JP2005091703A - 平版印刷版原版 - Google Patents

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Abstract

【課題】 上記従来の技術の欠点を考慮してなされた本発明の目的は、デジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、且つ、耐刷性および耐薬品性に優れたポジ型平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】 支持体上に、アミック酸構造を含む繰り返し単位およびウレア結合を含む繰り返し単位を有する水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂と、赤外線吸収剤と、を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する記録層を設けてなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、平版印刷版原版に関し、詳細にはコンピュータ等のディジタル信号から直接製版できるいわゆるダイレクト製版用のポジ型平版印刷版原版に関する。
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・半導体レーザは、高出力かつ小型の物が容易に入手できる様になっている。平版印刷の分野においては、コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版は、アルカリ可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生するIR染料等とを必須成分とする。このIR染料等が、未露光部(画像部)では、バインダー樹脂との相互作用によりバインダー樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させる現像抑制剤として働き、露光部(非画像部)では、発生した熱によりIR染料等とバインダー樹脂との相互作用が弱まり、アルカリ現像液に溶解して平版印刷版を形成する。
このような赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版の画像形成能は、記録層表面の赤外線レーザ露光による発熱に依存しているため、支持体近傍では、支持体への熱の拡散により画像形成、即ち、記録層の可溶化に用いられる熱量が少なくなり、低感度となる。したがって、非画像部における記録層の現像抑制能消失効果が充分に得られず、画像部と非画像部との差が小さくなってハイライト再現性が不充分であるという問題があった。
また、上記ハイライト再現性の問題を解決するために、非画像部をより容易に現像し得る、即ち、アルカリ水溶液に対する溶解性がより良好な特性を有するノボラック樹脂などの材料からなる記録層が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。しかし、このような記録層の画像部領域は、化学的に弱くなる傾向があり、例えば、現像液や印刷中に使用されるインキ洗浄溶剤、プレートクリーナー等によりダメージを受け易く、また、支持体と記録層との密着性にもなお、改良の余地があった。したがって、未露光部領域においては皮膜の耐薬品性や耐刷性に優れ、且つ、露光により溶解抑制作用が解除された後は、現像性に優れるという特性を有する樹脂材料が熱望されていた。
以上の問題は、アルカリ可溶性樹脂やその他の成分を選択してなる単層の記録層では解決するのが困難であり、このため、ポリビニルフェノール樹脂を含むアルカリ溶解性に優れた下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び赤外線吸収剤を含み露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が大きく増大する上層と、からなる記録層を設けた平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この平版印刷版原版によれば、感度を向上させることができるものの、耐薬品性については不十分であった。また、支持体と記録層との密着性も不十分であり、耐刷性に劣るといった問題もあった。
また、同様の目的で種々の改良技術が提案され、例えば、支持体上に、特定モノマーを有する共重合体を含有する下層と、感光性の上層とを積層してなる画像形成材料(例えば、特許文献4参照。)や、親水性支持体上に、アルカリ可溶性樹脂を含有する下層と、赤外線感応性で耐アルカリ現像性の上層とを積層してなる平版印刷版原版を用いた印刷版作製方法(例えば、特許文献5参照。)などが提案されているが、前者は感度や耐薬品性には優れるものの、下層に用いられる樹脂の膜強度が不充分で耐刷性になお改良の余地があるという問題があり、後者については用いられるアルカリ可溶性樹脂が耐薬品性に劣るため、プレートクリーナー中に含まれる溶剤成分により記録層が溶出したり、下層の基板界面まで該溶剤成分が浸透することで記録層と基板との密着性が低下し、記録層が剥離しやすくなるなどの問題を有しており、下層の膜強度に依存する耐刷性と、耐薬品性との両立は困難であった。
特開2001−133965公報 特開平11−44956号公報 特開平10−250255号公報 特開平11−218914号公報 特開平11−194483号公報
上記従来の技術の欠点を考慮してなされた本発明の目的は、デジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、且つ、耐刷性および耐薬品性に優れたポジ型平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、平版印刷版原版の記録層成分として、アミック酸構造を含む繰り返し単位およびウレア結合を含む繰り返し単位を有する水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜「特定アミック酸−ウレア樹脂」と称する)を選択することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一の態様に係る平版印刷版原版は、支持体上に、特定アミック酸−ウレア樹脂と、赤外線吸収剤と、を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する記録層を設けてなることを特徴とする。
また、本発明の第二の態様に係る平版印刷版原版は、支持体上に、特定アミック酸−ウレア樹脂を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び現像抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層と、からなる記録層を設け、該記録層の下層および上層の少なくとも一方に赤外線吸収剤を添加することを特徴とする。なお、上層に含まれる水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂を用いることが好ましい。
さらに、上記特定アミック酸−ウレア樹脂としては、現像性及び印刷時のインキ着肉性の観点からは、その酸価(単位質量当たりの酸基のモル数)が2.0〜5.0meq/gであることが好ましく、2.5〜4.5meq/gであることがより好ましい。
本発明の作用は明確ではないが、本発明の平版印刷版原版においては、アミック酸構造を含む繰り返し単位およびウレア結合を含む繰り返し単位を有する水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(特定アミック酸−ウレア樹脂)を記録層に用いているため、アミック酸構造内のアミド基やウレア基に由来する高い凝集力と親油性が効果的に発現され、単独で製膜した場合にも膜強度に優れ、耐刷性の向上に寄与するとともに、例えば、公知のアルカリ可溶性樹脂に比較しても有機溶剤などに対する耐溶解性に優れるため、プレートクリーナーなどによるダメージを受けにくいものと考えられる。また、露光により現像抑制効果が解除された領域(非画像部領域)では、アミック酸が有するカルボキシ基により樹脂材料自体の優れた溶解性が発現し、残膜の無い高画質の画像が形成され、これらの機能が相まって、高いハイライト再現性が実現されるものと考えられる。
また、特定アミック酸−ウレア樹脂を重層構造の記録層の下層に適用した場合には、画像部、即ち、記録層の上層が耐アルカリ現像層として存在する領域では、前記した高い膜強度と耐薬品性が有効に機能し、耐刷性と耐薬品性に優れる。また、非画像部においては上層が除去されると、本来のアルカリ可溶性により、アルカリ現像液に速やかに溶解、分散するものと考えられる。このため、上層の優れた画像形成性と、下層成分における皮膜特性や高いアルカリ可溶性に起因して、重層構造の記録層は、従来の高いハイライト再現性を維持しながらも、単層型に比べてより高感度、かつ耐アルカリ性に優れたものとなり、延いては、本発明の効果である耐刷性及び耐薬品性がより顕著に発揮されるものと推測される。
本発明によれば、デジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、且つ、耐刷性および耐薬品性に優れたポジ型平版印刷版原版を提供することができる。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、アミック酸構造を含む繰り返し単位およびウレア結合を含む繰り返し単位を有する水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(特定アミック酸−ウレア樹脂)と、赤外線吸収剤と、を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する記録層を設けてなることを特徴とする。なお、記録層のインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、該記録層には、さらに現像抑制剤を添加することが好ましい。特に、赤外線吸収剤として溶解抑制能を有しないものを使用する場合には、現像抑制剤は画像部の耐アルカリ性を維持するための重要成分となりうる。
まず、本発明の特徴的成分である、特定アミック酸−ウレア樹脂について詳細に説明する。
〔特定アミック酸−ウレア樹脂〕
本発明に用いられる特定アミック酸−ウレア樹脂は、アミック酸構造を含む繰り返し単位およびウレア結合を含む繰り返し単位を有し、アルカリ水溶液に可溶な樹脂であれば制限することなく用いることができる。なお、本発明に用いられるアルカリ水溶液に可溶な樹脂としては、温度30℃、pH13のアルカリ水溶液1Lに、1g以上溶解する樹脂であることが好ましい。
本発明においてアミック酸構造とは、下記一般式(I)で表される構造を指すものであり、このような構造を含む繰り返し単位およびウレア結合を含む繰り返し単位を有する特定アミック酸−ウレア樹脂は、Journal of Applied Polymer Science 70巻12号2401頁(1998年)、Polymer Preprints 31巻1号622頁(1990年)、特公平1−21165号公報、特公昭49−26295号公報、特開昭45−6554号公報等に記載の公知の合成方法により得ることができる。具体的には、不活性溶媒中でピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等に代表されるテトラカルボン酸二無水物と、過剰量のオキシジアニリンやフェニレンジアミン等のジアミンと、の反応により下記一般式(I’)で示される末端にアミノ基を有するポリアミック酸を合成し、その後に該ポリアミック酸とジフェニルメタンジイソシアナートやトリレンジイソシアナート等のジイソシアナート類とを反応させることにより特定アミック酸−ウレア樹脂を得ることができる。
このとき、本発明に係る特定アミック酸−ウレア樹脂は、アミック酸を含む繰り返し単位とウレア結合を含む繰り返し単位とからなる共重合体であってもよく、また、ポリアミック酸がウレア結合を介して高分子化されたものであってもよい。
Figure 2005091703
上記一般式(I)又は(I’)中、R1は少なくとも1つ以上の芳香族環を有する連結基を表し、2つの−COOHはそれぞれ芳香族環に直接結合する。また、R1が2つ以上の芳香族環を有する場合には、これらの芳香族環は、単結合または連結基を介して結合されているか、あるいは、縮合多環構造を形成しているものであってもよい。さらに、−COOHは、アミド基と直接結合している芳香族環に結合しており、その場合、アミド基に対してオルト位に結合していることが一般的である。
このようなR1と−COOHで表される連結基の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005091703
また、R2およびR3は各々独立にアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基を表す。これらのアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基には特に制限はないが、アルキレン基としては、炭素数2〜10程度のものが好ましく、また、アリーレン基としては、2つ以上の環構造が単結合または連結基を介して結合されたものであってもよい。アラルキレン基としては、上記アルキレン基およびアリーレン基を適宜組み合わせたものが挙げられる。
このようなR2およびR3で表される連結基の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005091703
