以下、本発明に係る弾球遊技機の入賞装置の好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。ここではまず、上記入賞装置を備えた弾球遊技機の一例として説明するパチンコ機PMの概要構成を図1および図2を参照して説明する。なお、図1は本発明に係る入賞装置を備えた弾球遊技機の一例として示すパチンコ機の正面図で、図2はパチンコ機の内部構造を表した図である。このパチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載用の前枠2が正面左側上下に配設されたヒンジ部材3a,3bで横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して通常は外枠1と係合された閉鎖状態に保持される。
前枠2の正面側には、前枠2の前面域に合わせた方形状をなし中央部に取り付けられたポリカーボネート板やガラス板等の透明板材を通して遊技盤20を透視可能なガラス扉5が、さらにガラス扉5の下部には遊技球を整列させて1個ずつ前枠2の裏面に設けられた打球発射装置9に導く上球皿6が、ともに左側縁に内蔵されたヒンジ機構により前枠2に対して横開き開閉および着脱が可能に組み付けられる。ガラス扉5および上球皿6は、通常は施錠装置4および図示しないロック機構を利用して前枠2の前面を覆う閉止状態で保持される。上球皿6のうち横型長方形をなし前枠2に対して開閉可能な当て板6aの左側上部には賞球払出用の賞球払出口6bが設けられている。また、前枠2の下部には下球皿7が設けられ、この下球皿7と並んで遊技球の発射操作を行う操作ハンドル8が取り付けられている。
遊技盤20は、板厚19mm程度の積層合板を所定形状に切断等して、その表面に所定意匠のセルを貼り付けた化粧板(ベニヤとも称される)21を基板として構成される。化粧板21の前面側には、帯状の外レール23aおよび内レール23bが円弧状に固設され、これらの案内レール23a,23bで囲まれた内側に遊技領域PAが区画される。遊技領域PAには、図示しない多数本の釘とともに一般入賞具25や始動入賞具26並びに大入賞具50を有した入賞装置40、さらに遊技の進行状況に応じて所定の図柄を表示させる図柄表示装置28などが取り付けられ、遊技領域PAの下端には入賞具25,26,50に入賞せずに落下した遊技球を遊技盤20の裏面側に排出させるアウト口27が設けられている。
始動入賞具26内における打球の流路には、始動入賞具26への打球の入賞を検出して検出信号を出力する始動入賞センサ133が設けられている。この始動入賞センサ133は磁気センサを用いており、検出信号としてハイ信号およびロー信号の2通りの状態をとる始動信号を出力する。この始動信号は、打球を検出していないときにはハイ信号として出力され、打球を検出している間のみロー信号として出力される。なお、光学的又は機械的センサがこの始動入賞センサ133として使用されることもある。
また、図柄表示装置28は、遊技盤20のほぼ中央に位置しており、この図柄表示装置28は、3桁の絵柄の組合せから成る「特別図柄」を液晶画面にて変動表示させる図柄表示画面を有して構成されている。図柄表示装置28の下方には、入賞装置40を遊技盤20に取り付けて固定するための図示しない配設孔が設けられており、この配設孔は、遊技盤20の前面に形成される遊技領域PAから遊技盤20の裏面側へと貫通形成されている。さらに、図柄表示装置28の上方には4個の特別図柄保留ランプ29,29,29,29が設けられている。
図2に示すように、前枠2の裏面下部には、遊技球を外レール23aに向けて発射する打球発射装置9、および操作ハンドル8の回動操作を受けて打球発射装置9の作動を制御する発射装置制御基板200が取り付けられている。また、上球皿6の背後には、通常は閉鎖保持される上球皿6によりその前面側が覆われている遊技補助盤と称される補助機構部が形成され、その前面側に打球発射装置9によって打ち出された遊技球を外レール23aに向けて案内する発射レールや、遊技領域PAに到達できずに打球発射装置9側に戻ってきたファール球を下球皿7に排出させるファール球回収経路部材、遊技の展開状況に応
