図1は本発明の実施の形態として電子部品を保持するソケットを上側から見た場合の斜視図、図2は図1のソケットを下側から見た場合の斜視図、図3はソケットの平面図、図4はソケットの構成を示す断面図、図5は中継ボードとガイド部材とを示す斜視図、図6は中継ボードの平面図、図7は中継ボードの一部を拡大して示す断面図、図8はガイド部材を部分的に拡大して示す平面図、図9はガイド部材の凹部に中継ボード付勢部材が挿入された状態を示す斜視図である。また図10AないしCは接続ボードの動作を説明する電子部品とガイド部材の断面図であり、Aは電子部品をガイド部材上に装着した直後の状態、BはAの後で電子部品がガイド部材上を移動している状態、Cは電子部品の装着が完了した状態を示している。
図1に示すソケット10は、接続面に多数の外部接続電極(外部接触子)が、例えばマトリックス状(格子状または碁盤の目状ともいう)、あるいは平面「口」形状に配置された半導体などの電子部品1を保持固定するためのものである。前記ソケット10は一つのバーインボード(基板)40上に多数設けられており、各ソケット10内にそれぞれ電子部品1が装着させた状態でバーイン試験装置内に装填され、所定のバーイン試験が行われる。
なお、前記電子部品1の接続面1Aに形成された外部接触子(外部接続電極)2は、例えば平面状接触子(LGA:Land Grid Array)、球状接触子(BGA:Ball Grid Array)、またはピン状接触子(PGA:Pin Grid Array)などであるが、以下においては球状接触子2aを用いた場合(図4および図10参照)について説明する。
図1及び図4に示すように、ソケット10は凹状に窪んだ装填部11を備えた枠体10Aと、前記枠体10A内に設けられた一対の保持機構12,12を有している。前記保持機構12は回動自在に支持された左右一対のアーム12a,12aと、前記一方のアーム12aの先端と他方のアーム12aの先端との間に架設された支持軸12bと、前記支持軸12bに対し回転自在に設けられた押さえ部材12cと、前記一対のアーム12a,12aを装填部11の内方に付勢する付勢部材(図示せず)などを有している。
図1に示すように、前記付勢部材の付勢力に抗して両アーム12a,12aを上方(Z1方向)に持ち上げると、一方のアーム12aに設けられた押さえ部材12cと他方のアーム12aに設けられた押さえ部材12cとの間の対向距離が離れ、前記装填部11が開放状態に設定される。この開放状態において、半導体などの電子部品1を前記装填部11に装着することが可能とされている(図4参照)。
そして、両アーム12a,12aに対する持ち上げ力を解放すると、前記両アーム12a,12aが内方向かって回動させられ、電子部品1の上面が前記一対の押さえ部材12c,12cにより図示下方に押し付けられる。このため、電子部品1を前記装填部11に保持固定することが可能とされている。
図1及び図3などに示すように、前記装填部11の底部には図示上下方向(Z1−Z2方向)に貫通する略正方形状の開口部11aが形成されている。また図2及び図4に示すように、前記枠体10Aの底部の裏面で且つ前記開口部11aの外周部には底部裏面から図示Z1方向に凹む陥没部10Bが、前記開口部11aを囲むように形成されている。前記陥没部10Bの隅部には、図示Z2方向に突出する複数のボス10aが形成されている。前記ボス10aは、基端側に設けられた脚部10a2と先端側に設けられた第1の掛止部10a1を有している。
図3に示すように、前記開口部11aの4つの隅部には、平面的な形状が略L字状からなる位置決め角部14,14,14,14が設けられている。各位置決め角部14の内側には前記開口部11aに向かって傾斜するテーパ面14aが形成されている。前記位置決め角部14,14,14,14で囲まれた領域内には、図5に示すようなガイド部材30が設けられる。
また図1および図3に示すように、Y1側の位置決め角部14,14の近傍には、前記開口部11aの縁からその外側方向(図3ではY1方向)に略U字状に連続的に切り欠かれた切欠部11b,11bが形成されている。図4に示すように、前記陥没部10Bには、中継ボード20を形成するシート21が、その一部が前記切欠部11b,11bに対向する状態で設けられている。なお、前記中継ボード20とガイド部材30は、本発明の接続ボードCBを構成している。
