JP4611838B2 - ピストンの製造方法およびピストン挟持装置 - Google Patents
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Description
一方で、ピストン半製品をピストン軸心回りに回転させながらピストン軸心と直交するX軸に沿って移動させ、ピストン軸心と平行で且つX軸と直交するZ軸まわりに回転する刃具をZ軸に沿って往復移動させ、ピストン半製品のX軸に沿う移動速度および移動量を、予め設定された長楕円ピストンの外面形状データに基づいてNC制御するようにした非真円切削装置が下記の特許文献1に開示されている。
これら、円筒カムによる倣い旋削加工法およびNC制御による非真円切削加工法のいずれも、ピストン半製品を旋盤主軸に固定する時に外部からの圧力を受けてピストン半製品が変形するのを防止するために、予めスカート部内面に真円形状の加工基準のためのインローを加工しておき、この部分を回転力伝達治具に嵌め合わせ、同時にピストン半製品をピストン軸心方向にスカート部側から押したりピストンヘッド部側から押したりして、ピストン半製品を回転力伝達治具に押し付けて加工している。但し、これらの加工法においては、回転力を伝達する際の力、ピストン半製品を固定するための押し付け力などによってピストン半製品が弾性変形した状態で削り加工が施されることがある。
各図において、この実施形態に係るピストン挟持装置1は、ピストン半製品50Aの内周面50Cと一対のピンボス53,53の両方の一側面53A,53Aとの間に装入される第1チャック爪3Aと、ピストン半製品50Aの内周面50Cと一対のピンボス53,53の両方の他側面53B,53Bとの間に装入される第2チャック爪3Bと、第1チャック爪3Aと第2チャック爪3Bを互いに近接、離間させるように駆動する爪駆動機構2と、を備えている。
続いて、エアコンプレッサからの圧搾空気(例えば500〜600kPa)が爪駆動機構2の導気孔18から連通孔23を経てシリンダ室11の前室12に注入される。すると、ピストン9が後向きに押圧されて、ピストン9、センター軸8、およびチャックウェッジ7が一体で後方に移動する。これにより、チャックウェッジ7がチャック親爪6Aおよびチャック親爪6Bを軸心C向きに移動させて互いに近づける。
その後、圧搾空気28の流路を切り換えて、導気孔18から連通孔24を経てシリンダ室11の後室13に注入する。これにより、チャックウェッジ7が前進し、第1チャック爪3Aおよび第2チャック爪3Bが離れる方向(爪駆動機構2の径方向外向き)に移動し、第1チャック爪3Aおよび第2チャック爪3Bによる一対のピンボス53,53の挟持状態を解除する。すると、それまで円形であったスカート部52A2が弾性により2点鎖線TDの方向に拡がって、底面から見て楕円形(2点鎖線TD方向の寸法Aが長径である)のスカート部52(図中実線で示す)を有する製品ピストン50が得られるのである。
すなわち、このピストン製造方法によれば、円筒カムやNC制御によらない簡便な設備により、楕円形状のピストン製品を容易かつ安価に製造することができる。その際には、スカート部のインローを基準にするためにピストンの機能に関係のない部分に捨て加工を行うといった従来工程が省略される。
各図に示した第1チャック爪3Aおよび第2チャック爪3Bは、それぞれ、下部が大径で上部が小径に形成されている。第1チャック爪3Aの小径部にはピンボス軸心Dと平行する向きの収容孔30が穿設されており、第1チャック爪3Aの大径部にはDと平行する向きの収容孔32が穿設されている。収容孔30には押力平衡部材31がピンボス軸心Dと平行する方向(左右方向)に揺動自在に収容され、収容孔32には押力平衡部材33が同じく左右揺動自在に収容されている。第1チャック爪3Aには、その先端面から軸心C方向に延びて収容孔30および収容孔32を通過するピン穴34が穿設されている。押力平衡部材31の左右中央部分には貫通孔36が前後貫通して穿設され、押力平衡部材33の左右中央部分には貫通孔37が前後貫通して穿設されている。そして、ピン35が、ピン穴34、貫通孔36、および貫通孔37を通されることにより、押力平衡部材31および押力平衡部材33が収容孔30および収容孔32内にそれぞれ抜け止め保持される。
