JP4614559B2 - 樹皮剥ぎ用アタッチメントと自走式樹皮剥ぎ機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、間伐材等の木材の樹皮剥ぎに好適な樹皮剥ぎ用アタッチメントおよび自走式樹皮剥ぎ機に関する。
【0002】
【従来の技術】
檜や杉等の間伐材は、枝落としした後、所定の長さに切断し、樹皮を剥いだ後、破砕機によりチップにし、チップ化したものは公園等にまくことによって雑草等の繁茂を防止したり、生ゴミと混合することにより、生ゴミの腐敗を促進する生ごみ処理材として利用したり、アウトドア用の固形燃料等の利用に供される。ここで、チップ化する前に樹皮を剥ぐ理由は、品質の均一化を図るためであり、特に生ゴミの処理に用いる場合、樹皮が混合されていると、腐敗速度が遅れるため、樹皮を除去してチップ化する必要がある。
【0003】
その他、法面の保護、護岸、根固め、床固め、防災、災害復旧、河川に魚や植生を蘇えらせるための木枠の構築等のために樹皮を剥いだ杉や唐松等が使用される。
【0004】
従来は、前記樹皮剥ぎを行うため、枝落としされかつ所定の長さに切断された樹木を町中にある木工所に運送し、専用の据え付け式樹皮剥ぎ装置により樹皮を剥いでいる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来は、山林で伐採した間伐材を町中の木工所に運送して樹皮を剥いでいるので、運送に時間と費用を要するという問題点がある。また、町中で樹皮剥ぎを行うので、騒音により近隣に迷惑をかける上、樹木やチップを町中の木工所等に蓄積しておく必要があるので、樹皮剥ぎ処理のため広い敷地を要するという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、山中の伐採現場近傍において樹皮剥ぎが可能となり、もって運送に要する時間や費用を削減でき、かつ近隣への迷惑を低減でき、町中での敷地も不要となる樹皮剥ぎ用アタッチメントと樹皮剥ぎ機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用、効果】
請求項1の樹皮剥ぎ用アタッチメントは、所定長に切断された樹皮付き樹木をセットするフレームを有し、
該フレームに樹木を長手方向に送る送り装置と、樹皮剥ぎ装置と、樹木の掴み装置とを設け、
前記掴み装置は前記フレームとの間で樹木を掴む爪を有し、
さらに、自走式作業機の多関節フロントに取付け可能なブラケットを、前記フレームに旋回装置を介して取付けたことを特徴とする。
【0008】
このように、送り装置と、樹皮剥ぎ装置を有する自走式作業機に取付け可能な樹皮剥ぎ用アタッチメントを構成したので、該樹皮剥ぎ用アタッチメントを自走式作業機に取付けて樹皮剥ぎを行うことにより、伐採現場やその近傍で樹皮剥ぎを行うことができ、運送に要する時間や費用を削減できる。また、人里離れた山中等で樹皮剥ぎを行うことができるので、騒音等による近隣への迷惑を低減でき、町中での敷地も不要となり、経済的に樹皮剥ぎを行うことができる。
【0009】
また、樹皮剥ぎ用アタッチメントに旋回装置を設けたので、自走式作業機に樹皮剥ぎ用アタッチメントを取付けて作業を行う際に、自走式作業機の車体の向きに対して樹木が傾斜している場合、自走式作業機の旋回や走行を行うことなく、樹木の方向に樹皮剥ぎ用アタッチメントの方向を合わせることができ、能率良く作業を行うことができる。
【0010】
請求項2の樹皮剥ぎ用アタッチメントは、請求項1において、前記爪に、樹木に当接し、樹木の回転に連動して転動する輪体を設けたことを特徴とする。
【0011】
このように、掴み装置に樹木に当接して転動する輪体を設けることにより、掴み装置を樹皮剥ぎの際における樹木の送り装置からの外れ止め手段として利用することができ、しかも輪体の作用により、樹木を円滑にガイドすることができる。
【0012】
請求項3の樹皮剥ぎ用アタッチメントは、請求項1または2において、
前記フレームに平行リンクを介して近接、離反可能に第1のブラケットを取付け、
該第1のブラケットに上下位置調整自在に第2のブラケットを取付け、
該第2のブラケットに前記樹皮剥ぎ装置を取付けたことを特徴とする。