nは0以上の整数を表し、好ましくはnが3〜1000程度であり、より好ましくはnが5〜500程度の高分子化合物である。通常は上記一般式(I’)で表されるポリアミック酸は様々なnを有する化合物の混合物であるが、nが特定の値であるものを単離してから用いてもよい。
好適に合成に用いられる芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸、4,4’−スルホニルテトラカルボン酸、及び3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸の二無水物等を挙げることができる。
また、ジアミンとしては、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノビフェニル、1,5−ジアミノナフタリン、1,4−ジアミノアントラキノン、2,6−ジアミノアントラキノン、o−アニシジン、2,6−ジアミノピリジン、及び4,6−ジアミノ−2−メルカプトピリミジン、1,6−ジアミノヘキサン等を挙げることができる。
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの重合比としては、好ましくは50:50〜20:80であり、より好ましくは49:51〜25:75である。
なお、これらの特に好ましい組み合わせとしては、芳香族テトラカルボン酸二無水物として、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸またはピロメリット酸を、ジアミンとして、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いることが耐薬品性の観点から好ましく用いられる。
また、上記一般式で表されるポリアミック酸は、上記テトラカルボン酸二無水物およびジアミンのうち、それぞれ2種以上を用いて形成されたものであってもよい。また、塗布溶剤溶解性を良くするために、脂肪族ジアミンと併用してもよい。
前記一般式(I’)で表されるアミノ基を末端に有するポリアミック酸は、続いて、ジイソシアナート類と反応することにより本発明の特定アミック酸−ウレア樹脂を得ることができる。ここで、合成されたポリアミック酸は単離してから用いても、反応溶液のまま用いてもどちらでも良い。ジイソシアナート類はイソシアナート基を2つ有するものであれば限定することなく用いることができるが、入手性の観点から以下のものが好ましいものとして挙げられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアナート、p−キシリレンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアナート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、リジンジイソシアナート、ダイマー酸ジイソシアナート等のような脂肪族ジイソシアナート化合物;イソホロンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアナート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアナート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアナート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアナートとの反応物であるジイソシアナート化合物;等が挙げられ、中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、p−キシリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナートがより好ましく、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートが最も好ましい。
前記一般式(I’)で表されるポリアミック酸とジイソシアナート類とを反応させる際のジイソシアナート類の添加量(モル比)としては、好ましくは0.9:1.0〜1.0:0.9であり、より好ましくは0.95:1.0〜1.0:0.95である。
これら特定アミック酸−ウレア樹脂を合成する際の合成条件、例えば、ポリアミック酸を合成する際の合成条件としては、反応温度は−10〜100℃が好ましく、0〜50℃がより好ましい。また、合成時間は30分〜24時間が好ましく、1時間〜12時間がより好ましい。一方、ポリアミック酸とジイソソアネートを反応させる条件としては、反応温度は−10〜100℃が好ましく、0〜70℃がより好ましい。また、合成時間は30分〜24時間が好ましく、1時間〜8時間がより好ましい。なお、これらの2つの反応は、ポリアミック酸を合成後に、ジイソシアネートを添加するような1ポット合成が可能である。
以下に、特定アミック酸−ウレア樹脂のうち、特に好ましいものの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(P−1):ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの反応物(モル比3:4)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(酸無水物の3分の1モル量)の反応物(Mw 58,000)
(P−2):ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルメタンの反応物(モル比2:3)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(酸無水物の2分の1モル量)の反応物(Mw 70,000)
(P−3):ピロメリット酸二無水物とm−フェニレンジアミンの反応物(モル比2:3)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(酸無水物の2分の1モル量)の反応物(Mw 90,000)
(P−4):ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルスルホンの反応物(モル比1:2)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(酸無水物の等モル量)の反応物(Mw 40,000)
(P−5):3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの反応物(モル比3:4)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(酸無水物の3分の1モル量)の反応物(Mw 80,000)
(P−6):3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの反応物(モル比3:4)とトリレンジイソシアナート(酸無水物の3分の1モル量)の反応物(Mw 50,000)
(P−7):ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの反応物(モル比2:3)とトリレンジイソシアナート(酸無水物の2分の1モル量)の反応物(Mw 75,000)
(P−8):ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルメタンの反応物(モル比3:4)とトリレンジイソシアナート(酸無水物の3分の1モル量)の反応物(Mw 62,000)
(P−9):4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの反応物(モル比4:5)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(酸無水物の4分の1モル量)の反応物(Mw 46,000)
(P−10):4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルメタンの反応物(モル比3:4)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(酸無水物の3分の1モル量)の反応物(Mw 72,000)
(P−11):ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび1,6−ジアミノヘキサンの反応物(モル比3:3:1)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(酸無水物の3分の1モル量)の反応物(Mw 28,000)
本発明に係る特定アミック酸−ウレア樹脂は、重量平均分子量(Mw)が2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好ましくは重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。また、これらの特定アミック酸−ウレア樹脂は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
[第二の態様に係る平版印刷版原版]
ここで、本発明の第二の態様であり、また、本発明における好ましい態様でもある重層構造の記録層を有する平版印刷版原版について説明する。
本発明の第二の態様に係る平版印刷版原版は、支持体上に、特定アミック酸−ウレア樹脂を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び現像抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層と、からなる記録層を設け、該記録層の下層および上層の少なくとも一方に赤外線吸収剤を添加することを特徴とする。この記録層は、下層成分に特定アミック酸−ウレア樹脂を添加することを要する。
〔特定アミック酸−ウレア樹脂を含有する下層〕
本発明に係る下層は、前記特定アミック酸−ウレア樹脂を含有することを特徴とする。ここで用いられる特定アミック酸−ウレア樹脂としては、前記したように水に不溶であり、且つ、アルカリ水溶液に可溶であれば特に制限はない。
下層成分に対する特定アミック酸−ウレア樹脂の含有量としては、下層成分の全固形分中、約50〜95質量%であることが好ましく、約60〜90質量%であることがさらに好ましい。
さらに、本発明に係る下層成分中には、前記特定アミック酸−ウレア樹脂に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂を併用することができる。下層自体は、特に非画像部領域において、アルカリ可溶性を発現することを要するため、この特性を損なわない樹脂を選択する必要がある。この観点から、併用可能な樹脂としては、前記特定アミック酸−ウレア樹脂以外の水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。併用可能な他の水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂については、以下に上層の成分として詳述するアルカリ可溶性樹脂が挙げられるが、なかでも、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリウレタン樹脂等を好ましく挙げることができる。
また、混合する量としては、特定アミック酸−ウレア樹脂に対して50質量%以下であることが好ましい。
本発明に係る下層成分中には、さらに必要に応じて、赤外線吸収剤、及びその他の添加剤を用いることができる。その他の添加剤としては、例えば、現像促進剤、界面活性剤、焼出し剤/着色剤、可塑剤、及びWAX剤、等が挙げられる。赤外線吸収剤、及びその他の添加剤の種類・含有量等の詳細については、後述する上層の成分として記載されているものと同様である。
〔水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び現像抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層〕
本発明に係る上層は、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、「アルカリ可溶性樹脂」と称する)と、現像抑制剤と、を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大することを特徴とする。以下、本発明に係る上層の各成分について説明する。
(水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂)
本発明における上層に使用可能なアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものであれば特に制限はないが、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、またはこれらの混合物であることが好ましい。
