JP4615777B2 - 収納装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、収納装置本体と、その収納装置本体の収納空間に対して収納移動並びに引き出し移動自在な容器と、その容器の開口部に対する開閉方向に移動自在に前記収納装置本体に保持された蓋体とが設けられ、
前記容器が前記収納装置本体に収納移動されるに伴って前記蓋体が閉じ状態になり、前記容器が前記収納装置本体から引き出し移動されるに伴って前記蓋体が開き状態に操作されるように構成された収納装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる収納装置では、収納装置本体の内側の収納空間内に水平又は略水平方向に挿脱自在な上面に開口部を有した容器と、この容器の開口部を開閉する蓋体が収納装置本体とが備えられている。そして、前記蓋体は前記容器の操作と連動して開閉方向に移動するように構成されており、前記容器を収納装置本体に収納すると、蓋体が容器の上面開口部を閉じ、前記容器を収納装置本体から引き出すと、蓋体は容器の上面開口部を閉じるように構成されている。
【0003】
このような収納装置の具体例としては、例えば食器洗浄機があり、食器洗浄機本体の収納空間に対して容器の一例である洗浄槽が収納移動ならびに引き出し移動自在に構成され、洗浄槽の開口部に対して開閉方向に移動自在に食器洗浄機本体に保持された蓋体が設けられ、洗浄槽が食器洗浄機本体に収納されると、蓋体が洗浄槽の開口部を閉め、洗浄槽が食器洗浄機本体から引き出されると、蓋体が洗浄槽の開口部を開けるようになっていた。
【0004】
そして、従来の収納装置では、例えば特開2001−46300号公報に記載されている食器洗浄機のように、容器上部を開閉する蓋体を開閉方向に案内移動させるリンク機構と、蓋体を開き方向へ付勢させる付勢手段が備えられ、容器を収納装置本体から引き出すときには、引き出し方向へ移動させると開き状態となる蓋体が、引き出し方向への付勢力が蓋体に作用することによって開き状態となり、容器を収納装置本体に収納するときには、収納方向へ移動させると閉じ状態となる蓋体が、容器によって収納方向側へ押し移動されることによって閉じ状態となるように構成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の収納装置では、容器の開口部を閉じる蓋体を閉じ状態から開き状態へと移動させるのに、付勢手段による付勢力のみで操作されていた。つまり、この付勢手段は、蓋体を移動させることができる程の付勢力を生じるものであった。そのため、容器を収納移動させる収納操作においては、容器を収納移動させるながら蓋体を収納方向側へ押し移動させるようになっているので、付勢手段による付勢力に抗して容器を収納方向へ移動させることとなり、その結果、収納操作において大きな操作力が必要となるという問題があった。
ちなみに、収納操作における操作力を軽減するために、付勢手段の付勢力を小さくすることが考えられるが、付勢力を小さくすると、蓋体を開き状態に操作することが不確実になる虞があり、実用し難いものであった。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓋体が容器の開口部を開閉する開閉動作を確実に行え、且つ、容器の収納移動及び引き出し移動を小さい操作力で行えるようにした収納装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1記載の発明〕
