JP4612459B2 - ターボコンパウンドエンジン - Google Patents

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Description

本発明は、ターボコンパウンドエンジンに関するものである。
従来より、排気ガスから動力回収するターボチャージャと、該ターボチャージャのタービンを経た排気ガスから更に動力回収するパワータービンとを備え、ターボチャージャで回収した動力を吸気を加圧するための過給動力として、パワータービンで回収した動力をエンジン駆動力として有効利用し得るようにしたターボコンパウンドエンジンが知られている。
図2は一般的なターボコンパウンドエンジンの一例を示すもので、ここに図示する例においては、エンジン本体1から排出された排気ガス2の持つエネルギーをターボチャージャ3のタービン4で動力として回収し、該タービン4により駆動されるコンプレッサ5でエンジン本体1に入る吸気6を加圧する一方、タービン4を経た排気ガス2からパワータービン7で更にエネルギーを動力として回収し、その回収した動力を第一ギアトレーン8、流体継手9、第二ギアトレーン10を介してエンジン本体1のクランクシャフト11に伝達するようにしてある。
ここで、パワータービン7からクランクシャフト11への動力伝達系に流体継手9が含まれているのは、エンジン本体1のねじり振動やエンスト等の急激な回転変動が伝達されないようにするためである。
また、図2中における12は第一ギアトレーン8の一要素を成す流体継手9の入力ギア、13は第二ギアトレーン10の一要素を成す流体継手9の出力ギア、14はフライホイールを示す。
尚、この種のターボコンパウンドエンジンに関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
特開平9−222026号公報
しかしながら、斯かる従来のターボコンパウンドエンジンにおいては、低負荷時に排気ガス2のエネルギーが減少してくると、パワータービン7で動力回収できなくなるばかりか、該パワータービン7の方が逆にエンジン本体1側から駆動されるようになってしまい、パワータービン7が寧ろエンジン本体1側から見た負荷となって動力損失が生じるという問題があった。
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、低負荷時にパワータービンがエンジン本体側から駆動されることによる動力損失を低減し得るようにしたターボコンパウンドエンジンを提供することを目的とする。
本発明は、排気ガスから動力回収するターボチャージャと、該ターボチャージャのタービンを経た排気ガスから更に動力回収するパワータービンとを備え、該パワータービンで回収した動力を流体継手を介してクランクシャフトに伝達するようにしたターボコンパウンドエンジンにおいて、前記流体継手の動力伝達効率を低負荷時に低減する伝達効率抑制手段を、流体継手にエンジンオイルを供給する供給ラインの途中に設けられた常時開の制御弁と、該制御弁の開度を低負荷時に小さくなるように制御して油量を絞る制御装置とにより構成して備えたことを特徴とするものである。
而して、このようにすれば、排気ガスのエネルギーが大きな中高負荷時において、ターボチャージャのタービンを経た排気ガスからパワータービンにより動力が回収され、その回収された動力が流体継手によりエンジン本体のクランクシャフトに伝達されて有効利用される一方、低負荷時にあっては、制御装置により供給ライン途中の制御弁の開度が小さくなって流体継手への油量が絞られ、エンジン本体側から回転されるうちに流体継手内のエンジンオイルが足りなくなり、これにより流体継手の動力伝達効率が低減されるので、エンジン本体側からの動力が流体継手によりパワータービン側へ伝達され難くなり、該パワータービンがエンジン本体側から見てあまり大きな負荷とならずに済んで動力損失が著しく低減されることになる。
上記した本発明のターボコンパウンドエンジンによれば、低負荷時における流体継手の動力伝達効率を低減してエンジン本体側からパワータービン側への動力伝達を大幅に抑制することができるので、低負荷時にパワータービンがエンジン本体側から駆動されることによる動力損失を著しく低減することができるという優れた効果を奏し得る。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、以下の説明では、図1に図示されていない全体構成に関し、先に従来技術の説明で用いた図2も参照しながら説明することとする。
