JP4613276B2 - 光学活性ピロリジン誘導体 - Google Patents

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Description

本発明は、マイケル反応、アルドール縮合などの炭素−炭素結合形成反応に光学活性触媒として有用であり、医薬品などの原料として用いられる光学活性化合物を合成するために好適なピロリジン誘導体を含有する触媒に関する。
種々の合成反応において重要であるマイケル反応、アルドール縮合などの炭素−炭素結合形成反応に用いられる触媒としては、従来、金属含有触媒が用いられてきた。しかし、水や酸素に対する安定性、合成される化合物の精製工程の簡便化、金属汚染による環境問題などを考慮して、最近では、有機化合物でなる触媒が開発されている。このような有機化合物触媒の代表例としては、L−プロリンおよびその誘導体が挙げられる。L−プロリンは、古くから分子内アルドール反応を促進する不斉触媒として知られ、上記反応により光学活性化合物を製造するのに用いられている。
例えば、非特許文献1〜3には、L−プロリンを触媒として用いたマイケル反応により、光学活性ケトン化合物を合成することが記載されている。このような反応の具体例としては、上記非特許文献2および3に各々次の反応が記載されている。
Figure 0004613276
このほか、ピロリジン環を含む光学活性ジアミン化合物も上記タイプの反応の触媒として知られており、非特許文献4〜7には、以下に示す化合物が記載されている。
Figure 0004613276
さらに、非特許文献8には、ピロリジン環を含む光学活性アミン化合物として、ノルニコチン(ピロリジン環とピリジン環とを有する化合物)が開示されており、該化合物がアルドール縮合触媒として、使用可能であることが記載されている。非特許文献9には、ピロリジン環を含む環状スルファミドを用いてアリール化されたピロリジンを製造する方法が記載されている。
上記以外にもマイケル反応、アルドール縮合などの付加反応により炭素−炭素結合形成反応に触媒として用いることが可能であり、効果的に該反応を触媒し、かつ高い光学収率で所望の化合物を合成することの可能な化合物が求められている。
C. F. Barbas IIIら, J. Am. Chem. Soc., 123, 5260 (2001) B. Listら, J. Am. Chem. Soc., 122, 2395 (2000) D. Enders, A. Seki, Synlett, 2002, No.1, 26. S. Saito, M, Nakadai および H. Yamamoto, Synlett, 2001, No.8, 1245 T. Bui and C. F. Barbas III, Tetrahedron Lett., 41, 6951 (2000) J. M. Betancort, K, Sakthivel, R. Thayumanavan および C. F. Barbas III, Tetrahedron Lett., 42, 4441 (2001) A. Alexakis および O. Andrey, Org. Lett., 4, 3611 (2002) T. J. Dickerson および K. D. Janda, J. Am. Chem. Soc., 124, 3220 (2002) G. F. Cooper, K. E. McCarthy, および M. G. Martin, Tetrahedron Lett., 33, 5895 (1992) D. Alker, K. J. Doyle, L. M. Harwood および A. McCregor, Tetrahedron: Asymmetry, 1, 877 (1990)
本発明の目的は、マイケル反応、アルドール縮合などの炭素−炭素結合形成反応に触媒として利用され得る化合物であって、金属を含有せず、上記反応を効果的に触媒し、かつ高い光学収率で所望の化合物を合成することの可能化合物を含有する触媒を提供することにある。
本発明のsyn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成反応の触媒は、次式(I)で示される光学活性ピロリジン誘導体
Figure 0004613276
ここで、nは、0〜2の整数であり、*は、光学活性部位を示す。
からなり、マイケル反応とアルドール縮合との何れかでsyn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成反応の触媒である。
前記光学活性ピロリジン誘導体が、下記式(II)〜(IV)の何れかで示されるものであることが好ましい。
本発明のsyn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成方法は、前記のsyn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成反応の触媒の存在下、マイケル反応とアルドール縮合との何れかの反応をして、そこにsyn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成方法である。
syn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成方法は、前記のsyn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成反応の触媒に、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸を加えて、前記反応をするものであってもよい。
