JP4614454B2 - 赤外線感光性平版印刷版原版 - Google Patents

赤外線感光性平版印刷版原版 Download PDF

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Description

本発明は、赤外線感光性平版印刷版原版に関し、特に耐傷性に優れた赤外線感光性平版印刷版原版に関する。
近年のレーザ技術の発展は目覚しく、特に近赤外から赤外に発光領域を持った固体レーザ、半導体レーザは高出力かつ小型の物が容易に入手できるようになっている。特に平版印刷の分野においては、コンピューター等から出力されたディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
そのような赤外線レーザを用いたダイレクト製版用のポジ型平版印刷版原版の記録層は、アルカリ可溶性樹脂と、光を吸収し熱を発生する赤外線吸収剤を必須成分としており、この赤外線吸収剤が、未露光部(画像部)ではアルカリ可溶性樹脂との相互作用により、アルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、露光部(非画像部)では、発生した熱により赤外線吸収剤とアルカリ可溶性樹脂との相互作用が弱まりアルカリ現像液に溶解して画像を形成する。しかしながら、このポジ型平版印刷版原版は、記録層の機械的強度が充分でなく、製造加工、輸送、及び刷版取り扱い時に、版面と種々部材が強く接触すると、版面に欠陥が生じ、現像後の画像部に抜けが起こってしまう問題があった。
このような問題を低減するため、平版印刷版原版は、一般的にプレート間に合紙(間紙)を入れて包装されている。しかしながら、この合紙には、1)コストアップ、2)合紙廃却などの問題があるため、合紙を用いない「合紙レス化」が望まれている。特に最近は、CTP(computer-to-plate)システムの普及に伴って、露光装置に版材の自動供給装置(オートローダー)を付帯させることが増加しており、事前にわざわざ手作業で合紙を抜き取る繁雑さや、自動合紙取り機構があっても合紙を取り除く際に擦れによる傷つきが起こる等の問題を回避するため、合紙レス化の要望が一段と高まっている。
このような合紙レス化を指向する技術としては、感光層と支持体裏面との接触による感光層の機械的損傷を緩和する工夫を支持体裏面に施すことが知られている。
例えば、感放射線層と有機ポリマー含有バックコート層を有するオフセット印刷用記録材料であって、少なくとも35℃のガラス転移温度を有する有機ポリマーにシリカゲルなどの顔料を含有させた背面コーティングを設けることによって、合紙なしに積み重ねることが可能になることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
また、感光層とは反対側の面にガラス転移温度60℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニリデン共重合樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂からなる、被覆層を設けたことを特徴とする感光性平版印刷版も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、シリカゲルなどの無機顔料をバックコート層に含有させた場合には、合紙を用いないで積み重ね包装した製品を輸送した際に、無機顔料の硬度が高いため、感光層に擦れによる傷がつきやすいことが分かった。
近年、カード印刷やパッケージ印刷に適するUVで硬化するUVインキによる印刷が、増加しており、UVインキの印刷には、ローラや印刷版を洗浄するために、各種ポリマーに対して溶解性の高い有機溶剤を多量に含有する洗浄剤が用いられている。このような洗浄剤を用いると、印刷版の記録層と反対側の面にも、洗浄剤が回り込んだり、飛び散ったりすることは避けられないが、従来開示されている有機ポリマーを用いると、洗浄剤によって溶け出し、ベタついた状態になり作業性が悪化したり、記録層との接着も生じやすくなると言う問題がある。
例えば、前記樹脂のうち、特許文献2に記載のPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂は特殊で高価な有機溶剤にしか溶解しないため、このようなべたつきの問題は回避し得るものの工業的な製造には不向きであった。
UVインキで平版印刷版の画像を形成する場合、高い耐刷性やUVインキ適性を持たせるために、画像露光し現像した後に高温で処理する「バーニング処理」を行うことがあるが、前記各ポリマーは、熱可塑性樹脂であるため、処理中に溶融してバーニングプロセッサーのロールを汚すなどの不都合が生じた。
また、ポリエステル樹脂等の有機ポリマーによるバックコート層は、レーザ露光機に自動的に版材を供給するオートローダーを合紙無しで使用すると、感光層と裏面が押さえつけられる構造のものにおいては、感光層に擦れによる傷がつき易いことが分かった。
特開2002−46363号公報 特開2005−62456号公報
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、合紙を用いずに積層した場合であっても、記録層に傷が生じることなく、耐熱性に優れ、耐薬品性、及び耐溶剤性に優れ、且つ、バーニング適性を備えた赤外線感光性平版印刷版原版を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、以下の赤外線感光性平版印刷版原版(以下、単に「平版印刷版原版」とも称する。)により、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の平版印刷版原版は、支持体の片面に(a)水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂、及び(b)赤外線吸収剤を含有し、赤外線照射により画像を形成し得る記録層を有し、該支持体の記録層を有する面とは反対側の面(「反対面」ともいう。)に、ゲル状物質からなる層を有することを特徴とする。
また、上記平版印刷版原版において、ゲル状物質がシリコーンゲルであることが好ましい。
なお、反対面に存在するゲル状物質層は、赤外線吸収スペクトルやマススペクトルを用い、常法により確認することができる。
本発明によれば、合紙を用いずに積層した場合であっても、記録層に傷が生じることなく、製造が容易であり、且つ、耐熱性に優れ、プレートクリーナーなどの各種の印刷用薬品に対する耐薬品性、及びUVインキ用洗浄剤に対する耐溶剤性に優れた赤外線感光性平版印刷版原版を提供することができる。また、裏面のゲル状物質層が耐熱性に優れることから、本発明の赤外線感光性平版印刷版原版はバーニング耐性にも優れるという利点をも有する。
以下、本発明の平版印刷版原版を構成する各要素を詳細に順次説明する。
本発明に使用する支持体は対向する2つの面を有し、片面には記録層を有し、反対面にゲル状物質よりなる層を有する。
ゲル状物質層は、好ましくはジオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン樹脂及びその架橋剤を含む塗布液を塗布、乾燥することにより形成されるが、この製膜工程において、塗布後の乾燥による加熱と塗布後の自然経時により架橋が進行し、3次元の架橋構造を有するポリマー層が形成され、この高密度架橋構造により、耐薬品性、とりわけ耐有機溶剤性に優れたシリコーンゲル層が形成される。
〔ゲル状物質層〕
本発明においては、支持体の記録層を有する面とは反対側の面に、ゲル状物質により構成された層を有することを特徴とする。すなわち、本発明の平版印刷版原版は、支持体のバックコート層としてゲル状物質層を有する。
ゲル状物質とは、室温でゴム状態の三次元架橋ポリマーをいい、シリコーンゲルを用いることが好ましい。
(シリコーン樹脂及びその架橋剤)
シリコーンゲルとしては、付加反応型シリコーンコポリマーが好ましく、以下のA成分と以下のB成分との混合物を硬化させることにより得られるシリコーンエラストマーが好ましい。すなわち、A成分は、次式(1)で示されるジオルガノポリシロキサンである:
R−R1 2SiO−(R2 2SiO)nSiR1 2−R…(1)
(式中、Rはアルケニル基等の架橋性基であり、R1は脂肪族不飽和結合を有しない一価の炭化水素基であり、R2は一価の脂肪族炭化水素基(R2のうち少なくとも50モル%はメチル基であり、アルケニル基を有する場合にはその含有率は10モル%以下である。)であり、nはこの成分の25℃における粘度が100〜100,000cStになるような整数である。なお、複数のR1、R2はそれぞれ独立に選択することができる。)
また、B成分は、25℃における粘度が5,000cSt以下であり、1分子中に少なくとも2個のSi原子に直接結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。ここで、混合物において、このB成分中のSi原子に直接結合している水素原子の合計量に対するA成分中に含まれるアルケニル基の合計量の比(モル比)が0.1〜2.0になるように調整し、この混合物を硬化させることにより得られる付加反応型シリコーンコポリマーをゲル状物質の層に使用することができる。
