JP4617455B2 - 有機化合物の異性化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高温高圧状態の反応媒体中で、無触媒で、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を異性化する方法に関するものであり、更に詳しくは、温度100〜500℃、圧力0.1〜50MPaの高温媒体、亜臨界状態ないし超臨界状態の反応媒体中で、無触媒で、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を異性化する方法に関するものである。
本発明は、例えば、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を、高温熱水、亜臨界水ないし超臨界水の反応媒体中で反応させることにより、炭化水素基中に含まれる炭素間の二重結合の位置を移動させる異性化方法を提供するものである。
そして、本発明は、炭素間の二重結合を含有する化合物の中でも、特に、立体構造の異なる異性体を製造することが可能であり、一段の反応プロセスで異性体を合成する方法を提供するものである。また、シス型又はトランス型の異性体を、選択的に、しかも、短時間で大量に連続製造する方法を提供するものである。
本発明は、高機能性を有する有機化合物、例えば、界面活性を有する物質、ファインケミカルの合成中間体等の製造技術分野において、有機溶媒や触媒等を使用しない、いわゆる、環境に優しい新しい有機化合物合成技術を提供するものとして有用である。
近年、水や二酸化炭素を主成分とした亜臨界流体又は超臨界流体は、従来の液体溶媒にはない多くの特徴点や利点を有し、環境調和型プロセスの反応媒体として、次世代の新しい有機化合物の製造技術を確立することを可能とするものとして非常に注目されている。
一方、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物は、その分子中に存在する、不飽和結合や他の官能基の反応性を利用して、例えば、香料、農薬、医薬及びそれらの中問体の製造原料、可塑剤の原料等として有用であることは良く知られている。
そうした誘導体の製造方法としては、例えば、エチレン系不飽和モノカルボン酸の−種であるクロトン酸の製造が知られている。従来、クロトン酸の製造に関しては、ビニル酢酸を苛性ソーダと煮沸することによってクロトン酸とすること、また、ビニル酢酸を酸と共に処理することによってクロトン酸に異性化すること、更に、別の方法として、クロトンアルデヒドの酸化によってクロトン酸を製造すること、が知られている(非特許文献1,2参照)。
また、エチレン系不飽和炭化水素は、高級アルコールの製造のために重要な原料化合物であり、通常、次の四つの方法が用いられる(非特許文献3参照)。
1)天然油脂からの脂肪酸、接触酸化で得られる脂肪酸の水素化。
2)オレフィンのヒドロホルミル化と水素化。
3)n−パラフィンの部分酸化。
4)Ziegler合成反応。
これらの方法は、本発明と対比すると、出発原料のみならず、合成反応の原理が相違している。
D.J.Cram,G,S.Hammond,Organic Chemistry,Library of congress Catalog Card Number:62−22197,P503. 向山光昭監訳、工業有機化学−主要原料と中間体−第四版、東京化学同人P206(1996)。 向山光昭監訳、工業有機化学−主要原料と中問体−第四版、東京化学同人P228−236(1996)。
このような状況の中で、本発明者等は、上記従来技術に鑑みて、簡単な合成プロセスで環境問題が解決できるとともに、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物の異性体を効率良く、選択的に製造することができる新しい製造方法を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、高温高圧状態の反応媒体中で、無触媒で、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を選択的に異性化することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、触媒や有機溶媒を使用することなく、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を異性化する方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、有機溶媒、触媒、酸、アルカリ等を極力使用せずに反応を遂行し、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を、効率良く、選択的に異性化する方法を提供することである。