JP4611827B2 - カイロ用不織布および使い捨てカイロ - Google Patents
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Description
特許文献1には、潜在捲縮発現性ポリエステル複合繊維不織布を熱処理によって捲縮発現させ、医療用の「貼るカイロ」として、身体のフイット性が良く、保温効果に優れている使い捨てカイロが記載されているが、不織布自体が伸縮性を有するため、カイロへの生産加工時に、不織布の伸びが生じ、寸法安定性、加工安定性の低下が問題となる。
特許文献2には、セルロース系短繊維を水流交絡で製造した不織布が、肌触り、保水性に優れたカイロ用表面材が記載されている。しかし、この表面材は、水流交絡不織布を用いるので、肌触りが良いが、強度の問題や、カイロへの生産加工時に不織布の伸びや幅入りが生じやすく、加工時の寸法安定性が低下するという問題がある。
特許文献3には、柔軟で繊維触感を持ちながら、発熱体の熱を有効に活かす、保温効率の良好な使い捨て保温具が記載されている。しかしながら、この保温具は、嵩高性、柔軟性には優れているが、加工時の寸法安定性の低下、耐磨耗性の低下等の問題がある。
上記課題を達成するために本願で特許請求される発明は以下の通りである。
(2)前記複合不織布の嵩密度が0.10〜0.25g/cm3であることを特徴とする上記(1)に記載の使い捨てカイロ。
(3)前記熱可塑性長繊維不織布層の透水量が100L/m2・sec以上であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の使い捨てカイロ。
(4)前記短繊維ウェブ層が、ポリエステル短繊維と低融点繊維短繊維が混合していることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の使い捨てカイロ。
(5)前記熱可塑性長繊維不織布層が、ポリアミド長繊維、ポリエステル長繊維、脂肪族ポリエステル長繊維、およびポリプロピレン長繊維から選ばれる少なくとも一つからなることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の使い捨てカイロ。
さらに、長繊維と短繊維が流体交絡されているため、耐磨耗性、柔軟性、肌触り性、保温性に優れている。しかも、外表面を短繊維層側とすることにより、嵩高でフエルト状の外観を有し、表面に立毛を有するためソフトな触感を有し、外観品位と触感に優れた包材とすることができる。この包材に発熱組成物を充填することによって、使い捨ての揉むカイロ、または片面に粘着剤を塗布した貼るカイロとすることができる。
本発明の複合不織布の構造的特徴は、連続フイラメントが積層されて部分熱圧着で表裏一体化接合された緻密構造を有する熱可塑性合成長繊維不織布と、繊維長が10mm〜100mmの範囲である短繊維ウェブとが、液体交絡で三次元に渡って交絡して一体化されていることである。このような構造では、長繊維不織布の繊維間隙に短繊維が入り込み、不織布の厚み方向に渡って長繊維と短繊維が絡み、容易に短繊維が脱落し難くなる。
このため、複合不織布の断面は粗密の構造となり、密な構造の長繊維の表面に粗な構造の立毛した短繊維が長繊維と交絡して存在する構造となる。従って、得られた複合不織布は、表面が立毛状態であり、柔軟性、肌触り性、耐磨耗性に優れ、カイロ生産加工工程、例えば発熱材料の製袋加工工程等の走行張力に対し、幅入りが極めて少なく、寸法安定性に優れたものとなる。また、使い捨てカイロとして使用した場合、手で揉む操作を繰り返しても、短繊維の脱落が少なく、磨耗時の耐毛羽立ち性も優れている。
熱可塑性長繊維不織布の嵩密度は0.1〜0.3g/cm3の範囲であり、短繊維ウェブの嵩密度は0.001〜0.06g/cm3の範囲であり、複合不織布全体としての嵩密度は0.1〜0.25g/cm3の範囲であることが好ましい。
流体交絡性を考慮すると、部分熱圧着部は流体の透過を阻害するため、熱圧着部としては、1個ごとに比較的小さな面積で、均等に、狭い間隔で分布していることが好ましい、例えば、1個あたりの面積が0.1〜10mm2、間隔が1〜15mmであることが好ましい。
流体交絡において、長繊維不織布の透水性は100L/m2・sec以上が好ましく、より好ましくは150〜500L/m2・secである。透水性がこの範囲にあると、流体交絡時の流体の透過性がよく、さらに、真空による脱液性も良好となる。
