JP4384575B2 - 平版印刷版原版 - Google Patents
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Description
中でも、特に、波長760nmから1200nmの赤外線レーザを用いる赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版が注目されており、このような赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版は、バインダー樹脂と、赤外光を吸収して熱を発生する赤外線吸収剤と、現像抑制剤と、を必須成分とすることを特徴とする。ここで、現像抑制能を有する赤外線吸収剤を用いた場合、必須成分はバインダー樹脂及び赤外線吸収剤のみとなる。即ち、この赤外線吸収剤が、未露光部(画像部)では、バインダー樹脂との相互作用によりバインダー樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させる現像抑制剤として働き、露光部(非画像部)では、発生した熱によりIR染料等とバインダー樹脂との相互作用が弱まり、アルカリ現像液に溶解して画像を形成する。
例えば、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版において溶解抑制能を有する赤外線吸収剤を用いた場合、該赤外線吸収剤は露光部(非画像部)における光熱変換作用、及び未露光部(画像部)の溶解抑制剤として働くのみで、露光部の溶解を促進するものではない。さらに、露光部の支持体との界面近傍では、発生した熱が支持体へと拡散し、効率よく画像形成に使用されないこともあって、残膜が発生しやすいという欠点を有する。
これをうけて、接着性、皮膜特性、耐薬品性などの向上を目的とし、感熱性を有するアセタールポリマーを含有するポジ型画像形成材料が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。このようなバインダーポリマーを用いることで、従来に比較し、記録層の耐久性は向上したものの、特に感度に代表される画像形成性の低下が著しく、生産性の確保のためには画像形成性の改良が必要であった。また、平版印刷版原版の如く、インキ、湿し水、洗浄剤などとの接触や摩擦力、応力に常に晒される用途を考慮した場合、実用上十分な耐久性を有するには至っておらず、耐刷性、耐薬品性のさらなる改良が望まれているのが現状である。
また、前記ポジ型記録層が、さらに(B)赤外線吸収剤を含有し、赤外線の照射により画像形成可能であることが好ましい態様として挙げられる。
なお、ここでいうポジ型記録層とは、前記背景技術でも述べたように、(A)特定高分子化合物(バインダー樹脂)の他に、該(A)特定高分子化合物と相互作用して現像液に対する溶解性を低下させる化合物(現像抑制剤)を含有することを前提とするものであるが、特に、前記(B)赤外線吸収剤として現像抑制能を有する化合物を用いることが一般的である。
重層構造の記録層の場合、下層にこの(A)特定高分子化合物を含有する態様が効果の観点から好ましい。
本発明の特徴的成分である(A)マレイミド由来の環状構造(a−1)、及び、ビニルアルコールのアセタール由来の環状構造(a−2)を有するアルカリ可溶性高分子化合物(特定高分子化合物)をバインダー樹脂として用いた平版印刷版原版は、未露光部(画像部)においては、特定高分子化合物内に存在するビニルアルコールのアセタール由来の環状構造(a−2)により優れた皮膜特性、耐薬品性を示すが、そこに新たにマレイミド由来の環状構造(a−1)を導入することより、異なる環状構造の共存に起因して、皮膜中において、特定高分子化合物内、及び、特定高分子化合物と溶解抑制剤との間で、高密度の相互作用が形成され、皮膜特性が著しく向上するものと考えられる。このため、耐久性に優れた皮膜により耐刷性が著しく向上するとともに、汎用の有機溶剤、例えば、印刷中に使用されるインキ洗浄溶剤、プレートクリーナーなどに対して高い難溶性を示すものと考えられる。
また、露光部(非画像部)においては、このエネルギー付与により特定高分子化合物内及び特定高分子化合物と溶解抑制剤との相互作用が解除されると、特定高分子化合物が本来有するアルカリ水溶液に対する溶解性が発現され、皮膜は速やかに除去される。
従って、特定高分子化合物を用いた記録層は、未露光部においては、耐現像性、耐薬品性に優れ、湿し水などの影響も受けにくい高強度な画像部が形成されるが、この特定高分子化合物の使用により露光部における現像性が損なわれることはないものと推測される。
このような記録層としては、その層構成に特に制限はなく、単層構造であっても、構成成分の異なる複数の層からなる重層構造であってもよい。記録層が重層構造の場合には、上記(A)成分は、いずれの層に含まれていてもよいが、特に下層に含まれることが効果の観点から好ましい。
まず、単層型記録層を有する本発明の平版印刷版原版の各構成について、順次、詳細に説明する。
〔(A)下記一般式(1)で示されるマレイミド由来の環状構造を含む構造単位、及び、一般式(2)で示されるビニルアルコールのアセタール由来の環状構造を含む構造単位を有するアルカリ可溶性高分子化合物(特定高分子化合物)〕
本発明に用いられる特定高分子化合物は、分子内に、マレイミド由来の環状構造(a−1)、及び、ビニルアルコールのアセタール由来の環状構造(a−2)を有するアルカリ可溶性高分子化合物であり、下記一般式(1)で示されるマレイミド由来の環状構造を含む構造単位及び下記一般式(2)で示されるビニルアルコールのアセタール由来の環状構造を含む構造単位を有する高分子化合物である。
以下、本発明に係る特定高分子化合物に含まれる特徴的な構造について順次説明する。この特定高分子化合物には、ポリマー主鎖内にマレイミド由来の環状構造(a−1)、及び、ビニルアルコールのアセタール由来の環状構造(a−2)を有することが好ましい。これらの環状構造は、これを有する構造単位を共重合させることにより高分子化合物に導入されることが好ましい。
マレイミド由来の環状構造を有する構造単位は、無置換のマレイミドまたは窒素原子上に種々の置換基を有するマレイミド由来の構造単位が好ましく、特に、(A)特定高分子化合物中に、下記一般式(1)で示される構造単位として含まれる。
R1として好適に用いられるアリール基としては、炭素数6〜14程度のアリール基が好ましい。
