JP4614454B2 - 赤外線感光性平版印刷版原版 - Google Patents
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Description
例えば、感放射線層と有機ポリマー含有バックコート層を有するオフセット印刷用記録材料であって、少なくとも35℃のガラス転移温度を有する有機ポリマーにシリカゲルなどの顔料を含有させた背面コーティングを設けることによって、合紙なしに積み重ねることが可能になることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
近年、カード印刷やパッケージ印刷に適するUVで硬化するUVインキによる印刷が、増加しており、UVインキの印刷には、ローラや印刷版を洗浄するために、各種ポリマーに対して溶解性の高い有機溶剤を多量に含有する洗浄剤が用いられている。このような洗浄剤を用いると、印刷版の記録層と反対側の面にも、洗浄剤が回り込んだり、飛び散ったりすることは避けられないが、従来開示されている有機ポリマーを用いると、洗浄剤によって溶け出し、ベタついた状態になり作業性が悪化したり、記録層との接着も生じやすくなると言う問題がある。
UVインキで平版印刷版の画像を形成する場合、高い耐刷性やUVインキ適性を持たせるために、画像露光し現像した後に高温で処理する「バーニング処理」を行うことがあるが、前記各ポリマーは、熱可塑性樹脂であるため、処理中に溶融してバーニングプロセッサーのロールを汚すなどの不都合が生じた。
また、ポリエステル樹脂等の有機ポリマーによるバックコート層は、レーザ露光機に自動的に版材を供給するオートローダーを合紙無しで使用すると、感光層と裏面が押さえつけられる構造のものにおいては、感光層に擦れによる傷がつき易いことが分かった。
本発明の平版印刷版原版は、支持体の片面に(a)水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂、及び(b)赤外線吸収剤を含有し、赤外線照射により画像を形成し得る記録層を有し、該支持体の記録層を有する面とは反対側の面(「反対面」ともいう。)に、ゲル状物質からなる層を有することを特徴とする。
また、上記平版印刷版原版において、ゲル状物質がシリコーンゲルであることが好ましい。
なお、反対面に存在するゲル状物質層は、赤外線吸収スペクトルやマススペクトルを用い、常法により確認することができる。
本発明に使用する支持体は対向する2つの面を有し、片面には記録層を有し、反対面にゲル状物質よりなる層を有する。
ゲル状物質層は、好ましくはジオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン樹脂及びその架橋剤を含む塗布液を塗布、乾燥することにより形成されるが、この製膜工程において、塗布後の乾燥による加熱と塗布後の自然経時により架橋が進行し、3次元の架橋構造を有するポリマー層が形成され、この高密度架橋構造により、耐薬品性、とりわけ耐有機溶剤性に優れたシリコーンゲル層が形成される。
本発明においては、支持体の記録層を有する面とは反対側の面に、ゲル状物質により構成された層を有することを特徴とする。すなわち、本発明の平版印刷版原版は、支持体のバックコート層としてゲル状物質層を有する。
ゲル状物質とは、室温でゴム状態の三次元架橋ポリマーをいい、シリコーンゲルを用いることが好ましい。
シリコーンゲルとしては、付加反応型シリコーンコポリマーが好ましく、以下のA成分と以下のB成分との混合物を硬化させることにより得られるシリコーンエラストマーが好ましい。すなわち、A成分は、次式(1)で示されるジオルガノポリシロキサンである:
R−R1 2SiO−(R2 2SiO)nSiR1 2−R…(1)
(式中、Rはアルケニル基等の架橋性基であり、R1は脂肪族不飽和結合を有しない一価の炭化水素基であり、R2は一価の脂肪族炭化水素基(R2のうち少なくとも50モル%はメチル基であり、アルケニル基を有する場合にはその含有率は10モル%以下である。)であり、nはこの成分の25℃における粘度が100〜100,000cStになるような整数である。なお、複数のR1、R2はそれぞれ独立に選択することができる。)
また、B成分は、25℃における粘度が5,000cSt以下であり、1分子中に少なくとも2個のSi原子に直接結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。ここで、混合物において、このB成分中のSi原子に直接結合している水素原子の合計量に対するA成分中に含まれるアルケニル基の合計量の比(モル比)が0.1〜2.0になるように調整し、この混合物を硬化させることにより得られる付加反応型シリコーンコポリマーをゲル状物質の層に使用することができる。
充填剤としては、たとえば、炭酸カルシウム粉末、シリカ粉末、木粉、パルプなどが挙げられる。
充填剤の含有量は、固形分換算で好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%の範囲である。
本発明におけるゲル状物質層は、シリコーンゲルのみを含むものであってもよいが、本発明の効果を損なわない限りにおいて、シリコーンゲル以外の有機ポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、などを併用することもできる。併用し得る有機ポリマーは、効果の観点から疎水性樹脂であることが好ましい。
併用し得る他の有機ポリマーの含有量は、シリコーンゲルに対して40重量%以下であることが好ましい。
ゲル状物質層、好ましくはシリコーンゲル層には、可とう性の付与、すべり性の調整や塗布面状を改良する目的で、可塑剤、界面活性剤、その他の添加物を、本発明の効果を損ねない範囲で必要により添加できる。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、