じた効果音を発生させるスピーカなどが取り付けられている。
また、前枠2の背後には、裏セット盤30が取り付けられている。この裏セット盤30は、外枠1の内寸サイズよりも幾分小さめの方形状をなし、中央に表裏貫通する窓口31wを有して一体成形された基枠体31をベースとして構成される。基枠体31の側縁部には上下に所定間隔をおいて裏セット盤揺動ヒンジ部材32,33が固定されており、この上下の裏セット盤揺動ヒンジ部材32,33を前枠2側の上下の固定ヒンジ部材12,13に係合させて揺動させあるいは係脱させることで、裏セット盤30が前枠2の背後に横開き開閉および着脱可能に装備され、通常は3箇所の閉鎖レバー34を利用して前枠2の背面を覆うように閉鎖保持される。
裏セット盤30には、窓口31wを取り囲むようにして賞球を払い出すための賞球経路が設けられる。すなわち、基枠体31の裏面側には、遊技球の貯留・供給を行うタンク部材35、タンク部材35から供給される遊技球を整列させて流下させる整列樋部材36、整列樋部材36から供給される遊技球を受けて所定数量の遊技球を待機保持させる賞球待機通路37、賞球待機通路37に待機された遊技球を所定の入賞条件等に基いて払い出す球払出装置38、球払出装置38から払い出された遊技球を上下の球皿6,7に導く賞球払出経路39などの賞球経路が設けられている。また、基枠体31の前面側には、窓口31wの下方に位置して遊技盤20の裏面側に排出されたアウト球およびセーフ球、球抜き機構によって賞球経路の途上から排出された抜き球等を集合させる図示しない集合経路が形成され、基枠体31の裏面側には集合経路と繋がって集合された遊技球を遊技施設側の回収バケットに排出させる図示しない球排出経路が形成されている。
裏セット盤30の裏面各部には、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主基板700や、主基板700からの指令信号を受けて、ソレノイドに向けて制御信号を出力するソレノイド中継基板800、主基板700からの指令信号に基いて球払出装置38の作動制御を行う球払出基板300、効果照明や効果音の作動制御を行うランプ・音声制御基板400、これらの制御基板や各種電子機器等に電力を供給する電源基板500などの回路基板が着脱交換可能に取り付けられ、これら各回路基板や電子機器が図示しないワイヤーハーネスで接続されてパチンコ機PMが構成される。
パチンコ機PMは、ガラス扉5、上球皿6、裏セット盤30等がそれぞれ閉鎖され、前枠2が外枠1に閉鎖施錠された状態で遊技に供される。遊技は上球皿6に遊技球を貯留させて操作ハンドル8を回動操作することにより開始され、上球皿6に貯留された遊技球が1球ずつ打球発射装置9に送られ操作ハンドル8の回動操作角度に応じた強度で遊技領域PAに打ち出されてパチンコゲームが展開される。
次に、本発明に係る弾球遊技機の入賞装置について図3から図17を加えてこれらを参照しつつ説明する。なお、図3上記は入賞装置の正面図で、図4は入賞装置内部の斜視図で、図5は入賞装置を構成する駆動アームの分解斜視図で、また、図6乃至図8は駆動アームの斜視図である。また、図7は上記入賞装置を構成するソレノイドに設けられたプランジャの移動の様子を示す図である。また、図8乃至図10はプランジャの移動に応じた上記駆動アームおよび開閉扉の作動の様子を示す側面図で、図11はプランジャがA位置に位置するときのシーソーの様子を示す図で、図12はプランジャがB位置に位置するときのシーソーの様子を示す図で、図13はプランジャがC位置に位置するときのシーソーの様子を示す図で、図14はパチンコ機に設けられている制御システムの概略を表したブロック図で、図15および図16はパチンコ機における遊技の概要を示すフローチャートの一部で、図17は遊技球が球検出センサを通過するように誘導される様子を示す図12および図13中の矢印D−Dに沿った側面図である。
