JP2004117546A - 画像形成材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶解性ディスクリミネーションに優れ、焼きだめ性が小さいヒートモード対応ポジ型平版印刷版原版に有用な画像形成材料を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも、(A)水不溶性かつアルカリ可溶性高分子化合物、(B)光熱変換剤、及び(C)下記一般式(1)で表されるアンモニウム塩を含有する画像形成層を有する画像形成材料。一般式(1)中、Rは、炭素数6以上の長鎖アルキル基又は炭素数6以上の長鎖アルキル部位を少なくとも一つ有する有機基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子を1つ以上含む有機基を表し、互いに結合して環構造を形成してもよい。Xはカウンターアニオンを表す。
【化1】
Figure 2004117546

【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像形成材料に係り、より詳細には、オフセット印刷マスターとして使用できる画像記録材料に関するものであり、特にコンピュータ等のディジタル信号から直接製版できる所謂ダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版として有用なポジ型画像形成材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・半導体レーザは高出力かつ小型の物が容易に入手できる様になっている。コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
【0003】
従来より知られているダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型感光性画像形成材料においては、アルカリ水溶液可溶性樹脂としてノボラック樹脂が用いられている。例えば、ポジ型感光性画像形成材料としては、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収して熱を発生する物質と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物を添加したものであり、該ポジ型感光性化合物が、画像部ではアルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、非画像部では熱により溶解阻止能を発現しなくなり、現像により除去され得るようになって画像が形成されるものが開示されている(特許文献1参照。)。
【0004】
また、ポジ型感光性画像形成材料としては、光を吸収して熱を発生する物質と、熱によりアルカリ水溶液溶解性が変化する樹脂とからなるものであり、画像部ではアルカリ水溶液溶解性が低く、非画像部では熱によりアルカリ水溶液可溶性が高くなり、現像により除去され得るようになって画像が形成されるものが開示されている(特許文献2及び3参照。)。
【0005】
従来の平版印刷版原版において、ノボラック樹脂は、溶解阻止剤と強く相互作用するため、露光部と非露光部とで現像液に対する溶解性の差が大きくなること、インキ受容性に優れること等の理由から、特に好ましく用いられている。そして、赤外線レーザ用ポジ型感光性画像形成材料についても、同様の理由からノボラック樹脂が用いられている。
【0006】
溶解抑制剤としては多岐に渡る化合物が検討されているが、とりわけオニウム塩型の溶解抑制剤が非常に強い溶解抑制能を示すことが知られている。しかし、一般的なオニウム塩化合物の添加では、高い溶解抑制能による未露光部の耐アルカリ性向上効果は得られるが、感度の低下を招くことが問題であった。この問題を克服する手段として、特定のオニウム塩を用いる新たな感光材料が開示されている。例えば、特願2001−79530号明細書に開示されるオニウム塩や、特願2001−398047号明細書に開示される4級アンモニウム塩は、高い溶解抑制能と高感度を両立する優れた特性を示すことが分かってきている。
【0007】
しかし、前述のオニウム塩型溶解抑制剤を用いた感光材料は、露光後時間が経つと現像性が低下し現像不良を発生する場合があることが分かってきた。このような露光後の時間による現像性の低下は、製版工程において問題であり、改善が求められているのが現状である。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−285275号公報
【特許文献2】
国際公開第97/39894号パンフレット
【特許文献3】
欧州特許出願公開第0823327A2号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、露光部と非露光部との現像液に対する溶解性の差(溶解性ディスクリミネーション:以下、適宜「溶解性ディスクリ」と称する)に優れ、かつ露光後の時間による現像性変化の度合い(以下、適宜「焼きだめ性」と称する)が小さいヒートモード対応ポジ型平版印刷版原版に有用な画像形成材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、特定のアンモニウム塩を添加することで、画像形成層の最表面に現像液難溶部位(以下、「表面難溶化部位」と称する。)を形成し、感度を落とすことなく溶解性ディスクリ向上と焼きだめ性改良とを両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明の画像形成材料は、支持体上に、少なくとも、(A)水不溶性かつアルカリ可溶性高分子化合物、(B)光熱変換剤、及び(C)下記一般式(1)で表されるアンモニウム塩を含有する画像形成層を有することを特徴とする。
【0012】
【化2】
Figure 2004117546
【0013】
一般式(1)中、Rは、炭素数6以上の長鎖アルキル基又は炭素数6以上の長鎖アルキル部位を少なくとも一つ有する有機基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子を1つ以上含む有機基を表し、互いに結合して環構造を形成してもよい。Xはカウンターアニオンを表す。
【0014】
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
即ち、本発明において、画像形成層(感光層)に含有される一般式(1)で表されるアンモニウム塩は長鎖アルキル部位を有している。当該アンモニウム塩を感光層中に含有させると、感光層中の最表面に濃縮され、かつ分子がある程度の疎水性を有していることに起因して、バインダーとの適度な相互作用を持ち、非常に強力な溶解抑制能を表面にて発現し表面難溶化部位を形成するものと考えられる。
また、ヒートモード露光により発生する熱を、基板への熱拡散の影響を受けにくい表面近傍で効率よく利用できるため、表面難溶化部位の溶解抑制は露光により充分に解除され、良好な溶解性ディスクリを与えるものと考えられる。一方、表面近傍の感光層は、露光により充分なエネルギーを受け取ることによって、何らかの(実質的な)不可逆的変化を起こしていると推測され、露光後時間が経っても表面難溶化部位が再生し難く、結果として、焼きだめ性の向上に繋がっているものと考えられる。
【0015】
なお、本発明において「ヒートモード対応」とは、ヒートモード露光による記録が可能であることを意味する。
本発明におけるヒートモード露光の定義について詳述する。Hans−Joachim Timpe,IS&Ts NIP 15:1999 International Conference on Digital Printing Technologies.P.209に記載されているように、感光体材料において光吸収物質(例えば色素)を光励起させ、化学的或いは物理的変化を経て、画像を形成するその光吸収物質の光励起から化学的或いは物理的変化までのプロセスには大きく分けて二つのモードが存在することが知られている。1つは光励起された光吸収物質が感光材料中の他の反応物質と何らかの光化学的相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動)をすることで失活し、その結果として活性化した反応物質が上述の画像形成に必要な化学的或いは物理変化を引き起こすいわゆるフォトンモードであり、もう1つは光励起された光吸収物質が熱を発生し失活し、その熱を利用して反応物質が上述の画像形成に必要な化学的或いは物理変化を引き起こすいわゆるヒートモードである。その他、物質が局所的に集まった光のエネルギーにより爆発的に飛び散るアブレーションや1分子が多数の光子を一度に吸収する多光子吸収など、特殊なモードもあるがここでは省略する。
【0016】
上述の各モードを利用した露光プロセスをフォトンモード露光及びヒートモード露光と呼ぶ。フォトンモード露光とヒートモード露光の技術的な違いは、目的とする反応のエネルギー量に対し露光する数個の光子のエネルギー量を加算して使用できるかどうかである。例えば、n個の光子を用いて、ある反応を起こすことを考える。フォトンモード露光では光化学的相互作用を利用しているため、量子のエネルギー及び運動量保存則の要請により1光子のエネルギーを足し併せて使用することができない。つまり、何らかの反応を起こすためには「1光子のエネルギー量≧反応のエネルギー量」の関係が必要である。一方、ヒートモード露光では光励起後に熱を発生し、光エネルギーを熱に変換し利用するためエネルギー量の足し併せが可能となる。そのため、「n個の光子のエネルギー量≧反応のエネルギー量」の関係があれが充分となる。但し、このエネルギー量加算には熱拡散による制約を受ける。即ち、今注目している露光部分(反応点)から熱拡散により熱が逃げるまでに次の光励起−失活過程が起こり熱が発生すれば、熱は確実に蓄積加算し、その部分の温度上昇につながる。しかし、次の熱の発生が遅い場合には熱が逃げて蓄積されない。つまり、ヒートモード露光では同じ全露光エネルギー量であっても高エネルギー量の光を短い時間照射した場合と低エネルギー量の光を長い時間照射した場合とでは結果が異なり、短時間の方が熱の蓄積に有利になる。
【0017】
無論、フォトンモード露光では後続反応種の拡散の影響で似たような現象が起こる場合もあるが、基本的には、このようなことは起こらない。
即ち、感光材料の特性として見た場合、フォトンモードでは露光パワー密度(W/cm)(=単位時間当たりのエネルギー密度)に対し感光材料の固有感度(画像形成に必要な反応のためのエネルギー量)は一定となるが、ヒートモードでは露光パワー密度に対し感光材料の固有感度が上昇することになる。従って、実際に画像記録材料として実用上、必要な生産性を維持できる程度の露光時間を固定すると、各モードを比較した場合、フォトンモード露光では通常は約0.1mJ/cm程度の高感度化が達成できるものの、どのように少ない露光量でも反応が起こるため、未露光部での低露光カブリの問題が生じ易い。これに対し、ヒートモード露光では、ある一定以上の露光量でないと反応が起こらず、また、感光材料の熱安定性との関係から通常は50mJ/cm程度が必要となるが、低露光カブリの問題が回避される。
そして、事実上ヒートモード露光では感光材料の版面での露光パワー密度が5000W/cm以上が必要であり、好ましくは10000W/cm以上が必要となる。但し、ここでは詳しく述べなかったが5.0×10W/cm以上の高パワー密度レーザーを利用するとアブレーションが起こり、光源を汚す等の問題から好ましくない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の画像形成材料は、画像形成層に、(A)水不溶性かつアルカリ可溶性高分子化合物、(B)光熱変換剤、及び(C)下記一般式(1)で表されるアンモニウム塩を含有することを要する。以下に、本発明に係る画像形成層を構成する成分について順次説明する。
【0019】
[(C)一般式(1)で表されるアンモニウム塩]
本発明に係る画像形成層は、下記一般式(1)で表されるアンモニウム塩を含有する。
【0020】
【化3】
Figure 2004117546
【0021】
一般式(1)中、Rは、炭素数6以上の長鎖アルキル基又は炭素数6以上の長鎖アルキル部位を少なくとも一つ有する有機基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子を1つ以上含む有機基を表し、互いに結合して環構造を形成してもよい。Xはカウンターアニオンを表す。
【0022】
以下、一般式(1)で表されるアンモニウム塩について詳細に説明する。
前記Rとしては、アンモニウム中心の窒素原子と長鎖アルキル基とが直接結合する場合と、任意の置換基を介して長鎖アルキル基が結合する場合とがある。前者の場合にはR自身が長鎖アルキル基を表し、後者の場合にはRは長鎖アルキル部位を有する有機基を表す。Rはさらに置換基を有していてもよい。
【0023】
前記Rで表される長鎖アルキル基としては、長鎖アルキル部位である場合も同様に、炭素数6以上であることを要し、炭素数6〜30の直鎖の炭化水素基であることが好ましく、炭素数7〜24がより好ましく、溶解抑制能と感度とを最も高いレベルで両立する範囲としては、炭素数8〜20が最も好ましい。炭素数が大きすぎるとバインダーとの相溶性が低下し、溶解抑制能を発現し難くなり、炭素数が小さすぎると、バインダー中で均一に分布し、表面難溶化層が形成されにくくなる。
前記Rが長鎖アルキル部位(R)を有する有機基である場合、Rが結合する有機基としては、任意の構造であってよい。
なお、以下の説明においては、本発明における長鎖アルキル基(長鎖アルキル部位の場合も同様)を記号Rで表し、好ましい範囲も同様とする。
