JP4610859B2 - オレフィン重合用の架橋メタロセン化合物およびそれを用いたオレフィンの重合方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するオレフィン重合用の触媒または触媒成分として有用なメタロセン化合物、および該メタロセン化合物を含む触媒の存在下で、オレフィンを重合する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン重合用の均一系触媒としては、いわゆるメタロセン化合物がよく知られている。メタロセン化合物を用いてオレフィンを重合する方法、特にα−オレフィンを立体規則的に重合する方法は、W. Kaminskyらによってアイソタクテイック重合が報告(Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 24, 507(1985))されて以来、多くの改良がなされているが重合活性の点から、あるいは立体規則性の視点から更なる改良が望まれている。例えば、特表2002−528463号公報には、二つの配位子が第14族原子を含む共有結合架橋によって結合され、前記第14族原子上にヒドロカルビルシリル基で置換されたアリール基を置換基として有するオレフィン重合用ハフニウム化合物が報告されている。この方法によれば重合活性は改善されるものの、依然として金属当りの重合活性は非常に低く、また高価で希少金属であるハフニウムが用いられているという問題点がある。また、これまでの重合用化合物は高活性かつ高分子量重合体を得られるというものは存在しなかった。そこで、更なる重合活性向上が可能で、高分子量体を製造可能であり、なおかつハフニウムに比べて資源枯渇の問題が少なく、安価に入手できる遷移金属化合物の登場が産業界から切望されているのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題を解決するために行なわれたものであり、すなわち公知のメタロセン化合物と同等またはそれ以上の重合活性を持ち、さらに、高分子量体を製造することが可能かつ、資源枯渇の問題が少なく、且つ低コストで調製が可能なオレフィン重合用の遷移金属化合物(以下の説明では、「メタロセン化合物」または「架橋メタロセン化合物」と呼ぶ場合がある。)を提供すること、および該メタロセン化合物を含む触媒の存在下で重合する方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の架橋メタロセン化合物は、2つのシクロペンタジエニル配位子を含み、それぞれのシクロペンタジエニル基は置換されてもされていてもいなくてもよく、2つのシクロペンタジエニルが第14族原子を含む共有結合架橋によって結合され、前記第14族原子には二つのアリール基が結合し、当該アリール基の少なくとも1つは置換アリール基である第4族遷移金属化合物である。また、この遷移金属化合物を含む触媒の存在下、エチレンおよびα―オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーであり、モノマーの少なくとも1種がエチレンまたはプロピレンであるモノマーを重合することにより効率良くポリオレフィンを製造することが可能となる。
【0005】
【発明の実施の形態】
従って、本発明の架橋メタロセン化合物は、化学構造上以下の特徴を同時に満たす化合物である。
1)二つのシクロペンタジエニル配位子を含み、それぞれのシクロペンタジエニル基は置換されてもされていてもいなくてもよい。
2)二つのシクロペンタジエニルが第14族原子を含む共有結合架橋によって結合されている。
3)前記第14族原子に2個のアリール(aryl)基が結合し、当該アリール基の少なくとも1つは置換アリール基である。
4)メタロセン化合物を構成する遷移金属が第4族遷移金属化合物である。
また、本発明に係るオレフィン重合触媒は上記の架橋メタロセン化合物を含むことを特徴としている。
さらに、本発明に係るポリオレフィンの重合方法は、モノマーにエチレンおよびα―オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを用い、且つモノマーの少なくとも1種がエチレンまたはプロピレンであり、その重合反応は上記記載のメタロセン化合物を含むオレフィン重合触媒の存在下で実施される。
【0006】
以下、本発明の架橋メタロセン化合物の化学構造上の特徴である、置換されていてもいなくてもよいシクロペンタジエニル配位子、二つのアリール基が結合した第14族原子含有の共有結合架橋、について順次説明した後に、これらの特徴を持つ好ましい架橋メタロセン化合物およびその例示、本発明の架橋メタロセン化合物の製造方法、そして最後に、本発明の架橋メタロセン化合物をオレフィン重合用触媒に供する際の好ましい形態について説明する。
【0007】
置換されていてもいなくてもよい二つのシクロペンタジエニル配位子
本発明で定義されたシクロペンタジエニル基とは、シクロペンタジエニル基そのもの(以下、「単環シクロペンタジエニル基」と呼ぶ場合がある。)以外に、隣接する水素原子が縮合環を形成しているものも含み、具体的にはインデニル基やフルオレニル基も含む。これらの基の一つまたは一つ以上の複数個の水素原子は、置換されていてもいなくてもよく、置換されている場合の置換基としては、総炭素数1から20の炭化水素基、ハロゲン原子、ケイ素含有基が挙げられる。複数個の水素原子が置換されている場合は、置換基は相互に同一でも異なっていてもよい。また、総炭素数1から20の炭化水素基とは、炭素および水素のみから構成されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基以外に、これらの炭素に直結した水素原子の一部がハロゲン原子、酸素含有基、窒素含有基、ケイ素含有基で置換されたものや、隣接する任意の二つの水素原子が同時に置換されて脂環族あるいは芳香族環を形成しているものも含む。さらに、上記ケイ素含有基とは、例えば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基の環炭素がケイ素原子と直接共有結合している基のことを示し、具体的にはアルキルシリル基やアリールシリル基である。
本発明においては、置換されていてもいなくてもよい二つのシクロペンタジエニル配位子としては、一つが単環シクロペンタジエニル基であり、他の一つがフルオレニル基であることが好ましい。
【0008】
二つのアリール基が結合した第14族原子含有の共有結合架橋
二つのシクロペンタジエニル基を結ぶ、二つのアリール基が結合した第14族原子含有の共有結合架橋とは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、およびスズからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む2価の共有結合架橋のことをいう。これらの結合架橋の主鎖部は、通常14族原子が5個以下、好ましくは3個以下、特に好ましくは1個の原子から構成される。また、結合架橋を構成する主鎖部の同一または異なる原子上には二つのアリール置換基が存在し、これらの二つのアリール基の少なくても一つは芳香族環上に置換基をもつことが本発明では特に重要である。
より具体的に述べるならば、本発明の架橋メタロセン化合物の共有結合架橋部を構成する14族原子含有の主鎖部としては、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、シクロヘキシリデン基、シクロヘキシレン基などの炭素原子数が2〜30の飽和炭化水素基、−SiH2−、−Si(CH3)2−などのケイ素原子含有基;−SnH2−、−Sn(CH3)2−などのスズ原子含有基から成る架橋部が挙げられる。この中で好ましい架橋部は前記のように、主鎖部を構成する14族原子が一つであり、その14族原子上に二つのアリール基を持つ、一般式(2)で表される構造のものである。
【0009】
【化2】
一般式(2)においてYは14族原子を示すが、14族原子の中でも炭素またはケイ素が好ましく用いられる。CpおよびCp’は前記のシクロペンタジエニル基を示し、ArおよびAr’は、アリール基を示し、Ar、Ar’の少なくても一つは芳香核上に置換基を持つ。なお、本発明で定義する「アリール基」とはYと結合する芳香核水素を除く全ての芳香核水素が置換されていない基を示す。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などを例示することができるがフェニル基が好ましい。置換基は全ての芳香核水素を置換していてもよいし、一つの芳香核水素のみの置換であってもよい。置換基としては、総炭素数1から20の炭化水素基、ハロゲン原子、ケイ素含有基が挙げられる。総炭素数1から20の炭化水素基とは、炭素および水素のみから構成されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基以外に、これらの炭素に直結した水素原子の一部がハロゲン原子、酸素含有基、窒素含有基、ケイ素含有基で置換されたものや、隣接する任意の二つの水素原子が脂環族を形成しているものも含む。
【0010】
置換基としての総炭素数1から20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、アリル(allyl)基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、t-ブチル基、アミル基、t-アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、ネオペンチル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシルメチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基;テトラヒドロナフチル基、インダン基などの環状不飽和含有環状飽和炭化水素基;ベンジル基、クミル基などのアリール基の置換した飽和炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基などの酸素原子含有炭化水素基、N-メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N-フェニルアミノ基などの窒素原子含有炭化水素基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロフェニル基などのハロゲン原子含有炭化水素基を挙げることができる。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。また、置換基としてのケイ素含有基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などを挙げることができる。
これらの置換基を持つアリール基としては、炭素数1から10のアルキル基が置換されたフェニル基やハロゲン原子含有炭化水素基が置換されたフェニル基が好ましく、この中でもトリル基、t-ブチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ジ(トリフルオロメチル)フェニル基、ジメチルフェニル基が特に好ましい。
【0011】
好ましい架橋メタロセン化合物およびその例示
本発明の架橋メタロセン化合物のうち、好ましい態様は下記一般式(1)で表される構造を持つ遷移金属化合物である。
【0012】
【化3】
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12は水素、炭化水素基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1からR12までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、Mはチタンまたはジルコニウムであり、Yは第14族原子であり、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、jは1〜4の整数である。R13とR14は同一でも異なっていてもよく、無置換または置換アリール基である。
但し、R13とR14の少なくとも1つは置換アリール基である。
【0013】
R1〜R12、Y、M、アリール基としてのR13とR14については既に詳説した通りである。式中、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれる。jは1〜4の整数であり、jが2以上の時は、Qは互いに同一でも異なっていてもよい。
ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、炭化水素基の具体例としては前記と同様のものが挙げられる。
アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert−ブトキシ、フェノキシなどのアルコキシ基、アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基、メシレート、トシレートなどのスルホネート基が挙げられる。
孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類が挙げられる。Qは、少なくても一つがハロゲンまたはアルキル基であることが好ましい。
【0014】