図柄表示装置28の下方に設けられた図示しない配設孔に装着される入賞装置40は、図3に示すように後述するソレノイド類が収納され上記配設孔内に取付可能な直方体状の筺体41と、筐体41の前面側を覆う矩形状の開口42aが形成された平板状の取付板42とを有して構成され、取付板42の裏側を筐体41の前面に数箇所で固定した状態で筐体41を配設孔内に遊技盤20の表側から装入し、取付板42に形成された4箇所の取付孔42b,42b,…を介して遊技盤20の前面にビス止めすることで、所定の当たり条件下で遊技球を受容可能な大入賞具50を遊技盤20前面に有する入賞装置40が遊技盤20に固設される。
また、筺体41の前面には開口42aと略同一の大きさであって遊技球を受容可能な矩形状の入賞用開口43が形成され、この入賞用開口43の内部には、すなわち、筺体41内部には、遊技球を受容可能な入賞空間44を有している。取付板42の裏面における当該入賞用開口43両端近傍には、後方へ突出した左右2箇所の軸受部42c,42cが設けられている。この軸受部42cには、左右に縁部51aを有して入賞用開口43を閉鎖可能に矩形状に形成された開閉扉51の左右両端から左右に延びる回動軸51b,51bが各々取り付けられ、開閉扉51が回動軸51bを回動中心として遊技盤20の前後に回動可能になっている。すなわち、この開閉扉51は、直立した状態で入賞用開口43を閉鎖する閉鎖位置(図4において、51sで示す。)と、遊技盤20に対して前方に傾斜した開放位置(図4において、51oで示す。)との間で、回動軸51bを回動中心として回動変位可能となっている。
図4に示すように、入賞装置40は、遊技盤20前面に設けられた大入賞具50を構成する上記開閉扉51を有するほか、筐体41の内部には、図示しないソレノイド取付部に取り付けられプランジャ102を有したソレノイド101と、ソレノイド101によって発生される駆動力を開閉扉51およびシーソー480に伝達する駆動力伝達機構460と、入賞空間44内に設けられ入賞空間44内に受容された遊技球を左右いずれかの方向に振り分け誘導する平板状のシーソー480と、シーソー480後方に左右にシーソー480に沿った壁面113を有して設けられた直方体状のセンサユニット110とから構成される。
また、センサユニット110の前面には、前後に略四角形状に開口し特定領域(いわゆるVゾーン)と称される第1球通路121に連通する第1球通路用開口111および非特定領域と称される第2球通路122に連通する第2球通路用開口112が形成されている。さらに、図4には図示していないが、第1球通路用開口111の前方には、筐体41の一部をなし、シーソー480上を転動した遊技球を第1球通路用開口111に誘導する球受部46が、第1球通路用開口111の下端部と略同一の高さに設けられている(図14参照)。同様に、第2球通路用開口112の前方には、筐体41の一部をなし、シーソー480上を転動した遊技球を第2球通路用開口112に誘導する、球受部46と同一の形状の図示しない球受部が、第2球通路用開口112の下端部と略同一の高さに設けられている。
第1球通路121には、遊技球が通過可能な平面視略八角形状の検出孔部131aを有し遊技球がこの検出孔部131aを通過したときにこれを磁気的に検出する球検出センサ131が設けられている。この球検出センサ131は、ハイ信号及びロー信号の2通りの状態をとる球検出信号を出力し、この球検出信号は、遊技球の通過を検出していないときにはハイ信号として出力されるが、遊技球が通過する間はロー信号として出力される。なお、光学的又は機械的センサがこの球検出センサ131として使用されることもある。
同様に、第2球通路122には、遊技球が通過可能な平面視略八角形状の検出孔部132aを有し遊技球がこの検出孔部132aを通過したときにこれを磁気的に検出する球検出センサ132が設けられている。この球検出センサ132は、ハイ信号及びロー信号の2通りの状態をとる球検出信号を出力し、この球検出信号は、遊技球の通過を検出していないときにはハイ信号として出力されるが、遊技球が通過する間はロー信号として出力される。なお、光学的又は機械的センサがこの球検出センサとして使用されることもある。