図2ないし図4などに示すように、前記ソケット10の底部の裏面には、接続ボードCBを形成する中継ボード20が設けられている。より具体的には、図2及び図4に示すように、前記中継ボード20は前記陥没部10B内に位置決めされている。
前記中継ボード20は例えばポリイミドなどの樹脂からなる絶縁性のシート21を基材として形成されている。図7に示すように、前記シート21には多数のスルーホール22が所定の列数及び行数でXY方向に規則正しく穿設されており、図3に示すものでは全体として平面「口」形状に配列されている。
なお、前記多数のスルーホール22の配列形状は、電子部品1(半導体)の接続面に形成された前記球状接触子(外部接触子)2aの配列に依存するものであり、前記に示すような平面「口」形状に限定されるものではない。例えば、球状接触子2aが平面マトリックス状に配置される電子部品1(半導体)の場合には、前記多数のスルーホール22も平面マトリックス状に配列される。
図7に示すように、個々のスルーホール22の内周面には銅メッキを施した導電部23が形成され、導電部23の上端(図示Z1側の端部)および下端(図示Z2側の端部)にはシート21の表面および裏面に露出する接続部23a,23bが形成されている。上端側の接続部23aと下端側の接続部23bとは導電部23を介して導通接続されている。
スルーホール22の上側には上側スパイラル接触子(弾性接点)24Aが、スルーホール22の下側には下側スパイラル接触子(弾性接点)24Bが、スルーホール22の両開口端部を覆うように設けられている。
前記スパイラル接触子24A,24Bは、例えば銅などの導電性材料の表面にニッケルなどをメッキ形成することにより形成されており、全体として導電性および弾性に優れた弾性接点としての機能を有している。
前記スパイラル接触子24Aと前記スパイラル接触子24Bとは同一の構成であり、これらの外周側には略リング形状の基部24aが形成されている。そして、前記上側スパイラル接触子24Aの基部24aが上端側の接続部23aに、前記下側スパイラル接触子24Bの基部24aが下端側の接続部23bにそれぞれ接続されている。よって、前記上側スパイラル接触子24Aと前記下側スパイラル接触子24Bとは前記導電部23を介して導通接続されている。
スパイラル接触子24A,24Bは、ともに基部24a側に設けられた巻き始端24bから先端側の巻き終端24cに向かって螺旋状に延びており、巻き終端24cはスルーホール22のほぼ中心に位置している。そして、スパイラル接触子24A,24Bは、前記巻き始端24bから巻き終端24cに向かうにしたがってシート21から徐々に離れる凸型に成形されている。よって、スパイラル接触子24A,24Bは前記スルーホール22の両開口端部において、上下方向(Z1−Z2方向)に弾性変形可能な状態にある。
図5および図6に示すように、前記中継ボード20を形成するシート21の表面で、且つ前記多数のスパイラル接触子24Aが形成された領域の外側には、複数の板ばね(付勢部材)25が設けられている。
前記板ばね25は薄い帯状の金属板を切り抜くようにして形成されており、枠状の基部25aと弾性部25bとを有し、長手方向を前記シート21の各辺と平行となるよう向けた状態で設けられている。
前記板ばね25は、前記基部25aが前記シート21の表面に固定され、前記弾性部25bは前記シート21から図示上方(Z1)に向かって立ち上がる自由端として形成されている。そして、前記自由端の先端には、前記弾性部25bよりも狭い幅寸法からなる凸部25cが形成されている。
なお、前記板ばね25は、例えば銅板の表面に弾性力を付与するニッケルメッキを施すなどして形成することができ、この場合には前記スパイラル接触子24Aと同じ工程中に同時に形成することが可能である。この場合には、前記シート21上に、板ばね25をスパイラル接触子と同様に高い加工精度で形成することができる。このため、後述するように、前記板ばね25を用いて前記ガイド部材30を弾性的に支持する場合には、前記ガイド部材30の水平方向の位置ずれを小さくすることができる。しかも、一度の製造工程で、前記スパイラル接触子24と板ばね25を同時に形成することが可能となるため、製造工程を少なくすることができる。