【0013】
このような構造とすれば、第2のブラケットを第1のブラケットに対して高さを調整可能とすることにより、平行リンクによって高さを調整する場合の樹皮剥ぎ装置の樹木を横断する方向の位置ずれを少なくすることができ、広い樹木サイズに対応できる。
【0014】
請求項4の樹皮剥ぎ用アタッチメントは、請求項1から3までのいずれか1項において、前記フレームは、先端に樹木の外れ止め兼掴み用の突起を有して内面がほぼ弧状をなすことを特徴とする。
【0015】
請求項5の樹皮剥ぎ機は、請求項1から4までのいずれかの樹皮剥ぎ用アタッチメントを自走式作業機の多関節フロントに取付けてなることを特徴とする。
【0016】
前記各アタッチメントを取付けた自走式作業機は、前述した各作業が可能であり、前記各効果をあげることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による自走式樹皮剥ぎ機の一実施の形態を示す側面図である。1は樹皮剥ぎ機の自走式車両として用いられる油圧ショベルの本体である。該油圧ショベルの本体は、クローラ式走行体2上に旋回装置3を介して旋回体4を設置し、旋回体4上に運転室5およびパワーユニット6を搭載し、旋回体4に取付けた多関節フロント7に樹皮剥ぎ用アタッチメント8を取付けてなる。多関節フロント6はブームシリンダ9、アームシリンダ10によりそれぞれ起伏、回動されるブーム11、アーム12からなる。
【0018】
樹皮剥ぎ用アタッチメント8は油圧ショベルのバケットの代わりにピン13によりアーム12に回動自在に取付けられる。14は樹皮剥ぎ用アタッチメント8を回動させる油圧シリンダ、15、16は回動範囲を拡大するリンクである。
【0019】
本実施の形態の樹皮剥ぎ用アタッチメント8は、前記ピン13により取付けられるブラケット17と、該ブラケット17に旋回装置19を介して取付けられたフレーム20と、該フレーム20に取付けられた樹木21の送り装置22と、樹皮剥ぎ装置23と、樹木21の掴み装置24とを有する。
【0020】
図2は樹皮剥ぎ用アタッチメント8を示す拡大側面図である。図3はブラケット17に搭載する部品の構成と樹皮剥ぎ装置23を中心に描いた側面図である。図3に示すように、ブラケット17には、旋回装置19を駆動する油圧モータ25が設置され、中心部にはフレーム20側の油圧機器に作動油を供給する回転継手(センタージョイント)26が取付けられる。27は制御用の油圧切換弁を収容するボックスである。
【0021】
前記フレーム20は先端に樹木21の外れ止め兼掴み用の突起20aを有するもので、該フレーム20の内面はほぼ弧状をなす。フレーム20の内面には、前記樹木21の送り装置22が設置される。
【0022】
前記送り装置22は、図4の平面図および図5(A)の平面図、図5(B)の端面図、図5(C)の正面図に示すように、輪体である2対のローラ29からなり、各ローラ29は樹木21、21A(21は比較的大径の樹木を、21Aは比較的小径の樹木を示す)の軸線方向に対して傾斜して設置される。各ローラ29を回転自在に支持するブラケット30は、フレーム20上に固定されるベース31にそれぞれ軸32を中心として、樹木21の軸線方向に対する傾斜角度が変更できるように回動可能に取付けられる。各ローラ29はそれぞれ個別の油圧モータ33により回転駆動される。
【0023】
対をなすブラケット30どうしはロッド34により連結され、かつ縦並びに隣接するブラケットどうしもロッド34、35によって連結されることにより、4個のローラ29の樹木21に対する傾斜角度が常に同じとされる。傾斜角の調整は、図5(A)に示すように、ブラケット30の1つに取付けられた雌ねじ36に、ベース31に固定されたブラケット38に回動自在にかつ軸線方向に移動不能に取付けられた調整ねじ37を螺合し、調整ねじ37を回すことによって1つのブラケット30を回動させると、ロッド34、35によりその動きが伝達されてすべてのローラ29の傾斜角度を調整することができる。
【0024】
