JP4615115B2 - 化学増幅型フォトレジスト組成物および前記組成物を用いたフォトレジストレリーフ画像の形成方法 - Google Patents

化学増幅型フォトレジスト組成物および前記組成物を用いたフォトレジストレリーフ画像の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のジアゾメタン化合物である光酸発生剤を含む化学増幅型フォトレジスト組成物、および基板上に該組成物のレリーフ画像を形成させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子や液晶素子などの製造においては、より高い集積度を得るために、リソグラフィーにおける加工サイズの微細化が進んでおり、0.5μm以下の微細加工を安定的に行うことのできる技術が必要とされている。このため、i線(365nm)に代表される紫外線、KrFエキシマレーザー(248nm)に代表される遠紫外線、シンクロトロン放射線に代表されるX線、電子線に代表される荷電粒子線等、より波長の短い放射線を利用したリソグラフィー技術が検討されている。そして、これらの放射線に対応するフォトレジストとしては、放射線の照射によって生成する酸の触媒作用により、現像液に対する溶解性を変化する反応を起こすフォトレジスト、いわゆる、「化学増幅型フォトレジスト」が注目されている。
化学増幅型フォトレジストには種々のタイプがあり、1つの態様においては、樹脂バインダーとして、アルカリ現像液に可溶性であるアルカリ可溶性樹脂を使用し、これに光酸発生剤と溶解阻止剤を含むものがある。このタイプでは、本来アルカリ可溶性である樹脂バインダーを溶解阻止剤がアルカリ不溶性にしているが、光酸発生剤から発生した酸によって、溶解阻止剤による溶解阻止効果が消失するという性質を利用している。
【0003】
また、別の態様では、樹脂バインダーとして、アルカリ現像液に可溶性であるアルカリ可溶性樹脂を使用し、これに光酸発生剤と架橋剤を含むものがある。このタイプは、光酸発生剤から生じた酸によって、アルカリ可溶性樹脂が架橋されアルカリに対して不溶性となる性質を利用している。
さらに、他の態様としては、樹脂バインダーがアルカリ現像液に可溶性の樹脂の官能基に、酸の作用により脱保護するような酸分解性保護基を導入してアルカリ現像液に対して難溶性とされたものであり、この樹脂と光酸発生剤とを含有する組成物が挙げられる。このタイプの組成物は、組成物に光を照射すると光酸発生剤から酸が生じ、酸が溶解抑制効果を与えていた置換基を脱離させ、この結果、露光部分がアルカリ可溶性となる性質を利用している。また、これらの他にも、酸によりポリマー樹脂が解重合される組成物も使用できる。
上述のいずれの態様においても、光酸発生剤から生じた酸は触媒として作用することとなり、露光後の加熱(ポスト・エクスポージャー・ベーク、以下PEBと称す)により酸の動きが活発になり、連鎖反応的に化学反応が促進されるので、微量で効果を発揮し、感度が向上するという利点を有している。
【0004】
上述のフォトレジスト組成物の光酸発生剤としては、式:
R1−SO−C(N)−SO−R2
を有するジアゾメタン化合物が古くから知られており、このようなジアゾメタン化合物を用いた技術が数多く提案されている。しかし、上述の式においてR1およびR2がシクロヘキシル基、t−ブチル基等の脂肪族である場合には、光透過性が高く、矩形パターンが得られるという利点があるものの、露光によって発生する酸の量が少なく低感度であるという問題がある。一方、R1およびR2が2,4−ジメチルフェニル基、4−メチルフェニル基等の芳香族である場合には、高感度となるものの、光透過性が低く、パターン形成に不利であるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、本発明は、特定構造のジアゾメタン化合物を光酸発生剤として使用することにより、該化合物が芳香族環を有するにも拘わらず、光透過性に優れ、パターン形成に有利、かつ高感度を維持できる化学増幅型フォトレジスト組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記レジスト組成物を用いて、パターン形状および解像度に優れたレジストレリーフ画像の形成方法を提供し、さらに前記方法により、基板上にレジストレリーフ画像を有する複合材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は(1)式:
【化2】
Figure 0004615115
を有する光酸発生剤;および(2)樹脂バインダーを含む化学増幅型フォトレジスト組成物を提供する。本発明の組成物は、さらに塩基性化合物、溶媒、および/または溶解阻止剤を含むことでき、さらに樹脂バインダーの種類によっては架橋剤を含むことができる。
本発明はさらに、フォトレジストレリーフ画像の形成方法であって、(1)基板上に本発明の化学増幅型フォトレジスト組成物を塗布して、フォトレジスト層を形成させる工程;(2)前記フォトレジスト層を露光する工程;および(3)露光後のフォトレジスト層を現像して、レリーフ画像を形成させる工程を含むフォトレジストレリーフ画像の形成方法を提供する。さらに、本発明は上記方法により形成された複合材料も提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される光酸発生剤は式:
【化3】
Figure 0004615115
を有するジアゾメタン化合物(1)である。この化合物をフォトレジスト組成物の光酸発生剤として使用することにより、従来の芳香族環を有する光酸発生剤において問題であった、低い光透過性および劣ったパターン形成能が向上される。
