を判定する開閉判定手段と、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え時に、前記気流制御弁から吸気弁までの間の吸気ポート空間に蓄積されていた既燃ガスが掃気されて無くなるまでの期間、内燃機関の点火時期を前記判定切り替え時ではない場合に設定される基準の点火時期よりも進角させる点火時期進角手段と、を備えたことを特徴とする。
【0080】
点火時期を進角することにより気流制御弁から吸気弁までの間の吸気ポート空間に蓄積されていた既燃ガスが掃気されて無くなるまでの期間、トルクを上昇させることができる。すなわち、気流制御弁が開弁することにより既燃ガスが燃焼室内に流れ込むことにより引き起こされるトルクの低下を、点火時期進角手段は、点火時期の一時的な進角により補償することができる。このようにしてトルク低下が補償されてショックが抑制される。
【0081】
請求項36記載の内燃機関制御装置では、請求項35記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え時から遅延期間経過後に、前記点火時期の進角を開始することを特徴とする。
【0082】
尚、気流制御弁が実際に閉弁状態から開弁状態に完全に切り替わるまでに時間を要することを考慮して、点火時期進角手段は、点火時期の進角開始に遅延期間を設けても良い。このことにより、点火時期進角手段は、既燃ガスによるトルク低下の開始タイミングに、点火時期の進角によるトルク上昇の開始タイミングを適合させることができ、ショックが適切に抑制される。
【0083】
請求項37記載の内燃機関制御装置では、請求項35記載の構成において、前記開閉判定手段は、実際に前記気流制御弁の状態を検出した結果に基づいて前記気流制御弁の開閉状態を判定することを特徴とする。
【0084】
このように、開閉判定手段は、実際に気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わったことを検出しているので、実際に既燃ガスが燃焼室内に流入するタイミングが判る。このため、点火時期進角手段は、このタイミングにて点火時期の進角を開始することにより、既燃ガスによるトルク低下の開始タイミングに、点火時期の進角開始を適合させることができ、ショックが一層適切に抑制される。
【0085】
請求項38記載の内燃機関制御装置では、請求項3537のいずれか記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え前でのバルブオーバーラップが大きい程、前記点火時期の進角を大きくすることを特徴とする。
【0086】
バルブオーバーラップが大きい程、すなわち排気弁の開弁期間と吸気弁の開弁期間との重複が大きい程、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる既燃ガスの量は大きくなり、トルクの低下の程度も大きくなる。したがって、点火時期進角手段は、直前のバルブオーバーラップが大きい程、点火時期の進角を大きくしている。このように点火時期進角手段は、バルブオーバーラップの大きさに応じてトルクの上昇程度を大きくすることで、トルクの低下を適切に補償することができ、ショックが一層適切に抑制できる。
【0087】
請求項39記載の内燃機関制御装置では、請求項3538のいずれか記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、前記点火時期の進角を小さくすることを特徴とする。
【0088】
直前の気流制御弁の閉弁期間が短い程、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる既燃ガスの量は少なくなる。このため、点火時期進角手段は、気流制御弁の閉弁期間が短い程、点火時期の進角の程度を小さくしている。このことにより、トルクの低下を適切に補償することができ、ショックが適切に抑制できる。
【0089】
請求項40記載の内燃機関制御装置では、請求項3539のいずれか記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記点火時期の進角の期間を、サイクル数で判断することを特徴とする。
【0090】
気流制御弁が開弁した場合に、気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まる既燃ガスはサイクル毎に掃気される。このことから、点火時期進角手段は、点火時期の進角の期間として、特にサイクル数にて判断している。このことにより、より適切な点火時期の進角期間を設定できる。
【0091】
請求項41記載の内燃機関制御装置では、請求項40記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記点火時期の進角を、1サイクル毎に減衰することを特徴とする。
【0092】
気流制御弁と吸気弁との間の吸気ポート空間に溜まっている既燃ガスは、サイクル毎に掃気される。このことにより、気流制御弁の開弁後に燃焼室内に流れ込む既燃ガスの量は次第に少なくなるため、経過するサイクル毎に必要とする点火時期の進角の程度は小さくなる。したがって、点火時期進角手段は、点火時期の進角を1サイクル毎に減衰している。このことにより、トルクの低下をより適切に補償することができ、ショックがより適切に抑制できる。
【0093】
請求項42記載の内燃機関制御装置では、請求項41記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記減衰の程度を、内燃機関の負荷が高い程、大きくすることを特徴とする。
【0094】
内燃機関の高負荷側では吸入空気量が増加するため、掃気が早まる。このため点火時期進角手段は、点火時期の進角減衰の程度を内燃機関の負荷が高い程、大きくしている。このことにより、トルクの低下をより適切に補償することができ、ショックがより適切に抑制できる。
【0095】
請求項43記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、前記気流制御弁の開閉状態を判定する開閉判定手段と、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え時に、空燃比を維持するように一時的に内燃機関の吸入空気量を前記判定切り替え時ではない場合の吸入空気量よりも増量させる吸入空気量増量手段と、を備えたことを特徴とする。
【0096】
このように吸入空気量増量手段にて吸入空気量の増量が行われると、この増量に対応する燃料も加わって、内燃機関の燃焼室内の混合気量が増加し、燃焼時のトルクが増加する。又、吸入空気量増量に対応する燃料が加わらなくても、吸入空気量の増量により、燃焼室内の空燃比がより適切なものとなり、燃焼時のトルクが増加する。このことにより、トルク低下が補償されてショックが抑制される。しかも、吸入空気量の増量調整時の応答遅れは、気流制御弁の開弁による空燃比変化の応答遅れに類似している。このことから、タイミング的にも適切なトルク補償が可能となる。
【0097】
請求項44記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、内燃機関の運転状態に応じて前記気流制御弁の開閉状態を設定する開閉設定手段と、前記開閉設定手段が前記気流制御弁を閉弁状態から開弁状態へ切り替えるに先だって、一時的に内燃機関の燃料供給時期を前記切り替えが行われない場合の燃料供給時期よりも遅角させる燃料供給時期遅角手段と、を備えたことを特徴とする。
【0098】
吸気弁の開弁時には、閉じている気流制御弁と吸気ポートとの間隙からわずかに侵入する吸気により吸気ポート内は掃気されるが、通常の燃料供給時期では、内燃機関のピストンにて反射される燃料が多く、未燃ガスが気流制御弁が配置されている吸気ポート内に蓄積する。
【0099】
しかし、燃料供給時期を遅くすれば、燃料供給期間におけるピストン位置は吸気ポートから離れる。このことにより、吸気ポートへの燃料の到達量は少なくなる。したがって、吸気ポートから掃気により排出される未燃ガス量が、燃料供給時に侵入する未燃ガス量よりも多くなり、気流制御弁が配置されている吸気ポートに蓄積されている未燃ガス量は次第に少なくなる。
【0100】
このため、燃料供給時期遅角手段は、気流制御弁が開弁する場合に、この開弁に先立って、一時的に内燃機関の燃料供給時期を遅角することにより、気流制御弁が開弁した後に生じる燃焼室内の酸素不足の程度を小さくすることができる。このように燃料供給時期遅角手段によって、燃焼室内をより適切な燃料濃度に維持することができ、トルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0101】
請求項45記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、内燃機関の運転状態に基づいて前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わることを予測する開弁予測手段と、前記開弁予測手段にて前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わることが予測された場合に、一時的に内燃機関の燃料供給時期を前記切り替わることが予測されない場合の燃料供給時期よりも遅角させる燃料供給時期遅角手段と、を備えたことを特徴とする。
【0102】
このように燃料供給時期遅角手段は、一時的に燃料供給時期を遅角するタイミングを、開弁予測手段にて内燃機関の運転状態から気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替えが予測された場合としても良い。このことにより、気流制御弁の開弁動作を一時的に待機させて燃料供給時期を遅角する必要が無くなる。このため、気流制御弁の制御に与える影響を無くして、トルク低下を適切に補償させ、ショックを適切に抑制させることができる。
【0103】
請求項46記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、内燃機関の運転状態に応じて前記気流制御弁の開閉状態を設定する開閉設定手段と、前記開閉設定手段が前記気流制御弁を閉弁状態から開弁状態へ切り替えるに先だって、一時的にバルブオーバーラップを前記切り替えが行われない場合のバルブオーバーラップよりも小さくするバルブオーバーラップ減少手段と、を備えたことを特徴とする。
【0104】
吸気弁の開弁時には、閉じている気流制御弁と吸気ポートとの間隙からわずかに侵入する吸気により吸気ポート内は掃気されるが、バルブオーバーラップを通常通りに許していると、燃焼室側からの既燃ガスの侵入により吸気ポート内に既燃ガスが蓄積する。
【0105】
しかし、前述したごとくバルブオーバーラップを小さくすれば、既燃ガスの侵入は少なくなる。したがって、掃気により吸気ポートから排出される既燃ガス量が侵入する既燃ガス量よりも多くなり、次第に吸気ポートに蓄積されている既燃ガス量は少なくなる。
【0106】
このように、開閉設定手段により気流制御弁が開弁されるに先立って、バルブオーバーラップ減少手段は、一時的にバルブオーバーラップを小さくしている。このことにより、気流制御弁が開弁した後に生じる燃焼室内の既燃ガス濃度の程度を小さくできる。したがって、トルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0107】
請求項47記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、内燃機関の運転状態に基づいて前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わることを予測する開弁予測手段と、前記開弁予測手段にて前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わることが予測された場合に、一時的にバルブオーバーラップを前記切り替わることが予測されない場合のバルブオーバーラップよりも小さくするバルブオーバーラップ減少手段と、を備えたことを特徴とする。
【0108】
このようにバルブオーバーラップ減少手段が一時的にバルブオーバーラップを小さくするタイミングを、開弁予測手段にて内燃機関の運転状態に基づいて気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わることが予測された場合としても良い。このことにより、気流制御弁の開弁動作を一時的に待機させてバルブオーバーラップを小さくする必要が無くなる。このため、気流制御弁の制御に与える影響を無くして、トルク低下を適切に補償させ、ショックを適切に抑制させることができる。
【0109】
請求項48記載の内燃機関制御装置では、請求項46又は47記載の構成に対して、前記バルブオーバーラップ減少手段が一時的にバルブオーバーラップを小さくしている期間に、点火時期を遅角する点火時期遅角手段を備えたことを特徴とする。
【0110】
バルブオーバーラップを小さくすると、既燃ガス量が低下するに伴い内燃機関の充填効率が向上するため、逆にトルク上昇が過剰となるおそれがある。このため、バルブオーバーラップ減少手段が一時的にバルブオーバーラップを小さくしている期間において、点火時期遅角手段が点火時期を遅角することにより、トルク上昇を抑えて、ショックを防止しても良い。
【0113】
請求項49記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、前記気流制御弁が閉じたときに、前記気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、前記気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも早くする吸気弁駆動手段を備えたことを特徴とする
【0114】
このように吸気弁駆動手段によって、気流制御弁が閉じたときに、気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも早くすると、気流制御弁が閉じた状態で下流の吸気弁が開弁し、かつ気流制御弁が配置されていない吸気ポートでは吸気弁が閉じた状態が一時的に出現する。このような状態で、ピストンが低下して燃焼室内の容積が増加すると、気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁が閉じているため、気流制御弁が配置された吸気ポート内の圧力が大きく低下する。このことにより、気流制御弁が配置された吸気ポート内の気体の一部が燃焼室内に排出される。
【0115】
更に、この圧力低下により気流制御弁に大きな吸引力が作用する。このことにより、閉弁状態の気流制御弁と吸気ポートとのわずかな隙間から気流制御弁と吸気弁との間の空間に吸入空気が侵入し、開弁状態の吸気弁を通って燃焼室内に入る。
【0116】
このため、気流制御弁の下流の吸気ポートに未燃ガスや既燃ガスが侵入しにくく、かつ侵入したとしても掃気されてしまう。このように未燃ガスや既燃ガスの蓄積を未然に防止することができるので、気流制御弁が開弁しても燃焼室内を適切な燃料濃度に維持することができ、トルク低下が補償されショックが抑制される。
【0117】
請求項50記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、前記気流制御弁が閉じたときに、前記気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、前記気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも遅くする吸気弁駆動手段を備えたことを特徴とする
【0118】
このように吸気弁駆動手段によって、気流制御弁が閉じたときに、気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも遅くすると、気流制御弁が配置されていない吸気ポートでは吸気弁が開弁しているが、気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁は閉じている状態が出現する。このような状態で、バルブオーバーラップや燃料供給がなされた場合、既燃ガスや未燃ガスが逆流したとしても、気流制御弁が配置されていない吸気ポートのみに侵入する。このように侵入したとしても気流制御弁が配置されていない吸気ポート内に存在する既燃ガスや未燃ガスは気流制御弁が作用しないため、蓄積されることなくサイクル毎に直ちに燃焼室内に吸入される。
【0119】
そして、気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁が開いた後に、燃料供給が継続していても、ピストンの頂面は吸気ポートから離れているので、反射による吸気ポートへの燃料到達量もほとんど無くなる。
【0120】
このため、その後、気流制御弁が開弁しても、既燃ガスや未燃ガスは、気流制御弁が配置された吸気ポートには蓄積されていないので、燃焼室内が酸素不足状態とはならない。このように未燃ガスや既燃ガスの蓄積を未然に防止することにより、気流制御弁が開弁しても燃焼室内を適切な燃料濃度に維持することができ、トルク低下が補償されショックが抑制される。
【0121】
請求項51記載の内燃機関制御装置では、請求項49又は50記載の構成において、前記吸気弁駆動手段は、カムプロフィールの異なる吸気カムの組み合わせとして構成され、前記カムプロフィールの違いにより前記吸気弁間の開弁時期を異ならせていることを特徴とする。
【0122】
吸気弁駆動手段は、カムプロフィールの異なる吸気カムの組み合わせとして構成することができる。このようにすると内燃機関制御処理自体を変更しなくても未燃ガスや既燃ガスの蓄積を未然に防止することができ、気流制御弁が開弁しても燃焼室内を適切な燃料濃度に維持することができる。
【0123】
請求項52記載の内燃機関制御装置では、請求項49又は50記載の構成において、前記吸気弁駆動手段は、吸気カムの可変バルブタイミング機構として構成され、前記気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁および前記気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁のいずれか一方又は両方のバルブタイミングを調整することで、前記吸気弁間の開弁時期を異ならせていることを特徴とする。
【0124】
吸気弁駆動手段は、吸気カムの可変バルブタイミング機構として構成し、前記吸気弁のいずれか一方又は両方のバルブタイミングを調整することで、吸気弁間の開弁時期を異ならせることができる。こうして未燃ガスや既燃ガスの蓄積を未然に防止することができ、気流制御弁が開弁しても燃焼室内を適切な燃料濃度に維持することができ、トルク低下が補償されショックが抑制される。
【0125】
請求項53記載の内燃機関制御装置では、請求項49又は50記載の構成において、前記吸気弁駆動手段は、前記吸気弁の電磁駆動機構として構成され、前記吸気弁の電磁駆動開始時期の違いにより前記吸気弁間の開弁時期を異ならせていることを特徴とする。
【0126】
吸気弁駆動手段は、吸気弁の電磁駆動機構として構成し、吸気弁の電磁駆動開始時期の違いにより吸気弁間の開弁時期を異ならせることができる。こうして未燃ガスや既燃ガスの蓄積を未然に防止することができ、気流制御弁が開弁しても燃焼室内を適切な燃料濃度に維持することができ、トルク低下が補償されショックが抑制される。
【0127】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用されたガソリンエンジン(以下、「エンジン」と略す)2とその制御装置の概略構成を表すブロック図である。本エンジン2は、自動車駆動用として車両に搭載された筒内噴射式内燃機関である。
【0128】
エンジン2は6つのシリンダ2aを有している。図2にシリンダヘッド8部分で水平に切断して示した1気筒分の断面図を示す。図2に示されているごとく、各シリンダ2aには、シリンダブロック内で往復動するピストン(図示略)、及びシリンダブロック上に取り付けられたシリンダヘッド8にて区画された燃焼室10がそれぞれ形成されている。
【0129】
そして各燃焼室10には、それぞれ第1吸気弁12a、第2吸気弁12b及び一対の排気弁16が設けられている。この内、第1吸気弁12aは第1吸気ポート14aに接続され、第2吸気弁12bは第2吸気ポート14bに接続され、一対の排気弁16は一対の排気ポート18にそれぞれ接続されている。第1吸気ポート14a及び第2吸気ポート14bは略直線状に延びるストレート型吸気ポートである。
【0130】
又、シリンダヘッド8の内壁面の中央部には点火プラグ20が配置されている。更に第1吸気弁12a及び第2吸気弁12b近傍のシリンダヘッド8の内壁面周辺部には、燃焼室10内に直接燃料を噴射できるように燃料噴射弁22が配置されている。この燃料噴射弁22にはエンジン2の回転により駆動される高圧燃料ポンプ(図示略)から燃料分配管(図示略)を介して高圧燃料が供給されている。この高圧燃料の圧力は、電子制御ユニット(以下、「ECU」と称する)24により、燃焼室10内への噴射に適切な状態に調整されている。
【0131】
各シリンダ2aの第1吸気ポート14aは、吸気マニホールド30内に形成された第1吸気通路30aを介してサージタンク32に接続されている。又、第2吸気ポート14bは第2吸気通路30bを介してサージタンク32に接続されている。この内、第2吸気通路30b内にはそれぞれ気流制御弁34が配置されている。これらの気流制御弁34は、共通のシャフト36を介して接続されている。ECU24は、このシャフト36を介して開閉切替機構37により気流制御弁34を開閉駆動する。なお気流制御弁34が閉弁状態とされた場合(図3)には、第1吸気ポート14aのみから吸入される吸気により燃焼室10内には強い乱流(例えば図3にSで示す旋回流)が生じる。
【0132】
ここで、開閉切替機構37の構成について、図2,3に基づいて説明する。開閉切替機構37は、シャフト36に一端が固定されたレバー37a、負圧アクチュエータ38、電磁三方切換弁39及び負圧タンク37bを備えている。負圧アクチュエータ38は内部に大気圧室38a、負圧室38b、ダイヤフラム38c及びスプリング38dを備え、ダイヤフラム38cにより大気圧室38aと負圧室38bとが区画されている。ダイヤフラム38cの大気圧室38a側にはロッド37cの一端が固定されている。このロッド37cの他端はレバー37aの先端の長孔に揺動可能に取り付けられている。スプリング38dは負圧室38b内に圧縮状態で配置されて、その一端にてダイヤフラム38cを大気圧室38a側へ押圧している。
【0133】
電磁三方切換弁39は3つのポート39a,39b,39cを備えている。この内の負圧制御ポート39aが負圧アクチュエータ38の負圧室38bに接続されている。又、負圧導入ポート39bは負圧タンク37bに接続されている。そして大気導入ポート39cは図示していないエアフィルタを介して大気開放されている。又、負圧タンク37bへは逆止弁37dと負圧導入路37eを介してサージタンク32から負圧が導入されている。電磁三方切換弁39は、非通電状態では負圧制御ポート39aと大気導入ポート39cとを連通させ、通電状態では負圧制御ポート39aと負圧導入ポート39bとを連通させるように構成されている。
【0134】
したがって電磁三方切換弁39が非通電状態にある場合には、負圧制御ポート39aと大気導入ポート39cとが連通状態となって、負圧アクチュエータ38の負圧室38b内には大気圧が導入された状態となる。このため、図2に示したごとく、ダイヤフラム38cがスプリング38dの押圧力により大気圧室38aを縮小した状態で安定する。このことにより、レバー37aは気流制御弁34を開弁状態にする。したがって吸気は両吸気ポート14a,14bから燃焼室10内に導入される。
【0135】