このような酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、特に、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基、(4)カルボン酸基のいずれかの官能基を分子内に有する高分子化合物が挙げられる。例えば、以下のものが例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)フェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が挙げられる。フェノール性水酸基を有する高分子化合物としてはこの他に、側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物を用いることが好ましい。側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合とをそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。具体的にはN−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。かかるフェノール性水酸基を有する樹脂は、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。更に、米国特許4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの共重合体を併用してもよい。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、スルホンアミド基を有する重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO2−と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂は、活性イミド基を分子内に有するものが好ましく、この高分子化合物としては、1分子中に活性イミド基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
本発明に係るアルカリ可溶性樹脂としては、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、及び活性イミド基を有する重合性モノマーのうち2種類以上を重合させた高分子化合物であることが好ましい。上記重合性モノマーの共重合比、および重合性モノマーの組み合わせに制限はないが、特にフェノール性水酸基を有する重合性モノマーに、スルホンアミド基を有する重合性モノマー及び/又は活性イミド基を有する重合性モノマーを共重合させる場合には、これら成分の配合重合比は50:50から5:95の範囲にあることが好ましく、40:60から10:90の範囲にあることが特に好ましい。
更に、本発明に係るアルカリ可溶性樹脂としては、上記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーから選択される1種或いは2種類以上の重合性モノマーの他に、他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物であることが好ましい。この場合の共重合比としては、アルカリ可溶性を付与するモノマーを10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むものがより好ましい。アルカリ可溶性を付与するモノマーの共重合成分が10モル%より少ないと、アルカリ可溶性が不十分となりやすく、現像性が低下する傾向にある。
ここで使用可能な他の重合性モノマーとしては、下記(m1)〜(m12)に挙げる化合物を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
本発明に係るアルカリ可溶性樹脂が、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体の場合、重量平均分子量が2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
特に、本発明に係るアルカリ可溶性樹脂が、フェノールホルムアルデヒド樹脂、または、クレゾールアルデヒド樹脂等である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、未露光部において強い水素結合性を生起し、露光部において一部の水素結合が容易に解除されるといった点から、フェノール性水酸基を有する樹脂が望ましく、フェノール性水酸基を有する樹脂の中でも特に好ましくはノボラック樹脂である。
また、本発明においては、アルカリ性水溶液に対し溶解速度の異なる2種類以上のアルカリ可溶性樹脂を混合して用いてもよく、その場合の混合比は自由である。なお、該フェノール性水酸基を有する樹脂と混合するのに好適なアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を有する樹脂と相溶性が低いことから、アクリル樹脂であることが好ましく、更に好ましくはスルホアミド基を有するアクリル樹脂である。
本発明に係る上層の全固形分中に対するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、併せて50〜98質量%の添加量で用いられる。アルカリ可溶性樹脂の添加量が50質量%未満であると記録層の耐久性が悪化し、また、98質量%を超えると感度、耐久性の両面で好ましくない。
(現像抑制剤)
本発明に係る上層には、そのインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、現像抑制剤を含有させる必要がある。
本発明に用いられる現像抑制剤としては、前記アルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成し、未露光部においては該アルカリ可溶性樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させ、且つ、露光部においては該相互作用が弱まり、現像液に対して可溶となり得るものであれば特に限定はされないが、特に4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール系化合物等が好ましく用いられる。また後述する赤外線吸収剤、画像着色剤のなかにも現像抑制剤として機能する化合物があり、それらもまた好ましく挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、特に限定されないが、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアリールアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、アルキルトリアリールアンモニウム塩、テトラアリールアンモニウム塩、環状アンモニウム塩、二環状アンモニウム塩が挙げられる。
具体的には、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトララウリルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、テトラナフチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラステアリルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリエチルアンモニウムブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ジベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロミド、トリステアリルメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ヒドロキシフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、N−メチルピリジニウムブロミド等が挙げられる。特に特願2001−226297号、特願2001−370059、特願2001−398047明細書記載の4級アンモニウム塩が好ましい。
4級アンモニウム塩の添加量は上層全固形分に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。0.1質量%未満では現像抑制効果が少なくなり好ましくない。また、50質量%を超えて添加した場合は、前記アルカリ可溶性樹脂の製膜性に悪影響を与えることがある。
また、ポリエチレングリコール化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(1)で表される構造のものが挙げられる。
1−{−O−(R3−O−)m−R2n ・・・一般式(1)
上記一般式(1)中、R1は、多価アルコール残基又は多価フェノール残基を表し、R2は、水素原子、置換基を有していても良い炭素原子数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基を表す。R3は置換基を有しても良いアルキレン残基を表し、mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数を表す。
上記一般式(1)で表されるポリエチレングリコール化合物の例としては、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアリールエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールグリセリンエステル、ポリプロピレングリコールグリセリンエステル類、ポリエチレンソルビトールエステル類、ポリプロピレングリコールソルビトールエステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン類、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン類、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン類、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン類が挙げられる。
さらにこれらの具体例としては、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール10000、ポリエチレングリコール20000、ポリエチレングリコール5000、ポリエチレングリコール100000、ポリエチレングリコール200000、ポリエチレングリコール500000、ポリプロピレングリコール1500、ポリプロピレングリコール3000、ポリプロピレングリコール4000、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールエチルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジフェニルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールジラウリルエーテル、ポリエチレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールジステアリルエーテル、ポリエチレングリコールベヘニルエーテル、ポリエチレングリコールジベヘニルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールエチルエーテル、ポリプロピレングリコールフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジエチルエーテル、ポリプロピレングリコールジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールジラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールアセチルエステル、ポリエチレングリコールジアセチルエステル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル、ポリエチレングリコールラウリルエステル、ポリエチレングリコールジラウリルエステル、ポリエチレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールセチル酸エステル、ポリエチレングリコールステアロイルエステル、ポリエチレングリコールジステアロイルエステル、ポリエチレングリコールベヘン酸エステル、ポリエチレングリコールジベヘン酸エステル、ポリプロピレングリコールアセチルエステル、ポリプロピレングリコールジアセチルエステル、ポリプロピレングリコール安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールグリセリンエーテル、ポリプロピレングリコールグリセリンエーテル、ポリエチレングリコールソルビトールエーテル、ポリプロピレングリコールソルビトールエーテル、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリエチレングリコール化ペンタメチレンヘキサミンが挙げられる。
ポリエチレングリコール系化合物の添加量は上層全固形分に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。0.1質量%未満では現像抑制効果が少なく好ましくない。また50質量%を超える量を添加した場合、前記アルカリ可溶性樹脂と相互作用できないポリエチレングリコール化合物が現像液の浸透を促進し、画像形成性へ悪影響を与えることがある。