【0008】
本発明のフォトレジスト組成物においては、本発明の目的を達成できる限りにおいて、上記光酸発生剤(1)に、任意の他の光酸発生剤を混合しても良い。光酸発生剤(1)に混合して使用可能な光酸発生剤としては、例えば、光酸発生剤として公知の、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物等が挙げられ、好ましくは、式
【0009】
【化4】
Figure 0004615115
R、R’、R’’はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアルコキシル基から選択され、
R’’’はアルキル基またはパーフルオロアルキル基である〕
を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
本発明のフォトレジスト組成物中の光酸発生剤(1)の含有量は、使用される樹脂バインダー、レリーフ画像形成機構に応じて適宜設定されるが、一般に、樹脂バインダー100重量部当り光酸発生剤0.1〜20重量部で含まれる。光酸発生剤の量がこの範囲よりも少ないと感度が劣り、光酸発生剤がこの範囲よりも多いと、光酸発生剤によるレジスト膜の光透過性の低下によりレジストパターンが台形になり解像度の低下を引き起こす恐れがある。感度、光透過性および解像度をより向上させるという観点から、光酸発生剤(1)の好ましい量は、樹脂バインダー100重量部当り0.5〜15重量部であり、より好ましくは1〜8重量部である。また、本発明においては、該光酸発生剤と他の公知の任意の光酸発生剤とを併用することもできる。その場合には式(1)で示される本発明にかかる光酸発生剤は、上記記載の範囲よりもより少ない量で使用することができる。
【0011】
本発明における化学増幅型フォトレジスト組成物においては、光酸発生剤を利用した化学増幅系フォトレジストに使用されることのできる公知の任意の種類の樹脂バインダーを使用することができる。代表的なフォトレジスト組成物としては以下のような態様の組成物が例示される。
組成例1:アルカリ可溶性樹脂のアルカリ可溶性を付与する基の少なくとも一部が酸触媒により脱離可能な酸分解性保護基で保護された樹脂バインダーおよび光酸発生剤(1)を含む化学増幅ポジ/ネガ型フォトレジスト組成物。
組成例2:アルカリ可溶性樹脂のアルカリ可溶性を付与する基の少なくとも一部が酸触媒により脱離可能な酸分解性保護基で保護された樹脂バインダー、光酸発生剤(1)および溶解抑制剤を含む化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物。
組成例3:アルカリ可溶性樹脂、光酸発生剤(1)および溶解抑制剤を含む化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物。
組成例4:アルカリ可溶性樹脂、酸発生剤(1)および架橋剤を含む化学増幅ネガ型フォトレジスト組成物。
以下、詳述する。
【0012】
本発明のレジスト組成物に使用される樹脂バインダーとしては、従来、ポジ型又はネガ型の化学増幅型レジストの被膜形成成分として用いられているものを使用することができ、例えば、光酸発生剤(1)から発生した酸により、アルカリ水溶液もしくは有機溶媒への溶解性が変化する、解重合される、または架橋されるといった、レジストレリーフ画像を形成できる様にその特性が変化するものであれば任意の樹脂が使用できる。また、溶解阻止剤が使用される場合には、レジストレリーフ画像を形成できるものであれば、樹脂バインダー自体は酸により特性が変化しないものでも良い。
【0013】
樹脂バインダーはアルカリ可溶性樹脂であることができる。本発明におけるアルカリ可溶性樹脂とは、アルカリ現像液と親和性を示す官能基、例えばフェノール性水酸基、カルボキシル基等の酸性官能基を有し、アルカリ現像液に可溶である樹脂である。このようなアルカリ可溶性樹脂としては、ポリヒドロキシスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸等に代表される、酸性官能基を有する少なくとも1種の単量体の重合性二重結合が開裂した繰り返し単位を有する付加重合系樹脂を挙げることができる。なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタアクリル酸を含むものとして定義される。
【0014】
付加重合系樹脂としては、例えばヒドロキシスチレン、ヒドロキシ−α−メチルスチレン、ビニル安息香酸、カルボキシメチルスチレン、カルボキシメトキシスチレン、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸等の、フェノール性水酸基やカルボキシル基等の、酸性官能基を有する単量体の少なくとも1種の重合性二重結合が開裂した繰り返し単位を有する付加重合系樹脂が好ましい。このような単量体の具体的な例としては、例えば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、3−クロロ−4−ヒドロキシスチレン、4−クロロ−3−ヒドロキシスチレン、2−クロロ−3−ヒドロキシスチレン、4−ブロモ−3−ヒドロキシスチレン、3−エチル−4−ヒドロキシスチレン、3−プロピル−4−ヒドロキシスチレン、3−t−ブチル−4−ヒドロキシスチレン、3−フェニル−4−ヒドロキシスチレン、3−ナフチル−4−ヒドロキシスチレン、3−ベンジル−4−ヒドロキシスチレン、3−スチリル−4−ヒドロキシスチレン、3−ビニル−4−ヒドロキシスチレン、3−プロペニル−4−ヒドロキシスチレン、3−クミル−4−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、ビニル安息香酸、カルボキシメチルスチレン、カルボキシメトキシスチレン等のフェノール性水酸基を有する単量体;およびアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する単量体を挙げることができる。
