JP4613340B2 - 被検光学系の焦点位置の測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は望遠鏡光学系のアライメント方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、宇宙工学の発達に伴い、人工衛星に搭載した光学系(以下「人工衛星用光学系」という。)により、宇宙から地球の観測や天体の観測をすることが盛んに行われるようになってきている。
【0003】
これに伴い、人工衛星用光学系に求められる性能も年々高くなってきている。
このため、人工衛星用光学系の性能評価及び調整技術も高い精度が要求されてきている。
【0004】
また、宇宙空間で使用される人工衛星用光学系は環境温度差が極めて大きい温度環境にさらされるため、他の光学系に比べ、温度環境に対して厳しい性能が求められる。さらに、同時に、このような温度環境における性能評価も厳しい条件が求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記人工衛星用光学系の一般的温度環境と特殊な温度環境とについて説明する。一般的な温度環境の場合は、太陽光が熱源となる。そして、宇宙空間では熱が伝わりにくい。このため、人工衛星の軌道上において、太陽光が照射される部分と、照射されない部分との温度差は非常に大きくなる。このような場合の人工衛星用光学系は、約±70℃程度の幅の温度環境に置かれることになる。
【0006】
次に、特殊な温度環境の場合について説明する。赤外光学系を用いて天体観測用を行う分野では、近年、赤外線域に高い感度を持つ画像素子が開発されている。この素子を用いて、字宙からの弱い赤外線を観測することが盛んに行われるようになってきている。
【0007】
さらに、最近では赤外光学系で宇宙の背景輻射を観測しようという計画が持ち上がっている。字宙の背景輻射の温度は3°Kから4°Kと言われている。このような宇宙の背景輻射を観測するためには、観測用機器からの不要な赤外放射を低減しておくことが望ましい。このため、望遠鏡自体も3°Kから4°K程度に冷却する必要がある。冷却のためには、タンクに入れた液体ヘリウムを人工衛星に搭載する。そして、この液体ヘリウムにより望遠鏡自体を冷却する。
【0008】
以上のように人工衛星用光学系は非常に過酷な温度環境で使用される。そのため、人工衛星用光学系には特殊な材料が使われる。また、低温での人工衛星用光学系の性能評価及び光学調整が重要になってくる。
【0009】
ところで、厳しい温度環境下では、望遠鏡光学系の光学性能に関して、収差性能の劣化と、焦点位置のズレとを生ずるおそれがある。ここで、焦点位置のずれとは、望遠鏡の像面に配置された撮像素子の位置と焦点位置とが一致しないことをいう。
【0010】
また、一般に口径の大きな反射型望遠鏡光学系の収差測定と焦点位置の測定とは、共に干渉測定によって行われる。図3は、このような干渉測定を行う装置の概略構成を示す図である。
【0011】
図3に示す構成では、望遠鏡光学系6は真空チャンバ2内に配置される。真空チャンバ2内は所望の温度に設定されている。この真空チャンバ2は、ガラスの平行平板からなる窓3を有している。干渉計1からの光は、窓3から真空チャンバ2内へ入射する。真空チャンバ2へ入射した光は、副鏡4と主鏡5とからなる望遠鏡光学系6に像面側から入射する。そして、望遠鏡光学系の開口側(物体側)から射出した光は、平面ミラー7に入射し、反射される。そして、再び望遠鏡光学系6を経由した光は、真空チャンバ2の窓3を通して干渉計1へ戻る。
【0012】
干渉計1内では、真空チャンバ2内の望遠鏡光学系6を往復してきた光と、参照光とが干渉して干渉縞を形成する。この干渉縞を解析することで望遠鏡光学系の波面収差6を測定することができる。
【0013】
また、望遠鏡光学系6の焦点位置fを測定するためには、干渉計1の位置を光軸AXに沿って移動する。干渉計1の移動に伴い、干渉計1からの収束光の集光点の位置が移動する。次に、干渉計1を移動しつつ波面収差を測定する。干渉計1からの収束光の集光点の位置と望遠鏡の焦点位置fとが一致した時に、波面収差が最小になる。かかる干渉測定により、望遠鏡光学系6の焦点位置fを見出すことができる。
【0014】
