JP4642583B2 - 赤外線感光性平版印刷版原版 - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1には、感放射線層と有機ポリマー含有バックコート層を有するオフセット印刷用記録材料であって、少なくとも35℃のガラス転移温度を有する有機ポリマーにシリカゲルなどの顔料を含有させた背面コーティングを設けることによって、合紙なしに積み重ねることが可能になることが記載されている。
また、下記特許文献3には、感光層とは反対側の面にガラス転移温度60℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニリデン共重合樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂からなる、被覆層を設けたことを特徴とする感光性平版印刷版が知られている。
また、静電噴霧によるマット層は、合紙無しで積み重ね保存した場合、特に夏季などの高湿環境下においてはプレート間の接着が起こる場合があった。
更に、ポリエステル樹脂等の有機ポリマーによるバックコート層は、レーザー露光機に自動的に版材を供給するオートローダーを合紙無しで使用すると、感光層と裏面が押さえつけられる構造のものにおいては、感光層に擦れによる傷がつき易いことが分かった。
即ち、本発明の平版印刷版原版の一つの態様は、支持体の片面に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂と、赤外線吸収剤と、を含み、赤外線照射により画像を形成し得る記録層を有し、前記支持体の記録層を有する面とは反対側の面に、炭素数9〜20の長鎖アルキル基含有ポリマー、及び、該長鎖アルキル基含有ポリマーとは異なるポリマーを含む有機ポリマー層を有することを特徴とする赤外線感光性平版印刷版原版である。
また、本発明平版印刷版原版の他の態様は、支持体の片面に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含み、赤外線照射により画像を形成し得る重層構造の記録層を有し、該重層構造の記録層のうち、最も支持体側に位置する層及び最も支持体から遠くに位置する層の少なくとも一方は、赤外線吸収剤を含む層であり、前記支持体の記録層を有する面とは反対側の面に、炭素数9〜20の長鎖アルキル基含有ポリマー、及び、該長鎖アルキル基含有ポリマーとは異なるポリマーを含む有機ポリマー層を有することを特徴とする赤外線感光性平版印刷版原版である。
有機ポリマー層は、炭素数9〜20の長鎖アルキル基含有ポリマー(以下、適宜「長鎖アルキル基含有ポリマー」と称する。)と共に、有機ポリマー層を構成するベースポリマーとして、該長鎖アルキル基含有ポリマーとは異なるポリマー(以下、適宜「有機ポリマー」と称する。)を必須成分として含む層である。
有機ポリマーとしては、長鎖アルキル基含有ポリマーと相溶性しないポリマーが好適に用いられる。一方、長鎖アルキル基含有ポリマーは、自己凝集が起こり易いポリマーである。
本発明においては、支持体の記録層を有する面とは反対側の面に有機ポリマー層を有し、該有機ポリマー層が長鎖アルキル基含有ポリマー及び有機ポリマーを含むことにより、両者が層分離を起こし、且つ、有機マット形成剤が自己凝集し、有機ポリマー層表面に微小突起(マット)が形成され、本発明の優れた効果が発揮される。
なお、以下においては、長鎖アルキル基含有ポリマー等の版材表面に形成される微少突起を構成するポリマーを、「有機マット形成剤」と称する場合がある。
本発明の平版印刷版原版における有機ポリマー層は、長鎖アルキル基含有ポリマーと、該長鎖アルキル基含有ポリマーと相溶しない有機ポリマーと、を塗布溶媒に溶解した塗布液を、支持体上に塗布乾燥して設けられる。長鎖アルキル基含有ポリマーと有機ポリマーは塗液中では共に塗布溶媒に溶解しているが、塗布後の乾燥工程において、塗布溶媒が除去されるに伴い、長鎖アルキル基含有ポリマーと有機ポリマーとの間で、それらが本来有する非相溶性に起因する相分離が起こり、長鎖アルキル基含有ポリマーが有機ポリマー層中で自己凝集して微粒子を形成し、該微粒子からなる微小突起が有機ポリマー層表面に形成されるものと考えられる。
本発明においては、このような微小突起が記録層表面と接触した際に、摩擦力を低下させるため、平版印刷版原版を積層した場合に、引掻き傷、擦り傷等に対する応力(傷応力)を緩和するものと考えられる。
併せて、この微小突起を構成する長鎖アルキル基含有ポリマーは、比較的軟らかいポリマーであると考えられる。このため、微小突起と記録層とが接触した際に、微小突起の変形による応力緩和も加わり、充分な耐傷性を示すものと考える。
本発明においては、支持体の記録層を有する面とは反対側の面に、炭素数9〜20の長鎖アルキル基含有ポリマー、及び、該長鎖アルキル基含有ポリマーとは異なるポリマーを含む有機ポリマー層を有することを特徴とする。
長鎖アルキル基含有ポリマーについて説明する。
長鎖アルキル基含有ポリマーとしては、例えば、以下の一般式(I)で表される共重合体からなることが好ましい。
上記の連結基は、ここで挙げた連結基を2種類以上組み合わせて連結基を形成していてもよい。
上記長鎖アルキル基を有するモノマー及びカルボキシ基を有するビニルモノマーと共重合させるモノマーとしては、アルカリ現像液に対する溶解性、及び、感度の観点から、親水性モノマーであることが好ましい。
(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)活性イミド基(−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R)
(4)スルホン酸基(−SO3H)
(5)リン酸基(−OPO3H2)
上記(1)〜(5)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記(5)リン酸基を有するモノマーとしては、例えば、リン酸基と重合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ1個以上有する化合物を挙げることができる。