前記樹皮剥ぎ装置23は、図4の平面図に示すようにフレーム20の両側に取付けられる。各樹皮剥ぎ装置23は、図3の側面図に示すように、フレーム20に固定されたブラケット39にそれぞれピン付けされたリンク40、41と、各リンク40、41の先端にピン付けされて平行リンクを構成する第1のブラケット42と、前記リンク40とフレーム20との間に取付けられてリンク40、41を駆動する油圧シリンダ43と、図6に示すように、前記第1のブラケット42に軸44を中心にして樹木21の送り方向に揺動可能に取付けられ(該揺動角度は左右それぞれ数度程度に設定される)、かつ左右の引張りばね45により樹木21の方向に向かうように付勢された第2のブラケット47と、刃49を有する回転式カッタ50および該カッタ50を回転させる油圧モータ51とを取付けた第3のブラケット52とを有する。
【0025】
図3に示すように、前記第3のブラケット52は、一体に軸53を有し、該軸53は第2のブラケット47の孔に摺動自在に貫挿し、該軸53の先端のねじ部53aに抜け止め用ナット54を螺合し、該軸53にはカッタ50を樹木21に向けて押圧するばね55が巻装されている。
【0026】
図3において、57は前記樹皮剥ぎ装置23の変位に連動する樹木の位置合わせ装置である。該位置合わせ装置57は、フレーム20の両端に取付け設けたブラケット59にピン60を中心に回動自在に取付けられたリンク61を有し、該リンク61の一端は、前記平行リンクを構成する一方のリンク41にリンク62を介して連結され、該リンク61の他端には、樹木21の押さえローラ63が取付けられる。
【0027】
前記樹木の掴み装置24は、図2、図4に示すように、フレーム20内に固着されたブラケット65にピン66により回動自在に取付けられた1対の爪67と、該爪67を回動させるように爪67とフレーム20の底部との間に取付けられた油圧シリンダ68とからなる。爪67の内面には、該爪67を閉じて樹木21に当接した場合に樹木21の回転に連動して転動する樹木の外れ止め用のローラ69を設けている。
【0028】
この樹皮剥ぎ機を使用して作業を行う場合は、枝落としされ伐採現場あるいはその近の所定位置に積まれた樹木の堆積場所に樹皮剥ぎ機を走行させ、図7に示すように、樹皮剥ぎ装置23を構成する油圧シリンダ43を収縮させてカッタ50を退避させておき、樹木21の端部をフレーム20と爪67との間で掴む。
【0029】
この場合、ブラケット17にフレーム20が旋回装置19を介して取付けられているので、自走式作業機である油圧ショベル1の車体の向きに対して樹木が傾斜している場合、油圧ショベル1の旋回や走行を行うことなく、樹木21の方向に樹皮剥ぎ用アタッチメント8の方向を合わせることができ、能率良く作業を行うことができる。このようにしてフレーム20と爪67との間に樹木21を把持した後、図1に示すように、多関節フロント7を操作してフレーム20の外面を着地させる。
【0030】
続いて樹木21の一端が一方の樹皮剥ぎ装置23のカッタ50の位置に合うように、送り装置22のローラ29を油圧モータ33により回転させ樹木21をフレーム20上で移動させる。その後、図2に示すように、油圧シリンダを伸長させてカッタ50の刃49を樹木21に当接させる。この時、位置合わせ装置57は、リンク61が樹皮剥ぎ装置23のリンク41に連動して樹木21の外周にローラ63が近接して、送り装置22のローラ29上から樹木21が外れないように自動的に位置合わせする。同時に、オペレータは、油圧シリンダ68を伸長させて爪67を閉じ、ローラ69を樹木21に当てることにより、樹木21を外れ止めする。
【0031】
この状態で送り装置22の油圧モータ33を駆動し、かつ樹皮剥ぎ装置23の油圧モータ51を駆動すれば、樹木21はローラ29の回転によって送られながら、カッタ50の刃49によって樹皮が剥ぎ取られる。この作業を、樹木21の前記把持された端部の反対側の端部が一方のカッタ50に達して樹皮剥ぎが樹木21の全長にわたって完了するまで行う。
【0032】
このようにして樹皮剥ぎにより得られた丸太は、爪67とフレーム20とにより挟み、旋回装置3や必要に応じて走行体2も作動させて、前記樹木の堆積場所とは別の場所に集積させる。
【0033】