本形態例においては、前述した図2と略同様に構成したターボコンパウンドエンジンに関し、流体継手9の動力伝達効率を低負荷時に低減する伝達効率抑制手段を備えたところに特徴があり、ここに図示している例では、流体継手9に作動流体としてエンジンオイル15を供給する供給ライン16の途中に設けられた常時開の制御弁17と、該制御弁17の開度を低負荷時に小さくなるように開度指令信号17aにより制御して油量を絞る制御装置18とにより伝達効率抑制手段が構成されている。
また、前記制御装置18には、アクセル開度をエンジン本体1の負荷として検出するアクセルセンサ19(負荷センサ)からのアクセル開度信号19aと、エンジン本体1の機関回転数を検出する回転センサ20からの回転数信号20aとが入力されるようになっており、これらアクセル開度信号19aと回転数信号20aとに基づいて現在の運転状態が制御弁17の開度を小さくするべき低負荷状態にあるか否かが判断されるようになっている。
尚、制御弁17の開度を小さくするべき低負荷状態とは、パワータービン7(図2参照)で動力回収できないほど排気ガス2のエネルギーが少なくて、パワータービン7の方がエンジン本体1側から駆動されてしまうような運転領域にある状態のことを指している。
ここで、図1を用いて流体継手9の詳細について捕捉説明しておくと、この流体継手9においては、多数のタービン翼21を環状に備えたタービン翼車22と、多数のインペラ翼23を環状に備えたインペラ翼車24とがケーシング25内で対向配置されており、この対向配置により相互間に画成された空間のタービン翼車22側にタービン室26が形成され、インペラ翼車24側にはインペラ室27が形成されるようになっている。
前記タービン翼車22は、第二ギアトレーン10(図2参照)の一要素を成す出力ギア13と一体的に回転する出力シャフト28に取り付けられ、前記インペラ翼車24は、前記出力シャフト28の出力ギア13と反対側の端部に回動自在に外嵌された入力シャフト29に取り付けられており、この入力シャフト29には、第一ギアトレーン8(図2参照)の一要素を成す入力ギア12が一体的に装備されている。
そして、前記タービン翼車22及びインペラ翼車24の相互間には、前記供給ライン16からのエンジンオイル15が、出力シャフトの出力ギア13と反対側の端部に穿設された油通路30を通して供給されるようになっており、このエンジンオイル15は、タービン翼車22を被包するようにインペラ翼車24の外周部に取り付けられたカバー31によりエンジン停止時でも半分程度の量が貯溜されるようになっている。
而して、このように流体継手9を構成すれば、排気ガス2のエネルギーが大きな中高負荷時において、ターボチャージャ3のタービン4を経た排気ガス2からパワータービン7により動力が回収され、その回収された動力が流体継手9によりエンジン本体1のクランクシャフト11に伝達されて有効利用される一方、低負荷時にあっては、制御装置18の開度指令信号17aにより供給ライン16途中の制御弁17の開度が小さくなって流体継手9への油量が絞られ、エンジン本体1側から回転されるうちに流体継手9内のエンジンオイル15が足りなくなり、これにより流体継手9の動力伝達効率が低減されるので、エンジン本体1側からの動力が流体継手9によりパワータービン7側へ伝達され難くなり、該パワータービン7がエンジン本体1側から見てあまり大きな負荷とならずに済んで動力損失が著しく低減されることになる。
従って、上記形態例によれば、低負荷時における流体継手9の動力伝達効率を低減してエンジン本体1側からパワータービン7側への動力伝達を大幅に抑制することができるので、低負荷時にパワータービン7がエンジン本体1側から駆動されることによる動力損失を著しく低減することができる。
尚、本発明のターボコンパウンドエンジンは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明を実施する形態の一例を示す断面図である。 従来例を示す概略図である。
1 エンジン本体
2 排気ガス
3 ターボチャージャ
4 タービン
7 パワータービン
9 流体継手
11 クランクシャフト
15 エンジンオイル
16 供給ライン
17 制御弁(伝達効率抑制手段)
18 制御装置(伝達効率抑制手段)

Claims (1)

  1. 排気ガスから動力回収するターボチャージャと、該ターボチャージャのタービンを経た排気ガスから更に動力回収するパワータービンとを備え、該パワータービンで回収した動力を流体継手を介してクランクシャフトに伝達するようにしたターボコンパウンドエンジンにおいて、前記流体継手の動力伝達効率を低負荷時に低減する伝達効率抑制手段を、流体継手にエンジンオイルを供給する供給ラインの途中に設けられた常時開の制御弁と、該制御弁の開度を低負荷時に小さくなるように制御して油量を絞る制御装置とにより構成して備えたことを特徴とするターボコンパウンドエンジン。
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