従って、本実施形態のピン挟持装置は、上記のように、ピンボス軸心Dと平行の方向、および直角の方向のいずれに関しても、一対のピンボス53,53を安定に且つ確実に且つ均等な力で挟持して、ピストン半製品50Aを所望度合いに弾性変形することができる。
尚、押力平衡部材31,33と同様の機能を有する押力平衡部材をチャック爪3Aに替えてチャック爪3Bに設けても構わない。その場合は、チャック爪3Bが本発明にいう第1チャック爪となり、ピンボス53,53の側面53B,53Bが本発明にいう一側面となる。
各図には、第1チャック爪3Aの先端部の対向面38A側に、曲率径rの円弧状に刻設された収容段部40が設けられている。この収容段部40には、同じく曲率径rの円弧板状に形成された押力平衡部材41がピンボス軸心Dと平行する方向(左右方向)に揺動自在(揺動角度α(図11(a)))に収容されている。押力平衡部材41は、一対のピンボス53,53の一側面53A,53Aに当接する各当接面3A13,3A23が第1チャック爪3Aの対向面38A,38Aから突出するように配置されている。押力平衡部材41の左右中央部分には貫通孔42が貫通して穿設されている。この貫通孔42が収容段部40に立設されたピン43に嵌装されることにより、押力平衡部材41が抜け止め保持される。
一方、押力平衡部材44は第2チャック爪3Bの壁の点P4(図11(b))で示す位置と接する部位を支点とし当接面3B24,3B25を力点として、ピンボス軸心Dと直角の方向に揺動する。これにより、ピンボス53の他側面53Bが軸心Cに対し傾斜していたとしても、他側面53Bの傾斜に対応して押力平衡部材44が揺動し、当接面3B24および当接面3B25が、軸心C方向に関して均等な力で他側面53Bを押圧する。
2 爪駆動機構
3A 第1チャック爪
3B 第2チャック爪
3A11,3A12,3A13,3A21,3A22,3A23 当接面
26 切削刃
31,33,41 押力平衡部材
38A,38B ボス対向面
50 製品ピストン
50A,50B ピストン半製品
50C 内周面
52A,52A1,52A2 スカート部
53 ピンボス
53A 一側面
53B 他側面
55 外周面
A 長径
B 短径
C 回転軸心
D ピンボス軸心
−E,E 矢印
TD 1点鎖線
Claims (4)
- ピストン半製品の内面に同軸心で対向して形成された一対のピンボスの、両方の一側面と両方の他側面をピンボス軸心と略直交する方向に挟持して一対のピンボスを弾性変形させ、前記一対のピンボスを弾性変形させた状態でピストン半製品の少なくともスカート部の外周面を真円旋削したのちに、前記一対のピンボスの挟持を解除することを特徴とするピストンの製造方法。
- 一対のピンボスを弾性変形させる挟持力を変更可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のピストンの製造方法。
- ピストン半製品の内面に同軸心で対向して形成された一対のピンボスの両方の一側面とピストン内周面との間に装入される第1チャック爪と、前記一対のピンボスの両方の他側面とピストン内周面との間に装入される第2チャック爪と、第1チャック爪と第2チャック爪を互いに近接、離間させるように駆動する爪駆動機構とを備えて成り、爪駆動機構の駆動により、第1チャック爪と第2チャック爪が一対のピンボスの両方の一側面と両方の他側面をピンボス軸心と略直交する方向に挟持して一対のピンボスを弾性変形させることを特徴とするピストン挟持装置。
- ピンボスと対向する第1チャック爪の対向面、またはピンボスと対向する第2チャック爪の対向面に、一方のピンボスの側面に当接する当接面と他方のピンボスの側面に当接する当接面を有する押力平衡部材を、ピンボス軸心と略平行方向に揺動自在に設けたことを特徴とする請求項3に記載のピストン挟持装置。
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