請求項1に記載の発明は、収納装置本体と、その収納装置本体の収納空間に対して収納移動並びに引き出し移動自在な容器と、その容器の開口部に対する開閉方向に移動自在に前記収納装置本体に保持された蓋体とが設けられ、前記容器が前記収納装置本体に収納移動されるに伴って前記蓋体が閉じ状態になり、前記容器が前記収納装置本体から引き出し移動されるに伴って前記蓋体が開き状態に操作されるように構成された収納装置であって、前記蓋体を開閉方向に移動自在に支持する蓋体支持手段が、その蓋体を容器収納方向に移動させると閉じ状態側に移動させ、且つ、その蓋体を容器引き出し方向に移動させると開き状態側に移動させるように支持するように構成され、前記蓋体を容器収納方向並びに容器引き出し方向に押し移動する蓋体開閉操作具が、前記収納装置本体に、前記蓋体を閉じ状態に操作する閉じ操作位置と前記蓋体を前記開き状態に操作する開き操作位置とに移動自在に設けられ、前記容器が、前記収納装置本体に収納移動されるに伴って、前記蓋体開閉操作具を前記閉じ操作位置に押し移動操作し、且つ、前記収納装置本体から引き出し移動されるに伴って、前記蓋体開閉操作具を前記開き操作位置に押し移動操作するように構成されている点を特徴とする。
【0007】
すなわち、容器を収納装置本体に収納移動させると、蓋体開閉操作具が開き操作位置から閉じ操作位置へと移動操作され、この蓋体開閉操作具が蓋体を押し移動させるように作用して、蓋体を容器収納方向へ移動させることとなって、蓋体が開き状態から閉じ状態へと操作され、容器の開口部を蓋体が閉じることとなる。一方、容器を収納装置本体から引き出し移動させると、蓋体開閉操作具が閉じ操作位置から開き操作位置へと移動操作され、この蓋体開閉操作具が蓋体を押し移動させるように作用して、蓋体を容器引き出し方向へ移動させることとなって、蓋体が閉じ状態から開き状態へと操作され、容器の開口部を開けることとなる。
【0008】
従って、容器を収納装置本体に収納移動させるとき、並びに、容器を収納装置本体から引き出し移動させるときに、容器の収納方向への移動による蓋体の閉じ状態側への移動、並びに、容器の引き出し方向への移動による蓋体の開き状態側への移動が、蓋体開閉操作具にて容器と蓋体とを連動させた形態で行われるから、蓋体の開閉が確実に行われるようになる。そして、容器を収納移動させるための操作力、並びに、容器を引き出し移動させるための操作力が、蓋体の容器収納方向及び引き出し方向に作用するようになるから、蓋体を開き方向へ付勢する付勢手段を不要にできる、あるいは、付勢手段を設けるとしても必要となる不勢力を軽減できるものとなる。もって、容器の収納移動並びに引き出し移動に伴って、蓋体の開閉操作を確実に行えるものでありながら、容器の収納移動並びに引き出し移動を小さい操作力で行えるものとなる。
【0009】
〔請求項2記載の発明〕
請求項2に記載の発明は、前記開閉操作具が、前記閉じ操作位置と前記開き操作位置とに揺動自在に構成され、前記容器には、開閉操作具操作用の係合孔が、前記開閉操作具の揺動によりその開閉操作具に備えさせたピン状の被操作部が係脱するように設けられ、前記開閉操作具が、前記容器を前記収納装置本体に対して収納移動及び引き出し移動させる全ストロークのうちで、最終収納位置とそれよりも設定量手前側位置との間でのみ、前記被操作部を前記開閉操作具操作用の係合孔に係合するように構成されている点を特徴とする。
【0010】
すなわち、設定量手前側位置よりさらに手前側に容器を引き出すと、開閉操作具が揺動することによって、開閉操作具に備えさせたピン状の被操作部が係脱することになり、容器を収納装置本体に対して収納移動及び引き出し移動させる全ストロークのうちで、最終収納位置とそれよりも設定量手前側位置との間でのみ、開閉操作具のピン状の被操作部が容器に設けられた開閉操作具操作用の係合孔に係合することになる。
【0011】
従って、開閉操作具に備えさせたピン状の被操作部が、容器を収納装置本体に対して収納移動及び引き出し移動させる全ストロークに対応して、開閉操作具操作用の係合孔に係合させるように構成する場合と比べて、開閉操作具の大きさを小さくすることが可能となる等、蓋体の開閉操作のための構造をコンパクトな構成によって実現できるようになる。
【0012】
〔請求項3記載の発明〕
請求項3に記載の発明は、請求項2の収納装置において、前記蓋体開閉操作具を前記開き操作位置に復帰付勢する付勢手段が設けられている点を特徴とする。