また、このようなインヒビション(溶解抑制能)を高めるための施策を行った場合、感度の低下が生じるが、この場合、上層中にラクトン化合物を添加することが感度低下の抑制に有効である。このラクトン化合物は、露光部、即ち、インヒビションが解除された領域の記録層中に現像液が浸透する際、現像液とラクトン化合物が反応し、新たにカルボン酸化合物が発生して、露光部領域の記録層の溶解を促進させることにより感度が向上するものと考えられる。なお、未露光部では、このラクトン化合物はアルカリ可溶性樹脂中の極性基、例えば、ノボラック樹脂中の水酸基と相互作用を形成しており、また、環を有する嵩高な構造とあいまって膜中に安定に存在するため、未露光部表面においてはアルカリ現像液が接触しても、現像処理中におけるラクトン環の急激な開環反応が抑制されているため、当該領域の耐現像性が低下することはない。
この相互作用は露光或いは加熱により、前記溶解抑制剤による抑制作用よりもさらに容易に解除されるため、露光部におけるラクトン化合物の開環反応は速やかに行われる。
このようなラクトン化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005091703
一般式(L−I)及び一般式(L−II)において、X1、X2、X3及びX4は、環を構成する2価の非金属原子又は非金属原子団であって、それぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらはそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。さらに、一般式(L−I)におけるX1、X2及びX3の少なくとも一つ、及び、一般式(L−II)におけるX1、X2、X3及びX4の少なくとも一つは、電子吸引性置換基又は電子吸引性基で置換された置換基であることが好ましい。
好ましい非金属原子又は非金属原子団は、メチレン基、スルフィニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、硫黄原子、酸素原子及びセレニウム原子から選ばれる原子又は原子団であって、より好ましくは、メチレン基、カルボニル基及びスルホニル基から選ばれる原子団である。
また、本明細書において電子吸引性置換基とは、ハメットの置換基定数σpが正の価を取る基を指す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,p1207−1216等を参考にすることができる。ハメットの置換基定数σpが正の価を取る電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子[フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18)]、トリハロアルキル基[トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54)]、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基[例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72)]、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基[例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43)]、アルキニル基[例えば、C≡CH(σp値:0.23)]、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基[例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.44)]、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、オキソ基、ホスホリル基等が挙げられる。
また、好ましい電子吸引性基としては、アミド基、アゾ基、ニトロ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、ニトリル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数1〜9のアルキルスルホニル基、炭素数6〜9のアリールスルホニル基、炭素数1〜9のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜9のアリールスルフィニル基、炭素数6〜9のアリールカルボニル基、チオカルボニル基、炭素数1〜9の含フッ素アルキル基、炭素数6〜9の含フッ素アリール基、炭素数3〜9の含フッ素アリル基、オキソ基及びハロゲン元素から選ばれる基が挙げられ、より好ましくは、ニトロ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、ニトリル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数6〜9のアリールスルホニル基、炭素数6〜9のアリールカルボニル基、オキソ基及びハロゲン元素から選ばれる基である。
以下に、一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2005091703
Figure 2005091703
一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物の添加量は、上層全固形分に対して0.1〜50質量%が好ましく、さらには、1〜30質量%がより好ましい。0.1質量%未満では効果が少なく、50質量%を超えて添加した場合、画像形成性が劣る。
本発明に用いられるラクトン化合物は、いずれか1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また2種類以上の一般式(L−I)の化合物、又は2種類以上の一般式(L−II)の化合物を用いる場合、合計添加量が上記範囲内であれば任意の比率で併用することができる。
そのほか、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の、熱分解性であり、且つ、分解しない状態では、アルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することが画像部の現像液へのインヒビションの向上を図る点で好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げられ、特に好適なものとしては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Balet al,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、
J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivelloet al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull.,14,279(1985)、
J.V.Crivello et al,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同4,491,628号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号に記載のスルホニウム塩、
J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等があげられる。
このようなオニウム塩のなかでも、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5−158230号公報記載のものがあげられる。
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
好適なキノンジアジド類としてはo−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により現像抑制剤としてのインヒビションを失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により上層の溶解性を助ける。
そのようなo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1、2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン−(1,2−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものをあげることができる。
o−キノンジアジド化合物の添加量は好ましくは上層全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
また特開平11−288089号記載の少なくとも一部がエステル化されたアルカリ可溶性樹脂を含んでも良い。
また、記録層表面のインヒビションの強化とともに表面のキズに対する抵抗力を強化する目的で、特開2000−187318号に記載されているような、分子中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有する(メタ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体を併用することが好ましい。
添加量としては、上層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
(赤外線吸収剤)
本発明の平版印刷版原版には、記録層の下層および上層の少なくとも一方に、赤外線吸収剤を添加する必要がある。そのような赤外線吸収剤としては、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。
本発明に係る赤外線吸収剤としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本発明において、これらの染料のうち赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
そのような赤外光、もしくは近赤外光を吸収する染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、染料として米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が、特に好ましく用いられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの赤外線吸収剤は、感度の観点から記録層の上層或いはその近傍に添加することが好ましい。特にシアニン色素の如き溶解抑制能を有するものを、前記アルカリ可溶性樹脂とともに添加すると、高感度化と同時に、未露光部に耐アルカリ溶解性を持たせることができる。また、これらの赤外線吸収剤は、下層に添加しても上下層双方に添加してもよい。下層に添加することでさらに高感度化することが可能である。
上層と下層の双方に赤外線吸収剤を添加する場合には、互いに同じ化合物を用いてもよく、また異なる化合物を用いてもよい。
また、これらの赤外線吸収剤は記録層と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。別の層とする場合、記録層に隣接する層へ添加するのが望ましい。
さらに、赤外線吸収剤が溶解抑制能を有する化合物である場合には、前記アルカリ可溶性樹脂と同一の層に含まれることにより、該赤外線吸収剤が光熱変換機能のみならず、前記現像抑制剤としても機能するため好ましい。
赤外線吸収剤の添加量としては、上層に添加する場合、上層全固形分に対し0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは1.0〜10質量%の割合で添加することができる。添加量が0.01質量%未満であると感度が低くなり、また50質量%を超えると上部記録層の均一性が失われ、上部記録層の耐久性が悪くなる。
また、下層に添加する場合、下層全固形分に対し0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%、特に好ましくは0〜5質量%の割合で添加することができる。下層に赤外線吸収剤を添加する場合、溶解抑制能を有する赤外線吸収剤を用いると下層の溶解性が低下するが、一方、赤外線吸収剤が赤外線レーザ露光時に発熱し、熱による下層の溶解性向上が期待できるため、これらのバランスを考慮して添加する化合物及び添加量を選択すべきである。なお、支持体近傍の0.2〜0.3μmの領域では露光時に発生した熱が支持体に拡散するなどして、熱による溶解性向上効果が得難く、赤外吸収染料添加による下層の溶解性低下が感度を低下させる要因となる場合がある。従って、先に示した添加量の範囲の中においても、下層の現像液(25℃〜30℃)に対する溶解速度が30nm/secを下回る如き添加量は好ましくない。
(その他の添加剤)
前記記録層の下層および上層を形成するにあたっては、上記の必須成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。以下に挙げる添加剤は下層のみに添加してもよいし、上層のみに添加してもよいし、両方の層に添加してもよい。
<現像促進剤>
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては無水酢酸などが挙げられる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、2,2’−ビスヒドロキシスルホン、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の下層あるいは上層の全固形分に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