このシリコーンゲルについてさらに詳しく説明すると、上記A成分は、二官能性のシロキサンモノマーであり、直鎖状の分子構造を有し、分子の両末端にあるアルケニル基等の架橋性基RがB成分中のSi原子に直接結合した水素原子と付加して架橋構造を形成することができる化合物である。この分子末端に存在するアルケニル基は、低級アルケニル基であることが好ましく、反応性を考慮するとビニル基が特に好ましい。
また分子末端に存在するR1は、脂肪族不飽和結合を有しない一価の炭化水素基であり、このような基の具体例としてはメチル基、プロピル基及びヘキシル基等のようなアルキル基、フェニル基並びにフロロアルキル基を挙げることができる。
上記の式(1)においてR2は一価の脂肪族炭化水素であり、このような基の具体的な例としては、メチル基、プロピル基及びヘキシル基等のようなアルキル基並びにビニル基のような低級アルケニル基を挙げることができる。ただし、R2のうち少なくとも50モル%はメチル基であり,R2がアルケニル基である場合には、アルケニル基は10モル%以下の量であることが好ましい。アルケニル基の量が10モル%を越えると架橋密度が高くなり過ぎて高粘度になりやすい。またnは、このA成分の25℃における粘度が通常は100〜100,000cSt、好ましくは200〜20,000cStの範囲内になるように設定される。
上記のB成分は、A成分の架橋剤であり、Si原子に直接結合した水素原子がA成分中のアルケニル基と付加してA成分を硬化させる。B成分は上記のような作用を有していればよく、B成分としては直鎖状、分岐状、環状、あるいは網目状などの種々の分子構造のものが使用できる。
また、B成分中のSi原子には水素原子の他、有機基が結合しており、この有機基は通常はメチル基のような低級アルキル基である。さらに、B成分の25℃における粘度は通常は5,000cSt以下、好ましくは500cSt以下である。このようなB成分の例としては、分子両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ジオルガノシロキサンとオルガノハイドロジェンシロキサンとの共重合体、テトラオルガノテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、HR1 2SiO 1/2単位とSiO 4/2単位とからなる共重合体シロキサン、及びHR1 2SiO 1/2単位とR1 3SiO 1/2単位とSiO 4/2単位とからなる共重合体ポリシロキサンを挙げることができる。ただし上記式においてR1は前記と同義である。
そして上記のB成分中のSiに直接結合している水素原子の合計モル量に対するA成分中のアルケニル基の合計モル量との比率が通常は0.1〜2.0、好ましくは0.1〜1.0の範囲内になるようにA成分とB成分とを混合して硬化させることにより製造される。
この場合の硬化反応は、通常は触媒を用いて行なわれる。ここで使用される触媒としては、白金系触媒が好適であり、この例としては微粉砕元素状白金、塩化白金酸、酸化白金、白金とオレフィンとの錯塩、白金アルコラート及び塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩を挙げることができる。このような錯塩はA成分とB成分との合計重量に対して通常は0.1ppm(白金換算量、以下同様)以上、好ましくは0.5ppm以上の量で使用される。このような触媒の量の上限については特に制限はないが、例えば触媒が液状である場合、あるいは溶液として使用することができる場合には200ppm以下の量で十分である。
上記のようなA成分、B成分及び触媒を混合し、室温に放置するか、あるいは加熱することにより硬化して本発明で使用されるシリコーンゲルが生成する。このようにして得られたシリコーンゲルは、JIS K(K−2207−1980 50g荷重)で測定した針入度が通常5〜250を有する。尚このようなシリコーンゲルの硬度は、上記A成分とB成分とにより形成された架橋構造によって変動する。
またシリコーンゲルの硬化前の粘度及び硬化後の針入度は両末端がメチル基であるシリコーンオイルを、得られるシリコーンゲルに対して5〜75重量%の範囲内の量であらかじめ添加することにより調整することができる。このようにシリコーンゲルは上記のようにして調整することもできるし、また市販されているものを使用することもできる。
本発明で使用することができる市販品の例としては、3-4207 DIELECTRIC TOUGH GEL KIT、3-4680 SILICONE GEL KIT、3-4130 DIELECTRIC GEL KIT、3-4118 GEL A&B、3-4154 DIELECTRIC GEL KIT、3-4237 DIELECTRIC FIRM GEL KIT (トーレ・ダウコーニングシリコーン社製)やX32−902/cat1300(信越化学工業株式会社製)、F250−121(日本ユニカ株式会社製)等を挙げることができる。
尚、上記のA成分、B成分及び触媒の他に、チクソトロピー性付与剤、顔料、硬化遅延剤、難燃剤、充填剤等をシリコーンゲルの特性を損なわない範囲内で配合することもでき、また微小中空球体のフィラーを混入してなるシリコーンゲルを用いてもよく、このような材料としては日本フィライト株式会社製造のフィライト(登録商標)や同社販売のエクスパンセル(登録商標)等が例示できる。
(ゲル状物質層の充填剤)
充填剤としては、たとえば、炭酸カルシウム粉末、シリカ粉末、木粉、パルプなどが挙げられる。
充填剤の含有量は、固形分換算で好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%の範囲である。
(有機ポリマー)
本発明におけるゲル状物質層は、シリコーンゲルのみを含むものであってもよいが、本発明の効果を損なわない限りにおいて、シリコーンゲル以外の有機ポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、などを併用することもできる。併用し得る有機ポリマーは、効果の観点から疎水性樹脂であることが好ましい。
併用し得る他の有機ポリマーの含有量は、シリコーンゲルに対して40重量%以下であることが好ましい。
(他の成分)
ゲル状物質層、好ましくはシリコーンゲル層には、可とう性の付与、すべり性の調整や塗布面状を改良する目的で、可塑剤、界面活性剤、その他の添加物を、本発明の効果を損ねない範囲で必要により添加できる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、
ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類などの両性界面活性剤が挙げられる。以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた包含される。
更に好ましい界面活性剤は、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤である。フッ素系界面活性剤の例としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン型及びパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。
界面活性剤は、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができ、ゲル状物質層中に好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%の範囲で添加できる。
ゲル状物質層、好ましくはシリコーンゲル層には更に、着色のための染料、アルミニウム支持体との密着向上のためのシランカップリング剤、ジアゾニウム塩からなるジアゾ樹脂、有機ホスホン酸、有機リン酸及びカチオン性ポリマー等、更には滑り剤として通常用いられるワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、ジメチルシロキサンよりなるシリコーン化合物、変性ジメチルシロキサン、ポリエチレン粉末等を適宜加えることができる。
ゲル状物質層、好ましくはシリコーンゲル層の厚さは、合紙がなくとも記録層を傷付け難い厚さであればよく、通常0.3〜25μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜20μmの範囲であり、更に好ましくは1.0〜20μmの範囲である。上記範囲内であれば、平版印刷版原版を重ねて取り扱った場合に、記録層の擦れ傷等の発生を効果的に防止することができる。
(ゲル状物質層の形成)
本発明におけるゲル状物質層は、シリコーンゲル層であることが好ましく、ジオルガノポリシロキサンよりなるA成分と架橋剤よりなるB成分との混合物を、所定の粘度を有し、かつ所定の架橋成分モル比になるように調製した後、必要によりメチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解して支持体の第2の面である、記録層の反対面に塗設し、塗布後の加熱と塗布後の自然経時により架橋反応を進行させて、3次元のゲル状の層を形成することができる。