駆動力伝達機構460は、図4および図5に示すように、シーソー480に係合するカム突起部469aが先端に設けられた回動アーム469を有し一端が筐体41内部に設けられた図示しない軸受に軸支されて回動可能に配設されたカムシャフト部材65と、カムシャフト部材65に取り付けられるとともにプランジャ102と係合し、プランジャ102の直線移動に応じてカムシャフト部材65を回転させる第1アーム61と、開閉扉51の左側の回動軸51bの先端に設けられたU字形の扉開閉アーム52と、カムシャフト部材65に相対回転自在に設けられて扉開閉アーム52と係合する第2アーム62のほか、第1アーム61および第2アーム62を連結する捩りバネ63を有して構成される。
図5に示すように、第1アーム61は、略円筒形状を呈する環状部61aと、環状部61aから延びる一対の係合突起61bと、係合突起61bから各々環状部61aの軸方向に延びる係合指部61c,61cと、環状部61aからその軸方向に円筒状に延びてカムシャフト部材65に連結される連結部61dと、環状部61aおよび連結部61dに渡って軸線方向に貫通する嵌合孔61eとを有して構成される。
また、第2アーム62は、上記嵌合孔61eに嵌合可能な円筒状の嵌合軸部62aと、この嵌合軸部62aに対して略直角方向に突出するアーム部62bと、アーム部62bを挟んで嵌合軸部62aとは逆方向に嵌合軸部62aの軸線方向に円筒状に突出し入賞装置40の筐体41の軸受部45に取り付けられる回動軸62cと、アーム部62bの先端から嵌合軸部62aの軸線に対して略平行に延びて扉開閉アーム52と係合可能な係合片62dとを有して構成される。
そして、金属弾性体をコイル状に巻いた捩りバネ63を第2アーム62の嵌合軸62aに被せた上で、嵌合軸62aを第1アーム61の嵌合孔61e内に嵌挿し、略U字状に鉤型に曲げられた捩りバネ63の両端部を各々第1アーム61および第2アーム62に引っ掛けることで、図6に示すような、第1アーム61と第2アーム62とが一体化した駆動アームが構成される。
このようにして一体化した駆動アームは、軸受部45に取り付けられる回動軸62cを回動中心として(カムシャフト部材65に連結される連結部61dを回動中心として)、第1アーム61と第2アーム62とが一体回動する状態に矢印P方向に回動させることが可能である(図6(a)及び(b)参照)。また、図6(a)に示す状態から、第1アーム61と第2アーム62とを一体回動させようとする捩りバネ63による付勢力に抗して、第1アーム61を連結部61dを回動中心として矢印Q方向に第2アーム62に対して相対回動させることも可能である(図6(c)参照)。
また、駆動力伝達機構460を構成する回動アーム469の先端には、前述したようにカムシャフト部材65の長手軸方向に突出するカム突起部469aが形成されている。回動アーム469はカムシャフト部材65の回動にともなって、カムシャフト部材65を回動中心としてその回動方向に回動可能であり、これとともに回動アーム469先端のカム突起部469aを移動させることが可能になっている。
入賞用開口43を通過して入賞空間44内に導入された遊技球を左右いずれかの方向に振り分け誘導するシーソー480は、第1球通路用開口111側と第2球通路用開口112側との間を左右に平板状に延びて上面を遊技球が転動可能な転動部484と、当該転動部484と一体に設けられ、転動部484の第2球通路用開口112側端部からカムシャフト部材65側に延びる平板状の平面カム部485を有して構成される。この平面カム部485には、前後方向に蛇行するように延びて回動アーム469先端のカム突起部469aに係合する平面カム溝485aが設けられている。そして、回動アーム469の回動とともに(カムシャフト部材65の回動とともに)、カム突起部469aが平面カム溝485a内を係合移動できるようになっている。
また、シーソー480の下部には、前後に挿通しシーソー480の揺動軸82を嵌挿するための取付穴83が設けられている。そして、この揺動軸82の一端が筐体41の側に設けられた図示しない取付穴に挿通された上で取付板42の裏面に十分近接する状態に取り付けられており、シーソー80は後方に撓むことなくカムシャフト部材65の長手方向に略直交する揺動軸82を揺動中心として上下(矢印Y方向に)に揺動可能となっている。