【0013】
すなわち、蓋体開閉操作具が、付勢手段によって、開き操作位置に復帰付勢されることになる。
【0014】
従って、蓋体開閉操作具が、容器の係合孔から外れても、付勢手段にて開き操作位置に適確に保持できるので、容器の収納移動に伴う、係合孔と開閉操作具の被操作部との係合を確実に行えるものとなって、蓋体の開閉操作を適確に行い易い。
【0015】
〔請求項4記載の発明〕
請求項4に記載の発明は、前記容器の左右側部の夫々に対応して、前記蓋体開閉操作具が一対設けられている点を特徴とする。
【0016】
すなわち、容器を収納移動並びに引き出し移動させるときに、容器を押し移動させる操作力を蓋体に伝達させることを、蓋体に対して左右両側から行えることになる。
【0017】
従って、容器の収納移動及び引き出し移動させるときに、容器を押し移動させる操作力が蓋体に左右から作用することとなり、容器が収納移動並びに引き出し移動するときの蓋体の開閉動作が、コジレ等の動作不良を発生し難い状態で円滑に行われるようになる。
【0018】
〔請求項5記載の発明〕
請求項5に記載の発明は、前記蓋体支持手段が、カム部材とカムフォロアとを、前記収納装置本体と前記蓋体とに振り分けて設置して構成されている点を特徴とする。
【0019】
すなわち、容器の水平方向の移動に伴う蓋体の開閉移動が、カム部材とカムフォロアからなるカム作用によって定められた軌跡に沿って、蓋体が上下及び前後方向に移動することになる。
【0020】
従って、蓋体の開閉方向の移動において、リンク機構によって連動させることもできるが、その場合には、リンク機構が複雑となり、コストアップの原因となる虞もあるのに対し、カム部材とカムフォロアからなるカム機構を採用することにより、簡素な構造で円滑な動作を得ることができる。
【0021】
〔請求項6記載の発明〕
請求項6に記載の発明は、前記容器が食器洗浄機の洗浄槽で、前記収納装置本体が食器洗浄機の本体ケーシングであり、前記洗浄槽が、前記本体ケーシングに対して水平又は略水平方向に沿って、収納移動並びに引き出し移動されるように構成されている点を特徴とする。
【0022】
すなわち、本発明の収納装置を構成する収納装置本体、容器及び蓋体に相当するものとして本体ケーシング、洗浄槽及び蓋体を備え、本体ケーシングは前面部が開口され、洗浄槽は本体ケーシングに対して収納移動並びに引き出し移動が可能であるように構成され、蓋体は洗浄槽の上面開口部を開閉できるように構成されている食器洗浄機に、本発明の構成を適用することになる。
ちなみに、このような食器洗浄機は、洗浄槽に食器類を収納するものであり、食器類を収納した洗浄槽は重量が大きくなるため、食器類を収納した洗浄槽を収納移動並びに引き出し移動させるには、大きな操作力が必要となる。そして、この食器洗浄機において、洗浄槽を収納移動させる操作力によって、開き方向への付勢力が作用するような蓋体を閉じ状態へと移動させる構成の場合には、その付勢力が収納操作に反発するように作用するものとなり、洗浄槽を収納移動させるときの操作力として大きな操作力が必要となる。
【0023】
従って、食器類を収納するための洗浄槽を備えた食器洗浄機において、本発明を適用することによって、洗浄槽の収納移動並びに引き出し移動に伴って、蓋体を確実に開閉操作できながらも、洗浄槽の収納移動及び引き出し移動を小さな操作力で行えるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の収納装置を食器洗浄機に適用した実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、食器洗浄機は、前面が開口する箱状の収納装置本体としての本体ケーシング1を備え、且つ、本体ケーシング1の内側の収納空間内に水平又は略水平方向に挿脱自在な上部が開口された容器としての洗浄槽2を備えている。
【0025】