【0024】
一般式(1)におけるRとしては、R−(R:長鎖アルキル基)、又は下記一般式(2)で表される置換基であることが特に好ましい。
【0025】
【化4】
Figure 2004117546
【0026】
一般式(2)中、R及びRは、水素原子又は任意の置換基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく、また互いに結合して環構造を形成してもよい。Rは水素原子又は任意の置換基を表し、複数存在する場合には、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Lは2価の連結基又は単結合を表す。Rは長鎖アルキル部位を表す。nは0又は1の整数を表す。mは0から4の整数を表す。
【0027】
一般式(2)中、R及びRで表される任意の置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、等が挙げられる。)、
アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基、2−シクロヘキセニルメチル基、等が挙げられる。)、
アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基、等が挙げられる。)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基、等が挙げられる。)。
【0028】
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、更に導入される置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていてもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していてもよい。
一般式(2)において、R及びRに更に導入される置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0029】
一般式(2)中、n=1の場合、合成適性の観点からは、R及びRのいずれか一方が水素原子である構造が好ましく、両方とも水素原子である構造が最も好ましい。
【0030】
一般式(2)中、Rで表される任意の置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、等を挙げることができ、これらはさらに置換されていてもよい。
【0031】
一般式(2)中、Lで表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン、アリーレン、−O−(酸素原子)、−S−(硫黄原子)、−N(R)−(Rは水素原子を含む任意の置換基を表す。)、−CONH−、−COO−、−COS−、−CO−、−NHCONH−、−NHCOO−、−OC(R)(R10)O−(R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子を含む任意の置換基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。)、−C(R11)=N−(R11は水素原子を含む任意の置換基を表す。)等、さらにこれらの連結基から選ばれる任意の連結基同士を2つ以上連結した構造からなる2価の連結基を挙げることができる。これらの中でも、Lの好ましい形態としては、単結合、アルキレン、−O−(酸素原子)、−S−(硫黄原子)を挙げることができる。
【0032】
一般式(1)中、R、R及びRで表される有機基としては、以下のものを例示することができる。
例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、等が挙げられる。)、
アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基、2−シクロヘキセニルメチル基、等が挙げられる。)、
アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基、等が挙げられる。)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基、等が挙げられる。)。
【0033】
これらの有機基は更に置換されてもよい。また、更に導入される置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていてもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していてもよい。
一般式(1)において、R、R及びRに更に導入される置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0034】
一般式(1)におけるR、R及びRは、有機基全般から任意に選択可能であるが、溶解抑制能を発現するためには、バインダーポリマーとの適度な親和性とある程度の疎水性があることが好ましい。R、R及びRとして選ばれる置換基としては、炭素数2以上の置換基が少なくとも1つあることが好ましく、炭素数2以上の置換基が少なくとも2つであることがより好ましく、最も好ましい形態としては、R、R及びRの総てが炭素数2以上の置換基であることである。具体的には、上記R、R及びRとしては、アルキル基、アリール基、及びそれらを更に任意に置換した基であることが好ましく、R、R及びRのうち少なくとも一つが、下記一般式(3)で表される置換基であることがさらに好ましい。
【0035】
【化5】
Figure 2004117546
【0036】
一般式(3)中、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子又は任意の置換基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。R14水素原子又は任意の置換基を表し、複数存在する場合には、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。nは0又は1の整数を表す。mは0から5の整数を表す。
【0037】
前記R12及びR13で表される任意の置換基としては、前記一般式(2)においてR及びRで表される任意の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記14で表される任意の置換基としては、前記一般式(2)においてRで表される任意の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0038】
一般式(3)中、n=1の場合、合成適性の観点から、R12及びR13のいずれか一方が水素原子である構造が好ましく、両方とも水素原子である構造が最も好ましい。
【0039】
一般式(1)中、Xで表されるカウンターアニオンとしては、任意の有機酸又は無機酸の共役塩基に相当するアニオンであることが好ましく、高分子化合物でも低分子化合物でもよく、多価のアニオンであってもよい。これらのアニオンとしては、Ra1−SO 、Ra1−SO 、Ra1−CO 、Ra1−CS 、Ra1−O−CS 、Ra1−S−CS 、Ra1−O−PO 、(Ra1−O)PO 、Ra1(Ra1−O)PO 、Ra1−EW−Z−EW−Ra1、(Ra1、Arなどの有機酸共役塩基に相当するアニオン、又は、F、Cl、Br、I、PF 、BF 、SbF 、ClO 、SO 2−、NO 、CO 2−、SCN、CN、SiF 、FSO 、I 、Br 、IBr 等の無機酸共役塩基に相当するアニオンを挙げることができる。
ここで、上記Ra1は有機置換基を表し、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はそれらをさらに置換した基を表し、分子内に複数存在する場合は、互いに独立して選択してよく、また互いに結合して環を形成してもよい。上記EW〜EWは電子吸引性基を表し、具体例としては、−SO−、−CO−、−SO−、−CN等を挙げることができる。上記Zは−CRz1−(Rz1は水素原子又は置換基)、又は−N−を表す。上記Arはアリール基を表す。
【0040】
一般式(1)中、Xとして特に好ましくは、Ra1−SO 、Ra1−CO 、Ra1−EW−Z−EW−Ra1、Cl、Br、I、PF 、BF 、SbF 、ClO 、を挙げることができる。
【0041】
一般式(1)で表されるアンモニウム塩のうち、好ましい形態として、下記一般式(1−a)で表されるアンモニウム塩を挙げることができる。
【0042】
【化6】
Figure 2004117546
【0043】
一般式(1−a)中、ZはN原子を含む環構造を形成する残基を表す。Lは2価の連結基又は単結合を表す。Rは炭素原子を1つ以上含む有機基を表し、Z又はLと結合して環構造を形成してもよい。Rは長鎖アルキル部位を表す。pは0又は1の整数を表す。Xはカウンターアニオンを表す。
【0044】
一般式(1−a)中、Zで表される残基は、N原子を含む環構造を形成する2価の有機基であればいずれのものでもよく、炭化水素系の環構造のみならず、複数の窒素原子を含むものや、酸素原子、硫黄原子などの他のヘテロ原子を含む環構造であってもよい。また、環構造内に二重結合を有するものであってもよく、多環構造をとるものであってもよい。
前記Z及びN原子からなる環構造は、さらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0045】
一般式(1−a)中、Z及びN原子からなる環構造の好ましい形態としては、形成される環構造が、3員環から10員環であるものを挙げることができ、インヒビション解除性がより効果的な範囲としては、3から8員環であるものが好ましく、合成適性を考慮すると、5員環及び6員環であるものが好ましい。
また、一般式(1−a)中のZとして好ましくは、N窒素原子と共有結合するZ上の2つの原子がともに炭素原子である場合である。さらに好ましくは、Zが−(CH−で表される場合を挙げることができ、この場合、nが3から10の整数であることが好ましく、3から8の整数であることがより好ましく、5又は6の整数であることが最も好ましい。
【0046】
一般式(1−a)中、Lは任意2価の連結基又は単結合を表し、該2価の連結基としては、例えば、アルキレン、アリーレン、−O−(酸素原子)、−S−(硫黄原子)、−N(R)−(Rは水素原子を含む任意の置換基を表す。)、−CONH−、−COO−、−COS−、−CO−、−NHCONH−、−NHCOO−、−OC(R)(R10)O−(R及びR10は、水素原子を含む任意の置換基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。)、−C(R11)=N−(R11は水素原子を含む任意の置換基を表す。)等、さらにこれらの連結基から選ばれる任意の連結基同士を2つ以上連結した構造からなる2価の連結基を挙げることができる。
これらの中でも、Lの好ましい形態としては、単結合、アルキレン、アリーレン、−O−(酸素原子)、−S−(硫黄原子)、アルキレンとアリーレンとが連結した連結基、−O−(酸素原子)とアリーレンとが連結した連結基、−S−(硫黄原子)とアリーレンとが連結した連結基を挙げることができる。
【0047】
一般式(1−a)中、Rで表される炭素原子を1つ以上含む有機基としては、以下のものを例示することができる。
例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、等が挙げられる。)、
アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基、2−シクロヘキセニルメチル基、等が挙げられる。)、
アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基、等が挙げられる。)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基、等が挙げられる。)。
【0048】
これらの有機基は更に置換されてもよい。また、更に導入される置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていてもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していてもよい。
一般式(1−a)において、Rに更に導入される置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0049】
一般式(1−a)におけるRは、有機基全般から任意に選択可能であるが、溶解抑制能を発現するためには、バインダーポリマーとの適度な親和性とある程度の疎水性があることが好ましく、R中の炭素数が2以上であることが好ましく、R中の炭素数が3以上であることがより好ましい。最も好ましい形態としては、Rが下記一般式(4)で表される置換基である場合を挙げることができる。
【0050】
【化7】
Figure 2004117546
【0051】
一般式(4)中、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子又は任意の置換基を表し、前記一般式(3)におけるR12及びR13と同義であり、好ましい範囲も同様である。Arは置換基を有していてもよいアリール基を表すArで表される置換基を有していてもよいアリール基としては、好ましくは任意の置換基を更に有していてもよいフェニル基、ナフチル基を表す。nは0又は1の整数を表し、n=1の場合、合成適性の観点から、R12及びR13のいずれか一方が水素原子である構造が好ましく、両方とも水素原子である構造が最も好ましい。
【0052】