しかし、上記干渉測定では、干渉計1側から測った焦点位置fは分かるのに対し、望遠鏡光学系6側から測った焦点位置fは求めることができない。例えば、常温の状態で、真空チャンバ2内に望遠鏡光学系6を設置する。そして、真空チャンバ2内を低温又は高温の状態へ変化させると、望遠鏡光学系6を真空チャンバ2へ取付けている部品が収縮または膨張する。そのため、望遠鏡光学系6の真空チャンバ2内の位置が常温の時と異なることになる。
【0015】
また、このとき、望遠鏡光学系6を取付けている部品の熱膨張率に基づいて、低温又は高温における望遠鏡光学系6の位置を計算することも考えられる。しかし、上述したように、宇宙の背景輻射を測定するような極低温で使用される望遠鏡光学系は、真空チャンバ2内を10°K以下に冷却した状態で使用する。このため、望遠鏡光学系6の焦点位置の測定は、真空チャンバ2内を極低温にした状態で行う。なお、極低温とは約10°K以下の温度をいう。ここで、10°K以下の極低温における取付け部品の線膨張率などの熱特性は分かっていない。よって、取付け部品の熱膨張率に基づいて望遠鏡光学系6の真空チャンバ2内における位置を正確に求めることは不可能である。また、予め取付け部品の線膨張係数を個別に測定しておくことも考えられる。しかしながら、極低温において個別に取付け部品の線膨張係数を測定することは非常に困難である。
【0016】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、宇宙空間のような温度差の大きい環境においても常に良好な観察を行うことができる望遠鏡光学系、この望遠鏡光学系の焦点位置調整装置、及び光学系の焦点位置の測定方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段を、実施の形態を示す添付図面に対応づけて説明すると、
請求項1に記載の発明は、
温度調整機能を備え、光通過部を有するチャンバ内に配置され、結像面近傍に参照反射ミラーを有する被検光学系に、所定位置に集光する収束光を供給する干渉計からの光を前記光通過部を介して入射させ、前記被検光学系を経由した光が、当該被検光学系の物体側に配置された反射部材で反射したのち、再度前記被検光学系を経由して前記光通過部から前記干渉計側に射出するように構成された装置における前記被検光学系の焦点位置の測定方法であって、
前記参照反射ミラーは、第1の参照反射ミラーと、該第1の参照反射ミラーを構成する部材と同一の部材からなり、前記第1の参照反射ミラーとは異なる第2の参照反射ミラーとを有し、
前記チャンバ内が前記温度調整機能により設定された第1の所定温度の状態において、前記干渉計からの収束光を前記光通過部を介して前記被検光学系の前記第1の参照反射ミラーに入射させる第1温度・第1参照反射ミラー入射工程と、
前記被検光学系の前記第1の参照反射ミラーにおいて反射した光を前記光通過部を介して前記干渉計側へ射出させる第1温度・第1参照反射ミラー射出工程と、
前記干渉計からの収束光が集光する前記所定位置と、前記第1の参照反射ミラーの反射面の位置とが一致するように、前記干渉計と前記被検光学系との少なくとも一方の位置を調整する第1温度・第1参照反射ミラー位置調整工程と、
前記チャンバ内が前記第1の所定温度の状態において、前記干渉計からの収束光を前記光通過部を介して前記被検光学系の前記第2の参照反射ミラーに入射させる第1温度・第2参照反射ミラー入射工程と、
前記被検光学系の前記第2の参照反射ミラーにおいて反射した光を前記光通過部を介して前記干渉計側へ射出させる第1温度・第2参照反射ミラー射出工程と、
前記干渉計からの収束光が集光する前記所定位置と、前記第2の参照反射ミラーの反射面の位置とが一致するように、前記干渉計と前記被検光学系との少なくとも一方の位置を調整する第1温度・第2参照反射ミラー位置調整工程と、
前記第1温度・第1参照反射ミラー位置調整工程の結果と、前記第1温度・第2参照反射ミラー位置調整工程の結果とから前記第1の所定温度における第1参照反射ミラーの反射面と第2参照反射ミラーの反射面との距離を算出する第1温度・ミラー間隔算出工程と、
前記チャンバ内が前記第1の所定温度とは異なる第2の所定温度の状態において、
前記干渉計からの収束光を前記光通過部を介して前記被検光学系の前記第1の参照反射ミラーに入射させる第2温度・第1参照反射ミラー入射工程と、