本発明におけるゲル状物質層は、シリコーンゲル層であることが好ましく、ジオルガノポリシロキサンよりなるA成分と架橋剤よりなるB成分との混合物を、所定の粘度を有し、かつ所定の架橋成分モル比になるように調製した後、必要によりメチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解して支持体の第2の面である、記録層の反対面に塗設し、塗布後の加熱と塗布後の自然経時により架橋反応を進行させて、3次元のゲル状の層を形成することができる。
使用可能な溶媒としては、特開昭62−251739号公報に記載されているような有機溶剤を単独あるいは混合して用いることができる。また、溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用される。
乾燥条件は、シリコーン樹脂の硬化と、架橋剤に起因する架橋構造の形成を促進するといった観点から、以下のようなものが好ましい。
例えば、100℃〜180℃の乾燥風で、30秒〜5分間熱することが好ましく、乾燥後、100〜180℃の加熱された金属ロールに接する方法なども好ましい。また、赤外線を照射して加熱する方法も好ましい。
即ち、平版印刷版原版を積層して包装・梱包して輸送する場合であっても、記録層側の面と当該面に接触する反対面(バック層の面:ゲル状物質層を有する面)とが輸送時の振動により擦れることに起因して記録層に擦れ傷が発生することがない。また、積層した版材を高湿環境下に長期間保存した場合であっても、記録層に接着故障が生じることがない。さらに、オートローダーを備えた露光装置に用いる場合のように、版材の記録層側の面とバック面の一部分が強く押さえ付けながら移動させるような使用状況であっても、記録層に擦れ傷が発生することがない。
本発明において塗設する記録層は赤外線照射により画像を形成し得る層であり、単層であっても、重層構造のいずれであってもよい。単層型の記録層である場合には、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び赤外線吸収剤を必須成分として含んで構成される。また、重層型の記録層である場合には、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含み、最も支持体側に位置する層(以下、適宜「下層」と称する。)及び最も支持体から遠くに位置する層(以下、適宜「最上層」と称する。)の少なくとも一方は、赤外線吸収剤を含む層として構成される。
本発明の記録層に使用される水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、アルカリ可溶性樹脂と称する)とは、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体又はこれらの混合物を包含する。従って、本発明における記録層は、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものである。本発明に使用されるアルカリ可溶性樹脂は、従来公知のものであれば特に制限はないが、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基、及び(4)カルボン酸基から選ばれる少なくとも一つの酸性基を分子内に有する高分子化合物であることが好ましい。
例えば以下のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
下層成分中のアルカリ可溶性樹脂の含有量は、下層の全固形分中、40〜95重量%が好ましく、より好ましくは50〜90重量%である。
記録層には、そのインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、現像抑制剤を含有させることができる。記録層が重層構造である場合には、特に最上層に現像抑制剤を含有させることが好ましい。
式(vi)中、R61は、多価アルコール残基又は多価フェノール残基を表し、R62は水素原子、置換基を有していても良い炭素原子数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基を表す。R63は置換基を有しても良いアルキレン残基を表し、mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数を表す。
添加量としては、単層型の記録層である場合、記録層全固形分に対し、0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。重層型の記録層である場合、最上層全固形分に対し、0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。
本発明における記録層は赤外線吸収剤を含むことを要する。
本発明の平版印刷版原版は、赤外領域に極大吸収を有し、光熱変換能をもつ赤外線吸収剤を含有することで、赤外線レーザによる記録が可能となる。
本発明に用いられる赤外線吸収剤としては、赤外光もしくは近赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Xa-は、対アニオンを示す。ただし、式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはW1-は必要ない。好ましいXa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
また、赤外線吸収剤は、記録層とは別の層を設けてそこへ添加してもよい。別の層とする場合、記録層に隣接する層へ添加するのが望ましい。
記録層を形成するにあたっては、上記成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
なお、重層型の記録層である場合には、以下に挙げる添加剤は記録層下層のみに添加してもよいし、最上層のみに添加してもよいし、両方の層に添加してもよい。
記録層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