上記のように構成される開閉扉51の開閉作動およびシーソー480の振分作動をさせるための駆動源として、ラッチングソレノイド101(以下、「ソレノイド101」という。)が入賞装置40内に配設されている。このソレノイド101は、図示しない2個のコイルおよび永久磁石を内蔵し、入賞装置40の筺体41内部に載置されるソレノイド本体101と、このソレノイド本体101に対して前後に延びて前後方向に所定の位置間を直線移動可能なプランジャ102とを有して構成される。このプランジャ102の先端部分には、前述した第1アーム61に設けられた係合指部71c間に係合するピストン部102aが設けられている。このプランジャ102は、図7に示すように、中立位置からプランジャ102が突出したA位置(第1の位置)と、中立位置であるB位置(第2の位置)と、中立位置からプランジャ102が吸引されたC位置(第3の位置)との3位置に、その長手軸方向(図7におけるX方向)に沿って直線移動可能である。
プランジャ102が中立位置であるB位置に位置する状態に保持されているときに、ソレノイド101内の複数のコイルのうち、一方のコイルにパルス電圧を印加して通電すると、発生した磁界によりプランジャ102が磁力を受けてA位置に向けて移動する。プランジャ102がA位置に突出した状態で、コイルへの通電を停止してもプランジャ102は永久磁石によりその位置に保持される。そして、プランジャ102がA位置に突出した状態で、当該一方のコイルに逆方向にパルス電圧を印加すると、プランジャ102は中立位置であるB位置に復帰する。そして、B位置に復帰したプランジャ102は、コイルへの通電を停止しても永久磁石によりその位置に保持される。
一方、プランジャ102がB位置に位置する状態において、ソレノイド101内の他方のコイルにパルス電圧を印加して通電すると、発生した磁界によりプランジャ102が磁力を受けてC位置に向けて移動する。プランジャ102がC位置に吸引された状態で、コイルへの通電を停止してもプランジャ102は永久磁石によりその位置に保持される。そして、プランジャ102がC位置に吸引された状態で、当該他方のコイルに逆方向にパルス電圧を印加すると、プランジャ102は中立位置であるB位置に復帰する。そして、B位置に復帰したプランジャ102は、コイルへの通電を停止しても永久磁石によりその位置に保持される。このように、電圧を印加するコイルの選択とそのコイルに印加する電圧の印加方向によりプランジャ102の移動位置(プランジャ102先端のピストン部102aの移動位置)を制御することが可能であり、ソレノイド101に継続的に電力を供給しなくても、プランジャ102を特定の位置に保持できるようになっている。
ここで、上記のように構成される駆動力伝達機構460を用いた、開閉扉51の開閉作動の制御と、シーソー480の振分変位作動の制御について説明する。
図8に示すように、プランジャ102のピストン部102aがA位置にある場合には、開閉扉51は直立している。このとき開閉扉51は、入賞用開口43を閉鎖する閉鎖位置にある。そして、プランジャ102のピストン部102aがA位置に位置する状態から、B位置に位置するように左動すると、図9に示すように、第1アーム61および第2アーム62が回動軸62cを中心として反時計方向に一体回動する。このとき、第2アーム62のアーム部62bが回動軸62cを回動中心として反時計方向に回動し、これとともに係合片62dにより扉開閉アーム52が押圧される。このため、先端に扉開閉アーム52を有する回動軸51bが時計方向に回動して、開閉扉51が回動軸51bを中心として取付板42に対して前傾するように(矢印R方向に)回動される(図9参照)。
開閉扉51が側面視で略水平の状態になるまで前傾すると、図9に示すように、開閉扉51の縁部51aが取付板42に当接し、この取付板42によって開閉扉51が当該略水平位置よりもさらに矢印R方向に回動されるのが規制される。このため、係合片62dの回動軸62cを中心とした反時計方向への回動が規制されて、第1アーム61および第2アーム62の反時計方向への一体回動が阻止される。
