JP4610156B2 - パノラマ画像による道路や河川、鉄道の空間把握システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は事故、災害、事業開発時の調査や、日常の管理業務や、趣味等に於いて、道路及びその付属施設及びその周辺を含む道路空間、又は河川及びその付属施設及びその周辺を含む河川空間、又は鉄道及びその付属施設及びその周辺を含む鉄道空間の全体的且つ詳細な状況把握の為等に、パノラマ画像による広範囲で視覚的な空間把握を可能にする空間把握システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、道路や河川や鉄道等の管理業務は、定期的に機械等を用いて路面や水面の調査を行ったり、パトロールや現場視察を行うことによって維持されている。更に、大雨や地震による災害対応、事故対応、植栽管理や施設管理、新規事業開発、一般からの苦情対応、許認可業務等は、台帳や保管図面等の資料を元にして行っている。
【0003】
近年はこれらの管理業務の支援手段として、道路、河川、鉄道路線を走行、航行しながら画像を撮影し、キロ標や名称を編集作業で文字入れして記録したビデオや写真が活用されているが、これらは必要な画像を検索するのに時間が掛かる。
【0004】
特許3099103号の発明に於いては、上記問題点を解決する為、これらのビデオや写真をコンピュータに取り込んでデジタル化したものを記録媒体に保存し、キロ標や名称等で容易に必要な画像を検索し、道路の上り車線や下り車線の切替えも出来る業務効率の良いシステムを実現している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし特許3099103号の発明に於いては、単に道路等に沿って走行しながら前方又は後方を撮影した画像を提供するのみであり、画像には走行方向の前方及び側方が多少映っているだけで、本来必要な画像が得られない場合があり、広範囲且つ視覚的な空間把握は出来なかった。例えば、道路の路面そのものの詳細な状況や、道路脇の建物や歩道の詳細な状況までは画像に含まれておらず、これらを正確に調査することは出来なかった。
【0006】
又、表示されている画像と地図上の地点とを対応させ、表示されている画像の撮影範囲を地図上に視野として表示することが出来ないので、どの地点のどの範囲を撮影したものであるかを瞬時に把握出来なかった。
【0007】
更に、例えば川幅の広い河川の状況を知りたい時、河川全体を画像に収めることは困難であり、仮に河川全体を画像に収めたとしても、河川全体の状況と、左岸側の状況と、右岸側の状況とを同時に見ることは出来ず、更にそれぞれの状況を見たい向きに設定することが出来なかった。高速道路等に於いては、上り側道路と下り側道路の両方を同時に見ることは出来なかった。又、当該河川や道路沿いにある施設、トンネル、橋等といった建造物の情報を容易に知ることは出来なかった。
【0008】
即ち、全体的且つ局部的な視点からの、人間の視野に基づいた空間把握や、画像や画像以外の情報の瞬時検索や、画像から情報への逆検索や、地図上の画像視野表示等を実現していなかった為、道路、河川、鉄道等の管理業務を容易に且つ円滑に遂行すべく支援しているとは言い難かった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、道路、河川、鉄道その他の連続空間を連続的にパノラマ撮影することで得られた全方位連続画像を格納する画像データベースと、前記全方位連続画像の地図上の位置情報を格納した情報データベースと、前記画像データベースから必要とする画像を検索する画像検索手段と、前記画像検索手段によって抽出された画像の回転方向の向きを設定し、0°〜360°までのパノラマ画像のうち、全方位画像から任意角度画像までの表示を、角度変更可能に設定する回転方向制御手段と、前記回転方向制御手段によって設定された角度成分を持つ画像を抽出し表示できるように変換する画像変換手段と、前記画像変換手段によって変換された画像の進行方向を設定する進行方向選択手段と、前記進行方向選択手段によって設定された進行方向に従って前記変換された画像を前記地図上の位置情報の順番に従って再生する画像再生手段と、前記画像再生手段により再生された画像を表示する表示端末とを有するパノラマ画像による道路や河川、鉄道の空間把握システムであって、前記空間把握システムは、表示される画像種類を選択する画像種類選択手段と、前記画像検索手段に於いて検索された1種類以上の画像の中から前記画像種類選択手段に於いて選択された種類の画像を抽出するファイル選択手段とを有している。