【0015】
前記付加重合系樹脂は、前記単量体の重合性二重結合が開裂した繰り返し単位のみから構成されていてもよいが、生成した樹脂がアルカリ可溶性である限りでは、必要に応じて、酸性官能基を有しない単量体の重合性二重結合が開裂した他の繰り返し単位をさらに有することもできる。このような酸性官能基を有しない単量体の具体的な例としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルアニリン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物;メトキシビニル、t−ブトキシビニル、酢酸ビニル等の脂肪族ビニル化合物;および(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メサコンニトリル、シトラコンニトリル、イタコンニトリル、(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド、ビニルピリジン、ビニル−ε−カプロラクタム、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール等の重合性二重結合を有する含窒素化合物を挙げることができる。
【0016】
本発明においては、フォトレジスト組成物層のアルカリ現像液に対するアルカリ溶解性を適宜調整するという観点から、酸性官能基を有する単量体と酸性官能基を有しない単量体から得られる付加重合系樹脂をアルカリ可溶性樹脂として用いることが特に好ましい。このような付加重合系樹脂中における酸性官能基を有する繰り返し単位の含有率は、必要に応じて含有される他の繰り返し単位の種類により一概に規定できないが、一般に、15〜95モル%であり、好ましくは20〜80モル%である。
【0017】
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、前記付加重合系樹脂を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。さらにアルカリ可溶性樹脂には必要に応じて、ノボラック樹脂に代表される、酸性官能基を有する少なくとも1種の単量体とその単量体と縮合可能な単量体とからなる繰り返し単位を有する縮合重合系繰り返し単位を有する縮合重合系樹脂を混合して用いることができる。前記縮合重合系樹脂は、例えばノボラック樹脂単位のみから構成されていてもよいが、生成した樹脂がアルカリ可溶性である限りでは、他の縮合重合単位をさらに有することもできる。このような縮合重合系樹脂は、1種以上のフェノール類と1種以上のアルデヒド類とを、場合により他の縮合重合系繰り返し単位を形成し得る縮合重合成分とともに、酸性触媒の存在下、水媒質中または水と親水性溶媒との混合媒質中で縮合重合または共縮合重合することによって製造することができる。
【0018】
前記フェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等を挙げることができる。また前記アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアルデヒド等を挙げることができる。
【0019】
アルカリ可溶性樹脂中における、酸性官能基を有する繰り返し単位の含有率は、必要に応じて含有される他の繰り返し単位の種類や混合されるアルカリ可溶性樹脂の種類、組成比、分子量により一概に規定できないが、通常、15〜100モル%であり、好ましくは20〜100モル%である。アルカリ可溶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、レジスト組成物の所望の特性に応じて適宜設定されるが、好ましくは1,000〜100,000である。この範囲以下では、組成物として塗布性が低下し、この範囲以上では露光部のアルカリ溶解性が低下することとなる。好ましくは、本発明の光酸発生剤との組み合わせにおいて解像度、パターン断面形状が良好であるとの観点から、重量平均分子量は1,500〜50,000である。本発明のアルカリ可溶性樹脂は、前記付加重合系樹脂単独で、または組成比、分子量の異なる付加重合系樹脂の2種以上を混合して、さらに必要に応じて縮合重合系樹脂を配合して使用できる。本発明のレジスト組成物において使用されるアルカリ可溶性樹脂としては、特にヒドロキシスチレンの付加重合系樹脂、ヒドロキシスチレンとスチレンとの付加重合系樹脂が好ましい。これらの付加重合系樹脂に用いるヒドロキシスチレンとしては、p−ヒドロキシスチレンが好ましい。
【0020】