さらに、プランジャ102のピストン部102aがB位置からC位置に位置するようにプランジャ102が左動すると、図10に示すように、第2アーム62は図9に示す回動位置に保持されたまま、捩りバネ63による第1アーム61を時計方向に回動させようとする付勢に抗して、第1アーム61のみが回動軸62cを回動中心として反時計方向に回動する。
次に、以上のようにプランジャ102のピストン部102aがA位置からB位置を経てC位置まで移動する間の、シーソー480の振分変位作動の様子を図11から図13を用いて説明する。まず、プランジャ102のピストン部102aがA位置とB位置との間を移動する場合には、図11(b)に示すように、変曲点Jよりもカムシャフト部材65側に位置するカム突起部469aが平面カム部485を押し上げる状態で平面カム溝485a内を係合移動する。このため、第2球通路用開口112側から第1球通路用開口111側に向かって下傾する。
一方、プランジャ102のピストン部102aがB位置とC位置との間を移動する場合には、カム突起部469aが変曲点Jよりもカムシャフト部材65側に位置して平面カム部485を押し上げる状態で平面カム溝485a内を係合移動する状態(図12参照)と、カムシャフト部材65の回動とともにカム突起部469aが変曲点Jを越えて移動し、平面カム部485を押し下げる状態で平面カム溝485a内を係合移動する状態(図13参照)とにカム突起部469aの係合移動とともに変化する。
このため、プランジャ102のピストン部102aがB位置とC位置との間を移動する過程で、シーソー480が第2球通路用開口112側から第1球通路用開口111側に向かって下傾するような状態と、シーソー480が第1球通路用開口111側から第2球通路用開口112側に向かって下傾するような状態とに、カムシャフト部材65の回動とともに変化することにより、入賞用開口43から入賞空間44内に落入した遊技球は、第2球通路122に比べて第1球通路121の方により誘導され易い状態と、第1球通路121側に比べて第2球通路122の方により誘導され易い状態とに変化するようになる。
ここで、パチンコ機PMを制御する制御システムの概略を説明する。図14に示すように、本制御システムは、遊技盤20に配設された遊技盤側電気部品である球検出センサ131,132、始動入賞センサ133、ソレノイド中継基板800、ソレノイド101,図柄表示装置28等と、裏セット盤30に配設された枠側電気部品である上述の主基板700等とから構成され、これらがケーブル等により電気的に接続されている。
すなわち、主基板700は始動入賞センサ133に接続されて、始動入賞センサ133からの検出信号(始動信号)が主基板700に入力される。また、ソレノイド101は、ソレノイド中継基板800を介して主基板700と接続され、主基板700からのソレノイド駆動信号が、ソレノイド中継基板800を介してソレノイド101に入力され、ソレノイド101を駆動させるようになっている。また、主基板700からの図柄表示信号が図柄表示装置28に入力されると、図柄表示装置28が作動して複数の図柄表示部における図柄の変動表示をさせるようになっている。
主基板700は、パチンコ機PMの動作全体を管理するシステムプログラム及び遊技用の実行プログラムが予め記憶されている半導体メモリ等で形成された記憶部およびこれらのプログラムを実行するマイクロプロセッサ(以下、「CPU」という。)を有する制御部710と、主基板700の制御とは無関係に図柄抽選用の乱数(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)を発生させる乱数発生部720とから構成されている。
CPU711は、図柄抽選手段B73を有している。主基板700は、始動入賞センサ133からのロー信号(始動信号)を検出すると、この図柄抽選手段B73により、乱数発生部720から順次発生する65536個の乱数のうちの1つのカウント値を取得することで、図柄表示装置28における停止図柄の決定が行われる。