前記被検光学系の前記第1の参照反射ミラーにおいて反射した光を前記光通過部を介して前記干渉計側へ射出させる第2温度・第1参照反射ミラー射出工程と、
前記干渉計からの収束光が集光する前記所定位置と、前記第1の参照反射ミラーの反射面の位置とが一致するように、前記干渉計と前記被検光学系との少なくとも一方の位置を調整する第2温度・第1参照反射ミラー位置調整工程と、
前記チャンバ内が前記第2の所定温度の状態において、前記干渉計からの収束光を前記光通過部を介して前記被検光学系の前記第2の参照反射ミラーに入射させる第2温度・第2参照反射ミラー入射工程と、
前記被検光学系の前記第2の参照反射ミラーにおいて反射した光を前記光通過部を介して前記干渉計側へ射出させる第2温度・第2参照反射ミラー射出工程と、
前記干渉計からの収束光が集光する前記所定位置と、前記第2の参照反射ミラーの反射面の位置とが一致するように、前記干渉計と前記被検光学系との少なくとも一方の位置を調整する第2温度・第2参照反射ミラー位置調整工程と、
前記第2温度・第1参照反射ミラー位置調整工程の結果と、前記第2温度・第2参照反射ミラー位置調整工程の結果とから前記第2の所定温度における第1参照反射ミラーの反射面と前記第2参照反射ミラーの反射面との距離を算出する第2温度・ミラー間隔算出工程と、
前記第1の所定温度における前記第1参照反射ミラーと前記第2参照反射ミラーとの間隔と、前記第2の所定温度における前記第1参照反射ミラーと前記第2参照反射ミラーとの間隔とに基づいて前記第1及び第2参照反射ミラーを構成する前記同一の部材の線膨張係数を算出する線膨張係数算出工程と、
前記線膨張係数に基づいて、所望の温度における前記第1参照反射ミラーの反射面又は前記第2参照反射ミラーの反射面と、前記被検光学系の前記焦点位置との距離を算出する焦点位置算出工程と、
を有することを特徴とする被検光学系の焦点位置の測定方法を提供する。
【0022】
なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態と第2実施形態とに共通な望遠鏡光学系のための焦点位置調整装置の概略構成を示す図である。
【0025】
ステージST上に載置された干渉計10は、所定位置Pに集光する収束光を供給する。真空チャンバ11は、干渉計10側にガラスの平行平板からなる光通過部12を有する。また、真空チャンバ11内は、第1の温度T1に設定されている。望遠鏡光学系15は、結像面近傍に第1参照反射ミラーM1と、第2参照反射ミラーM2とを有する。そして、望遠鏡光学系15の像面側に、真空チャンバ11の光通過部12が設けられている。また、望遠鏡光学系15の開口側(物体側)には、平面反射ミラー16が設けられている。
【0026】
本実施形態では、第1参照反射ミラーM1の反射面と望遠鏡光学系15の焦点位置fとの距離を求める。また、第1参照反射ミラーM1を構成している部材の10°K近傍での線膨張係数は、予め他の方法で測定されて既知であるものとする。まず、干渉測定の原理を図1に基づいて説明する。
【0027】
干渉計10からの収束光を真空チャンバ11の光通過部12を介して望遠鏡光学系15に像面側から入射させる。光通過部12から入射した光は、望遠鏡光学系15の副鏡13で反射した後、主鏡14で反射され物体側へ射出する。物体側から射出された光は、反射ミラー16に入射し、反射する。反射ミラー16で反射された光は、再び望遠鏡光学系15の主鏡14と、副鏡13とを反射して光通過部12から干渉計側10へ射出する。
【0028】
干渉計10内では、望遠鏡光学系15から反射してきた物体光と、不図示の参照光とを干渉させて干渉縞が形成される。演算処理装置PCは、干渉縞を解析することで波面収差を算出する。
【0029】
また、演算処理装置PCは、ステージSTに信号を送り、ステージSTを光軸z方向及び光軸に直交する平面内に存在し互いに直交するxy方向に移動する。ステージSTをx,y,z方向に所定量移動しつつ干渉縞の測定、解析を行う。
ここで、干渉計10からの収束光が集光する所定位置Pと、望遠鏡光学系15の焦点位置fとが一致すると、測定される波面収差は最小となる。この時のステージSTの位置Z1をメモリMMに記憶する。図2(A)は、所定位置Pと焦点位置fとが一致している状態を示す図である。