このように、送り装置22と、樹皮剥ぎ装置23を有する自走式作業機に取付け可能な樹皮剥ぎ用アタッチメント8を構成したので、該樹皮剥ぎ用アタッチメント8を油圧ショベル等の自走式作業機に取付けて樹皮剥ぎを行うことにより、伐採現場やその近傍で樹皮剥ぎを行うことができる。従って町中まで樹皮剥ぎ前の樹木を運送する必要がなく、運送に要する時間や費用を削減できる。また、人里離れた山中等で樹皮剥ぎを行うことができるので、騒音等による近隣への迷惑を低減でき、樹皮剥ぎ前の樹木や樹皮剥ぎが終了した丸太を町中の敷地に堆積しておく必要がなく、町中での敷地も不要となり、経済的に樹皮剥ぎを行うことができる。
【0034】
また、本実施の形態で示したように、樹皮剥ぎ用アタッチメント8に樹木の掴み装置24を設ければ、人力や他の作業機によって樹木を樹皮剥ぎ用アタッチメントにセットする必要がなく、省力化できる。
【0035】
また、送り装置22は、1対以上のローラ29を設けることにより、樹木21の回転と送りを同時に行うため、回転と送りのそれぞれの装置を設けることが不要となり、樹皮剥ぎ用アタッチメントの構成が簡略化される。
【0036】
また、前記送り装置22は、樹木21の軸線方向に対して回転中心が傾斜した2対のローラ29からなり、かつ2対のローラ29は連動して傾動可能であるから、図2に示すように、例えば直径が30cm程度の比較的大きなサイズの樹木の場合は、樹皮の剥ぎ量が多いために、ローラの傾斜角を小さくして樹皮剥ぎを行い、反対に、図8に示すように、例えば直径が15cm程度の比較的サイズの小さな樹木の場合は、ローラ29の傾斜角度を大きくして樹木21Aを速く送ることにより、一度剥いだ場所を同じカッタ50で再度剥ぐという無駄がなくなり、これにより、樹木の径の大小に係わらず、樹皮を確実にかつ無駄な動作無く行うことができる。
【0037】
また、該樹皮剥ぎ装置の変位に連動する樹木の位置合わせ装置57は、図2に示すように比較的大きいサイズの樹木21の樹皮剥ぎを行う場合も、図8に示すように、比較的小さいサイズの樹木21Aの樹皮剥ぎを行う場合も、押さえローラ63が樹木21、21Aに近接または当接して樹木21、21Aが送り装置22上から外れることを防止するので、オペレータへの位置合わせの負担が軽減される。
【0038】
また、樹皮剥ぎ刃49を樹木に当接し樹皮剥ぎの際に押圧するばね53を設けたので、ばね53による緩衝作用により、樹皮剥ぎ刃49が過度の力で樹木21に押し当てられることがなく、樹木21を削るところまで刃が押し込まれることが防止され、樹皮剥ぎ刃等の破損も防止される。また、ばね53による緩衝作用により、樹皮剥ぎ刃の位置調整を精度良く行う必要がなく、樹皮剥ぎ刃の位置調整が容易となる。
【0039】
また、樹皮剥ぎ装置23を樹木の送り方向に対して傾動可能としているので、樹木の枝を落とした部分に刃がかかる等の理由によって樹皮剥ぎ装置23に樹木21の送り方向に力が加わった場合、樹皮剥ぎ刃49を送り方向に逃がすことができ、樹皮剥ぎ刃の破損を防止することができる。
【0040】
また、樹皮剥ぎ装置は平行リンク40、41によって樹木21に近接、離反させる構成とすれば、樹木21のサイズに係わらず、樹木の面に対して樹皮剥ぎ刃を常にほぼ一定角度で当てることができ、樹皮剥ぎが好適に行われる。
【0041】
また、掴み装置24に樹木に当接して転動するローラ69を設けたので、掴み装置24の爪67で樹木21を把持しても、ローラ69の作用により爪67が樹木21の回転を邪魔することがなく、爪67を樹皮剥ぎの際における外れ止め手段として利用することができる。
【0042】
図9は本発明のアタッチメントの他の実施の形態を示す側面図、図10はその平面図、図11はその正面図である。本実施の形態においては、フレーム20の両側に送り装置22Aを設けたものである。該送り装置22Aは、フレーム20の両側に固定された上面開口の箱状のフレーム70と、該フレーム70に図12の平面図に示すように、軸72を中心に回動自在に取付けられたブラケット71と、該ブラケット71に搭載された油圧モータ33および該油圧モータ33により回転される送り用輪体として設けられたタイヤ式輪体29Aとからなる。各ブラケット71間はリンク73により連結され、ブラケット71と軸72と共に平行リンクを構成している。フレーム70とブラケット71との間には、ターバックルや調整ねじ等からなる輪体29Aの傾斜角調整装置74が設けられている。