<界面活性剤>
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特願2001−247351に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両性活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224、DBE−621、DBE−712、DBP−732、DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることが出来る。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の下層あるいは上層の全固形分に占める割合は、0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5.0質量%、さらに好ましくは0.5〜2.0質量%である。
<焼出し剤/着色剤>
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料をあげることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレットラクトン、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。
これらの染料は、下層あるいは上層の全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。
<可塑剤>
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加しても良い。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
これらの可塑剤は、下層あるいは上層の全固形分に対し、0.5〜10質量%、好ましくは1.0〜5質量%の割合で添加することができる。
<WAX剤>
本発明に係る上層には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、或いは本願出願人が先に提案した特願2001−261627号、特願2002−032904号、特願2002−165584号の各明細書に記載されているいるような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることが出来る。
添加量として好ましいのは、上層中に占める割合が0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
〔記録層の形成〕
本発明の平版印刷版原版における下層及び上層は、通常上記各成分を溶剤に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより形成することができる。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用される。
なお、該下層および上層は、原則的に2つの層を分離して形成することが好ましい。2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、下層に含まれる成分と、上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法、または、上層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去させる方法等が挙げられる。
以下、これらの方法について詳述するが、2つの層を分離して塗布する方法はこれらに限定されるものではない。
下層に含まれる成分と上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法としては、上層用塗布液を塗布する際に、下層に含まれる成分のいずれもが不溶な溶剤系を用いるものである。これにより、二層塗布を行っても、各層を明確に分離して塗膜にすることが可能になる。
例えば、下層成分として、上層成分であるアルカリ可溶性樹脂を溶解するメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等の溶剤に不溶な成分を選択し、該下層成分を溶解する溶剤系を用いて下層を塗布・乾燥し、その後、アルカリ可溶性樹脂を主体とする上層成分をメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等で溶解し、塗布・乾燥することにより二層化が可能になる。
次に、2層目(上層)を塗布後に、極めて速く溶剤を乾燥させる方法としては、ウェブの走行方向に対してほぼ直角に設置したスリットノズルより高圧エアーを吹きつける方法や、蒸気等の加熱媒体を内部に供給されたロール(加熱ロール)よりウェブの下面から伝導熱として熱エネルギーを与える方法、あるいはそれらの方法の組み合わせを挙げることができる。
また、新たな機能を付与するために、本発明の効果を充分に発揮する範囲において、積極的に上層および下層の部分相溶を行う場合もある。そのような方法としては、上記溶剤溶解性の差を利用する方法、2層目を塗布後に極めて速く溶剤を乾燥させる方法何れにおいても、その程度を調整する事によって可能となる。
支持体上に塗布される下層/上層用塗布液中の、溶剤を除いた前記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
特に、上層塗布時に下層へのダメージを防ぐため、上層塗布方法は非接触式である事が望ましい。また接触型ではあるが溶剤系塗布に一般的に用いられる方法としてバーコーター塗布を用いる事も可能であるが、下層へのダメージを防止するために順転駆動で塗布する事が望ましい。
本発明の平版印刷版原版の支持体上に塗布される下層成分の乾燥後の塗布量は、0.5〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.6〜2.5g/m2の範囲である。0.5g/m2未満であると耐刷性が低下する原因となり、4.0g/m2を超えると画像再現性が劣化したり感度が低下したりするため好ましくない。
また、上層成分の乾燥後の塗布量は、0.05〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.08〜0.7g/m2の範囲である。0.05g/m2未満であると現像ラチチュード、耐傷性が低下する原因となり、1.0g/m2を超えると感度が低下するため好ましくない。
下層および上層を合わせた乾燥後の塗布量としては、0.6〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.7〜2.5g/m2の範囲である。0.6g/m2未満であると耐刷性が低下する原因となり、4.0g/m2を超えると画像再現性が劣化したり感度が低下したりするため好ましくない。
また、第二の態様に係る平版印刷版原版に用いられる支持体については、後述する第一の態様に係る平版印刷版原版と同様のものを用いることができる。
[第一の態様に係る平版印刷版原版]
次に、本発明の第一の態様に係る平版印刷版原版について説明する。該平版印刷版原版は、支持体上に、前記特定アミック酸−ウレア樹脂と、赤外線吸収剤と、を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する記録層を設けてなることを特徴とする。
第一の態様に係る平版印刷版原版は、その記録層が単層構造であっても重層構造であってもよい。記録層が重層構造をとる場合、前記特定アミック酸−ウレア樹脂及び赤外線吸収剤は、それぞれ支持体上に存在する重層の記録層のいずれか1層に含有されていればよいが、効果の観点からは、特定アミック酸−ウレア樹脂と赤外線吸収剤は、同一の層あるいは隣接する層に含まれることが好ましい。
一方、記録層が単層構造である場合は、前記特定アミック酸−ウレア樹脂及び赤外線吸収剤は同一層に含まれることになる。以下、本発明の第一の態様に係る単層の記録層について説明する。
単層の記録層に用いられる特定アミック酸−ウレア樹脂としては、前記したのと同様の特定アミック酸−ウレア樹脂が挙げられる。
単層の記録層に含まれる特定アミック酸−ウレア樹脂の含有量は、該記録層全固形分中、5〜90質量%であることが好ましく、10〜85質量%であることがさらに好ましく、50〜80質量%であることが最も好ましい。
また、単層の記録層には、特定アミック酸−ウレア樹脂以外の他のアルカリ可溶性樹脂を併用してもよく、併用し得る他のアルカリ可溶性樹脂としては、前記重層型記録層の上層で用いたアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。単層の記録層に含まれる全アルカリ可溶性樹脂中の特定アミック酸−ウレア樹脂の含有比は、50質量%を超えることが好ましい。
単層の記録層に用いられる赤外線吸収剤としては、前記したものと同様の赤外線吸収剤が挙げられる。
単層の記録層に含まれる赤外線吸収剤の含有量としては、該記録層全固形分中、約1〜15質量%であることが好ましく、約2〜10質量%であることがさらに好ましい。
また、赤外線吸収剤として溶解抑制能を有しないものを使用した場合には、画像部の耐アルカリ性を維持するために、現像抑制剤を添加することが必要となる。その場合の現像抑制剤の添加量としては、該記録層全固形分中、約2〜20質量%であることが好ましく、約3〜15質量%であることがさらに好ましい。
さらに、本発明の第一の態様に係る単層の記録層は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記必須成分に加え、汎用の添加剤を併用することができる。そのような添加剤の種類および添加量としては、前記第二の態様に係る重層型記録層の上層成分に用いた添加剤と同様である。
単層の記録層の乾燥後の塗布量は、0.7〜3.5g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.8〜2.0g/m2の範囲である。塗布量が少ないと見かけの感度は向上するが膜性が低下して耐刷性が低下する傾向にある。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
中でも、本発明においては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。
本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
このようなアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行なってもよい。以下、このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
以上のように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。
本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
(下塗層)
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と記録層との間に下塗層を設けることができる。下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
また、下塗り層にはオニウム基を有する化合物を含有することも好ましい。オニウム基を有する化合物は、特開2000−10292公報、同2000−108538公報等に詳述されている。その他、ポリ(p−ビニル安息香酸)などで代表される構造単位を分子中に有する高分子化合物群の中から選ばれる化合物を用いることもできる。これらの高分子化合物として、より具体的には、p−ビニル安息香酸とビニルベンジルトリエチルアンモニウム塩との共重合体、p−ビニル安息香酸とビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリドとの共重合体などが挙げられる。
この有機下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2よりも少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
上記のようにして作製された平版印刷版原版は、画像様に露光され、その後、現像処理を施される。
(バックコート層)
本発明の平版印刷版原版の支持体裏面には、必要に応じてバックコート層が設けられる。かかるバックコート層としては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−35174号公報記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494などのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
〔露光〕
本発明の平版印刷版原版の像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
〔現像処理〕
本発明の平版印刷版原版の現像処理に適用することのできる現像液は、pHが9.0〜14.0の範囲、好ましくは12.0〜13.5の範囲にある現像液である。現像液(以下、補充液も含めて現像液と呼ぶ)には、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記のアルカリ水溶液のうち、本発明による効果が発揮される現像液は、一つは、塩基としてケイ酸アルカリを含有した、又は塩基にケイ素化合物を混ぜてケイ酸アルカリとしたものを含有した、所謂「シリケート現像液」と呼ばれるpH12以上の水溶液であり、もう一つのより好ましい現像液は、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖(緩衝作用を有する有機化合物)と塩基とを含有した所謂「ノンシリケート現像液」である。