【0030】
次に、図2(B)に示すように、干渉計10からの収束光を光通過部12を介して望遠鏡光学系15の第1参照反射ミラーM1に入射させる。第1参照反射ミラーM1において反射した光は、光通過部12を介して干渉計10側へ射出する。
【0031】
上述と同様に、ステージSTをz方向に移動しながら干渉縞を解析する。そして、干渉計10からの収束光が集光する所定位置Pと、第1参照反射ミラーM1の反射面の位置とが一致する時のステージSTの位置Z2をメモリMMに記憶する。
【0032】
演算処理装置PCは、位置Z1と位置Z2と差分量Z1−Z2を算出する。この差分量は、第1参照反射ミラーM1の反射面と、望遠鏡光学系15の焦点位置fとの間隔に相当する。
【0033】
よって、上述のように第1参照反射ミラーM1を構成する部材の10°K近傍における熱膨張係数が既知である場合は、所望の極低温下における第1参照反射ミラーM1の反射面、即ち望遠鏡光学系15の一部からの焦点位置fを容易に算出できる。
【0034】
なお、上記説明では、干渉計10を移動させている。しかし、本発明は、これに限られず、干渉計10と望遠鏡光学系15との少なくとも一方を移動させれば良い。
【0035】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態にかかる望遠鏡光学系の焦点位置調整装置の構成は、基本的に上記第1実施形態と同様であるので、同一部分には同様の符号を用い、重複する説明は省略する。本実施形態では、望遠鏡光学系15が、その結像面近傍に第2参照反射ミラーM2を有している点が上記第1実施形態と異なる。
【0036】
本実施形態では、第1参照反射ミラーM1と第2参照反射ミラーM2とを構成している同一部材の極低温における線膨張係数が未知の場合に、望遠鏡光学系15の焦点位置fを求めることができる。以下、図2(A),(B),(C)に基づいてアライメント手順を説明する。
【0037】
望遠鏡光学系15は、結像面近傍に第1参照反射ミラーM1を構成する部材と同一の部材からなり、かつ前記第1の参照反射ミラーとは異なる第2参照反射ミラーM2を有している。
【0038】
図2(B)に示すように、真空チャンバ11内が第1の所定温度T1の状態において、干渉計10からの収束光を光通過部12を介して望遠鏡光学系15の第1参照反射ミラーM1に入射させる。
【0039】
望遠鏡光学系15の第1参照反射ミラーM1において反射した光は、光通過部12を介して干渉計10側へ射出する。
【0040】
そして、演算処理装置PCは、形成された干渉縞から波面収差を求める。そして波面収差が最小となる干渉計10からの収束光が集光する所定位置Pと、第1参照反射ミラーM1の反射面の位置とが一致したときの、ステージSTの位置Z1T1をメモリMMに記憶する。
【0041】
次に、図2(C)に示すように、真空チャンバ11内が第1の所定温度T1の状態において、干渉計10からの収束光を光通過部12を介して望遠鏡光学系15の第2参照反射ミラーM2に入射させる。
【0042】
望遠鏡光学系15の第2参照反射ミラーM2において反射した光は、光通過部12を介して干渉計10側へ射出する。
【0043】
演算処理装置PCは、形成された干渉縞から波面収差を求める。そして、波面収差が最小となる干渉計10からの収束光が集光する所定位置Pと、第1参照反射ミラーM2の反射面の位置とが一致したときの、ステージSTの位置Z2T1をメモリMMに記憶する。
【0044】
演算処理装置PCは、第1の所定温度T1における第1参照反射ミラーM1の反射面の位置と第2参照反射ミラーM2の反射面の位置との距離(Z1T1−Z2T1)を求める。
【0045】
次に、真空チャンバ11内が第2の所定温度T2の状態において、
干渉計10からの収束光を光通過部12を介して望遠鏡光学系15の第1参照反射ミラーM1に入射させる。
【0046】
望遠鏡光学系15の第1参照反射ミラーM1において反射した光は、光通過部12を介して干渉計10側へ射出する。
【0047】
そして、演算処理装置PCは、形成された干渉縞から波面収差を求める。そして、波面収差が最小となる干渉計10からの収束光が集光する所定位置Pと、第1参照反射ミラーM1の反射面の位置とが一致したときの、ステージSTの位置Z1T2をメモリMMに記憶する。