また、本発明においては、樹脂バインダーには、アルカリ可溶性樹脂の官能基を酸分解性保護基で保護することによりアルカリに難溶性とされた樹脂であって、該樹脂は酸で処理されることにより酸分解性保護基が官能基から遊離してアルカリ可溶性となる樹脂が好適に使用される。このアルカリに難溶性の樹脂を構成するアルカリ可溶性樹脂としては、上述のアルカリ可溶性樹脂が使用できる。酸解離性保護基で保護される官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基等の酸性官能基が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、樹脂バインダーの溶解性を変化させることができる官能基であれば任意の官能基が保護の対象となる。好ましくは、酸解離性保護基で保護される官能基はカルボキシル基および水酸基である。また、「アルカリに難溶性」とは、少なくとも、通常使用されるような濃度、種類のアルカリ現像液によって現像を行った場合に、その後の使用に適するレジストレリーフ画像が形成される程度に難溶性であることをいう。
【0021】
アルカリ可溶性樹脂の官能基の酸解離性保護基による保護率は特に限定されないが、樹脂全体の水酸基中の5〜60%であるのが好ましく、より好ましくは10〜50%である。保護率が上記範囲よりも小さいと、アルカリ現像液で現像した場合に、レジスト膜の未露光部の残膜率が低下し、解像性が低下する傾向がある。また、保護率が上記範囲よりも大きいと、アルカリ現像液で現像した場合に現像液をはじいてしまい、現像できなくなる恐れがある。
【0022】
本発明の酸解離性保護基としては、酸により水酸基から解離するものであれば任意の保護基を使用することができ、例えば、tert‐ブトキシカルボニル基、tert‐アミルオキシカルボニル基などのような第3級アルコキシカルボニル基;tert‐ブトキシカルボニルメチル基のような第3級アルコキシカルボニルアルキル基;tert‐ブチル基のような第3級アルキル基;エトキシエチル基、メトキシプロピル基のようなアルコキシアルキル基;テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基のようなアセタール基;ベンジル基;およびトリメチルシリル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、酸解離性保護基は、tert‐ブトキシカルボニル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基、テトラヒドロピラニル基またはテトラヒドロフラニル基であり、より好ましくは、tert‐ブトキシカルボニル基またはエトキシエチル基である。
【0023】
本発明の前記酸解離性保護基を有するバインダー樹脂は、1種類の樹脂からなるものであっても良いし、複数種類の樹脂の混合物であっても良い。また、複数種類の前記樹脂が使用される場合には、アルカリ可溶性樹脂自体が異っており、結合されている酸解離性保護基が同一または異っている複数の樹脂を含むものでも良く、例えば、任意の酸解離性保護基で保護されたノボラック樹脂と任意の酸解離性保護基で保護されたヒドロキシスチレンの単独重合体との混合物であっても良い。また、アルカリ可溶性樹脂は同一であって、結合している酸解離性保護基が異なる複数の樹脂を含むものであっても良く、例えば、tert‐ブトキシカルボニル基で保護されたヒドロキシスチレンの単独重合体とエトキシエチル基で保護されたヒドロキシスチレンの単独重合体との混合物であっても良い。
【0024】
本発明の前記酸解離性保護基を有するバインダー樹脂は、上述の酸解離性保護基およびアルカリ可溶性樹脂の任意の組み合わせからなるものが可能である。具体的には、ポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部がtert‐ブトキシカルボニル基で保護された樹脂又はポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部がエトキシエチル基、メトキシプロピル基などのアルコキシアルキル基で保護された樹脂、あるいはこれらの混合物を用いるのが好ましい。ポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部がtert‐ブトキシカルボニル基で保護された樹脂およびポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部がエトキシエチル基で保護された樹脂の混合物が特に好ましい。酸解離性保護基で保護された水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂として上述の混合物が使用される場合には、ポリヒドロキシスチレンの水酸基の10〜50モル%、好ましくは15〜40モル%がtert‐ブトキシカルボニル基で保護されたポリヒドロキシスチレンと、ポリヒドロキシスチレンの水酸基の10〜50モル%、好ましくは15〜40モル%が1‐エトキシエチル基や1‐メトキシ‐n‐プロピル基などのアルコキシアルキル基で保護されたポリヒドロキシスチレンとを、重量比5:95〜50:50、好ましくは10:90〜30:70の割合で混合したものを用いるのが有利である。
【0025】
本発明のフォトレジスト組成物は、必要に応じて含窒素塩基性化合物を含むことができる。本発明で使用される含窒素塩基性化合物としては、光酸発生剤(1)から発生した酸のレジスト被膜中での拡散現象を抑制し、現像されるレジストレリーフ画像の解像度を高めることができるものであれば、窒素原子を含む、公知の任意の化合物を使用することができる。このような塩基性化合物の使用により、形成されるパターンの形状、マスク寸法に対する寸法忠実性等を改良することができる。該塩基性化合物による上述の効果の作用機序の1つとしては、露光から加熱までのレジスト組成物の経時的な性能変化を低減させることが挙げられる。