塗布液には、取り扱い性向上のため、溶剤を添加することが好ましい。
使用可能な溶媒としては、特開昭62−251739号公報に記載されているような有機溶剤を単独あるいは混合して用いることができる。また、溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用される。
シリコーンゲル層の形成にあたって、上記塗布液を支持体上の記録層を形成する面とは反対側の第2の面に塗布し、乾燥することにより、乾燥時に架橋剤の働きで、シリコーン樹脂層内に高密度の架橋構造が形成され、耐傷性のみならず、耐薬品性、耐溶剤性に優れた被膜が形成される。
乾燥条件は、シリコーン樹脂の硬化と、架橋剤に起因する架橋構造の形成を促進するといった観点から、以下のようなものが好ましい。
例えば、100℃〜180℃の乾燥風で、30秒〜5分間熱することが好ましく、乾燥後、100〜180℃の加熱された金属ロールに接する方法なども好ましい。また、赤外線を照射して加熱する方法も好ましい。
本発明の赤外線感光性平版印刷版原版は、以上説明したゲル状物質層を有することにより、合紙を用いずに積層した場合であっても、製造加工工程及び製版工程等において、或いは、包装時における搬送や製品として出荷後の輸送の際においても、記録層に擦れ傷及び接着故障が生じないという優れた効果を発揮することができる。
即ち、平版印刷版原版を積層して包装・梱包して輸送する場合であっても、記録層側の面と当該面に接触する反対面(バック層の面:ゲル状物質層を有する面)とが輸送時の振動により擦れることに起因して記録層に擦れ傷が発生することがない。また、積層した版材を高湿環境下に長期間保存した場合であっても、記録層に接着故障が生じることがない。さらに、オートローダーを備えた露光装置に用いる場合のように、版材の記録層側の面とバック面の一部分が強く押さえ付けながら移動させるような使用状況であっても、記録層に擦れ傷が発生することがない。
〔記録層〕
本発明において塗設する記録層は赤外線照射により画像を形成し得る層であり、単層であっても、重層構造のいずれであってもよい。単層型の記録層である場合には、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び赤外線吸収剤を必須成分として含んで構成される。また、重層型の記録層である場合には、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含み、最も支持体側に位置する層(以下、適宜「下層」と称する。)及び最も支持体から遠くに位置する層(以下、適宜「最上層」と称する。)の少なくとも一方は、赤外線吸収剤を含む層として構成される。
(水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂)
本発明の記録層に使用される水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、アルカリ可溶性樹脂と称する)とは、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体又はこれらの混合物を包含する。従って、本発明における記録層は、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものである。本発明に使用されるアルカリ可溶性樹脂は、従来公知のものであれば特に制限はないが、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基、及び(4)カルボン酸基から選ばれる少なくとも一つの酸性基を分子内に有する高分子化合物であることが好ましい。
例えば以下のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。
(1)フェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が挙げられる。
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、下記式(i)で示される置換フェノール類とアルデヒド類とを縮合してなる樹脂も好適なものとして挙げられる。
Figure 0004614454
式(i)において、R1及びR2は、それぞれ水素原子、アルキル基、ハロゲン原子を表す。アルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1又は2のアルキル基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子のいずれかであり、好ましくは塩素原子、臭素原子である。また、R3は炭素数3〜6のアルキル基又はシクロアルキル基を示す。
上記の置換フェノール類の具体例としては、イソプロピルフェノール、t−ブチルフェノール、t−アミルフェノール、ヘキシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、3−メチル−4−クロロ−6−ターシャリーブチルフェノール、イソプロピルクレゾール、t−ブチルクレゾール、t−アミルクレゾールが挙げられる。中でも、t−ブチルフェノール、t−ブチルクレゾールが好ましい。
上記の置換フェノール類との縮合に使用されるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド等の脂肪族及び芳香族アルデヒドが挙げられる。中でもホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドが好ましい。
フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としてはこの他に、側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物を挙げることができる。側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。フェノール性水酸基を有する樹脂は、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明に用いるフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、特開平11−288089号公報に記載の、上記フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂のフェノール性水酸基の少なくとも一部がエステル化されたアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、スルホンアミド基を有する重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO2−と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。
スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、特公平7−69605号公報に記載のものが挙げられる。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂は、活性イミド基(−CO−NH−SO2−)を分子内に有するものが好ましく、この高分子化合物としては、1分子中に活性イミド基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
このような化合物の具体例としては、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボン酸基と重合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ1以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。カルボン酸基を有する重合性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等のα、β−不飽和カルボン酸類、が挙げられる。また、側鎖にヒドロキシル基を有するアクリレート又はメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルエチルアクリレート又はメタクリレート等)のヒドロキシル基と、二塩基酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、フタル酸等)とのモノエステルである不飽和カルボン酸も好適なものとして挙げられる。
更に、本発明のアルカリ可溶性樹脂としては、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、活性イミド基を有する重合性モノマー、及びカルボン酸基を有する重合性モノマーのうちの2種以上を重合させた高分子化合物、或いはこれら2種以上の重合性モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物を使用することができる。