好適な実施態様においては、上記光学活性ピロリジン誘導体は、次式(II)で示される光学活性2−(2−ピリジルメチル)−ピロリジンである:
Figure 0004613276
ここで、*は光学活性部位を示す。
好適な実施態様においては、上記光学活性ピロリジン誘導体は、次式(III)で示される光学活性2−(3−ピリジルメチル)−ピロリジンである:
Figure 0004613276
ここで、*は光学活性部位を示す。
好適な実施態様においては、上記光学活性ピロリジン誘導体は、次式(IV)で示される光学活性2−(2−ピリジルエチル)−ピロリジンである:
Figure 0004613276
ここで、*は光学活性部位を示す。
本発明によれば、マイケル反応、アルドール縮合などの付加反応による炭素−炭素結合形成反応に不斉触媒として利用され得る新規化合物が得られる。この化合物は、上記反応を効果的に触媒し、高い光学収率で所望の化合物を合成することが可能である。この化合物は、金属を含有していないため、環境に悪影響を与えることもない。
本発明の光学活性ピロリジン誘導体は、次式(I)で示される:
Figure 0004613276
ここで、nは、0〜2の整数であり、*は、光学活性部位を示す。
上記光学活性ピロリジン誘導体の好適な例としては、光学活性2−(2−ピリジルメチル)−ピロリジン、光学活性2−(3−ピリジルメチル)−ピロリジン、光学活性2−(2−ピリジルエチル)−ピロリジンなどが挙げられる。その具体例としては、次式(II)の(S)−2−(2−ピリジルメチル)−ピロリジン、式(III)の(S)−2−(3−ピリジルメチル)−ピロリジン、および式(IV)の(S)−2−(2−ピリジルエチル)−ピロリジンがある。
Figure 0004613276
Figure 0004613276
Figure 0004613276
本発明の光学活性ピロリジン誘導体は、以下に説明するように、光学活性プロリノールから誘導される環状スルファミドに、ピリジンのリチオ化により得られるリチオピリジンまたはアルキルピリジンのリチオ化により得られるリチオアルキルピリジンを作用させることにより得られる。以下の調製例においては、S型の光学活性体を出発物質に用いて、S型のピロリジン誘導体を調製している。このS型をR型とすれば、同様にR型に光学活性体が得られる。S型およびR型の光学活性ピロリジン誘導体のいずれもが、不斉反応触媒として有用である。
本発明の光学活性ピロリジン誘導体の調製にあたっては、例えばまず、(S)−プロリノール(V)に三級アミン触媒の存在化で塩化スルホニルを作用させることにより、環状スルファミド(VI)が得られる(非特許文献10)。
Figure 0004613276
この環状スルファミド(VI)に、上記リチオピリジンあるいはリチオアルキルピリジンを作用させ、次いで酸性条件下で加水分解することにより、本発明の光学活性ピロリジン誘導体が得られる。
Figure 0004613276
例えば、下記のように、環状スルファミド(VI)に、(S)−2−リチオピリジンあるいは(S)−3−リチオピリジンを作用させることにより、(S)−2−(2−ピリジルメチル)−ピロリジン(II)あるいは(S)−2−(3−ピリジルメチル)−ピロリジン(III)が得られる。
Figure 0004613276
上記リチオピリジンの代わりにリチオアルキルピリジンを用いることにより、ピロリジン環とピリジン環とがさらに長い炭素鎖を介して結合している化合物が得られる。例えば、メチルピリジンにリチオ化剤を作用させてこれをリチオ化し、これに環状スルファミド(VI)を作用させることにより、2−(2−ピリジルエチル)−ピロリジン(IV)が得られる。
Figure 0004613276
本発明の光学活性ピロリジン誘導体は、マイケル反応、アルドール縮合などの付加反応による炭素−炭素結合形成反応に不斉触媒として利用され得る。その例として、シクロヘキサノンとニトロスチレンとのマイケル反応を次に示す。
Figure 0004613276
本発明の光学活性ピロリジン誘導体を上記触媒として用いると光学純度の高い生成物が得られる。光学活性ピロリジン誘導体は、反応に供する化合物(例えば、上記式においてはシクロヘキサノンまたはニトロスチレン)1モルに対して、0.05モル〜0.2モルの割合で使用される。例えば、(S)−2−(2−ピリジルメチル)−ピロリジン(II)を触媒とし、ニトロスチレン1モルに対して0.05モル〜0.2モルの割合で使用すると、約54〜86%eeの光学収率で目的とするsyn型の光学活性化合物である(2S,1'R)−(2−ニトロ−1フェニルエチル)シクロヘキサノン(VII)が得られる。
この触媒反応の機構は次のとおりであると考えられる。
Figure 0004613276
まず、(S)−2−(2−ピリジルメチル)−ピロリジン(II)とシクロヘキサノンとにより、エナミン中間体(VIII)が形成される。このとき、シクロヘキサノンのカルボニル基のα位に存在するプロトンがピリジン環に引き抜かれると考えられる。続いて、β−ニトロスチレンのフェニル基が、形成されたシクロヘキセン環を避けるようにして接近し(上記(IX)参照)、(2S,1'R)型の化合物(VII)が選択的に生成し、(S)−2−(2−ピリジルメチル)−ピロリジン(II)が遊離すると考えられる。この化合物(II)は、シクロヘキサノンとの反応に再度利用されると考えられる。