【0048】
また、真空チャンバ11内が第2の所定温度T2の状態において、干渉計10からの収束光を光通過部12を介して望遠鏡光学系15の第2参照反射ミラーM2に入射させる。
【0049】
望遠鏡光学系15の第2参照反射ミラーM2において反射した光は、光通過部12を介して干渉計10側へ射出する。
【0050】
そして、演算処理装置PCは、形成された干渉縞から波面収差を求める。そして、波面収差が最小となる干渉計10からの収束光が集光する所定位置Pと、第1参照反射ミラーM1の反射面の位置とが一致したときの、ステージSTの位置Z2T2をメモリMMに記憶する。
【0051】
演算処理装置PCは、第2の所定温度T2における第1参照反射ミラーM1の反射面の位置と第2参照反射ミラーM2の反射面の位置との距離(Z1T2−Z2T2)を求める。
【0052】
次に、演算処理装置PCは、次式から第1及び第2参照反射ミラーM1,M2を構成する部材の線膨張係数βを算出する。
【0053】
【数1】
β={(Z1T1−Z2T1)−(Z1T2−Z2T2)}/(T1−T2)
【0054】
そして、線膨張係数βに基づいて、所望の温度における第1参照反射ミラーM1の反射面又は第2参照反射ミラーM2の反射面と、望遠鏡光学系15の焦点位置fとの距離を算出できる。
【0055】
なお、上記説明では、ステージSTにより干渉計10を移動させている。しかし、本発明は、これに限られず、干渉計10と望遠鏡光学系15との少なくとも一方を移動させれば良い。
【0056】
また、望遠鏡光学系15の焦点位置fには撮像素子(不図示)が取り付けられる。さらに好ましくは、第1及び第2参照反射ミラーM1,M2を構成する部材と、撮像素子を取付ける部材S(図1参照)とを同一の部材とすることが望ましい。かかる構成により、極低温下の撮像面の位置を最適な位置に調整できる。
【0057】
また、上記構成によれば、真空チャンバ11の光通過部12の開口面積を小さくできる。真空チャンバ11内は真空状態に維持されており、外部からの熱が望遠鏡光学系15に伝わりにくい構成となっている。しかし、光通過部12の開口面積が大きいと、熱放射によって真空チャンバ外部から大量の熱が真空チャンバ内部に入力されてしまう。このため、光通過部12の開口面積は、可能な限り小さいものが望ましい。本実施形態では、光通過部12近傍に望遠鏡光学系15の焦点位置fを設けている。この結果、光通過部12の開口面積を小さくできる。
【0058】
また、第1及び第2参照反射ミラーM1,M2の反射面を望遠鏡光学系15の光軸AX近傍に設けている。この結果、干渉計10を光軸から少量シフトすれば反射面に収束光を照射することができる。
【0059】
上記各実施形態によれば、常温と異なる、例えば極低温下の温度環境において望遠鏡光学系の焦点位置を測定することができる。そのため、望遠鏡光学系を使用する温度環境に適した像面位置の調整ができる。そして、例えば、優れた光学性能を有する人工衛星用望遠鏡光学系を提供できる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、例えば宇宙空間のような温度差の大きい環境においても常に良好な観察を行うことができる望遠鏡光学系、この望遠鏡光学系の焦点位置調整装置、及び光学系の焦点位置の測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態にかかる望遠鏡光学系の焦点位置調整装置の概略構成を示す図である。
【図2】(A),(B),(C)は干渉計を移動した時の干渉計近傍の構成を示す図である。
【図3】従来技術の望遠鏡光学系の焦点位置調整装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1,10 干渉計
2,11 真空チャンバ
3,12 光通過部
4,13 副鏡
5,14 主鏡
6,15 望遠鏡光学系
7,16 平面反射ミラー
M1、M2 参照反射ミラー
f 焦点位置
P 集光位置
AX 光軸
ST ステージ
PC 演算処理装置
MM メモリ
S 撮像部取付け部
Claims (1)