本発明の他の目的は、炭素間に二重結合を有する炭化水素基を含む化合物の、炭素間の二重結合を他の位置に移動させ、異性化する方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、廃水、廃物がほとんど発生しない方法であって、廃水、廃物の処理を必要としないプロセスで、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を異性化する方法を提供することである。更に、本発明の他の目的は、流通反応方法により、触媒無添加で、反応時間が0.1〜10秒という短時間で炭素間の二重結合を含む炭化水素基を有する化合物を高選択的に連続して異性化する方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)高温高圧状態の水ないし二酸化炭素を反応媒体として、該反応媒体中で、無触媒で、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を反応させて、該炭素間の二重結合の位置を移動させることから構成される該化合物の異性化方法であって
上記炭化水素基が、炭化水素基の末端に炭素間の二重結合を有する炭化水素基であり、上記炭化水素基を含む化合物が、化合物中の端部の炭素原子間が二重結合で構成されている化合物であ温度100〜500℃、圧力0.1〜50MPaの高温高圧状態の媒体を反応媒体として使用することを特徴とする上記化合物の異性化方法。
)高温熱水、亜臨界状態ないし超臨界状態の水を反応媒体として使用する、(1)に記載の異性化方法。
)亜臨界状態ないし超臨界状態の二酸化炭素を反応媒体として使用する、(1)に記載の異性化方法。
)炭素間の二重結合を有する炭化水素基が、炭素数が3ないし20からなる炭化水素基である、(1)に記載の異性化方法。
)炭素間の二重結合を有する炭化水素基が、炭素間の二重結合を複数有する炭化水素基である、(1)に記載の異性化方法。
)炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物が、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物が、化合物中の端部の炭素原子間が二重結合で構成されている高級不飽和炭化水素化合物である、高級不飽和炭化水素である、(1)に記載の異性化方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、高温高圧状態の反応媒体中で、無触媒で、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を反応させることにより、高速に連続式で、又は回分式で、その化合物を選択的に異性化する方法に関するものであり、従来法と全く異なる反応系を採用したことを特徴とするものである。
本発明において、「高温高圧状態の反応媒体」とは、具体的には、温度100〜500℃、圧力0.1〜50MPaの反応媒体、更に具体的には亜臨界状態ないし臨界状態の二酸化炭素又は水を挙げることができる。この場合、必要に応じて、有機溶媒との併用も可能である。
本発明において、「炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物」とは、二重結合を1又は2以上含む炭化水素基を有する化合物を意味する。具体的には、不飽和炭化水素類として、ブテン、ペンテン、ヘプテン、ヘキセン、デセン等を例示化合物として挙げることができるが、これらの化合物に限定されるものではない。
そして、更に具体的に述べると、該化合物は、化合物中の端部の炭素原子問が二重結合で構成されている化合物であり、その典型的な例として、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−デセン等を挙げることができる。これらの化合物としては、全炭素数が4ないし20のものが望ましい。
本発明において、「異性化」とは、該化合物の分子中に存在する「炭素間の二重結合」を、分子中の別の位置に移動させることを意味する。例えば、1−デセン、の1,2炭素間の二重結合を、2,3の炭素原子間に、又は3,4の炭素原子間に、又は4,5の炭素原子間に移動させ、2−デセン、3−デセン、4−デセンとする反応がその例である。しかしながら、本発明では、こうした例に限らず、分子内の二重結合の移動及び立体異性体の生成を「異性化」という。