本発明において、アルカリ可溶性樹脂が前記酸性基(フェノール性水酸基、スルホンアミド基、活性イミド基、カルボン酸基)を有するモノマーと、他の重合性モノマーとの共重合体である場合には、アルカリ可溶性の観点から、アルカリ可溶性を付与するモノマーは10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むものがより好ましい。
前記酸性基を有するモノマーと共重合させるモノマー成分としては、下記(m1)〜(m11)に挙げる化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
アルカリ水可溶性高分子化合物の共重合の方法としては、従来知られている、グラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合法等を用いることができる。
本発明においてアルカリ可溶性樹脂が、前記酸性基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体の場合、重量平均分子量が2,000以上が好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000である。また、本発明においてアルカリ可溶性樹脂がフェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールアルデヒド樹脂等の樹脂である場合には、重量平均分子量500〜50,000が好ましく、700〜20,000がより好ましく、1,000〜10,000が特に好ましい。
記録層が重層構造である場合、記録層の最上層に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、未露光部では強い水素結合性を生起し、露光部においては、一部の水素結合が容易に解除される点においてフェノール性水酸基を有する樹脂が望ましい。更に好ましくはノボラック樹脂である。
本発明においては、アルカリ性水溶液に対し溶解速度の異なる2種類以上のアルカリ可溶性樹脂を混合して用いてもよく、その場合の混合比は自由である。重層型の記録層の最上層に好適に用いられるフェノール性水酸基を有する樹脂と混合するのに好適なアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を有する樹脂と相溶性が低いことから、アクリル樹脂が好ましく、スルホアミド基又はカルボン酸基を有するアクリル樹脂がより好ましい。
記録層が重層構造である場合、記録層の下層には、前記アルカリ可溶性樹脂が用いられるが、下層自体が、特に非画像部領域において、高いアルカリ可溶性を発現することを要する。また、印刷時において種々印刷薬品に対する耐性及び各種印刷条件において安定した耐刷性を発現することも要する。このため、この特性を損なわない樹脂を選択することが好ましい。この観点からは、アルカリ現像液に対する溶解性、各種印刷薬品に対する耐溶解性、物理的強度に優れた樹脂を選択することが好ましい。また、下層に用いるアルカリ可溶性樹脂としては、最上層を塗布する際にその塗布溶媒により溶解されない、溶剤溶解性の低い樹脂を選択することが好ましい。このような樹脂を選択することで、2つの層の界面における所望されない相溶が抑制される。
これらの観点から、下層に含まれるアルカリ可溶性樹脂としては、前記アルカリ可溶性樹脂の中でも、アクリル樹脂が好ましい。中でも、スルホンアミド基を有するアクリル樹脂が好ましい。
前記の観点から、下層に用いるアルカリ可溶性樹脂としては、上記以外に水不溶性且つアルカリ可溶性のポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。中でも、ウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
下層に用いる上記アルカリ可溶性樹脂は、それぞれ1種類或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
単層型の記録層である場合、記録層全固形分に対するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、記録層の感度及び耐久性の観点から、30〜99重量%であることが好ましく、より好ましくは40〜95重量%である。
重層型の記録層である場合、最上層の全固形分に対するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、記録層の感度及び耐久性の観点から、40〜98重量%であることが好ましく、より好ましくは60〜97重量%である。
下層成分中のアルカリ可溶性樹脂の含有量は、下層の全固形分中、40〜95重量%が好ましく、より好ましくは50〜90重量%である。
(現像抑制剤)
記録層には、そのインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、現像抑制剤を含有させることができる。記録層が重層構造である場合には、特に最上層に現像抑制剤を含有させることが好ましい。
現像抑制剤としては、前記アルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成し、未露光部においては該アルカリ可溶性樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させ、且つ、露光部においては該相互作用が弱まり、現像液に対して可溶となり得るものであれば特に限定はされないが、特に、第4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール系化合物等が好ましく用いられる。また、後述する光熱変換剤、画像着色剤のなかにも現像抑制剤として機能する化合物があり、それらもまた好ましく挙げられる。
第4級アンモニウム塩としては、特に限定されないが、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアリールアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、アルキルトリアリールアンモニウム塩、テトラアリールアンモニウム塩、環状アンモニウム塩、二環状アンモニウム塩が挙げられる。
具体的には、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトララウリルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、テトラナフチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラステアリルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリエチルアンモニウムブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ジベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロミド、トリステアリルメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ヒドロキシフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、N−メチルピリジニウムブロミド等が挙げられる。特に、特開2001−398047、特開2003−167332、特開2003−107688各公報記載の第4級アンモニウム塩が好ましい。
現像抑制効果及び前記アルカリ可溶性樹脂の製膜性の観点から、第4級アンモニウム塩の添加量は、単層型の記録層である場合、記録層全固形分に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましい。また、重層型の記録層である場合には、最上層全固形分に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましい。
また、ポリエチレングリコール化合物としては、特に限定されないが、下記式(vi)で表される構造のものが挙げられる。
61−{−O−(R63−O−)m−R62n ・・・(vi)
式(vi)中、R61は、多価アルコール残基又は多価フェノール残基を表し、R62は水素原子、置換基を有していても良い炭素原子数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基を表す。R63は置換基を有しても良いアルキレン残基を表し、mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数を表す。