図5に示すように、前記中継ボード20を形成するシート21の隅部には、後述する支持突起(支持機構)33が挿入される貫通孔26が形成され、前記貫通孔26の近傍には位置決め穴27が形成されている。
図4及び図5に示すように、ガイド部材30は、前記中継ボード20の図示Z1方向の上部に設けられている。前記ガイド部材30は略正方形状からなる平板状の部材であり、例えば絶縁性を有する樹脂を金型に流して一体的に成形する射出成形法により、あるいは後述する製法により形成されている。
図5に示すように、前記ガイド部材30は樹脂製のベース30Aと前記ベース30Aの中心部に形成された角状の貫通孔30Bとを有している。
そして、前記貫通孔30Bの周囲には上下方向(図示Z1−Z2方向)に貫通する多数の小孔31からなる位置決め手段が設けられている。前記個々の小孔31は、前記電子部品1の前記球状接触子(外部接触子)2aおよび前記中継ボード20のスルーホール22に対応して形成されており、全体の配列は上記同様に平面「口」形状である。ただし、この形状も、前記中継ボード20のスルーホール22の場合と同様に、前記電子部品1の接続面1Aに形成された外部接触子2の配列形状に応じ、例えば平面マトリックス状などその他の形状であってもよい。
前記位置決め手段を形成する多数の小孔31のうち、隅部に設けられた4つの位置決め小孔31A,31A,31A,31Aの直径は、その他の多数の小孔31よりも小さな寸法で形成されている。例えば、前記電子部品1の球状接触子2aの直径が0.6mmである場合には、前記4つの位置決め小孔31Aの直径は0.71mmで形成され、前記その他多数の小孔31の直径は0.75mmである。
なお、図8および図10Aないし図10Cに示すように、前記小孔31及び前記位置決め小孔31Aの表裏両端の一方の縁部(板厚方向の一方の縁部)、好ましくは双方の縁部には傾斜面31a,31bが形成されている。このため、本実施の形態に示すガイド部材30では、前記球状接触子2aと前記上側スパイラル接触子24Aの一方または双方を、前記小孔31および前記位置決め小孔31A内に導き易くなっている。
図5に示すように、前記ベース30Aの外周部には、各辺に沿って平行に延びる複数の凹部32と、前記ベース30Aの裏面(Z2側の面)から図示下方(Z2方向に延びる複数の)へ突出する複数の支持突起33が形成されている。
前記凹部32は、例えば帯状の長溝又は長穴からなり、前記中継ボード20に設けられている前記板ばね(付勢部材)25に対応する位置に形成されている。前記凹部32の幅寸法は、前記板ばね25の凸部25cよりも広く、且つ前記弾性部25bよりも狭い幅寸法で形成されている。
このため、前記凸部25cが前記凹部32に入り込んだ状態では、前記凸部25cの基部に相当する弾性部25bの肩部25dが前記凹部32の周囲(ベース30Aの裏面)に当接している。前記ガイド部材30は、このような状態で前記複数の板ばね25により弾性的に支持されている(図4及び図9参照)。
前記ガイド部材30のベース30Aの縦横方向の寸法(X方向及びY方向の寸法)は、前記開口部11aの4つの隅部においてX方向及びY方向において対向する前記位置決め角部14,14間の対向間隔よりも若干短い寸法で形成されている。このため、ガイド部材30を前記装填部11内に装填すると、前記ガイド部材30を前記位置決め角部14,14,14,14で囲まれた領域内に装填することが可能とされている。
なお、電子部品1を前記装填部11内に装填したときには、前記電子部品1を前記位置決め角部14の各テーパ面14aに沿って装填部11内の適正な位置に案内することができる。
ただし、各位置決め角部14,14間の前記X方向及びY方向における対向間隔は、電子部品1を前記装填部11内に装填したときに、前記電子部品1が前記位置決め角部14,14,14,14で囲まれた領域内でX方向およびY方向に若干移動することが可能な程度の隙間余裕を有している。前記隙間余裕は、前記電子部品1の接続面に形成されてX方向およびY方向に隣り合うように設けられた前記外部接触子(球状接触子)2間のピッチ寸法以下が好ましい。