説明を加えると、図2に示すように、本体ケーシング1の内側には、レールなどで構成された左右一対のスライド機構7が設けられ、その左右一対のスライド機構7を介して、前記洗浄槽2が、本体ケーシング1の収納空間に対して、上述の如く水平又は略水平方向に挿脱自在に、つまり、矢印Aで示す収納移動方向へのスライド移動と、矢印Bで示す引き出し移動方向へのスライド移動とができるように構成されている。
【0026】
洗浄槽2の前面には、把手8などを備えた本体蓋9が取り付けられていて、その把手8を用いて、洗浄槽2を引き出し移動方向Bへスライド移動させることで、図1に示すように、洗浄槽2が本体ケーシング1の前方側に引き出されて、食器類5や洗浄かご6を取り出したり収納したりでき、また、洗浄槽2を収納移動方向Aへスライド移動させることで、図6に示すように、本体ケーシング1内に洗浄槽2を収納して、食器を洗浄したり乾燥したりできるように構成されている。
【0027】
図2に示すように、洗浄槽2の上部の開口部を開閉する蓋体10が、開閉方向に移動自在に本体ケーシング1に保持された状態で設けられている。この蓋体10は、洗浄槽2が本体ケーシング1に収納移動されると閉じ状態となり、洗浄槽が本体ケーシング1から引き出し移動されると開き状態となるように開閉操作されるように構成されており、閉じ状態においては、食器洗浄時などにおいて洗浄水が洗浄槽2から飛散するのを抑制することになり、開き状態においては、食器類5等を洗浄槽2に対して出し入れできるようにすることになる。
この蓋体10は、図3、図5、図7に示すように、蓋体支持手段Fによって、蓋体10を洗浄槽引き出し方向に移動されると開き状態側に移動され、蓋体10を洗浄槽収納方向に移動させると閉じ状態側に移動されるように支持されており、後述するように、洗浄槽2を収納移動させると、洗浄槽収納方向に移動されて閉じ状態になり、洗浄槽2を引き出し移動させると、洗浄槽引き出し方向に移動されて開き状態になるように構成されている。
【0028】
また、図2に示すように、前記洗浄槽2が収納方向及び引き出し方向に移動される伴って作用する左右一対のトグル機構27が、前記本体ケーシング1の後方箇所に設けられて、洗浄槽2を収納状態に保持するようになっている。
【0029】
次に、前記蓋体支持手段F及び左右のトグル機構27について説明を加える。
先ず、蓋体支持手段Fについて説明すると、蓋体10の左右の両縁部には、金属製の縁部材19が取り付けられていて、その縁部材19には、被案内体であるカムフォロアとして機能するカムピン37が、左右外側に突出するように2本ずつ設けられている。さらに、縁部材19の上方には、係止部20が設けられて、この係止部20と本体ケーシング1との間に、蓋体10を前面上方側に付勢するためのコイルスプリングからなる蓋用スプリング38が介装され、蓋体10の下面の外周には、弾性材からなるシール部材21が取り付けられている。
そして、本体ケーシング1の左右内側には、本体ケーシング1を形成する板材を切り出して形成された一対の保持舌片23が、蓋体10側のカムピン37に対応するように4対設けられ、各対の保持舌片23によって、カムピン37と協働するクランプ部材26が、矢印Cで示す洗浄槽2の上面開口部に対する蓋体10の開閉方向に移動自在に保持されている。
【0030】
前記クランプ部材26は、合成樹脂や金属製の成形品で構成され、図10に示すように、その上部には、蓋体10側のカムピン37が嵌入するカム部材として機能するカム溝22が設けられ、カム溝22の下方には、一対の保持舌片23の上縁に接当して保持される保持片24が設けられている。
さらに、クランプ部材26の下方には、洗浄槽2への接当によって前記開閉方向Cへの移動が受け止め阻止されるための接当部25が設けられていて、カム溝22、保持片24、ならびに、接当部25などが、クランプ部材26の同一面側に設けられている。
【0031】