このように、本発明により新規光学活性ピロリジン誘導体が提供される。この化合物は、上述のように、マイケル反応、アルドール縮合などの付加反応による炭素−炭素結合形成反応に不斉触媒として利用され得る。従って、この光学活性ピロリジン誘導体は、医薬品の原料などとして用いられる各種光学活性化合物を合成するのに有用である。
以下に本発明を実施例につき説明する。
(実施例1)
(S)−2−(2−ピリジルメチル)−ピロリジンの合成
Figure 0004613276
n−ブチルリチウムの1.59Mヘキサン溶液7ml(n−ブチルリチウム:11mmol)を、−78℃にて乾燥THF(12ml)中の2−ブロモピリジン1.05ml(11mmol)に加え、混合液をこの温度で10分間攪拌した。次いで、−78℃にてTHF(10ml)中の環状スルファメート(上記式(VI)で示される化合物)1.37g(8.4mmol)を滴下し、混合液を室温に戻し、一夜攪拌した。溶媒をエバポレートし、ベージュ色の泡状物を得た。これを2N塩酸16mlとエタノール16mlとの混合液中で一夜攪拌した。反応混合物を50%水酸化ナトリウム溶液で塩基性とし、ジクロロメタンを加えて抽出を行なった。抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートし、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/イソプロピルアミン=49/1)にかけ、(S)−2−(2−ピリジルメチル)−ピロリジンを橙色油状物として得た(収率53%)。この化合物の物理恒数を以下に示す。
Rf 0.27 (CHCl3 / iPrNH2 = 19 / 1); [α]D 24 +15.5 (c 0.90, MeOH); FTIR (neat) ν 3284, 1592, 1568, 1474, 1436, 753 cm-1; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.45 (1H, m), 1.77 (2H, m), 1.91 (1H, m), 2.76 (1H, br), 2.86-2.92 (2H, m), 2.98 (1H,dd, J = 13.7, 5.6 Hz), 3.05 (1H,ddd, J = 10.2, 7.7, 5.5 Hz), 3.51 (1H, quintet, J = 8.0 Hz), 7.12 (1H,ddd, J = 7.6, 4.9, 1.2 Hz), 7.19 (1H,d, J = 7.8 Hz), 7.60 (1H,ddd, J = 7.8, 7.6, 1.7 Hz), 8.53 (1H,ddd, J = 4.8, 1.7, 1.0 Hz); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 25.0, 31.2, 44.1, 46.2, 58.9, 121.2, 123.5, 136.3, 149.2, 160.1
(実施例2)
(S)−2−(3−ピリジルメチル)−ピロリジンの合成
2−ブロモピリジンの代わりに3−ブロモピリジンを用いたこと以外は実施例1と同様である。以下に示す(S)−2−(3−ピリジルメチル)−ピロリジンを橙色油状物として得た(収率62%)。
Figure 0004613276
この化合物の物理恒数を以下に示す。
Rf 0.29 (CHCl3 / iPrNH2 = 19 / 1); [α]D 25 +6.7 (c 0.60, CHCl3); FTIR (neat) ν 3293, 1575, 1478, 1422, 1107, 1027, 715 cm-1; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.39 (1H, m), 1.67-1.90 (4H, m), 2.74 (1H,d, J = 7.1 Hz), 2.85 (1H,ddd, J = 10.2, 8.3, 6.6 Hz), 3.04 (1H,ddd, J = 10.2, 7.6, 5.1 Hz), 3.24 (1H, quintet, J = 7.1 Hz), 7.22 (1H,ddd, J = 7.8, 4.9, 0.7 Hz), 7.55 (1H,ddd, J = 7.8, 2.1, 1.7 Hz), 8.46 (1H,dd, J = 4.9, 1.7 Hz), 8.48 (1H,d, J = 2.1 Hz); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 24.9, 31.3, 39.7, 46.3, 60.1, 123.3, 135.5, 136.4, 147.6, 150.3
(実施例3)
(S)−2−(2−ピリジルエチル)−ピロリジンの合成
Figure 0004613276