一般式(1−a)中、Xで表されるカウンターアニオンとしては、任意の有機酸又は無機酸の共役塩基に相当するアニオンであることが好ましく、高分子化合物でも低分子化合物でもよく、多価のアニオンであってもよい。これらのアニオンとしては、Ra1−SO 、Ra1−SO 、Ra1−CO 、Ra1−CS 、Ra1−O−CS 、Ra1−S−CS 、Ra1−O−PO 、(Ra1−O)PO 、Ra1(Ra1−O)PO 、Ra1−EW−Z−EW−Ra1、(Ra1、Arなどの有機酸共役塩基に相当するアニオン、又は、F、Cl、Br、I、PF 、BF 、SbF 、ClO 、SO 2−、NO 、CO 2−、SCN、CN、SiF 、FSO 、I 、Br 、IBr 等の無機酸共役塩基に相当するアニオンを挙げることができる。
ここで、上記Ra1は有機置換基であり、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はそれらをさらに置換した基を表し、分子内に複数存在する場合は、互いに独立して選択してよく、また互いに結合して環を形成してもよい。上記EW〜EWは電子吸引性基を表し、具体例として−SO−、−CO−、−SO−、−CN等を挙げることができる。上記Zは−CRz1−(Rz1は水素原子又は置換基を表す。)、又は−N−を表す。上記Arはアリール基を表す。
【0053】
一般式(1−a)中、Xとして特に好ましくは、Ra1−SO 、Ra1−CO 、Ra1−EW−Z−EW−Ra1、Cl、Br、I、PF 、BF 、SbF 、ClO 、を挙げることができる。
【0054】
一般式(1)で表されるアンモニウム塩のうち、好ましい形態としては、下記一般式(1−b)で表されるアンモニウム塩を挙げることができる。
【0055】
【化8】
Figure 2004117546
【0056】
一般式(1−b)中、ZはN原子を含む環構造を形成する残基を表す。Lは2価の連結基若しくは単結合を表す。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。Rは水素原子又は任意の置換基を表す。R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。Rは長鎖アルキル部位を表す。Arは置換基を有していてもよいアリール基を表す。mは0から4の整数を表す。n、n、pは、それぞれ独立して、0又は1の整数を表す。Xはカウンターアニオンを表す。
【0057】
一般式(b)中、Zで表される残基は、N原子を含む環構造を形成する2価の有機基であればいずれのものでもよく、炭化水素系の環構造のみならず、複数の窒素原子を含むものや、酸素原子、硫黄原子などの他のヘテロ原子を含む環構造であってもよい。また、環構造内に二重結合を有するものであってもよく、多環構造をとるものであってもよい。
【0058】
一般式(1−b)中、Z及びN原子からなる環構造の好ましい形態としては、形成される環構造が、3員環から10員環であるものを挙げることができ、インヒビション解除性がより効果的な範囲としては、3から8員環であるものが好ましく、合成適性を考慮すると、5員環及び6員環であるものが好ましい。
また、一般式(1−b)中のZとして好ましくは、N窒素原子と共有結合するZ上の2つの原子がともに炭素原子である場合である。さらに好ましくは、Zが−(CH−で表される場合を挙げることができ、この場合、nが3から10の整数であることが好ましく、3から8の整数であることがより好ましく、5又は6の整数であることが最も好ましい。
【0059】
一般式(1−b)中、Z及びN原子からなるN原子を含む環構造はさらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0060】
一般式(1−b)中、Lは任意2価の連結基若しくは単結合を表し、該2価の連結基としては、例えば、アルキレン、アリーレン、−O−(酸素原子)、−S−(硫黄原子)、−N(R)−(Rは水素原子を含む任意の置換基を表す。)、−CONH−、−COO−、−COS−、−CO−、−NHCONH−、−NHCOO−、−OC(R)(R10)O−(R及びR10は、水素原子を含む任意の置換基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。)、−C(R11)=N−(R11は水素原子を含む任意の置換基を表す。)等、さらにこれらの連結基から選ばれる任意の連結基同士を2つ以上連結した構造からなる2価の連結基を挙げることができる。
これらの中でも、Lの好ましい形態としては、単結合、アルキレン、−O−(酸素原子)、−S−(硫黄原子)を挙げることができる。
【0061】
一般式(1−b)中、R及びRで表される任意の置換基は、前記一般式(2)においてR及びRで表される任意の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
=1の場合、合成適性の観点から、R及びRのいずれか一方が水素原子である構造が好ましく、両方とも水素原子である構造が最も好ましい。
【0062】
一般式(1−b)中、R12及びR13で表される任意の置換基は、前記一般式(3)においてR12及びR13で表される任意の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
=1の場合、合成適性の観点から、少なくともR12及びR13のいずれか一方が水素原子である構造が好ましく、両方とも水素原子である構造が最も好ましい。
【0063】
一般式(1−b)中、Rで表される任意の置換基は、前記一般式(2)においてRで表される任意の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。Rが複数存在する場合には、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0064】
一般式(1−b)中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を表し、好ましくは任意の置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基を表す。
【0065】
一般式(1−b)中、Xで表されるカウンターアニオンとしては、任意の有機酸又は無機酸の共役塩基に相当するアニオンであることが好ましく、高分子化合物でも低分子化合物でもよく、多価のアニオンであってもよい。これらのアニオンとしては、Ra1−SO 、Ra1−SO 、Ra1−CO 、Ra1−CS 、Ra1−O−CS 、Ra1−S−CS 、Ra1−O−PO 、(Ra1−O)PO 、Ra1(Ra1−O)PO 、Ra1−EW−Z−EW−Ra1、(Ra1、Arなどの有機酸共役塩基に相当するアニオン、又は、F、Cl、Br、I、PF 、BF 、SbF 、ClO 、SO 2−、NO 、CO 2−、SCN、CN、SiF 、FSO 、I 、Br 、IBr 等の無機酸共役塩基に相当するアニオンを挙げることができる。
ここで、上記Ra1は有機置換基であり、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はそれらをさらに置換した基を表し、分子内に複数存在する場合は、互いに独立して選択してよく、また互いに結合して環を形成してもよい。上記EW〜EWは電子吸引性基を表し、具体例として−SO−、−CO−、−SO−、−CN等を挙げることができる。Zは−CRz1−(Rz1は水素原子又は置換基を表す。)、又は−N−を表す。Arはアリール基を表す。
【0066】
一般式(1−b)中、Xとして特に好ましくは、Ra1−SO 、Ra1−CO 、Ra1−EW−Z−EW−Ra1、Cl、Br、I、PF 、BF 、SbF 、ClO 、を挙げることができる。
【0067】
一般式(1)で表されるアンモニウム塩のうち、好ましい形態として、下記一般式(1−c)で表されるアンモニウム塩を挙げることができる。
【0068】
【化9】
Figure 2004117546
【0069】
一般式(1−c)中、Lは任意の2価の連結基又は単結合を表す。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。Rは、水素原子又は任意の置換基を表す。R12及びR13、それぞれ独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。R14は、それぞれ独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。Rは長鎖アルキル部位を表す。m1及びm2は、それぞれ独立して、0から5の整数を表す。n、n及びpは、それぞれ独立して、0又は1の整数を表す。qは、2〜15の整数を表す。Xはカウンターアニオンを表す。
【0070】
一般式(1−c)中、R及びRで表される任意の置換基は、前記一般式(2)においてR及びRで表される任意の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
=1の場合、合成適性の観点から、R及びRのいずれか一方が水素原子である構造が好ましく、両方とも水素原子である構造が最も好ましい。
【0071】
一般式(1−c)中、R12及びR13で表される任意の置換基は、前記一般式(3)においてR12及びR13で表される任意の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
=1の場合、合成適性の観点から、R12及びR13のいずれか一方が水素原子である構造が好ましく、両方とも水素原子である構造が最も好ましい。
【0072】
一般式(1−c)中、Rで表される任意の置換基は、前記一般式(2)においてRで表される任意の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。Rが複数存在する場合には、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0073】
一般式(1−c)中、R14で表される任意の置換基は、前記一般式(3)においてR14で表される任意の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。R14が複数存在する場合には、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0074】
一般式(1−c)中、Lは、任意の2価の連結基又は単結合を表し、該2価の連結基としては、例えば、アルキレン、アリーレン、−O−(酸素原子)、−S−(硫黄原子)、−N(R)−(Rは水素原子を含む任意の置換基を表す。)、−CONH−、−COO−、−COS−、−CO−、−NHCONH−、−NHCOO−、−OC(R)(R10)O−(R及びR10は、水素原子を含む任意の置換基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。)、−C(R11)=N−(R11は水素原子を含む任意の置換基を表す。)等、さらにこれらの連結基から選ばれる任意の連結基同士を2つ以上連結した構造からなる2価の連結基を挙げることができる。
これらの中でも、Lの好ましい形態としては、単結合、アルキレン、−O−(酸素原子)、−S−(硫黄原子)を挙げることができる。
【0075】
一般式(1−c)中、qは、2〜15の整数を表し、3から10の整数であることが好ましく、3から8の整数であることがより好ましく、4又は5の整数であることが最も好ましい。
【0076】
一般式(1−c)中、Xで表されるカウンターアニオンとしては、任意の有機酸又は無機酸の共役塩基に相当するアニオンであることが好ましく、高分子化合物でも低分子化合物でもよく、多価のアニオンであってもよい。これらのアニオンとしては、Ra1−SO 、Ra1−SO 、Ra1−CO 、Ra1−CS 、Ra1−O−CS 、Ra1−S−CS 、Ra1−O−PO 、(Ra1−O)PO 、Ra1(Ra1−O)PO 、Ra1−EW−Z−EW−Ra1、(Ra1、Arなどの有機酸共役塩基に相当するアニオン、又は、F、Cl、Br、I、PF 、BF 、SbF 、ClO 、SO 2−、NO 、CO 2−、SCN、CN、SiF 、FSO 、I 、Br 、IBr 等の無機酸共役塩基に相当するアニオンを挙げることができる。
ここで、上記Ra1は有機置換基であり、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はそれらをさらに置換した基を表し、分子内に複数存在する場合は、互いに独立して選択してよく、また互いに結合して環を形成してもよい。上記EW〜EWは電子吸引性基を表し、具体例として−SO−、−CO−、−SO−、−CN等を挙げることができる。上記Zは−CRz1−(Rz1は水素原子又は置換基を表す。)、又は−N−を表す。Arはアリール基を表す。
【0077】
一般式(1−c)中、Xとして特に好ましくは、Ra1−SO 、Ra1−CO 、Ra1−EW−Z−EW−Ra1、Cl、Br、I、PF 、BF 、SbF 、ClO 、を挙げることができる。
【0078】
本発明の画像形成材料に用いられる一般式(1)で表されるアンモニウム塩は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。一般式(1)で表されるアンモニウム塩の含有量としては、膜形成性の観点から画像形成層の全固形分質量の50%以下であることが好ましく、画像形成性が極めて良好であるという観点からは、0.1%〜30%の範囲であることが好ましく、また、耐刷性等の印刷性能と、画像形成性を高いレベルで両立する添加量として、0.5%〜15%の範囲であることが最も好ましい。
【0079】