制御部710には上記のCPU711のほか、ROM712が設けられており、CPU711が実行すべき制御プログラム及び制御の過程で必要なデータはROM712に記載されている。これら必要なデータのうち、例えば図柄データテーブルB74には、図柄表示装置28における停止図柄を決定するための図柄データが記録されている。個々の図柄データにはアドレス番号が付与されており、1つのアドレス番号から1つの図柄データが特定されることとなっている。上述のように、始動入賞センサ133からのロー信号(始動信号)を検出すると、乱数発生部720により発生した乱数の中から抽選した図柄抽選用のカウント値と、図柄データテーブルB74内の図柄データとの照合により停止図柄が選択される。そして、主基板700からの図柄表示信号に基いて選択された所定の図柄が図柄表示装置28上に表示される。
上記のようにして、図柄抽選手段B73による抽選結果に基いて選択された3桁の絵柄もしくは数字の組合せから成る「特別図柄」(例えば、「147」,「258」)が図柄表示装置28の液晶画面に表示されるが、この特別図柄のうち、3桁がいずれも同一種類の絵柄の組合せから成るもの(例えば、「111」,「777」)を「大当たり図柄」と称する。
次にパチンコ機PMにおける遊技の概要について、図15および図16のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、図15および図16に示すフローチャートは、丸囲みAの部分同士が繋がって1つのフローチャートを構成し、丸囲みBの部分同士が繋がって1つのフローチャートを構成している。
まず、操作ハンドル8を遊技者が操作することで、遊技盤20に打球が弾球される。この打球は、遊技盤20上に設けられた図示しない釘等に接触しながら、遊技盤20を落下する。そして、落下の過程で始動入賞具26へ入賞(ステップS1)するか、もしくは一般入賞具25へ入賞(ステップS20)すると、賞球払出口6bから所定の数(例えば5球)の賞球が遊技者に払い出される(ステップS2もしくはステップS21)。
始動入賞具26への入賞があった場合に、制御部710に記憶されている保留球数が0の場合には、以降の図柄の変動処理は実行されることはなく、一方、保留球数が1以上4以下の場合には、保留球数から1が減算される(ステップS3)。そして、始動入賞センサ133から出力される検出信号に基いて賞球払出口6bから所定の数(例えば5球)の賞球が払い出されるのに加え、主基板700から制御信号が図柄表示装置28に出力され、図柄表示装置28が作動して図柄の変動表示が開始される(ステップS4)。なお、図柄表示装置28における図柄の変動表示の最中に打球が始動入賞具26に入賞した場合には、保留球数が最大4個まで制御部710において記憶され、記憶された保留球数分に相当する回数だけ、以後の図柄表示装置28の作動が保証されることとなっている。記憶された保留球数は、遊技盤20上の特別図柄保留ランプ29,29,29,29が点灯することで遊技者が認識できるようになっている。
そして、続くステップS5において、図柄抽選手段B73により、乱数発生部720により生成される乱数のうちの1つのカウント値が取得され、このカウント値に応じた停止図柄が選択される。そして、主基板700からの図柄表示信号に基いて選択された所定の図柄が図柄表示装置28上に表示される(ステップS6)。
このとき、図柄抽選手段B73により取得されたカウント値が所定の当選値であるか否かが判断され(ステップS7)、所定の当選値でない限りは、すなわち、図柄表示装置28に停止表示された図柄が所定の大当たり図柄でない限りは、主基板700からソレノイド駆動信号がソレノイド101に出力されないためにソレノイド101は通電されず、開閉扉51は直立した状態のままであり、開閉扉51は閉鎖状態を保つ(ステップS8)。このような開閉扉51の閉鎖状態では、入賞空間44内に遊技球が進入できないため、遊技盤20上を落下する遊技球は、大入賞具50に入賞せずに、下方のアウト口27に至る。