【0043】
このように、送り用輪体29Aをフレーム20の両側に設ければ、前記フレーム20内に送り装置22を設ける場合に比較して、樹木21を長いスパンで安定して支持することができ、樹木の送りが円滑に行える。また、送り用輪体29Aとしてタイヤ式のものを用いれば、タイヤの持つ緩衝性により、樹木の凹凸を吸収することができ、また、タイヤの持つ滑り止め構造により、安定した送りが可能となる。
【0044】
また、本実施の形態においては、前記フレーム20に平行リンク40、41を介して近接、離反可能に第1のブラケット42を取付け、該第1のブラケット42に上下位置調整自在に第2のブラケット75を取付け、該第2のブラケット75に樹皮剥ぎ装置23Aを取付けた構造としている。
【0045】
この上下調整機構の一例について図13、図14について説明する。図13(A)は第1のブラケット42の正面図であり、上下に等間隔に複数個の第2のブラケット75固定用ボルト77(図14(A)、(B)参照)を螺合するねじ孔76が複数段(3段)設けられている。また、上下に間隔を有して、図14(B)のローラ78を固定するボルト79を螺合する2個のねじ孔80が設けられている。
【0046】
一方、図13(B)に示すように、第2のブラケット75には、図14(B)に示すように、前記ボルト77を挿通するボルト挿通孔81を、前記ねじ孔76の上下間隔と等間隔に4段設けると共に、前記ローラ78を上下動自在に挿通する長孔82を設けている。
【0047】
この装置を用いて第2のブラケット75の上下位置を調整する場合は、第2のブラケット75固定用ボルト77を緩めて孔76、81から抜く。このとき、ローラ78は鍔を有し、該2個のローラ78が長孔82に挿通され、ボルト79により固定されているので、第2のブラケット75は第1のブラケット42に上下動可能に結合されたままとなる。この状態から下方への調整の場合は、第2のブラケット75を下げてローラ78およびボルト79により第2のブラケット75を長孔82を介して第1のブラケット42に支持させる。すなわち、第2のブラケット75を上方のローラ78が長孔82の上端に当接した状態で支持させる。そして、ボルト77を第2のブラケット75の孔81に挿通してねじ孔76に螺合し締結する。
【0048】
反対に上方への調整の場合は、第2のブラケット75を上げて手で支持しておき、下方のローラ78を長孔82の下端に当接させ、ボルト77を第2のブラケット75の孔81に挿通してねじ孔76に螺合し締結する。
【0049】
このように、第2のブラケット75を第1のブラケット42に対して高さを調整可能とすることにより、平行リンク40、41によって高さを調整する場合の樹皮剥ぎ装置の樹木を横断する方向の位置ずれ(リンク40、41が回動することによる前後方向の偏位)を少なくすることができ、広い樹木サイズに対応できる。
【0050】
前記樹皮剥ぎ装置23Aは、図9に示すように、前記第2のブラケット75に設けた取付部75a(図13(B)参照)に中間部が枢軸83により樹木の送り方向に対して交差する方向に揺動自在に取付けられ支持されたブラケット84と、該ブラケット84の一端側(作業機本体側)に取付けられた油圧モータ85と、該ブラケット84の他端側に取付けられ、前記油圧モータ85によりスプロケット86、87およびチェーン88を介して回転されるカッタ89とからなり、前記ブラケット84とその支持体である第2のブラケット75との間に、前記ブラケット84を回動する方向、すなわち前記カッタ89が樹木21に押圧される方向に付勢するばね90を設けたものである。
【0051】
このように、樹皮剥ぎ装置23Aのブラケット84の中間部を揺動自在に支持し、モータ85とカッタ89とを中間部から振り分けて配置することにより、樹皮剥ぎ装置23Aの荷重が樹木21にかかることが防止され、樹木にかかる荷重はばね90によって設定できるから、樹木に対するカッタ89の荷重を好適にかつばね90の選定によって容易に設定することができる。
【0052】
また、本実施の形態においては、前記樹皮剥ぎ装置のカッタ89をその支持体であるブラケット84に片持ち式に取付けたので、樹木21の皮等の屑がカッタ89の周囲から除去しやすくなる。