前記カム溝22は、図3(イ)、図7(イ)に示すように、洗浄槽2が本体ケーシング1内に収納されたときにカムピン37が位置する最下方位置aと、洗浄槽2が本体ケーシング1から引き出されたときに位置する最上方位置bとにわたって傾斜状に設けられ、且つ、クランプ部材26の上下方向の中心線L上に前記最下方位置aが位置する状態で、互いに連続して左右に一対設けられるとともに、クランプ部材26そのものも中心線Lを中心として左右対称形に構成されている。
そして、このようなクランプ部材26が、本体ケーシング1の左右内側に設けられた4対の保持舌片23によって、それぞれカム溝22などを内側に向けた状態で、換言すると、各クランプ部材26が、洗浄槽2の収納移動方向Aならびに引き出し移動方向Bに直交する方向視において左右対称形に構成され、その収納移動方向Aならびに引き出し移動方向Bにおいて洗浄槽2の左右両側に位置されて、4対の保持舌片23によって前記開閉方向Cに移動自在に保持されるとともに、各クランプ部材26のカム溝22にカムピン37が嵌入されている。
【0032】
次に、左右一対のトグル機構27について説明すると、各トグル機構27は、その一端部に係合用切欠き28を有するほぼL字状のレバー29とコイルスプリング30で構成されている。L字状のレバー29の中間部は、枢支ピン31を介して本体ケーシング1に回動自在に取り付けられ、そのL字状のレバー29の他端部と本体ケーシング1との間にコイルスプリング30が介装されていて、コイルスプリング30の付勢力に起因するL字状のレバー29の回動力作用方向が、図5(イ)に示す設定切換位置Dを中心として逆方向に切換わるように構成されている。
【0033】
前記洗浄槽2は、その上面開口部の外周に沿って外方に膨出する開口縁部、つまり、洗浄槽2の左右横側方に膨出する左右一対の横側開口縁部32、後方に膨出する後側開口縁部33、ならびに、前方に膨出する前側開口縁部34とを一体的に備え、左右一対の横側開口縁部32には、その横側開口縁部32から下方へ突出する状態で形成された受け止め面35が、前記クランプ部材26の接当部25に対応するように2個ずつ設けられている。
そして、洗浄槽2の後方側の左右横側方には、各トグル機構27を構成するL字状のレバー29の係合用切欠き28に嵌入する左右一対の係合用ピン36が突設されている。
【0034】
次に、以上の構成からなる蓋体支持手段F及びトグル機構27について、洗浄槽2の収納移動及び引き出し移動に伴う動作について説明する。
洗浄槽2を本体ケーシング1の収納空間に収納した状態では、図6、図7(イ)に示すように、洗浄槽2から突出する左右一対の係合用ピン36が、各トグル機構27を構成するレバー29の係合用切欠き28内に嵌入し、コイルスプリング30の付勢力に起因するレバー29の回動力が、洗浄槽2の収納移動方向A側に作用している。
さらに、洗浄槽2の手前側当接部17が案内ピン14に接当し、案内ピン14が蓋体溝16に係合していることによって、蓋体10を収納移動方向A側に押圧しているので、蓋体10から突出する合計4本のカムピン37が、各クランプ部材26のカム溝22内における最下方位置aに位置して、後に詳しく説明するように、蓋体10が洗浄槽2の上面開口部を密閉している。
【0035】
この収納状態から洗浄槽2を引き出し移動方向B側へ引き出すと、カムピン37の移動に伴って、L字状のレバー29がコイルスプリング30の付勢力に抗して引き出し移動方向B側に回動され、同時に、案内ピン14の移動に伴って、蓋用スプリング38の付勢力により蓋体10が引き出し方向B側に移動されるとともに、4本のカムピン37が、各カム溝22内において引き出し方向B側に移動される。
そして、L字状のレバー29が図5(イ)に示す設定切換位置Dを越えると、図3(イ)、図4に示すように、コイルスプリング30の付勢力に起因するL字状のレバー29の回動力が、引き出し移動方向B側に作用するように切換わり、コイルスプリング30の付勢力によって、洗浄槽2が引き出し移動方向B側に押し出され、4本のカムピン37が、各カム溝22内における最上方位置bにまで移動するとともに、その後、係合用ピン36が係合用切欠き28から外れ、蓋体10による洗浄槽2の上面開口部の閉鎖が解除され、洗浄槽2が本体ケーシング1から引き出される。