一方、図柄抽選手段B73により取得されたカウント値が所定の当選値である場合には、すなわち、図柄表示装置28における図柄変動の結果、停止表示される特別図柄が所定の大当たり図柄の場合には、「大当たり遊技」が発生する。そして、主基板700からソレノイド駆動信号がソレノイド101に出力されてソレノイド101が通電され、プランジャ102のピストン部102aはB位置に位置するように移動して、普段は閉鎖位置にある開閉扉51が所定の前傾した位置まで回動し、大入賞具50は開放状態となる(ステップS9)。このような開放状態では、開閉扉51が遊技盤20上を落下してくる遊技球を受容し、入賞空間44内への遊技球の進入が可能となる。このときシーソー480は、図12に示すように、第2球通路用開口112側から第1球通路用開口111側に向かって下傾するような状態になっている。
シーソー480がこのような姿勢になっている場合において、入賞空間44に受容されてシーソー480上に落下した遊技球のうち、センサユニット110の壁面113により案内されて、シーソー480上を右方に転動する遊技球は、球受部47上を通過した後に第2球通路122内に突入する。このとき、第2球通路122内に設けられた球検出センサ132の検出孔部132aを遊技球が通過して、その検出が行われ(ステップS10)、賞球払出口6bから所定の数(例えば15球)の賞球が払い出される(ステップS11)。
一方、入賞空間44に受容されてシーソー480上に落下した遊技球のうち、センサユニット110の壁面113により案内されて、シーソー480上を左方に転動する遊技球は、球受部46上を通過した後に第1球通路121内に突入する(図17参照)。このとき、第1球通路121内に設けられた球検出センサ131の検出孔部131aを遊技球が通過して、その検出が行われ(ステップS10)、賞球払出口6bから所定の数(例えば15球)の賞球が払い出される(ステップS11)。また、球検出センサ131の検出孔部131aへの遊技球の通過を契機として、主基板700からソレノイド駆動信号がソレノイド101に出力されてソレノイド101が通電され、プランジャ102のピストン部102aがC位置に位置するように移動する。このとき、図13に示すように、シーソー480が第1球通路用開口111側から第2球通路用開口112側に向かって下傾するような状態になる。
大入賞具50は、開放されて所定の時間(例えば30秒間)経過するか、又は球検出センサ131,132により所定数(例えば10球)の入賞の検出があるかの判断がなされて(ステップS12)、いずれかの条件を満たした場合に一旦閉鎖する(ステップS13)。このとき、プランジャ102のピストン部102aはC位置からA位置に移動して、シーソー480は、図11に示すような、第2球通路用開口112側から第1球通路用開口111側に向かって下傾するような状態に戻る。
そして、大入賞具50が開放していた間に、第2球通路122(特定領域)への入賞があったと判断された場合には(ステップS14)、大入賞具50は上記のように一旦閉鎖した後、再度開放することとなっている。これにより、大入賞具50の開放は、所定の回数(例えば16回)連続することが可能となっている。また、大入賞具50が所定の回数(例えば16回)開放し終えるか、又は大入賞具50の開放中に第2球通路122への入賞がなかった場合には(ステップS15)、この大当たり遊技は終了する。
以上説明したように、上記の実施例においては、1つのソレノイドを駆動源として開閉扉および振分部材の作動を制御することが可能な構成になっており、従来のように複数のソレノイドを使用する必要のない分、入賞装置のコストを低く抑えることができる。また、上記のように駆動源を1つにすることで、入賞装置を上下もしくは左右に小型化することが可能であり、小型化することによって確保できる遊技盤上のスペースを利用して大型の図柄表示装置を設置し易くなる。さらに、図柄表示装置だけでなく、他の入賞装置等も当該スペースを有効に活用して設置することが可能であるため、遊技盤を設計する上での自由度を増すことができる。