式(vi)で表されるポリエチレングリコール化合物の例としては、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアリールエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールグリセリンエステル、ポリプロピレングリコールグリセリンエステル類、ポリエチレンソルビトールエステル類、ポリプロピレングリコールソルビトールエステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン類、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン類、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン類、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン類が挙げられる。
さらにこれらの具体例としては、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール10000、ポリエチレングリコール20000、ポリエチレングリコール5000、ポリエチレングリコール100000、ポリエチレングリコール200000、ポリエチレングリコール500000、ポリプロピレングリコール1500、ポリプロピレングリコール3000、ポリプロピレングリコール4000、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールエチルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジフェニルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールジラウリルエーテル、ポリエチレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールジステアリルエーテル、ポリエチレングリコールベヘニルエーテル、ポリエチレングリコールジベヘニルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールエチルエーテル、ポリプロピレングリコールフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジエチルエーテル、ポリプロピレングリコールジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールジラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールアセチルエステル、ポリエチレングリコールジアセチルエステル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル、ポリエチレングリコールラウリルエステル、ポリエチレングリコールジラウリルエステル、ポリエチレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールセチル酸エステル、ポリエチレングリコールステアロイルエステル、ポリエチレングリコールジステアロイルエステル、ポリエチレングリコールベヘン酸エステル、ポリエチレングリコールジベヘン酸エステル、ポリプロピレングリコールアセチルエステル、ポリプロピレングリコールジアセチルエステル、ポリプロピレングリコール安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールグリセリンエーテル、ポリプロピレングリコールグリセリンエーテル、ポリエチレングリコールソルビトールエーテル、ポリプロピレングリコールソルビトールエーテル、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリエチレングリコール化ペンタメチレンヘキサミンが挙げられる。
現像抑制効果及び画像形成性の観点から、ポリエチレングリコール系化合物の添加量は、単層型の記録層である場合、記録層全固形分に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましい。重層型の記録層である場合、最上層の全固形分に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましい。
また、このようなインヒビション(溶解抑制能)を高めるための施策を行った場合、感度の低下が生じるが、その対策として、特開2002−361066号公報に記載のラクトン化合物を最上層中に添加することが感度低下の抑制に有効である。
溶解抑制剤としては上記の他に、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の、熱分解性であり、且つ、分解しない状態では、アルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することが画像部の現像液へのインヒビションの向上を図る点で好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げられ、特に好適なものとしては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Balet al,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号各明細書、特開平3−140140号公報に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号各明細書に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号各公報に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivelloet al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同4,491,628号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
このようなオニウム塩のなかでも、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5−158230号公報記載のものが挙げられる。
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等からのアニオンを挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸からのアニオンが好適である。
好適なキノンジアジド類としてはo−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により現像抑制剤としてのインヒビションを失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により最上層の溶解性を助ける。
そのようなo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1、2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号各明細書に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらに、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号などの各公報、及び米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものを挙げることができる。
o−キノンジアジド化合物の添加量は、単層型の記録層である場合、記録層全固形分に対し、1〜50重量%が好ましく、より好ましくは5〜30重量%の範囲である。重層型の記録層である場合、最上層全固形分に対し、1〜50重量%、更に好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜30重量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
また、記録層表面のインヒビションの強化とともに表面のキズに対する抵抗力を強化する目的で、特開2000−187318号公報に記載されているような、分子中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有する(メタ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体を併用することが好ましい。
添加量としては、単層型の記録層である場合、記録層全固形分に対し、0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。重層型の記録層である場合、最上層全固形分に対し、0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。
(赤外線吸収剤)
本発明における記録層は赤外線吸収剤を含むことを要する。
本発明の平版印刷版原版は、赤外領域に極大吸収を有し、光熱変換能をもつ赤外線吸収剤を含有することで、赤外線レーザによる記録が可能となる。