以下、本発明で好適に用いられる一般式(1)で表されるアンモニウム塩の具体例(例示化合物I−1〜I−65)を挙げるが、一般式(1)で表されるアンモニウム塩であれば、この範囲において任意に選択することが可能であり、本発明が以下の例示化合物に限定されるものではない。
【0080】
【化10】
Figure 2004117546
【0081】
【化11】
Figure 2004117546
【0082】
【化12】
Figure 2004117546
【0083】
【化13】
Figure 2004117546
【0084】
【化14】
Figure 2004117546
【0085】
【化15】
Figure 2004117546
【0086】
【化16】
Figure 2004117546
【0087】
【化17】
Figure 2004117546
【0088】
【化18】
Figure 2004117546
【0089】
【化19】
Figure 2004117546
【0090】
[(A)水不溶性且つアルカリ可溶性高分子化合物]
本発明におけるポジ型の画像形成層に使用できる(A)水不溶性かつアルカリ可溶性高分子化合物(以下、適宜「アルカリ可溶性樹脂」と称する。)としては、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体又はこれらの混合物を包含する。酸性基に関しては、予め酸性基を有しているモノマーを重合して導入する方法と、重合後の高分子反応によって導入する方法、及びそれらを併用する方法のいずれの方法で導入してもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、プラスチック・エージ株式会社“フェノール樹脂”、アイピーシー株式会社“フェノール樹脂の合成・硬化・強靱化及び応用”、日刊工業新聞社“プラスチック材料講座(15)フェノール樹脂”、工業調査会株式会社“プラスチック全書(15)フェノール樹脂”等に記載されるフェノール樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、ハイドロキノンモノメタクリレート共重合体の他、特開平7−28244号公報記載のスルホニルイミド系ポリマー、特開平7−36184号公報記載のカルボキシル基含有ポリマー、特開昭51−34711号公報に開示されているようなフェノール性水酸基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載のスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系の樹脂等、種々のアルカリ可溶性の高分子化合物を用いることができ、特に制限はないが、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖及び/又は側鎖中に有するものが、アルカリ性現像液に対する溶解性の点、溶解抑制能発現の点で好ましい。
【0091】
(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SONH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SONHCOR、−SONHSOR、−CONHSOR〕
(4)カルボン酸基(−COH)
(5)スルホン酸基(−SOH)
(6)リン酸基(−OPO
【0092】
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0093】
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂の中でも、(1)フェノール基、(2)スルホンアミド基(3)活性イミド基、及び(4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、(1)フェノール基又は(2)スルホンアミド基、及び(4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂が、アルカリ性現像液に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を充分に確保する点から最も好ましい。
【0094】
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)フェノール基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、フェノール性水酸基を有するアクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも画像形成性や熱硬化性の観点からノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂が好ましく、安定性の点からノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂がより好ましく、原料入手性、汎用性の観点からノボラック樹脂が特に好ましい。
【0095】
ノボラック樹脂とは、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、フロログルシノール、4,4’−ビフェニルジオール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類の少なくとも1種を、酸性触媒下、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類(ホルムアルデヒドに代えてパラホルムアルデヒドを、アセトアルデヒドに代えてパラアルデヒドを、用いてもよい)、又は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、の少なくとも1種と重縮合させた樹脂のことを指す。
【0096】
本発明においては、フェノール類として、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシノールと、アルデヒド類又はケトン類としてホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドとの重縮合体が好ましく、特に、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシノールの混合割合がモル比で40〜100:0〜50:0〜20:0〜20:0〜20の混合フェノール類、又は、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で0〜100:0〜70:0〜60の(混合)フェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体が好ましい。
【0097】
なお、本発明におけるポジ型の画像形成層には、後述する溶剤抑止剤を含有することが好ましく、その場合は、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシノールの混合割合がモル比で70〜100:0〜30:0〜20:0〜20:0〜20の混合フェノール類、又は、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で10〜100:0〜60:0〜40の混合フェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体が好ましい。
【0098】
また、フェノール基を有するアルカリ可溶性樹脂として、フェノール基を有する重合性モノマーの重合体を挙げることができる。
フェノール基を有する重合性モノマーとしては、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。
具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。
【0099】
また、酸基前駆体を重合し、高分子化した後で酸基へと誘導してもよい。例えば、酸基前駆体としてp−アセトキシスチレンを重合した後、エステル部を加水分解しフェノール性水酸基へと誘導してもよい。また、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体も好適な例として挙げることができる。
【0100】
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物が挙げられる。
【0101】
【化20】
Figure 2004117546
【0102】
一般式(i)〜(v)中、X及びXは、それぞれ独立に−O−又は−NRを表す。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は−CHを表す。R、R、R、R12、及びR16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R、R、及びR13は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R及びR17は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R、R10、及びR14は、それぞれ独立に水素原子又は−CHを表す。R11及びR15は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y及びYは、それぞれ独立に単結合又はCOを表す。
【0103】
一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物のうち、本発明のポジ型平版印刷用材料では、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0104】
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、活性イミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができる。
【0105】
【化21】
Figure 2004117546
【0106】
具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0107】
(4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
【0108】
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
【0109】
(6)リン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
【0110】
ポジ型画像形成層に用いるアルカリ可溶性樹脂を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、又は異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることもできる。
【0111】
前記共重合体は、共重合させる(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%未満であると、アルカリ可溶性が不充分となりやすく、現像ラチチュードの向上効果が充分達成されないことがある。
【0112】
本発明では、化合物を共重合してアルカリ可溶性樹脂を共重合体として用いる場合、共重合させる化合物として、前記(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物を用いることもできる。(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物の例としては、下記(m1)〜(m13)に挙げる化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
【0114】
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビ
ニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
【0115】
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)無水マレイン酸、イタコン酸無水物、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド等。
(m13)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特願2001−115595号明細書、特願2001−115598号明細書等に記載されている化合物を挙げることができる。
【0116】
本発明において、アルカリ可溶性樹脂が、前記(1)フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、(2)スルホンアミド基を有する重合性モノマー、(3)活性イミド基を有する重合性モノマー、(4)カルボン酸基を有する重合性モノマー、(5)スルホン酸基を有する重合性モノマー、及び(6)リン酸基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体の場合、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、単に重量平均分子量という)が2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましく、更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
【0117】