上記長鎖アルキル基を有するモノマー及びカルボキシ基を有するビニルモノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、下記(6)〜(16)に挙げる化合物を例示することができる。
(7)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキレート等のアクリレート。
(8)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等のメタクリレート。
(10)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(11)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(13)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(14)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(16)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
有機ポリマー層には、前記長鎖アルキル基含有ポリマーと共に、有機ポリマー層を構成するベースポリマーとして、当該長鎖アルキル基含有ポリマーとは異なるポリマー(有機ポリマー)が含まれる。有機ポリマーとしては、上述した長鎖アルキル基含有ポリマーと相溶しないポリマーが好適に用いられる。
フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂。
上記飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸ユニットとジオールユニットからなる。本発明に用いられるポリエステルのジカルボン酸ユニットとしてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、蓚酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
これらのジカルボン酸及びジオールユニットはそれぞれ少なくとも一種以上で、かつどちらかが二種以上の共重合ユニットとして用いられるが、共重合組成及び分子量により共重合体の性状が決定する。
(2m)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート。
(4m)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステル。
(7m)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類。
(8m)スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類。
(9m)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類。
(10m)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類。
(11m)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど。
これらの疎水性高分子化合物は、有機ポリマー層の全固形分に対し、50質量%以下の範囲で添加できるが、有機ポリマーとして好適に用いられる飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及び塩化ビニリデン共重合樹脂の特性を活かすためには30質量%以下であることが好ましい。
有機ポリマー層には、可とう性の付与、すべり性の調整や塗布面状を改良する目的で、可塑剤、界面活性剤、その他の添加物を、本発明の効果を損ねない範囲で必要により添加できる。
本発明における有機ポリマー層は、有機ポリマー層を構成する各成分を溶媒に溶かして塗布液を調製し、この塗布液を支持体上の記録層を形成する面とは反対側の面(裏面)に塗布することにより形成できる。
使用される溶媒としては、特開昭62−251739号公報に記載されているような有機溶剤を単独あるいは混合して用いることができる。また、溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用される。
有機ポリマー層の好ましい特性としては、本発明の効果を充分に発揮する観点から、有機ポリマー層表面の動摩擦係数が0.38〜0.70の範囲にあることが好ましい。有機ポリマー層の形成に際しては、かかる点を考慮して長鎖アルキル基含有ポリマー及び有機ポリマーの種類や添加量を決定すればよい。
なお、ここで言う動摩擦係数とは、有機ポリマー層表面と有機ポリマー層とは反対側の記録層表面とを接触させて配置し、標準ASTM D1894に従って測定された値を指す。
微小突起(表面突起)を形成する微粒子の平均粒子径としては、0.05μm〜50μmが好ましく、0.1μm〜20μmがより好ましく、0.3μm〜10μmがより好ましい。
平均粒径が0.05μmを下回ると有機ポリマー層表面における凹凸の形成が不充分となり耐傷性向上効果が充分に得られない懸念がある。また、50μmを上回る突起が存在すると、印刷中に変形し均一な印圧が得られず、印刷物の網点再現性が不安定となる場合がある。
有機ポリマー層表面に存在する微小突起の高さは、0.05μm〜20μmが好ましく、0.1μm〜10μmがより好ましく、0.3μm〜7μmが最も好ましい。
微小突起の高さの測定方法としては、断面を電子顕微鏡観察して突起の高さを測定する方法、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定する方法等が挙げられる。また、微小突起は、平滑部に比べ柔らかいことが好ましく、この硬度に関しては、硬度計を用いて測定することができる。
例えば、長鎖アルキル基含有ポリマーと、併用される相溶性を有しない有機ポリマーと、の極性の差が大きくなると、微小突起の粒径は大きくなり、また、乾燥温度を高くし、乾燥に要する時間を短くすることにより、微小突起の粒径は小さくなる。