【0036】
この引き出し状態から洗浄槽2を収納移動方向A側へ押し込むと、洗浄槽2から突出する左右一対の係合用ピン36が、各トグル機構27を構成するL字状のレバー29の係合用切欠き28内に嵌入して、引き出し時とは逆に、L字状のレバー29をコイルスプリング30の付勢力に抗して収納移動方向A側に回動させる。
そして、L字状のレバー29が設定切換位置Dを越えると、L字状のレバー29の回動力が、収納移動方向A側に作用するように切換わり、コイルスプリング30の付勢力によって、洗浄槽2を収納移動方向A側に引き込むと同時に、洗浄槽2の手前側当接部17が案内ピン14に接当して収納移動方向A側に押圧移動させ、この移動に伴って蓋体10が収納移動方向A側に押圧移動されて、各クランプ部材26のカム溝22内において、その最上方位置bにあった4本のカムピン37が最下方位置aの方へ移動される。
【0037】
このカム溝22内におけるカムピン37の移動によって、蓋体10が下方へ、つまり、洗浄槽2の開口部に対する開閉方向C側へ移動され、同時に、各クランプ部材26が上方へ、つまり、前記開閉方向C側へ移動される。
そして、最終的に、各カムピン37が各カム溝22内の最下方位置aにまで移動されて、各クランプ部材26の接当部25が、洗浄槽2の横側開口縁部32から突出された受け止め面35に接当し、クランク部材26の前記開閉方向Cへの移動が阻止されるとともに、カム溝22とカムピン37との協働作用で蓋体10が洗浄槽2側へ押し付けられ、図6に示すように、蓋体10に設けられたシール部材21が、洗浄槽2の開口縁部32、33、34の上面に密着して、洗浄槽2の上面開口部が確実に密閉されるのである。
【0038】
次に、洗浄槽2の引き出し移動及び収納移動により、蓋体10を洗浄槽引き出し方向及び洗浄槽収納方向に移動させて、蓋体10を開閉操作する構成について説明する。
【0039】
本体ケーシング1の内側後方の左右の側面上方部には、図9に示すように、蓋体開閉操作具としての案内レバー11が左右一対に配置されており、この案内レバーは、本体ケーシングへの取付固定部12、揺動支承軸39、プッシュレバー13及び案内ピン14によって構成されている。プッシュレバー13の一端側は、取付固定部12の揺動支承軸39を軸心として、洗浄槽2の収納及び引き出し方向に回転揺動自在に取付けられており、他端側には上下方向に沿って案内ピン14がプッシュレバー13を挟んで同一軸心に沿って上下方向に延びるように円筒状に形成されている。
【0040】
洗浄槽2には、図9に示すように、洗浄槽2後方の上部に開閉操作具用の係合孔としての洗浄槽溝15が案内レバー14に対応して左右一対設けられている。この洗浄槽溝15は、案内ピン14と嵌合可能な幅を有し、図3(ロ)に示すように、手前側当接部17は洗浄槽2側面まで延びるように、奥側当接部18は途中で後方側に後退するように形成され、プッシュレバー13の揺動によってプッシュレバー13より下側部の案内ピン14と係脱するように構成されている。
【0041】
蓋体10には、後方部の左右両側に、洗浄槽2の引き出し方向とは直角方向に、案内ピン14と嵌合可能な幅と設定長さを有した長穴状の蓋体溝16が形成されており、図8に示すように、プッシュレバー13上側部の案内ピン14と係合するように構成されている。そして、案内ピン14が開き操作位置にあるときに蓋体10は開き状態側の移動到達点に達し、案内ピン14が閉じ操作位置にあるときに蓋体10は洗浄槽2の開口部を密閉する閉じ状態となるように構成されている。
【0042】
次に、洗浄槽2の収納移動及び引き出し移動に伴う、案内レバー11、洗浄槽2、蓋体10の動作について説明する。
洗浄槽2を引き出された状態から収納方向へ移動させるときは、