【0053】
また、本実施の形態においては、図15に示すように、前記樹皮剥ぎ装置のカッタ89の刃91の樹木21との対向面91aを、樹木21の接線方向92に対してカッタの回転方向(矢印Rで示す)の前面側が後面側より樹木との間隔が大となる傾斜面(傾斜角θ)に形成している。
【0054】
このように、カッタ89の刃91の樹木21との対向面91aを傾斜面に形成することにより、カッタ刃91の樹木21への食い込みによる作動停止を防止し、かつ食い込みによる樹木の樹皮より下の部分の切削を防止することができ、樹皮のみを除去することができる。
【0055】
また、本実施の形態のカッタ89は、多角形(本例では8角形)の回転体93の外周の各面にそれぞれねじ孔93aを設け、該ねじ孔93aに刃91をボルト94により着脱自在に取付けた構造としている。なお、図15においては、刃91が回転体93の全周に取付けられるが、1個の刃91のみを描き、他を省略して描いてある。
【0056】
このように、多角形の回転体93の外周にそれぞれ刃91を着脱自在に取付ける構造とすることにより、刃91が摩耗したら刃91を交換することができ、常時効率のよい樹木剥ぎが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態においては、図10、図11、図14(A)に示すように、前記第2のブラケット75にガイド部75bを設け、該ガイド部75bに、上下動自在にロッド96を設け、該ロッド96とガイド部75bとの間に、ロッド96を下方に付勢するばね97を設け、該ロッド96の下部に、ピン98によりブラケット99を樹木の送り方向に揺動自在に設け、該ブラケット99に、樹木21の上面をカッタ89の近傍を挟むように、ばねにより押さえる一対の押さえローラ100を設けたものである。
【0058】
このように、樹皮剥ぎ装置23Aを取付ける第2のブラケット75に一対の押さえローラ100を設け、ばね97によって一対の押さえローラ100で樹木21のカッタ89近傍を押さえることにより、樹木21の動きを抑制して樹皮を安定して剥ぐことができる。
【0059】
また、前記押さえローラ100を、樹木21の送り方向に揺動自在に設けたので、樹木21の凹凸に対応して押さえローラ100が送り方向に変位することができ、円滑な樹木剥ぎ作業が行える。
【0060】
図16ないし図18は本発明の他の実施の形態を示すものであり、図16(A)に示すように、前記フレーム20より樹木の送り方向に離れた位置に据え付けて樹木21を支持する樹木支持台102を備えたものである。図17、図18に示すように、樹木支持台102は、台枠103上に落下防止枠104を形成すると共に、該落下防止枠104内に樹木21を回転自在に載せる一対の輪体であるローラ105を取付けたものである。
【0061】
図16(B)に示すように、このような樹木支持台102により支持しない場合、樹木21が長くかつサイズが大きくなると、樹木21の端部をアタッチメントで把持して樹皮を剥ぐ場合、樹木21が傾き、樹木21の回転に伴って樹木21が暴れ、円滑な樹皮剥ぎ作業が行えなくなる。
【0062】
一方、図16(A)に示すように、樹木支持台102を設けて樹木21の一部を支持しておくことにより、樹木21が片持ち状態で支持されることなく、樹木が安定して支持され、円滑な樹皮剥ぎが行える。
【0063】
本発明は、自走式作業機がエンジンにより発電機を駆動して発電し、その電力を利用して電動アクチュエータを駆動するタイプのものとして構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自走式樹皮剥ぎ機の一実施の形態を作業状態で示す側面図である。
【図2】図1の要部拡大側面図である。
【図3】図1において、樹皮剥ぎ用アタッチメントをブラケット近傍と樹皮剥ぎ装置を中心に描いた拡大側面図である。
【図4】図2の平面図である。
【図5】(A)は本実施の形態の送り装置の平面図、(B)はその端面図、(C)はその正面図である。
【図6】本実施の形態の樹皮剥ぎ装置を示す正面図である。
【図7】本実施の形態において、堆積されている樹木を樹皮剥ぎ用アタッチメントにより把持している状態を示す側面図である。