前者においては、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に〔SiO2〕/〔M2O〕のモル比で表す)と濃度によって現像性の調節が可能であり、例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような、SiO2/Na2Oのモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO2〕/〔Na2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の含有量が1〜4質量%のケイ酸ナトリウムの水溶液や、特公昭57−7427号公報に記載されているような、〔SiO2〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち〔SiO2〕/〔M2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の濃度が1〜4質量%であり、かつ該現像液がその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有している、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が好適に用いられる。
また、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖と塩基とを含有した所謂「ノンシリケート現像液」も、本発明の平版印刷版原版の現像に適用するのに好ましい。この現像液を用いて、平版印刷版原版の現像処理を行うと、記録層の表面を劣化させることがなく、かつ記録層の着肉性をより良好な状態に維持することができる。
この現像液は、その主成分が、非還元糖から選ばれる少なくとも一つの化合物と、少なくとも一種の塩基からなり、液のpHが9.0〜13.5の範囲であることが好ましい。かかる非還元糖とは、遊離のアルデヒド基やケトン基を持たず、還元性を示さない糖類であり、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体および糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類され、何れも好適に用いられる。トレハロース型少糖類には、サッカロースやトレハロースがあり、配糖体としてアルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体などが挙げられる。また糖アルコールとしてはD,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシットおよびアロズルシットなどが挙げられる。更に二糖類の水素添加で得られるマルチトールおよびオリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)が好適に用いられる。これらの中で特に好ましい非還元糖は糖アルコールとサッカロースであり、特にD−ソルビット、サッカロース、還元水あめが適度なpH領域に緩衝作用があることと、低価格であることで好ましい。
これらの非還元糖は、単独もしくは二種以上を組み合わせて使用でき、それらの現像液中に占める割合は0.1〜30質量%が好ましく、更に好ましくは、1〜20質量%である。
この範囲以下では十分な緩衝作用が得られず、またこの範囲以上の濃度では、高濃縮化し難く、また原価アップの問題が出てくる。尚、還元糖を塩基と組み合わせて使用した場合、経時的に褐色に変色し、pHも徐々に下がり、よって現像性が低下するという問題点がある。
非還元糖に組み合わせる塩基としては従来より知られているアルカリ剤が使用できる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いられる。これらの中で好ましいのは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである、その理由は、非還元糖に対するこれらの量を調整することにより広いpH領域でpH調整が可能となるためである。また、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどもそれ自身に緩衝作用があるので好ましい。
これらのアルカリ剤は現像液のpHを9.0〜13.5の範囲になるように添加され、その添加量は所望のpH、非還元糖の種類と添加量によって決められるが、より好ましいpH範囲は10.0〜13.2である。
現像液には更に、糖類以外の弱酸と強塩基からなるアルカリ性緩衝液が併用できる。かかる緩衝液として用いられる弱酸としては、解離定数(pKa)が10.0〜13.2のものが好ましい。
このような弱酸としては、Pergamon Press社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANIC ACIDS IN AQUEOUS SOLUTIONなどに記載されているものから選ばれ、例えば2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール−1(PKa12.74)、トリフルオロエタノール(同12.37)、トリクロロエタノール(同12.24)などのアルコール類、ピリジン−2−アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒド(同12.05)などのアルデヒド類、サリチル酸(同13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4−ジヒドロキシスルホン酸(同12.2)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.34)、o−クレゾール(同10.33)、レゾルシノール(同11.27)、p−クレゾール(同10.27)、m−クレゾール(同10.09)などのフェノール性水酸基を有する化合物、2−ブタノンオキシム(同12.45)、アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタンジオンジオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグリオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.35)などのオキシム類、アデノシン(同12.56)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シトシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同12.1)、キサンチン(同11.9)などの核酸関連物質、他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸(同12.32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香酸(同12.29)、イソプロピリデンジホスホン酸(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸(同11.54)、1,1−エチリデンジホスホン酸1−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビツル酸(同12.5)などの弱酸が挙げられる。
これらの弱酸の中で好ましいのは、スルホサリチル酸、サリチル酸である。これらの弱酸に組み合わせる塩基としては、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムが好適に用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いられる。上記の各種アルカリ剤は濃度および組み合わせによりpHを好ましい範囲内に調整して使用される。
現像液には、現像性の促進や現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水レイン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩類、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホべタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などの両性界面活性剤が挙げられる。以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた包含される。
更に好ましい界面活性剤は分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤である。かかるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン型およびパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。上記の界面活性剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができ、現像液中に0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲で添加される。
現像液には、種々の現像安定化剤を用いることができる。それらの好ましい例として、特開平6−282079号公報記載の糖アルコールのポリエチレングリコール付加物、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩およびジフェニルヨードニウムクロライドなどのヨードニウム塩が好ましい例として挙げられる。更には、特開昭50−51324号公報記載のアニオン界面活性剤または両性界面活性剤、また特開昭55−95946号公報記載の水溶性カチオニックポリマー、特開昭56−142528号公報に記載されている水溶性の両性高分子電解質を挙げることができる。
更に、特開昭59−84241号公報のアルキレングリコールが付加された有機ホウ素化合物、特開昭60−111246号公報記載のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック重合型の水溶性界面活性剤、特開昭60−129750号公報のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンを置換したアルキレンジアミン化合物、特開昭61−215554号公報記載の重量平均分子量300以上のポリエチレングリコール、特開昭63−175858号公報のカチオン性基を有する含フッ素界面活性剤、特開平2−39157号公報の酸またはアルコールに4モル以上のエチレンオキシドを付加して得られる水溶性エチレンオキシド付加化合物と、水溶性ポリアルキレン化合物などが挙げられる。
現像液には更に必要により有機溶剤が加えられる。かかる有機溶剤としては、水に対する溶解度が約10質量%以下のものが適しており、好ましくは5質量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニル−1−プロパノール、4−フェニル−1−ブタノール、4−フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−1−ブタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノールおよび4−メチルシクロヘキサノール、N−フェニルエタノールアミンおよびN−フェニルジエタノールアミンなどを挙げることができる。
有機溶剤の含有量は使用液の総質量に対して0.1〜5質量%である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少なく、有機溶剤の量を多く用いると有機溶剤が完全に溶解せず、従って、良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
現像液には更に還元剤を加えることができる。これは印刷版の汚れを防止するものである。好ましい有機還元剤としては、チオサリチル酸、ハイドロキノン、メトール、メトキシキノン、レゾルシン、2−メチルレゾルシンなどのフェノール化合物、フェニレンジアミン、フェニルヒドラジンなどのアミン化合物が挙げられる。更に好ましい無機の還元剤としては、亜硫酸、亜硫酸水素酸、亜リン酸、亜リン酸水素酸、亜リン酸二水素酸、チオ硫酸および亜ジチオン酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを挙げることができる。
これらの還元剤のうち汚れ防止効果が特に優れているのは亜硫酸塩である。これらの還元剤は使用時の現像液に対して好ましくは、0.05〜5質量%の範囲で含有される。