前記支持突起33は前記ベース30Aの裏面に、前記裏面から図示Z2方向下方に突出するように一体形成されている。
上記のような中継ボード20とガイド部材30とを用いて接続ボードCBを組み立てるには、まずガイド部材30の各支持突起33の先端を前記中継ボード20の各貫通孔26にそれぞれ挿入する。このとき、各板ばね25の凸部25cが、ガイド部材30の凹部32内にそれぞれ挿入される。
次に、中継ボード20の裏面側(Z2側)において、前記支持突起33の先端に前記貫通孔26の直径よりも大きな寸法からなる抜け止め手段33aが設けられ、前記貫通孔26から支持突起33が抜け出ないようにする。前記抜け止め手段33aとしては、例えば、熱を加えて、各支持突起33の先端を前記貫通孔26の直径よりも大きな寸法となるまで変形させた構成、あるいは各支持突起33の先端に前記貫通孔26の直径よりも大きな寸法の別部材を取り付けた構成などである。
このように、接続ボードCBは、前記中継ボード20と前記ガイド部材30とを一体的に組み立てることにより形成することができる。
ところで、各貫通孔26の直径は各支持突起33の直径よりも大きい状態にある。このため一体化後の接続ボードCBでは、前記中継ボード20と前記ガイド部材30の対向距離を、互いに接近または離間する対向方向(Z方向)に沿って前記支持突起33の長さ寸法内で変更することが可能となっている。
なお、接続ボードCBとして組み立てられた後における各支持突起33の長さ寸法は、前記中継ボード20と前記ガイド部材30の対向距離が前記板ばね25の高さ方向(Z方向)の立ち上がり寸法よりも短くなる状態が好ましい。この状態では、前記板ばね25の凸部25cが前記ガイド部材30の凹部32から抜け出にくくなるため、前記ガイド部材30が前記板ばね25によって弾性的に支持される状態を維持することが可能となる。
また図9に示すように、前記凸部25cは凹部32内をその長手方向(図9の矢印方向)に移動することが可能である。すなわち、長手方向をX方向と平行とする板ばね25はXY平面をX方向へのみ移動することが許容されており、且つ長手方向をY方向と平行とする板ばね25はXY平面をY方向へのみ移動することが許容されている。このため、前記ガイド部材30は、前記中継ボード20に対して前記XY平面と平行となる水平面に沿って水平方向(X方向およびY方向)に移動することが規制されている。このため、前記ガイド部材30に形成された多数の小孔31内に、中継ボード20の表面に設けられている多数の上部スパイラル接触子24Aを確実に挿入させることが可能となる。
前記ソケット10では、前記接続ボードCBが前記枠体10Aの裏面側から装填される。すなわち、前記接続ボードCBのガイド部材30が、前記枠体10Aの裏面側から開口部11aに挿入され、前記位置決め角部14,14,14,14で囲まれた領域内に装填される。
このとき、前記接続ボードCBの中継ボード20は、前記ソケット10の底部の裏面に設けられた陥没部10Bに装着されるが、陥没部10Bに形成されているボス10aが前記中継ボード20の位置決め穴27に挿入される。
前記位置決め穴27の直径は、前記ボス10aの基端である前記脚部10a2の直径よりも大きく、且つ前記第1の掛止部10a1の直径よりも僅かに小さい寸法で形成されている。
前記位置決め穴27を、前記第1の掛止部10a1に挟入させると、前記第1の掛止部10a1が位置決め穴27を通り抜けて前記ボス10aの脚部10a2に達する。しかも前記位置決め穴27が前記脚部10a2に達した後は、前記第1の掛止部10a1が位置決め穴27を掛止する。このため、前記中継ボード20を前記陥没部10B内に保持することが可能とされている(図4参照)。
このとき、前記中継ボード20は、前記ボス10aの脚部10a2に沿って、その長さ寸法内をZ方向に自在に移動することが可能な状態にある。
なお、位置決め穴27の縁部を銅などの金属で縁取るようにすると、位置決め穴27を第1の掛止部10a1に対し強嵌合的に挟入させることが可能となり、抜け止め防止の効果を向上させることが可能となる点で好ましい。