このような化学構造式上の特徴を備えた本発明の化合物としては、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p- tert−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p- tert−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p- tert−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p- tert−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p- n−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p- n−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p- n−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(p-トリル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、 (p-トリル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジメチル、(p-トリル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジメチル、(p-トリル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジメチル、(p-tert−ブチルフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(p-tert−ブチルフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(p-tert−ブチルフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(p-tert−ブチルフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(p-n−エチルフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(p-n−エチルフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(p-n−エチルフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(p-n−エチルフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(4-ビフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(4-ビフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(4-ビフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(4-ビフェニル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(3,4-ジメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(3,4-ジメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(3,4-ジメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(3,4-ジメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(3,5-ジメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(3,5-ジメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(3,5-ジメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(3,5-ジメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-ネオペンチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-ネオペンチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-ネオペンチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-ネオペンチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-シクロヘキシルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-シクロヘキシルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-シクロヘキシルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-シクロヘキシルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-n-ヘキシルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-n-ヘキシルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-n-ヘキシルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-n-ヘキシルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(テトラヒドロナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(テトラヒドロナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(テトラヒドロナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(テトラヒドロナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-t-アミルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-t-アミルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-t-アミルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-t-アミルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ[(4-ペンタフルオロフェニル)フェニル}メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ[(4-ペンタフルオロフェニル)フェニル}メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ[(4-ペンタフルオロフェニル)フェニル}メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ[(4-ペンタフルオロフェニル)フェニル}メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(3,5-ジメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、 ジ(4-ネオペンチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-シクロヘキシルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フオクタメチルオクタヒドロジベンゾルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-n-ヘキシルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フオクタメチルオクタヒドロジベンゾ)ジルコニウムジクロリド、ジ(テトラヒドロナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(4-t-アミルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド等を例示することができる。ただし、本発明の架橋メタロセン化合物は、上記の例示化合物に何ら限定されるものではなく、請求項記載の要件を満たす全ての化合物を包含するものである。
【0015】
架橋メタロセン化合物の製造方法
本発明の架橋メタロセン化合物は公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、本出願人によるWO01/27174号公報が挙げられる。例えば、一般式(1)の化合物は次のステップによって製造可能である。
まず一般式(1)の前駆体化合物(3)は、製法[A]または[B]のような方法で製造することができる。
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
(式中、R1〜R14、Yは一般式(1)と同一であり、Lはアルカリ金属である。Z1、Z2はハロゲンまたはアニオン配位子であり、これらは同一でも、または異なる組合せでもよい。また、(4)、(9)、(3)はシクロペンタジエニル環における2重結合の位置のみが異なる異性体の存在を考えることができ、それらのうちの一種のみ例示してあるが、シクロペンタジエニル環における2重結合の位置のみが異なる他の異性体であっても良く、またはそれらの混合物であっても良い。)
【0018】
上記製法[A]〜[B]の反応に用いられるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウムまたはカリウムが挙げられ、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウムが挙げられる。また、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基、アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基、メシレート、トシレート等のスルホネート基等が挙げられる。
次に、一般式(3)の前駆体化合物からメタロセン化合物を製造する例を以下に示すが、これは発明の範囲を制限するものではなく、公知のいかなる方法で製造されてもよい。
【0019】
製法[A]、[B]の反応で得られた一般式(3)の前駆体化合物は、有機溶媒中でアルカリ金属、水素化アルカリ金属または有機アルカリ金属と、反応温度が−80℃〜200℃の範囲で接触させることで、ジアルカリ金属塩とする。
上記反応で用いられる有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素、またはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、またはTHF、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル、またはジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
また上記反応で用いられるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、水素化アルカリ金属としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム等が挙げられ、有機アルカリ金属としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム等が挙げられる。
次に上記の該ジアルカリ金属塩を、一般式(13)
MZk …(13)
(式中、Mは周期表第4族から選ばれた金属であり、Zはハロゲン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、kは3〜6の整数である。)
で表される化合物と、有機溶媒中で反応させることで、一般式(1)で表されるメタロセン化合物を合成することができる。
【0020】
一般式(13)で表される化合物の好ましい具体的として、三価または四価のチタニウムフッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物、四価のジルコニウムフッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物、四価のハフニウムフッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物、またはこれらのTHF、ジエチルエーテル、ジオキサンまたは1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類との錯体を挙げることができる。
また、用いられる有機溶媒としては前記と同様のものを挙げることができる。該ジアルカリ金属塩と一般式(13)で表される化合物との反応は、好ましくは等モル反応で行い、前記の有機溶媒中で、反応温度が−80℃〜200℃の範囲で行うことができる。
【0021】
反応で得られたメタロセン化合物は、抽出、再結晶、昇華等の方法により、単離・精製を行うことができる。また、このような方法で得られる本発明の架橋メタロセン化合物は、プロトン核磁気共鳴スペクトル、13C核磁気共鳴スペクトル、質量分析、および元素分析などの分析手法を用いることによって同定される。
【0022】
架橋メタロセン化合物をオレフィン重合用触媒に供する際の好ましい態様
次に本発明の架橋メタロセン化合物を、オレフィン重合触媒として用いる場合の好ましい態様について説明する。
本発明の架橋メタロセン化合物をオレフィン重合触媒として用いる場合、触媒成分は、
(A)前記の架橋メタロセン化合物
(B)(B-1) 有機金属化合物、(B-2) 有機オキシアルミニウム化合物、および(B-3)架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、から選ばれる少なくても1種の化合物、さらに必要に応じて、
(C)粒子状担体
から構成される。
以下、各成分について具体的に説明する。
【0023】
(B-1)有機金属化合物
本発明で用いられる(B-1) 有機金属化合物として、具体的には下記のような周期律表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が用いられる。
(B-1a) 一般式 Ra mAl(ORb)n Hp Xq …(14)
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。このような化合物の具体例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドを例示することができる。
【0024】