R1 はアリール基を表すが、このアリール基は任意の位置に置換基を有しても良く、導入可能な好ましい置換基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホンアミド基、活性イミド基等のアルカリ可溶性を示す酸基や、アミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アシル基等の水素結合可能な水素原子又はヘテロ原子を有する極性置換基、アルキル基、アリール基等の炭化水素基、窒素、酸素、硫黄等の原子を環内に有するヘテロ環基が挙げられる。
これらR1の組み合わせの中でも、フェニル基が特に好ましい。アリール基上に置換基を有する場合は、アルカリ可溶性を示す酸基であることが好ましく、水酸基またはスルホンアミド基を好ましい置換基として挙げることができる。
これらのマレイミド由来の環状構造を有する構造単位は、耐刷性と耐薬品性の観点から、特定高分子化合物中に、10〜80mol%含有されていることが好ましく、より好ましくは20〜70mol%の範囲である。
ビニルアルコールのアセタール由来の環状構造は、ポリビニルアルコールの2つの水酸基とアルデヒドまたはケトンとの反応により形成される環状構造であることが好ましく、(A)特定高分子化合物中に、下記一般式(2)で示される構造単位として含まれる。
R2がアルキル基を表すときの好ましいアルキル基としては、炭素数3〜10のアルキル基が挙げられ、具体的には、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を好ましく挙げることができる。
また、相互作用の形成および解除に起因する画像形成性の観点から、アルカリ可溶性の酸基を有することが好ましい。即ち、本発明の効果である耐刷性、耐薬品性と画像形成性との両立といった観点からの好ましいR2としては、アリール基を有し、且つ、該アリール基上に水素結合性の置換基、特に、アルカリ可溶性の酸基を有する態様が好ましく、該アリール基上のアルカリ可溶性の酸基としては、水酸基およびスルホンアミド基が好ましい酸基として挙げられる。
これらビニルアルコールのアセタール由来の環状構造を有する構造単位は、画像形成性と耐薬品性の観点から、特定高分子化合物中に、10〜80mol%含有されていることが好ましく、より好ましくは20〜70mol%の範囲である。
ここで併用可能な他の構造単位としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーに由来する構造単位が挙げられる。
スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO3H2)
上記(1)〜(6)より選ばれるアルカリ可溶性基を有する構造単位の中でも、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、及び(4)カルボン酸基を有する構造単位が好ましく、特に(1)フェノール性水酸基又は(2)スルホンアミド基をアルカリ可溶性基として有する構造単位が、ポジ型の画像形成作用を確保する点から最も好ましい。
また、特定高分子化合物の重量平均分子量は、ポジ型の画像形成性と耐薬品性の観点から、好ましくは、2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜300,000の範囲である。
一般的なアルカリ可溶性樹脂を混合する比率としては、特定高分子化合物を含む全アルカリ可溶性樹脂の40質量%以下が好ましく、更に好ましくは35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。
本発明の平版印刷版原版の記録層には、(B)赤外線吸収剤を添加することが好ましい。赤外領域に極大吸収を有し、光熱変換能をもつ赤外線吸収剤を含有することで、本発明の平版印刷版原版は赤外線レーザによる記録が可能となる。
本発明に用いられる赤外線吸収剤としては、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。中でも、前記特定高分子化合物やノボラック樹脂などのバインダー樹脂と相互作用を形成し、バインダー樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させる機能を有する赤外線吸収剤を用いることが好ましく、例えば、シアニン色素が優れた溶解抑制能を有するものとして挙げられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
更に、赤外線吸収剤が溶解抑制能を有する化合物である場合には、前記特定高分子化合物と同一の層に添加することで、該赤外線吸収剤が光熱変換機能のみならず、現像抑制剤としても機能するため好ましい。
本発明に係る記録層には、そのインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、(C)現像抑制剤を含有させることが好ましい。特に、前記赤外線吸収剤として溶解抑制能を有しないものを使用する場合には、この現像抑制剤は画像部の耐アルカリ性を維持するための重要成分となりうる。
本発明に用いられる現像抑制剤としては、前記特定高分子化合物又はその他のアルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成し、未露光部において該アルカリ可溶性樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させ、且つ、露光部においては該相互作用が弱まり、現像液に対して可溶となり得るものであれば特に限定はされないが、特に4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール系化合物等が好ましく用いられる。また後述する画像着色剤のなかにも現像抑制剤として機能する化合物があり、それらもまた好ましく挙げられる。