- 温度調整機能を備え、光通過部を有するチャンバ内に配置され、結像面近傍に参照反射ミラーを有する被検光学系に、所定位置に集光する収束光を供給する干渉計からの光を前記光通過部を介して入射させ、前記被検光学系を経由した光が、当該被検光学系の物体側に配置された反射部材で反射したのち、再度前記被検光学系を経由して前記光通過部から前記干渉計側に射出するように構成された装置における前記被検光学系の焦点位置の測定方法であって、
前記参照反射ミラーは、第1の参照反射ミラーと、該第1の参照反射ミラーを構成する部材と同一の部材からなり、前記第1の参照反射ミラーとは異なる第2の参照反射ミラーとを有し、
前記チャンバ内が前記温度調整機能により設定された第1の所定温度の状態において、前記干渉計からの収束光を前記光通過部を介して前記被検光学系の前記第1の参照反射ミラーに入射させる第1温度・第1参照反射ミラー入射工程と、
前記被検光学系の前記第1の参照反射ミラーにおいて反射した光を前記光通過部を介して前記干渉計側へ射出させる第1温度・第1参照反射ミラー射出工程と、
前記干渉計からの収束光が集光する前記所定位置と、前記第1の参照反射ミラーの反射面の位置とが一致するように、前記干渉計と前記被検光学系との少なくとも一方の位置を調整する第1温度・第1参照反射ミラー位置調整工程と、
前記チャンバ内が前記第1の所定温度の状態において、前記干渉計からの収束光を前記光通過部を介して前記被検光学系の前記第2の参照反射ミラーに入射させる第1温度・第2参照反射ミラー入射工程と、
前記被検光学系の前記第2の参照反射ミラーにおいて反射した光を前記光通過部を介して前記干渉計側へ射出させる第1温度・第2参照反射ミラー射出工程と、
前記干渉計からの収束光が集光する前記所定位置と、前記第2の参照反射ミラーの反射面の位置とが一致するように、前記干渉計と前記被検光学系との少なくとも一方の位置を調整する第1温度・第2参照反射ミラー位置調整工程と、
前記第1温度・第1参照反射ミラー位置調整工程の結果と、前記第1温度・第2参照反射ミラー位置調整工程の結果とから前記第1の所定温度における第1参照反射ミラーの反射面と第2参照反射ミラーの反射面との距離を算出する第1温度・ミラー間隔算出工程と、
前記チャンバ内が前記第1の所定温度とは異なる第2の所定温度の状態において、
前記干渉計からの収束光を前記光通過部を介して前記被検光学系の前記第1の参照反射ミラーに入射させる第2温度・第1参照反射ミラー入射工程と、
前記被検光学系の前記第1の参照反射ミラーにおいて反射した光を前記光通過部を介して前記干渉計側へ射出させる第2温度・第1参照反射ミラー射出工程と、
前記干渉計からの収束光が集光する前記所定位置と、前記第1の参照反射ミラーの反射面の位置とが一致するように、前記干渉計と前記被検光学系との少なくとも一方の位置を調整する第2温度・第1参照反射ミラー位置調整工程と、
前記チャンバ内が前記第2の所定温度の状態において、前記干渉計からの収束光を前記光通過部を介して前記被検光学系の前記第2の参照反射ミラーに入射させる第2温度・第2参照反射ミラー入射工程と、
前記被検光学系の前記第2の参照反射ミラーにおいて反射した光を前記光通過部を介して前記干渉計側へ射出させる第2温度・第2参照反射ミラー射出工程と、
前記干渉計からの収束光が集光する前記所定位置と、前記第2の参照反射ミラーの反射面の位置とが一致するように、前記干渉計と前記被検光学系との少なくとも一方の位置を調整する第2温度・第2参照反射ミラー位置調整工程と、
前記第2温度・第1参照反射ミラー位置調整工程の結果と、前記第2温度・第2参照反射ミラー位置調整工程の結果とから前記第2の所定温度における第1参照反射ミラーの反射面と前記第2参照反射ミラーの反射面との距離を算出する第2温度・ミラー間隔算出工程と、
前記第1の所定温度における前記第1参照反射ミラーと前記第2参照反射ミラーとの間隔と、前記第2の所定温度における前記第1参照反射ミラーと前記第2参照反射ミラーとの間隔とに基づいて前記第1及び第2参照反射ミラーを構成する前記同一の部材の線膨張係数を算出する線膨張係数算出工程と、
前記線膨張係数に基づいて、所望の温度における前記第1参照反射ミラーの反射面又は前記第2参照反射ミラーの反射面と、前記被検光学系の前記焦点位置との距離を算出する焦点位置算出工程と、
を有することを特徴とする被検光学系の焦点位置の測定方法。
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