記録層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、欧州特許第950517号明細書に記載されているようなシロキサン系化合物、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特開2003−057820号公報に記載されているようなフッ素含有モノマーの共重合体を添加することができる。
重層型の記録層である場合、界面活性剤の記録層下層又は最上層の、全固形分に占める割合は、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5.0重量%、さらに好ましくは0.05〜2.0重量%である。
記録層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
記録層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加してもよい。
例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
重層構造の記録層である場合には、記録層下層又は最上層の全固形分に対し、0.5〜10重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%の割合で添加することができる。
本発明に係る単層型の記録層又は重層型の記録層の最上層には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、或いは本出願人が先に提案した特開2002−226317、特開2002−332267、特開2004−012770の各公報に記載されているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることができるる。
添加量としては、単層型の記録層である場合、記録層の全固形分に対し、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%の割合で添加することができる。重層構造の記録層である場合には、記録層最上層中に占める割合が0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。
本発明の平版印刷版原版における記録層は、記録層を構成する各成分を溶剤に溶かして、塗布することにより形成することができる。
これらの方法の詳細については特開2002−251003号公報に記載されている。
また、最上層成分の乾燥後の塗布量は、0.05〜1.0g/m2の範囲にあることが
好ましく、更に好ましくは0.08〜0.7g/m2の範囲である。0.05g/m2以上とすることで、良好な現像ラチチュード、耐傷性が得られ、1.0g/m2以下とすることにより良好な感度が得られる。
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。
この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号各明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と記録層との間に有機下塗層を設けることができる。
有機下塗層成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。被覆量が上記範囲において充分な耐刷性能が得られる。
本発明の平版印刷版原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
本発明の平版印刷版原版から得られた平版印刷版をバーニング処理する場合は、バーニング整面液を用い、バーニングプロセッサーなどを用いて行う従来から知られている方法で行うことが好ましい。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
(実施例1〜3、比較例1及び2)
〔支持体の作製〕
(アルミニウム板)
Si:0.06重量%、Fe:0.30重量%、Cu:0.026重量%、Mn:0.001重量%、Mg:0.001重量%、Zn:0.001重量%、Ti:0.02重量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1,200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。なお、得られたアルミニウムの平均結晶粒径の短径は50μm、長径は300μmであった。このアルミニウム板を幅1,030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
以下の(a)〜(k)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤の平均粒径は30μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007重量%含む。)、液温50℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度15重量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸5.0g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電極部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5重量%含む。)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1重量%水溶液の処理槽中へ、10秒間浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された赤外線感光性平版印刷版原版用支持体を得た。
実施例1〜3については、ジオルガノポリシロキサン(A成分)、硬化剤(B成分)、界面活性剤(フッ素系界面活性剤B)及び溶剤を含有する塗布液を調製し、上記のようにして得られた支持体の記録層を塗布する面とは反対側の面(反対面)に、乾燥後の厚さが2μmとなるようにバーコーターでWet量を調整し塗布し、120℃で2分間加熱、乾燥させて製膜、架橋構造を形成させ、シリコーンゲル層を形成した。