又、電磁三方切換弁39が通電状態である場合には、負圧制御ポート39aと負圧導入ポート39bとが連通状態となって、負圧アクチュエータ38の負圧室38b内には負圧タンク37bからの負圧が導入される。このため、図3に示したごとく、ダイヤフラム38cが、大気圧と負圧タンク37bからの負圧との差圧によりスプリング38dの押圧力に抗して負圧室38bを縮小した状態で安定する。このことにより、レバー37aは揺動して気流制御弁34を閉弁状態とする。このように気流制御弁34が閉弁状態となれば、第1吸気ポート14aのみから吸入される吸気により燃焼室10内には強い乱流Sが生じ、燃焼室10内の混合気が強く攪拌される。
【0136】
図1の説明に戻る。サージタンク32は、吸気ダクト40を介してエアクリーナ42に連結されている。吸気ダクト40内にはモータ44(DCモータ又はステップモータ)によって駆動されるスロットル弁46が配置されている。このスロットル弁46の開度(スロットル開度TA)はスロットル開度センサ46aにより検出されている。ECU24は、運転者によるアクセル操作、エンジン2の運転状態及び検出したスロットル開度TAに基づいてスロットル弁46を開度制御する。又、各シリンダ2aの各排気ポート18は排気マニホルド48に連結されている。排気マニホルド48は触媒コンバータ49を介して排気を外部に排出している。触媒コンバータ49内には三元触媒等の排気浄化用触媒が配置されているので、排気は有害成分が無害化されて排出される。
【0137】
ECU24は、デジタルコンピュータを中心として構成され、双方向バスを介して相互に接続されたCPU(マイクロプロセッサ)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、バックアップRAM、入力回路及び出力回路等を備えている。そして、スロットル開度TAを検出するスロットル開度センサ46a、アクセルペダル74の踏み込み量(アクセル開度)ACCPを検出するアクセル開度センサ76、ブレーキペダル78の踏み込み状態を検出するストップランプスイッチ80、エンジン2のクランクシャフト(図示略)の回転数NEを検出する回転数センサ82、シリンダ2aの内の1番シリンダが吸気上死点に達したときに出力パルスG2を発生する気筒判別センサ84、エンジン2の冷却水温度THWを検出する水温センサ86、吸気ダクト40に配置されて吸入空気量GAを検出する吸入空気量センサ88、排気マニホルド48に配置されて排気成分から混合気の空燃比を検出する空燃比センサ90、トランスミッション(図示略)の出力側に配置されて車速SPDを検出する車速センサ94、及びその他の必要なセンサ、スイッチ類の信号がECU24の入力回路に入力されている。
【0138】
又、各燃料噴射弁22、気流制御弁34の開閉切替機構37、スロットル弁46の駆動用モータ44、イグナイタ(図示略)及びスタータモータ(図示略)等はECU24の出力回路に接続されている。このことによりエンジン2の各機構がECU24により制御される。
【0139】
次にエンジン2において始動完了後に行われる燃料噴射量及び気流制御弁34に対する制御について説明する。図4のフローチャートに、燃料噴射制御に必要な燃焼方式を設定する処理を示す。本処理は予め設定されているクランク角毎に周期的に実行される処理である。本実施の形態1では6気筒であるので、120°CA(クランク角)毎に実行される。なお、以下に説明する各フローチャート中の個々の処理ステップを「S〜」で表す。
【0140】
まず、回転数センサ82の信号から得られているエンジン回転数NE及びアクセル開度センサ76の信号から得られているアクセル開度ACCPがECU24に備えられたRAMの作業領域に読み込まれる(S100)。
【0141】
次に、エンジン回転数NEとアクセル開度ACCPとに基づいて、リーン燃料噴射量QLを算出する(S110)。このリーン燃料噴射量QLは、エンジン2にて成層燃焼を行う際にエンジン2の出力トルクを要求トルクとするのに最適な燃料噴射量を表している。リーン燃料噴射量QLは予め実験により求められ、図5に示すごとく、アクセル開度ACCPとエンジン回転数NEとをパラメータとするマップとしてECU24のROM内に記憶されている。ステップS110ではこのマップに基づいてリーン燃料噴射量QLが算出される。なおマップでは離散的に数値が配置されているので、パラメータとして一致する値が存在しない場合には、補間計算により求めることになる。このような補間によるマップからの算出は、ここで述べたマップ以外のマップから必要な数値を求める場合にも同様に行われる。
【0142】
次にリーン燃料噴射量QLとエンジン回転数NEとに基づいて、図6のマップに示されるような3つの領域Rl,R2,R3のいずれの運転領域にあるかを判定し、燃焼方式を設定する(S115)。こうして一旦、本処理を終了する。なお、図6のマップは、予め実験により適切な燃焼方式を、リーン燃料噴射量QLとエンジン回転数NEとをパラメータとして設定したものであり、マップとしてECU24のROM内に記憶されている。
【0143】
このように燃焼方式が設定されると、設定された燃焼方式Fl〜F3に応じて燃料噴射形態が制御される。すなわち、図6に示したごとくリーン燃料噴射量QL及びエンジン回転数NEが境界線QQ1よりも小さい運転領域R1では、燃焼方式F1が設定され、リーン燃料噴射量QLに応じた量の燃料を圧縮行程末期に噴射する。この圧縮行程末期での噴射による噴射燃料は、燃焼室10内で気化せしめられつつ移動して点火プラグ20近傍に可燃混合気層を形成する。そしてこの層状の可燃混合気に点火プラグ20によって点火がなされることにより、成層燃焼が行われる。このことにより燃料に対して極めて過剰な吸入空気が存在する燃焼室10内において安定した燃焼を行わせることができる。
【0144】
リーン燃料噴射量QL及びエンジン回転数NEが境界線QQ1と境界線QQ2との間である運転領域R2では、燃焼方式F2が設定され、リーン燃料噴射量QLに応じた量の燃料を吸気行程と圧縮行程末期とに2回に分けて噴射する。すなわち、吸気行程に第1回目の燃料噴射が行われ、次いで圧縮行程末期に第2回目の燃料噴射が行われる。第1回目の噴射燃料は吸入空気と共に燃焼室10内に流入し、この噴射燃料によって燃焼室10内全体に均質な希薄混合気が形成される。又、圧縮行程末期に第2回目の燃料噴射が行われる結果、前述したごとく点火プラグ20近傍には可燃混合気層が形成される。そしてこの層状の可燃混合気に点火プラグ20によって点火がなされ、そしてこの点火火炎によって燃焼室10内全体を占める希薄混合気が燃焼される。すなわち、運転領域R2では前述した運転領域R1よりも成層度の弱い弱成層燃焼が行われる。このことにより、運転領域R1と運転領域R3とをつなぐ中間領域で滑らかなトルク変化を実現させることができる。
【0145】
リーン燃料噴射量QL及びエンジン回転数NEが境界線QQ2よりも大きい場合の運転領域R3では、燃焼方式F3が設定され、理論空燃比基本燃料噴射量QBSに基づいて各種の補正を行った燃料量を吸気行程にて噴射する。この噴射燃料は、吸入空気の流入とともに燃料噴射弁22から燃焼室10内に噴射されて点火まで流動する。このことにより燃焼室10内全体に均質な理論空燃比(後述するごとく、OT増量により理論空燃比より燃料濃度が濃いリッチ空燃比に制御される場合もある)の均質混合気が形成され、この結果、均質燃焼が行われる。
【0146】
上述した燃焼方式設定処理により設定された燃焼方式に基づいて実行される燃料噴射量制御処理のフローチャートを図7に示す。本処理は予め設定されているクランク角毎に周期的に実行される処理である。本実施の形態1では6気筒であるので、120°CA毎に実行される。
【0147】
燃料噴射量制御処理が開始されると、まず回転数センサ82の信号から得られているエンジン回転数NE、吸入空気量センサ88の信号から得られている吸入空気量GA、及び空燃比センサ90の信号から得られている空燃比検出値VoxをECU24のRAM内の作業領域に読み込む(S120)。
【0148】
次に前述した燃焼方式設定処理にて(図4)、現在、燃焼方式F3が設定されているか否かが判定される(S126)。燃焼方式F3が設定されていると判定された場合には(S126で「YES」)、予めECU24のROMに設定されている図8のマップを用いて、吸入空気量GAとエンジン回転数NEとから、理論空燃比基本燃料噴射量QBSが算出される(S130)。
【0149】
次にOT増量処理(S140)が行われる。このOT増量処理は触媒コンバータ49が過熱するのを防止するために必要に応じてなされる燃料増量処理である。
【0150】
OT増量処理(S140)にて触媒過熱防止増量OTが算出された後に、空燃比フィードバック条件が成立しているか否かが判定される(S150)。例えば、「(1)始動時でない。(2)暖機完了している。(例えば冷却水温度THW≧40℃)(3)空燃比センサ90は活性化が完了している。(4)触媒過熱防止増量OTの値が0である。」の条件がすべて成立しているか否かが判定される。
【0151】
空燃比フィードバック条件が成立していれば(S150で「YES」)、空燃比フィードバック係数FAFとその学習値KGの算出が行われる(S160)。空燃比フィードバック係数FAFは空燃比センサ90の出力に基づいて算出される。又、学習値KGは空燃比フィードバック係数FAFにおける、中心値1.0からのずれ量を記憶するものである。
【0152】
一方、空燃比フィードバック条件が成立していなければ(S150で「NO」)、空燃比フィードバック係数FAFには1.0が設定される(S170)。
そしてステップS160又はS170の次に、燃料噴射量Qが次式1のごとく求められる(S180)。
【0153】
【数1】
Q ←
QBS{ 1 + OT + (FAF-1.0) + (KG-1.0)}KSCV・α + β… [式1]
ここで、α,βはエンジン2の種類や制御の内容に応じて適宜設定される係数である。又、KSCVは後述する気流制御弁開弁時燃料低減処理にて設定される気流制御弁開弁時補正係数である。
【0154】
こうして一旦燃料噴射量制御処理を終了する。
又、ステップS126にて、燃焼方式F1,F2のいずれかの場合は(S126で「NO」)、燃料噴射量Qには、燃焼方式設定処理(図4)のステップS110にて求められているリーン燃料噴射量QLが設定される(S190)。こうして一旦燃料噴射量制御処理を終了する。
【0155】
気流制御弁34の開閉制御処理を図9のフローチャートに示す。本処理は予め設定されているクランク角毎に周期的に実行される処理である。本実施の形態1では6気筒であるので、120°CA毎に実行される。まず、エンジン回転数NE及び吸入空気量GAがECU24のRAM内の作業領域に読み込まれる(S210)。次にこのエンジン回転数NE及び吸入空気量GAに基づいてサージタンク32内の吸気負圧が算出される(S220)。そして、この吸気負圧が、負圧タンク37bを介して負圧アクチュエータ38を作動させるに十分な負圧であるか否かが判定される(S230)。気流制御弁34の駆動、すなわち負圧アクチュエータ38が気流制御弁34を回動させて図2に示した開弁状態から、図3に示した閉弁状態にできる十分な負圧状態であれば(S230で「YES」)、図10に示すマップにより、エンジン回転数NE及び負荷Qb(例えば、吸入空気量GA、リーン燃料噴射量QL、スロットル開度TAあるいはアクセル開度ACCP)に基づいて、気流制御弁34が開閉駆動される(S240)。こうして一旦本処理を終了する。
【0156】
図10において、破線で示す低回転低負荷側の領域は図6のマップに従って成層燃焼(F1,F2)が実行されている領域を示している。この領域では乱流を抑制するために気流制御弁34は開弁状態に駆動される。又、高負荷側においても、大量の吸気を燃焼室10内に供給する必要上、気流制御弁34は開弁状態に駆動される。これ以外の領域においては、気流制御弁34を閉弁状態に駆動して燃焼室10内に強い乱流を発生させて燃料噴射弁22から噴射される燃料の霧化を良好化し燃焼性の向上がなされる。尚、本実施の形態1では、気流制御弁34の閉弁状態と開弁状態との間で相互に切り替える際は、常に均質燃焼(F3)の状態で行われる。
【0157】
又、気流制御弁34を閉弁状態にするために十分な負圧状態でなければ(S230で「NO」)、気流制御弁34は開弁状態に限定された駆動がなされる(S250)。こうして一旦本処理を終了する。このように負圧が不十分であると、ECU24により電磁三方切換弁39を切り替えて気流制御弁34を閉弁駆動しようとしても、気流制御弁34の閉弁状態が不完全となる。このため燃焼室10内に乱流を十分に発生させることができなくなり、安定したエンジン運転が困難となるおそれがある。したがって負圧アクチュエータ38の負圧室38b内に負圧導入をせず、大気圧として気流制御弁34を開弁状態に維持する。
【0158】
気流制御弁開弁時燃料低減処理を図11のフローチャートに示す。本処理は、燃料噴射量制御処理(図7)と同じく、予め設定されているクランク角毎に周期的に実行される処理である。ここでは120°CA毎に繰り返し実行される。
【0159】
本処理が開始されると、まず、気流制御弁34が前記気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁状態となるように駆動されているか否かが判定される(S310)。ここで開弁駆動されていなければ(S310で「NO」)、気流制御弁切替カウンタCSCVの値をクリアする(S320)。次に前述した気流制御弁開弁時補正係数KSCVに「1.0」を設定して(S330)、一旦本処理を終了する。気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁駆動されない限り、ステップS310で「NO」と判定されて、上述した処理が繰り返される。このため、前記燃料噴射量制御処理(図7)のステップS180では、燃料噴射量Qに対して気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正はなされない。
【0160】
次に気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁駆動された場合には(S310で「YES」)、次に気流制御弁切替カウンタCSCVがインクリメントされる(S340)。そして、気流制御弁切替カウンタCSCVの値が補償停止判定値CSCVMX以下か否かが判定される(S350)。この補償停止判定値CSCVMXは、気流制御弁34から第2吸気弁12bまでの間の第2吸気ポート14bの空間に蓄積されていた分の既燃ガスや未燃ガスがなくなるまでのサイクル数に相当するカウント値を表している。すなわち、補償停止判定値CSCVMXは、図3に示したごとく閉じていた気流制御弁34が図2に示すごとく開いた場合に、それまでに全気筒において気流制御弁34から第2吸気弁12bまでの間の第2吸気ポート14b内に蓄積されていた分の既燃ガスや未燃ガスが燃焼室10側へ完全に排出されるまでのサイクル数を経過したか否かを判定するための値である。
【0161】
初期においては、CSCV<CSCVMXであるので(S350で「YES」)、気流制御弁開弁時補正係数KSCVに減量用係数値kが設定される(S360)。この減量用係数値kは、上述のごとく燃焼室10に流入した既燃ガスや未燃ガスによる酸素不足によるトルク低下を、燃料噴射量の低減により補償するための補正係数値であり、「1.0」より小さい値が設定される。この値は予め実験にて適切な値が設定されている。こうして一旦本処理を終了する。以後の制御周期で、気流制御弁切替カウンタCSCVがインクリメントされるが(S340)、CSCV≦CSCVMXである限り(S350で「YES」)、気流制御弁開弁時補正係数KSCVには減量用係数値kが設定され続ける(S360)。このため、前記燃料噴射量制御処理(図7)のステップS180では、燃料噴射量Qに対して気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正が実行される。
【0162】
そして、気流制御弁切替カウンタCSCVのインクリメント(S340)により、CSCV>CSCVMXとなると(S350で「NO」)、次に気流制御弁開弁時補正係数KSCVに「1.0」を設定して(S330)、一旦本処理を終了する。以後は、気流制御弁34が開いている限り(S310で「YES」)、気流制御弁切替カウンタCSCVが増加(S340)を継続する。このため、CSCV>CSCVMX(S350で「NO」)の状態が継続し、気流制御弁開弁時補正係数KSCVには「1.0」が設定され続ける(S330)。このため、前記燃料噴射量制御処理(図7)のステップS180では、燃料噴射量Qに対して気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正はなされなくなる。
【0163】
又、気流制御弁34が閉じた後も(S310で「NO」)、気流制御弁開弁時補正係数KSCVには「1.0」が設定され続ける(S330)。したがって燃料噴射量Qに対して気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正はなされない状態が継続する。
【0164】
そして、再度、気流制御弁34が開けば(S310で「YES」)、上述したごとく、CSCV>CSCVMXとなるまで、気流制御弁開弁時補正係数KSCVには減量用係数値kが設定されて、燃料噴射量Qに対して気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正が実行される。
【0165】
上述した実施の形態1の構成において、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図11)の内で、ステップS310が開閉判定手段としての処理に、その他のステップが燃料供給量低減手段としての処理に相当する。
【0166】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).気流制御弁34が開弁することにより、気流制御弁34と第2吸気弁12bとの間の第2吸気ポート14b内に蓄積されていた未燃ガスや既燃ガスが、燃焼室10に供給されることで燃焼室10内が通常の吸入空気よりも相対的に酸素が不足したガス状態となる。しかし、本実施の形態1では、気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240にて気流制御弁34の状態を閉弁状態から開弁状態へ切り替える時に、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図11)により、一時的に燃焼室10への燃料噴射量を低減している。このことにより酸素量の不足に対応して適切な燃料濃度にすることができる。したがって、エンジントルク低下が補償されてショックが抑制される。
【0167】
(ロ).気流制御弁34が開弁した場合に、気流制御弁34と第2吸気弁12bとの間の第2吸気ポート14b内に溜まる未燃ガスや既燃ガスは、実際にはサイクル毎に掃気される。本実施の形態1では、気流制御弁切替カウンタCSCVにより、一時的な燃料噴射量低減の期間をサイクル数にて判断しているため、より適切な燃料噴射量低減期間を設定できる。
【0168】
[実施の形態2]
本実施の形態2は、前記実施の形態1とは、図11の代わりに図12に示す気流制御弁開弁時燃料低減処理が同じ周期で実行される点が異なる。これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態1と同じである。
【0169】
気流制御弁開弁時燃料低減処理(図12)が開始されると、まず、気流制御弁34が気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁状態となるように駆動されているか否かが判定される(S410)。ここで開弁駆動されていなければ(S410で「NO」)、気流制御弁切替カウンタCSCVの値をクリアする(S420)。次に気流制御弁開弁時補正係数KSCVに「1.0」を設定して(S430)、一旦本処理を終了する。気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁駆動されない限り、ステップS410で「NO」と判定されて、上述した制御が繰り返され、KSCV=「1.0」が継続する。したがって、燃料噴射量Qに対して気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正は実行されない。
【0170】
次に気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁駆動された場合には(S410で「YES」)、次に気流制御弁切替カウンタCSCVがインクリメントされる(S440)。そして、気流制御弁切替カウンタCSCVの値が補償開始判定値CSCVMN以上か否かが判定される(S450)。この補償開始判定値CSCVMNは、開閉切替機構37に対して開弁指令がなされた後、実際に気流制御弁34が開弁状態となることで、第2吸気ポート14bに蓄積されていた分の既燃ガスや未燃ガスが燃焼室10内に入ってくるまでのサイクル数に相当するカウント値を表している。
【0171】
初期においては、CSCV<CSCVMNであるので(S450で「NO」)、次に気流制御弁開弁時補正係数KSCVに「1.0」を設定して(S430)、一旦本処理を終了する。すなわち、気流制御弁34に対して開弁駆動がなされた後も、補償開始判定値CSCVMNに相当する期間が経過するまでは、KSCV=「1.0」が維持される。したがって、まだ燃料噴射量Qに対して気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正は実行されない。
【0172】
そして、気流制御弁切替カウンタCSCVのインクリメント(S440)が繰り返されることにより、CSCV≧CSCVMNとなると(S450で「YES」)、次に、気流制御弁切替カウンタCSCVの値が補償停止判定値CSCVMX以下か否かが判定される(S460)。この補償停止判定値CSCVMXは、補償開始判定値CSCVMNより大きい値であり、前記実施の形態1にて述べたごとく気流制御弁34から第2吸気弁12bまでの間の空間に蓄積されていた分の既燃ガスや未燃ガスが完全になくなるまでのサイクル数に相当するカウント値を表している。
【0173】
最初は、CSCV<CSCVMXであるので(S460で「YES」)、気流制御弁開弁時補正係数KSCVに前記実施の形態1で述べた減量用係数値k(<1.0)が設定される(S470)。こうして一旦本処理を終了する。したがって、燃料噴射量Qに対して気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正が開始される。
【0174】
以後の制御周期で、気流制御弁切替カウンタCSCVがインクリメントされるが(S440)、CSCV≦CSCVMXである限り(S460で「YES」)、気流制御弁開弁時補正係数KSCVには減量用係数値kが設定され続ける(S470)。したがって、燃料噴射量Qに対して気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正が継続される。
【0175】
そして、気流制御弁切替カウンタCSCVのインクリメント(S440)により、CSCV>CSCVMXとなると(S460で「NO」)、次に気流制御弁開弁時補正係数KSCVに「1.0」を設定して(S430)、一旦本処理を終了する。したがって、燃料噴射量Qに対して気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正が停止される。
【0176】
以後は、気流制御弁34が開いている限り(S410「YES」)、気流制御弁切替カウンタCSCVが増加を継続する(S440)ので、CSCV>CSCVMX(S460で「NO」)の状態が継続し、気流制御弁開弁時補正係数KSCVには「1.0」が設定され続ける(S430)。すなわち、燃料噴射量Qに対して気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正が実行されない状態が継続する。