また、本発明において、前記アルカリ可溶性高分子化合物がノボラック樹脂である場合には、重量平均分子量が500〜100,000であり、数平均分子量が200〜50,000のものが好ましい。特願2001−126278号明細書に記載されるような低分子成分の比率が少ないノボラック樹脂を用いてもよい。
【0118】
これらアルカリ可溶性樹脂は、それぞれ1種類或いは2種類以上を組み合わせて使用してもよく、画像形成層(感光層)全固形分中、30〜99質量%、好ましくは40〜95質量%、特に好ましくは50〜90質量%の添加量で用いられる。アルカリ可溶性樹脂の添加総量が30質量%未満であると、感光層の耐久性が悪化し、また、99質量%を超えると感度、画像形成性の観点で好ましくない。
【0119】
アルカリ可溶性高分子を併用する場合、どのような組み合わせを用いてもよいが、特に好適な例としては、フェノール性水酸基を有するポリマーとスルホンアミド酸基を有するポリマーとの併用、フェノール性水酸基を有するポリマーとカルボン酸基を有するポリマーとの併用、フェノール性水酸基を有するポリマー2種以上の併用、例えば米国特許第4123279号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、特開2000−241972号公報に記載の芳香環上に電子吸引性基を有するフェノール構造を有するアルカリ可溶性樹脂などとの併用を挙げることができる。
【0120】
[(B)光熱変換剤]
本発明に用いられる光熱変換剤としては、記録に使用する光エネルギー照射線を吸収し、熱を発生する物質であれば特に吸収波長域の制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザーへの適合性の観点から波長760nmから1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる。
【0121】
〔赤外線吸収性染料又は顔料〕
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、ナフタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、(チオ)ピリリウム塩、金属チオレート錯体、インドアニリン金属錯体系染料、オキソノール染料、ジイモニウム染料、アミニウム染料、クロコニウム染料、分子間CT色素等の染料が挙げられる。
【0122】
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号公報、特開昭59−84356号公報、特開昭59−202829号公報、特開昭60−78787号公報等に記載されているシアニン染料、
特開昭58−173696号公報、特開昭58−181690号公報、特開昭58−194595号公報等に記載されているメチン染料、
特開昭58−112793号公報、特開昭58−224793号公報、特開昭59−48187号公報、特開昭59−73996号公報、特開昭60−52940号公報、特開昭60−63744号公報等に記載されているナフトキノン染料、
特開昭58−112792号公報等に記載されているスクアリリウム色素、
英国特許434,875号明細書に記載のシアニン染料、
等を挙げることができる。
【0123】
また、米国特許第5,156,938号明細書に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号公報、同58−220143号公報、同59−41363号公報、同59−84248号公報、同59−84249号公報、同59−146063号公報、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号公報、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
【0124】
また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
【0125】
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0126】
さらに、下記一般式(a)〜一般式(f)で示される染料が光熱変換効率に優れるため好ましく、特に、下記一般式(a)で示されるシアニン色素は、本発明において使用した場合に、アルカリ溶解性樹脂との高い相互作用を与え、かつ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
【0127】
【化22】
Figure 2004117546
【0128】
一般式(a)中、R及びRは、各々独立に炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、アルキル基上にはアルコキシ基、アリール基、アミド基、アルコキシカルボニル基、水酸基、スルホ基、カルボキシル基より選択される置換基を有してもよい。Y及びYは、各々独立に酸素、硫黄、セレン、ジアルキルメチレン基又は−CH=CH−を表す。Ar及びArは、各々独立に芳香族炭化水素基を表し、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基より選択される置換基を有してもよく、Y及びYと隣接した連続2炭素原子で芳香環を縮環してもよい。
【0129】
一般式(a)中、Xは、電荷の中和に必要なカウンターイオンを表し、色素カチオン部がアニオン性の置換基を有する場合は必ずしも必要ではない。Qは、トリメチン基、ペンタメチン基、ヘプタメチン基、ノナメチン基又はウンデカメチン基より選択されるポリメチン基を表し、露光に用いる赤外線に対する波長適性と安定性の点からペンタメチン基、ヘプタメチン基又はノナメチン基が好ましく、いずれかの炭素上に連続した3つのメチン鎖を含むシクロヘキセン環又はシクロペンテン環を有することが安定性の点で好ましい。
【0130】
一般式(a)中、Qは、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、アリール基、オキシ基、イミニウム塩基、下記一般式(I)で表される置換基より選択される基で置換されていてもよく、好ましい置換基としては塩素原子等のハロゲン原子、ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基、フェニルチオ基等のアリールチオ基が挙げられる。
【0131】
【化23】
Figure 2004117546
【0132】
一般式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。Yは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0133】
線で露光する場合は、特に好ましいものとしては下記一般式(a−1)〜(a−4)で示されるヘプタメチンシアニン色素を挙げることができる。
【0134】
【化24】
Figure 2004117546
【0135】
一般式(a−1)中、Xは、水素原子又はハロゲン原子を表す。R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性から、R及びRは、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、さらに、RとRとは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
【0136】
一般式(a−1)中、Ar及Arは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y及びYは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Zaは、電荷の中和に必要な対アニオンを示し、R〜Rのいずれかがアニオン性置換基で置換されている場合は、Zaは必要ない。好ましいZaは、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びスルホン酸イオンである。上記一般式(a−1)で示されるヘプタメチン色素は、ポジ型の画像形成材料に好適に用いることができ、特にフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂と組み合わせたいわゆる相互作用解除型のポジ感材に好ましく用いられる。
【0137】
【化25】
Figure 2004117546
【0138】
一般式(a−2)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、RとRとは互いに結合し環構造を形成していてもよく、形成する環としては5員環又は6員環が好ましく、5員環が特に好ましい。Ar、Arは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、該芳香族炭化水素基上の好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられ、電子吸引性の置換基が特に好ましい。Y及びYは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。R及びR10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素原子数1〜8のアルキル基、水素原子又はRとR10とが互いに結合し下記構造の環を形成してもよい。
【0139】
【化26】
Figure 2004117546
【0140】
一般式(a−2)中のR及びR10としては、上記のうち、フェニル基等の芳香族炭化水素基が最も好ましい。
また、Xは、電荷の中和に必要な対アニオンであり、前記一般式(a−1)におけるZaと同様の定義である。
【0141】
【化27】
Figure 2004117546
【0142】
一般式(a−3)中、R〜R、Ar、Ar、Y、Y及びXは、それぞれ前記一般式(a−2)におけるものと同義である。Arは、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、又は窒素、酸素及び硫黄原子のうち少なくとも1つを含有する単環又は多環の複素球基を示し、チアゾール系、ベンゾチアゾール系、ナフトチアゾール系、チアナフテノ−7,6,4,5−チアゾール系、オキサゾール系、ベンゾオキサゾール系、ナフトオキサゾール系、セレナゾール系、ベンゾセレナゾール系、ナフトセレナゾール系、チアゾリン系、2−キノリン系、4−キノリン系、1−イソキノリン系、3−イソキノリン系、ベンゾイミダゾール系、3,3−ジアルキルベンゾインドレニン系、2−ピリジン系、4−ピリジン系、3,3−ジアルキルベンゾ[e]インドール系、テトラゾール系、トリアゾール系、ピリミジン系、及びチアジアゾール系よりなる群から選択される複素環基が好ましく、特に好ましい複素環基としては下記構造のものが挙げられる。
【0143】
【化28】
Figure 2004117546
【0144】
【化29】
Figure 2004117546
【0145】
一般式(a−4)中、R〜R、Ar、Ar、Y及びYは、それぞれ前記一般式(a−2)におけるものと同義である。R11及びR12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アリル基、シクロへキシル基又は炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。Zは、酸素原子又は硫黄原子を示す。
【0146】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に例示するものの他、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638号公報の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360号公報の段落番号[0012]〜[0023]、に記載されたものを挙げることができる。
【0147】
【化30】
Figure 2004117546
【0148】
【化31】
Figure 2004117546
【0149】
【化32】
Figure 2004117546
【0150】
【化33】
Figure 2004117546
【0151】
【化34】
Figure 2004117546
【0152】
【化35】
Figure 2004117546
【0153】
【化36】
Figure 2004117546
【0154】
一般式(b)中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。Zbは対カチオンを示す。好ましい対カチオンとしては、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、アルカリ金属カチオン(Ni、K、Li)などが挙げられる。R〜R14及びR15〜R20は互いに独立に水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基、或いは、これらを2つ若しくは3つ組合せた置換基を表し、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、一般式(b)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、R〜R14及びR15〜R20がすべて水素原子を表すものが入手の容易性と効果の観点から好ましい。
【0155】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(b)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