洗浄槽2が引き出された状態では、図3(ロ)に示すように、案内ピン14と洗浄槽溝15は係合することなく、案内ピン14は開き操作位置となる前方側に保持されている。洗浄槽2を収納方向へ移動させていき、洗浄槽2が引き出された位置から最終収納位置より設定量手前側の位置の範囲では、依然案内ピン14と洗浄槽溝15は係合することなく、案内ピン14は開き操作位置に保持されている。そして、洗浄槽2が最終収納位置より設定量手前側の位置に到達すると、図5(ロ)に示すように、洗浄槽溝15の手前側当接部17と案内ピン14が当接し、洗浄槽をさらに収納方向へ移動させると、案内ピン14がプッシュレバー13の回動を伴いながら収納方向へ押し移動される。そして、洗浄槽2を最終収納位置まで移動させると、図7(ロ)に示すように、案内ピン14が閉じ操作位置となる揺動範囲の最後方側に到達する。
この洗浄槽2の移動による案内ピン14の揺動は、案内ピン14が蓋体溝16に係合していることから、案内ピン14の動作が蓋体溝16に作用して、後述するような蓋体10の動作を導くものとなる。
【0043】
蓋体10は、洗浄槽2が引き出された位置から最終収納位置より設定量手前側の位置までにあるときは、案内ピン14は開き操作位置に保持され、図5(ロ)の一点鎖線にて示すように、蓋体10は洗浄槽引き出し方向の移動到達位置で姿勢が維持されて、開き状態を保持した状態にある。そして、洗浄槽2が最終収納位置より設定量手前側の位置から最終収納位置まで移動されると、前述したように、案内ピン14が開き操作位置から閉じ操作位置に向けて移動されることによって、蓋体10が洗浄槽収納方向に移動され、図7(ロ)の一点鎖線にて示すように、案内ピン14が閉じ操作位置となる揺動範囲の最後方側に到達すると、蓋体10は洗浄槽2の開口部を閉じる閉じ状態となる。
【0044】
一方、洗浄槽2を最終収納位置から引き出し方向へ移動させるときは、
洗浄槽2を最終収納位置から最終収納位置より設定量手前側の位置まで引き出し方向に移動させる範囲では、案内ピン14が洗浄槽溝15の奥側当接部18と当接することによって、プッシュレバー13が閉じ操作位置から開き操作位置に向けて押し移動される。そして、洗浄槽2が最終収納位置より設定量手前側の位置を通過してさらに引き出されると、奥側当接部18が途中で後方側に後退するように形成されていることによって、案内ピン14は洗浄槽溝15から係脱され、蓋体10に備えられた付勢手段の作用によって、開き操作位置となる揺動範囲の最前方側まで移動することになり、蓋体10は開き状態となる。
【0045】
このように、洗浄槽2を収納移動及び引き出し移動するときに、案内レバー11の作用によって、洗浄槽2に作用する操作力が蓋体10に伝達されるとともに、洗浄槽2の動作と蓋体10の動作が連動して、蓋体10は開閉操作が行われることになる。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態の食器洗浄機では、蓋体支持手段として、カム部材とカムフォロアとを収納装置本体と蓋体とに振り分けて設置し、蓋体をその開閉方向に案内移動させるように構成した例を示したが、これに限定されるものではない。
例えば、リンク機構によって蓋体をその開閉方向に案内移動させるように構成したものでもよい。
【0047】
(2)先の実施形態の食器洗浄機では、本体ケーシングにトグル機構を設けた例を示したが、このトグル機構については必ずしも必要なものではなく、トグル機構をなくして実施することもできる。
【0048】
(3)先の実施形態の食器洗浄機では、本発明による収納装置を食器洗浄機に適用した例を示したが、食器洗浄機に限定されるものではなく、例えば、薬品の収納装置や冷凍食品の収納装置などのような各種の収納装置にも適用することができる。また、収納装置としては、容器の収納方向並びに引き出し方向が水平方向に限定されるものではなく、容器の収納方向並びに引き出し方向が縦方向あるいは斜め方向に傾斜されたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】食器洗浄機の全体斜視図