【0016】
請求項1の発明により、必要とする画像を検索し、進行方向に沿って画像を連続的に再生させ、いつでも画像を360度回転させることが出来るので、あたかも自らが道路や河川や鉄道沿いを走行している感覚で必要な画像を特定することが出来る。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の空間把握システムの構成に加えて、表示される画像種類を選択する画像種類選択手段と、前記画像検索手段に於いて検索された1種類以上の画像の中から前記画像種類選択手段に於いて選択された種類の画像を抽出するファイル選択手段とを、有することを特徴とするパノラマ画像による道路や河川、鉄道の空間把握システムである。
【0019】
本発明によれば、空間把握システムは、表示される画像種類を選択する画像種類選択手段と、前記画像検索手段に於いて検索された1種類以上の画像の中から前記画像種類選択手段に於いて選択された種類の画像を抽出するファイル選択手段とを有しているので、河川空間を把握する際に、左岸側から撮影した道路や右岸側から撮影した道路といった複数種類の画像を同時又は切替えて表示し、画像種類毎に回転方向を設定することができ、人間の目の動きに合せた形態で画像を表示することが可能になる。
【0020】
請求項3の発明は、前記画像を撮影した地点を含む地図を表示する地図表示手段を有する空間把握システムである。
【0021】
請求項3の発明により、地図を表示することが出来、地図から画像を検索出来ない時には地図そのものを検索することも出来る。
【0023】
請求項4の発明は、前記画像検索手段は、前記地図表示手段により表示された地図からの選択、基準となる地点からの距離入力、又は地名・建造物名等のキーワード入力のいずれかによる画像又は地図の検索が可能である空間把握システムである。
【0024】
請求項4の発明により、地図上の地点を指示したり、距離を入力したり、地名やキーワードを入力することにより、必要とする画像や地図を素早く検索することが出来る。
【0025】
請求項5の発明は、前記地図表示手段に於いて表示された地図上に、前記画像再生手段に於いて再生された1種類以上の画像の示す視点及び/又は視野を前記画像種類毎に表示する視点視野表示手段を有する空間把握システムである。
【0026】
請求項5の発明により、表示された画像の撮影範囲を示す視点及び/又は視野を画像毎に生成し、地図上に表示することが出来るので、複数種類の画像を表示させている時にも、それぞれどの視点、視野で表示されているかが一目瞭然となる。
【0027】
請求項6の発明は、前記表示手段に於いて表示された画像又は前記画像再生手段に於いて再生された画像の、縮小、拡大、切り取り等の編集が可能な画像編集手段を有する空間把握システムである。
【0028】
請求項6の発明により、必要な角度の画像を探し出して、それを編集し、資料作成等に活用することが出来る。
【0029】
請求項7の発明は、前記地図表示手段に於いて表示される地図の種類を選択する地図種類選択手段を有する空間把握システムである。
【0030】
請求項7の発明により、検索等に利用する地図を複数種類備えることが出来、地図を切替えることにより広い範囲から狭い範囲までの検索に対応することが出来る。
【0031】
請求項8の発明は、前記情報データベースは前記全方位連続画像が撮影された付近の情報を格納し、前記情報データベースから必要とする情報を検索する情報検索手段と、前記情報検索手段に於いて検索された情報を表示する情報表示手段とを有する空間把握システムである。
【0032】
請求項8の発明により、必要な画像のみならず、必要な情報をも検索し表示することが出来る。
【0033】
請求項9の発明は、監視カメラによってパノラマ撮影されることで得られた全方位連続画像を取り込む画像取込み手段を有する空間把握システムである。
【0034】