塩基性化合物としては、有機塩基、特に有機アミン、例えばテトラアルキルアンモニウム化合物、例えば水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)が一般に好ましい化合物である。
更に好ましくは、塩基性化合物は塩、特に有機酸の塩、例えば乳酸、コハク酸、クエン酸などの塩を使用する。乳酸塩、特に有機アミン、例えばテトラブチルアンモニウム化合物または他のテトラアルキルアンモニウム剤の乳酸塩が一般に好ましい。
【0026】
また、塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピロリドン、ピペリジン、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、チアベンダゾール、ピリジン、2−メチルピリジン、4−エチルピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、ニコチン酸アミド、ジベンゾイルチアミン、四酪酸リボフラミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジイル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジイル)イミノ]}、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジイル)等を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。特に好ましい塩基性化合物としては、トリアルキルアミンを挙げることができ、さらに好ましいトリアルキルアミンとしては、トリ−n−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。
【0027】
これらの塩基性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、塩基性化合物の配合量は、レジスト組成物中の樹脂バインダー100重量部当たり、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。塩基性化合物を0.01重量部以下の場合は、プロセス条件によってはパターン形状、寸法忠実性が悪化する場合があり、10重量部を超えると、感度の低下や放射線照射部の現像性が悪化する傾向がある。
【0028】
本発明のフォトレジスト組成物はさらに溶媒を含むことができる。本発明の組成物を用いてフォトレジストレリーフ画像を形成させる場合には、組成物には溶媒が含まれ、レジスト組成物溶液として使用されることとなる。溶媒としては、上述の樹脂バインダー、光酸発生剤(1)、含まれる場合には、塩基性化合物、後述する溶解阻止剤または架橋剤、並びに、添加剤が添加される場合には該添加剤など、レジスト組成物に含まれる成分に対して、十分な溶解度を持ち良好な塗膜性を与えるものであれば任意の溶媒を使用できる。例えば、溶媒としては、2−ヘプタノン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶媒、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル、β−メトキシイソ酪酸メチルエステルなどのエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒、あるいはさらに芳香族炭化水素を添加したものなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。一般的に、フォトレジスト組成物の固形分は、この組成物の全重量の約5〜35重量パーセントの間で変動し、好ましくは10〜20重量パーセントである。本発明の光酸発生剤および樹脂バインダー成分は、膜状の塗布層を形成し、高品質の潜像とレリーフ画像を形成するのに充分な量で存在しなければならない。一般的に、本発明のフォトレジストの各成分は、従来使用されている、公知の量で存在することができる。
【0029】
本発明の化学増幅型フォトレジスト組成物は溶解阻止剤を含むことができる。本発明における溶解阻止剤とは、アルカリ現像液に対するアルカリ可溶性樹脂の未露光部の溶解性を抑制する化合物で、光または酸触媒作用により溶解抑制作用が減少ないし消滅するか、または溶解促進作用を示す物質であれば、低分子化合物でも高分子の樹脂でも良い。好ましくはフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性官能基の水素原子を酸触媒作用により脱離する基で保護した化合物である。低分子化合物の例としてはビスフェノール誘導体、トリスフェノール誘導体等のフェノール性化合物に代表されるような下記構造式(i)あるいは(ii)で表わされる化合物が挙げられる。
【0030】
【化5】
Figure 0004615115
【0031】
(式中、R3、R4、R5、R6およびR7は、各々独立にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基またはアラルキル基であり、a、b及びcは独立に0〜4の範囲の整数である。また、R5及びR6はこれらを含むアルキレン環を形成していてもよい。R8〜R14は水素原子、アルキル基であり、dは独立に0〜3の範囲の整数である。)
【0032】
また、酸触媒作用により脱離する基としては、酸によって樹脂バインダーを溶解可能にする性質を発揮するものであれば、任意の公知の基が可能である。好ましくは、上述の樹脂バインダーでのアルカリ可溶性樹脂の官能基を保護する酸分解性保護基として記載された基であり、より好ましくは、t−ブチルオキシカルボニル基、テトラヒドロピラル基、エトキシエチル基である。