現像液には更に有機カルボン酸を加えることもできる。好ましい有機カルボン酸は炭素原子数6〜20の脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸である。脂肪族カルボン酸の具体的な例としては、カプロン酸、エナンチル酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸などがあり、特に好ましいのは炭素数8〜12のアルカン酸である。また炭素鎖中に二重結合を有する不飽和脂肪酸でも、枝分かれした炭素鎖のものでもよい。芳香族カルボン酸としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などにカルボキシ基が置換された化合物で、具体的には、o−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、o−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、2,4−ジヒドロシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸などがあるがヒドロキシナフトエ酸は特に有効である。
上記脂肪族および芳香族カルボン酸は水溶性を高めるためにナトリウム塩やカリウム塩またはアンモニウム塩として用いるのが好ましい。本発明で用いる現像液の有機カルボン酸の含有量は格別な制限はないが、0.1質量%より低いと効果が十分でなく、また10質量%以上ではそれ以上の効果の改善が計れないばかりか、別の添加剤を併用する時に溶解を妨げることがある。従って、好ましい添加量は使用時の現像液に対して0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜4質量%である。
現像液には、更に必要に応じて、防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤および硬水軟化剤などを含有させることもできる。硬水軟化剤としては例えば、ポリリン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸および1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)および1−ヒドロキシタエン−1,1−ジホスホン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩を挙げることができる。
このような硬水軟化剤はそのキレート化と使用される硬水の硬度および硬水の量によって最適値が変化するが、一般的な使用量を示せば、使用時の現像液に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲である。この範囲より少ない添加量では所期の目的が十分に達成されず、添加量がこの範囲より多い場合は、色抜けなど、画像部への悪影響がでてくる。現像液の残余の成分は水である。現像液は、使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利である。この場合の濃縮度は、各成分が分離や析出を起こさない程度が適当である。
本発明に用いられる現像液としてはまた、特開平6−282079号公報記載の現像液も使用できる。これは、SiO2/M2O(Mはアルカリ金属を示す)のモル比が0.5〜2.0の珪酸アルカリ金属塩と、水酸基を4以上有する糖アルコールに5モル以上のエチレンオキシドを付加して得られる水溶性エチレンオキシド付加化合物を含有する現像液である。糖アルコールは糖のアルデヒド基およびケトン基を還元してそれぞれ第一、第二アルコール基としたものに相当する多価アルコールである。糖アルコールの貝体的な例としては、D,L−トレイット、エリトリット、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズルシット、アロズルシットなどであり、更に糖アルコールを縮合したジ、トリ、テトラ、ペンタおよびヘキサグリセリンなども挙げられる。上記水溶性エチレンオキシド付加化合物は上記糖アルコール1モルに対し5モル以上のエチレンオキシドを付加することにより得られる。さらにエチレンオキシド付加化合物には必要に応じてプロピレンオキシドを溶解性が許容できる範囲でブロック共重合させてもよい。これらのエチレンオキシド付加化合物は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの水溶性エチレンオキシド付加化合物の添加量は現像液(使用液)に対して0.001〜5質量%が適しており、より好ましくは0.001〜2質量%である。
この現像液にはさらに、現像性の促進や現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて、前述の種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。
かかる組成の現像液で現像処理された平版印刷版原版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を主成分とするフィニッシャーや保護ガム液で後処理を施される。本発明の平版印刷版原版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
近年、型版・印刷業界では製版作業の合理化および標準化のため、PS版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、PS版を搬送する装置と、各処理液槽およびスプレー装置からなり、露光済みのPS版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像および後処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによってPS版を浸漬搬送させて現像処理する方法や、現像後一定量の少量の水洗水を版面に供給して水洗し、その廃水を現像液原液の希釈水としで再利用する方法も知られている。
このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼動時間等に応じてそれぞれの補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
本発明の平版印刷版原版においては、画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フィルムのフィルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
以上のようにして本発明の平版印刷版原版より得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
〔実施例1〜8〕
[支持体の作製]
<アルミニウム板>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.025質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。なお、得られたアルミニウムの平均結晶粒径の短径は50μm、長径は300μmであった。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(k)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理および水洗の後には、ニップローラーで液切りを行った。
(a)機械的粗面化処理
図1に示したような装置を使って、比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図1において、1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラである。研磨剤の平均粒径は30μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6−10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図3に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸5.0g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は図2に示した形波であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の炬形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図3に示すものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
図4に示す構造の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
前記陽極酸化装置においては、電源67a及び電源67bからの電流は、第一給電部62aに設けられた第一給電電極65aに流れ、電解液を介してアルミニウム板11に流れ、第一電解部63aでアルミニウム板11表面に陽極酸化皮膜を生成させ、第一電解部63aに設けられた電解電極66a及び66bを通り、電極67a及び67bに戻る。
電源67a及び67bから第一給電部62aに給電される電気量と、電源67c及び67dから第二給電部62bに給電される電気量とは等しく、また、第一電解部63a及び第二電解部63bにおける電流密度はともに約30A/dm2であった。第二給電部62bでは、第一電解部63aで生成した1.35g/m2の酸化皮膜面を通じて給電したことになる。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
(k)アルカリ金属ケイ酸塩処理
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理槽中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された支持体を得た。上記のようにして得られたアルカリ金属珪酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
<下塗り液組成>
・下記化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
Figure 2005091703
[記録層(重層)の形成]
得られたウェブ状の基板に下記組成の下層用塗布液1を塗布量が0.85g/m2になるようバーコーターで塗布したのち160℃で44秒間乾燥し、直ちに17〜20℃の冷風で支持体の温度が35℃になるまで冷却した。その後、下記組成の上層用塗布液1を塗布量が0.22g/m2になるようバーコーター塗布したのち、148℃で25秒間乾燥し、更に20〜26℃の風で徐冷し、実施例1の平版印刷版原版を作製した。
<下層用塗布液1>
・特定アミック酸−ウレア樹脂(下記表1に記載のもの) 2.133g
・シアニン染料A(下記構造) 0.134g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.0781g
・ポリマー1(下記構造) 0.035g
・メチルエチルケトン 25.41g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.97g
・γ−ブチロラクトン 13.18g
Figure 2005091703
<上層用塗布液1>
・m,p−クレゾールノボラック 0.3479g
(m/p比=6/4、重量平均分子量4500、
未反応クレゾール0.8質量%含有)
・ポリマー3(下記構造 MEK30%溶液) 0.1403g
・シアニン染料A(上記構造) 0.0192g
・ポリマー1(上記構造) 0.015g
・ポリマー2(下記構造) 0.00328g
・4級アンモニウム塩(下記構造) 0.0043g
・界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
HLB8.5、日光ケミカルズ(株)製 GO−4) 0.008g
・メチルエチルケトン 6.79g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.07g
Figure 2005091703
〔比較例1〕
実施例1における下層用塗布液1を、特定アミック酸−ウレア樹脂を含有しない下記組成の下層用塗布液2に変更した以外は実施例1と同様にして比較例1の平版印刷版原版を作製した。
<下層用塗布液2>
・アクリロニトリル/メチルメタクリレート/
P−アミノスルホニルフェニルメタアクリルアミド共重合ポリマー 2.133g
(30/35/35:重量平均分子量50,000、酸価2.65meq/g)
・シアニン染料A(前記構造) 0.134g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.0781g
・ポリマー1(前記構造) 0.035g
・メチルエチルケトン 25.41g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.97g
・γ−ブチロラクトン 13.18g
〔比較例2〕
実施例1における下層用塗布液1を、特定アミック酸−ウレア樹脂を含有しない下記組成の下層用塗布液3に変更した以外は実施例1と同様にして比較例2の平版印刷版原版を作製した。
<下層用塗布液3>
・ノボラック樹脂 2.133g
(m/p−クレゾール(6/4)、重量平均分子量7,000、
未反応クレゾール0.5質量%)
・シアニン染料A(前記構造) 0.134g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.0781g
・ポリマー1(前記構造) 0.035g
・メチルエチルケトン 25.41g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.97g