具体的には、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトララウリルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、テトラナフチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラステアリルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリエチルアンモニウムブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ジベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロミド、トリステアリルメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ヒドロキシフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、N−メチルピリジニウムブロミド等が挙げられる。特に特願2001−226297号、特願2001−370059、特願2001−398047明細書記載の4級アンモニウム塩が好ましい。
R1−{−O−(R3−O−)m−R2}n ・・・一般式(I)
上記一般式(I)中、R1は多価アルコール残基又は多価フェノール残基を表し、R2は水素原子、置換基を有していても良い炭素原子数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基を表す。R3は置換基を有しても良いアルキレン残基を表し、mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数を表す。
このようなラクトン化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物が挙げられる。
以下に、一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
本発明に用いられるラクトン化合物は、いずれか1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また2種類以上の一般式(L−I)の化合物、又は2種類以上の一般式(L−II)の化合物を用いる場合、合計添加量が上記範囲内であれば任意の比率で併用することができる。
このようなオニウム塩のなかでも、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5−158230号公報記載のものが挙げられる。
そのようなo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物或いは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1、2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン−(1,2−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
また特開平11−288089号記載の少なくとも一部がエステル化されたアルカリ可溶性樹脂を含んでも良い。
添加量としては、単層型記録層全固形分に対し、0.5〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%の範囲である。
本発明に係る単層型記録層を形成するにあたっては、上記の必須成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
本発明に係る単層型記録層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては無水酢酸などが挙げられる。
上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の単層型記録層全固形分に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明に係る単層型記録層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特願2001−247351に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の単層型記録層全固形分に占める割合は、0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5.0質量%、更に好ましくは0.5〜2.0質量%である。
本発明に係る単層型記録層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
これらの染料は、単層型記録層の全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。
本発明に係る単層型記録層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加しても良い。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
これらの可塑剤は、単層型記録層全固形分に対し、0.5〜10質量%、好ましくは1.0〜5質量%の割合で添加することができる。
本発明に係る単層型記録層には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、或いは本願出願人が先に提案した特願2001−261627号、特願2002−032904号、特願2002−165584号の各明細書に記載されているいるような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることが出来る。
添加量としては、単層型記録層全固形分中に占める割合が0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
次に、本発明の平版印刷版原版のポジ型記録層が、構成成分の異なる複数の層からなる重層構造をとった場合について述べる。
本発明の重層型記録層においては、本発明の特徴的成分である前記(A)特定高分子化合物は、いずれの層に含有されていてもよいが、特に、下層に含有されていることが好ましい。即ち、本発明に係る重層型記録層は、(A)特定高分子化合物を含有する下層と、アルカリ可溶性樹脂、及び該アルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成してアルカリ現像液に対する溶解性を低下させる化合物を含有する上層と、からなるポジ型記録層であることが好ましい。なお、該記録層の下層及び上層の少なくとも一方に(B)赤外線吸収剤を含有することがより好ましい。
以下、このような重層型記録層について詳細に説明する。