【0177】
又、気流制御弁34が閉じた後も(S410で「NO」)、気流制御弁開弁時補正係数KSCVには「1.0」が設定され続け(S430)、気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる減量補正は実行されない。
【0178】
そして、再度、気流制御弁34が開くことにより、上述したごとく、CSCVMN≦CSCV≦CSCVMXの期間において、気流制御弁開弁時補正係数KSCVに減量用係数値kが設定されて、気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる一時的な減量補正が実行される。
【0179】
上述した実施の形態2の構成において、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図12)の内でステップS410が開閉判定手段としての処理に、その他のステップが燃料供給量低減手段としての処理に相当する。
【0180】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)及び(ロ)と同じ効果が得られる。
(ロ).本実施の形態2では、気流制御弁34が実際に閉弁状態から開弁状態に完全に切り替わるまでに時間を要することを考慮している。すなわち、気流制御弁開弁時補正係数KSCVに減量用係数値kを設定することによる燃料噴射量の低減実行に際しては、補償開始判定値CSCVMNの設定により遅延期間を設けている。このことにより、燃焼室10内における酸素濃度不足の開始タイミングに、一時的な燃料噴射量低減の開始を、より適切に合わせることができ、ショックが一層適切に抑制される。
【0181】
[実施の形態3]
本実施の形態3は、前記実施の形態2とは、図12に示した気流制御弁開弁時燃料低減処理のステップS470の代わりに図13に示す処理が行われる点が異なる。これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態2と同じである。
【0182】
すなわち、ステップS460にて「YES」と判定されると、まずサイクルカウンタCCYCに次式2のごとく計算した値を設定する(S471)。
【0183】
【数2】
CCYC ← INT[(CSCV−CSCVMN)/気筒数] … [式2]
ここで、INT[]は、[]内の数値の整数部分を抽出する演算子を示している。又、本実施の形態3では6気筒のエンジン2であるので、気筒数=6である。したがって、前記式2は、気流制御弁切替カウンタCSCVが補償開始判定値CSCVMN以上となった状態で経過したサイクル数を表している。
【0184】
次に、次式3のごとく気流制御弁開弁時補正係数KSCVを算出する(S472)。
【0185】
【数3】
KSCV ← k + CCYC×Δk … [式3]
ここで、Δkは燃料低減補正減衰係数を表している。すなわち、サイクルカウンタCCYCが上昇するごとに、気流制御弁開弁時補正係数KSCVは、減量用係数値kから燃料低減補正減衰係数Δk分、上昇する。この燃料低減補正減衰係数Δkは、予め実験により、第2吸気ポート14bに蓄積されていた既燃ガスや未燃ガスが、気流制御弁34が開弁した後にサイクル毎に次第に減少するパターンに適合させて設定されている。
【0186】
次に、気流制御弁開弁時補正係数KSCVの値が「1.0」以下か否かが判定される(S473)。KSCV≦「1.0」であれば(S473で「YES」)、一旦終了する。一方、KSCV>「1.0」であれば(S473で「NO」)、気流制御弁開弁時補正係数KSCVに「1.0」を設定して(S474)、一旦終了する。
【0187】
このような処理により、CSCVMN≦CSCV≦CSCVMXの期間において、気流制御弁開弁時補正係数KSCVに減量用係数値kが設定されて、気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる一時的な減量補正が実行される。これとともに、CSCVMN≦CSCV≦CSCVMXの期間において、気流制御弁開弁時補正係数KSCVが「1.0」を上限として次第に上昇し、気流制御弁開弁時補正係数KSCVによる一時的な減量補正が減衰してゆく。
【0188】
上述した実施の形態3の構成において、ステップS470の処理を図13のごとく置き換えた気流制御弁開弁時燃料低減処理(図12)の内で、ステップS410が開閉判定手段としての処理に、その他のステップが燃料供給量低減手段としての処理に相当する。
【0189】
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態2の(イ)及び(ロ)と同じ効果が得られる。
(ロ).第2吸気ポート14bに蓄積された未燃ガスや既燃ガスは、気流制御弁34が開弁するとサイクル毎に掃気される。このことにより、気流制御弁34の開弁後に、燃焼室10内に流れ込む未燃ガスや既燃ガスの量は次第に少なくなる。このため、経過するサイクル毎に必要とする燃料噴射量低減の程度は小さくなるので、気流制御弁開弁時補正係数KSCVを次第に増加させ、燃料噴射量低減を減衰させている。このことにより、燃焼室10内を、より適切な燃料濃度状態に維持することができ、エンジントルク低下が一層適切に補償されてショックが一層適切に抑制される。
【0190】
[実施の形態4]
本実施の形態4は、前記実施の形態2の制御に加えて、図14に示す減量用係数値k設定処理が実行される点が異なる。これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態2と同じである。
【0191】
減量用係数値k設定処理(図14)は、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図12)と同じ周期で繰り返し実行される。ただし、減量用係数値k設定処理(図14)は、常に気流制御弁開弁時燃料低減処理(図12)の実行直前に実行される。
【0192】
減量用係数値k設定処理(図14)について説明する。本処理が開始されると、まず、前記ステップS410と同じく気流制御弁34の開弁駆動がなされているか否かが判定される(S500)。開弁駆動がなされていなければ(S500で「NO」)、次に、ECU24により別途実行されている燃料噴射時期制御処理の算出データから、現在の燃料噴射時期進角値θaが読み込まれる(S510)。この燃料噴射時期進角値θaは、燃料噴射時期制御においては例えばエンジン回転数NEとエンジン負荷Qbとのマップから算出されている。
【0193】
次に、エンジン負荷Qbが読み込まれる(S520)。そして、次に、閉弁期間カウンタTcがインクリメントされる(S530)。この閉弁期間カウンタTcは、ECU24起動時の初期設定にて「0」に設定されているカウンタであり、気流制御弁34が閉弁状態にある期間を測定するカウンタである。すなわち、気流制御弁34が閉弁状態にある場合に(S500で「NO」)、制御周期毎にカウントアップされるものである。こうして一旦本処理を終了する。したがって、気流制御弁34の閉弁駆動が継続する限り(S500で「NO」)、燃料噴射時期進角値θa及びエンジン負荷Qbの読み込み値が最新の値に更新され(S510,S520)、閉弁期間カウンタTcがインクリメントされる(S530)。
【0194】
そして、気流制御弁34が開弁駆動されると(S500で「YES」)、次に閉弁期間カウンタTcが0を越えているか否かが判定される(S540)。直前まで気流制御弁34は閉弁駆動されており、閉弁期間カウンタTcはインクリメントされていたので、最初は、Tc>0である(S540で「YES」)。次に、図15(a)に示すマップAにより、直前まで更新されていた燃料噴射時期進角値θaに基づいて、第1係数kaを算出する(S550)。このマップAは、燃料噴射時期が進角側に行くほど第1係数kaが増加して「1.0」に近づき、燃料噴射時期が遅角側に行くほど第1係数kaが減少して「0.0」に近づくように構成されている。
【0195】
次に、図15(b)に示すマップBにより、直前まで更新されていたエンジン負荷Qbに基づいて、第2係数kbを算出する(S560)。このマップBは、エンジン負荷Qbが大きくなるほど第2係数kbが減少して「0.0」に近づき、エンジン負荷Qbが小さくなるほど第2係数kbが増加して「1.0」に近づくように構成されている。
【0196】
次に、図15(c)に示すマップCにより、閉弁状態時にカウントされていた閉弁期間カウンタTcに基づいて、第3係数kcを算出する(S570)。このマップCは、閉弁期間カウンタTcが大きくなるほど第3係数kcが増加して「1.0」に近づき、閉弁期間カウンタTcが小さくなるほど第3係数kcが減少して「0.0」に近づくように構成されている。尚、閉弁期間カウンタTc=「0」では、第3係数kc=「0.0」である。
【0197】
次に、閉弁期間カウンタTcがクリアされる(S580)。そして、次式4に示すごとく減量用係数値kが算出される(S590)。
【0198】
【数4】
k ← 1.0 − ka × kb × kc … [式4]
このようにして、減量用係数値kが算出されると一旦本処理を終了する。このことにより、本処理の直後に実行される気流制御弁開弁時燃料低減処理(図12)においては、以後、ステップS450,S460の条件が満たされるようになれば、ステップS590にて設定された減量用係数値kがステップS470にて気流制御弁開弁時補正係数KSCVに設定されることになる。
【0199】
減量用係数値k設定処理(図14)における次の制御周期では、気流制御弁34は開弁駆動されているが(S500で「YES」)、閉弁期間カウンタTc=「0」であることから(S540で「NO」)、ステップS550〜S590は実行されずに本処理は一旦終了する。
【0200】
以後、気流制御弁34が開弁駆動されている限り、ステップS500で「YES」、ステップS540で「NO」と判定される処理が継続し、最初にステップS590にて求められた減量用係数値kの値が維持される。そして、気流制御弁34が閉弁駆動されると(S500で「NO」)、前述したステップS510〜S530の処理が実行されるようになる。そして、再度、気流制御弁34が開弁駆動されると(S500で「YES」)、新たに減量用係数値kが設定されて、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図12)のステップS470にて用いられる。
【0201】
上述した実施の形態4の構成において、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図12)の内でステップS410が開閉判定手段としての処理に、その他のステップ及び減量用係数値k設定処理(図14)が燃料供給量低減手段としての処理に相当する。
【0202】
以上説明した本実施の形態4によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態2の(イ)及び(ロ)と同じ効果が得られる。
(ロ).燃料噴射時期が進角側にあるほど、エンジン2のピストンが第2吸気ポート14bに近い位置で、燃料噴射弁22から燃料が燃焼室10内に噴射されることになり、ピストン頂部により跳ね返された燃料が第2吸気ポート14b側に到達し易くなる。このため、燃料噴射時期が進角側にあるほど、気流制御弁34と第2吸気弁12bとの間の第2吸気ポート14bに溜まる未燃ガスの量が多くなる傾向にある。したがって、気流制御弁34について閉弁状態から開弁状態への判定切り替え直前での燃料噴射時期進角値θaが大きい程、第1係数kaを増加させて「1.0」に近づけている。このことにより燃料噴射時期進角値θaが大きい程、減量用係数値kを小さくして、燃料噴射減量の程度を大きくしている。こうして、燃焼室10内の酸素不足の程度に適合させて、より適切な燃料濃度にすることができ、エンジントルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0203】
(ハ).エンジン2の高負荷側では燃料噴射量は多量となるが、多量となるほど燃料噴射期間の終わりでは、ピストンは第2吸気ポート14bから離れる。このことにより、燃料噴射量の割には第2吸気ポート14b側への燃料の到達量は増加しない。そして、エンジン2の高負荷側では吸入空気量が増加するため、トータルとしては気流制御弁34と第2吸気弁12bとの間の第2吸気ポート14bに溜まる未燃ガスや既燃ガスの割合は少なくなる傾向にある。したがって、第2係数kbを、気流制御弁34が閉弁状態から開弁状態への判定切り替え直前でのエンジン負荷Qbが大きい程、「0.0」に近づけている。このことによりエンジン負荷Qbが大きい程、減量用係数値kを大きくして、燃料噴射減量の程度を小さくしている。こうして、燃焼室10内の酸素不足の程度に適合させて、より適切な燃料濃度にすることができ、エンジントルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0204】
(ニ).気流制御弁34が開弁した場合、直前の気流制御弁34の閉弁期間が短い程、気流制御弁34と第2吸気弁12bとの間の第2吸気ポート14bに溜まる未燃ガスや既燃ガスの量は少なくなる。このため、第3係数kcを、閉弁期間カウンタTcにて測定されている気流制御弁34の閉弁期間が短い程、「0.0」に近づけている。このことにより気流制御弁34の閉弁期間が短い程、減量用係数値kを大きくして、燃料噴射減量の程度を小さくしている。こうして、燃焼室10内の酸素不足の程度に適合させて、より適切な燃料濃度にすることができ、エンジントルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0205】
[実施の形態5]
本実施の形態5は、前記実施の形態1とは、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図11)は実行せず、点火時期進角値設定処理として図16に示す処理が実行される点が異なる。又、燃料噴射量制御処理(図7)において、ステップS180では、燃料噴射量Qが次式5のごとく気流制御弁開弁時補正係数KSCVを用いずに求められる。
【0206】
【数5】
Q ←QBS{ 1 + OT + (FAF-1.0) + (KG-1.0)}α + β… [式5]
これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態1と同じである。
【0207】
点火時期進角値設定処理(図16)について説明する。本処理は、予め設定されているクランク角、ここでは120°CA毎に繰り返し実行される。本処理が開始されると、まず、エンジン回転数NEとエンジン負荷Qbとに基づいて、点火時期進角値マップから点火進角基準値tAOPを算出する(S610)。次に、気流制御弁34が前記気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁駆動されているか否かが判定される(S620)。ここで開弁駆動されていなければ(S620で「NO」)、気流制御弁切替カウンタCSCVの値をクリアする(S630)。次にステップS610にて算出した点火進角基準値tAOPを、そのまま実点火進角値AOPに設定して(S640)、一旦本処理を終了する。気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁駆動されない限り、ステップS620で「NO」と判定されて、上述した処理が繰り返される。
【0208】
次に気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により気流制御弁34が開弁駆動された場合には(S620で「YES」)、次に気流制御弁切替カウンタCSCVがインクリメントされる(S650)。そして、気流制御弁切替カウンタCSCVの値が補償停止判定値CSCVMX以下か否かが判定される(S660)。この補償停止判定値CSCVMXは、前述したごとく気流制御弁34から第2吸気弁12bまでの間の第2吸気ポート14b空間に蓄積されていた既燃ガスが掃気されて無くなるまでのサイクル数に相当するカウント値を表している。
【0209】
最初は、CSCV<CSCVMXであるので(S660で「YES」)、次に、次式6に示すごとく、実点火進角値AOPを求める(S670)。
【0210】
【数6】
AOP ← tAOP + KAOPSCV … [式6]
ここで、気流制御弁開弁時の点火進角補正値KAOPSCVは、上述のごとく燃焼室10に流入した既燃ガスによるトルク低下を、点火時期の進角により補償するための補正値である。この値は予め実験にて設定されている。こうして一旦本処理を終了する。このため点火プラグ20による実際の点火時期が通常よりも点火進角補正値KAOPSCV分の進角がなされることにより、エンジントルクが上昇されて、既燃ガスによるトルク低下分が補償される。
【0211】
以後の制御周期で、気流制御弁切替カウンタCSCVがインクリメントされるが(S650)、CSCV≦CSCVMXである限り(S660で「YES」)、通常よりも点火進角補正値KAOPSCV分、進角された点火時期が継続し(S670)、トルク低下に対する補償がなされる。
【0212】
そして、気流制御弁切替カウンタCSCVのインクリメント(S650)により、CSCV>CSCVMXとなると(S660で「NO」)、次に実点火進角値AOPに点火進角基準値tAOPをそのまま設定して(S640)、一旦本処理を終了する。こうして、既燃ガスによるトルク低下が終了するタイミングで、点火進角補正値KAOPSCV分の点火時期進角を終了する。
【0213】
以後は、気流制御弁34が開弁駆動されている限り(S620で「YES」)、気流制御弁切替カウンタCSCVが増加を継続する(S650)。このため、CSCV>CSCVMX(S660で「NO」)の状態が継続し、実点火進角値AOPには点火進角基準値tAOPがそのまま設定される状態、すなわち通常の点火時期状態が行われる(S640)。
【0214】
又、気流制御弁34が閉弁駆動された後も(S620で「NO」)、実点火進角値AOPには点火進角基準値tAOPがそのまま設定され続ける(S640)。そして、再度、気流制御弁34が開弁駆動されることにより、上述したごとく、CSCV>CSCVMXとなるまで、通常よりも点火進角補正値KAOPSCV分、進角された点火時期制御が繰り返される(S670)。
【0215】
上述した実施の形態5の構成において、点火時期進角値設定処理(図16)の内で、ステップS620が開閉判定手段としての処理に、その他のステップが点火時期進角手段としての処理に相当する。
【0216】
以上説明した本実施の形態5によれば、以下の効果が得られる。
(イ).気流制御弁34が開弁することにより既燃ガスが燃焼室10内に流れ込み、燃焼速度が低下してエンジントルクの低下を引き起こすが、本実施の形態5では、点火時期の一時的な進角によりエンジントルクを上昇させて補償している。このことによりショックが抑制される。
【0217】
(ロ).気流制御弁34が開弁した場合に、気流制御弁34と第2吸気弁12bとの間の第2吸気ポート14bに溜まる既燃ガスは、サイクル毎に掃気される。本実施の形態5では、一時的な点火時期進角の期間を、気流制御弁切替カウンタCSCVのカウントによりサイクル数にて判断しているため、より適切な点火時期の進角期間を設定できる。
【0218】
[実施の形態6]
本実施の形態6は、前記実施の形態5とは、図16の代わりに図17に示す点火時期進角値設定処理が同じ周期で実行される点が異なる。これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態5と同じである。
【0219】
点火時期進角値設定処理(図17)について説明する。本処理が開始されると、まず、エンジン回転数NEとエンジン負荷Qbとに基づいて、点火時期進角値マップから点火進角基準値tAOPを算出する(S710)。次に、気流制御弁34が前記気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁駆動されているか否かが判定される(S720)。ここで開弁駆動されていなければ(S720で「NO」)、気流制御弁切替カウンタCSCVの値をクリアし(S730)、次にステップS610にて算出した点火進角基準値tAOPを、そのまま実点火進角値AOPに設定して(S740)、一旦本処理を終了する。気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁駆動されない限り、ステップS720で「NO」と判定されて、上述した処理が繰り返される。
【0220】
次に気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁駆動された場合には(S720で「YES」)、次に気流制御弁切替カウンタCSCVがインクリメントされる(S750)。そして、気流制御弁切替カウンタCSCVの値が補償開始判定値CSCVMN以上か否かが判定される(S760)。この補償開始判定値CSCVMNは、前述したごとく開閉切替機構37に対して開弁指令がなされた後、実際に気流制御弁34が開弁状態となることで、第2吸気ポート14bに蓄積されていた分の既燃ガスが燃焼室10内に入って来るまでのサイクル数に相当するカウント値を表している。
【0221】
最初は、CSCV<CSCVMNであるので(S760で「NO」)、次にステップS610にて算出した点火進角基準値tAOPを、そのまま実点火進角値AOPに設定して(S740)、一旦本処理を終了する。すなわち、気流制御弁34に対して開弁駆動された後も、補償開始判定値CSCVMNに相当する期間が経過するまでは、通常の点火時期が維持される。
【0222】
そして、気流制御弁切替カウンタCSCVのインクリメント(S750)が繰り返されることにより、CSCV≧CSCVMNとなると(S760で「YES」)、次に、気流制御弁切替カウンタCSCVの値が補償停止判定値CSCVMX以下か否かが判定される(S770)。この補償停止判定値CSCVMXは、前述したごとく気流制御弁34から第2吸気弁12bまでの間の空間に蓄積されていた分の既燃ガスがなくなるまでのサイクル数に相当するカウント値を表している。
【0223】
最初は、CSCV<CSCVMXであるので(S770で「YES」)、次に、前記実施の形態5の式6に示したごとく、実点火進角値AOPを求める(S780)。こうして一旦本処理を終了する。このことにより、点火時期は通常よりも点火進角補正値KAOPSCV分、進角する。
【0224】
以後の制御周期で、気流制御弁切替カウンタCSCVがインクリメントされるが(S750)、CSCV≦CSCVMXである限り(S770で「YES」)、通常よりも点火進角補正値KAOPSCV分、進角された点火時期が継続する(S780)。
【0225】
そして、気流制御弁切替カウンタCSCVのインクリメント(S750)により、CSCV>CSCVMXとなると(S770で「NO」)、次に実点火進角値AOPに点火進角基準値tAOPをそのまま設定して(S740)、一旦本処理を終了する。こうして通常の点火時期に戻される。
【0226】
以後は、気流制御弁34が開弁駆動されている限り(S720で「YES」)、気流制御弁切替カウンタCSCVが増加を継続する(S750)。このため、CSCV>CSCVMX(S770で「NO」)の状態が継続し、実点火進角値AOPには点火進角基準値tAOPがそのまま設定される状態、すなわち通常の点火時期状態が継続する(S740)。
【0227】
又、気流制御弁34が閉弁駆動された後も(S720で「NO」)、実点火進角値AOPには点火進角基準値tAOPがそのまま設定され続ける(S740)。そして、再度、気流制御弁34が開弁駆動されることにより、上述したごとく、CSCVMN≦CSCV≦CSCVMXの期間において、一時的に通常よりも点火進角補正値KAOPSCV分、進角された点火時期制御が繰り返される。
【0228】
上述した実施の形態6の構成において、点火時期進角値設定処理(図17)の内で、ステップS720が開閉判定手段としての処理に、その他のステップが点火時期進角手段としての処理に相当する。