(B-1b) 一般式 M2 AlRa 4 …(15)
(式中、M2 はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。このような化合物としては、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4 などを例示することができる。
(B-1c) 一般式 Ra Rb M3 …(16)
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3 はMg、ZnまたはCdである。)で表される周期律表第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
上記の有機金属化合物(B-1)のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましい。また、このような有機金属化合物(B-1)は、1種単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0025】
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物
本発明で用いられる(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよい。具体的には、下記一般式(17)
【0026】
【化6】
および/または下記一般式(18)
【0027】
【化7】
(ここで、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、nは2以上の整数を示す。)で代表される化合物を挙げることができ、特にRがメチル基であるメチルアルミノキサンでnが3以上、好ましくは10以上のものが利用される。これらアルミノキサン類に若干の有機アルミニウム化合物が混入していても差し支えない。また特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。特開平2-167305号公報に記載されている有機アルミニウムオキシ化合物、特開平2-24701号公報、特開平3-103407号公報に記載されている二種類以上のアルキル基を有するアルミノキサンなども好適に利用できる。
【0028】
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応
させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0029】
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
【0030】
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。これらの有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
【0031】
(B-3) 遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物
本発明の架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3) (以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。このようなイオン化イオン性化合物(B-3)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
本発明の架橋メタロセン化合物をオレフィン重合触媒として使用する場合、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)とを併用すると、オレフィン化合物に対して特に高い重合活性を示す。
【0032】
また、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、(B-1) 有機金属化合物、(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3) イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とともに、必要に応じて担体(C)を用いることもできる。
【0033】
(C)担体
本発明で用いられる(C)担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機塩化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
【0034】
多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-TiO2 、SiO2-V2O5 、SiO2-Cr2O3、SiO2-TiO2-MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl2O3を主成分とするものが好ましい。このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が0.5〜300μm、好ましくは0.8〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
【0035】
無機塩化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機塩化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機塩化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
【0036】
本発明で用いられる粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α-Zr(HAsO4)2・H2O、α-Zr(HPO4)2、α-Zr(KPO4)2・3H2O、α-Ti(HPO4)2、α-Ti(HAsO4)2・H2O、α-Sn(HPO4)2・H2O、γ-Zr(HPO4)2、γ-Ti(HPO4)2、γ-Ti(NH4PO4)2・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。
【0037】
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al13O4(OH)24]7+、[Zr4(OH)14]2+、[Fe3O(OCOCH3)6]+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
【0038】
有機化合物としては、粒径が0.5〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
【0039】
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、本発明の架橋メタロセン化合物(A)、(B-1) 有機金属化合物、(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3) イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)、必要に応じて担体(C)と共に、必要に応じて後述するような特定の有機化合物成分(D)を含むこともできる。
【0040】
(D)有機化合物成分
本発明において、(D)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
【0041】
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1) 成分(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2) 成分(A)をおよび成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3) 成分(A)を担体(C)に担持した触媒成分、成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4) 成分(B)を担体(C)に担持した触媒成分、成分(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5) 成分(A)と成分(B)とを担体(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
【0042】
上記(2) 〜(5) の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。
成分(B)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
また、上記の成分(C)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
【0043】
本発明に係るオレフィンの重合方法では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合することによりオレフィン重合体を得る。
本発明では、重合は溶液重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0044】
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、成分(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モルになるような量で用いられる。
成分(B-1)は、成分(B-1)と、成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-1)/M〕が通常0.01〜5000、好ましくは0.05〜2000となるような量で用いられる。成分(B-2)は、成分(B-2)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の全遷移金属(M)とのモル比〔(B-2)/M〕が、通常10〜5000、好ましくは20〜2000となるような量で用いられる。成分(B-3)は、成分(B-3)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
【0045】
成分(D)は、成分(B)が成分(B-1)の場合には、モル比〔(D)/(B-1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(B)が成分(B-2)の場合には、モル比〔(D)/(B-2)〕が通常0.01〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(B)が成分(B-3)の場合は、モル比(D)/(B-3)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
【0046】
また、このようなオレフィン重合触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜10Mpaゲージ圧、好ましくは常圧〜5Mpaゲージ圧の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、使用する成分(B)の量により調節することもできる。水素を添加する場合、その量はオレフィン1kgあたり0.001〜100NL程度が適当である。
【0047】
また、重合を円滑に進行させる目的で、非イオン系界面活性剤、帯電防止剤、アンチファウリング剤などを併用しても良い。
【0048】
モノマー本発明において、重合反応に供給されるオレフィンは、エチレンおよびα-オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーであり、モノマーの少なくとも1種がエチレンまたはプロピレンである。α-オレフィンとしては、炭素原子数が3〜20、好ましくは3〜10の直鎖状または分岐状のα−オレフィン、たとえばプロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセなどである。また本発明の重合方法においては、炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状オレフィン、たとえばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-メチル1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン;極性モノマー、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物などのα,β−不飽和カルボン酸、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸 tert-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステルなどの不飽和グリシジルなどを挙げることができる。また、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエン;芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレンなどのモノもしくはポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o-クロロスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;および3- フェニルプロピレン、4-フェニルプロピレン、α- メチルスチレンなどを反応系に共存させて重合を進めることもできる。
【0049】
本発明の重合方法においては、モノマーの少なくとも1種がエチレンまたはプロピレンである。モノマーが二種以上である場合には、エチレン、プロピレンまたはエチレン+プロピレンが全体モノマー量の50モル%以上であることが好ましい。
【0050】
次に、本発明の遷移金属化合物を含む触媒の存在下、オレフィンの重合によって得られる重合体の物性・性状を測定する方法について述べる。
【0051】
〔重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)〕