請求項9の発明により、監視カメラから送信された画像を逐次取り込み、日々状況が変わりやすい場所等に於ける画像の更新を行うことが出来る。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明は、管理すべき道路や河川、鉄道及びその付属施設を含む空間を詳細に把握する手段としての、道路や河川、鉄道等の連続的パノラマ動画もしくは静止画もしくはそれに準ずる画像及びその制御コマンド群を持ち、それらのパノラマ画像に関して、撮影された視点を地図上に表示することが出来、又は地図上に視野や画像の表す範囲を表示することが出来、これら画像や地図を道路や河川、鉄道の管理用に附されたキロ標や施設名又は一般的な地名による瞬時検索・表示するコマンド群を持つ空間把握システムであり、道路又は河川、鉄道管理、又は路上や河川内、踏切等での事故時の調査・報告書作成等を効果的且つ効率的にならしめるものである。
【0036】
パノラマ画像による空間表示は進行方向の指定と視点方向の指定により決定される。これらは地図上で視覚的に確認される。進行方向は道路と鉄道の場合下り方面と上り方面で、河川の場合上流側と下流側等で決定され、視点方向は360度の中から任意に選択出来る。
【0037】
本発明の空間把握システムに於いては、同一画面上で画像及びその制御コマンド群、視点や視野を示す地図、画像や地図の場所を検索するコマンド群を同時又は切替えて表示する。画像と地図は独立したウインドウ内で表示されるので、画面内での位置や大きさは自由に変えられ、画面を切替えて画像と地図を別々に表示することも可能である。画像や地図の制御・表示はウインドウズやユニックス、リナックスといったコンピュータのオペレーションシステムに依存しており、特殊もしくは専用の装置は必要としない。
【0038】
画像の視点や視野を示す地図にはパノラマ画像の視点及び/又は視野情報が連続的に登録されており、両者はお互いにリンクしている。
【0039】
画像及び視点・視野を示す地図はキロ標や施設名等の位置情報を持っており、検索コマンドによりその場所が検索・表示される。コマンドはウインドウズやユニックス、リナックスといったコンピュータのオペレーションシステムに依存しており、特殊もしくは専用の装置は必要としない。
【0040】
【実施例1】
本実施例については道路を例に説明する。河川や鉄道も画像や地図の種類が違うだけで、仕組みは同じである。図面を参照して説明すると、図1に於いて符号1はパノラマ画像から任意の範囲を抽出した画像であり、符号2はその制御コマンド群であり、符号3は表示された画像1の周辺の地図であり、符号4は表示された画像1の地図3上の視点や視野を示す記号群であり、符号5は画像1や地図3を検索する検索コマンド群を表している。
【0041】
パノラマ画像による空間表示は進行方向の指定と視点方向の指定により決定される。進行方向は道路を例にとると下り方面と上り方面で、視点方向は任意である。
【0042】
本発明の一例として、図1は下り方面へ移動しながら下り方向に視点が向いている場合である。図2は制御コマンド群の詳細で、画像1の進行方向制御コマンド20には「上る」「停止」「下る」があり、現在「下る」が選択されており、画像1は下り方面へ移動している。画像1を上り方面へ移動させるには、「上り」を選択する。
【0043】
図2の視野方向コマンド25は「上り方向」「下り側方」「下り方向」「上り側方」を軸として軸間では任意の位置の指定が可能であり、現在は「下り方向」選択している。図1は下り方面へ移動しながら、進行方向の下り方向を見ている画面であるが、視野方向コマンド25の操作で、下り方面へ移動しながら、映像は後ろ向きに上り方向を見たり、道路の脇を見たりと、人間の目の動きに近く自由に周囲も見ることが出来るのである。進行方向と視点方向はそれぞれ独立に指定が出来る。
【0044】
この時画像1の周辺の地図3の中に、表示されている画像1の視点と視野が示される。図3は視点及び/又は視野を示す記号で、視点記号40は地図3上に点として表示され、画像1の動きにあわせて地図3上を下り方面、即ち右に移動している。又、画像視野表示記号45は視点記号40を中心とした扇形の範囲で映像の表す範囲を表現している。尚、画像視野表示記号45は、扇形に限らず、単に矢印で画像1のおよその方向を示したものでも良いし、常に同じような視野角度で表示されるような場合には特に必須ではない。