この状態では、前記中継ボード20の表面に設けられた個々の上側スパイラル接触子24Aが、前記ガイド部材30に形成されている個々の小孔31内にそれぞれ挿入されている。なお、前記小孔31の下端には前記傾斜面31bが形成されているため、確実に各上側スパイラル接触子24Aを各小孔31に導入することが可能とされている。
また、ペンやピンセットの先端など、細長い先端部を前記切欠部11b,11bに挿入し且つ表面から裏面方向に押し入れると、前記先端部を用いて中継ボード20を形成するシート21の一部を図示Z2方向に押圧することができる。これにより、中継ボード20のシート21に形成された前記位置決め穴27が、前記ボス10a上を前記脚部10a2から前記第1の掛止部10a1に移動させられ、前記第1の掛止部10a1を通り抜けることが可能となる。よって、前記接続ボードCBを前記ソケット10の底部から容易に取り外すことができる。すなわち、前記第1の掛止部10a1は、中継ボード20を前記陥没部10Bに対し着脱自在に掛止しており、ペンやピンセットなどを用いて前記切欠部11b,11bを軽く突付くだけで、中継ボード20およびガイド部材30からなる接続ボードCBを容易に交換することが可能とされている。
なお、図2および図4に示すように、前記枠体10Aの図示Y1およびY2方向の両側面には、前記両側面から図示Z2方向に突出する第2の掛止部10b,10bが形成されている。図4に示すようにバーインボード40上には、被掛止部を形成する掛止孔41,41が形成されており、前記第2の掛止部10b,10bが前記掛止孔41,41内に挿入されて掛止されることにより、前記ソケット10がバーインボード40上に固定される。
このため、前記第2の掛止部10b,10bの対向間隔を狭めて、前記掛止孔41,41内から前記第2の掛止部10b,10bを抜き出すことにより、前記ソケット10をバーインボード(基板)40から容易に取り外すことが可能となっている。すなわち、前記第2の掛止部10b,10bは枠体10Aをバーインボード(基板)40に対して着脱自在に掛止している。
前記バーインボード40上には、前記中継ボード20の下面に設けられた多数の下側スパイラル接触子24Bに対応するランド部42が多数形成されている。前記下側スパイラル接触子24Bの先端側である巻き終端24cが前記ランド部42に弾圧させられることにより、各ランド部42と各下側スパイラル接触子24Bとが電気的に導通接続される。
前記個々のランド部42には図示しないパターン線がそれぞれ配線されており、前記パターン線を介して個々のランド部42とバーインボード40の外部に設けられる図示しない回路とが電気的に接続できるようになっている。このため、電子部品1をソケット10内に装着させた状態で、前記電子部品1の電気的な試験を行うことが可能とされている。
また図4に示すように、バーインボード40上の前記各ランド部42が形成された領域の外側の四隅には、前記ソケット10をバーインボード40上に取り付けたときに、前記第1の掛止部10a1,10a1の挿入を許容する逃げ穴44,44が形成されている。このため、陥没部10Bとバーインボード40との間に前記中継ボード20を挟持した状態で前記ソケット10をバーインボード40上に固定することが可能である。
なお、前記中継ボード20の板厚寸法hを、前記陥没部10Bの深さ寸法d以上にしておくと(d≦h)、前記ソケット10をバーインボード40上に取り付けたときに、前記中継ボード20を陥没部10Bとバーインボード40との間に強固に固定することができる。この場合には、各下側スパイラル接触子24Bと各ランド部42との間の接触を確実なものとすることができる。
次に、接続ボードCBの動作について説明する。
前記ソケット10には接続ボードCBが裏面方向から取り付けられており、前記装填部11内の開口部11aには前記ガイド部材30が前記板ばね25により付勢された状態で弾性支持されている。なお、この状態では前記中継ボード20の表面に設けられた個々の上側スパイラル接触子24Aが、前記ガイド部材30の個々の小孔31に挿入されている。
前記電子部品1は、前記接続面1Aを前記ガイド部材30に向けた状態で前記装填部11内に装填される。なお、前記電子部品1の装填は、上述したように、前記付勢部材の付勢力に抗して両アーム12a,12aを図示上方(Z1方向)に持ち上げた状態で行われる。