【0229】
以上説明した本実施の形態6によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態5の(イ)及び(ロ)と同じ効果が得られる。
(ロ).本実施の形態6では、気流制御弁34が実際に閉弁状態から開弁状態に完全に切り替わるまでに時間を要することを考慮して、通常よりも点火時期を進角するに際しては、補償開始判定値CSCVMNの設定により遅延期間を設けている。このことにより、既燃ガスによるトルク低下の開始タイミングに、一時的な点火時期進角の開始を、より適切に合わせることができ、ショックを一層適切に抑制できる。
【0230】
[実施の形態7]
本実施の形態7は、前記実施の形態6とは、図17に示した点火時期進角値設定処理のステップS780の代わりに図18に示す処理が行われる点が異なる。これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態6と同じである。
【0231】
すなわち、ステップS770にて「YES」と判定されると、まずサイクルカウンタCCYCに前記実施の形態3の式2に示したごとくに計算した値を設定する(S781)。すなわち、サイクルカウンタCCYCには、気流制御弁切替カウンタCSCVが補償開始判定値CSCVMN以上となった状態で経過したサイクル数が設定される。
【0232】
次に、次式7のごとく点火進角補正値KAOPSCVを算出する(S782)。
【0233】
【数7】
KAOPSCV ←
KAOPSCVB − CCYC×ΔKAOPSCV … [式7]
ここで、KAOPSCVBは点火進角補正値KAOPSCVの初期点火進角補正値を表し、ΔKAOPSCVは点火進角補正減衰係数を表している。すなわち、サイクルカウンタCCYCが上昇するごとに、点火進角補正値KAOPSCVは、初期点火進角補正値KAOPSCVBから点火進角補正減衰係数ΔKAOPSCV分、小さくなる。この点火進角補正減衰係数ΔKAOPSCVは、予め実験により、第2吸気ポート14bに蓄積されていた既燃ガスが、気流制御弁34が開弁した後にサイクル毎に次第に減少するパターンに適合させて設定されている。
【0234】
次に、点火進角補正値KAOPSCVの値が「0」以上か否かが判定される(S783)。KAOPSCV≧0であれば(S783で「YES」)、ステップS782にて算出された点火進角補正値KAOPSCVをそのまま用いて、前記実施の形態5の式6に示したごとく点火進角基準値tAOPに加算して実点火進角値AOPを求める(S785)。一方、KAOPSCV<0であれば(S783で「NO」)、点火進角補正値KAOPSCVに「0」を設定した(S784)後に、前記実施の形態5の式6に示したごとく実点火進角値AOPを求める(S785)。
【0235】
上述した実施の形態7の構成において、ステップS780の処理を図18のごとく置き換えた点火時期進角値設定処理(図17)の内で、ステップS720が開閉判定手段としての処理に、その他のステップが点火時期進角手段としての処理に相当する。
【0236】
以上説明した本実施の形態7によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態6の(イ)及び(ロ)と同じ効果が得られる。
(ロ).第2吸気ポート14bに蓄積された既燃ガスは、気流制御弁34が開弁するとサイクル毎に掃気される。このことにより、気流制御弁34の開弁後に、燃焼室10内に流れ込む既燃ガスの量は次第に少なくなる。このため、経過するサイクル毎にトルク補償のために必要とする点火時期の進角の程度は小さくなる。したがって、点火進角補正値KAOPSCVは一定でなく、前述のごとく蓄積されていた既燃ガスの燃焼室流入量がサイクルを繰り返す毎に減少することに対応させて、点火進角補正値KAOPSCVによる点火時期進角の程度を減衰させている。このことにより、エンジン2のトルク低下が一層適切に補償されてショックが一層適切に抑制される。
【0237】
[実施の形態8]
本実施の形態8は、エンジン2には前記図1の構成に加えて、図19に示すごとくの可変バルブタイミング機構が設けられている。更に、ECU24が実行する制御については、前記実施の形態6をベースにするが、前記実施の形態6の制御に加えて、図20に示す点火進角補正値KAOPSCV設定処理が実行される点が異なる。これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態6と同じである。
【0238】
まず、図19に示す可変バルブタイミング機構について説明する。本可変バルブタイミング機構では、回転位相差可変アクチュエータ110を備えることで、第1吸気弁12a及び第2吸気弁12bのバルブタイミングの進角の程度を調整可能としている。そして可変バルブタイミング制御用ECU(以下、VVT−ECUと称する)120はエンジン2の運転状態に応じて、油圧制御により回転位相差可変アクチュエータ110を制御する。このことにより、VVT−ECU120は、例えば、充填効率や内部EGR量の調整処理等を実行している。
【0239】
回転位相差可変アクチュエータ110は、外周に吸気カムスプロケット110aを備えた円筒状ハウジング110b及びハウジング110b内部に配置されたベーンロータ110cから構成されている。吸気カムスプロケット110aはタイミングチェーン(図示略)を介して、エンジン2のクランクシャフトの回転に連動している。尚、図19では回転位相差可変アクチュエータ110は2つ描かれているが、一体のものであり、右側が正面図を表し、左側は正面図におけるI−I断面図を表している。
【0240】
回転位相差可変アクチュエータ110のハウジング110b内面にはベーンロータ110cの軸部110dに伸びて接触する壁部110eが対向する位置に複数(ここでは2つ)設けられている。又、ベーンロータ110cの軸部110dには、壁部110eの間でハウジング110b内面へ延びて接触するベーン110fが複数(ここでは2つ)形成されている。このことにより、ハウジング110b内部には壁部110eとベーン110fとにより区画された複数(ここでは2つ)の進角油圧室110gと複数(ここでは2つ)の遅角油圧室110hとが形成されている。そして進角油圧室110gには第1給排通路110iが接続され、遅角油圧室110hには第2給排通路110jが接続されている。これら給排通路110i,110jにより、進角油圧室110gおよび遅角油圧室110hはオイルコントロールバルブ109を介して、供給通路106および排出通路107に接続されている。
【0241】
又、ベーンロータ110cの軸部110dの中心には中心孔が設けられ、内面には軸方向に伸びる突条が形成されている。この中心孔には吸気カムシャフト130の一端が挿入されている。吸気カムシャフト130において、中心孔に挿入された部分には軸方向に伸びる溝が形成されており、この溝には軸部110dの中心孔に形成された突条が摺動可能に嵌め込まれている。このため吸気カムシャフト130は、回転位相差可変アクチュエータ110の回転に追随する。
【0242】
VVT−ECU120からのOCV信号が「OFF」であることによりオイルコントロールバルブ109が図19に示すごとく、第1給排通路110iと排出通路107とを接続して進角油圧室110gから作動油を排出し、第2給排通路110jと供給通路106とを接続して遅角油圧室110hに作動油を供給する状態(以下、「遅角駆動状態」と称する)にすると、進角油圧室110gが周方向に縮小し、遅角油圧室110hが周方向に拡大する。このことにより、ベーンロータ110cはクランクシャフトに対して相対回転位相差が遅角側へ変化する。この結果、吸気カムシャフト130もクランクシャフトに対して遅角側に相対回転して、両吸気弁12a,12bのバルブタイミングが遅角側に変化する。
【0243】
又、VVT−ECU120からのOCV信号が「ON」であることによりオイルコントロールバルブ109が、第1給排通路110iと供給通路106とを接続して進角油圧室110gに作動油を供給し、第2給排通路110jと排出通路107とを接続して遅角油圧室110hから作動油を排出する状態(以下、「進角駆動状態」と称する)にすると、進角油圧室110gが周方向に拡大し、遅角油圧室110hが周方向に縮小する。このことにより、ベーンロータ110cはクランクシャフトに対して相対回転位相差が進角側へ変化する。この結果、吸気カムシャフト130もクランクシャフトに対して進角側に相対回転して、両吸気弁12a,12bのバルブタイミングが進角側に変化する。
【0244】
又、VVT−ECU120からのOCV信号の電流供給量が制御されることで、オイルコントロールバルブ109が、給排通路110i,110jと、供給通路106および排出通路107との間を遮断して、進角油圧室110g及び遅角油圧室110hを密閉する状態(以下、「固定状態」と称する)にすると、進角油圧室110gと遅角油圧室110hとはその容積が変化しなくなる。このことにより、ベーンロータ110cはクランクシャフトに対して相対回転位相差が固定される。この結果、吸気カムシャフト130もクランクシャフトに対する相対回転を停止して、吸気弁12a,12bのバルブタイミングは一定に維持される。
【0245】
尚、VVT−ECU120は、吸気カム132のカム角を検出するカム角センサ140により、吸気カムシャフト130の進角の程度を検出して、バルブタイミング制御に用いている。又、VVT−ECU120とエンジン制御用のECU24とは相互にデータ通信をして、必要な情報を交換している。
【0246】
次に、ECU24が実行する点火進角補正値KAOPSCV設定処理(図20)について説明する。本処理は、点火時期進角値設定処理(図17)と同じ周期で繰り返し実行される。ただし、点火進角補正値KAOPSCV設定処理(図20)は、常に点火時期進角値設定処理(図17)の実行直前に実行される。
【0247】
点火進角補正値KAOPSCV設定処理(図20)が開始されると、まず、気流制御弁34の開弁駆動なされているか否かが判定される(S810)。開弁駆動がなされていなければ(S810で「NO」)、次に、VVT−ECU120により実行されているバルブタイミング制御において設定されている実バルブタイミング進角値を、値VVTとして読み込む(S820)。この実バルブタイミング進角値VVTは、クランクシャフトに対する吸気バルブタイミングの進角程度を表している。
【0248】
次に、閉弁期間カウンタTcがインクリメントされる(S830)。この閉弁期間カウンタTcは、ECU24起動時の初期設定にて「0」に設定されているカウンタであり、気流制御弁34が閉弁駆動されている期間を測定するカウンタである。こうして一旦本処理を終了する。したがって、気流制御弁34の閉弁駆動が継続する限り(S810で「NO」)、実バルブタイミング進角値VVTが最新の値に更新され(S820)、閉弁期間カウンタTcがインクリメントされる(S830)。
【0249】
そして、気流制御弁34が開弁駆動されると(S810で「YES」)、次に閉弁期間カウンタTcが0を越えているか否かが判定される(S840)。最初は、直前まで気流制御弁34は閉弁駆動されており、閉弁期間カウンタTcはインクリメントされていたので、Tc>0である(S840で「YES」)。したがって、次に図21(a)に示すマップVにより、直前まで更新されていた実バルブタイミング進角値VVTに基づいて、第1係数kvtを算出する(S850)。
【0250】
実バルブタイミング進角値VVTはバルブオーバーラップと対応している。このため、このマップVは、実バルブタイミング進角値VVTが大きくなるほど、すなわちバルブオーバーラップが大きくなるほど第1係数kvtを「1.0」より大きい値とし、小さくなるほど第1係数kvtを「1.0」に近づけるように構成されている。
【0251】
次に、図21(b)に示すマップTにより、閉弁状態時にカウントされていた閉弁期間カウンタTcに基づいて、第2係数ktを算出する(S860)。このマップTは、閉弁期間カウンタTcが小さくなるほど第2係数ktを「0」に近づけ、閉弁期間カウンタTcが大きくなるほど第2係数ktを「1.0」に近づけるように構成されている。
【0252】
次に、閉弁期間カウンタTcがクリアされる(S870)。そして、次式8に示すごとく点火進角補正値KAOPSCVが算出される(S880)。
【0253】
【数8】
KAOPSCV ←
KAOPSCVBase × kvt × kt … [式8]
ここで、基本点火進角補正値KAOPSCVBaseは、実バルブタイミング進角値VVTが小さくてバルブオーバーラップが「0」(kvt=1.0)で、かつ閉弁期間カウンタTcが十分に大きい(kt=1.0)状態での、点火進角補正値KAOPSCVに相当する。したがって、実バルブタイミング進角値VVTの増大によりバルブオーバーラップが大きくなると、点火進角補正値KAOPSCVが増大する。又、閉弁期間カウンタTcが小さくなると、点火進角補正値KAOPSCVが減少することになる。このようにして、点火進角補正値KAOPSCVが算出されると一旦本処理を終了する。
【0254】
次の制御周期では、気流制御弁34は開弁駆動されているが(S810で「YES」)、閉弁期間カウンタTc=「0」であることから(S840で「NO」)、ステップS850〜S880は実行されずに本処理はこのまま一旦終了する。
【0255】
以後、気流制御弁34が開弁駆動されている限り、ステップS810で「YES」、ステップS840で「NO」と判定される処理が継続する。したがって、本処理の直後に実行される点火時期進角値設定処理(図17)において、ステップS760,S770の条件が満たされるようになれば、ステップS780の計算により、実点火進角値AOPが点火進角基準値tAOPよりも点火進角補正値KAOPSCV分進角されて設定されることになる。
【0256】
その後、気流制御弁34が閉弁駆動されると(S810で「NO」)、前述したステップS820,S830の処理が実行されるようになる。そして、点火時期進角値設定処理(図17)においては、ステップS720で「NO」と判定されるので、実点火進角値AOPには点火進角基準値tAOPがそのまま設定される(S740)ようになる。
【0257】
上述した実施の形態8の構成において、点火時期進角値設定処理(図17)のステップS720が開閉判定手段としての処理に、点火時期進角値設定処理(図17)の他のステップ及び点火進角補正値KAOPSCV設定処理(図20)が点火時期進角手段としての処理に相当する。
【0258】
以上説明した本実施の形態8によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態6の(イ)及び(ロ)と同じ効果が得られる。
(ロ).バルブオーバーラップが大きいほど、気流制御弁34と第2吸気弁12bとの間の第2吸気ポート14bに溜まる既燃ガスの量は大きくなり、気流制御弁34の開弁時におけるエンジントルクの低下の程度も大きくなる。したがって、回転位相差可変アクチュエータ110による第2吸気弁12bの進角の程度から判断して、気流制御弁34の閉弁駆動時におけるバルブオーバーラップが大きい程、点火時期の進角を大きくしている。このようにバルブオーバーラップの大きさに応じてエンジントルクの上昇程度を大きくすることで、エンジントルクの低下を適切に補償することができ、ショックが一層適切に抑制できる。
【0259】
(ハ).気流制御弁34の閉弁期間が短い程、気流制御弁34と第2吸気弁12bとの間の第2吸気ポート14bに溜まる既燃ガスの量は少なくなる。このため、気流制御弁34の閉弁期間が短い程、点火時期の進角の程度を小さくしている。このことにより、エンジントルクの低下を適切に補償することができ、ショックが適切に抑制できる。
【0260】
[実施の形態9]
本実施の形態9は、前記実施の形態1とは、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図11)は実行せず、スロットル開度制御処理として図22に示す処理が実行される点が異なる。本スロットル開度制御処理は予め設定されている短時間周期で繰り返し実行される。又、燃料噴射量制御処理(図7)における、ステップS180では、燃料噴射量Qが前記式5に示したごとく気流制御弁開弁時補正係数KSCVを用いずに求められる。これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態1と同じである。
【0261】
スロットル開度制御処理(図22)が開始されると、まず、現在、燃焼方式F3が設定されているか否かが判定される(S910)。燃焼方式F3が設定されている場合には(S910で「YES」)、次にエンジン2の運転状態、ここではアクセル開度センサ76から検出されるアクセル開度ACCPに基づいて、マップGから予定目標スロットル開度TTAを算出する(S920)。燃焼方式F3では前述したごとく理論空燃比にて均質燃焼が行われることが前提であることから、マップGは、アクセル開度ACCPの増大とともに予定目標スロットル開度TTAも増大するように設定されている。
【0262】
次に、気流制御弁34が開弁駆動されているか否かが判定される(S930)。開弁駆動されていなければ(S930で「NO」)、気流制御弁切替カウンタCSCVをクリアする(S940)。そして、実目標スロットル開度tTAに、ステップS920で求められた予定目標スロットル開度TTAをそのまま設定し(S950)、一旦本処理を終了する。
【0263】
このことにより、ECU24はスロットル弁46の開度が実目標スロットル開度tTAとなるように、スロットル開度センサ46aによるスロットル開度検出値を参照しつつ、駆動用モータ44を駆動する。この場合には、気流制御弁34は閉弁駆動されている状態なので、均質燃焼における通常のスロットル開度制御が行われることになる。
【0264】
一方、気流制御弁34が開弁駆動された場合には(S930で「YES」)、気流制御弁切替カウンタCSCVがインクリメントされる(S960)。そして気流制御弁切替カウンタCSCVが補償停止判定値CSCVMX以下か否かが判定される(S970)。最初は、CSCV<CSCVMXであることから(S970で「YES」)、次式9に示すごとく、予定目標スロットル開度TTAをスロットル開度補正値kta分、増大させる(S980)。
【0265】
【数9】
TTA ← TTA + kta … [式9]
ここで、スロットル開度補正値ktaは、気流制御弁34が開弁することにより燃焼室10に流入した既燃ガスや未燃ガスによるトルク低下を、吸入空気量の増量により補償するための補正値である。この値は予め実験にて設定されている。
【0266】
そして、このように補正された予定目標スロットル開度TTAを実目標スロットル開度tTAに設定し(S950)、一旦本処理を終了する。このことにより、スロットル弁46は通常よりも開かれることになる。
【0267】
以後、CSCV≦CSCVMXである限りは(S970で「YES」)、ステップS980が実行されるので、スロットル弁46は通常よりも開かれた状態が継続する。そして、CSCV>CSCVMXとなれば(S970で「NO」)、実目標スロットル開度tTAに、ステップS920にて求められた予定目標スロットル開度TTAをそのまま設定する(S950)。このことによりスロットル弁46は通常の開度に戻る。以後、気流制御弁34の開弁駆動が継続しても(S930で「YES」)、CSCV>CSCVMXであるので(S970で「NO」)、通常の開度制御が継続する。気流制御弁34が閉弁駆動された後も(S930で「NO」)、通常の開度制御が継続する。そして、再度、気流制御弁34が開弁駆動されると(S930で「YES」)、上述したごとく一時的にスロットル弁46が通常よりも開かれる制御が行われる。
【0268】
尚、燃焼方式F3が設定されていない場合には(S910で「NO」)、すなわち、燃焼方式F1,F2に設定されている場合には、次にエンジン2の運転状態に基づいてマップHから予定目標スロットル開度TTAを求める(S990)。この成層燃焼及び弱成層燃焼で用いられるマップHは、スロットル弁46はほぼ全開状態にする値が設定されている。そして、実目標スロットル開度tTAに、ステップS990にて求められた予定目標スロットル開度TTAを設定し(S950)、一旦本処理を終了する。
【0269】
上述した実施の形態9の構成において、スロットル開度制御処理(図22)の内で、ステップS930が開閉判定手段としての処理に、ステップS940〜S980が吸入空気量増量手段としての処理に相当する。
【0270】
以上説明した本実施の形態9によれば、以下の効果が得られる。
(イ).気流制御弁34の開弁駆動時に、一時的に吸入空気量の増量が行われる。そして更に、燃料噴射量制御処理(図7)により、吸入空気量の増量に対応して燃料も増量される。このことにより、エンジン2の燃焼室10内の混合気量が増加し、燃焼時のエンジントルクが増加する。このことにより、エンジントルク低下が補償されてショックが抑制される。
【0271】
しかも、吸入空気量の増量調整時の応答遅れは、気流制御弁34の開弁に伴う空燃比変化の応答遅れに類似している。このことから、タイミング的にも適切なトルク補償が可能となる。
【0272】
[実施の形態10]
本実施の形態10は、前記実施の形態1の気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の代わりに図23に示す処理が実行される点が異なる。又、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図11)は実行せず、燃料噴射時期制御処理として図24に示す処理が実行される点が異なる。この燃料噴射時期制御処理(図24)は、予め設定されているクランク角、ここでは120°CA毎に繰り返し実行される。又、燃料噴射量制御処理(図7)における、ステップS180では、燃料噴射量Qが前記式5に示したごとく気流制御弁開弁時補正係数KSCVを用いずに求められる。これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態1と同じである。
【0273】
まず、図23について説明する。気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS230にて「YES」と判定されると、次に現在のエンジン回転数NE及びエンジン負荷Qbに基づいて、図10に示したマップ上で気流制御弁34を開弁駆動すべき領域にあるか否かが判定される(S241)。開弁駆動すべき領域にあれば(S241で「YES」)、次に気流制御弁34の開弁予告フラグMSCVに「ON」を設定する(S242)。そして、後述する開弁許可フラグXSCVOPが「ON」か否かが判定される(S243)。XSCVOP=「ON」であれば(S243で「YES」)、気流制御弁34を開弁駆動して(S244)、一旦本処理を終了する。XSCVOP=「OFF」であれば(S243で「NO」)、気流制御弁34を閉弁駆動して(S245)、一旦本処理を終了する。
【0274】
尚、マップ上で気流制御弁34を開弁駆動すべき領域になければ、すなわちマップ上で気流制御弁34を閉弁駆動すべき領域にあれば(S241で「NO」)、開弁予告フラグMSCVに「OFF」を設定し(S246)、気流制御弁34を閉弁駆動して(S245)、一旦本処理を終了する。
【0275】
次に、燃料噴射時期制御処理(図24)について説明する。本処理が開始されると、まず、現在、燃焼方式F3であるか否かが判定される(S1010)。燃焼方式F3であれば(S1010で「YES」)、次に、燃焼方式F3用の予定燃料噴射時期AAINJが算出される(S1015)。この予定燃料噴射時期AAINJは、エンジン回転数NEとエンジン負荷Qbとに基づいて、マップIから算出される。このマップIは、吸気行程時に燃料噴射弁22から燃焼室10内に燃料を噴射するタイミングが進角値として設定されている。したがって進角すればするほど、吸気行程の早期において燃料噴射が開始されることになる。
【0276】