【0156】
【化37】
Figure 2004117546
【0157】
【化38】
Figure 2004117546
【0158】
一般式(c)中、Y及びYは、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。Mは、共役炭素数5以上のメチン鎖を表す。R21〜R24及びR25〜R28は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表す。また、式中Zaは対アニオンを表し、前記一般式(a)におけるZaと同義である。
【0159】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(c)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
【0160】
【化39】
Figure 2004117546
【0161】
【化40】
Figure 2004117546
【0162】
一般式(d)中、R29〜R32は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0乃至4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成してもよく、さらに、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士或いはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X及びXは、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zcは対アニオンを示し、前記一般式(a)におけるZaと同義である。
【0163】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
【0164】
【化41】
Figure 2004117546
【0165】
【化42】
Figure 2004117546
【0166】
一般式(e)中、R35〜R50は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有してもよい、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示す。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、ニッケル、マグネシウム、鉄、亜鉛、スズ、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましく、バナジウム、ニッケル、亜鉛、スズが特に好ましい。これら金属原子は原子価を適切にするために酸素原子、ハロゲン原子等と結合していてもよい。
【0167】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
【0168】
【化43】
Figure 2004117546
【0169】
【化44】
Figure 2004117546
【0170】
【化45】
Figure 2004117546
【0171】
一般式(f−1)及び(f−2)中、R51〜R58は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を示す。Xは、前記一般式(a−2)におけるものと同義である。
【0172】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(f−1)、(f−2)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
【0173】
【化46】
Figure 2004117546
【0174】
上記以外の光熱変換剤としては、特開2001−242613号公報に記載の複数の発色団を有する染料、特開2002−97384号公報、米国特許第6,124,425号明細書に記載の高分子化合物に共有結合で発色団が連結された色素、米国特許6,248,893号明細書に記載のアニオン染料、特開2001−347765号公報に記載の表面配向性基を有する染料等を好適に用いることができる。
【0175】
本発明において光熱変換剤として使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が挙げられる。
【0176】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0177】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0178】
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の画像形成層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像形成層の均一性の点で好ましくない。
【0179】
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0180】
これらの顔料若しくは染料は、記録層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。顔料若しくは染料の添加量が0.01質量%未満であると感度が低くなる傾向があり、また50質量%を越えて配合すると、配合量の増加にしたがって記録層の均一性や、記録層の耐久性に好ましくない影響を与えるおそれがでてくる。また、用いられる染料若しくは顔料は単一の化合物であっても、2種以上の化合物を混合したものでもよく、複数の波長の露光機へ対応するために、吸収波長の異なる染料若しくは顔料を併用することも好ましくおこなわれる。
【0181】
〔その他の成分〕
本発明のポジ型画像形成層を形成するにあたっては、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。例えば、オニウム塩(本発明における一般式(1)で表されるアンモニウム塩は含まれない。)、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ水可溶性高分子化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することは、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る点では、好ましい。オニウム塩としてはジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げることができる。
【0182】
本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えば、S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387(1974) 、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980) 、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al, Macromolecules, 17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct (1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、J. V.Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307 (1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28, p31 (1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同4,491,628号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩、J. V.Crivello et al, Polymer J. 17, 73 (1985)、J. V. Crivello et al. J. Org.Chem., 43, 3055 (1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem.Ed., 22, 1789 (1984) 、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279 (1985) 、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5) ,1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877 (1979) 、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同5,041,358号、同4,491,628号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307 (1977)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci.,Polymer Chem. Ed., 17, 1047 (1979) に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen etal, Teh,Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct (1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
【0183】
上記のオニウム塩のなかでも、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては、特開平5−158230号公報に記載のものがあげられる。
【0184】
上記のオニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
【0185】
好適なキノンジアジド類としては、o−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley & Sons. Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物或いは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403 号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120 号及び同第3,188,210 号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
【0186】
さらに、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば、特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号などの各公報、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものを挙げることができる。
【0187】
o−キノンジアジド化合物の添加量は好ましくは印刷版材料全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
【0188】
o−キノンジアジド化合物以外の添加剤の添加量は、好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。本発明の添加剤と結着剤は、同一層へ含有させることが好ましい。
【0189】
また、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類の画像形成材料中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
【0190】
また、本発明に係る画像形成層塗布液中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開平11−288093号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224,DBE−621,DBE−712,DBP−732,DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることが出来る。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の印刷版材料中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0191】
本発明における画像形成層中には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
【0192】
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料をあげることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、画像形成材料の全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で画像形成材料中に添加することができる。更に本発明の印刷版材料中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