本発明者等は、ビニル酢酸からクロトン酸を製造する化学反応を、高温高圧状態の反応媒体中で遂行する研究を行う過程において、トランス−及び/又はイソ−クロトン酸が製造できるばかりか、それらの化合物が選択的に製造できること更に、こうしたビニル酢酸からクロトン酸への転移反応系について反応機構等を研究する中で、同様の反応機構が類似の化合物である、炭素間の二重結合を有する不飽和モノカルボン酸又はそのエステル全般にも適用でき、また、炭素間二重結合を有するアルキルについても同様の異性化反応が起こることを見出した。
本発明では、反応媒体として、温度100〜500℃、圧力0.1〜50MPaの高温高圧の反応媒体、例えば、高温高圧状態の水又は二酸化炭素、好適には、270〜440℃の温度範囲の、高温熱水・亜臨界水ないし超臨界水(臨界温度375℃、臨界圧力22.05MPa以上の水)を使用することができる
般に、270℃以上の高温熱水が用いられ、例えば、約270〜440℃の温度範囲で、約40MPaの反応圧力が選択できる。更に、本発明では、反応原料、処理量、反応装置、及び目的生成物等によって、適宜の温度及び圧力条件を採用することができる。
本発明の反応系では、例えば、270℃以上の高温高圧水中に、上記反応基質を存在させれば良く、酵素、金属イオン、酸、或いは塩基のような触媒は、特に添加する必要はない。しかし、本発明の一実施形態として、必要に応じて、これらの触媒を添加することは適宜可能である。
本発明では、上記反応系により、例えば、反応時間10分〜0.1秒、好適には、5分〜0.2秒の極めて短時間に、異性化物が生成される。反応基質の濃度は、50〜200mMであるが、これに制限されるものではない。また、本発明では、例えば、高温高圧水の条件、特に、温度条件を変化させることによって、この反応の変換率、立体異性体の選択性、即ち、トランス−シス存在比を操作することができる
記する参考例に示すように、例えば、ビニル酢酸のクロトン酸への変換が可能であることを、高速液体クロマトグラフィー・質量分析装置(LC−MS)を用いて確認した。例えば、反応圧力が40MPaのとき、その変換率は、400℃付近で約42%であった。
上記反応では、高温熱水中で、ビニル酢酸からトランス−クロトン酸とイソ−クロトン酸が生成されたが、このとき、アンモニアを添加すると、次に示す反応式で、3−アミノ酪酸及びピロリジンを同時に合成することができる。この反応の、変換率及び相対物質収支を図4に示す。
本発明は、このような亜臨界流体ないし超臨界流体を反応媒体として利用することにより、化学合成プロセスの新しい体系の構築を実現するものとして、その実用性が強く期待されている流通反応システムの技術分野において、化合物中に含まれる炭化水素基の二重結合を別の位置に転移させることができる新しい方法を提供し、高温高圧状態の反応媒体を使用する反応体系を更に充実させるものである。
本発明は、高温高圧状態の反応媒体中で炭素間の二重結合を含む炭化水素基を有する化合物を反応させることにより、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を異性化する新規な方法に関するものであり、本発明により、次のような効果が奏される。
1)異性体が、高選択率で製造できる
2)シス異性体、トランス異性体を反応温度を変えることにより選択的に製造することができる
3)高温高圧水反応場に炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を高速で圧入することによって、短時間で、しかも一段階で異性体とすることができる
4)反応媒体として水が使用でき、有機溶媒を必須とはしない
5)反応触媒、アルカリ、酸等が必要ないため、生成物に不純物が混入する恐れがない
6)反応媒体が水であるため、反応生成物の取り扱いが容易であり、また、反応媒体から生成物を容易に分離できる
7)反応媒体として水を使用し、有機溶媒、触媒等を使用しないため、製造工程から、廃物、廃液の排出がなく、それらの処理が不要である
8)反応に選択性があり、目的とする化合物を高収率で製造できる
9)流通式反応装置を使用すると、反応時間が短いため、短時間に大量の化合物を合成するのに適している
10)本発明は、環境問題との調和が良好な方法であり、反応系が水であるので反応後に物質のリサイクルがし易く、高速反応であり、生産コストを軽減化する可能性を有する。
次に、参考例及び実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の参考例及び実施例によって何ら限定されるものではない。