本発明に用いられる赤外線吸収剤としては、赤外光もしくは近赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。
本発明における記録層が重層構造である場合には、最も支持体側に位置する層(下層)及び最も支持体から遠くに位置する層(最上層)の少なくとも一方は、赤外線吸収剤を含む層であり、下層及び最上層の両層に添加することが好ましい。
赤外線吸収剤としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料等の染料が挙げられる。本発明において、これらの染料のうち赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
好ましい染料としては、例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号の各公報、米国特許第4,973,572号明細書等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号各公報等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号各公報等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、染料としては、米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号各公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が、特に好ましく用いられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 0004614454
式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。W1-は後述するXa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 0004614454
式(a)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Xa-は、対アニオンを示す。ただし、式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはW1-は必要ない。好ましいXa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
重層型の記録層である場合、赤外線吸収剤は、感度の観点から記録層の最上層或いはその近傍に添加することが好ましい。特に、シアニン色素の如き溶解抑制能を有するものを、フェノール基を有するアルカリ可溶性樹脂とともに添加すると、高感度化と同時に、未露光部に耐アルカリ溶解性を持たせることができる。また、これらの赤外線吸収剤は、下層に添加しても、最上層と下層の双方に添加してもよい。下層に添加することでさらに高感度化することが可能である。最上層と下層の双方に赤外線吸収剤を添加する場合には、互いに同じ化合物を用いてもよく、また異なる化合物を用いてもよい。
また、赤外線吸収剤は、記録層とは別の層を設けてそこへ添加してもよい。別の層とする場合、記録層に隣接する層へ添加するのが望ましい。
赤外線吸収剤の添加量としては、単層型の記録層である場合、記録層全固形分に対し、3〜50重量%添加することが好ましく、5〜40重量%添加することが更に好ましい。重層型の記録層である場合には、記録層最上層に添加する場合、最上層全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは1.0〜30重量%である。添加量を上記範囲とすることで記録層の感度及び耐久性が良好となる。また、下層に添加する場合、下層全固形分に対し0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜5重量%の割合で添加することができる。
下層に赤外線吸収剤を添加する場合、溶解抑制能を有する赤外線吸収剤を用いると下層の溶解性が低下するが、一方、赤外線吸収剤が赤外線レーザ露光時に発熱し、熱による下層の溶解性向上が期待できるため、これらのバランスを考慮して添加する化合物及び添加量を選択すべきである。なお、支持体近傍の0.2〜0.3μmの領域では露光時に発生した熱が支持体に拡散するなどして、熱による溶解性向上効果が得難く、赤外線吸収剤の添加による下層の溶解性低下が感度を低下させる要因となる場合がある。従って、先に示した添加量の範囲の中においても、下層の現像液(25〜30℃)に対する溶解速度が30nm/secを下回る如き添加量は好ましくない。
(その他の添加剤)
記録層を形成するにあたっては、上記成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
なお、重層型の記録層である場合には、以下に挙げる添加剤は記録層下層のみに添加してもよいし、最上層のみに添加してもよいし、両方の層に添加してもよい。
(現像促進剤)
記録層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては無水酢酸などが挙げられる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、2,2'−ビスヒドロキシスルホン、4,4’−ビスヒドロキシスルホン、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4',4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4',3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3',5'−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
単層型の記録層である場合、酸無水物、フェノール類及び有機酸類の記録層全固形分に占める割合は、0.05〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%である。重層型の記録層である場合、酸無水物、フェノール類及び有機酸類の記録層下層又は最上層の全固形分に占める割合は、各々0.05〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%である。
(界面活性剤)
記録層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、欧州特許第950517号明細書に記載されているようなシロキサン系化合物、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特開2003−057820号公報に記載されているようなフッ素含有モノマーの共重合体を添加することができる。
単層型の記録層である場合、界面活性剤の記録層全固形分に占める割合は、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
重層型の記録層である場合、界面活性剤の記録層下層又は最上層の、全固形分に占める割合は、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5.0重量%、さらに好ましくは0.05〜2.0重量%である。
(焼出し剤/着色剤)
記録層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレットラクトン、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。
これらの染料は、単層型の記録層である場合、記録層の全固形分に対し、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%の割合で添加することができる。重層型の記録層である場合には、記録層下層又は最上層の全固形分に対し、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%の割合で添加することができる。
(可塑剤)
記録層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加してもよい。
例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
これらの可塑剤は、単層型の記録層である場合、記録層の全固形分に対し、0.5〜10重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%の割合で添加することができる。
重層構造の記録層である場合には、記録層下層又は最上層の全固形分に対し、0.5〜10重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%の割合で添加することができる。
(WAX剤)