このとき、前記電子部品1の各球状接触子2aは前記ガイド部材30に形成されている前記多数の小孔31および位置決め小孔31Aに対し一対一の関係を有して対向配置される。
前記電子部品1は、その四つの角部が前記位置決め角部14の各テーパ面14aに沿って案内される。このため、前記電子部品1を前記位置決め角部14,14,14,14で囲まれた領域内にほぼ位置決めされた状態に設定することができる。
ただし、前記電子部品1の外形寸法は誤差を含むため、前記電子部品1の一つの側面を基準に位置決めすると、多数の球状接触子2aと小孔31とが完全に対向しない場合がある。このため前記電子部品1の側面と前記位置決め角部14,14,14,14との間には若干の隙間余裕が形成されており、電子部品1は前記隙間余裕内で図示X方向およびY方向に僅かに移動可能な状態にある。
ここで、図10Aは電子部品1を前記装填部11に装填した直後の状態を示している。この状態では、前記電子部品1が前記隙間余裕内でXY平面に平行となる方向に位置ずれしており、前記球状接触子2aと位置決め小孔31Aとが完全に対向していない状態にある。
両アーム12a,12aに対する持ち上げ力を解放し、図示しない付勢部材の付勢力を用いて前記両アーム12a,12aを内方に向かって回動させて、前記一対の押さえ部材12c,12cによって前記電子部品1の上面を図示下方に押し付けるようにすると、図10Bに示すように前記電子部品1が図示下方(Z1方向)に移動させられるため、前記傾斜面31aを介して前記球状接触子2aを位置決め小孔31A内に導くことができる。このとき同時に、前記電子部品1は図示XY平面に平行となる方向に沿って、個々の球状接触子2aと個々の小孔31との間に生じている前記位置ずれ量を小さくする方向に移動させられる。
そして、図10Cに示すように、さらに前記電子部品1をZ2方向に押し付けると、さらに前記位置ずれ量を小さくすることができる。しかも、前記小孔31内において、前記球状接触子2aと上側スパイラル接触子24Aの先端側の巻き終端24cとを弾性的に接続させることができる。
ここで、上述したようにガイド部材30の隅部に形成された4つの位置決め小孔31Aの直径は、その他多数の小孔31の直径に比較して小さい。このため、前記電子部品1は、前記ガイド部材30に対して前記隅部に設けられた位置決め小孔31Aを基準に位置決めすることが可能である。よって、個々の球状接触子2aと個々の小孔31との間に生じている前記位置ずれの量を最小とすることができる。このため、隅部以外の位置に形成されている多数の小孔31と、隅部以外に設けられている多数の球状接触子2aについても、互いに高精度に対向させることが可能となる。
このため、電子部品1を前記装填部11に装填するだけで、前記個々の球状接触子2aと個々の上側スパイラル接触子24Aとを板厚方向の両側から各小孔31に案内することができ、各小孔31の内部においてそれぞれ確実に接触(導通接続)させることができる。
上記実施の形態においては、電子部品1の各球状接触子2aとガイド部材の各小孔31との位置決め精度を高めるために、ガイド部材30の四隅に直径の小さな位置決め小孔31Aを形成した場合について説明したが、本発明は四隅に形成されているものに限定されるものではなく、少なくとも2箇所以上の隅部に、好ましくは3箇所以上の隅部に形成されていれば所期の目的を達成することが可能である。
また上記実施の形態では、前記電子部品を装填部内に保持する保持機構12,12が枠体10Aに一体的に設けられた構成について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、別体として設けた構成とすることも可能である。例えば多数のソケット10が設けられたバーインボード40に対し、バーインボードとほぼ同等の大きさからなる蓋体を載置して前記バーインボード40との間にロックしたときに、各ソケット10内に装填された電子部品1を前記蓋体で押さえ付けることにより保持する構成であってもよい。
ところで、上記ガイド部材30は、前記小孔31を有する本体部とその周囲のフレーム部分とが一体的に形成される射出成形法が採用されている。しかしながら、この製法では前記小孔31の加工精度を高めることに限界がある。