なお、本発明において、流体交絡とは、例えば、高圧水流を用いた水流交絡が挙げられる。
平均繊維径が7〜30μm、好ましくは、10〜25μmである。目付けが20g/m2より小さいと、強度や、目付の均一性が低下し、70g/m2超えると繊維構造が嵩高になり、流体交絡性が低下する。平均繊維径が7μmより小さいと、強度が低下し、緻密な構造となりやすく流体交絡性が低下し、30μmを超えると柔軟性が低下する。
短繊維を構成する繊維としては、カイロ用包材として使用する場合、発熱組成物に含まれる水分を吸水しない素材が適切であり、疎水性繊維を主体に構成することが好ましい。なお、レーヨン繊維、その他セルロース繊維、天然繊維などの親水性繊維は、発熱組成物中の含有水分に影響を与えない程度に混合してもよい。
親水性繊維を含有した短繊維ウェブは、カイロ用包材の外表面に用いると、発熱組成物中の含有水分への影響を減少できるので好ましい。
短繊維の繊維長は、10〜100mmが好ましく、より好ましくは、20〜80mmである。繊維長が10mmより短いと、カードウエブの開繊性が低下する、一方100mmを超えると、長繊維との絡み性が低下する。
本発明における短繊維ウェブ層の製造は、従来公知のカード法などの開繊処理をし、クロスレイヤーの積層でウッブを形成することにより行なわれる。なお、ウェブ形成後、必要に応じて、ニードルパンチ機などの交絡を施してもよい。
A層が10重量%未満では(B層が90重量%を超えると)B層の割合が多くなり、柔軟性、肌触り性が良いが、強度、寸法安定性が低下する。一方、A層が60重量%を超えると、強度、寸法安定性が良いが、柔軟性、肌触り性が低下する。
噴射ノズルの孔径は、0.05〜2.0mm、好ましくは0.1〜0.5mm、噴射ノズル間隔は0.2〜10mm、好ましくは0.3〜5mmであり、噴射圧は0.5Mpa〜15Mpa、好ましくは1Mpa〜12Mpaであり、噴射ノズルと、多孔性支持体との間隔は、1〜15cm、好ましくは2〜10cmである。
本発明に用いる流体交絡において、多孔質支持体上に長繊維不織布と短繊維ウェブを積層し、短繊維ウェブの上面から、加圧流体を噴射させ、多孔質支持体の下面から、スリット状の真空装置を用いて、脱液することにより、スムーズな流体交絡ができる。
嵩密度が0.10g/cm3未満では、繊維密度が低下し、耐磨耗性、寸法安定性が低下し、一方、0.25g/cm3を超えると繊維密度が高くなり、耐磨耗性、寸法安定性が良くなるが、柔軟性が低下する
本発明の複合不織布の表面は毛羽立ち状態において、短繊維と長繊維の交絡が強固に行われており、耐摩耗性が3級以上、好ましくは、3.5級以上である。耐摩耗性は、JIS-L-1906の学振摩擦強度測定方法で、荷重250g、摩擦子にモス織物を付け、100回摩耗させて判定する。耐磨耗性3級以上では、磨耗による毛羽立ちが殆ど無く、良好な磨耗性を有する。耐摩耗性が3級未満では、磨耗による毛羽の発生、繊維の脱落が多くなる。
この包材の少なくとも一面において、発熱組成物を発熱させるために、空気の通気性が必要である。包材に通気性を与えるには、複合不織布に押し出フイルムをラミネートした後、孔をあける方法、または有孔フイルムと不織布とをラミネートする方法があげられる。熱可塑性樹脂フイルムとしては、例えば、ポリエチレン、メタロセン触媒を用いた直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/エチレンー酢酸ビニール共重合物、ポリエチレン/エチレンアクリル酸塩共重合物、ポリアミドなどの単一または、2種以上の積層フイルムなどが用いられる。
発熱組成物としては、空気の存在下で発熱するものであれば特に制限はない。例えば、鉄粉などの金属紛、金属塩化物、金属硫化物、反応助剤、水及び水を吸収する保湿材(例えば、活性炭、木紛、シリカゲル、リンター等)、添加物などの混合物が用いられる。本発明における使い捨てカイロは、例えば複合不織布を袋体形状にし、この袋体に発熱組成物を収容してから外周部を熱融着することで得られる。
(1) 目付:試料20cm×25cmを、3箇所切り取り重量測定し、目付に換算、平均値から求める。
(2) 厚み:直径10mmの加圧子で、荷重10kPaにて10カ所測定し、平均値から求める。
厚み変化量(mm)は、KES圧縮特性方式を用いて、荷重10kPa(100gf/cm 2 )時の厚みから、荷重0kPa(0gf/cm 2 )時の厚みへの変化量(mm)で示す。