本発明に係る単層型の記録層又は重層型の記録層の最上層には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、或いは本出願人が先に提案した特開2002−226317、特開2002−332267、特開2004−012770の各公報に記載されているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることができるる。
添加量としては、単層型の記録層である場合、記録層の全固形分に対し、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%の割合で添加することができる。重層構造の記録層である場合には、記録層最上層中に占める割合が0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。
〔記録層の形成〕
本発明の平版印刷版原版における記録層は、記録層を構成する各成分を溶剤に溶かして、塗布することにより形成することができる。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用される。
なお、重層型の記録層である場合、記録層下層及び最上層は、原則的に2つの層を分離して形成することが好ましい。
2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、下層に含まれる成分と最上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法、又は、最上層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去させる方法等が挙げられる。
これらの方法の詳細については特開2002−251003号公報に記載されている。
また、新たな機能を付与するために、本発明の効果を充分に発揮する範囲において、積極的に最上層及び下層の部分相溶を行う場合もある。この場合、溶剤溶解性の差、最上層を塗布後の溶剤の乾燥速度、等を制御することにより部分相溶が可能となる。
支持体上に塗布される記録層用塗布液中の、溶剤を除いた前記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
特に、重層型の記録層では、最上層塗布時に下層へのダメージを防ぐため、最上層塗布方法は非接触式である事が望ましい。また接触型ではあるが溶剤系塗布に一般的に用いられる方法としてバーコーター塗布を用いる事も可能であるが、下層へのダメージを防止するために順転駆動で塗布する事が望ましい。
単層型の記録層である場合、記録層の乾燥後の塗布量としては、0.3〜3.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.5〜2.5g/m2の範囲である。
重層型の記録層である場合、下層成分の乾燥後の塗布量は、0.5〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.6〜2.5g/m2の範囲である。0.5g/m2以上とすることで耐刷性に優れ、また4.0g/m2以下とすることで良好な画像再現性及び感度が得られる。
また、最上層成分の乾燥後の塗布量は、0.05〜1.0g/m2の範囲にあることが
好ましく、更に好ましくは0.08〜0.7g/m2の範囲である。0.05g/m2以上とすることで、良好な現像ラチチュード、耐傷性が得られ、1.0g/m2以下とすることにより良好な感度が得られる。
下層及び最上層を合わせた乾燥後の塗布量としては、0.6〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.7〜2.5g/m2の範囲である。0.6g/m2以上とすることで良好な耐刷性が得られ、4.0g/m2以下とすることで良好な画像再現性及び感度が得られる。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
中でも、本発明においては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。
本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
このようなアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行なってもよい。以下、このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
以上のように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不充分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる傾向がある。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。
本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。
この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号各明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
(有機下塗層)
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と記録層との間に有機下塗層を設けることができる。
有機下塗層成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
有機下塗層には、オニウム基を有する化合物を含有することも好ましい。オニウム基を有する化合物は、特開2000−10292号、特開2000−108538号、特開2000−241962号等の公報に詳述されている。
中でも好ましいものとして、ポリ(p-ビニル安息香酸)などで代表される構造単位を分子中に有する高分子化合物群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。具体例としては、p−ビニル安息香酸とビニルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドとの共重合体、p−ビニル安息香酸とビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩との共重合体などが挙げられる。
有機下塗層は、次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、記録層の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。被覆量が上記範囲において充分な耐刷性能が得られる。
上記のようにして作製された赤外線感光性平版印刷版原版は、画像様に露光され、その後、現像処理を施される。
〔製版〕
本発明の平版印刷版原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
露光された本発明の平版印刷版原版は、現像処理及びフィニッシャーや保護ガムなどによる後処理を施されて印刷版となる。これらの処理には、公知の自動現像機などの処理機器を用いることができる。
本発明の平版印刷版原版の現像処理及び後処理に用いられる処理剤としては、公知の処理剤の中から適宜選択して用いることができる。
好適な現像液としては、pHが9.0〜14.0の範囲、好ましくは12.0〜13.5の範囲にある現像液である。現像液には、従来から知られているアルカリ水溶液が使用できる。上記のアルカリ水溶液のうち、特に好適な現像液として、塩基としてケイ酸アルカリを含有した、又は塩基にケイ素化合物を混ぜてケイ酸アルカリとしたものを含有した、従来良く知られている所謂「シリケート現像液」と呼ばれるpH12以上の水溶液、及び、特開平8−305039号、特開平11−109637号公報等に記載の、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖(緩衝作用を有する有機化合物)と塩基とを含有した所謂「ノンシリケート現像液」が挙げられる。
また、上記現像液には、アニオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤が含有されることが、現像促進及び滓の発生防止の点から好ましい。
本発明の平版印刷版原版から得られた平版印刷版をバーニング処理する場合は、バーニング整面液を用い、バーニングプロセッサーなどを用いて行う従来から知られている方法で行うことが好ましい。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1及び2)
〔支持体の作製〕
(アルミニウム板)