次に、気流制御弁34が閉弁駆動されているか否かが判定される(S1020)。気流制御弁34が開弁駆動状態である場合(S1020で「NO」)、実燃料噴射時期AINJには、前記ステップS1015にて求められた予定燃料噴射時期AAINJがそのまま設定される(S1025)。そして、前処理カウンタTdをクリアして(S1030)、一旦本処理を終了する。こうして、吸気行程において実燃料噴射時期AINJに基づくタイミングで燃料噴射弁22から燃料が燃焼室10内に噴射される。
【0277】
以後、燃焼方式F3にあって、気流制御弁34が開弁駆動状態である限り(S1020で「NO」)、マップIにて求められた予定燃料噴射時期AAINJがそのまま噴射時期として設定される状態(S1025)が継続する。
【0278】
次に、図23のステップS241にて、図10に示したマップ上で気流制御弁34を閉弁駆動すべき領域にあると判定されると(S241で「NO」)、前述したごとく、開弁予告フラグMSCVには「OFF」が設定され(S246)、気流制御弁34は閉弁駆動される(S245)。このため、燃料噴射時期制御処理(図24)のステップS1020では「YES」と判定されて、次に開弁予告フラグMSCVが「ON」か否かを判定する(S1035)。この時は、MSCV=「OFF」であるので(S1035で「NO」)、次に開弁許可フラグXSCVOPに「OFF」を設定する(S1040)。そして、実燃料噴射時期AINJには、前記ステップS1015にて求められた予定燃料噴射時期AAINJがそのまま設定され(S1025)、前処理カウンタTdをクリアして(S1030)、一旦本処理を終了する。
【0279】
したがって、以後、燃焼方式F3にあって、気流制御弁34が閉弁駆動状態である限り(S1020で「YES」、S1035で「NO」)、マップIにて求められた予定燃料噴射時期AAINJがそのまま噴射時期として設定される状態(S1025)が継続する。
【0280】
この後、図23のステップS241にて、図10に示したマップ上で気流制御弁34を開弁駆動すべき領域にあると判定された場合には(S241で「YES」)、前述したごとく、開弁予告フラグMSCVには「ON」が設定される(S242)。そして、次に開弁許可フラグXSCVOPが「ON」か否かが判定される(S243)。直前までなされていた燃料噴射時期制御処理(図24)のステップS1040にてXSCVOP=「OFF」とされているので(S243で「NO」)、気流制御弁34は閉弁駆動状態に維持される(S245)。すなわち、図10に示したマップ上で気流制御弁34を開弁駆動すべき領域になったとしても、直ちに気流制御弁34を開弁駆動することはない。
【0281】
そして、燃料噴射時期制御処理(図24)における次の制御周期では、気流制御弁34は閉弁駆動状態である(S1020で「YES」)が、開弁予告フラグMSCVが「ON」となったことから(S1035で「YES」)、次に前処理カウンタTdが噴射遅角期間Tdinjの値以下か否かが判定される(S1045)。最初はTd<Tdinjであることから(S1045で「YES」)、次に次式10に示すごとく実燃料噴射時期AINJが算出される(S1050)。
【0282】
【数10】
AINJ ← AAINJ − kainj … [式10]
ここで、遅角補正値kainjは、燃料噴射時期を遅角させることにより、エンジン2のピストンが或る程度、シリンダヘッド8に設けられている燃料噴射弁22の噴射口から離れた位置で、燃料噴射を開始させるために設けられたものである。そしてこの噴射時期の遅角によりピストン頂面による噴射燃料の反射を抑制して、第2吸気ポート14bに燃料が入り込んで未燃ガスとして蓄積されることを防止するためである。この遅角補正値kainjは、予め実験により設定されている。
【0283】
そして、前処理カウンタTdをインクリメントして(S1055)、一旦本処理を終了する。このことによりマップIにて求められた予定燃料噴射時期AAINJが遅角補正値kainjにより遅角されて、実燃料噴射時期AINJに設定される状態(S1050)が継続する。
【0284】
以後、制御周期毎に前処理カウンタTdがインクリメント(S1055)により増加するが、Td≦Tdinjである限り(S1045で「YES」)、燃料噴射時期は通常よりも遅角補正値kainj分、遅角された状態が継続する。
【0285】
そして、Td>Tdinjとなると(S1045で「NO」)、次にマップIにて求められた予定燃料噴射時期AAINJがそのまま実燃料噴射時期AINJとして設定され(S1060)、開弁許可フラグXSCVOPに「ON」が設定されて(S1065)、一旦本処理を終了する。
【0286】
したがって、この直後の図23の処理では、ステップS243にて「YES」と判定されるようになることから、気流制御弁34が開弁駆動されるようになる(S244)。
【0287】
このように気流制御弁34が開弁駆動されることから、燃料噴射時期制御処理(図24)においても、ステップS1020において「NO」と判定されるようになり、マップIにて求められた予定燃料噴射時期AAINJがそのまま実燃料噴射時期AINJとして設定され(S1025)、前処理カウンタTdがクリアされるようになる(S1030)。
【0288】
尚、燃焼方式F3ではない場合(S1010で「NO」)には、すなわち燃焼方式F1,F2である場合には、それぞれの燃焼方式F1,F2に適合させた燃料噴射時期が設定される(S1070)。すなわち、燃焼方式F1ならば必要な量の燃料を圧縮行程末期に噴射するよう燃料噴射時期が設定される。燃焼方式F2ならば必要な量の燃料を吸気行程と圧縮行程末期とに2回に分けて噴射するよう燃料噴射時期が設定される。
【0289】
図25のタイミングチャートに本実施の形態10の制御の一例を示す。図10に示したマップ上で気流制御弁34を開弁駆動すべき領域から閉弁すべき領域に切り替わった場合(時刻t0)は、燃料噴射時期は遅角補正されることはなく、気流制御弁34は直ちに開弁状態から閉弁状態に切り替わる。しかし、閉弁すべき領域から開弁駆動すべき領域に切り替わった場合(時刻t1)は、気流制御弁34は直ちに閉弁状態から開弁状態に切り替わるのではなく、気流制御弁34を開弁駆動する前に、燃料噴射時期が一時的に遅角補正される。そしてこの燃料噴射時期の遅角補正が終了する(時刻t2)と、気流制御弁34は閉弁状態から開弁状態に切り替えられる。
【0290】
上述した実施の形態10の構成において、図23の処理が開閉設定手段としての処理に、燃料噴射時期制御処理(図24)のステップS1020〜S1065が燃料供給時期遅角手段としての処理に相当する。
【0291】
以上説明した本実施の形態10によれば、以下の効果が得られる。
(イ).第2吸気弁12bの開弁時には、閉じている気流制御弁34と第2吸気ポート14bとの間隙からわずかに侵入する吸気により第2吸気ポート14b内は掃気されるが、通常の燃料噴射時期では、エンジン2のピストン頂面にて反射される燃料が多く、未燃ガスが第2吸気ポート14b内に蓄積する。
【0292】
しかし、前述したごとく燃料噴射時期を遅くすれば、燃料噴射期間におけるエンジン2のピストン位置は第2吸気ポート14bから離れる。このことにより、第2吸気ポート14bへの燃料の到達量は少なくなる。したがって、第2吸気ポート14bから掃気により排出される未燃ガス量が、燃料噴射時に侵入する未燃ガス量よりも多くなり、次第に第2吸気ポート14bに蓄積されている未燃ガス量は少なくなる。
【0293】
このように、気流制御弁34の開弁に先立って、一時的に燃料噴射時期を遅角することにより、気流制御弁34が開弁した後に生じる燃焼室10内の酸素不足の程度を小さくできる。したがって、燃焼室10内を、より適切な燃料濃度に維持することができ、エンジントルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0294】
[実施の形態11]
本実施の形態11は、前記実施の形態1とは、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図11)は実行せず、燃料噴射時期制御処理として図26に示す処理が実行される点が異なる。この燃料噴射時期制御処理(図26)は、予め設定されているクランク角、ここでは120°CA毎に繰り返し実行される。又、燃料噴射量制御処理(図7)における、ステップS180では、燃料噴射量Qが前記式5に示したごとく気流制御弁開弁時補正係数KSCVを用いずに求められる。これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態1と同じである。
【0295】
燃料噴射時期制御処理(図26)が開始されると、まず、現在、燃焼方式F3であるか否かが判定される(S1110)。燃焼方式F3であれば(S1110で「YES」)、次に、燃焼方式F3用の予定燃料噴射時期AAINJが算出される(S1120)。この予定燃料噴射時期AAINJは、エンジン回転数NEとエンジン負荷Qbとに基づいて、マップIから算出される。このマップIは、前記実施の形態10にて述べたごとく、吸気行程時に燃料噴射弁22から燃焼室10内に燃料を噴射するタイミングが進角値として設定されている。
【0296】
次に、気流制御弁34が閉弁駆動されているか否かが判定される(S1130)。気流制御弁34が閉弁駆動されていれば(S1130で「YES」)、次に気流制御弁34の開弁領域近傍の状態か否かが判定される(S1140)。ここで、開弁領域近傍とは、気流制御弁34の開閉状態を設定する図27に示すマップにおいて、閉弁領域の内でも、開弁領域を取り囲む領域GH,GLである。
【0297】
現在のエンジン負荷Qbとエンジン回転数NEとで表されるエンジン運転状態が、この近傍領域GH,GLに入っていれば(S1140で「YES」)、次に現在のエンジン運転状態が気流制御弁34の開弁領域方向へ変化しているか否かが判定される(S1150)。例えば、エンジン負荷Qbとエンジン回転数NEとのそれぞれの変化率を基準変化率と比較することで判断される。
【0298】
ここで開弁領域方向へ変化していないと判断されると(S1150で「NO」)、実燃料噴射時期AINJには、前記ステップS1120にて求められた予定燃料噴射時期AAINJがそのまま設定される(S1160)。尚、ステップS1130にて気流制御弁34が閉弁駆動状態でない場合(S1130で「NO」)、あるいはステップS1140にて近傍領域GH,GLに入っていないと判断された場合(S1140で「NO」)においても、実燃料噴射時期AINJには、前記ステップS1120にて求められた予定燃料噴射時期AAINJがそのまま設定される(S1160)。こうして一旦本処理を終了する。そして、この実燃料噴射時期AINJにより吸気行程において燃料噴射弁22から燃料が噴射開始される。
【0299】
一方、気流制御弁34が閉弁駆動状態であり(S1130で「YES」)、近傍領域GH,GLに入っており(S1140で「YES」)、そしてエンジン運転状態が気流制御弁34の開弁領域方向へ変化していれば(S1150で「YES」)、次式11に示すごとく実燃料噴射時期AINJが算出される。
【0300】
【数11】
AINJ ← AAINJ − kainj … [式11]
ここで、遅角補正値kainjは、燃料噴射時期を遅角させることにより、ピストンが或る程度、シリンダヘッド8に設けられている燃料噴射弁22の噴射口から離れた位置で、燃料噴射を開始させるために設けられたものである。そしてこの噴射時期の遅角によりピストン頂面による噴射燃料の反射を抑制して、第2吸気ポート14bに燃料が入り込んで未燃ガスとして蓄積されることを防止するためである。この遅角補正値kainjは、予め実験により設定されている。
【0301】
こうして一旦本処理を終了する。そして、この遅角された実燃料噴射時期AINJにより吸気行程において通常よりも遅く燃料噴射弁22から燃料が噴射開始される。
【0302】
尚、燃焼方式F3ではない場合には(S1110で「NO」)、すなわち燃焼方式F1,F2である場合には、それぞれの燃焼方式F1,F2に適合させた燃料噴射時期が設定される(S1180)。すなわち、燃焼方式F1ならば必要な量の燃料を圧縮行程末期に噴射する。燃焼方式F2ならば必要な量の燃料を吸気行程と圧縮行程末期とに2回に分けて噴射する。
【0303】
上述した実施の形態11の構成の内、燃料噴射時期制御処理(図26)のステップS1140,S1150が開弁予測手段としての処理に、ステップS1170が燃料供給時期遅角手段としての処理に相当する。
【0304】
以上説明した本実施の形態11によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態10の(イ)で説明したメカニズムにより、気流制御弁34の開弁を予測して、予め燃料噴射時期を遅角することにより、気流制御弁34が開弁した後に生じる燃焼室10内の酸素不足の程度を小さくできる。したがって、燃焼室10内を適切な燃料濃度に維持することができ、エンジントルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0305】
(ロ).前記実施の形態10とは異なり、気流制御弁34の開弁駆動を一時的に待機させて燃料噴射時期を遅角する処理を行う必要が無くなる。このため、気流制御弁34の開閉制御に与える影響を無くすことができる。
【0306】
[実施の形態12]
本実施の形態12は、前記実施の形態1とは次のごとく構成が異なる。すなわち、ハード的には、前記実施の形態8と同様に図19に示した可変バルブタイミング機構が設けられている。ソフト的には、VVT−ECU120は、図28,29に示す吸気バルブタイミング制御処理を実行して、エンジン2の運転状態に応じて、油圧制御により回転位相差可変アクチュエータ110を制御し、吸気弁12a,12bのバルブタイミングを調整している。
【0307】
又、ECU24は、前記実施の形態1の気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の代わりに前記実施の形態10にて用いた図23に示す処理が実行される点が異なる。更に、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図11)は実行せず、図30に示す点火時期進角値設定処理が実行されている点が異なる。尚、燃料噴射量制御処理(図7)における、ステップS180では、燃料噴射量Qが前記式5に示したごとく気流制御弁開弁時補正係数KSCVを用いずに求められる。これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態1と同じである。
【0308】
まず、VVT−ECU120にて実行される吸気バルブタイミング制御処理(図28,29)について説明する。本処理は予め設定されているクランク角、ここでは120°CA毎に繰り返し実行される。本処理が開始されると、まず、ECU24とのデータ通信内容に基づいて燃焼方式F3の状態であるか否かが判定される(S1205)。燃焼方式F3であれば(S1205で「YES」)、次に回転位相差可変アクチュエータ110による吸気弁12a,12bの予定バルブタイミング進角値VTが、エンジン回転数NE及びエンジン負荷Qbに基づいて、マップVから求められる(S1210)。このマップVは気流制御弁34の開弁駆動状態と閉弁駆動状態とで別個に存在し、ステップS1210では気流制御弁34の開閉状態に応じてマップを切り替えて予定バルブタイミング進角値VTの算出に用いている。
【0309】
次に気流制御弁34が閉弁駆動されているか否かが判定される(S1215)。ここで前記実施の形態10で述べた図23の処理にて、ステップS241(「YES」)、ステップS242、ステップS243(「YES」)、及びステップS244の処理がなされている状態であるとする。したがって、気流制御弁34が開弁駆動されているので(S1215で「NO」)、次に第1カウンタTv1が「0」を越えているか否かが判定される(S1220)。ここで初期設定により第1カウンタTv1=0に設定されているとすると(S1220で「NO」)、次に目標バルブタイミング進角値tVTに前記ステップS1210にて求められた予定バルブタイミング進角値VTがそのまま設定される(S1225)。次に、第1カウンタTv1をクリアし(S1230)、第2カウンタTv2をクリアし(S1235)、遅角量積算値Σdvtをクリアし(S1240)、強制遅角フラグXdvtに「OFF」を設定して(S1242)、本処理を一旦終了する。そして、更にVVT−ECU120では、この目標バルブタイミング進角値tVTの値に基づいて、回転位相差可変アクチュエータ110を駆動して、実バルブタイミング進角値VVTが目標バルブタイミング進角値tVTとなるようにフィードバック制御を行う。尚、強制遅角フラグXdvtは、後述するごとくステップS1210にてエンジン運転状態から設定される予定バルブタイミング進角値VTが強制的に遅角されて目標バルブタイミング進角値tVTに設定されている状態を示すためのフラグである。
【0310】
以後、図23のステップS241にて、エンジン運転状態がマップ上で気流制御弁34を開弁駆動すべき領域にある限り、吸気バルブタイミング制御処理(図28,29)では目標バルブタイミング進角値tVTに予定バルブタイミング進角値VTがそのまま設定される処理(S1225)が継続する。
【0311】
そしてエンジン運転状態の変化により、気流制御弁34を閉弁駆動すべき領域に変化した場合には、図23ではステップS241で「NO」と判定されて、開弁予告フラグMSCVには「OFF」が設定され(S246)、気流制御弁34は閉弁駆動される(S245)。したがって、吸気バルブタイミング制御処理(図28,29)では、ステップS1215にて「YES」と判定され、更に開弁予告フラグMSCVが「ON」か否かが判定される(S1245)。直前に開弁予告フラグMSCVには「OFF」が設定されたので(S1245で「NO」)、次に開弁許可フラグXSCVOPに「OFF」が設定される(S1250)。そして、前述したステップS1225〜S1242が実行されて、一旦本処理を終了する。したがって、以後、図23のステップS241にて、エンジン運転状態がマップ上で気流制御弁34を閉弁駆動すべき領域にある限り、吸気バルブタイミング制御処理(図28,29)では目標バルブタイミング進角値tVTに予定バルブタイミング進角値VTがそのまま設定される処理(S1225)が継続する。
【0312】
そしてエンジン運転状態の変化により、気流制御弁34を開弁駆動すべき領域に変化した場合には、図23ではステップS241で「YES」と判定されて、開弁予告フラグMSCVには「ON」が設定される(S242)。しかし、吸気バルブタイミング制御処理(図28,29)では、ステップS1250にて開弁許可フラグXSCVOPに「OFF」を設定しているので(図23:S243で「NO」)、気流制御弁34は閉弁駆動(S245)を継続する。
【0313】
この直後の吸気バルブタイミング制御処理(図28,29)の制御周期では、未だ気流制御弁34は開弁駆動されていないので(S1215で「YES」)、次に開弁予告フラグMSCVが「ON」か否かを判定する(S1245)。直前に、開弁予告フラグMSCVには「ON」が設定された(図23:S242)ので(S1245で「YES」)、次に強制遅角フラグXdvtが「OFF」、あるいは実バルブタイミング進角値VVTが最低進角値VTminを越えているか否かが判定される(S1255)。最低進角値VTminは、例えば「0°」に設定されている。尚、回転位相差可変アクチュエータ110は、実バルブタイミング進角値VVTが最低進角値VTminにある状態ではバルブオーバーラップは「0」となるように設計さている。そして、吸気弁12a,12bの開弁時期を進角させるに応じて、次第にバルブオーバーラップが増大するようにされている。
【0314】
ここで、最初は強制遅角フラグXdvt=「OFF」であることから(S1225で「YES」)、次に強制遅角フラグXdvtに「ON」が設定される(S1260)。そして目標バルブタイミング進角値tVTが最低進角値VTminを越えているか否かが判定される(S1265)。最初は、tVT>VTminであるとすると(S1265で「YES」)、次に、遅角量積算値Σdvtを次式12に示すごとく遅角補正値dvt分増加させる(S1270)。
【0315】
【数12】
Σdvt ← Σdvt + dvt … [式12]
この遅角増加値dvtは、目標バルブタイミング進角値tVTを次第に減少させるための補正値である。
【0316】
そして、次式13のごとく、予定バルブタイミング進角値VTから遅角量積算値Σdvtを減算して、目標バルブタイミング進角値tVTを算出する(S1275)。
【0317】
【数13】
tVT ← VT − Σdvt … [式13]
こうして、一旦本処理を終了する。
【0318】
次の制御周期では、実バルブタイミング進角値VVT>最低進角値VTminである限り(S1255で「YES」)、ステップS1265の判定が行われる。そしてtVT>VTminである限り(S1265で「YES」)、目標バルブタイミング進角値tVTを次第に遅角させる処理が行われる(S1270,S1275)。したがって、吸気バルブタイミングは次第に遅角されて行く。
【0319】
この後、tVT≦VTminとなると(S1265で「NO」)、目標バルブタイミング進角値tVTを次第に遅角させる処理(S1270,S1275)は停止する。
【0320】
そして、既に強制遅角フラグXdvt=「ON」であるので、フィードバック処理によりVVT=VTminとなれば、(S1255で「NO」)、次に第1カウンタTv1が第1待機基準値T1より小さいか否かが判定される(S1280)。この第1待機基準値T1は、気流制御弁34が閉弁駆動状態で、かつ実バルブタイミング進角値VVTが最低進角値VTminの状態で、しばらく待機させるためのサイクル数を設定している。このように内部EGRを停止して待機させることで、気流制御弁34と第2吸気ポート14bとの間隙からわずかに侵入する吸気により、第2吸気ポート14bに蓄積していた既燃ガスを、第2吸気弁12bが開弁する毎に次第に掃気させている。
【0321】
最初は、第1カウンタTv1=「0」であることからTv1<T1であり(S1280で「YES」)、第1カウンタTv1がインクリメントされ(S1285)、一旦本処理を終了する。
【0322】
以後、Tv1<T1である限り(S1280で「YES」)、第1カウンタTv1のインクリメントが継続する(S1285)。この間、気流制御弁34の閉弁状態及び吸気バルブタイミングの最低進角値VTminの状態が維持される。
【0323】
Tv1=T1となると(S1280で「NO」)、次に開弁許可フラグXSCVOPに「ON」が設定される(S1290)。そして一旦本処理を終了する。
この直後の図23の処理では、XSCVOP=「ON」であることから(S243で「YES」)、気流制御弁34が開弁駆動されるようになる(S244)。
【0324】
したがって、吸気バルブタイミング制御処理(図28,29)の次の制御周期では、ステップS1215で「NO」と判定されて、次にTv1>0か否かが判定される(S1220)。この時、Tv1=T1であるので(S1220で「YES」)、次に第2カウンタTv2が第2待機基準値T2より小さいか否かが判定される(S1295)。この第2待機基準値T2は、気流制御弁34が閉弁駆動状態から開弁駆動状態に移行し、かつ予定バルブタイミング進角値VTが気流制御弁34の開弁に対応して切り替わった後にしばらく待機することで、以後の目標バルブタイミング進角値tVTの戻し処理を安定して行うためのサイクル数を設定している。
【0325】
最初は、第2カウンタTv2=「0」であることから(S1295で「YES」)、第2カウンタTv2がインクリメントされる(S1300)。そして、気流制御弁34の開弁駆動に対応させるため、前記式13のごとく、予定バルブタイミング進角値VTから遅角量積算値Σdvtを減算して、目標バルブタイミング進角値tVTを算出し(S1275)、一旦本処理を終了する。
【0326】