【図8】本実施の形態において、比較的小さなサイズの樹木の樹皮剥ぎを行っている状態を示す側面図である。
【図9】本発明による樹皮剥ぎ用アタッチメントの他の実施の形態を示す側面図である。
【図10】図9のアタッチメントを示す平面図である。
【図11】図9のアタッチメントを示す正面図である。
【図12】本実施の形態の送り装置を示す平面図である。
【図13】(A)、(B)は本実施の形態の第1のブラケットと第2のブラケットをそれぞれ示す正面図である。
【図14】(A)は本実施の形態の第1のブラケットと第2のブラケットの取付け構造を示す側面図、(B)はその横断面図である。
【図15】本実施の形態のカッタを示す正面図である。
【図16】(A)は本発明の他の実施の形態を示す正面図、(B)は樹木が長く大きい場合の問題点を説明する正面図である。
【図17】図16(A)の実施の形態の樹木支持台の正面図である。
【図18】図16(A)の実施の形態の樹木支持台の一部断面側面図である。
【符号の説明】
1:油圧ショベル本体、2:走行体、3:旋回装置、4:旋回体、5:運転室、6:パワーユニット、7:多関節フロント、8:樹皮剥ぎ用アタッチメント、11:ブーム、12:アーム、14:油圧シリンダ、17:ブラケット、19:旋回装置、20:フレーム、21、21A:樹木、22、22A:送り装置、23、23A:樹皮剥ぎ装置、24:掴み装置、25:油圧モータ、26:回転継手、27:油圧切換弁収容ボックス、29:ローラ(輪体)、29A:タイヤ式輪体、30:ブラケット、31:ベース、32:軸、33:油圧モータ、34、35:ロッド、36:雌ねじ、37:調整ねじ、39:ブラケット、40、41:リンク、42:第1のブラケット、43:油圧シリンダ、44:軸、45:引張りばね、47:第2のブラケット、49:刃、50:カッタ、51:油圧モータ、52:第3のブラケット、53:軸、54:抜け止め用ナット、55:ばね、57:位置合わせ装置、59:ブラケット、61、62:リンク、63:押さえローラ、65:ブラケット、66:ピン、67:爪、68:油圧シリンダ、69:ローラ、70:フレーム、71:ブラケット、72:軸、73:リンク、74:傾斜角調整装置、75:第2のブラケット、75a:取付部、75b:ガイド部、76:ねじ孔、77:ボルト、78:ローラ、79:ボルト、80:ねじ孔、81:ボルト挿通孔、82:長孔、83:枢軸、84:ブラケット、85:油圧モータ、86、87:スプロケット、88:チェーン、89:カッタ、90:ばね、91:刃、91a:対向面、92:接線方向、93:回転体、93a:ねじ孔、94:ボルト、96:ロッド、97:ばね、98:ピン、99:ブラケット、100:押さえローラ、102:樹木支持台、103:台枠、104:落下防止枠、105:ローラ
Claims (5)
- 所定長に切断された樹皮付き樹木をセットするフレームを有し、
該フレームに樹木を長手方向に送る送り装置と、樹皮剥ぎ装置と、樹木の掴み装置とを設け、
前記掴み装置は前記フレームとの間で樹木を掴む爪を有し、
さらに、自走式作業機の多関節フロントに取付け可能なブラケットを、前記フレームに旋回装置を介して取付けたことを特徴とする樹皮剥ぎ用アタッチメント。 - 請求項1において、
前記爪に、樹木に当接し、樹木の回転に連動して転動する輪体を設けたことを特徴とする樹皮剥ぎ用アタッチメント。 - 請求項1または2において、
前記フレームに平行リンクを介して近接、離反可能に第1のブラケットを取付け、
該第1のブラケットに上下位置調整自在に第2のブラケットを取付け、
該第2のブラケットに前記樹皮剥ぎ装置を取付けたことを特徴とする樹皮剥ぎ用アタッチメント。 - 請求項1から3までのいずれか1項において、
前記フレームは、先端に樹木の外れ止め兼掴み用の突起を有して内面がほぼ弧状をなすことを特徴とする樹皮剥ぎ用アタッチメント。 - 請求項1から4までのいずれか1項の樹皮剥ぎ用アタッチメントを自走式作業機の多関節フロントに取付けてなる
ことを特徴とする自走式樹皮剥ぎ機。
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