さらに本発明に用いられる溶解阻止剤としては、ナフタレン2−カルボン酸イソプロピルエステルのようなナフタレン誘導体、ジ(プロピルカルボニルオキシフェニル)やポリ(フタルアルデヒド)、アセタール化合物のようなエーテル化合物に加え、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルなども使用することができる。また、本発明に用いられる溶解阻止剤は単独で、もしくは2種以上混合して使用することもできる。また、溶解阻止剤が使用される態様において使用される樹脂バインダーは、上述のアルカリ可溶性樹脂、およびアルカリ可溶性樹脂の官能基を酸分解性保護基で保護することによりアルカリに難溶性とされた樹脂のいずれであっても良い。また、溶解阻止剤の配合量は、使用される樹脂バインダー、溶解阻止剤等に応じて適宜設定されるが、一般に、レジスト組成物中の樹脂バインダー100重量部当たり、通常、0〜50重量部、好ましくは10〜40重量部である。
【0033】
また、本発明の化学増幅型フォトレジスト組成物は架橋剤を含むことができる。本発明における架橋剤とは、酸触媒作用により樹脂バインダーと反応して該樹脂を架橋するように作用する化合物であり、具体的には、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、メチロールウレア等、ネガ型の化学増幅型フォトレジスト組成物の架橋剤として公知のものが挙げられる。また、架橋剤の配合量は、使用される樹脂バインダーの種類、使用される架橋剤の種類等に応じて適宜設定されるが、一般に、レジスト組成物中の樹脂バインダー100重量部当たり、通常、0〜30重量部、好ましくは10〜20重量部である。
【0034】
また、本発明のフォトレジスト組成物は、その性質を損なわない範囲で染料、顔料、塗布性改良剤、線条防止剤、可塑剤、増速剤など、任意の他の添加剤を含有できる。
【0035】
本発明にかかる化学増幅型フォトレジスト組成物は、基板上に前記組成物を塗布し、フォトレジスト層を形成し、前記レジスト層を露光し、任意に加熱した後、現像するという公知の方法に従って、基板上にフォトレジストレリーフ画像を形成することができる。本発明のフォトレジスト組成物は、スピニング、浸漬、ローラコーティング又は他の従来からの塗布技術によって基板に塗布される。スピンコーティングの場合、塗布液の固形分を調節して、使用する特定のスピニング装置、塗布液の粘度、スピナーの速度及びスピニングに要する時間によって所望の膜厚にすることができる。
【0036】
本発明のフォトレジスト組成物は、フォトレジストを使う塗装作業を含むプロセスにおいて従来から使用されている基板に塗布されるのに適している。例えば、本発明の組成物の塗布に適する基板としては、マイクロプロセッサー及び他の集積回路部品を製造するためのシリコン又は二酸化シリコンウェハー;また、アルミニウム−酸化アルミニウム、ヒ化ガリウム、セラミック、石英又は銅基板;さらに、液晶ディスプレー及び例えばガラス基板、インジウム酸化錫被覆型基板等の他のフラットパネルディスプレー用に使用される基板が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0037】
フォトレジストを表面に塗布した後、好ましくはフォトレジストの塗膜が粘着しなくなるまで塗膜を加熱によって乾燥して溶媒を取り除く。それが終わると、従来の方法でマスクを通してその塗膜に画像形成を行う。露光は、組成物中の光酸発生剤(1)を効果的に活性化して、パターン化された画像をレジスト塗布層に形成するのに充分に行い、更に詳しく言うと、露光装置、及びフォトレジスト組成物の成分にもよるが、露光エネルギーは、一般に、約1〜300mJ/cmの範囲である。
【0038】
本発明のレジスト組成物の塗布層の露光には、高圧水銀灯の436nm、365nmの光、低圧水銀灯の254nm、又はエキシマレーザーなどを光源とする157nm、193nm、222nm、248nmの光が用いられる。特に300nm以下の光に有効に使用される。露光の際の光は、単色光でなくブロードであってもよい。また、位相シフト法による露光も適用可能である。
【0039】
露光に続いて、好ましくは、この組成物の膜状層を加熱する。加熱は、約70℃〜約160℃、好ましくは、約80℃〜約120℃の範囲の温度で、0.5〜3分、好ましくは、1〜2分間行われる。この加熱により酸の動きが活発になり、連鎖反応的に化学反応が促進されるので、微量で効果を発揮し、感度が向上する。
【0040】
加熱後、レジスト層を現像する。現像は加熱後のレジスト層に現像液を接触させることにより行われる。使用される現像液は、レジスト組成により異なり、非極性の有機溶媒または極性溶液が使用される。有機溶媒が使用される場合には、露光部と非露光部のうち極性の低い部分が溶解され、極性溶液が使用される場合には極性の高い部分が溶解される。例えば、アルカリ可溶性樹脂のアルカリ可溶性を付与する基の少なくとも一部が酸触媒により脱離可能な酸分解性保護基で保護された樹脂バインダーおよび光酸発生剤(1)を含む化学増幅ポジ/ネガ型フォトレジスト組成物においては、有機溶媒で現像される場合には非露光部分が溶解されるネガ型となり、アルカリ水溶液で現像される場合には露光部分が溶解されるポジ型となる。
【0041】