ジイソプロピルアミン0.37ml(2.6mmol)および1.48Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液17.6ml(n−ブチルリチウム:2.6mmol)から調製したリチウムジイソプロピルアミド(LDA)(2.6mmol)溶液とTHF8mlとの混合液を−78℃で2−メチルピリジン0.24ml(2.4mmol)に滴下し、混合物を0℃にまで昇温させた。1時間攪拌後、混合物を再び−78℃に冷却し、THF(10ml)中の環状スルファメート(VI)1.37g(8.4mmol)を滴下し、混合液を室温に戻し、一夜攪拌した。溶媒をエバポレートし、ベージュ色の泡状物を得た。これを2N塩酸16mlとエタノール16mlとの混合液中で一夜加熱還流させた。反応混合物を50%水酸化ナトリウム溶液で塩基性とし、ジクロロメタンで抽出を行なった。抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥後、エバポレートし、次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/イソプロピルアミン=49/1)にかけ、(S)−2−(2−ピリジルエチル)−ピロリジンを黄色油状物として得た(収率87%)。この化合物の物理恒数を以下に示す。
Rf 0.17 (CHCl3 / iPrNH2 = 19 / 1); [α]D 25 -4.1 (c 0.96, CHCl3); FTIR (neat)ν3388, 1592, 1568, 1475, 1435, 1404, 773, 753 cm-1; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.31 (1H, m), 1.65-1.95 (6H, m), 2.81-2.91 (3H, m), 3.01 (2H, m), 7.10 (1H,ddd, J = 7.3, 4.9, 1.0 Hz), 7.17 (1H,d, J = 7.8 Hz), 7.58 (1H,ddd, J = 7.8, 7.3, 2.0 Hz), 8.52 (1H,d, J = 4.9 Hz); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 25.4, 31.8, 36.3, 36.5, 46.6, 58.8, 120.9, 122.7, 136.3, 149.1, 162.0
(実施例4)
シクロヘキサノンとβ−ニトロスチレンとの不斉マイケル反応
Figure 0004613276
本実施例では、触媒として、実施例1で得られた光学活性ピロリジン誘導体である(S)−2−(2−ピリジルメチル)−ピロリジンを用いた。
シクロヘキサノン0.5mlと上記光学活性ピロリジン誘導体4mg(0.025mmol;0.1eq)とをクロロホルム(2ml)中に含有する混合液を、β−ニトロスチレン38mg(0.25mmol;1.0eq)に加えた。この混合物を、薄層クロマトグラフィーで反応状況を確認しながら、反応が完結するまで適切な温度で攪拌した(本実施例では室温にて1日間反応を行なった)。次いで、反応液を0℃にて1N塩酸2mlでクエンチし、ジクロロメタン3mlで2回抽出を行なった。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥を行ない、濾過した。濾液を濃縮し、調製用薄層クロマトグラフィーにかけ(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)、上記式(VII)で示す化合物を白色固形物として得た。この生成物の光学純度(ee)の測定は、分析用キラルHPLC(Chiralpak ADカラム0.46×25cm;ヘキサン/2−プロパノール=90/1;0.5cm/分)で行なった。 R[(2R,1'S)]13.5分; R[(2S,1'R)]15.4分。
この反応に使用した触媒の種類および濃度、反応温度、反応時間、生成物の収率、syn/anti比、およびsyn型化合物の光学収率を表1に示す。表1における収率は、クロマトグラフィーにて精製後の収率であり、syn/anti比は、粗生成物のH NMR分析による値である。
後述の実施例5〜11および比較例についても、反応に使用した触媒の種類および濃度、反応温度、反応時間、生成物の収率、syn/anti比、およびsyn型化合物の光学収率を併せて表1に示す。
(実施例5〜8)
実施例1と同様の触媒を使用し、表1に示す条件により実施例1に準じて反応を行なった。実施例5においては、溶媒としてクロロホルムの代わりにトルエンを用いた。
(実施例9)
触媒として、実施例2で得られた(S)−2−(3−ピリジルメチル)−ピロリジンを光学活性ピロリジン誘導体として用い、実施例1に準じて反応を行なった。
(実施例10および11)
触媒として、実施例3で得られた(S)−2−(2−ピリジルエチル)−ピロリジンを光学活性ピロリジン誘導体として用い、実施例1に準じて反応を行なった。
(比較例)
触媒としてピロリジンを用い、実施例1に準じて反応を行なった。
Figure 0004613276
表1から明らかなように、S型のピロリジン誘導体を触媒として用いると、90%以上の割合でsyn型の化合物が生成し、かつ該化合物の光学純度も高い。実施例4、6、および7を比較すると、0℃あるいはそれ以下の反応温度を採用することにより、特に高い光学純度の化合物が得られることがわかる。使用する触媒の量は、原料化合物1モルに対して0.1モル程度で十分であると考えられる。実施例8、9、および11を比較すると、化合物(II)、(III)、および(IV)のうち、化合物(II)の反応速度が最も速いことが明らかである。
(実施例12)
本実施例では、触媒として、実施例1で得られた光学活性ピロリジン誘導体である(S)−2−(2−ピリジルメチル)−ピロリジンを用いた。