即ち、例えば、平版印刷版原版を積層して包装・梱包して輸送する場合であっても、記録層側の面と当該面に接触するバック面(有機ポリマー層を有する面)とが輸送時の振動により擦れることに起因して記録層に擦れ傷が発生することがない。また、積層した版材を高湿環境下に長期間保存した場合であっても、記録層に接着故障が生じることがない。さらに、オートローダーを備えた露光装置に用いる場合のように、版材の記録層側の面とバック面の一部分が強く押さえ付けながら移動させるような使用状況であっても、記録層に擦れ傷が発生することがない。
本発明の記録層は赤外線照射により画像を形成し得る層であり、単層であっても、重層構造のいずれであってもよい。単層型の記録層である場合には、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂と、赤外線吸収剤と、を含んで構成される。また、重層型の記録層である場合には、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含み、最も支持体側に位置する層(以下、適宜「下層」と称する。)及び最も支持体から遠くに位置する層(以下、適宜「最上層」と称する。)の少なくとも一方は、赤外線吸収剤を含む層として構成される。
本発明の記録層に使用される水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、アルカリ可溶性樹脂と称する)とは、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体またはこれらの混合物を包含する。従って、本発明の記録層は、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものである。本発明に使用されるアルカリ可溶性樹脂は、従来公知のものであれば特に制限はないが、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基、および(4)カルボン酸基から選ばれる少なくとも一つの酸性基を分子内に有する高分子化合物であることが好ましい。 例えば以下のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のス
チレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
せて使用することができる。
下層成分中のアルカリ可溶性樹脂の含有量は、下層の全固形分中、40〜95質量%が好ましく、より好ましくは50〜90質量%である。
記録層には、そのインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、現像抑制剤を含有させることができる。記録層が重層構造である場合には、特に最上層に現像抑制剤を含有させることが好ましい。
一般式(vi)中、R61は、多価アルコール残基又は多価フェノール残基を表し、R62は水素原子、置換基を有していても良い炭素原子数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基を表す。R63は置換基を有しても良いアルキレン残基を表し、mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数を表す。
添加量としては、単層型の記録層である場合、記録層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。重層型の記録層である場合、最上層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明における記録層は赤外線吸収剤を含むことを要する。
本発明の平版印刷版原版は、赤外領域に極大吸収を有し、光熱変換能をもつ赤外線吸収剤を含有することで、赤外線レーザによる記録が可能となる。
本発明に用いられる赤外線吸収剤としては、赤外光もしくは近赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Xa-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはW1-は必要ない。好ましいXa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
また、赤外線吸収剤は、記録層とは別の層を設けてそこへ添加してもよい。別の層とする場合、記録層に隣接する層へ添加するのが望ましい。
記録層を形成するにあたっては、上記成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
なお、重層型の記録層である場合には、以下に挙げる添加剤は記録層下層のみに添加してもよいし、最上層のみに添加してもよいし、両方の層に添加してもよい。
記録層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
記録層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、欧州特許第950517号明細書に記載されているようなシロキサン系化合物、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特開2003−057820号公報に記載されているようなフッ素含有モノマーの共重合体を添加することができる。
重層型の記録層である場合、界面活性剤の記録層下層又は最上層の、全固形分に占める割合は、0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5.0質量%、さらに好ましくは0.05〜2.0質量%である。
記録層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
記録層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加してもよい。
例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