本発明に係る下層は、上述した(A)特定高分子化合物を含有することを特徴とする。ここで用いられる(A)特定高分子化合物としては、上述したように、分子内にメルカプト基が結合した複素環を有するものであれば特に制限はない。
このような重層型記録層の下層における、特定高分子化合物の含有量は、記録層の皮膜強度及び耐薬品性向上の観点から、下層記録層全固形分中、50〜99質量%であることが好ましく、65〜97質量%であることがより好ましく、75〜95質量%であることが特に好ましい。
一般的なアルカリ可溶性樹脂を混合する比率としては、下層に含まれる全アルカリ可溶性樹脂の40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
本発明に係る上層は、アルカリ可溶性樹脂、及び該アルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成してアルカリ現像液に対する溶解性を低下させる化合物を含有することを特徴とする。
本発明における上層に使用可能なアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものであれば特に制限はないが、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、又はこれらの混合物であることが好ましい。また、上述の特定高分子化合物を上層に添加することもできる。
このような酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、特に、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基、(4)カルボン酸基、(5)リン酸基のいずれかの官能基を分子内に有する高分子化合物が挙げられ、中でも、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基を有する高分子化合物が特に好ましい。そのような高分子化合物としては、例えば、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
ここで使用可能な他の重合性モノマーとしては、下記(m1)〜(m12)に挙げる化合物を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
特に、本発明に係る上層に用いられるアルカリ可溶性樹脂が、フェノールホルムアルデヒド樹脂、又は、クレゾールアルデヒド樹脂等である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
また、本発明においては、アルカリ性水溶液に対し溶解速度の異なる2種類以上のアルカリ可溶性樹脂を混合して用いてもよく、その場合の混合比は自由である。なお、該フェノール性水酸基を有する樹脂と混合するのに好適なアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を有する樹脂と相溶性が低いことから、アクリル樹脂であることが好ましく、更に好ましくはスルホアミド基を有するアクリル樹脂である。
本発明の重層型記録層を有する平版印刷版原版には、該記録層の下層及び上層の少なくとも一方に、赤外線吸収剤を添加することが好ましい。そのような赤外線吸収剤としては、前記単層型記録層で使用したものと同様の赤外線吸収剤を使用することができる。
これらの赤外線吸収剤は、下層に添加しても上層に添加しても、上下層双方に添加してもよいが、感度の観点から記録層の上層或いはその近傍に添加することが好ましい。特に、上層において、溶解抑制能を有する赤外線吸収剤を前記アルカリ可溶性樹脂と同一の層に添加することで、高感度化と同時に、未露光部に耐アルカリ溶解性を持たせることができるため好ましい。
一方、下層に添加した場合には、更なる高感度化を実現することが可能である。上層と下層の双方に赤外線吸収剤を添加する場合には、互いに同じ化合物を用いてもよく、また異なる化合物を用いてもよい。
また、これらの赤外線吸収剤は上下記録層と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けてそこへ添加してもよい。別の層とする場合、記録層に隣接する層へ添加するのが望ましい。
本発明に係る上層には、そのインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、現像抑制剤を含有させることが好ましい。特に、前記赤外線吸収剤として溶解抑制能を有しないものを使用する場合には、この現像抑制剤は画像部の耐アルカリ性を維持するための重要成分となりうる。
重層型記録層に用いられる現像抑制剤としては、前記単層型記録層の成分で挙げた(C)現像抑制剤と同様のものを用いることができる。例えば、4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール系化合物等が好ましく用いられる。また後述する画像着色剤のなかにも現像抑制剤として機能する化合物があり、それらもまた好ましく挙げられる。
4級アンモニウム塩の添加量は、現像抑制効果や前記アルカリ可溶性樹脂の製膜性等の観点から、上層全固形分に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
ポリエチレングリコール系化合物の添加量は、現像抑制効果や画像形成性等の観点から、上層全固形分に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
このようなラクトン化合物の中でも、特に好ましく用いられる前記一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物の添加量としては、添加の有効性や画像形成性の効果の観点から、上層全固形分に対して0.1〜50質量%が好ましく、更には、1〜30質量%がより好ましい。
オニウム塩としては、前記単層型記録層の現像抑制剤として挙げたオニウム塩と同様のものを用いることができる。
o−キノンジアジド類としては、前記単層型記録層の現像抑制剤として挙げたo−キノンジアジド類と同様のものを用いることができる。
o−キノンジアジド化合物の添加量は、好ましくは上層全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。
添加量としては、上層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