また前記複数の小孔31のピッチ寸法および穴径の大きさ、あるいは前記貫通孔30Bの形状や大きさなどは、半導体などの電子部品1の仕様に依存するため、その仕様が変わる毎に本体部のレイアウトを変更(設計変更)する必要が生じる。これに対し、フレーム部分の仕様が変更されるケースは、前記本体部の変更に比較して極めて少ない。このため、上記射出成形法で形成する場合には、電子部品1のレイアウトが変更されるたびに、前記本体部のみに変更を加えた新たな金型を製造しなければならず、製造コストを低減し難いものであった。
そこで、以下には、小孔の精度を高めることができ、しかも電子部品1のレイアウトが変更された場合であっても、製造コストの高騰を低く抑えることができるガイド部材およびその製造方法について説明する。
図11はガイド部材の他の実施の形態を示す平面図であり、図11Aは複数の小孔が形成されたガイド部の本体部を示す平面図、図11Bは本体部の周囲にフレームを取り付けたガイド部材を示す平面図、図12は図11に示すガイド部材の部分斜視図、また図13Aないし図13Gはガイド部材の製造方法の概略を各工程ごとに示す工程図である。
図11Aおよび図11Bに示すように、本実施の形態に示すガイド部材50は、複数の小孔51aが形成された本体部51と前記本体部51の周囲に取り付けたフレーム55とで形成されている。
前記本体部51はニッケルなどの金属で正方形に形成されており、その中央部には、それよりも小さな正方形からなる貫通孔51Bが形成されている。前記本体部51の板厚寸法は、例えば0.15mm程度である。複数の小孔51aは、本体部51の外周側の縁部と前記貫通孔51Bが形成された内周側の縁部との間の平面「口」形状からなる領域内にマトリックス状に配置されている。各小孔51aの縦横方向のピッチは一定であり、その寸法は約1mm程度である。
前記フレーム55は合成樹脂で形成されており、前記本体部51の外周側の周囲に一体的に設けられている。なお、前記フレーム55の板厚寸法は0.5mm程度である。
なお、この実施の形態に示すものでは、フレーム55の内縁側の四隅の位置に、3行3列(3×3)で配列された9つの位置決め小孔51Aが、本体部51の小孔51aを上下方向から挟み込むように形成されている。図12に示すように、前記位置決め小孔51Aと小孔51aとは板厚方向において連通している。前記位置決め小孔51Aの径寸法は前記本体部51の小孔51aよりもわずかに大きく、しかも前記位置決め小孔51Aから小孔51aに向かって傾斜するテーパ状で形成されている。このため、電子部品1の四隅に配置されている球状接触子2aを前記位置決め小孔51Aを介して前記本体部51の小孔51aに導き易くなっている。
本実施の形態に示すガイド部材50は金属製であり、前記小孔51aの径寸法、およびピッチ寸法は、上記樹脂製のガイド部材30の小孔31に比較して高い加工精度で形成されている。このため、上記ガイド部材30のように位置決め小孔31Aの径寸法を他の小孔31よりも小さく形成しなくとも、電子部品1の各球状接触子2aとガイド部材50の各小孔51aとを位置合わせすることができる。同様に、前記ガイド部材50の小孔51aと中継ボード20の各上側スパイラル接触子(弾性接点)24Aとの位置合わせを確実に行うことが可能である。すなわち、前記ガイド部材50の小孔51aを介して、その一方に設けられた電子部品1の各球状接触子2aと他方に設けられた中継ボード20の各上側スパイラル接触子(弾性接点)24Aとを接触(導通接続)させることが可能である。
以下には、前記本体部51の製造方法について説明する。
図13Aに示すように、第1の工程では、前記ガイド部材50の本体部51を形成するための基板61を用意し、この基板61の表面に感光材料からなるレジスト層62を所定の膜厚で形成する。
第2の工程では、図13Bに示すように、前記レジスト層62に本体部51の形状パターン51’を形成する。例えば前記本体部51を模ったマスクで前記レジスト層62の表面を覆い、その上から紫外線等を露光して前記レジスト層62を感光させ、その後に現像処理することにより、本体部51の形状をパターン形成することができる。