重層構造の記録層である場合には、記録層下層又は最上層の全固形分に対し、0.5〜10質量%、好ましくは1.0〜5.0質量%の割合で添加することができる。
本発明に係る単層型の記録層又は重層型の記録層の最上層には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、或いは本願出願人が先に提案した特願2001−261627、特願2002−032904、特願2002−165584の各明細書に記載されているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることができるる。
添加量としては、単層型の記録層である場合、記録層の全固形分に対し、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%の割合で添加することができる。重層構造の記録層である場合には、記録層最上層中に占める割合が0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明の平版印刷版原版における記録層は、記録層を構成する各成分を溶剤に溶かして、塗布することにより形成することができる。
これらの方法の詳細については、特開2002−251003号公報に記載されている。
ド塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
また、最上層成分の乾燥後の塗布量は、0.05〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.08〜0.7g/m2の範囲である。0.05g/m2以上とすることで、良好な現像ラチチュード、耐傷性が得られ、1.0g/m2以下とすることで良好な感度が得られる。
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
理を行なってもよい。以下、このような表面処理について簡単に説明する。
本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。
この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号各明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と記録層との間に有機下塗層を設けることができる。
本発明の平版印刷版原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
コンデンサー、攪拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール59gを入れ、80℃に加熱した。窒素気流下、n−メタクリル酸ステアリル42.0g、メタクリル酸16.0g、重合開始剤V−601(和光純薬製)0.714g、及び1−メトキシ−2−プロパノール59gからなる溶液を2時間半かけて滴下した。更に、80℃で2時間反応させた。反応混液を室温に冷却して、1000mlの水に反応液を注ぎ込んだ。デカンテーション後、メタノールで洗浄し、得られた液状生成物を減圧乾燥することで、下記に示す「長鎖アルキル基含有ポリマーA」73.5gを得た。ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、重量平均分子量を測定した結果、66,000であった。
〔支持体の作製〕
<アルミニウム板>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.026質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.02質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。なお、得られたアルミニウムの平均結晶粒径の短径は50μm、長径は300μmであった。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
以下の(a)〜(k)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤の平均粒径は30μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気
量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流さ
せた。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸5.0g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電極部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一および第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液の処理槽中へ、10秒間浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された赤外線感光性平版印刷版用支持体を得た。
実施例1〜6については、有機ポリマー、有機マット形成剤(長鎖アルキル基含有ポリマーA)、界面活性剤(フッ素系界面活性剤B)及び溶剤からなるバックコート液を調液し、上記のようにして得られた支持体の記録層を塗布する反対側の面(裏面)に、乾燥後の厚さが各1μm、10μm、又は20μmとなるようにバーコーターでWet量を調整し塗布し、100℃で60秒乾燥した。
・有機ポリマー(表1に記載の種類) 表1に記載の量
・有機マット形成剤(表1に記載の種類) 1g
・界面活性剤(フッ素系界面活性剤B、下記構造) 0.05g
・溶剤(表1に記載の種類) 100g
比較例2及び3については、バックコート液を表1に記載の組成として、バックコート層の形成を行った。
比較例4については、バックコート液の塗布に代えて、以下の組成の共重合ポリマー水溶液を固形分濃度20%にし静電エアータイプのスプレーで塗布し、60℃で5秒間乾燥した。