重合型記録層の下層及び上層を形成するにあたっては、上記の必須成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。以下に挙げる添加剤は下層のみに添加してもよいし、上層のみに添加してもよいし、両方の層に添加してもよい。
本発明に係る記録層である上層及び/又は下層には、感度を向上させる目的で、現像促進剤を添加してもよい。そのような現像促進剤としては、前記単層型記録層の現像促進剤として挙げた、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を用いることができる。
上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の下層或いは上層の全固形分に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明に係る記録層である上層及び/又は下層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、界面活性剤を添加することができる。そのような界面活性剤としては、前記単層型記録層の界面活性剤として挙げた非イオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。
非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の下層或いは上層の全固形分に占める割合は、0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5.0質量%、更に好ましくは0.5〜2.0質量%である。
本発明に係る記録層である上層及び/又は下層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
そのような焼き出し剤または画像着色剤としては、前記単層型記録層で挙げたものと同様の焼き出し剤または画像着色剤を用いることができる。
これらの染料は、下層或いは上層の全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。
本発明に係る記録層である上層及び/又は下層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加しても良い。そのような可塑剤としては、前記単層型記録層で挙げたものと同様の可塑剤を用いることができる。
これらの可塑剤は、下層或いは上層の全固形分に対し、0.5〜10質量%、好ましくは1.0〜5質量%の割合で添加することができる。
本発明に係る上層には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。このような化合物としては、前記単層型記録層で挙げたWAX剤と同様のものを用いることができる。添加量として好ましいのは、上層中に占める割合が0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明の平版印刷版原版の記録層(単層型記録層、或いは、重層型記録層の下層又は上層)は、通常上記各成分を溶剤に溶かして、記録層塗布液とし、適当な支持体上に塗布することにより形成することができる。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶剤は単独或いは混合して使用される。
2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、下層に含まれる成分と、上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法、又は、上層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去させる方法等が挙げられる。
以下、これらの方法について詳述するが、2つの層を分離して塗布する方法はこれらに限定されるものではない。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
特に、重層型記録層における上層の塗布時は、下層へのダメージを防ぐため、上層塗布方法は非接触式である事が望ましい。また接触型ではあるが溶剤系塗布に一般的に用いられる方法としてバーコーター塗布を用いる事も可能であるが、下層へのダメージを防止するために順転駆動で塗布する事が望ましい。
また、上層成分の乾燥後の塗布量は、感度、現像ラチチュード、及び耐傷性等の観点から、0.05〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.08〜0.7g/m2の範囲である。
下層及び上層を合わせた乾燥後の塗布量としては、感度、画像再現性、及び耐刷性等の観点から、0.6〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.7〜2.5g/m2の範囲である。
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙、若しくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
以上のように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と記録層との間に下塗り層を設けることができる。
下塗り層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
有機下塗り層の被覆量は、耐刷性能の観点から、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。
上記のようにして作製された平版印刷版原版は、画像様に露光され、その後、現像処理を施される。
本発明の平版印刷版原版の支持体裏面には、必要に応じてバックコート層が設けられる。かかるバックコート層としては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4などのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
本発明の平版印刷版原版の像露光に用いられる活性光線の光源としては、公知のものを制限なく用いることができる。望ましくは、波長300nm〜1200nm程度の各種レーザであり、中でも、波長780nm〜1200nmの近赤外から赤外領域に発光波長を持つ、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