以後、Tv2<T2である限り(S1295で「YES」)、第2カウンタTv2のインクリメントが継続する(S1300)。この間、気流制御弁34は開弁状態で、かつ吸気バルブタイミングの遅角量積算値Σdvt分の遅角状態が維持される。この間に気流制御弁34が開弁駆動された直後のショックを防止している。
【0327】
そして、Tv2=T2となると(S1295で「NO」)、次に遅角量積算値Σdvtが「0」より大きいか否かが判定される(S1305)。最初はΣdvt>0であることから(S1305で「YES」)、次に、遅角量積算値Σdvtを次式14に示すごとく遅角補正値dvt分減少させる(S1310)。
【0328】
【数14】
Σdvt ← Σdvt − dvt … [式14]
そして、前記式13のごとく、予定バルブタイミング進角値VTから遅角量積算値Σdvtを減算して、目標バルブタイミング進角値tVTを算出し(S1275)、一旦本処理を終了する。
【0329】
以後、Σdvt>0である限り(S1305で「YES」)、前記式14により遅角量積算値Σdvtを次第に減少し(S1310)、これに応じて、予定バルブタイミング進角値VTから遅角量積算値Σdvtを減算して目標バルブタイミング進角値tVTとして設定する処理(S1275)が継続する。したがって、実バルブタイミング進角値VVTは次第に通常の吸気バルブタイミングに戻されることになる。
【0330】
そして、Σdvt=0となると(S1305で「NO」)、次に目標バルブタイミング進角値tVTに前記ステップS1210にて求められた予定バルブタイミング進角値VTがそのまま設定される(S1225)。次に、第1カウンタTv1をクリアし(S1230)、第2カウンタTv2をクリアし(S1235)、遅角量積算値Σdvtをクリアし(S1240)、強制遅角フラグXdvtに「OFF」を設定して(S1242)、本処理を一旦を終了する。
【0331】
次の制御周期では、ステップS1215で「NO」、ステップS1220で「NO」と判定されるので、以後、ステップS1225〜S1242が実行され、最初の状態に戻る。
【0332】
尚、燃焼方式F3ではない場合には、すなわち燃焼方式F1,F2である場合には(S1205で「NO」)、それぞれの燃焼方式F1,F2に適合させた予定バルブタイミング進角値VTが設定される(S1325)。そして、次に開弁許可フラグXSCVOPに「ON」を設定して(S1330)、ステップS1225〜S1242の処理を行い、一旦本処理を終了する。このことにより、ステップS1325にて算出された予定バルブタイミング進角値VTがそのまま目標バルブタイミング進角値tVTに設定される。
【0333】
次に、ECU24により実行される点火時期進角値設定処理(図30)について説明する。本処理は予め設定されているクランク角、ここでは120°CA毎に繰り返し実行される。本処理が開始されると、まず、点火進角基準値tAOPがエンジン回転数NE及びエンジン負荷Qbに基づいてマップから求められる(S1410)。次に、吸気バルブタイミング制御処理(図28,29)にて設定される強制遅角フラグXdvtが「ON」か否かが、VVT−ECU120とのデータ通信内容に基づいて判定される(S1420)。
【0334】
強制遅角フラグXdvt=「OFF」であれば(S1420で「NO」)、実点火進角値AOPには点火進角基準値tAOPがそのまま設定され(S1430)、一旦本処理を終了する。一方、強制遅角フラグXdvt=「ON」であれば(S1420で「YES」)、実点火進角値AOPは、次式15に示すごとくの計算により算出され(S1440)、一旦本処理を終了する。
【0335】
【数15】
AOP ← tAOP − kaop×Σdvt … [式15]
算出係数kaopは、遅角量積算値Σdvtにより吸気バルブタイミングが遅角されて吸気の充填効率が向上したことに伴ってエンジントルクが上昇した分を、点火時期の遅角により相殺するために、遅角量積算値Σdvtから前記相殺分の点火時期遅角量を求めるための係数である。
【0336】
このことにより、吸気バルブタイミング制御処理(図28,29)によるトルクアップを点火時期の遅角により相殺している。
本実施の形態12における制御の一例を図31のタイミングチャートに示す。マップ上で気流制御弁34が閉弁駆動すべき領域にあると判断されると(時刻t10)、気流制御弁34は直ちに閉弁駆動される。この時、目標バルブタイミング進角値tVTには予定バルブタイミング進角値VTの値がそのまま設定される。
【0337】
しかし、その後、マップ上で気流制御弁34が開弁駆動すべき領域にあると判断されると(時刻t11)では、目標バルブタイミング進角値tVTは、遅角量積算値Σdvtにより強制的に次第に遅角され、これに応じて実バルブタイミング進角値VVTも次第に遅角されてゆく。
【0338】
そして目標バルブタイミング進角値tVTを最終的に最大に遅角し(時刻t12)、次いで実バルブタイミング進角値VVTも最大に遅角されて完全にバルブオーバーラップがなくなる(時刻t13)。この状態を、第1待機基準値T1の期間継続した後、気流制御弁34を開弁駆動する(時刻t14)。更に、この状態を、第2待機基準値T2の期間継続した後(時刻t15)、目標バルブタイミング進角値tVTを、遅角量積算値Σdvtを減少させることにより次第に通常の状態に戻す(時刻t15〜時刻t16)。これに応じて実バルブタイミング進角値VVTも次第に通常の状態に戻ってゆく。
【0339】
上述した実施の形態12の構成の内、図23の処理が開閉設定手段としての処理に、吸気バルブタイミング制御処理(図28,29)のステップS1215〜S1310がバルブオーバーラップ減少手段としての処理に、点火時期進角値設定処理(図30)のステップS1420,S1440が点火時期遅角手段としての処理に相当する。
【0340】
以上説明した本実施の形態12によれば、以下の効果が得られる。
(イ).第2吸気弁12bの開弁時には、閉じている気流制御弁34と第2吸気ポート14bとの間隙からわずかに侵入する吸気により第2吸気ポート14b内は掃気されるが、バルブオーバーラップを通常通りに許していると、燃焼室10側からの既燃ガスの侵入により第2吸気ポート14b内に既燃ガスが蓄積する。
【0341】
しかし、前述したごとくバルブオーバーラップを小さくすれば、既燃ガスの侵入は少なくなる。特に本実施の形態12では完全にバルブオーバーラップを無くしている。したがって、掃気により第2吸気ポート14bから既燃ガスが排出され、次第に第2吸気ポート14bに蓄積されている既燃ガス量は少なくなる。
【0342】
このように、気流制御弁34の開弁に先立って、一時的にバルブオーバーラップを無くすことにより、気流制御弁34が開弁した後に生じる燃焼室10内の既燃ガス濃度の程度を小さくできる。したがって、エンジントルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0343】
(ロ).バルブオーバーラップを小さくすると、既燃ガス量が低下するに伴いエンジン2の充填効率が向上するため、逆にトルク上昇が過剰となるおそれがある。したがって本実施の形態12では、一時的にバルブオーバーラップを小さくしている期間において、点火時期を遅角している。このため、トルク上昇を抑えて、ショックを防止できる。
【0344】
[実施の形態13]
本実施の形態13は、前記実施の形態1とは次のごとく構成が異なる。すなわち、ハード的には、前記実施の形態8と同様に図19に示した可変バルブタイミング機構が設けられている。ソフト的には、VVT−ECU120は、図32,33に示す吸気バルブタイミング制御処理を実行して、エンジン2の運転状態に応じて、油圧制御により回転位相差可変アクチュエータ110を制御し、吸気弁12a,12bのバルブタイミングを調整している。
【0345】
又、ECU24は、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図11)は実行せず、前記実施の形態12で用いた図30に示す点火時期進角値設定処理と同じ処理が実行されている点が異なる。尚、燃料噴射量制御処理(図7)における、ステップS180では、燃料噴射量Qが前記式5に示したごとく気流制御弁開弁時補正係数KSCVを用いずに求められる。これ以外の構成は特に説明しない限り、前記実施の形態1と同じである。
【0346】
吸気バルブタイミング制御処理(図32,33)について説明する。本処理は、VVT−ECU120により、予め設定されているクランク角、ここでは120°CA毎に繰り返し実行される。本処理が開始されると、まず、燃焼方式F3の状態であるか否かが判定される(S1505)。燃焼方式F3であれば(S1505で「YES」)、次に回転位相差可変アクチュエータ110による吸気弁12a,12bの予定バルブタイミング進角値VTが、エンジン回転数NE及びエンジン負荷Qbに基づいて、マップVから求められる(S1510)。このマップVは気流制御弁34の開弁駆動状態と閉弁駆動状態とで別個に存在し、ステップS1510では気流制御弁34の開閉状態に応じてマップを切り替えて予定バルブタイミング進角値VTの算出に用いている。
【0347】
次に、気流制御弁34が閉弁駆動されているか否かが判定される(S1515)。気流制御弁34が開弁駆動状態であれば(S1515で「NO」)、次に強制遅角フラグXdvtに「ON」が設定されているか否かが判定される(S1520)。初期設定では、強制遅角フラグXdvt=「OFF」であることから(S1520で「NO」)、次に遅角量積算値Σdvtをクリアし(S1525)、カウンタTv3をクリアし(S1530)、強制遅角フラグXdvtに「OFF」を設定する(S1535)。そして、目標バルブタイミング進角値tVTに前記ステップS1510で求めた予定バルブタイミング進角値VTがそのまま設定されて(S1540)、一旦本処理を終了する。
【0348】
以後、気流制御弁34の開弁状態が継続する限り、予定バルブタイミング進角値VTが目標バルブタイミング進角値tVTに設定される処理が継続する。すなわち、通常のバルブタイミング制御が行われる。
【0349】
前記図9のステップS240にて気流制御弁34が閉弁駆動された場合には(S1515で「YES」)、次に、気流制御弁34の開弁領域近傍の状態か否かが判定される(S1545)。ここで、開弁領域近傍とは、前記実施の形態11にて図27で示したごとく開弁領域を取り囲む領域GH,GLである。現在のエンジン負荷Qbとエンジン回転数NEとで表されるエンジン運転状態が、この近傍領域GH,GLに入っていなければ(S1545で「NO」)、次に強制遅角フラグXdvtに「ON」が設定されているか否かが判定される(S1550)。ここでも強制遅角フラグXdvt=「OFF」であることから(S1550で「NO」)、前述したステップS1525〜S1540の処理が実行されて、一旦本処理を終了する。すなわち、予定バルブタイミング進角値VTが目標バルブタイミング進角値tVTに設定される処理が継続する。
【0350】
エンジン運転状態が近傍領域GH,GLに入った場合には(S1545で「YES」)、次に現在のエンジン運転状態が気流制御弁34の開弁領域方向へ変化しているか否かが判定される(S1555)。例えば、エンジン負荷Qbとエンジン回転数NEとのそれぞれの変化率を基準変化率と比較することで判断される。現在のエンジン運転状態が気流制御弁34の開弁領域方向へ変化していなければ(S1555で「NO」)、次に強制遅角フラグXdvtに「ON」が設定されているか否かが判定される(S1550)。ここでも強制遅角フラグXdvt=「OFF」であることから(S1550で「NO」)、前述したステップS1525〜S1540の処理が実行されて、一旦本処理を終了する。すなわち、予定バルブタイミング進角値VTが目標バルブタイミング進角値tVTに設定される処理が継続する。
【0351】
そして、気流制御弁34が閉弁駆動状態で(S1515で「YES」)、エンジン運転状態が近傍領域GH,GLに入り(S1545で「YES」)、現在のエンジン運転状態が気流制御弁34の開弁領域方向へ変化していれば(S1555で「YES」)、次に強制遅角フラグXdvtに「ON」が設定される(S1560)。そして目標バルブタイミング進角値tVTが最低進角値VTminを越えているか否かが判定される(S1565)。最初は、tVT>VTminであるとすると(S1565で「YES」)、次に、遅角量積算値Σdvtを前記実施の形態12の式12に示したごとく遅角補正値dvt分増加させる(S1570)。
【0352】
そして、前記実施の形態12の式13のごとく、予定バルブタイミング進角値VTから遅角量積算値Σdvtを減算して、目標バルブタイミング進角値tVTを算出する(S1575)。こうして、一旦本処理を終了する。このことにより、目標バルブタイミング進角値tVTは、予定バルブタイミング進角値VTよりも遅角量積算値Σdvt分、強制的に遅角されることになる。
【0353】
そして、以後、継続してステップS1515,S1545,S1555の判定が全て「YES」ならば、ステップS1570,S1575が繰り返されることにより、遅角量積算値Σdvtが次第に増加し(S1570)、目標バルブタイミング進角値tVTは、次第に遅角の度合が大きくされて行く。
【0354】
そして、tVT≦VTminとなると(S1565で「NO」)、目標バルブタイミング進角値tVTに最低進角値VTminを設定して(S1580)、一旦本処理を終了する。このことにより、以後、ステップS1515,S1545,S1555の判定が全て「YES」の状態が継続しても、目標バルブタイミング進角値tVTは最低進角値VTminに固定される。このことにより実バルブタイミング進角値VVTは最低進角値VTminとなるようにフィードバック制御される。
【0355】
このような状況で、前記図9のステップS240にて気流制御弁34が開弁駆動に切り替わった場合には(S1515で「NO」)、次に強制遅角フラグXdvtが「ON」か否かが判定される(S1520)。この時にはXdvt=「ON」であるので(S1520で「YES」)、カウンタTv3が待機基準値T3より小さいか否かが判定される(S1585)。この待機基準値T3は、気流制御弁34が閉弁駆動状態から開弁駆動状態に移行し、かつ予定バルブタイミング進角値VTが気流制御弁34の開弁に対応して切り替わった後にしばらく待機するためのサイクル数を設定している。このような待機期間が設定されることで、以後の目標バルブタイミング進角値tVTの戻し処理を安定して行うことができる。
【0356】
最初は、Tv3<T3であることから(S1585で「YES」)、次にカウンタTv3をインクリメントする(S1590)。そして、前記実施の形態12の式13のごとく、予定バルブタイミング進角値VTから遅角量積算値Σdvtを減算して、目標バルブタイミング進角値tVTを算出し(S1575)、一旦本処理を終了する。
【0357】
以後、Tv3<T3である(S1585で「YES」)限り、予定バルブタイミング進角値VTから遅角量積算値Σdvtを減算して目標バルブタイミング進角値tVTを算出する処理(S1575)が継続する。
【0358】
そして、Tv3=T3となると(S1585で「NO」)、遅角量積算値Σdvtに「0」より大きい値が設定されているか否かが判定される(S1595)。ここでは、前述したステップS1570の実行により、Σdvt>0となっていることから(S1595で「YES」)、次に、遅角量積算値Σdvtを、前記実施の形態12の式14に示したごとく遅角補正値dvt分減少させる(S1600)。そして、予定バルブタイミング進角値VTから遅角量積算値Σdvtを減算して、目標バルブタイミング進角値tVTを算出し(S1575)、一旦本処理を終了する。以後、Σdvt>0である限り(S1595で「YES」)、ステップS1600により遅角量積算値Σdvtが減少される。したがって、目標バルブタイミング進角値tVTは次第に進角されて、ステップS1510にて設定される予定バルブタイミング進角値VTに近づいてゆく。
【0359】
そして、遅角量積算値Σdvt=0となると(S1595で「NO」)、ステップS1525〜S1540が実行され、一旦本処理を終了する。このため、ステップS1510にて求められた予定バルブタイミング進角値VTがそのまま目標バルブタイミング進角値tVTに設定される(S1540)。更に、強制遅角フラグXdvt=「OFF」となる(S1535)ことから、次の制御周期では、ステップS1520にて「NO」と判定されて、直ちにステップS1525〜S1540が実行される状態に戻る。
【0360】
尚、燃焼方式F3ではない場合には、すなわち燃焼方式F1,F2である場合には(S1505で「NO」)、それぞれの燃焼方式F1,F2に適合させた予定バルブタイミング進角値VTが設定される(S1605)。そして、次にステップS1525〜S1540の処理を行い、一旦本処理を終了する。このことにより、ステップS1605にて算出された予定バルブタイミング進角値VTがそのまま目標バルブタイミング進角値tVTに設定される。
【0361】
更に、前述したごとく前記実施の形態12で用いた図30に示す点火時期進角値設定処理と同じ処理が実行される。このことにより、強制遅角フラグXdvtが「ON」である場合には、実点火進角値AOPは通常の点火時期よりも遅角量積算値Σdvtに応じた分、遅角される(図30:S1440)。このことにより、吸気バルブタイミング制御処理(図32,33)による吸気バルブタイミングの遅角によるトルクアップを点火時期の遅角により相殺している。
【0362】
本実施の形態13における制御の一例を図34のタイミングチャートに示す。マップ上で気流制御弁34が閉弁駆動すべき領域にあると判断されると(時刻t20)、気流制御弁34は直ちに閉弁駆動される。この時、目標バルブタイミング進角値tVTには予定バルブタイミング進角値VTの値がそのまま設定される。
【0363】
しかし、その後、マップ上で気流制御弁34が開弁駆動すべき領域近傍となり、しかも開弁駆動すべき領域に近づいていると判断されると(時刻t21)、目標バルブタイミング進角値tVTは、遅角量積算値Σdvtにより強制的に次第に遅角され、これに応じて実バルブタイミング進角値VVTも次第に遅角されてゆく。
【0364】
そして目標バルブタイミング進角値tVTを最終的に最大に遅角し(時刻t22)、次いで実バルブタイミング進角値VVTも最大に遅角されて完全にバルブオーバーラップがなくなる(時刻t23)。その後、気流制御弁34が開弁駆動される(時刻t24)と、この状態を、待機基準値T3の期間継続した後(時刻t25)、目標バルブタイミング進角値tVTを、遅角量積算値Σdvtを減少させることにより次第に通常の状態に戻す(時刻t25〜時刻t26)。これに応じて実バルブタイミング進角値VVTも次第に通常の状態に戻ってゆく。
【0365】
上述した実施の形態13の構成の内、吸気バルブタイミング制御処理(図32,33)のステップS1545,S1555が開弁予測手段としての処理に、ステップS1520,S1560〜S1600がバルブオーバーラップ減少手段としての処理に、点火時期進角値設定処理(図30)のステップS1420,S1440が点火時期遅角手段としての処理に相当する。
【0366】
以上説明した本実施の形態13によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態12の(イ)で説明したメカニズムにより、気流制御弁34の開弁を予測して、予めバルブオーバーラップを小さくすることにより、気流制御弁34が開弁した後に生じる燃焼室10内の既燃ガス濃度の程度を小さくできる。したがって、エンジントルク低下が適切に補償されてショックが適切に抑制される。
【0367】
(ロ).前記実施の形態12とは異なり、気流制御弁34の開弁駆動を一時的に待機させてバルブオーバーラップを小さくする処理を行う必要が無くなる。このため、気流制御弁34の開閉制御に与える影響を無くすことができる。
【0368】
(ハ).前記実施の形態12の(ロ)と同じ効果を生じる。
[実施の形態14]
本実施の形態14は、前記実施の形態1の構成において、吸気弁12a,12bを駆動するための吸気カムのカムプロフィールが第1吸気弁12aと第2吸気弁12bとで異なる。更に、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図11)は実行していない。又、燃料噴射量制御処理(図7)における、ステップS180では、燃料噴射量Qが前記式5に示したごとく気流制御弁開弁時補正係数KSCVを用いずに求められる。これ以外の構成は、特に説明しない限り前記実施の形態1と同じである。
【0369】
吸気弁12a,12b用の各吸気カム132a,132bを図35の斜視図に示す。ここで第1吸気弁12aの吸気カム132aはノーズNが1つの通常のカムであるが、第2吸気弁12bの吸気カム132bはメインノーズNm以外に、バルブ開き側にサブノーズNsが設けられている。このため、第1吸気弁12aのバルブリフトは図36(a)に示すごとく、ピークPが1つであるが、第2吸気弁12bのバルブリフトは図36(b)に示すごとく、メインピークPmとサブピークPsとが2つ存在する。この第2吸気弁12bのメインピークPmに属する主吸気弁開弁期間Imは、第1吸気弁12aの吸気弁開弁期間と一致させてある。そして、サブピークPsが属する副吸気弁開弁期間Isは、主吸気弁開弁期間Imの直前でかつTDC直後、例えばATDC5°CAから開始する位置に配置されている。すなわち、第2吸気弁12bは、第1吸気弁12aとともに開弁する前に、第2吸気弁12b単独で開弁することになる。
【0370】
本実施の形態14の構成において、吸気カム132a,132bの組み合わせが、吸気弁駆動手段に相当する。
以上説明した本実施の形態14によれば、以下の効果が得られる。
【0371】
(イ).吸気カム132a,132bの組み合わせによる吸気弁駆動手段によって、気流制御弁34が配置された第2吸気ポート14bにおける第2吸気弁12bの開弁時期を、気流制御弁34が配置されていない第1吸気ポート14aにおける第1吸気弁12aの開弁時期よりも早くしている。
【0372】
このような構成において、気流制御弁34が閉弁駆動されている場合を考えると、副吸気弁開弁期間Isにおいては、第1吸気弁12aは閉じているが、第2吸気弁12bは開いている状態となる。この状態で、エンジン2のピストンが低下して燃焼室10内の容積が増加すると、第1吸気弁12aは閉じているので、気流制御弁34が配置された第2吸気ポート14b内の圧力が大きく低下する。このことにより、第2吸気ポート14b内の気体の一部が燃焼室10内に排出される。
【0373】
更に、この圧力低下により気流制御弁34に大きな吸引力が作用する。このことにより、気流制御弁34が閉弁状態にあっても、気流制御弁34と第2吸気ポート14bとのわずかな隙間から、下流の第2吸気ポート14b内に吸入空気が侵入する。そして、開弁状態にある第2吸気弁12bを通って燃焼室10内に流れる。したがって、第2吸気ポート14bに未燃ガスや既燃ガスが燃焼室10側から侵入しにくく、かつ侵入したとしても掃気される。このようにして未燃ガスや既燃ガスが第2吸気ポート14bに蓄積することを未然に防止することができる。このため、その後、気流制御弁34が開弁しても、第2吸気ポート14b内の未燃ガスや既燃ガスが大量に燃焼室10内に流れ込むことが防止される。したがって、気流制御弁34の開弁駆動直後においても燃焼室10内を適切な燃料濃度に維持することができ、エンジントルク低下が補償されショックが抑制される。
【0374】
(ロ).吸気弁駆動手段は、カムプロフィールの異なる吸気カム132a,132bの組み合わせとして構成されている。したがって、エンジン制御を変更しなくても未燃ガスや既燃ガスの蓄積を未然に防止することができ、気流制御弁が開弁しても燃焼室内を適切な燃料濃度に維持することができる。
【0375】
[実施の形態15]
本実施の形態15は、前記実施の形態14とは第1吸気弁12aをリフトする吸気カム162aのカムプロフィールと第2吸気弁12bをリフトする吸気カム162bのカムプロフィールとを逆にして構成したものである。これ以外の構成は、特に説明しない限り前記実施の形態14と同じである。