・γ−ブチロラクトン 13.18g
〔平版印刷版原版の評価〕
(耐刷性の評価)
実施例1〜8の平版印刷版原版及び比較例1、2の平版印刷版原版をCreo社製Trendsetterにて露光エネルギーを変えて、テストパターンを画像状に描き込みを行った。その後、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2(希釈して、電導度43mS/cmとしたもの)を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用い、現像温度30℃、現像時間12秒で現像を行った。これを、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて連続して印刷した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、耐刷性を評価した。枚数が多いほど耐刷性に優れるものと評価する。結果を以下の表1に示す。
(耐薬品性の評価)
実施例1〜8の平版印刷版原版及び比較例1、2の平版印刷版原版を、上記耐刷性の評価と同様にして露光・現像および印刷を行った。この際、5,000枚印刷する毎に、クリーナー(富士写真フイルム社製、マルチクリーナー)で版面を拭く工程を加え、耐薬品性を評価した。枚数が多いほど耐薬品性に優れるものと評価する。結果を以下の表1に示す。
Figure 2005091703
以上、表1から明らかなように、本発明に係る特定アミック酸−ウレア樹脂を下層の成分として用いた実施例1〜8の平版印刷版原版は、耐刷性および耐薬品性に優れていることが確認された。
一方、下層の成分として、P−アミノスルホニルメタクリルアミド骨格を含有する樹脂を用いた比較例1の平版印刷版原版は、実施例のものと比べ、耐刷性、耐薬品性共に、劣っていた。また、特定アミック酸−ウレア樹脂の代わりにノボラック樹脂のみを用いた比較例2の平版印刷版原版は、実施例1〜8、さらには比較例1と比べても、耐刷性、耐薬品性に著しく劣っていることが確認された。
なお、前記耐刷性の評価と同様の露光、現像条件により網点画像を形成し、その再現性を確認したところ、実施例1〜8、比較例1、2の平版印刷版原版はいずれも200線/インチ、1%の網点を再現しており、ハイライト再現性に非常に優れていることがわかった。
〔実施例9〜16〕
[支持体の作製]
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A 1050)を苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温60℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗し、10g/l硝酸で中和洗浄後、水洗した。これを印加電圧Va=20Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、塩化水素濃度15g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温30℃の水溶液中で、500C/dm2の電気量で電気化学的な粗面化処理を行い水洗後、苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温40℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗した。
次に、硫酸濃度15質量%、液温30℃の硫酸水溶液中でデスマット処理を行い水洗した。さらに、液温20℃の10質量%硫酸水溶液中、直流にて電流密度6A/dm2の条件下で、陽極酸化皮膜量が2.5g/m2相当となるように陽極酸化処理し、水洗、乾燥した。その後、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃において10秒間処理し、基板を作製した。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.48μmであった。上記のようにして得られた珪酸塩処理後のアルミニウム基板上に、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は17mg/m2であった。
<下塗り液組成>
・下記化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
Figure 2005091703
[記録層の形成]
上記で得られた支持体上に、下記組成の記録層(単層)用塗布液1を塗布量が1.8g/m2になるよう塗布、乾燥して記録層を形成し、実施例9〜16の平版印刷版原版を得た。
<記録層(単層)用塗布液1>
・ノボラック樹脂 0.5g
(m/p−クレゾール(6/4)、重量平均分子量7,000、
未反応クレゾール0.5質量%)
・特定アミック酸−ウレア樹脂(下記表2に記載の種類のもの) 1.0g
・シアニン染料A(前記構造) 0.1g
・無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g
・フッ素系ポリマー 0.015g
(メガファックF−176(固形分20%)、
大日本インキ化学工業(株)製)
・フッ素系ポリマー 0.035g
(メガファックMCF−312(固形分30%)、
大日本インキ化学工業(株)製)
・ラウリルステアレート 0.03g
・γ−ブチロラクトン 8.5g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
〔比較例3〕
[記録層の形成]
実施例1と同様の下塗り済支持体に、下記組成の記録層(単層)用塗布液2を塗布量が1.8g/m2になるよう塗布、乾燥して記録層を形成し、比較例3の平版印刷版原版を得た。
<記録層(単層)用塗布液2>
・ノボラック樹脂 0.5g
(m/p−クレゾール(6/4)、重量平均分子量7,000、
未反応クレゾール0.5質量%)
・アクリロニトリル/メチルアクリレート/
P−アミノスルホニルフェニルメタアクリルアミド共重合ポリマー 1.0g
(30/35/35:重量平均分子量50,000、酸価2.65meq/g)
・シアニン染料A(前記構造) 0.1g
・無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・エチルバイオレット対イオンを
6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g
・フッ素系ポリマー 0.015g
(メガファックF−176(固形分20%)、
大日本インキ化学工業(株)製)
・フッ素系ポリマー 0.035g
(メガファックMCF−312(固形分30%)、
大日本インキ化学工業(株)製)
・ラウリルステアレート 0.03g
・γ−ブチロラクトン 8.5g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
〔比較例4〕
実施例1と同様の下塗り済支持体に、下記組成の記録層(単層)用塗布液3を塗布量が1.8g/m2になるよう塗布、乾燥して記録層を形成し、比較例4の平版印刷版原版を得た。
<記録層(単層)用塗布液3>
・ノボラック樹脂 1.5g
(m/p−クレゾール(6/4)、重量平均分子量7,000、
未反応クレゾール0.5質量%)
・シアニン染料A(前記構造) 0.1g
・無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・エチルバイオレット対イオンを
6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g
・フッ素系ポリマー 0.015g
(メガファックF−176(固形分20%)、
大日本インキ化学工業(株)製)
・フッ素系ポリマー 0.035g
(メガファックMCF−312(固形分30%)、
大日本インキ化学工業(株)製)
・ラウリルステアレート 0.03g
・γ−ブチロラクトン 8.5g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
〔平版印刷版原版(耐刷性・耐薬品性)の評価〕
実施例9〜16及び比較例3、4の平版印刷版原版を実施例1と同様にして露光、現像および印刷を行った。さらに同様にして耐刷性、耐薬品性の評価を行った。結果を以下の表2に示す。
Figure 2005091703
以上、表2から明らかなように、実施例9〜16の平版印刷版原版は、耐刷性および耐薬品性に優れていることが確認された。
一方、記録層の成分として、P−アミノスルホニルメタクリルアミド骨格を含有する樹脂を用いた比較例3の平版印刷版原版は実施例のものと比べ、耐刷性、耐薬品性共に、劣っていた。また、特定アミック酸−ウレア樹脂の代わりにノボラック樹脂のみを用いた比較例4の平版印刷版原版は、実施例9〜16、さらには比較例3と比べても、耐刷性、耐薬品性に著しく劣っていることが確認された。
このことから、本発明に係る特定アミック酸−ウレア樹脂は、単層構造の記録層成分として用いた場合にも、重層構造の記録層の下層成分として用いた場合と同様に、優れた耐刷性、耐薬品性を発現することがわかった。
なお、実施例9〜16、比較例3、4においても実施例1などと同様に網点画像を形成し、その再現性を確認したところ、これらの平版印刷版原版はいずれも、200線/インチ、1%の網点は十分再現していなかったが、2%の網点は再現していることがわかった。このことから、実施例9〜16の平版印刷版原版は良好なハイライト再現性を維持しながら、耐刷性、耐薬品性の大幅な向上が実現していることがわかる。
また、実施例1〜8と実施例9〜16との対比により、本発明の平版印刷版原版は、重層構造の記録層においてその効果が著しいことが確認された。
〔実施例17〕
実施例1の支持体の作製において、陽極酸化処理を施した後、シリケート処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の下塗り、記録層(下層・上層)を設け、実施例17の平版印刷版原版を作製した。
(耐刷性および耐薬品性の評価)
得られた実施例17の平版印刷版原版に実施例1と同様の方法で露光を行い、下記アルカリ現像液Aを仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用い、現像温度を28℃に保ち、現像時間25秒で現像を行った。その後、実施例1と同様の方法で、耐刷性および耐薬品性の評価を行った。
結果は、耐刷性32万枚、耐薬品性32万枚であり、実施例1と同等以上の印刷枚数が得られた。このことにより、シリケート処理基板を用いた平版印刷版原版を非シリケート現像液で現像した実施例1と同様に、シリケートによる親水化処理を施さない基板を用いた平版印刷版原版をシリケート現像液で現像した実施例17においても、優れた耐刷性および耐薬品性が得られることが確認された。
<アルカリ現像液A組成>
・SiO2・K2O(K2O/SiO2=1/1(モル比)) 4.0質量%
・クエン酸 0.5質量%
・ポリエチレングリコール変性ソルビトール 1.0質量%
(平均30ユニット付加体)
・水 50.0質量%
本発明に係る平版印刷版原版用支持体の作成に用いられる機械的粗面化装置一例を示す概略構成図である。 本発明に係る平版印刷版原版用支持体の作成に用いられる電気化学的粗面化に用いる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。 本発明に係る平版印刷版原版用支持体の作成に用いられる電気化学的粗面化に用いる2つ以上のラジアルドラムローラを連結した装置の概略構成図である。 本発明に係る平版印刷版原版用支持体の作成に適用可能な二段給電電解法における電解処理装置の概略図である。
符号の説明
1 アルミニウム板
2,4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5,6,7,8 支持ローラ
11 アルミニウムウエブ
12 ラジアルドラムローラ
13a,13b 主極
14 電解処理液
15a,15b 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a,19b サイリスタ
20 交流電源
40,41 主電解槽
50,51 補助陽極槽
62a 第一給電部
62b 第二給電部
63a 第一電解部
63b 第二電解部
64a,64b 支持ローラ
65a 第一給電電極
65b 第二給電電極
66a,66b,66c,66d 電解電極
67a,67b,67c,67d 電源

Claims (2)

  1. 支持体上に、アミック酸構造を含む繰り返し単位およびウレア結合を含む繰り返し単位を有する水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂と、赤外線吸収剤と、を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する記録層を設けてなる平版印刷版原版。
  2. 支持体上に、アミック酸構造を含む繰り返し単位およびウレア結合を含む繰り返し単位を有する水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び現像抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層と、からなる記録層を設け、該記録層の下層および上層の少なくとも一方に赤外線吸収剤を含有することを特徴とする平版印刷版原版。
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