本発明の平版印刷版原版の現像処理に適用することのできる現像液は、露光部の現像性の観点から、pHが12.0〜13.9の範囲であることが好ましく、12.5〜13.5の範囲にあることがより好ましく、12.8〜13.2の範囲にあることが特に好ましい。現像液(以下、補充液も含めて現像液と呼ぶ)には、従来公知のアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのアルカリ剤は現像液のpHを9.0〜13.5の範囲になるように添加され、その添加量は所望のpH、非還元糖の種類と添加量によって決められるが、より好ましいpH範囲は10.0〜13.2である。
このような弱酸としては、Pergamon Press社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANIC ACIDS IN AQUEOUS SOLUTIONなどに記載されているものから選ばれ、例えば2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール−1(PKa12.74)、トリフルオロエタノール(同12.37)、トリクロロエタノール(同12.24)などのアルコール類、ピリジン−2−アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒド(同12.05)などのアルデヒド類、サリチル酸(同13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4−ジヒドロキシスルホン酸(同12.2)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.34)、o−クレゾール(同10.33)、レゾルシノール(同11.27)、p−クレゾール(同10.27)、m−クレゾール(同10.09)などのフェノール性水酸基を有する化合物、2−ブタノンオキシム(同12.45)、アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタンジオンジオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグリオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.35)などのオキシム類、アデノシン(同12.56)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シトシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同12.1)、キサンチン(同11.9)などの核酸関連物質、他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸(同12.32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香酸(同12.29)、イソプロピリデンジホスホン酸(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸(同11.54)、1,1−エチリデンジホスホン酸1−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビツル酸(同12.5)などの弱酸が挙げられる。
有機溶剤の含有量は使用液の総質量に対して0.1〜5質量%である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少なく、有機溶剤の量を多く用いると有機溶剤が完全に溶解せず、従って、良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
これらの還元剤のうち汚れ防止効果が特に優れているのは亜硫酸塩である。これらの還元剤は使用時の現像液に対して好ましくは、0.05〜5質量%の範囲で含有される。
これらの水溶性エチレンオキシド付加化合物の添加量は現像液(使用液)に対して0.001〜5質量%が適しており、より好ましくは0.001〜2質量%である。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、或いは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
[支持体の作製]
<アルミニウム板>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.025質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。なお、得られたアルミニウムの平均結晶粒径の短径は50μm、長径は300μmであった。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
表面処理は、以下の(a)〜(k)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後には、ニップローラーで液切りを行った。
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤の平均粒径は30μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)間の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間が0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸5.0g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間が0.8msec、duty比1:1、台形の炬形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.12g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度45℃の3号ケイ酸ソーダの1.5質量%水溶液の処理槽中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された支持体を得た。上記のようにして得られたアルカリ金属珪酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は7mg/m2であった。