【0376】
本実施の形態15における各吸気カム162a,162bを図37の斜視図に示す。ここで第1吸気弁12aの吸気カム162aはメインノーズNm以外に、バルブ開き側にサブノーズNsが設けられているが、第2吸気弁12bの吸気カム162bはノーズNが1つの通常のカムである。このため、第1吸気弁12aのバルブリフトは図38(a)に示すごとくメインピークPmとサブピークPsとが2つ存在するが、第2吸気弁12bのバルブリフトは、図38(b)に示すごとく、ピークPが1つである。この第1吸気弁12aのメインピークPmに属する主吸気弁開弁期間Imは、第2吸気弁12bの吸気弁開弁期間と一致させてある。そして、サブピークPsが属する副吸気弁開弁期間Isは、主吸気弁開弁期間Imの直前でかつTDC直後、例えばATDC5°CAから開始する位置に配置されている。すなわち、第1吸気弁12aは、第2吸気弁12bとともに開弁する前に、第1吸気弁12a単独で開弁することになる。
【0377】
本実施の形態15の構成において、吸気カム162a,162bの組み合わせが、吸気弁駆動手段に相当する。
以上説明した本実施の形態15によれば、以下の効果が得られる。
【0378】
(イ).吸気カム162a,162bの組み合わせによる吸気弁駆動手段によって、気流制御弁34が配置された第2吸気ポート14bの第2吸気弁12bの開弁時期を、気流制御弁34が配置されていない第1吸気ポート14aの第1吸気弁12aの開弁時期よりも遅くしている。
【0379】
このような構成により、吸気行程の初期に、第1吸気ポート14aでは第1吸気弁12aが開弁しているが、第2吸気ポート14bでは第2吸気弁12bが閉じている状態が出現する。このような状態で、バルブオーバーラップや燃料噴射がなされた場合、既燃ガスや未燃ガスが逆流したとしても、気流制御弁34が配置されていない第1吸気ポート14aのみに侵入する。このように既燃ガスや未燃ガスが侵入したとしても気流制御弁34が配置されていない第1吸気ポート14a内に存在する既燃ガスや未燃ガスは気流制御弁34が存在しないため、蓄積されることなくサイクル毎に直ちに燃焼室10内に吸入される。
【0380】
そして、第2吸気弁12bが開いた後に、燃料噴射が継続していても、ピストンの頂面は第2吸気ポート14bから離れているので、反射による第2吸気ポート14bへの燃料到達量もほとんど無くなる。
【0381】
このことにより、既燃ガスや未燃ガスは、気流制御弁34が配置された第2吸気ポート14bには、ほとんど侵入していないので、その後、気流制御弁34が開弁しても、燃焼室10内が酸素不足状態とはならない。このように未燃ガスや既燃ガスの蓄積を未然に防止することができる。このことにより、気流制御弁34が開弁しても燃焼室10内を適切な燃料濃度に維持することができ、エンジントルク低下が補償されショックが抑制される。
【0382】
(ロ).吸気弁駆動手段は、カムプロフィールの異なる吸気カム162a,162bの組み合わせとして構成されている。したがって、エンジン制御を変更しなくても未燃ガスや既燃ガスの蓄積を未然に防止することができ、気流制御弁が開弁しても燃焼室内を適切な燃料濃度に維持することができる。
【0383】
[実施の形態16]
本実施の形態16は、エンジン2には前記図1の構成に加えて、図39〜図43に示すごとくの可変バルブタイミング機構が設けられている。更に、気流制御弁開弁時燃料低減処理(図11)は実行せず、図44に示すごとく吸気弁開弁期間制御を実行している。又、燃料噴射量制御処理(図7)における、ステップS180では、燃料噴射量Qが前記式5に示したごとく気流制御弁開弁時補正係数KSCVを用いずに求められる。これ以外の構成は、特に説明しない限り前記実施の形態1と同じである。
【0384】
まず、可変バルブタイミング機構は、図39に示すごとく、吸気弁開弁期間可変アクチュエータ210を備えている。この吸気弁開弁期間可変アクチュエータ210は、吸気カムシャフト130を軸方向に移動させることにより、吸気弁12a,12bのカムフォロア222a,222bと、吸気カム220a,220bとの接触位置を軸方向にて変位することができる。このために、吸気カムシャフト130に対して転がり軸受224を介して接続されている補助シャフト226が備えられている。転がり軸受224は、吸気カムシャフト130の回転に対して補助シャフト226が連動して回転しないようにするものであり、補助シャフト226の軸方向の移動に対してのみ吸気カムシャフト130が連動するように設けられている。
【0385】
吸気弁開弁期間可変アクチュエータ210は、更に、筒状をなすシリンダチューブ210aと、シリンダチューブ210a内に設けられたピストン210bと、シリンダチューブ210aの両端開口部を塞ぐように設けられた一対のエンドカバー210c,210dとを備えている。このシリンダチューブ210aは図示左側のエンドカバー210cにてシリンダヘッドに固定されている。
【0386】
ピストン210bにはエンドカバー210c,210dを貫通した前記補助シャフト226が連結されている。したがってピストン210bの移動に補助シャフト226は連動して軸方向に移動することになる。このことにより、転がり軸受224を介して吸気カムシャフト130がピストン210bの移動に連動することになる。
【0387】
シリンダチューブ210a内は、ピストン210bにより第1圧力室210e及び第2圧力室210fに区画されている。第1圧力室210eには、一方のエンドカバー210cに形成された第1給排通路210gが接続され、第2圧力室210fには、他方のエンドカバー210dに形成された第2給排通路210hが接続されている。
【0388】
第1給排通路210g及び第2給排通路210hを介して、第1圧力室210eと第2圧力室210fとに対し選択的に作動油を供給すると、ピストン210bは補助シャフト226の軸方向に移動する。従ってこのピストン210bの移動に伴い、補助シャフト226と転がり軸受224とを介して吸気カムシャフト130は軸方向へ移動されることになる。
【0389】
第1給排通路210g及び第2給排通路210hはオイルコントロールバルブ230に接続されている。このオイルコントロールバルブ230には更に供給通路232及び排出通路234が接続されている。そして供給通路232はエンジンのクランクシャフトの回転により駆動されるオイルポンプPを介してオイルパン236に接続されており、排出通路234はオイルパン236に直接接続されている。
【0390】
このオイルコントロールバルブ230は、電磁ソレノイド式4ポート3位置切替弁である。電磁ソレノイドの消磁状態(以下、「通常開弁期間駆動状態」と称する)では、第1圧力室210e内の作動油は排出通路234を介してオイルパン236内へ戻される。第2圧力室210f内へは供給通路232を介してオイルポンプPから作動油が供給される。又、電磁ソレノイドが100%励磁された状態(以下、「長開弁期間駆動状態」と称する)では、第1圧力室210e内へは供給通路232を介してオイルポンプPから作動油が供給される。第2圧力室210fの作動油は排出通路234を介してオイルパン236内へ戻される。更に、電磁ソレノイドへの給電を中程度の状態(以下、「中立状態」と称する)に制御すると、圧力室210e,210fは供給通路232にも排出通路234にも接続されずに密封される。
【0391】
したがって、オイルコントロールバルブ230を通常開弁期間駆動状態にすることにより、ピストン210bを図39にて左側へ移動させることができる。このことにより、補助シャフト226及び転がり軸受224を介して吸気カムシャフト130を左側に移動させて、カムフォロア222a,222bの接触位置を、吸気カム220a,220bの図示右端側に移動させることができる。
【0392】
又、逆にオイルコントロールバルブ230を長開弁期間駆動状態にすることにより、ピストン210bを右側へ移動させることができる。このことにより、吸気カムシャフト130を図40に示したごとく右側に移動させて、カムフォロア222a,222bの接触位置を、吸気カム220a,220bの図示左端側に移動させることができる。
【0393】
又、電磁ソレノイドの給電制御によりオイルコントロールバルブ230を中立状態にすると、両圧力室210e,210fともに内部が密封されて作動油の移動が禁止される。このことにより、ピストン210b及び補助シャフト226は固定されるので、吸気カムシャフト130は軸方向での位置が固定される。
【0394】
吸気カム220a,220bを図41の斜視図に示す。第1吸気弁12aをリフト駆動する第1吸気カム220aは、軸方向においてカム面241の形状が一定である。このため、第1吸気カム220aが軸方向に移動して第1吸気弁12aのカムフォロア222aとの接触位置が軸方向で変化してもカムプロフィールが変化しないので、図43(a)に示すごとく開弁期間Iはその長さも位置も変化しない。
【0395】
しかし、第2吸気弁12bをリフト駆動する第2吸気カム220bは、軸方向においてカム面243の形状が変化している。すなわち、図42に示すごとく、吸気弁開弁期間可変アクチュエータ210側の第1端部243a側ではカムプロフィールは第1吸気カム220aとは差がないが、反対側の第2端部243b側ではカム面243が高くなっている。
【0396】
このプロフィールの違いにより図43(b)に示すごとく、第2吸気弁12bのリフトパターンを変化させることができる。すなわち、第2吸気弁12bのカムフォロア222bが、第1吸気カム220aの第1端部243a側に接触している場合には第2吸気弁12bの開弁期間は、実線で示すごとく第1吸気弁12aの開弁期間と長さも位置も同じ通常開弁期間Iminである。しかし、第2吸気弁12bのカムフォロア222bの接触位置が、第2端部243bに近づくほど第2吸気弁12bの開弁期間は進角側で長くなり、第2端部243bに到達すると、一点鎖線で示すごとく長開弁期間Imaxとなる。
【0397】
したがって、ECU24は、必要に応じてオイルコントロールバルブ230により吸気弁開弁期間可変アクチュエータ210を駆動することで、第2吸気弁12b側の開弁時期のみを早め、開弁期間を進角側に長くすることが可能である。尚、ECU24は 、カム角センサ140とシャフト位置センサ141とを備え、このシャフト位置センサ141により吸気カムシャフト130の軸方向位置を検出することで、吸気弁開弁期間可変アクチュエータ210による吸気カムシャフト130の軸方向位置をフィードバック制御できる。
【0398】
次に、ECU24にて実行される吸気弁開弁期間制御処理(図44)について説明する。本処理は予め設定されているクランク角、ここでは120°CA毎に繰り返し実行される。本処理が開始されると、まず、気流制御弁34が前記気流制御弁開閉制御処理(図9)のステップS240の処理により開弁駆動されているか否かが判定される(S1710)。ここで開弁駆動されていれば(S1710で「YES」)、オイルコントロールバルブ230の電磁ソレノイドを消磁状態にすることで、吸気カムシャフト130を図39に示す位置に移動あるいは維持して、第2吸気弁12bの開弁期間を通常開弁期間Iminに設定する(S1720)。こうして一旦本処理を終了する。
【0399】
一方、気流制御弁34が閉弁駆動されていれば(S1710で「NO」)、オイルコントロールバルブ230の電磁ソレノイドを励磁状態にすることで、吸気カムシャフト130を図40に示す位置に移動あるいは維持して、第2吸気弁12bの開弁期間を長開弁期間Imaxに設定する(S1730)。こうして一旦本処理を終了する。
【0400】
上述した処理により、気流制御弁34が開いているときは、第1吸気弁12aと第2吸気弁12bとの開弁期間は、長さも位置も同じである。しかし、気流制御弁34が閉じた場合には、第1吸気弁12aの開弁期間は変化しないが、第2吸気弁12bの開弁期間は、第1吸気弁12aよりも、開弁時期が早くなることで進角側に長くなる。
【0401】
本実施の形態16の構成において、吸気弁開弁期間制御処理(図44)が吸気弁駆動手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態16によれば、以下の効果が得られる。
【0402】
(イ).吸気弁開弁期間制御処理(図44)により、気流制御弁34の閉弁時に、気流制御弁34が配置されている第2吸気ポート14bにおける第2吸気弁12bの開弁時期を、気流制御弁34が配置されていない第1吸気ポート14aにおける第1吸気弁12aの開弁時期よりも早くしている。
【0403】
このことにより、気流制御弁34が開弁した際に、前記実施の形態14の(イ)に述べた効果を生じさせることができる。したがって、気流制御弁34の開弁駆動直後においても燃焼室10内を適切な燃料濃度に維持することができ、エンジントルク低下が補償されショックが抑制される。
【0404】
(ロ).吸気弁開弁期間制御処理(図44)では、気流制御弁34が開弁している時には、第2吸気弁12bの開弁時期は第1吸気弁12aの開弁時期と完全に一致させている。このため、気流制御弁34の開弁期間においては、吸気行程時の初期において、燃焼室10内への吸気の吹き込みに、第1吸気ポート14aと第2吸気ポート14bとで時間差が生ずることが無く、燃焼室10内の乱流を、より確実に防止でき、成層燃焼における点火がより確実なものとなる。
【0405】
[その他の実施の形態]
・前記各実施の形態において、気流制御弁34の開閉状態の判定は、制御側の駆動状態に基づいていたが、これ以外に、気流制御弁34の開閉状態を検出することで判定しても良い。
【0406】
例えば、図45に示すごとく、気流制御弁34の下流の第2吸気ポート14bに圧力センサ260を設ける。吸気行程にてピストン262が下降しつつある時には、図45(a)に示すごとく気流制御弁34が開いている場合には気流制御弁34の上流から吸気が供給されるが、図45(b)に示すごとく気流制御弁34が閉じている場合では、気流制御弁34の上流から吸気が供給されない。このため、第2吸気ポート14b内の圧力は、気流制御弁34が開いている場合に比較して閉じている場合は、少し低くなる。
【0407】
その後、第2吸気弁12bが閉じた後では、気流制御弁34が開いている場合には、第2吸気ポート14bの気圧は少し高まる程度であるが、気流制御弁34が閉じている場合には、第2吸気ポート14b内の低圧状態はしばらく保持される。したがって、圧力センサ260により検出される気流制御弁34下流の第2吸気ポート14b内の圧力に基づいて、気流制御弁34の開閉状態を検出できる。そして、このように検出された気流制御弁34の開閉状態に対応して、前述した実施の形態の制御を実行することができる。このような検出により前述した制御を実行すれば、気流制御弁34の応答性のばらつきがあっても、適切にショックを抑制することができる。
【0408】
・上述した圧力センサ260以外に、図45に破線で示したごとく、気流制御弁34の開度センサ264を設けて、直接、気流制御弁34の開度を検出しても良い。同様に、気流制御弁34の応答性のばらつきがあっても、適切にショックを抑制することができる。
【0409】
・前記実施の形態3においては、燃料低減補正減衰係数Δkは一定の値を用いたが、第2吸気ポート14bに蓄積された既燃ガスや未燃ガスは、内燃機関の負荷、ここでは、アクセル開度、スロットル開度、あるいは燃料噴射量が高いほど、吸入空気量が増加するため、掃気が早まる。このため、燃料低減補正減衰係数Δkを、負荷が高いほど大きな値にすることで、負荷が高いほど気流制御弁開弁時補正係数KSCVが「1.0」に到達する速度を速めても良い。このようにすることで、燃焼室10内を、より適切な燃料濃度状態に維持することができ、エンジントルク低下が一層適切に補償されてショックが一層適切に抑制される。尚、負荷とは別個に、気流制御弁34が閉弁駆動している期間、ここではサイクル数が少ないほど、燃料低減補正減衰係数Δkを大きな値にしても良い。気流制御弁34が閉弁駆動している期間が短いほど第2吸気ポート14bに蓄積される既燃ガスや未燃ガスは少ないからである。
【0410】
・同様に前記実施の形態7においても、点火進角補正減衰係数ΔKAOPSCVは一定の値を用いたが、第2吸気ポート14bに蓄積された既燃ガスや未燃ガスは、内燃機関の負荷(アクセル開度、スロットル開度、あるいは燃料噴射量)が高いほど、吸入空気量が増加するため、掃気が早まる。このため、点火進角補正減衰係数ΔKAOPSCVを、負荷が高いほど大きな値にすることで、負荷が高いほど点火進角補正値KAOPSCVが「0」に到達する速度を速めても良い。このようにすることで、エンジントルク低下が一層適切に補償されてショックが一層適切に抑制される。尚、負荷とは別個に、気流制御弁34が閉弁駆動している期間、ここではサイクル数が少ないほど、点火進角補正減衰係数ΔKAOPSCVを大きな値にしても良い。気流制御弁34が閉弁駆動している期間が短いほど第2吸気ポート14bに蓄積される既燃ガスや未燃ガスは少ないからである。
【0411】
・前記実施の形態9においては、気流制御弁34の開弁時にはスロットル開度制御処理(図22)により増量した吸入空気量に連動して燃料噴射量制御処理(図7)により燃料噴射量も増量している。これ以外に、スロットル開度制御処理(図22)による一時的な吸入空気量の増量時には、燃料噴射量を一定に維持することにより、吸入空気量のみ増加させるようにして、燃料噴射量に比較して過剰な吸入空気量を燃焼室10内に導入させるようにしても良い。このことにより、既燃ガスや未燃ガスの流入と吸入空気量の増量とが相殺して、燃焼室10内が適切な空燃比となり、エンジントルク低下を適切に補償することができる。
【0412】
・前記実施の形態14,15においては、主吸気弁開弁期間Imと副吸気弁開弁期間Isとを分離して設けたが、これ以外に前記実施の形態16の図43(b)に一点鎖線で示したごとく、主吸気弁開弁期間Imと副吸気弁開弁期間Isとを連続的に設けたバルブタイミングに固定された吸気カムを用いても良い。
【0413】
・前記実施の形態14,15に示した例においては、バルブタイミングは固定のものであったが、前記実施の形態16に示したごとく、主吸気弁開弁期間Imのみのプロフィールと、主吸気弁開弁期間Imと副吸気弁開弁期間Isとが存在するプロフィールとの間で可変としても良い。
【0414】
・前記実施の形態16においては、気流制御弁34が存在する第2吸気ポート14bにおける第2吸気弁12bの開弁期間を可変としたが、逆に、図46に示すごとく、気流制御弁34が存在しない第1吸気ポート14aにおける第1吸気弁12aの開弁期間を可変としても良い。すなわち、第2吸気弁12bは、図46(b)に示すごとく開弁期間Iはその長さも位置も変化しない。一方、第1吸気弁12aの開弁期間は、図46(a)に実線で示すごとく第2吸気弁12bの開弁期間Iとは長さも位置も同じ通常開弁期間Iminと一点鎖線で示す進角側に延びた長開弁期間Imaxとの間で調整される。したがって、気流制御弁34が閉弁状態にある場合には、第1吸気弁12aの開弁期間を長開弁期間Imaxとし、気流制御弁34が開弁状態にある場合には、第1吸気弁12aの開弁期間を通常開弁期間Iminとすることで、前記実施の形態15の(イ)と前記実施の形態16の(ロ)の効果を生じる。
【0415】
・前記実施の形態16及び図46の例では、気流制御弁34が閉弁状態にある時に、一方の吸気弁の開弁時期を進角することにより、他方の吸気弁との間で、開弁時期の差を設けていた。これ以外に、図47,48に示すごとく、気流制御弁34が閉弁状態にある時に、一方の吸気弁の開弁時期を遅角することにより、他方の吸気弁との間で開弁時期の差を設けても良い。例えば、図47は、気流制御弁34が閉弁状態にある時に、図47(b)に一点鎖線で示すごとく第2吸気弁12bの開弁時期を遅くしている例を示している。気流制御弁34が開弁状態にある時は、図47(b)に実線にて示すごとくであり、図47(a)に示す第1吸気弁12aと同じである。このことにより、前記図46の例で説明した効果に加えて、更に気流制御弁34が開弁状態にある時は、第1吸気弁12aも第2吸気弁12bも共に十分に開弁期間を大きくすることができる。
【0416】
又、図48は、気流制御弁34が閉弁状態にある時に、図48(a)に一点鎖線で示すごとく第1吸気弁12aの開弁時期を遅くしている例を示している。気流制御弁34が開弁状態にある時は、図48(a)に実線にて示すごとくであり、図48(b)に示す第2吸気弁12bと同じである。このことにより、前記実施の形態16と同様の効果と、更に気流制御弁34が開弁状態にある時は、第1吸気弁12aも第2吸気弁12bも共に十分に開弁期間を大きくすることができる。
【0417】
・前記実施の形態14〜16及び図46〜48に示した例は、カム駆動の吸気弁を利用したが、吸気弁を電磁駆動とすることにより、前述した開弁時期の制御を実行しても良い。
【0418】
・前記各実施の形態において、エンジン2として筒内噴射式内燃機関を例に説明したが、前記各実施の形態を、吸気ポートに燃料を噴射する、所謂ポート噴射式内燃機関に適用しても良い。
【0419】
・前記各実施の形態において、負圧アクチュエータ38により駆動される気流制御弁34を例に説明したが、気流制御弁は、ステップモータ等のモータにより駆動しても良い。
【0420】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態には、次のような形態を含むものであることを付記しておく。
(1).請求項8記載の構成において、前記減衰の程度は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、大きくすることを特徴とする内燃機関制御方法。
【0421】
(2).請求項16記載の構成において、前記減衰の程度は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、大きくすることを特徴とする内燃機関制御方法。
【0422】
(3).請求項34記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記減衰の程度を、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、大きくすることを特徴とする内燃機関制御装置。
【0423】
(4).請求項42記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記減衰の程度を、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、大きくすることを特徴とする内燃機関制御装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のエンジンおよび制御系統の概略構成図。
【図2】実施の形態1の気流制御弁に対する開閉切替機構の構成説明図。
【図3】実施の形態1の気流制御弁に対する開閉切替機構の作動状態説明図。
【図4】実施の形態1のECUが実行する燃焼方式設定処理のフローチャート。
【図5】上記燃焼方式設定処理で用いられるリーン燃料噴射量QLを求めるためのマップ構成説明図。
【図6】上記燃焼方式設定処理で用いられる運転領域R1,R2,R3を設定するマップ構成説明図。
【図7】実施の形態1のECUが実行する燃料噴射量制御処理のフローチャート。
【図8】上記燃料噴射量制御処理で用いられる理論空燃比基本燃料噴射量QBSを求めるためのマップ構成説明図。
【図9】実施の形態1のECUが実行する気流制御弁開閉制御処理のフローチャート。
【図10】上記気流制御弁開閉制御処理で用いられる気流制御弁の開閉駆動を設定するためのマップ構成説明図。
【図11】実施の形態1のECUが実行する気流制御弁開弁時燃料低減処理のフローチャート。
【図12】実施の形態2における気流制御弁開弁時燃料低減処理のフローチャート。
【図13】実施の形態3における気流制御弁開弁時燃料低減処理の一部のフローチャート。
【図14】実施の形態4における減量用係数値k設定処理のフローチャート。
【図15】上記減量用係数値k設定処理にて用いられるマップ構成説明図。