参考例
温高圧水条件下で、無触媒により、ビニル酢酸からクロトン酸を連続的に製造した。
ビニル酢酸からクロトン酸を生成する反応は、次に示す反応式で進行する。
(1)流通式反応装置
本発明の製造方法を実施するに当たり、図1に示された流通反応装置を使用した。装置を構成する主たる部材は、次の構成からなる。
水ポンプ1、温度調整水ポンプ2、基質ポンプ3、洗浄水ポンプ4、第一熱電対5、第二熱電対6、圧力計7、電子制御背圧弁8、冷却ユニット9、高温高圧水供給装置10、恒温装置11、反応器12、洗浄液合流点13、洗浄液合流点14、基質合流点15、温度調整水合流点16、第一熱電対設置点17、第二熱電対設置点18。
(2)反応器及び反応条件
反応器:1/16インチ、内径0.5mm、長さ500mm。
反応器の材質:ハステロイC−276
反応圧力:40MPa(±0.11 MPa)
反応温度:280、300、325、350、365、375、385、400℃(±1℃)
高温高圧水速度:10m1/min
基質導入速度:4ml/min
反応使用試薬:ビニル酢酸(和光純薬株式会社製)
(3)分析装置
LC−MS
(4)装置の操作
装置の立ち上げに当たっては、ラインの圧力制御、温度制御、流入流体の表示と計量等の一般的な高温高圧装置の点検を行った後、実験計画に沿った、設定条件をセットしてスタートさせた。最初、全てのラインは水で満たされた状態として設定圧力でまず稼働させた。その時の各ポンプの流速は反応条件で稼動させなくても良い
に、高温高圧水供給装置10、及び恒温装置11をONとし、設定温度となるよう上昇させた。冷却ユニツト9をONとした後に、各温度設定域が設定温度の約2/3付近に達した時点で、水ポンプ1及び洗浄ポンプ4の水ポンプ送液量を所定の反応条件下に稼動させ、高温高圧水供給装置10は第一熱電対5(反応管内)による制御に切り替えた
一熱電対5と第二熱電対7が示す温度と反応管を設置している恒温装置11の温度とが−致した時点で、洗浄水ポンプ4を停止し、基質ポンプ3及び調整水ポンプ2に切り替えて作動させることにより反応をスタートさせた
のプロセスでは基の合流点15より4−5cm下流の第一熱電対設置点17の位置に第一熱電対5をセットした。流速と管の内径に基づき計算すると、設定温度は合流後、0.004−0.005秒経過した後の温度を示していた。
(5)実験結果
反応液を分析したところ、ビニル酢酸は、高温高圧水条件下でトランス−クロトン酸、イソ−クロトン酸を生成し、ビニル酢酸のクロトン酸への全変換率は365℃〜400℃付近で最高値の約42%を示した。この反応の変換率と相対物質収率を図2に示す。
ビニル酢酸が異性化して生成したクロトン酸は、270℃付近の反応温度では、全クロトン酸の約80%がトランス体であるが、反応温度が上昇すると共にトランス体は減少し、それに連動してシス体が増加する。約400℃付近でトランス体とシス体の生成比は逆転する。440℃以上ではシス体が約62%で得られる。また、全変換率も約400℃付近から減少に転ずる。
このように、図2に示されている実験結果を解析することより、上記流通装置を使用した上記反応条件のもとでは、ビニル酢酸を原料とすると、約270℃付近の温度で選択率約80%以上の高収率でトランス−クロトン酸を得ることができること、また、イソ−クロトン酸は約400℃以上の温度条件で約50%以上の選択率で得ることができること、が分かった。
したがって、ビニル酢酸から、クロトン酸を製造するには、高温度でイソ−クロトン酸を、低温度でトランス−クロトン酸を選択的に得ることができる。このように、高温高圧状態の水を反応媒体として反応させると、二重結合の移動が可能となり、立体異性体の選択的な合成が可能となることが確認された。
本実施例では、回分式反応装置により、1−デセンから2−デセノール及び異性化デセン類を製造した。1−デセンから2−デセノール及びデセンの異性体が生成する反応は、次の式に従って進行する。
(1)回分式反応装置と超臨界水反応の反応条件
回分式反応器の反応管に基質を封入し、溶融塩バス中に設置して加熱して反応させた。図3は、回分式反応器と溶融塩バスを示している。この装置は、塩浴槽に硝酸カリウム−硝酸ナトリウム系の塩浴剤(例えば、AS140、パーカ熱処理工業株式会社製)を用いて、塩浴温度180〜500℃に制御できる
応管はSUS316(外形1.27cm、内径0.93cm、長さ15cm)であり、反応管体積10.5cmである。超臨界水反応は、反応温度300、350、400℃、反応圧力40MPa、反応時問5、10、15、20分で行なった。この場合の設定温度到達時間は約30秒であった。