−比較例4の共重合ポリマー組成−
・メチルメタアクリレート 68質量%
・エチルアクリレート 20質量%
・アクリル酸ソーダ 12質量%
上記有機ポリマー層を形成した面とは反対側の、支持体の表面処理した面に、下記の有機下塗り液をバーコーターで塗布し、80℃15秒間乾燥し、乾燥後の被服量が18mg/m2となるように有機下塗り層を設けた。
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
有機下塗り層が形成されたアルミニウム支持体上に、下記の下層用塗布液1を乾燥後の塗布量が0.85g/m2になるようバーコーターで塗布した後、160℃で44秒間乾燥し、直ちに17〜20℃の冷風で支持体の温度が35℃になるまで冷却して下層を形成した。その後、下記の上層用塗布液1を、乾燥後の塗布量が0.22g/m2になるようにバーコーターで塗布し、148℃で25秒間乾燥し、更に20〜26℃の風で徐冷して上層を形成した。
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
アクリロニトリル/メタクリル酸メチル
(36/34/30wt%:重量平均分子量50000、
酸価2.65) 2.1g
・シアニン染料A(下記構造) 0.13g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.13g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.078g
・フッ素系界面活性剤B(前記構造) 0.007g
・メチルエチルケトン 25.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.0g
・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量
4500、未反応クレゾール0.8質量%含有 Tg75℃) 0.35g
・アクリル系樹脂C(下記構造) 0.042g
・シアニン染料A(前記構造) 0.019g
・アンモニウム化合物D(下記構造) 0.004g
・フッ素系界面活性剤B(前記構造) 0.0045g
・フッ素系界面活性剤E(下記構造) 0.0033g
・メチルエチルケトン 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 20.0g
得られた実施例及び比較例の各赤外線感光性平版印刷版原版について、「1.輸送による擦れ傷の発生」、「2.高湿条件での接着性」、「3.オートローダーでの擦れ傷の発生」の各項目について評価をした。
得られた各赤外線感光性平版印刷版原版を、1030mm×800mmに裁断し各々30枚準備した。この30枚を合紙を入れずに重ねて、上下に厚さ0.5mmのボール紙を各1枚置いて、4隅をテープ止めした後、アルミクラフト紙で包装した。これを更に段ボールケースで外装しテープ止めし、合紙レス包装形態とした。これをパレットに載せ、トラックで2000kmの輸送を行った後、開封した。開封後の、赤外線感光性平版印刷版原版を、富士写真フイルム(株)製自動現像機LP−940HIIに、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2を1:8で仕込み、現像温度32℃、現像時間12秒で現像処理した。このときの現像液の電導度は43mS/cmであった。現像後の平版印刷版について、輸送に起因して生じた画像部の抜けの有無を目視により観察し、評価した。
画像部の抜けが無いものを「○」、画像部の抜けが有ったものを「×」とする。結果を表2に示す。
上記と同一サイズの平版印刷版原版を合い紙を入れずに各々1500枚重ね上下に鉄製の当て板を置き、ボルト締めをした大量輸送形態で夏場(7月度)の倉庫に1ヶ月間放置した。その後、ボルトを外して平版印刷版原版同士の接着性の有無を評価した。
接着が無かったものを「○」、接着が有ったものを「×」とする。結果を表2に示す。
上記と同一サイズの平版印刷版原版を、LuxelT−9800CTPシングルオートローダーのカセットに合紙を入れずに10枚セットし、自動給版させてドラム装着した後、露光しないで搬出させ、富士写真フイルム(株)製の自動現像機LP−940HIIに、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2(1:8で希釈したもの)及び富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を仕込み、現像温度32℃、現像時間12秒で現像処理した。このときの現像液の電動度は43mS/cmであった。現像後の平版印刷版を目視し、ロード、アンロードによる擦れ傷の発生を評価した。
擦れ傷の発生が無かったものを「○」、擦れ傷の発生が有ったものを「×」とする。結果を表2に示す。
Claims (2)
- 支持体の片面に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂と、赤外線吸収剤と、を含み、赤外線照射により画像を形成し得る記録層を有し、
前記支持体の記録層を有する面とは反対側の面に、炭素数9〜20の長鎖アルキル基含有ポリマー、及び、該長鎖アルキル基含有ポリマーとは異なるポリマーを含む有機ポリマー層を有することを特徴とする赤外線感光性平版印刷版原版。 - 支持体の片面に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含み、赤外線照射により画像を形成し得る重層構造の記録層を有し、該重層構造の記録層のうち、最も支持体側に位置する層及び最も支持体から遠くに位置する層の少なくとも一方は、赤外線吸収剤を含む層であり、
前記支持体の記録層を有する面とは反対側の面に、炭素数9〜20の長鎖アルキル基含有ポリマー、及び、該長鎖アルキル基含有ポリマーとは異なるポリマーを含む有機ポリマー層を有することを特徴とする赤外線感光性平版印刷版原版。
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