【0193】
また、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、さらには、特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び、本発明者らが先に提案した特開平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物などを目的に応じて適宜添加することができる。
【0194】
本発明の画像形成材料は、この画像形成層を適当な支持体上に形成してなるものであり、平版印刷版原版、カラープルーフ、ディスプレイ材料などのさまざまな用途に適用し得るが、特に赤外線レーザ露光によるダイレクト製版可能なヒートも度対応平版印刷版原版として有用である。
【0195】
[平版印刷版原版]
以下に、本発明の画像形成材料を平版印刷版原版を適用する例を挙げて、具体的な態様について説明する。
〔画像形成層〕
本発明の画像形成材料が適用される平版印刷版原版は、感光層(画像形成層)塗布液用成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。また、目的に応じて、保護層、樹脂中間層、バックコート層なども同様にして形成することができる。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0196】
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版原版の画像形成層についていえば一般的に0.5〜5.0g/mが好ましい。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像形成層の皮膜特性は低下する。
【0197】
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
本発明における画像形成層中には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、画像形成層全固形分中0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0198】
〔樹脂中間層〕
平版印刷版原版には、必要に応じて、画像形成層と支持体の間に樹脂中間層を設けることができる。
この樹脂中間層を設けることで、露光によりアルカリ現像液への溶解性が向上する赤外線感応層である画像形成層が、露光面或いはその近傍に設けらることで赤外線レーザに対する感度が良好であるとともに、支持体と該赤外線感応層との間に高分子からなる樹脂中間層が存在し、断熱層として機能し、赤外線レーザの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率良く画像形成に使用されることからの高感度化も図れるという利点を有する。また、未露光部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性である画像形成層自体が樹脂中間層の保護層として機能するために、現像安定性が良好になるとともにディスクリミネーションに優れた画像が形成され、且つ、経時的な安定性も確保されるものと考えられ、露光部においては、溶解抑制能が解除された画像形成層の成分が速やかに現像液に溶解、分散し、さらには、支持体に隣接して存在するこの樹脂中間層自体がアルカリ可溶性高分子からなるものであるため、現像液に対する溶解性が良好で、例えば、活性の低下した現像液などを用いた場合でも、残膜などが発生することなく速やかに溶解し、現像性の向上にも寄与し、この樹脂中間層は有用であると考えられる。
【0199】
〔支持体〕
本発明に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙、若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。
本発明に係る支持体としては、特に平版印刷版原版に使用する場合、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0200】
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0201】
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/mより少ないと耐刷性が不充分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号明細書、同第3,181,461号明細書、第3,280,734号明細書及び第3,902,734号明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に、特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号明細書、同第4,153,461号明細書、同第4,689,272号明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
【0202】
本発明に係る平版印刷版原版は、支持体上にポジ型の画像形成層を設けたものであるが、必要に応じてその間に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
【0203】
この有機下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/mが適当であり、好ましくは5〜100mg/mである。上記の被覆量が2mg/mよりも少ないと充分な耐刷性能が得られない。また、200mg/mより大きくても同様である。
【0204】
〔露光・現像〕
上記のようにして作製されたポジ型平版印刷版原版は、通常、像露光、現像処理を施される。
像露光に用いられる光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
【0205】
本発明の平版印刷版の現像液及び補充液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。
例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独若しくは2種以上を組み合わせて用いられる。
これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化珪素SiOとアルカリ金属酸化物MOの比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号公報に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
【0206】
更に自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量のPS版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤があげられる。更に現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
上記現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の画像記録材料を印刷版として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0207】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0208】
本発明においては、画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フィルムのフィルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
【0209】
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
【0210】
整面液の塗布量は、一般に0.03〜0.8g/m(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
【0211】
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0212】
【実施例】
(実施例1〜8)
[基板Aの作製]
厚さ0.24mmのアルミニウム板(Si:0. 06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0. 014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金)に対し以下に示す表面処理を連続的に行った。
【0213】
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2 溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
【0214】
二段給電電解処理法の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/mであった。
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を、温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0215】
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成し基板Aを得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/mであった。
【0216】
<下塗液組成>
・下記化合物                        0.3g
・メタノール                        100g
・水                              1g
【0217】
【化47】
Figure 2004117546
【0218】
[基板Bの作製]
厚さ0.24mmのアルミニウム板(Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0. 014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金)に対し以下に示す表面処理を連続的に行った。
【0219】
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。その後、カセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m溶解し、スプレーによる水洗を行った。更に、温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーで水洗した。その後、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2 溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
【0220】
二段給電電解処理法の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/mであった。
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0221】
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成し基板Bを得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/mであった。
【0222】
<下塗液組成>
・下記化合物                        0.3g
・メタノール                        100g
・水                              1g
【0223】
【化48】
Figure 2004117546
【0224】
〔共重合体1の合成〕
攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。
【0225】
この反応混合物に、p−アミノベンゼンスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量46.9g)。
【0226】
次に、攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた200ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g(0.0192モル)、メタクリル酸エチル2.58g(0.0258モル)、アクリロニトリル0.80g(0.015モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:「V−65」、和光純薬(株)製)0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸メチル2.58g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルアセトアミド20g及び上記「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さらに65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了後メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりこの特定の共重合体1の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ54,000であった。