ウォーターズ社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6−HT及びTSKgel GMH6−HTLであり、カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106 については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106 についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
〔極限粘度([η])〕
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。すなわち造粒ペレット約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求める。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
〔メルトフローレート(MFR21.6)〕
ASTM D−1238の標準法により、190℃、21.6kg荷重下で測定された数値である。
〔密度〕
190℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で0.5mm厚のシートを成形し(スペーサー形状:240×240×0.5mm厚の板に45×45×0.5mm、9個取り)、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で圧縮することで冷却して測定用試料を作成した。熱板は5mm厚のSUS板を用いた。このプレスシートを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて直線的に室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定した。
【0052】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
合成例で得られた化合物の構造は、270MHz 1H-NMR(日本電子GSH−270)、FD−質量分析(日本電子SX−102A)等を用いて決定した。
【0053】
〔合成例1〕
ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(i)6,6-ジ-p-トリルフルベンの合成
磁気攪拌子および三方コックを備えた200 ml二口フラスコを充分に窒素置換した後、4,4'-ジメチルベンゾフェノン6.72 g(31.9 mmol)を入れ、テトラヒドロフラン30 mlを加えて無色透明の溶液とした。氷水浴で冷やしながら、2.0 mol/lのシクロペンタジエニルナトリウム/テトラヒドロフラン溶液19 ml(38 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で6日間攪拌して黒橙色溶液を得た。氷水浴で冷やしながら1Nの塩酸100 mlを徐々に加え、続いてジエチルエーテル100 mlを加えた。得られた二層の溶液を300 ml分液漏斗に移して数回振った後、無色透明の水層を除いた。続いて、得られた有機層を水100 mlで2回、飽和食塩水100 mlで1回洗い、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥した。固体を濾別し、ロータリーエバポレータで溶媒を留去して、赤色油状物9.40 gを得た。その後シリカゲルクロマトグラフ(シリカゲル:210 g、溶媒:ヘキサン)による分離を行い、薄層クロマトグラフ(溶媒:ヘキサン)のRf値が0.15の赤色溶液を得た。この溶液の溶媒をロータリーエバポレータで留去し、赤色固体として6,6-ジ-p-トリルフルベンを得た。収量は6.15 g(23.8 mmol)、収率は74.5%であった。6,6-ジ-p-トリルフルベンの同定は、1H NMRスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):d/ppm 2.39(s, Me, 6H), 6.2-6.3(m, Cp, 2H), 6.5-6.6(m, Cp, 2H), 7.1-7.2(m, Ar(p-tol), 2H)
【0054】
(ii) (2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルジ-p-トリルメタンの合成
磁気攪拌子、三方コックおよび50 ml滴下漏斗を備えた300 ml二口フラスコを充分に窒素置換した後、2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン1.58 g(5.66 mmol)を入れ、テトラヒドロフラン40 mlを加えて無色透明の溶液とした。氷水浴で冷やしながら、1.56 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液3.8 ml(5.9 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で6.5時間攪拌して橙色溶液を得た。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら、予めテトラヒドロフラン20 mlに溶解させた6,6-ジ-p-トリルフルベン1.76 g(6.82 mmol)を滴下漏斗を用いて20分間かけて徐々に加えた。その後室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で18時間攪拌して黒橙色溶液を得た。飽和塩化アンモニウム水溶液100 mlを徐々に加え、続いてジエチルエーテル100 mlを加えた。得られた二層の溶液を300 ml分液漏斗に移して数回振った後、無色透明の水層を除いた。続いて、得られた有機層を水100 mlで3回、飽和食塩水100 mlで1回洗い、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥した。固体を濾別し、ロータリーエバポレータで溶媒を留去して得た固体をヘキサンで洗浄して、白色固体として(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルジ-p-トリルメタンを得た。収量は2.05 g(3.82 mmol)、収率は67.5 %であった。(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルジ-p-トリルメタンの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):d/ppm 1.11(s, t-Bu, 18H), 2.23(s, Me, 6H), 2.8-3.0(br, CH2(Cp), 1H), 5.37(s, CH(9-Flu), 1H), 6.0-6.4(br, Cp, 4H), 6.8-7.0(br, Ar(Flu) & Ar(p-tol), 6H), 7.0-7.3(br, Ar(p-tol), 4H), 7.16(dd, J=8.1 Hz, J=1.3 Hz, Ar(Flu), 2H), 7.34(d, J=8.1 Hz, Ar(Flu), 2H)FD-MSスペクトル:M/z 536(M+)
【0055】
(iii)ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
磁気攪拌子を備えた100 mlギルダールフラスコを充分に窒素置換した後、(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルジ-p-トリルメタン1.03 g(1.92 mmol)を入れ、ジエチルエーテル50 mlを加えて白色の固体と無色透明の溶液からなるスラリーとした。氷水浴で冷やしながら、1.56 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液2.6 ml(4.1 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で17時間攪拌して橙色の固体と橙色の溶液からなるスラリーを得た。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら四塩化ジルコニウム・テトラヒドロフラン錯体(1:2)0.794 g(2.10 mmol)を加えた後、室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で3日間攪拌して橙色の固体と橙色の溶液からなるスラリーを得た。減圧下で溶媒を留去して得られた橙色の固体をヘキサンおよびジエチルエーテルで洗浄し、続いてジクロロメタンで抽出して橙色の溶液を得た。この溶液の溶媒を減圧下で留去し、橙色固体としてジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを得た。収量は1.146 g(1.644 mmol)、収率は85.6%であった。ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):d/ppm 1.03(s, t-Bu, 18H), 2.32(s, Me, 6H), 5.64(t, J=2.7 Hz, Cp, 2H), 6.3-6.4(m, Cp & Ar(Flu), 4H), 7.1-7.3(m, Ar(p-tol), 4H), 7.58(dd, J=8.9 Hz, J=1.6Hz, Ar(Flu), 2H), 7.7-7.9(m, Ar(p-tol), 4H), 8.02(d, J=8.9 Hz, Ar(Flu), 2H)FD-MSスペクトル:M/z 696(M+)
【0056】
〔合成例2〕
ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(i)シクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジ-p-トリルメタンの合成
磁気攪拌子、三方コックおよび50 ml滴下漏斗を備えた300 ml二口フラスコを充分に窒素置換した後、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレン2.98 g(7.71 mmol)を入れ、テトラヒドロフラン60 mlを加えて無色透明の溶液とした。氷水浴で冷やしながら、1.56 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液5.2 ml(8.1 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で7時間攪拌して橙色溶液を得た。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら、予めテトラヒドロフラン30 mlに溶解させた6,6-ジ-p-トリルフルベン2.40 g(9.27 mmol)を滴下漏斗を用いて20分間かけて徐々に加えた。その後室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で21時間攪拌して暗赤色溶液を得た。飽和塩化アンモニウム水溶液100 mlを徐々に加え、続いてジエチルエーテル100 mlを加えた。得られた二層の溶液を300 ml分液漏斗に移して数回振った後、無色透明の水層を除いた。続いて、得られた有機層を水100 mlで2回、飽和食塩水100 mlで1回洗い、無水硫酸マグネシウムで30分間乾燥した。固体を濾別し、ロータリーエバポレータで溶媒を留去して得た固体をヘキサンで洗浄して、白色固体としてシクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジ-p-トリルメタンを得た。収量は3.55 g(5.50 mmol)、収率は71.3%であった。シクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジ-p-トリルメタンの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):d/ppm 0.8-1.7(m, Me(OMOHDBFlu), 24H), 2.1-2.4(br, CH2(OMOHDBFlu), 8H), 2.7-3.1(br, CH2(Cp), 1H), 5.2-5.4(m, CH(9-OMOHDBFlu), 1H), 5.8-6.5(br, Cp, 4H), 6.7-7.5(br, Ar(OMOHDBFlu) & Ar(p-tol), 10H), 7.29(s, Ar(OMOHDBFlu), 2H)FD-MSスペクトル:M/z 644(M+)
【0057】
(ii)ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
磁気攪拌子を備えた100 mlギルダールフラスコを充分に窒素置換した後、シクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジ-p-トリルメタン1.01 g(1.56 mmol)を入れ、ジエチルエーテル30 mlを加えて無色透明の溶液とした。氷水浴で冷やしながら、1.56 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液2.1 ml(3.3 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で20時間攪拌して赤色の固体と赤色の溶液からなるスラリーを得た。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら四塩化ジルコニウム・テトラヒドロフラン錯体(1:2)0.552 g(1.46 mmol)を加えた後、室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で24時間攪拌して赤桃色の固体と赤色の溶液からなるスラリーを得た。減圧下で溶媒を留去して得られた赤色の固体をヘキサンで洗浄し、続いてジクロロメタンで抽出して赤色の溶液を得た。この溶液の溶媒を減圧下で留去し、赤桃色固体としてジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを得た。収量は0.825 g(1.02 mmol)、収率は70.2%であった。ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):d/ppm 0.82(s, Me(OMOHDBFlu), 6H), 0.93(s, Me(OMOHDBFlu), 6H), 1.40(s, Me(OMOHDBFlu), 6H), 1.46(s, Me(OMOHDBFlu), 6H), 1.5-1.7(m, CH2(OMOHDBFlu), 8H), 2.32(s, Me, 6H), 5.53(t, J=2.6 Hz, Cp, 2H), 6.17(s, Ar(OMOHDBFlu), 2H), 6.25(t, J=2.6 Hz, Cp, 2H), 7.1-7.3(m, Ar(p-tol), 4H), 7.6-7.8(m, Ar(p-tol), 4H), 8.03(s, Ar(Flu), 2H)FD-MSスペクトル:M/z 804(M+)