・下記化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
得られた下塗り済みの支持体に下記組成の下層用塗布液を乾燥後の塗布量が0.80g/m2になるようバーコーターで塗布したのち160℃で44秒間乾燥し、直ちに17〜20℃の冷風で支持体の温度が35℃になるまで冷却した。
その後、下記組成の上層用塗布液を乾燥後の塗布量が0.25g/m2になるようバーコーター塗布したのち、148℃で25秒間乾燥し、更に20〜26℃の風で徐冷し、実施例1〜4の平版印刷版原版を作製した。
・下記表1に記載の(A)特定高分子化合物又は比較高分子化合物 2.133g
・シアニン染料A(下記構造)〔(B)成分〕 0.134g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.0781g
・ポリマー1(下記構造) 0.035g
・メチルエチルケトン 25.41g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.97g
・γ−ブチロラクトン 13.18g
・m,p−クレゾールノボラック 0.348g
(m/p比=6/4、重量平均分子量4700、
未反応クレゾール0.8質量%含有)
・ポリマー3(下記構造 MEK30%溶液) 0.1403g
・シアニン染料A(上記構造)〔(B)成分〕 0.0192g
・ポリマー1(上記構造) 0.015g
・ポリマー2(下記構造) 0.00328g
・1−(4−メチルベンジル)−1−フェニルピペリジニウムの
5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ
−2−メトキシベンゼンスルホン酸塩 0.004g
・界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
HLB8.5、日光ケミカルズ(株)製 GO−4) 0.008g
・メチルエチルケトン 6.79g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.07g
(耐刷性の評価)
実施例1〜3及び比較例1の平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter VFSにて露光エネルギーを変えて、テストパターンを画像状に描き込みを行った。その後、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2(希釈して、電導度43mS/cmとしたもの)を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用い、現像温度30℃、現像時間12秒で現像を行った。
これを、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて連続して印刷した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、耐刷性を評価した。枚数が多いほど耐刷性に優れるものと評価する。結果を以下の表1に示す。
(耐薬品性の評価)
実施例1〜3及び比較例1の平版印刷版原版を、上記耐刷性の評価と同様にして露光・現像及び印刷を行った。この際、5,000枚印刷する毎に、クリーナー(富士写真フイルム社製、マルチクリーナー)で版面を拭く工程を加え、耐薬品性を評価した。枚数が多いほど耐薬品性に優れるものと評価する。結果を以下の表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1の平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter3244 VFSにて露光エネルギーを変えて、テストパターンを画像状に描き込みを行った。その後、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2を用い、画像部が溶出されず、かつ、現像不良の感光層残膜に起因する汚れや着色がなく良好に現像が行えた現像液の電導度の一番高いものと、一番低い物との中間(平均値)の電導度のアルカリ現像液で現像し、この現像液で非画像部が現像できる露光量(ドラム回転速度150rpmのときのビーム強度)を測定し、感度とした。数値が小さいほど高感度である。結果を以下の表1に示す。
[支持体の作製]
実施例1の支持体の作製において、陽極酸化処理を施した後、シリケート処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の基板処理を行い、平版印刷版原版用支持体を作製した。
上記で得られた支持体上に、下記組成の記録層(単層)用塗布液を乾燥後の塗布量が1.10g/m2になるよう塗布、乾燥して記録層を形成し、実施例4,5の平版印刷版原版を得た。また、下記記録層(単層)用塗布液において(A)特定高分子化合物を添加せず、ノボラック樹脂の配合量を1.5gとした他は同様にして比較例2の平版印刷版原版を得た。さらに、(A)特定高分子化合物に代えて、前記比較例1で用いた比較ポリマー(BP−C)を用いた以外は同様にして、比較例3の平版印刷版原版を得た。
・ノボラック樹脂 0.5g
(m/p−クレゾール(6/4)、重量平均分子量7,000、
未反応クレゾール0.5質量%)
・表2に記載の(A)特定高分子化合物又は比較高分子化合物 1.0g
・シアニン染料A(前記構造)〔(B)成分〕 0.15g
・無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g
・フッ素系ポリマー 0.015g
(メガファックF−176(固形分20%)、
大日本インキ化学工業(株)製)
・フッ素系ポリマー 0.035g
(メガファックMCF−312(固形分30%)、
大日本インキ化学工業(株)製)
・ラウリルステアレート 0.03g
・γ−ブチロラクトン 8.5g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
実施例4、5及び比較例2の平版印刷版原版を実施例1と同様にして露光、現像及び印刷を行った。更に同様にして耐刷性、耐薬品性および感度を実施例1と同様にして評価した。結果を以下の表2に示す。
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