【図2】洗浄槽が引き出された状態のときの、食器洗浄機の要部の縦断側面図
【図3】洗浄槽が引き出された状態のときの、洗浄槽と案内レバーの横断面図、及び、蓋体支持手段とトグル機構の側面図
【図4】洗浄槽が最終収納位置より設定量手前側位置にある状態のときの、食器洗浄機の要部の縦断側面図
【図5】洗浄槽が最終収納位置より設定量手前側位置にある状態のときの、洗浄槽と案内レバーの横断面図、及び、蓋体支持手段とトグル機構の側面図
【図6】洗浄槽が最終収納位置にある状態のときの、食器洗浄機の要部の縦断側面図
【図7】洗浄槽が最終収納位置にある状態のときの、洗浄槽と案内レバーの横断面図、及び、蓋体支持手段とトグル機構の側面図
【図8】蓋体と案内レバーを示す横断面図
【図9】洗浄槽と案内レバーを示す横断面図
【図10】クランプ部材の斜視図
【符号の説明】
1 収納装置本体
2 容器
10 蓋体
11 蓋体開閉操作具
14 ピン状の被操作部
15 開閉操作具用の係合孔
22 カム部材
37 カムフォロア
38 付勢手段
F 蓋体支持手段
Claims (6)
- 収納装置本体と、その収納装置本体の収納空間に対して収納移動並びに引き出し移動自在な容器と、その容器の開口部に対する開閉方向に移動自在に前記収納装置本体に保持された蓋体とが設けられ、
前記容器が前記収納装置本体に収納移動されるに伴って前記蓋体が閉じ状態になり、前記容器が前記収納装置本体から引き出し移動されるに伴って前記蓋体が開き状態に操作されるように構成された収納装置であって、
前記蓋体を開閉方向に移動自在に支持する蓋体支持手段が、その蓋体を容器収納方向に移動させると閉じ状態側に移動させ、且つ、その蓋体を容器引き出し方向に移動させると開き状態側に移動させるように支持するように構成され、
前記蓋体を容器収納方向並びに容器引き出し方向に押し移動する蓋体開閉操作具が、前記収納装置本体に、前記蓋体を閉じ状態に操作する閉じ操作位置と前記蓋体を前記開き状態に操作する開き操作位置とに移動自在に設けられ、
前記容器が、前記収納装置本体に収納移動されるに伴って、前記蓋体開閉操作具を前記閉じ操作位置に押し移動操作し、且つ、前記収納装置本体から引き出し移動されるに伴って、前記蓋体開閉操作具を前記開き操作位置に押し移動操作するように構成されている収納装置。 - 前記開閉操作具が、前記閉じ操作位置と前記開き操作位置とに揺動自在に構成され、
前記容器には、開閉操作具操作用の係合孔が、前記開閉操作具の揺動によりその開閉操作具に備えさせたピン状の被操作部が係脱するように設けられ、
前記開閉操作具が、前記容器を前記収納装置本体に対して収納移動及び引き出し移動させる全ストロークのうちで、最終収納位置とそれよりも設定量手前側位置との間でのみ、前記被操作部を前記開閉操作具操作用の係合孔に係合するように構成されている請求項1記載の収納装置。 - 前記蓋体開閉操作具を前記開き操作位置に復帰付勢する付勢手段が設けられている請求項2記載の収納装置。
- 前記容器の左右側部の夫々に対応して、前記蓋体開閉操作具が一対設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の収納装置。
- 前記蓋体支持手段が、カム部材とカムフォロアとを、前記収納装置本体と前記蓋体とに振り分けて設置して構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の収納装置。
- 前記容器が食器洗浄機の洗浄槽で、前記収納装置本体が食器洗浄機の本体ケーシングであり、前記洗浄槽が、前記本体ケーシングに対して水平又は略水平方向に沿って、収納移動並びに引き出し移動されるように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の収納装置。
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