【0058】
〔合成例3〕
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(i) (2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルジフェニルメタンの合成
磁気攪拌子、三方コックおよび100 ml滴下漏斗を備えた500 ml三口フラスコを充分に窒素置換した後、2,7-ジ-t-ブチルフルオレン10.0 g(35.9 mmol)を入れ、テトラヒドロフラン100 mlを加えて無色透明の溶液とした。氷水浴で冷やしながら、1.59 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液24.0 ml(38.2 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で24時間攪拌して橙色溶液を得た。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら、予めテトラヒドロフラン50 mlに溶解させた6,6-ジフェニルフルベン9.08 g(39.4 mmol)を滴下漏斗を用いて1時間かけて徐々に加えた。その後室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で3日間攪拌して黒赤色溶液を得た。氷水浴で冷やしながら1Nの塩酸200 mlを徐々に加え、続いてジエチルエーテル200 mlを加えた。得られた二層の溶液を1 l分液漏斗に移して数回振った後、無色透明の水層を除いた。続いて、得られた有機層を水100 mlで2回、飽和食塩水100 mlで1回洗い、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥した。固体を濾別し、ロータリーエバポレータで溶媒を留去して得た固体をアセトンで洗浄して、薄黄白色固体として(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルジフェニルメタンを得た。収量は11.28 g(22.2 mmol)、収率は61.7%であった。(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルジフェニルメタンの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):d/ppm 1.13(s, t-Bu, 18H), 2.8-3.2(br, CH2(Cp), 1H), 5.47(s, CH(9-Flu), 1H), 6.0-6.6(br, Cp, 4H), 6.9-7.6(br, Ar(Flu) & Ph, 12H), 7.17(dd, J=7.9 Hz, J=1.6 Hz, Ar(Flu), 2H), 7.34(d, J=7.9 Hz, Ar(Flu), 2H)
FD-MSスペクトル:M/z 508(M+)
【0059】
(ii)ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
磁気攪拌子および三方コックを備えた200 ml二口フラスコを充分に窒素置換した後、(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルジフェニルメタン1.51 g(2.96 mmol)を入れ、ジエチルエーテル100 mlを加えて薄黄色の溶液とした。氷水浴で冷やしながら、1.56 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液3.9 ml(6.1 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で3日間攪拌して橙色の溶液を得た。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら四塩化ジルコニウム・テトラヒドロフラン錯体(1:2)1.06 g(2.81 mmol)を加えた後、室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で1日間攪拌して橙色の固体と橙色の溶液からなるスラリーを得た。減圧下で溶媒を留去して得られた橙色の固体をジクロロメタンで抽出し、赤橙色の溶液を得た。この溶液の溶媒を減圧下で留去して濃縮し、-20℃で再結晶して橙色固体としてジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを得た。収量は1.09 g(1.63 mmol)、収率は57.9%であった。ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):d/ppm 1.02(s, t-Bu, 18H), 5.66(t, J=2.6 Hz, Cp, 2H), 6.3-6.4(m, Cp & Ar(Flu), 4H), 7.2-7.5(m, Ph, 6H), 7.59(dd, J=8.9 Hz, J=1.6Hz, Ar(Flu), 2H), 7.8-8.0(m, Ph, 4H), 8.04(d, J=8.9 Hz, Ar(Flu), 2H)
FD-MSスペクトル:M/z 668(M+)
【0060】
〔合成例4〕
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(i)シクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジフェニルメタンの合成
磁気攪拌子、三方コックおよび50 ml滴下漏斗を備えた200 ml二口フラスコを充分に窒素置換した後、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレン4.00 g(10.4 mmol)を入れ、テトラヒドロフラン50 mlを加えた。氷水浴で冷やしながら、1.63 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液6.6 ml(11 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で1日間攪拌して赤橙色溶液を得た。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら、予めテトラヒドロフラン30 mlに溶解させた6,6-ジフェニルフルベン3.11 g(13.5 mmol)を滴下漏斗を用いて30分間かけて徐々に加えた。その後室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で23時間攪拌して暗赤色溶液を得た。1Nの塩酸20 mlを徐々に加え、10分間攪拌し、続いてジエチルエーテル100 mlを加えた。得られた二層の溶液を300 ml分液漏斗に移して数回振った後、無色透明の水層を除いた。続いて、得られた有機層を水30 mlで2回、飽和食塩水30 mlで2回洗い、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥した。固体を濾別し、ロータリーエバポレータで溶媒を留去して得た固体をメタノールで洗浄し、黄白色固体4.64 gを得た。その後シリカゲルクロマトグラフ(シリカゲル:200 g、溶媒:ヘキサン/ジクロロメタン混合溶媒(ヘキサン:ジクロロメタン=9:1))による分離を行い、薄黄色固体としてシクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジフェニルメタンを得た。収量は3.38 g(5.48 mmol)、収率は52.9%であった。シクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジフェニルメタンの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):d/ppm 1.0-1.3(m, Me(OMOHDBFlu), 24H), 1.5-1.7(br, CH2(OMOHDBFlu), 8H), 2.8-3.1(br, CH2(Cp), 1H), 5.3-5.5(m, CH(9-OMOHDBFlu), 1H), 6.0-6.6(br, Cp, 4H), 6.9-7.5(br, Ar(OMOHDBFlu) & Ph, 12H), 7.29(s, Ar(OMOHDBFlu), 2H)
FD-MSスペクトル:M/z 616(M+)
【0061】
(ii)ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
磁気攪拌子を備えた100 mlギルダールフラスコを充分に窒素置換した後、シクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジフェニルメタン1.51 g(2.44 mmol)を入れ、ジエチルエーテル35 mlを加えて薄黄色の溶液とした。氷水浴で冷やしながら、1.64 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液3.1 ml(5.1 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で25時間攪拌して赤色の固体と赤橙色の溶液からなるスラリーを得た。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら四塩化ジルコニウム・テトラヒドロフラン錯体(1:2)0.884 g(2.34 mmol)を加えた後、室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で3日間攪拌して赤桃色の固体と赤色の溶液からなるスラリーを得た。減圧下で溶媒を留去して得られた赤色の固体をヘキサンで抽出して薄赤色の溶液を得た。この溶液の溶媒を減圧下で留去し、赤桃色固体としてジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを得た。収量は1.14 g(1.47 mmol)、収率は62.7%であった。ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):d/ppm 0.82(s, Me(OMOHDBFlu), 6H), 0.94(s, Me(OMOHDBFlu), 6H), 1.40(s, Me(OMOHDBFlu), 6H), 1.46(s, Me(OMOHDBFlu), 6H), 1.5-1.7(m, CH2(OMOHDBFlu), 8H), 5.55(t, J=2.6 Hz, Cp, 2H), 6.8(s, Ar(OMOHDBFlu), 2H), 6.27(t, J=2.6 Hz, Cp, 2H), 7.2-7.5(m, Ph, 6H), 7.8-8.0(m, Ph, 4H), 8.05(s, Ar(Flu), 2H)
FD-MSスペクトル:M/z 776(M+)
【0062】
[合成例5]
ビス[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(i)6,6-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]フルベンの合成
磁気攪拌子および三方コックを備えた300 ml二口フラスコを充分に窒素置換した後、シクロペンタジエン2.0 ml(24.4 mmol)およびテトラヒドロフラン80 mlを加えた。氷水浴で冷やしながら、1.56 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液17.3 ml(27.0 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で16時間攪拌した。ヘキサメチルリン酸トリアミド4.0 mlを加えた後、氷水浴で冷やしながら、予めテトラヒドロフラン50 mlに溶解させた3,3'-(トリフルオロメチル)ベンゾフェノン8.80 g(27.7 mmol)を徐々に加えた。その後窒素雰囲気下室温で2.5時間攪拌し、氷水浴で冷やしながら1Nの塩酸100 mlおよびジエチルエーテル50 mlを加えた。得られた二層の溶液を300 ml分液漏斗に移して数回振った後、水層を除いた。続いて、得られた有機層を水100 mlで3回、飽和食塩水100 mlで1回洗い、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥した。固体を濾別し、ロータリーエバポレータで溶媒を留去して、油状物11.31 gを得た。その後シリカゲルクロマトグラフ(溶媒:ヘキサン)による分離を行い、橙色溶液を得た。この溶液の溶媒をロータリーエバポレータで留去し、橙色固体として6,6-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]フルベンを得た。収量は3.13 g(8.55 mmol)、収率は35.0%であった。6,6-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]フルベンの同定は、1H NMRスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):δ/ppm 6.1-6.2(m, Cp, 2H), 6.6-6.7(m, Cp, 2H), 7.4-7.7(m, Ar(Ph), 8H)
【0063】
(ii)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルビス[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メタンの合成