極性の現像液としては、好ましくは次に例示する無機アルカリ物のような、水を主成分とする現像液が使用される。即ち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液のような水酸化第四アンモニウム溶液;エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン又はメチルジエチルアミンのような種々のアミン溶液;ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンのようなアルコールアミン類;ピロール、ピリジンのような環式アミン類等の様な塩基である。好ましい塩基としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。現像は公知の手順に従い、一般的には、現像液の塩基濃度は0.1〜0.5Nであり、好ましくは0.2〜0.3Nである。上述の塩基は、単独で使用されても良いし、複数の塩基の混合物であっても良い。
【0042】
非極性の有機溶媒の現像液としては、レジスト層を現像可能な有機溶媒であれば任意の有機溶媒を使用することができ、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物およびこれらの誘導体;ピリジン、フラン等の複素環化合物およびこれらの誘導体;並びに、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族化合物およびこれらの誘導体が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、現像液としては、前記非極性の有機溶媒としては、単一の有機溶媒が使用されても良いし、複数の有機溶媒の混合物であっても良い。
【0043】
現像により、レジスト層の露光部分もしくは非露光部分の何れかが基板上に残存しているレジストレリーフ画像を有する複合材料が形成されることとなる。このレジストレリーフ画像を有する複合材料は、例えば公知の手順に従って、レジストが消失された基板領域を化学的にエッチングするか、或いはメッキすることによって、現像された基板のレジストが消失された基板領域上を選択的に加工できる。マイクロエレクトロニクス基板の製造、例えば二酸化シリコンウェハーの製造の場合、好適なエッチング剤としては、ガス状エッチング剤、例えばプラズマ流として使用される塩素エッチング剤又はCFもしくはCF/CHFエッチング剤のようなフッ素主成分のエッチング剤が挙げられる。そのような加工の後、レジストは公知の剥離手順を使って加工済みの基板から取り除かれる。
【0044】
【実施例】
実施例1
本発明の化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物の調製
ポリヒドロキシスチレン(日本曹達社製)をジメチルホルムアミドに溶解して、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩を添加し、攪拌下、30℃において、エチルビニルエーテルを滴下し、16時間反応した。反応終了後、この溶液を水中に滴下し、析出したポリマーを真空乾燥器にて50℃で一晩乾燥しポリマー(I)を得た。得られたポリマー(I)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製GPCカラムを用い、流量1.0 ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、標準物質としてポリスチレンを使用)による分子量の測定の結果、重量平均分子量(Mw)=10000であった。またNMR測定の結果から、ポリマー(I)は、ポリヒドロキシスチレンのフェノール性水酸基の水素の35%がエトキシエチル基で置換された構造であった。
ポリヒドロキシスチレン(日本曹達社製)をアセトンに溶解して、N,N−ジメチルアミノピリジンを添加し、攪拌下、40℃において、ジ−t−ブチルカルボネートを滴下し、4時間反応した。反応終了後、この溶液を水中に滴下し、析出したポリマーを真空乾燥器にて50℃で一晩乾燥しポリマー(II)を得た。ポリマー(II)は、Mw=8000であり、またフェノール性水酸基の水素の35%がt−ブトキシカルボニル基で置換された構造であった。
上記ポリマー(I)7g、ポリマー(II)3g、式(1)の光酸発生剤0.4g、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)0.04gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40gに溶解した後、0.1μmのフィルターで濾過してレジスト組成物溶液を調製した。
【0045】
比較例1−3
従来の光酸発生剤を含む化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物の調製
上述の実施例1において、光酸発生剤(1)を光酸発生剤(2)〜(4):
【0046】
【化6】
Figure 0004615115
【0047】
に変更し、TBAHの量を変更したことを除き、実施例1で使用したポリマー(I)、ポリマー(II)、TBAHおよびPGMEAを実施例1と同一量使用して化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物溶液を調製し、それぞれ、比較例1(光酸発生剤(2)含有、TBAH0.04g)、比較例2(光酸発生剤(3)含有、TBAH0.02g)および比較例3(光酸発生剤(4)含有、TBAH0.02g)とした。