Si:0.06重量%、Fe:0.30重量%、Cu:0.026重量%、Mn:0.001重量%、Mg:0.001重量%、Zn:0.001重量%、Ti:0.02重量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1,200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。なお、得られたアルミニウムの平均結晶粒径の短径は50μm、長径は300μmであった。このアルミニウム板を幅1,030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
(表面処理)
以下の(a)〜(k)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤の平均粒径は30μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007重量%含む。)、液温50℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度15重量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸5.0g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電極部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5重量%含む。)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
(k)アルカリ金属ケイ酸塩処理
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1重量%水溶液の処理槽中へ、10秒間浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された赤外線感光性平版印刷版原版用支持体を得た。
〔バックコート層(ゲル状物質層)の形成〕
実施例1〜3については、ジオルガノポリシロキサン(A成分)、硬化剤(B成分)、界面活性剤(フッ素系界面活性剤B)及び溶剤を含有する塗布液を調製し、上記のようにして得られた支持体の記録層を塗布する面とは反対側の面(反対面)に、乾燥後の厚さが2μmとなるようにバーコーターでWet量を調整し塗布し、120℃で2分間加熱、乾燥させて製膜、架橋構造を形成させ、シリコーンゲル層を形成した。
−バックコート液−
・A成分(表1に記載の種類) 10g
・B成分(硬化剤)テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン
0.5g
・微粉砕元素状白金 0.01mg
・界面活性剤(フッ素系界面活性剤B、下記構造) 0.05g
・溶剤メチルエチルケトン 100g
Figure 0004614454
比較例1については、バックコート液をA成分の代りに表1に記載のポリスチレン樹脂を用い、B成分、硬化触媒を用いずに、その他は実施例1〜3と同様にして、バックコート層の形成を行った。
比較例2については、バックコート層の形成を行わなかった。
Figure 0004614454
〔有機下塗層の形成〕
上記バックコート層(ゲル状物質層)を形成した面とは反対側の、支持体の表面処理した面に、下記の有機下塗液をバーコーターで塗布し、80℃15秒間乾燥し、乾燥後の被覆量が18mg/m2となるように有機下塗層を設けた。
−有機下塗液−
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
Figure 0004614454
〔記録層の形成〕
有機下塗層が形成されたアルミニウム支持体上に、下記の下層用塗布液1を乾燥後の塗布量が0.85g/m2になるようバーコーターで塗布した後、160℃で44秒間乾燥し、直ちに17〜20℃の冷風で支持体の温度が35℃になるまで冷却して下層を形成した。その後、下記の上層用塗布液1を、乾燥後の塗布量が0.22g/m2になるようにバーコーターで塗布し、148℃で25秒間乾燥し、更に20〜26℃の風で徐冷して上層を形成した。
<下層用塗布液組成>
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/
メタクリル酸メチル(36/34/30wt%:重量平均分子量50000、
酸価2.65) 2.1g
・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量
4500、未反応クレゾール0.8重量%含有 Tg75℃) 0.1g
・シアニン染料A(下記構造) 0.13g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.13g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.078g
・フッ素系界面活性剤B(前記構造) 0.007g
・メチルエチルケトン 25.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.0g
Figure 0004614454
<上層用塗布液組成>
・フェノール/m-クレゾール/p−クレゾールノボラック(モル比=5/3/2、
重量平均分子量:5000 、未反応クレゾール:1.2重量%含有
Tg:70℃) 0.35g
・アクリル系樹脂C(下記構造) 0.042g
・シアニン染料A(前記構造) 0.019g
・アンモニウム化合物D(下記構造) 0.004g
・スルホニウム化合物G(下記構造) 0.032g
・フッ素系界面活性剤B(前記構造) 0.0045g
・フッ素系界面活性剤E(下記構造) 0.0033g
・フッ素系ポリマーF(下記構造) 0.018g
・メチルエチルケトン 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 20.0g
Figure 0004614454
Figure 0004614454
<評価>
得られた実施例及び比較例の各赤外線感光性平版印刷版原版について、「1.輸送による擦れ傷の発生」、「2.耐薬品性」、「3.耐熱性(バーニング耐性)」の各項目について評価をした。その結果は前記表1に併記した。
1.輸送による擦れ傷発生の評価
得られた各赤外線感光性平版印刷版原版を、1,030mm×800mmに裁断し各々30枚準備した。この30枚を合紙を入れずに重ねて、上下に厚さ0.5mmのボール紙を各1枚置いて、4隅をテープ止めした後、アルミクラフト紙で包装した。これを更に段ボールケースで外装しテープ止めし、合紙レス包装形態とした。これをパレットに載せ、トラックで2,000kmの輸送を行った後、開封した。開封後の、赤外線感光性平版印刷版原版を、富士写真フイルム(株)製自動現像機LP−940HIIに、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2を1:8で仕込み、現像温度32℃、現像時間12秒で現像処理した。このときの現像液の電導度は43mS/cmであった。現像後の平版印刷版について、輸送に起因して生じた画像部の抜けの有無を目視により観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:画像部の抜けが無い。
×:画像部の抜けが有る。
2.耐薬品性の評価
水平な台上に置いた各赤外線感光性平版印刷版原版の裏面(バックコート層の塗布された面)に、UVインキ用のプレートクリーナー;ダイキュアP(大日本インキ(株)製)をスポイトにて約0.5ml滴下し、2分間静置した。その後、水でダイキュアを洗い流し、バックコート層の侵された程度を目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:ダイキュアPを滴下した跡が認められなかった。
×:ダイキュアPに侵されて滴下した跡が認められた。
3.耐熱性(バーニング耐性)の評価
各赤外線感光性平版印刷版原版を1,030mm×800mmに裁断し、バーニングプロセッサー(Wisconsin Oven SPC-34-HTS/109(Wisconsin(株)製))にて、裏面を上側にして270℃、3分間加熱した。加熱による変化を目視にて観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:加熱前と加熱後で膜面の均一性の変化が観察されなかった。
×:加熱により、バックコート層が溶融し膜面が凹凸状に不均一となった。
表1に示されるように、実施例の赤外線感光性平版印刷版原版は、合紙を入れずに重ねて包装等した場合であっても、輸送適性に優れると共に、耐薬品性、耐熱性にも優れた平版印刷版原版であることが分かる。

Claims (2)

  1. 支持体の片面に、(a)水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂、及び(b)赤外線吸収剤を含有し、赤外線照射により画像を形成し得る記録層を有し、
    該支持体の記録層を有する面とは反対側の面に、ゲル状物質からなる層を有することを特徴とする
    赤外線感光性平版印刷版原版。
  2. ゲル状物質がシリコーンゲルである
    請求項1記載の赤外線感光性平版印刷版原版。
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