磁気攪拌子、三方コックおよび100 ml滴下漏斗を備えた300 ml二口フラスコを充分に窒素置換した後、2,7-ジ-t-ブチルフルオレン0.695 g(2.50 mmol)を入れ、テトラヒドロフラン40 mlを加えた。氷水浴で冷やしながら、1.56 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液1.7 ml(2.7 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で7時間攪拌した。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら、予めテトラヒドロフラン20 mlに溶解させた6,6-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]フルベン1.01 g(2.76 mmol)を滴下漏斗を用いて30分間かけて徐々に加えた。その後室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で19時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液100 mlを徐々に加え、続いてジエチルエーテル100 mlを加えた。得られた二層の溶液を300 ml分液漏斗に移して数回振った後、水層を除いた。続いて、得られた有機層を水100 mlで3回、飽和食塩水100 mlで1回洗い、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥した。固体を濾別し、ロータリーエバポレータで溶媒を留去して、固体1.89 gを得た。その後シリカゲルクロマトグラフ(溶媒:ヘキサン)による分離を行い、溶液を得た。この溶液の溶媒をロータリーエバポレータで留去し、白色固体として(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルビス[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メタンを得た。収量は0.587 g(0.910 mmol)、収率は36.4%であった。(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルビス[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メタンの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):δ/ppm 1.13(s, t-Bu, 18H), 3.0-3.2(br, CH2(Cp), 1H), 5.50(s, CH(9-Flu), 1H), 6.3-6.6(br, Cp, 4H), 6.9-7.7(m, Ar(Flu) & Ar(Ph), 14H)FD-MSスペクトル:M/z 644(M+)
【0064】
(iii)ビス[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
磁気攪拌子を備えた100 mlギルダールフラスコを充分に窒素置換した後、(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)シクロペンタジエニルビス[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メタン0.587 g(0.910 mmol)を入れ、ジエチルエーテル30 mlを加えた。氷水浴で冷やしながら、1.56 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液1.24 ml(1.93 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で16時間攪拌した。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら四塩化ジルコニウム・テトラヒドロフラン錯体(1:2)0.419 g(1.11 mmol)を加えた後、室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で3日間攪拌した。減圧下で溶媒を留去して得られた固体をヘキサンで洗浄し、続いてジクロロメタンで抽出した。このジクロロメタン溶液の上にヘキサンをのせて、約-20℃で再結晶し、橙色固体としてビス[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを得た。収量は0.209 g(0.260 mmol)、収率は28.5%であった。
ビス[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):δ/ppm 1.01(s, t-Bu, 18H), 5.6-5.7(m, Cp, 2H), 6.16(d, J=9.6 Hz, Ar(Flu), 2H), 6.3-6.5(m, Cp, 2H), 7.5-7.7(m, Ar(Flu) & Ar(Ph), 6H), 8.0-8.3(m, Ar(Flu) & Ar(Ph), 6H)
FD-MSスペクトル:M/z 804(M+)
【0065】
[合成例6]
ビス(4-t-ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(i)4,4'-ジ-t-ブチルベンゾフェノンの合成
磁気攪拌子、三方コック、温度計および100 ml滴下漏斗を備えた500 ml三口フラスコを充分に窒素置換した後、塩化アルミニウム(III)25.7 g(0.193 mol)および四塩化炭素60 mlを加えた。氷水浴で冷やしながら、t-ブチルベンゼン26.55 g(0.1977 mol)を滴下漏斗を用いて1時間かけて徐々に滴下した。この間、フラスコ内の温度を5-17℃に保った。その後、窒素下約5℃で1時間攪拌し、さらに窒素下室温で24時間攪拌した。得られたスラリーを、氷水600 mlを入れた3 lビーカーに徐々に注いだ後、ジクロロメタン500 mlを加えた。室温で3時間攪拌し、得られた二層の溶液を2 l分液漏斗に移して数回振った後、水層を除いた。続いて、得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200 mlで1回、水200 mlで3回洗い、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥した。固体を濾別し、ロータリーエバポレータで溶媒を留去して得た固体をヘキサンで洗浄して、白色固体として4,4'-ジ-t-ブチルベンゾフェノンを得た。収量は12.67 g(0.0430 mol)、収率は43.53%であった。4,4'-ジ-t-ブチルベンゾフェノンの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):δ/ppm 1.35(s, t-Bu, 18H), 7.4-7.5(m, Ar, 4H), 7.7-7.8(m, Ar, 4H)
FD-MSスペクトル:M/z 294(M+)
【0066】
(ii)6,6-ビス(4-t-ブチルフェニル)フルベンの合成
磁気攪拌子および三方コックを備えた300 ml二口フラスコを充分に窒素置換した後、4,4'-ジ-t-ブチルベンゾフェノン6.03 g(20.5 mmol)を入れ、テトラヒドロフラン40 mlを加えた。ヘキサメチルリン酸トリアミド4.0 mlを加えた後、氷水浴で冷やしながら、2.0 mol/lのシクロペンタジエニルナトリウム/テトラヒドロフラン溶液15.5 ml(31 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で5日間攪拌した。氷水浴で冷やしながら飽和塩化アンモニウム水溶液100 mlを徐々に加え、続いてジエチルエーテル100 mlを加えた。得られた二層の溶液を300 ml分液漏斗に移して数回振った後、水層を除いた。続いて、得られた有機層を水50 mlで5回、飽和食塩水50 mlで1回洗い、無水硫酸マグネシウムで2時間乾燥した。固体を濾別し、ロータリーエバポレータで溶媒を留去して、固体8.02 gを得た。その後シリカゲルクロマトグラフ(溶媒:ヘキサン)による分離を行い、溶液を得た。この溶液の溶媒をロータリーエバポレータで留去し、橙色固体として6,6-ビス(4-t-ブチルフェニル)フルベンを得た。収量は5.356 g(15.64 mmol)、収率は76.4%であった。6,6-ビス(4-t-ブチルフェニル)フルベンの同定は、1H NMRスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):δ/ppm 1.34(s, t-Bu, 18H), 6.3-6.4(m, Cp, 2H), 6.5-6.6(m, Cp, 2H), 7.2-7.3(m, Ar(Ph), 4H), 7.3-7.4(m, Ar(Ph), 4H)
【0067】
(iii)ビス(4-t-ブチルフェニル)シクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)メタンの合成
磁気攪拌子、三方コックおよび50 ml滴下漏斗を備えた300 ml二口フラスコを充分に窒素置換した後、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレン2.01 g(5.21 mmol)を入れ、テトラヒドロフラン40 mlを加えた。氷水浴で冷やしながら、1.56 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液3.5 ml(5.5 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で1日間攪拌した。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら、予めテトラヒドロフラン20 mlに溶解させた6,6-ビス(4-t-ブチルフェニル)フルベン1.78 g(5.20 mmol)を滴下漏斗を用いて20分間かけて徐々に加えた。その後室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で3日間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液100 mlを徐々に加え、続いてジエチルエーテル100 mlを加えた。得られた二層の溶液を300 ml分液漏斗に移して数回振った後、水層を除いた。続いて、得られた有機層を水100 mlで3回、飽和食塩水100 mlで1回洗い、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥した。固体を濾別し、ロータリーエバポレータで溶媒を留去して得た固体をヘキサンで洗浄して、白色固体としてビス(4-t-ブチルフェニル)シクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)メタンを得た。収量は2.664 g(3.654 mmol)、収率は70.14%であった。ビス(4-t-ブチルフェニル)シクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)メタンの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):δ/ppm 1.0-1.3(m, Me(OMOHDBFlu), 24H), 1.24(s, t-Bu, 18H), 1.5-1.7(br, CH2(OMOHDBFlu), 8H), 2.8-2.9(br, CH2(Cp), 1H), 5.3-5.4(m, CH(9-OMOHDBFlu), 1H), 6.0-6.5(br, Cp, 4H), 6.6-7.8(br, Ar(OMOHDBFlu) & Ar(Ph), 12H)
FD-MSスペクトル:M/z 729(M++1)
【0068】
(iv)ビス(4-t-ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
磁気攪拌子を備えた100 mlギルダールフラスコを充分に窒素置換した後、ビス(4-t-ブチルフェニル)シクロペンタジエニル(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)メタン0.709 g(0.972 mmol)を入れ、ジエチルエーテル30 mlを加えた。氷水浴で冷やしながら、1.56 mol/lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液1.30 ml(2.03 mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で39時間攪拌した。メタノール/ドライアイス浴で冷やしながら四塩化ジルコニウム・テトラヒドロフラン錯体(1:2)0.273 g(0.724 mmol)を加えた後、室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で24時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去して得られた固体をヘキサンで洗浄し、続いてジクロロメタンで抽出して赤色の溶液を得た。この溶液の溶媒を減圧下で留去し、赤桃色固体としてビス(4-t-ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを得た。収量は0.200 g(0.225 mmol)、収率は31.1%であった。ビス(4-t-ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの同定は、1H NMRスペクトルおよびFD-MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMRスペクトル(270 MHz, CDCl3):δ/ppm 0.80(s, Me(OMOHDBFlu)
, 6H), 0.94(s, Me(OMOHDBFlu), 6H), 1.31(s, t-Bu, 18H), 1.40(s, Me(OMOHDBFlu), 6H), 1.45(s, Me(OMOHDBFlu), 6H), 1.5-1.8(m, CH2(OMOHDBFlu), 8H), 5.54(t, J=2.6 Hz, Cp, 2H), 6.12(s, Ar(OMOHDBFlu), 2H), 6.24(t, J=2.6 Hz, Cp, 2H), 7.35(ddd, J=19.8 Hz, J=8.2 Hz, J=2.0 Hz, Ar(Ph), 4H), 8.03(s, Ar(Flu), 2H)