(3) 平均繊維径(μm):電子顕微鏡で500倍の拡大写真をとり、10本の平均値で求める。
(4)平均みかけ密度(g/cm3):目付と、荷重10KPaの厚みから単位容積あたりの重量を3箇所の平均値で求める。
(5)引張強度(N/5cm、5%伸張時の中間応力):JIS-L-1906に準じ、引張試験機で、幅5cm、長さ30cm試料を切り取り、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/minで5%伸張時の中間応力、破断強度を縦,横それぞれ3箇所測定し3点の平均値で求める。
(6)5N荷重時の幅入り率(%):JIS-L-1906に準じ、引張試験機で、幅5cm、長さ30cm試料を切り取り、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/minで、タテ方向に5Nの荷重を掛け、30秒間後、中央部の幅を測定し、幅入り率を測定する。
(7)剥離強度(N/5cm):JIS−K−6854のT字90度剥離法に基づいて測定し平均値で示す。
(8)耐摩擦性(級):学振摩擦機で荷重250g、回数100回摩耗して目視判定する。
×1級 毛羽立ちが甚だしい。
△ 2級 毛羽立ちが少しある。
○ 3級 毛羽立ちが殆んどない。
◎4級 毛羽立ちが全くない。
(9)肌触り性:手の平に触れた感触で判定する。
○:立毛感があり、ソフトで柔軟な感触である。
△:立毛感が弱く、ソフトな感触が少し劣る。
×:立毛感がなく、ソフト性がなく、薄っぺらい感触である。
(10)透水量(L/m2・sec):JIS−A−1218法(定水位試験法)に準じる。水位を一定にして、単位面積当たりの透水量を測定する。
(11)柔軟性(mm):JIS−L−1906法 45度カンチレバー法に準じる。
実施例1において、公知のスパンボンド法を用いて、ナイロン長繊維(丸断面、平均繊維径15μm)からなる不織布(目付け20g/m2、部分熱圧着率7%)とし、次いで、ナイロン短繊維(丸断面、平均繊維径17μm、繊維長51mm、目付け40g/m2)をカード機で開繊してからプレニードルパンチ機(針番手40番、針深さ12mm、突き密度30回/cm2)で交絡させた短繊維ウエブ層をナイロン長繊維に積層し、金網ネット状に載せ、噴射ノズル径0.2mm、噴射孔間隔1.5mm、初期噴射圧10Mpaで短繊維層側を上面として予備流体交絡をおこない、次いで、噴射圧12Mpa、噴射ノズルとネット間隔7cm、速度50m/minで2回目の短繊維層側から流体交絡処理を行い、脱水、乾燥して複合不織布を得た。
Claims (5)
- カイロ用不織布に熱可塑性樹脂フイルムをラミネートした通気性を有する包材と、該包材に収容された、空気の存在下で発熱する発熱組成物とを有する使い捨てカイロであって、該不織布が、目付が8〜50g/m2、平均繊維径が7〜30μmの熱可塑性長繊維不織布層(A)の少なくとも片面に、目付け20〜70g/m2、平均繊維径が7〜30μmの疎水性の短繊維ウェブ層(B)を積層し、流体交絡で一体化した複合不織布であって、該複合不織布の目付けが30〜120g/m2、重量比A:Bが、(23〜53):(77〜47)であり、該複合不織布の寸法安定性として、5%伸張時の応力の目付け換算値がタテ0.5N/5cm/(g/m 2 )以上、ヨコ0.05N/5cm/(g/m 2 )以上であり、5N/5cm荷重時の幅入り率が10%以下であり、該複合不織布の厚み変化量が0.05〜0.5mmであることを特徴とする使い捨てカイロ。
- 前記複合不織布の嵩密度が0.10〜0.25g/cm3であることを特徴とする請求項1に記載の使い捨てカイロ。
- 前記熱可塑性長繊維不織布層の透水量が100L/m2・sec以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨てカイロ。
- 前記短繊維ウェブ層が、ポリエステル短繊維と低融点繊維短繊維が混合していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の使い捨てカイロ。
- 前記熱可塑性長繊維不織布層が、ポリアミド長繊維、ポリエステル長繊維、脂肪族ポリエステル長繊維、およびポリプロピレン長繊維から選ばれる少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の使い捨てカイロ。
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