・A成分(表1に記載の種類) 10g
・B成分(硬化剤)テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン
0.5g
・微粉砕元素状白金 0.01mg
・界面活性剤(フッ素系界面活性剤B、下記構造) 0.05g
・溶剤メチルエチルケトン 100g
比較例2については、バックコート層の形成を行わなかった。
上記バックコート層(ゲル状物質層)を形成した面とは反対側の、支持体の表面処理した面に、下記の有機下塗液をバーコーターで塗布し、80℃15秒間乾燥し、乾燥後の被覆量が18mg/m2となるように有機下塗層を設けた。
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
有機下塗層が形成されたアルミニウム支持体上に、下記の下層用塗布液1を乾燥後の塗布量が0.85g/m2になるようバーコーターで塗布した後、160℃で44秒間乾燥し、直ちに17〜20℃の冷風で支持体の温度が35℃になるまで冷却して下層を形成した。その後、下記の上層用塗布液1を、乾燥後の塗布量が0.22g/m2になるようにバーコーターで塗布し、148℃で25秒間乾燥し、更に20〜26℃の風で徐冷して上層を形成した。
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/
メタクリル酸メチル(36/34/30wt%:重量平均分子量50000、
酸価2.65) 2.1g
・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量
4500、未反応クレゾール0.8重量%含有 Tg75℃) 0.1g
・シアニン染料A(下記構造) 0.13g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.13g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.078g
・フッ素系界面活性剤B(前記構造) 0.007g
・メチルエチルケトン 25.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.0g
・フェノール/m-クレゾール/p−クレゾールノボラック(モル比=5/3/2、
重量平均分子量:5000 、未反応クレゾール:1.2重量%含有
Tg:70℃) 0.35g
・アクリル系樹脂C(下記構造) 0.042g
・シアニン染料A(前記構造) 0.019g
・アンモニウム化合物D(下記構造) 0.004g
・スルホニウム化合物G(下記構造) 0.032g
・フッ素系界面活性剤B(前記構造) 0.0045g
・フッ素系界面活性剤E(下記構造) 0.0033g
・フッ素系ポリマーF(下記構造) 0.018g
・メチルエチルケトン 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 20.0g
得られた実施例及び比較例の各赤外線感光性平版印刷版原版について、「1.輸送による擦れ傷の発生」、「2.耐薬品性」、「3.耐熱性(バーニング耐性)」の各項目について評価をした。その結果は前記表1に併記した。
得られた各赤外線感光性平版印刷版原版を、1,030mm×800mmに裁断し各々30枚準備した。この30枚を合紙を入れずに重ねて、上下に厚さ0.5mmのボール紙を各1枚置いて、4隅をテープ止めした後、アルミクラフト紙で包装した。これを更に段ボールケースで外装しテープ止めし、合紙レス包装形態とした。これをパレットに載せ、トラックで2,000kmの輸送を行った後、開封した。開封後の、赤外線感光性平版印刷版原版を、富士写真フイルム(株)製自動現像機LP−940HIIに、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2を1:8で仕込み、現像温度32℃、現像時間12秒で現像処理した。このときの現像液の電導度は43mS/cmであった。現像後の平版印刷版について、輸送に起因して生じた画像部の抜けの有無を目視により観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:画像部の抜けが無い。
×:画像部の抜けが有る。
水平な台上に置いた各赤外線感光性平版印刷版原版の裏面(バックコート層の塗布された面)に、UVインキ用のプレートクリーナー;ダイキュアP(大日本インキ(株)製)をスポイトにて約0.5ml滴下し、2分間静置した。その後、水でダイキュアを洗い流し、バックコート層の侵された程度を目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:ダイキュアPを滴下した跡が認められなかった。
×:ダイキュアPに侵されて滴下した跡が認められた。
3.耐熱性(バーニング耐性)の評価
各赤外線感光性平版印刷版原版を1,030mm×800mmに裁断し、バーニングプロセッサー(Wisconsin Oven SPC-34-HTS/109(Wisconsin(株)製))にて、裏面を上側にして270℃、3分間加熱した。加熱による変化を目視にて観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:加熱前と加熱後で膜面の均一性の変化が観察されなかった。
×:加熱により、バックコート層が溶融し膜面が凹凸状に不均一となった。
Claims (2)
- 支持体の片面に、(a)水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂、及び(b)赤外線吸収剤を含有し、赤外線照射により画像を形成し得る記録層を有し、
該支持体の記録層を有する面とは反対側の面に、ゲル状物質からなる層を有することを特徴とする
赤外線感光性平版印刷版原版。 - ゲル状物質がシリコーンゲルである
請求項1記載の赤外線感光性平版印刷版原版。
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