【0069】
〔実施例1〕−エチレン重合−
充分に窒素置換した内容量500mlのガラス製オートクレーブにトルエン400mlを装入し、エチレンを100リットル/時間の量で流通させ、75℃で10分間保持させておいた。これに、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.21mol/l)を0.52mmol添加し、次いで上記合成例1で合成したジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液0.8μmolを加え重合を開始した。エチレンガスを100リットル/時間の量で連続的に供給し、常圧下、75℃で3分間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。ポリマー溶液を大過剰のメタノールに加え、ポリマーを析出させ、80℃で12時間、減圧乾燥を行った結果、ポリマー2.00gが得られた。重合活性は50.0kg−PE/mmol−Zr・hrであり、得られたポリマーの[η]は10.5dl/gであった。
【0070】
〔実施例2〕−エチレン重合−
充分に窒素置換した内容量500mlのガラス製オートクレーブにトルエン400mlを装入し、エチレンを100l/時間の量で流通させ、75℃で10分間保持させておいた。これに、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.21mol/l)を0.52mmol添加し、次いで上記合成例2で合成したジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液0.8μmolを加え重合を開始した。エチレンガスを100l/時間の量で連続的に供給し、常圧下、75℃で2分間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。ポリマー溶液を大過剰のメタノールに加え、ポリマーを析出させ、80℃で12時間、減圧乾燥を行った結果、ポリマー2.32gが得られた。重合活性は87.0kg−PE/mmol−Zr・hrであり、得られたポリマーの[η]は11.5dl/gであった。
【0071】
〔実施例3〕−エチレン/ヘキセン共重合−
[固体触媒成分の調製]
200℃で3時間乾燥したシリカ8.5kgを33lのトルエンで懸濁状にした後、メチルアルミノキサン溶液(Al=1.42mol/l)82.7lを30分で滴下した。次いで1.5時間かけて115℃まで昇温し 、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーション法によって除去した。得られた固体触媒成分をトルエンで3回洗浄した後、トルエンで再懸濁化して固体触媒成分(a)を得た(全容積150l)。
[担持触媒の調製]
充分に窒素置換した100mlの二つ口フラスコ中に、トルエン20mlに懸濁させた固体触媒成分(a)をアルミニウム換算で11.80mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(23℃)、上記合成例1で合成したジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの2mmol/lトルエン溶液を23.7ml(0.0474mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n−ヘプタン50mlを用いて洗浄を4回行い、得られた担持触媒を100mlのn−ヘプタンにリスラリーし触媒懸濁液として、固体触媒成分(b)を得た。
[エチレン/ヘキセン共重合]
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn−ヘプタン500mlを入れ、1mol/lトリイソブチルアルミニウム0.25ml(0.25mmol)、1−ヘキセン3.0ml、上記で得た固体触媒成分(b)1.27ml(Zr原子0.423μmol相当)を投入し、エチレンガスで8.0kg/cm2Gに加圧し、80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレンガスを添加し、60分間重合した。重合後、脱圧し、メタノールを加えて触媒を失活させた後、ポリマーを濾過、洗浄し、真空下80℃で12時間乾燥した。得られたポリマーは38.10gであった。重合活性は90.1kg−Polymer/mmol−Zr・hrであった。このポリマーについて、MFR21.6、密度、Mw/Mnを測定した。その結果、MI21.60.01g/10分↓、密度0.918g/cm3、Mw=643,870、Mw/Mn=2.36であった。
【0072】
〔実施例4〕−エチレン/ヘキセン共重合−
[担持触媒の調製]
充分に窒素置換した100mlの二つ口フラスコ中に、トルエン20mlに懸濁させた上記で調整した固体触媒成分(a)をアルミニウム換算で9.20mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(23℃)、上記合成例2で合成したジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの2mmol/lトルエン溶液を18.4ml(0.0368mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n−ヘプタン50mlを用いて洗浄を4回行い、得られた担持触媒を100mlのn−ヘプタンにリスラリーし触媒懸濁液として、固体触媒成分(c)を得た。
[エチレン/ヘキセン共重合]
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn−ヘプタン500mlを入れ、1mol/lトリイソブチルアルミニウム0.25ml(0.25mmol)、1−ヘキセン3.0ml、上記で得た固体触媒成分(c)0.70ml(Zr原子0.186μmol相当)を投入し、エチレンガスで8.0kg/cm2Gに加圧し、80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレンガスを添加し、60分間重合した。重合後、脱圧し、メタノールを加えて触媒を失活させた後、ポリマーを濾過、洗浄し、真空下80℃で12時間乾燥した。得られたポリマーは48.20gであった。重合活性は259.1kg−Polymer/mmol−Zr・hrであった。このポリマーについて、MFR21.6、密度、Mw/Mnを測定した。その結果、MI21.60.01g/10分↓、密度0.919g/cm3、Mw=965,614、Mw/Mn=2.97であった。
【0073】
〔比較例1〕−エチレン重合−
充分に窒素置換した内容量500mlのガラス製オートクレーブにトルエン400mlを装入し、エチレンを100l/時間の量で流通させ、75℃で10分間保持させておいた。これに、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.21mol/l)を1.30mmol添加し、次いで上記合成例3で合成したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液2.0μmolを加え重合を開始した。エチレンガスを100l/時間の量で連続的に供給し、常圧下、75℃で2分間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。ポリマー溶液を大過剰のメタノールに加え、ポリマーを析出させ、80℃で12時間、減圧乾燥を行った結果、ポリマー2.46gが得られた。重合活性は36.9kg−PE/mmol−Zr・hrであり、得られたポリマーの[η]は8.3dl/gであった。
【0074】
〔比較例2〕−エチレン重合−
充分に窒素置換した内容量500mlのガラス製オートクレーブにトルエン400mlを装入し、エチレンを100l/時間の量で流通させ、75℃で10分間保持させておいた。これに、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.21mol/l)を1.30mmol添加し、次いで上記合成例4で合成したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液2.0μmolを加え重合を開始した。エチレンガスを100l/時間の量で連続的に供給し、常圧下、75℃で3分間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。ポリマー溶液を大過剰のメタノールに加え、ポリマーを析出させ、80℃で12時間、減圧乾燥を行った結果、ポリマー4.15gが得られた。重合活性は41.5kg−PE/mmol−Zr・hrであり、得られたポリマーの[η]は10.5dl/gであった。
【0075】
〔比較例3〕−エチレン/ヘキセン共重合−
[担持触媒の調製]
充分に窒素置換した100mlの二つ口フラスコ中に、トルエン20mlに懸濁させた上記で調整した固体触媒成分(a)をアルミニウム換算で18.78mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(23℃)、上記合成例3で合成したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの2mmol/lトルエン溶液を41.9ml(0.0838mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n−ヘプタン50mlを用いて洗浄を4回行い、得られた担持触媒を100mlのn−ヘプタンにリスラリーし触媒懸濁液として、固体触媒成分(d)を得た。
[エチレン/ヘキセン共重合]
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn−ヘプタン500mlを入れ、1mol/lトリイソブチルアルミニウム0.25ml(0.25mmol)、1−ヘキセン3.0ml、上記で得た固体触媒成分(d)0.50ml(Zr原子0.406μmol相当)を投入し、エチレンガスで8.0kg/cm2Gに加圧し、80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレンガスを添加し、60分間重合した。重合後、脱圧し、メタノールを加えて触媒を失活させた後、ポリマーを濾過、洗浄し、真空下80℃で12時間乾燥した。得られたポリマーは28.6gであった。重合活性は70.4kg−Polymer/mmol−Zr・hrであった。このポリマーについて、MFR21.6、密度、Mw/Mnを測定した。その結果、MI21.60.01g/10分↓、密度0.917g/cm3、Mw=557,800、Mw/Mn=2.28であった。
【0076】
〔比較例4〕−エチレン/ヘキセン共重合−
[担持触媒の調製]
充分に窒素置換した100mlの二つ口フラスコ中に、トルエン20mlに懸濁させた上記で調整した固体触媒成分(a)をアルミニウム換算で14.36mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(23℃)、上記合成例4で合成したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの2mmol/lトルエン溶液を29.0ml(0.0580mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n−ヘプタン50mlを用いて洗浄を4回行い、得られた担持触媒を100mlのn−ヘプタンにリスラリーし触媒懸濁液として、固体触媒成分(e)を得た。
[エチレン/ヘキセン共重合]
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn−ヘプタン500mlを入れ、1mol/lトリイソブチルアルミニウム0.25ml(0.25mmol)、1−ヘキセン3.0ml、上記で得た固体触媒成分(e)1.97ml(Zr原子1.082μmol相当)を投入し、エチレンガスで8.0kg/cm2Gに加圧し、80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレンガスを添加し、30分間重合した。重合後、脱圧し、メタノールを加えて触媒を失活させた後、ポリマーを濾過、洗浄し、真空下80℃で12時間乾燥した。得られたポリマーは104.9gであった。重合活性は193.9kg−Polymer/mmol−Zr・hrであった。このポリマーについて、MFR21.6、密度、Mw/Mnを測定した。その結果、MI21.60.01g/10分↓、密度0.918g/cm3、Mw=668,700、Mw/Mn=2.45であった。
【0077】
〔実施例5〕−プロピレン重合−
充分に窒素置換した内容量500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、プロピレンを150リットル/時間の量で流通させ、50℃で20分間保持させておいた。一方、充分に窒素置換した内容量30mlの枝付きフラスコにマグネチックスターラーを入れ、これにメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.53mol/l)を5.00mmol、次いで上記合成例2で合成したジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液5.0μmolを加え、20分間攪拌した。この溶液を、プロピレンを流通させておいたガラス製オートクレーブのトルエンに加え、重合を開始した。プロピレンガスを150リットル/時間の量で連続的に供給し、常圧下、50℃で60分間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。ポリマー溶液を大過剰のメタノールに加え、ポリマーを析出させ、80℃で12時間、減圧乾燥を行った結果、ポリマー0.75gが得られた。重合活性は0.15kg−PP/mmol−Zr・hrであり、得られたポリマーの[η]は1.95dl/g、Mw=196,769、Mn=117,267、Mw/Mn=1.68であった。
【0078】
〔比較例5〕−プロピレン重合−