光酸発生剤(1):ビス(2−メチル−4−フロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン(IL−YANG社製:ISA−012)、光酸発生剤(2):ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン(みどり化学製:DAM−105)、光酸発生剤(3):ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、光酸発生剤(4):ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン。
【0048】
フォトレジストレリーフ画像の形成
実施例1および比較例1−3のフォトレジスト組成物溶液を用いてフォトレジストレリーフ画像を形成し、その性能を評価した。
シリコンウェハー上に反射防止膜を塗布後、レジスト液をスピンコーティングにより0.4μmの厚さで塗布した。次いで、このウェハーを90℃のホットプレートで60秒間ベークした。そして、エキシマレーザーステッパー(キャノン社製:FPA3000EX3)を用いて露光し、110℃で60秒間ベークを施し、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像を行うとポジ型のパターンを得ることが出来た。
【0049】
得られたレジストパターンについて、以下のパラメータを測定した。現像後、露光部分の膜厚が0となる最小の総エネルギー量を測定し、感度(Eth)(j/m)とした。また、0.15μmのラインアンドスペースのマスクを用いて露光を行い、ラインのベースとスペースがそれぞれ0.15μmのレジストパターンを形成するときの総エネルギー量を最適露光量(Eop)(j/m)とした。さらに、前記最適露光量の条件下で形成されたレジストパターンを走査型電子顕微鏡を用いて観察し、0.15μmのラインアンドスペースで、ラインのトップとベースが1:1の矩形となる場合を、「パターン形状良好」とし、前記形状を形成しない場合を「パターン形状不良」とした。また、UV透過率(%)を測定した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 0004615115
【0051】
実施例1に示される本発明の光酸発生剤(1)を含むレジストにおいては、パターン形状は「良好」であったが、比較例1の芳香族系の光酸発生剤(2)を含むレジストにおいては、パターン形状は「不良」であった。また、本発明の光酸発生剤(1)を含むレジストは芳香族系の光酸発生剤(2)を含むレジストと同程度の感度(Eth)、最適露光量(Eop)およびUV透過率を有していた。
また、実施例1に示される本発明の光酸発生剤(1)を含むレジストは、脂肪族系である光酸発生剤(3)または(4)を含むレジスト(比較例2または3)と比較して、パターン形状は同等であったが、Eth、EopおよびUV透過率についてはいずれも小さく、良好な感度を有していた。
よって、本発明の光酸発生剤(1)を含むレジストは、芳香族系の光酸発生剤の長所である高い感度を維持しつつ、芳香族系の光酸発生剤の欠点であるパターン形状能の悪さを改善するという特徴を有することが明らかとなった。
【0052】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の化学増幅型フォトレジストは、特定の芳香族置換ジアゾメタン型光酸発生剤(1)を使用することにより、従来の脂肪族置換ジアゾメタン型光酸発生剤における問題点であった、露光によって発生する酸の弱さに起因する低感度を改善し、また、従来の芳香族置換ジアゾメタン型光酸発生剤における問題点であった、光透過性が低く、パターン形成に不利であることを改善するという、従来のジアゾメタン型光酸発生剤では達成し得なかった光透過性に優れ、パターン形成に有利であると同時に、高感度も維持するという有利な効果を可能にした。また、本発明の方法により、パターン形状および解像度に優れたレリーフ画像の形成方法を提供することを可能にした。

Claims (7)

  1. (1)式:
    Figure 0004615115
    を有する光酸発生剤;および
    (2)樹脂バインダー;
    を含む化学増幅型フォトレジスト組成物。
  2. 樹脂バインダーが、アルカリ可溶性樹脂の官能基を酸分解性保護基で保護することによりアルカリに難溶性とされた樹脂であって、該樹脂は酸で処理されることにより該酸分解性保護基が官能基から遊離してアルカリ可溶性となるものである請求項1記載の化学増幅型フォトレジスト組成物。
  3. 塩基性化合物をさらに含む請求項1または2に記載の化学増幅型フォトレジスト組成物。
  4. 溶媒をさらに含む請求項1〜3の何れか1項に記載の化学増幅型フォトレジスト組成物。
  5. 樹脂バインダー100重量部当り、光酸発生剤1〜8重量部を含む請求項1〜4の何れか1項に記載の化学増幅型フォトレジスト組成物。
  6. フォトレジストレリーフ画像の形成方法であって、
    (1)基板上に請求項1〜5の何れか1項に記載の化学増幅型フォトレジスト組成物を塗布して、フォトレジスト層を形成させる工程;
    (2)前記フォトレジスト層を露光する工程;および
    )露光後のフォトレジスト層を現像して、レリーフ画像を形成させる工程
    を含むフォトレジストレリーフ画像の形成方法。
  7. 請求項6記載の方法により形成された、基板上にフォトレジストレリーフ画像を有する複合材料。
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