【0227】
[平版印刷版原版の作製]
上記により得られた基板Aに、以下の画像形成層塗布液1を塗布量が0.85g/mになるよう塗布したのち、TABAI社製、PERFECT OVENPH200にてWind Controlを7に設定して110℃で50秒間乾燥し、その後、画像形成層塗布液2を塗布量が0.30g/mになるよう塗布したのち、120℃で1分間乾燥し、実施例1〜8の平版印刷版原版を得た。
【0228】
Figure 2004117546
【0229】
Figure 2004117546
【0230】
【化49】
Figure 2004117546
【0231】
(比較例1)
上部画像形成層に用いる画像形成層塗布液2から表1に記載のアンモニウム塩を除いた塗布液を用いた他は、上記実施例1〜8と同様にして比較例1の平版印刷版原版を得た。
【0232】
(比較例2)
上部画像形成層に用いる画像形成層塗布液2において、表1に記載のアンモニウム塩に代えて、下記構造のアンモニウム化合物(アンモニウムI−X)を添加した塗布液を用いた他は、実施例1〜8と同様にして比較例2の平版印刷版原版を得た。。
【0233】
【化50】
Figure 2004117546
【0234】
〔平版印刷版原版の評価〕
得られた各平版印刷版原版(実施例1〜8、比較例1〜2)について、下記方法で評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0235】
(1.感度)
得られた平版印刷用原版の感度を以下のようにして測定した。
平版印刷版用原版を、Creo社製Trendsetterにてビーム強度2〜10Wの範囲、ドラム回転速度150rpmでベタ画像を描き込んだ後、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2(1:8で希釈したもの)及び富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用い、液温を30℃に保ち、現像時間12sで現像した。この時の現像液の電導度は43mS/cmであった。
現像後の版を25倍のルーペで観察し、実質上印刷汚れにならないレベルの残膜の有無を評価し、残膜が観測されないところの露光ビーム強度から、実際の露光エネルギーを計算し、感度とした。露光エネルギーが小さいものほど高感度であると評価する。
【0236】
(2.焼きだめ性)
露光後、25℃湿度70%の環境で一時間保存した後に上記感度評価と同様の評価を行い、露光直後からの感度の低下度合いを焼きだめ性の指針とした。数値は(露光1時間後の感度)−(露光直後の感度)を表し、値が小さいほど焼きだめ性が良好である。
【0237】
(3.現像ラチチュード)
得られた平版印刷版原版をCreo社製Trendsetterにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpmでテストパターンを画像状に描き込みを行った後、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2Rを1:5に希釈し、電導度が37mS/cmになるまで炭酸ガスを吹き込んだ液及び富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用い、液温を30℃に保ち、現像時間12sで現像した。その後、現像液にDT−2R(1:5に希釈したもの)を適量加え、電導度を39mS/cmに調整し、先ほどと同じくテストパターンを画像状に描き込んだ平版印刷版原版を現像した。更に電導度を2mS/cmづつ上げ、画像の現像による膜減りが顕著に観察されるまでこの作業を続けた。
この時、各電導度で現像した版を、現像不良の画像形成層残膜に起因する汚れや着色がないかを確認し、良好に現像が行なえた現像液の電導度を決定した。次に、実質上耐刷に影響を及ぼさない程度に現像膜減りが維持される限界の電導度を決定した。
良好に現像が行なえた現像液の電導度と、実質上耐刷に影響を及ぼさない程度に現像膜減りが維持される限界の電導度の幅を現像ラチチュードとした。
【0238】
【表1】
Figure 2004117546
【0239】
表1に示すとおり、本発明の画像形成材料を適用した実施例1〜8の平版印刷版原版は、現像ラチチュード及び感度を高い水準で維持しながら、焼きだめ性向上を実現していることが分かる。一方、一般式(1)で表されるアンモニウム塩(本発明に係るアンモニウム塩)を添加しなかった比較例1の平版印刷版原版は、高感度で記録可能ではあるが、現像ラチチュードに劣っており、アルカリ可溶性樹脂と強い相互作用を形成しうる公知のアンモニウム化合物(I−X)を添加した比較例2の平版印刷版原版は、感度、現像ラチチュード、焼きだめ性共に劣っており、実用上問題のあるレベルであった。
【0240】
(実施例9〜16)
基板Aに以下の画像形成層塗布液3を塗布量が1.00g/mになるよう塗布したのち、TABAI社製、PERFECT OVEN PH200にてWind Controlを7に設定して110℃で50秒間乾燥し、その後、画像形成層塗布液4を塗布量が0.24g/mになるよう塗布したのち、120℃で1分間乾燥し、実施例9〜16の平版印刷版原版を得た。
【0241】
Figure 2004117546
【0242】
Figure 2004117546
【0243】
【化51】
Figure 2004117546
【0244】
(比較例3)
上部画像形成層に用いる画像形成層塗布液4から表2に記載のアンモニウム塩を除いた塗布液を用いた他は、上記実施例9〜16と同様にして比較例3の平版印刷版原版を得た。
【0245】
(比較例4)
上部画像形成層に用いる画像形成層塗布液4において、表2に記載のアンモニウム塩に代えて、前記比較例2で用いたアンモニウム化合物(アンモニウムI−X)を添加した塗布液を用いた他は、上記実施例9〜16と同様にして比較例4の平版印刷版原版を得た。
【0246】
得られた実施例9〜16、比較例3〜4の各平版印刷版原版について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0247】
【表2】
Figure 2004117546
【0248】
表2に示すとおり、本発明の画像形成材料を適用した実施例9〜16の平版印刷版原版は、現像ラチチュード及び感度を高い水準で維持しながら、焼きだめ性向上を実現していることが分かる。一方、一般式(1)で表されるアンモニウム塩を添加しなかった比較例3の平版印刷版原版は、高感度で記録可能ではあるが、現像ラチチュードに劣っており、アルカリ可溶性樹脂と強い相互作用を形成しうる公知のアンモニウム化合物(I−X)を添加した比較例4の平版印刷版原版は、感度、現像ラチチュード、焼きだめ性共に劣っており、実用上問題のあるレベルであった。
【0249】
(実施例17〜24)
基板Bに、以下の画像形成層塗布液5を塗布量が1.00g/mになるよう塗布したのち、TABAI社製、PERFECT OVEN PH200にてWind Controlを7に設定して110℃で50秒間乾燥し、その後、画像形成層塗布液6を塗布量が0.30g/mになるよう塗布したのち、120℃で1分間乾燥し、平版印刷版原版を得た。
【0250】
Figure 2004117546
【0251】
【化52】
Figure 2004117546
【0252】
Figure 2004117546
【0253】
【化53】
Figure 2004117546
【0254】
(比較例5)
上部画像形成層に用いる画像形成層塗布液6から表3に記載のアンモニウム塩を除いた塗布液を用いた他は、上記実施例17〜24と同様にして比較例5の平版印刷版原版を得た。
【0255】
(比較例6)
上部画像形成層に用いる画像形成層塗布液6において、表3に記載のアンモニウム塩に代えて、前記比較例2で用いたアンモニウム化合物(アンモニウムI−X)を添加した塗布液を用いた他は、上記実施例17〜24と同様にして比較例6の平版印刷版原版を得た。
【0256】
得られた実施例17〜24、比較例5〜6の各平版印刷版原版について、実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
【0257】
【表3】
Figure 2004117546
【0258】
表3に示すとおり、本発明の画像形成材料を適用した実施例17〜24の平版印刷版原版は、現像ラチチュード及び感度を高い水準で維持しながら、焼きだめ性向上を実現していることが分かる。一方、一般式(1)で表されるアンモニウム塩を添加しなかった比較例5の平版印刷版原版は高感度で記録可能ではあるが、現像ラチチュードに劣っており、アルカリ可溶性樹脂と強い相互作用を形成しうる公知のアンモニウム化合物(I−X)を添加した比較例6の平版印刷版原版は、感度、現像ラチチュード、焼きだめ性共に劣っており、実用上問題のあるレベルであった。
【0259】
(実施例25〜32)
基板Bに、以下の画像形成層塗布液7を乾燥後の塗布量が1.2g/mとなるように塗布し、実施例25〜32の平版印刷版原版を得た。
【0260】
Figure 2004117546
【0261】
【化54】
Figure 2004117546
【0262】
【化55】
Figure 2004117546
【0263】
(比較例7)
画像形成層塗布液7から表4に記載のアンモニウム塩を除いた塗布液を用いた他は、上記実施例実施例25〜32と同様にして比較例7の平版印刷版原版を得た。
【0264】
(比較例8)
画像形成層塗布液7において、表4に記載のアンモニウム塩化合物に代えて、前記比較例2で用いたアンモニウム化合物(アンモニウムI−X)を添加した塗布液を用いた他は、上記実施例25〜32と同様にして比較例8の平版印刷版原版を得た。
【0265】
得られた実施例25〜32、比較例7〜8の各平版印刷版原版について、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0266】
【表4】
Figure 2004117546
【0267】
表4に示すとおり、本発明の画像形成材料を適用した実施例25〜32の平版印刷版原版は、現像ラチチュード及び感度を高い水準で維持しながら、焼きだめ性向上を実現していることが分かる。一方、一般式(1)で表されるアンモニウム塩を添加しなかった比較例7の平版印刷版原版は、高感度で記録可能ではあるが、現像ラチチュードに劣っており、アルカリ可溶性樹脂と強い相互作用を形成しうる公知のアンモニウム化合物(I−X)を添加した比較例8の平版印刷版原版は、感度、現像ラチチュード、焼きだめ性共に劣っており、実用上問題のあるレベルであった。
【0268】
(実施例33〜40)
基板Bに、以下の画像形成層塗布液8を塗布し、130℃で1分間乾燥して、画像形成層を形成し、実施例33〜40の平版印刷版原版を得た。乾燥後の塗布量は1.3g/mであった。
【0269】
Figure 2004117546
【0270】
【化56】
Figure 2004117546
【0271】
(比較例9)
画像形成層塗布液8から表5に記載のアンモニウム塩を除いた塗布液を用いた他は、上記実施例33〜40と同様にして比較例9の平版印刷版原版を得た。
【0272】
(比較例10)
画像形成層塗布液8において、表5に記載のアンモニウム塩に代えて、比較例2で用いたアンモニウム化合物(アンモニウムI−X)を添加した塗布液を用いた他は、上記実施例33〜40と同様にして比較例10び平版印刷版原版を得た。
【0273】
得られた実施例33〜40、比較例9〜10の各平版印刷版原版について、実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
【0274】
【表5】
Figure 2004117546
【0275】
表5に示すとおり、本発明の画像形成材料を適用した実施例33〜40の平版印刷版原版は、現像ラチチュード及び感度を高い水準で維持しながら、焼きだめ性向上を実現していることが分かる。一方、一般式(1)で表されるアンモニウム塩添加しなかった比較例9の平版印刷版原版は高感度で記録可能ではあるが、現像ラチチュードに劣っており、アルカリ可溶性樹脂と強い相互作用を形成しうる公知のアンモニウム化合物(I−X)を添加した比較例10の平版印刷版原版は、感度、現像ラチチュード、焼きだめ性共に劣っており、実用上問題のあるレベルであった。
【0276】
【発明の効果】
本発明によれば、溶解性ディスクリミネーションに優れたヒートモードポジ型の画像形成材料を提供することができ、この画像形成材料は、赤外線レーザを用いたダイレクト製版可能であり、現像による画像形成時のラチチュードに優れ、焼きだめ性が改良され、コントラストに優れた画像の形成が可能なポジ型平版印刷版原版に有用である。

Claims (1)

  1. 支持体上に、少なくとも、(A)水不溶性かつアルカリ可溶性高分子化合物、(B)光熱変換剤、及び(C)下記一般式(1)で表されるアンモニウム塩を含有する画像形成層を有する画像形成材料。
    Figure 2004117546
    (一般式(1)中、Rは、炭素数6以上の長鎖アルキル基又は炭素数6以上の長鎖アルキル部位を少なくとも一つ有する有機基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子を1つ以上含む有機基を表し、互いに結合して環構造を形成してもよい。Xはカウンターアニオンを表す。)
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