充分に窒素置換した内容量500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、プロピレンを150リットル/時間の量で流通させ、50℃で20分間保持させておいた。一方、充分に窒素置換した内容量30mlの枝付きフラスコにマグネチックスターラーを入れ、これにメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.53mol/l)を5.00mmol、次いで上記合成例4で合成したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液5.0μmolを加え、20分間攪拌した。この溶液を、プロピレンを流通させておいたガラス製オートクレーブのトルエンに加え、重合を開始した。プロピレンガスを150リットル/時間の量で連続的に供給し、常圧下、50℃で60分間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。ポリマー溶液を大過剰のメタノールに加え、ポリマーを析出させ、80℃で12時間、減圧乾燥を行った結果、ポリマー0.70gが得られた。重合活性は0.14kg−PP/mmol−Zr・hrであり、得られたポリマーの[η]は1.85dl/g、Mw=182,157、Mn=109,920、Mw/Mn=1.66であった。
【0079】
〔実施例6〕−エチレン重合−
充分に窒素置換した内容量500mlのガラス製オートクレーブにトルエン400mlを装入し、エチレンを100l/時間の量で流通させ、75℃で10分間保持させておいた。これに、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.21mol/l)を0.52mmol添加し、次いで上記合成例5で合成したビス[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液0.8μmolを加え重合を開始した。エチレンガスを100l/時間の量で連続的に供給し、常圧下、75℃で3分間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。ポリマー溶液を大過剰のメタノールに加え、ポリマーを析出させ、80℃で12時間、減圧乾燥を行った結果、ポリマー2.20gが得られた。重合活性は55.0kg−PE/mmol−Zr・hrであり、得られたポリマーの[η]は10.0dl/gであった。
【0080】
〔実施例7〕−エチレン重合−
充分に窒素置換した内容量500mlのガラス製オートクレーブにトルエン400mlを装入し、エチレンを100l/時間の量で流通させ、75℃で10分間保持させておいた。これに、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.36mol/l)を0.52mmol添加し、次いで上記合成例6で合成したビス(4-t-ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液0.8μmolを加え重合を開始した。エチレンガスを100l/時間の量で連続的に供給し、常圧下、75℃で2分間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。ポリマー溶液を大過剰のメタノールに加え、ポリマーを析出させ、80℃で12時間、減圧乾燥を行った結果、ポリマー2.57gが得られた。重合活性は96.4kg−PE/mmol−Zr・hrであり、得られたポリマーの[η]は13.6dl/gであった。
【0081】
〔実施例8〕−エチレン/ヘキセン共重合−
[担持触媒の調製]
充分に窒素置換した100mlの二つ口フラスコ中に、トルエン20mlに懸濁させた固体触媒成分(a)をアルミニウム換算で10.00mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(23℃)、上記合成例5で合成したビス[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの2mmol/lトルエン溶液を20.0ml(0.0400mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n−ヘプタン50mlを用いて洗浄を4回行い、得られた担持触媒を100mlのn−ヘプタンにリスラリーし触媒懸濁液として、固体触媒成分(f)を得た。
[エチレン/ヘキセン共重合]
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn−ヘプタン500mlを入れ、1mol/lトリイソブチルアルミニウム0.25ml(0.25mmol)、1−ヘキセン3.0ml、上記で得た固体触媒成分(f)1.40ml(Zr原子0.401μmol相当)を投入し、エチレンガスで8.0kg/cm2Gに加圧し、80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレンガスを添加し、60分間重合した。重合後、脱圧し、メタノールを加えて触媒を失活させた後、ポリマーを濾過、洗浄し、真空下80℃で12時間乾燥した。得られたポリマーは53.60gであった。重合活性は133.7kg−Polymer/mmol−Zr・hrであった。このポリマーについて、MFR21.6、密度、Mw/Mnを測定した。その結果、MI21.60.01g/10分↓、密度0.928g/cm3、Mw=677,910、Mw/Mn=2.68であった。
【0082】
〔実施例9〕−エチレン/ヘキセン共重合−
[担持触媒の調製]
充分に窒素置換した100mlの二つ口フラスコ中に、トルエン20mlに懸濁させた固体触媒成分(a)をアルミニウム換算で10.00mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(23℃)、上記合成例6で合成したビス(4-t-ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの2mmol/lトルエン溶液を20.0ml(0.0400mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n−ヘプタン50mlを用いて洗浄を4回行い、得られた担持触媒を100mlのn−ヘプタンにリスラリーし触媒懸濁液として、固体触媒成分(g)を得た。
[エチレン/ヘキセン共重合]
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn−ヘプタン500mlを入れ、1mol/lトリイソブチルアルミニウム0.25ml(0.25mmol)、1−ヘキセン3.0ml、上記で得た固体触媒成分(g)0.50ml(Zr原子0.140μmol相当)を投入し、エチレンガスで8.0kg/cm2Gに加圧し、80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレンガスを添加し、60分間重合した。重合後、脱圧し、メタノールを加えて触媒を失活させた後、ポリマーを濾過、洗浄し、真空下80℃で12時間乾燥した。得られたポリマーは39.99gであった。重合活性は285.6kg−Polymer/mmol−Zr・hrであった。このポリマーについて、MFR21.6、密度、Mw/Mnを測定した。その結果、MI21.60.01g/10分↓、密度0.918g/cm3、Mw=848,700、Mw/Mn=2.32であった。
【0083】
〔実施例10〕−プロピレン重合−
充分に窒素置換した内容量500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、プロピレンを150リットル/時間の量で流通させ、50℃で20分間保持させておいた。一方、充分に窒素置換した内容量30mlの枝付きフラスコにマグネチックスターラーを入れ、これにメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.53mol/l)を5.00mmol、次いで上記合成例5で合成したビス[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液5.0μmolを加え、20分間攪拌した。この溶液を、プロピレンを流通させておいたガラス製オートクレーブのトルエンに加え、重合を開始した。プロピレンガスを150リットル/時間の量で連続的に供給し、常圧下、50℃で40分間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。ポリマー溶液を大過剰のメタノールに加え、ポリマーを析出させ、80℃で12時間、減圧乾燥を行った結果、ポリマー1.45gが得られた。重合活性は0.44kg−PP/mmol−Zr・hrであり、得られたポリマーの[η]は1.82dl/gであった。
【0084】
以上の結果について、エチレン重合に関する実施例1、2、6、7、比較例1、2の結果を表1に、エチレン/ヘキセン共重合に関する実施例3、4、8、9、比較例3、4の結果を表2に、そしてプロピレン重合に関する実施例5、10、比較例5の結果を表3にまとめた。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【発明の効果】
本発明の架橋メタロセン化合物は、資源枯渇の問題が少なく安価なチタンまたはジルコニウムから得られる錯体であり、これを含む触媒存在下ではオレフィン単独重合または共重合において高い重合活性でもって、高分子量であるオレフィン単独重合体または共重合体を与える。
Claims (11)
- 二つのシクロペンタジエニル配位子を含み、それぞれのシクロペンタジエニル基の一つまたは複数個の水素原子は総炭素数1から20の炭化水素基、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもいなくてもよく、複数個の水素原子が置換されている場合は、置換基は相互に同一でも異なっていてもよく、二つのシクロペンタジエニルが第14族原子を含む共有結合架橋によって結合され、
前記第14族原子には2個の無置換または置換アリール基が結合し、当該アリール基の少なくとも1つは置換アリール基であり、当該置換アリール基が炭素数1から10のアルキル基が置換されたフェニル基またはハロゲン原子含有炭化水素基が置換されたフェニル基であり、
前記第14族原子が炭素原子である第4族遷移金属化合物(但し、
ジキシリルメチレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2',4',5'−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム二塩化物、
ジキシリルメチレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3',5'−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム二塩化物、
ジキシリルメチレン(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3'−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム二塩化物、ジキシリルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム二塩化物、ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウム二塩化物、
ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウム二塩化物を除く。) - 第4族遷移金属がチタンまたはジルコニウムである請求項1に記載の第4族遷移金属化合物。
- 下記一般式(1)で表される第4族遷移金属化合物(但し、ジキシリルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム二塩化物を除く。)。
- 前記一般式(1)におけるR14が、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基から同一または異なる組合せで選ばれる、少なくとも1つ以上の置換基を有する置換フェニル基であることを特徴とする、請求項3記載の第4族遷移金属化合物。
- 前記一般式(1)におけるR14が、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基から選ばれる置換基をパラ位またはメタ位に1つ有する置換フェニル基であることを特徴とする、請求項3記載の第4族遷移金属化合物。
- 前記一般式(1)におけるR14が、m−トリル基、p−トリル基、m−t−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、m−(トリフルオロメチル)フェニル基、p−(トリフルオロメチル)フェニル基、m,p−ジメチルフェニル基、m,m'−ジメチルフェニル基、m,m'−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基であることを特徴とする、請求項3記載の第4族遷移金属化合物。
- 請求項3〜6のいずれか1項に記載の遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒。
- (A)請求項3〜6のいずれか1項に記載の遷移金属化合物と、
(B)(B−1)有機金属化合物、
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、
(B−3)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
から選ばれる少なくとも1種の化合物と
からなるオレフィン重合触媒。 - 請求項7または8に記載のオレフィン重合触媒の存在下で、エチレンおよびα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを重合する方法であって、モノマーの少なくとも1種がエチレンまたはプロピレンであることを特徴とする、オレフィンの重合方法。
- 重合が懸濁液中、溶液中、または気相中で行われることを特徴とする請求項9に記載のオレフィンの重合方法。
- 前記一般式(1)で表される遷移金属化合物が、担持された形態で用いられることを特徴とする請求項9に記載のオレフィンの重合方法。
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