なお、ここにおける露光方法は、マスクを用いるものに限られるものではなく、例えば紫外線をレジスト層62に直接照射して高速で描画して感光させるレーザー描画装置を用いて行う描画法であってもよい。
次に、第3の工程では、図13Cに示すように、前記本体部51の形状パターン51’が形成されている基板61に剥離層63を形成する。なお、前記剥離膜63には酸化物からなる剥離膜を用いることが好ましく、例えば前記剥離膜をZnOで形成することがより好ましい。ZnOは、その上にCuやNi、Au等の金属メッキ層が形成されても、前記金属メッキ層をZnO膜上から剥離しやすく、取り扱いに優れ本体部51の形成にかかる生産コストの低減をより促進させることが可能である。
図13Dに示すように、第4の工程では、前記剥離膜63の上にメッキ65を施して本体部51を形成する。このときのメッキ65は、無電解メッキ法でもよいし、電解メッキ法でもよい。
第5の工程では、図13Eに示すように、アルカリ水溶液を用いて前記レジスト層62を除去するとともに、前記本体部51を前記基板61から分離する。なお、前記本体部51は前記剥離層63に形成されているため、容易に分離することが可能である。
さらに、第6の工程では、図13Fに示すように、前記本体部51の表面および裏面からガンスプレー等を用いて絶縁塗料を噴霧し、前記本体部51の全面を絶縁コーティングする。これにより、本体部51を形成する全面、すなわち表裏面および小孔31の内側面を絶縁層66で覆うことができる。なお、前記絶縁塗料としては、例えば高硬度アクリル樹脂系塗料(商品名=オーマックNo.200)などを用いることが可能である。また前記絶縁塗料は、塗装の有無が容易に確認することができるように、顔料を混ぜたものが好ましい。
以上の工程により、前記本体部51が完成する(図11A、図13F参照)。
次に、フレームを形成する製造工程では、まず前記本体部51が、図示しない金型を形成する雄型と雌型との間の所定の位置にセットされる。前記金型には前記本体部51の周囲に相当する部分にキャビティ(図示せず)が形成されている。
そして、加熱されて流動化した状態にある合成樹脂(溶融樹脂)が、閉じた金型の前記キャビティ内に加圧注入される。前記溶融樹脂が、前記金型内で固化することにより、前記本体部51の周囲に所定形状からなるフレーム55が一体的に形成される。最後に、前記金型から取り出すことにより、本体部51とフレーム55とが一体形成されたガイド部材50が完成する(図11B、図13G参照)。
なお、図11Aに示すように、前記本体部51の外周側の縁部(図11Aでは2箇所)には、位置決め用の基準穴51C,51Cが一体に形成されている。前記キャビティの内部に、前記基準穴51C,51Cに対応する凸部を形成しておくことにより、前記本体部51を前記金型内に位置決めすることが可能である。このため、前記本体部51に対する前記フレーム55の取り付け精度を高めることができる。よって、前記フレーム55を形成する際に、上記ガイド部材30の複数の凹部32および支持突起(支持機構)33(図5参照)を、凹部52および支持突起(支持機構)53として前記フレーム55に一緒に形成したとしても、その加工精度を維持することが可能である(図11B参照)。
上記ガイド部材50では、電子部品1の仕様の変更に伴い、レイアウトの変更が度々行われる本体部51と、レイアウト変更が殆ど生じないフレーム55とを別工程で段階的に分けて製造することができる。このため、電子部品1の仕様の変更が生じたときには、本体部51のみを変更後の仕様に沿って形成し、フレーム55部分は変更を加えない従来のままの仕様で製造することができる。
すなわち、本願発明のガイド部材50では、レイアウト変更の少ないフレーム55部分を共通化することができる。そして、レイアウトの変更が生じた本体部51のみを新たに製造するだけでよくなるため、製造コストを低減することができる。
しかも、本体部51を上記のようにレジスト法とメッキ法を用いて製造することにより、上記射出成形法に比較して高精度に形成することができる。本発明では、上記製造方法で説明したように、本体部51を製造するための専用の金型を必要としない。このため、本体部51のレイアウトに変更が生じても、安価な製造コストで前記本体部51を形成することが可能である。