【図16】実施の形態5における点火時期進角値設定処理のフローチャート。
【図17】実施の形態6における点火時期進角値設定処理のフローチャート。
【図18】実施の形態7における点火時期進角値設定処理の一部のフローチャート。
【図19】実施の形態8における可変バルブタイミング機構の構成説明図。
【図20】実施の形態8における点火進角補正値KAOPSCV設定処理のフローチャート。
【図21】上記点火進角補正値KAOPSCV設定処理で用いられるマップ構成説明図。
【図22】実施の形態9におけるスロットル開度制御処理のフローチャート。
【図23】実施の形態10における気流制御弁開閉制御処理の一部のフローチャート。
【図24】実施の形態10における燃料噴射時期制御処理のフローチャート。
【図25】実施の形態10における制御の一例を示すタイミングチャート。
【図26】実施の形態11における燃料噴射時期制御処理のフローチャート。
【図27】上記燃料噴射時期制御処理で用いられるマップ構成説明図。
【図28】実施の形態12における吸気バルブタイミング制御処理のフローチャート。
【図29】実施の形態12における吸気バルブタイミング制御処理のフローチャート。
【図30】実施の形態12における点火時期進角値設定処理のフローチャート。
【図31】実施の形態12における制御の一例を示すタイミングチャート。
【図32】実施の形態13における吸気バルブタイミング制御処理のフローチャート。
【図33】実施の形態13における吸気バルブタイミング制御処理のフローチャート。
【図34】実施の形態13における制御の一例を示すタイミングチャート。
【図35】実施の形態14における吸気カムの形状を示す斜視図。
【図36】実施の形態14における吸気弁開弁期間を示すグラフ。
【図37】実施の形態15における吸気カムの形状を示す斜視図。
【図38】実施の形態15における吸気弁開弁期間を示すグラフ。
【図39】実施の形態16における可変バルブタイミング機構の構成説明図。
【図40】実施の形態16における可変バルブタイミング機構の動作説明図。
【図41】実施の形態16における吸気カムの形状を示す斜視図。
【図42】実施の形態16における吸気カムの形状を示す説明図。
【図43】実施の形態16における吸気弁開弁期間を示すグラフ。
【図44】実施の形態16における吸気弁開弁期間制御処理のフローチャート。
【図45】気流制御弁の開閉を判定する他の実施の形態の構成説明図。
【図46】前記実施の形態16の変形例を示すグラフ。
【図47】前記実施の形態16の変形例を示すグラフ。
【図48】前記実施の形態16の変形例を示すグラフ。
【符号の説明】
2…エンジン、2a…シリンダ、8…シリンダヘッド、10…燃焼室、12a…第1吸気弁、12b…第2吸気弁、14a…第1吸気ポート、14b…第2吸気ポート、16…排気弁、18…排気ポート、20…点火プラグ、22…燃料噴射弁、24…ECU、30…吸気マニホールド、30a…第1吸気通路、30b…第2吸気通路、32…サージタンク、34…気流制御弁、36…シャフト、37…開閉切替機構、37a…レバー、37b…負圧タンク、37c…ロッド、37d…逆止弁、37e…負圧導入路、38…負圧アクチュエータ、38a… 大気圧室、38b…負圧室、38c…ダイヤフラム、38d…スプリング、39…電磁三方切換弁、39a…負圧制御ポート、39b…負圧導入ポート、39c…大気導入ポート、40…吸気ダクト、42…エアクリーナ、44…モータ、46… スロットル弁、46a…スロットル開度センサ、48…排気マニホルド、49…触媒コンバータ、74…アクセルペダル、76…アクセル開度センサ、78…ブレーキペダル、80…ストップランプスイッチ、82…回転数センサ、84…気筒判別センサ、86…水温センサ、88…吸入空気量センサ、90…空燃比センサ、94…車速センサ、106…供給通路、107…排出通路、109…オイルコントロールバルブ、110…回転位相差可変アクチュエータ、110a…吸気カムスプロケット、110b…ハウジング、110c…ベーンロータ、110d…軸部、110e…壁部、110f…ベーン、110g…進角油圧室、110h…遅角油圧室、110i…第1給排通路、110j…第2給排通路、120…VVT−ECU、130…吸気カムシャフト、132…吸気カム、132a,132b…吸気カム、140…カム角センサ、141… シャフト位置センサ、162a,162b…吸気カム、210…吸気弁開弁期間可変アクチュエータ、210a…シリンダチューブ、210b…ピストン、210c,210d…エンドカバー、210e…第1圧力室、210f…第2圧力室、210g…第1給排通路、210h…第2給排通路、220a…第1吸気カム、220b…第2吸気カム、222a,222b…カムフォロア、224…軸受、226…補助シャフト、230…オイルコントロールバルブ、232…供給通路、234…排出通路、236…オイルパン、241,243… カム面、243a…第1端部、243b…第2端部、260…圧力センサ、262…ピストン、264…開度センサ。

Claims (53)

  1. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、
    前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時に、空燃比を維持するように一時的に内燃機関の燃焼室への燃料供給量を低減することを特徴とする内燃機関制御方法。
  2. 請求項1記載の構成において、前記一時的な燃料供給量低減は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時から遅延期間経過後に開始することを特徴とする内燃機関制御方法。
  3. 請求項1記載の構成において、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時とは、実際に前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わったことが検出された時点であることを特徴とする内燃機関制御方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量の一時的な低減の程度は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での燃料供給時期が進角している程、大きくすることを特徴とする内燃機関制御方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量の一時的な低減の程度は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での内燃機関の負荷が高い程、小さくすることを特徴とする内燃機関制御方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量の一時的な低減の程度は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、小さくすることを特徴とする内燃機関制御方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載の構成において、前記一時的な燃料供給量低減の期間は、サイクル数で判断されていることを特徴とする内燃機関制御方法。
  8. 請求項7記載の構成において、前記燃料供給量の一時的な低減は、1サイクル毎に減衰することを特徴とする内燃機関制御方法。
  9. 請求項8記載の構成において、前記減衰の程度は、内燃機関の負荷が高い程、大きくすることを特徴とする内燃機関制御方法。
  10. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、
    前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時に、前記気流制御弁から吸気弁までの間の吸気ポート空間に蓄積されていた既燃ガスが掃気されて無くなるまでの期間、内燃機関の点火時期を前記切り替え時ではない場合に設定される基準の点火時期よりも進角させることを特徴とする内燃機関制御方法。
  11. 請求項10記載の構成において、前記点火時期の進角は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時から遅延期間経過後に開始することを特徴とする内燃機関制御方法。
  12. 請求項10記載の構成において、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時とは、実際に前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わったことが検出された時点であることを特徴とする内燃機関制御方法。
  13. 請求項10〜12のいずれか記載の構成において、前記点火時期の進角は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前でのバルブオーバーラップが大きい程、大きくすることを特徴とする内燃機関制御方法。
  14. 請求項10〜13のいずれか記載の構成において、前記点火時期の進角は、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、小さくすることを特徴とする内燃機関制御方法。
  15. 請求項10〜14のいずれか記載の構成において、前記点火時期の進角の期間は、サイクル数で判断されていることを特徴とする内燃機関制御方法。
  16. 請求項15記載の構成において、前記点火時期の進角は、1サイクル毎に減衰することを特徴とする内燃機関制御方法。
  17. 請求項16記載の構成において、前記減衰の程度は、内燃機関の負荷が高い程、大きくすることを特徴とする内燃機関制御方法。
  18. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、
    前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替え時に、空燃比を維持するように一時的に内燃機関の吸入空気量を前記切り替え時ではない場合の吸入空気量よりも増量させることを特徴とする内燃機関制御方法。
  19. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、
    前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替えに先だって、一時的に内燃機関の燃料供給時期を前記切り替えが行われない場合の燃料供給時期よりも遅角させることを特徴とする内燃機関制御方法。
  20. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、
    内燃機関の運転状態から、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替えが予測された場合に、一時的に内燃機関の燃料供給時期を前記切り替えが予測されない場合の燃料供給時期よりも遅角させることを特徴とする内燃機関制御方法。
  21. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、
    前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替えに先だって、一時的にバルブオーバーラップを前記切り替えが行われない場合のバルブオーバーラップよりも小さくすることを特徴とする内燃機関制御方法。
  22. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、
    内燃機関の運転状態から、前記気流制御弁における閉弁状態から開弁状態への切り替えが予測された場合に、一時的にバルブオーバーラップを前記切り替えが予測されない場合のバルブオーバーラップよりも小さくすることを特徴とする内燃機関制御方法。
  23. 請求項21又は22記載の構成において、一時的にバルブオーバーラップを小さくしている期間においては、点火時期を遅角することを特徴とする内燃機関制御方法。
  24. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、
    前記気流制御弁が閉じたときに、前記気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、前記気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも早くすることを特徴とする内燃機関制御方法。
  25. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御方法であって、
    前記気流制御弁が閉じたときに、前記気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、前記気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも遅くすることを特徴とする内燃機関制御方法。
  26. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、
    前記気流制御弁の開閉状態を判定する開閉判定手段と、
    前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え時に、空燃比を維持するように一時的に内燃機関の燃焼室への燃料供給量を低減する燃料供給量低減手段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  27. 請求項26記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記一時的な燃料供給量低減を、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え時から遅延期間経過後に開始することを特徴とする内燃機関制御装置。
  28. 請求項26記載の構成において、前記開閉判定手段は、実際に前記気流制御弁の状態を検出した結果に基づいて前記気流制御弁の開閉状態を判定することを特徴とする内燃機関制御装置。
  29. 請求項2628のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え前での燃料供給時期が進角している程、前記燃料供給量の一時的な低減の程度を大きくすることを特徴とする内燃機関制御装置。
  30. 請求項2629のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え前での内燃機関の負荷が高い程、前記燃料供給量の一時的な低減の程度を小さくすることを特徴とする内燃機関制御装置。
  31. 請求項2630のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、前記燃料供給量の一時的な低減の程度を小さくすることを特徴とする内燃機関制御装置。
  32. 請求項2631のいずれか記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記一時的な燃料供給量低減の期間を、サイクル数で判断することを特徴とする内燃機関制御装置。
  33. 請求項32記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記燃料供給量の一時的な低減を、1サイクル毎に減衰することを特徴とする内燃機関制御装置。
  34. 請求項33記載の構成において、前記燃料供給量低減手段は、前記減衰の程度を、内燃機関の負荷が高い程、大きくすることを特徴とする内燃機関制御装置。
  35. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、
    前記気流制御弁の開閉状態を判定する開閉判定手段と、
    前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え時に、前記気流制御弁から吸気弁までの間の吸気ポート空間に蓄積されていた既燃ガスが掃気されて無くなるまでの期間、内燃機関の点火時期を前記判定切り替え時ではない場合に設定される基準の点火時期よりも進角させる点火時期進角手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  36. 請求項35記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え時から遅延期間経過後に、前記点火時期の進角を開始することを特徴とする内燃機関制御装置。
  37. 請求項35記載の構成において、前記開閉判定手段は、実際に前記気流制御弁の状態を検出した結果に基づいて前記気流制御弁の開閉状態を判定することを特徴とする内燃機関制御装置。
  38. 請求項3537のいずれか記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え前でのバルブオーバーラップが大きい程、前記点火時期の進角を大きくすることを特徴とする内燃機関制御装置。
  39. 請求項3538のいずれか記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え前での前記気流制御弁の閉弁期間が短い程、前記点火時期の進角を小さくすることを特徴とする内燃機関制御装置。
  40. 請求項3539のいずれか記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記点火時期の進角の期間を、サイクル数で判断することを特徴とする内燃機関制御装置。
  41. 請求項40記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記点火時期の進角を、1サイクル毎に減衰することを特徴とする内燃機関制御装置。
  42. 請求項41記載の構成において、前記点火時期進角手段は、前記減衰の程度を、内燃機関の負荷が高い程、大きくすることを特徴とする内燃機関制御装置。
  43. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、
    前記気流制御弁の開閉状態を判定する開閉判定手段と、
    前記開閉判定手段における閉弁状態から開弁状態への判定切り替え時に、空燃比を維持するように一時的に内燃機関の吸入空気量を前記判定切り替え時ではない場合の吸入空気量よりも増量させる吸入空気量増量手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  44. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、
    内燃機関の運転状態に応じて前記気流制御弁の開閉状態を設定する開閉設定手段と、
    前記開閉設定手段が前記気流制御弁を閉弁状態から開弁状態へ切り替えるに先だって、一時的に内燃機関の燃料供給時期を前記切り替えが行われない場合の燃料供給時期よりも遅角させる燃料供給時期遅角手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  45. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、
    内燃機関の運転状態に基づいて前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わることを予測する開弁予測手段と、
    前記開弁予測手段にて前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わることが予測された場合に、一時的に内燃機関の燃料供給時期を前記切り替わることが予測されない場合の燃料供給時期よりも遅角させる燃料供給時期遅角手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  46. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、
    内燃機関の運転状態に応じて前記気流制御弁の開閉状態を設定する開閉設定手段と、
    前記開閉設定手段が前記気流制御弁を閉弁状態から開弁状態へ切り替えるに先だって、一時的にバルブオーバーラップを前記切り替えが行われない場合のバルブオーバーラップよりも小さくするバルブオーバーラップ減少手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  47. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、
    内燃機関の運転状態に基づいて前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わることを予測する開弁予測手段と、
    前記開弁予測手段にて前記気流制御弁が閉弁状態から開弁状態へ切り替わることが予測された場合に、一時的にバルブオーバーラップを前記切り替わることが予測されない場合のバルブオーバーラップよりも小さくするバルブオーバーラップ減少手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  48. 請求項46又は47記載の構成に対して、前記バルブオーバーラップ減少手段が一時的にバルブオーバーラップを小さくしている期間に、点火時期を遅角する点火時期遅角手段を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  49. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、
    前記気流制御弁が閉じたときに、前記気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、前記気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも早くする吸気弁駆動手段を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  50. 内燃機関の各燃焼室に対して2つの吸気ポートを備え、一方の吸気ポートに気流制御弁を配置し、該気流制御弁の開閉により内燃機関の燃焼室内の気流状態を調整可能な内燃機関に対する内燃機関制御装置であって、
    前記気流制御弁が閉じたときに、前記気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁の開弁時期を、前記気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも遅くする吸気弁駆動手段を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  51. 請求項49又は50記載の構成において、前記吸気弁駆動手段は、カムプロフィールの異なる吸気カムの組み合わせとして構成され、前記カムプロフィールの違いにより前記吸気弁間の開弁時期を異ならせていることを特徴とする内燃機関制御装置。
  52. 請求項49又は50記載の構成において、前記吸気弁駆動手段は、吸気カムの可変バルブタイミング機構として構成され、前記気流制御弁が配置された吸気ポートの吸気弁および前記気流制御弁が配置されていない吸気ポートの吸気弁のいずれか一方又は両方のバルブタイミングを調整することで、前記吸気弁間の開弁時期を異ならせていることを特徴とする内燃機関制御装置。
  53. 請求項49又は50記載の構成において、前記吸気弁駆動手段は、前記吸気弁の電磁駆動機構として構成され、前記吸気弁の電磁駆動開始時期の違いにより前記吸気弁間の開弁時期を異ならせていることを特徴とする内燃機関制御装置。
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