シクロヘキサノン0.5mlと上記光学活性ピロリジン誘導体4mg(0.025mmol;0.1eq)とをクロロホルム(2ml)に加えた。このクロロホルム混合液をp−メトキシ−β−ニトロスチレン45mg(0.25mmol;1.0eq)に加えた。この混合物を、薄層クロマトグラフィーで反応状況を確認しながら、反応が完結するまで適切な温度で攪拌した(本実施例では室温にて15日間反応を行なった)。次いで、反応液を0℃に冷却し、1N塩酸2mlでクエンチし、ジクロロメタン3mlで2回抽出を行なった。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥を行ない、濾過した。濾液を濃縮し、調製用薄層クロマトグラフィーにかけ(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)、表2Aに示す化合物を得た。この生成物の光学純度(ee)の測定は、分析用キラルHPLC(Chiralpak ADカラム0.46×25cm;ヘキサン/2−プロパノール=90/1;0.5cm/分)で行なった。
これとは別に、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸を、p−メトキシ−β−ニトロスチレン1モルに対して0.1モルとなるように上記クロロホルム溶液に加えて混合溶液を得、これをp−メトキシ−β−ニトロスチレンに加えて、同様に反応を行った。上記と同様に操作し、同様の生成物を得た。
これらの反応における反応時間、生成物の構造、生成物の収率、syn/anti比、およびsyn型化合物の光学収率を表2Aに示す。表2Aおよび後述の表2Bにおける収率は、クロマトグラフィーにて精製後の収率であり、syn/anti比は、粗生成物のH NMR分析による値である。「2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸」の項において、○は、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸を加えて反応を行った場合、−は、加えずに反応を行った場合を示す。
後述の実施例13〜18についても、各々の反応における反応時間、生成物の構造、生成物の収率、syn/anti比、およびsyn型化合物の光学収率を併せて表2Aまたは表2Bに示す。
(実施例13〜16)
p−メトキシ−β−ニトロスチレンの代わりに、表2Aまたは表2Bに示すニトロ化合物を、実施例12におけるのと同様のモル比で用いたこと以外は、実施例12と同様に反応を行った。得られた生成物について、実施例12と同様に評価を行った。但し、生成物の光学純度(ee)の測定は、分析用キラルHPLC(Chiralpak ASカラム)を用いて行なった。
(実施例17および18)
シクロヘキサノンの代わりに表2Bに示すケトン化合物またはアルデヒド化合物を、そして、p−メトキシ−β−ニトロスチレンの代わりに、β−ニトロスチレンを、実施例12におけるのと同様のモル比で用いたこと以外は、実施例12と同様に反応を行った。得られた生成物について、実施例12と同様に評価を行った。但し、生成物の光学純度(ee)の測定は、実施例17においては、分析用キラルHPLC(Chiralpak ASカラム)を用いて行ない、実施例18においては、分析用キラルHPLC(Chiralpak ADカラム)を用いて行なった。
Figure 0004613276
Figure 0004613276
表2Aおよび表2Bから、本発明の光学活性ピロリジン誘導体は、種々の基質を用いた不斉マイケル反応の触媒として有用であり、光学純度の高い生成物が得られることがわかる。
本発明によれば、このように、マイケル反応、アルドール縮合などの付加反応による炭素−炭素結合形成反応に不斉触媒として利用され得る新規化合物が提供される。この化合物は、医薬品原料などに用いられる光学活性化合物の製造に好適に用いられ得る。

Claims (4)

  1. 次式(I)で示される光学活性ピロリジン誘導体:
    Figure 0004613276
    ここで、nは、0〜2の整数であり、*は、光学活性部位を示す。
    からなり、マイケル反応とアルドール縮合との何れかでsyn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成反応の触媒。
  2. 前記光学活性ピロリジン誘導体が、次式(II)〜(IV)
    Figure 0004613276
    ここで、*は何れも光学活性部位を示す。
    の何れかで示されることを特徴とする請求項1に記載のsyn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成反応の触媒。
  3. 請求項1に記載のsyn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成反応の触媒の存在下、マイケル反応とアルドール縮合との何れかの反応をして、そこにsyn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成方法。
  4. 前記触媒に、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸を加えて、前記反応をすることを特徴とする請求項3に記載のsyn体又はanti体を形成する炭素−炭素結合形成方法。
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