基質として、1−デセン(和光純薬株式会社製)を用いた。生成物を同定するのに必要な分析用試薬として、1−デセノール、2−デセノール及びデセン異性体(和光純薬株式会社)を用いた。この反応器への基質の仕込み量は50mMであり、水は設定圧に必要な量を封入した。
(2)試験結果
反応終了後、反応液を常法に従いGC−MSによって分析した結果、既知物質と完全に一致し、上記、化3に記載した反応が起こり、反応式に示されているように炭素間の二重結合が移動したことがわかった。
(3)亜臨界水反応の反応条件
次いで、亜臨界水条件として、反応温度300℃、反応圧力40MPa、反応時問5分、基質濃度50mMで、反応方式として回分式反応器で試験を行った。
(4)試験結果
上記の反応条件では、2−デセノール誘導体を約4.3%得ることができ、同時に1−デセン以外のデセン誘導体を約4.5%得ることができ、1−デセンがその異性体に転化したことが確認された。
本発明は、高温高圧状態の反応媒体中で、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を異性化する方法に係るものであり、本発明により、有機溶媒、触媒、或いは酸、アルカリ等を使用しない新規な反応系が実現でき、廃液、廃触媒、廃酸等の処理をしなくても良く、環境にやさしい炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を異性化する方法を提供することができる。
また、上記反応プロセスで使用している原料は、主に水であるため、本発明は、原料の再利用がしやすい反応であり、高速反応であり、また、不純物が少なく、選択的に目的とする構造を有する化合物を得ることができるという利点を有している。
本発明の炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物の異性化方法は、そうした特徴点を有しているために、特に、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物の異性化方法として有用であり、それにより、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を原料とする高機能性有機化合物、医薬農薬、金属イオン分析試薬等の原材料として有用な原料の異性体を製造し、提供することを可能とするものであって、産業上の利用価値のきわめて高いものである。
流通反応装置の概略を示す。 ビニル酢酸から製造された、イソ、トランス−クロトン酸の生成率及び異性体の生成割合を示す。 回分式反応器の概略を示す。 クロトン酸から製造された化合物の生成割合を示す。
(図1の符号)
1:水ポンプ
2:温度調整水ポンプ
3:基質ポンプ
4:洗浄水ポンプ
5:第一熱電対
6:第二熱電対
7:圧力計
8:電子制御背圧弁
9:冷却ユニット
10:高温高圧水供給装置
11:恒温装置
12:反応器
13:洗浄液合流点1
14:洗浄液合流点2
15:基質合流点
16:温度調整水合流点
17:第一熱電対設置点
18:第二熱電対設置点

Claims (6)

  1. 高温高圧状態の水ないし二酸化炭素を反応媒体として、該反応媒体中で、無触媒で、炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物を反応させて、該炭素間の二重結合の位置を移動させることから構成される該化合物の異性化方法であって
    上記炭化水素基が、炭化水素基の末端に炭素間の二重結合を有する炭化水素基であり、上記炭化水素基を含む化合物が、化合物中の端部の炭素原子間が二重結合で構成されている化合物であ温度100〜500℃、圧力0.1〜50MPaの高温高圧状態の媒体を反応媒体として使用することを特徴とする上記化合物の異性化方法。
  2. 高温熱水、亜臨界状態ないし超臨界状態の水を反応媒体として使用する、請求項1に記載の異性化方法。
  3. 亜臨界状態ないし超臨界状態の二酸化炭素を反応媒体として使用する、請求項1に記載の異性化方法。
  4. 炭素間の二重結合を有する炭化水素基が、炭素数が3ないし20からなる炭化水素基である、請求項1に記載の異性化方法。
  5. 炭素間の二重結合を有する炭化水素基が、炭素間の二重結合を複数有する炭化水素基である、請求項1に記載の異性化方法。
  6. 炭素間の二重結合を有する炭化水素基を含む化合物が、化合物中の端部の炭素原子間が二重結合で構成されている高級不飽和炭化水素化合物である、請求項1に記載の異性化方法。
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