【0045】
図4は視野方向コマンド25を「上り側方」側に移動した場合である。すると、画像1は上り車線側に振れる。画像視野表示記号45も同様に上り車線側に振れる。このようにして、進行方向制御コマンド20と視野方向コマンド25の任意の組み合わせの操作により、道路空間を移動しながら自由に広範囲にわたり詳細な状況を把握することが可能となる。
【0046】
画像1の表示範囲であると同時に画像視野表示記号45が示す扇形の角度は、任意に変更が可能である。
【0047】
地図3は、市販のものでも、道路管理者が作成しているものでも、あらゆる種類と縮尺に対応が可能である。
【0048】
画像1と地図3は独立したウインドウ内で表示されるので、画面内での位置や大きさは自由に変えられる。画面を切替えて画像1と地図3を別々に表示することも可能である。
【0049】
高速道路等で上り車線と下り車線が分かれている箇所に於いては、下り車線と上り車線の画像を同時又は切替えて表示させることが出来る。図5のように、視点方向コマンド25は下り用26と上り用27に分かれる。又視点記号40も下り用41上り用42に、画像視野表示記号45も下り用46およ上り用47の二つにわかれ同時表示される。
【0050】
画像1や地図3をスキップ検索する為の検索コマンド群5には、図6のように、道路を管理しているキロ標のキロ値を入れることによって、直接その場所にスキップするものや、事前に登録済みの特定の箇所へスキップすることが出来るものがあり、素早い検索が可能となっている。キロ標移動はキロ値を入力し、名称移動は一覧から選択して移動する。
【0051】
パノラマ画像から任意の角度の画像を作成する方法には幾通りかあるが、効率の高い魚眼レンズやそれに類するレンズを使った方法は次の通りである。図10のように魚眼レンズを上に向けてスチルカメラかビデオカメラに装着し撮影する。ハイビジョンカメラを使うとより高画質の画像が得られる。撮影の結果ドーナツ型もしくは円状の360度パノラマ画像が得られる。これは動画も静止画も同様である。これをコンピュータで補正しながら、任意の角度に相当する部分を抽出し、通常の画像に変換しシステムに組み込む。尚、スチルカメラにより撮影されたフィルムやビデオカメラにより撮影されたビデオテープ等のアナログ媒体を介すことなく、画像撮影結果を直接コンピュータやそれに類するデジタル機器に取り込んで、画像撮影から画像変換処理までをリアルタイムで行っても良い。
【0052】
複数台のカメラでそれぞれ角度を変えた撮影をし、それらの画像をもとにパノラマ画像に準じる動画もしくは静止画を得ることも可能である。
【0053】
【実施例2】
次に、本発明のその他の実施の形態及び実施例について説明を行う。図11は本発明の空間把握システム101とその周辺のシステム構成の一例を示したシステム構成図である。
【0054】
入力端末102は設定画面や検索画面への入力等を行う端末であり、キーボードやマウスや携帯電話の番号ボタン等が利用出来る。
【0055】
表示端末103は図13に例示するような画面を表示する端末であり、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の装置が利用出来る。
【0056】
表示端末103には、図13に例示するように、複数種類の画像130a、130b、地図画面131、制御コマンド画面132、検索コマンド画面133、情報表示画面134、視点や視野等の記号140等が表示されている。これら画面はそれぞれ独立に表示され、それぞれの画面の大きさや位置が自由に変えられることは当然である。又、全ての画面は同時に表示しても良いし、任意に切替えて表示することも可能である。又、画像130a、130bは図13に示されている以上の種類を有していても、1種類のみでも構わない。
【0057】
制御コマンド画面132は、画像130a、130bの進行方向やそれぞれの画像の回転方向を設定したり、画像種類を選択するコマンド等を表示する画面である。
【0058】
検索コマンド画面133は、画像130a、130bや情報表示画面134に表示される情報等を検索する為のコマンドを表示する画面である。
【0059】
情報表示画面134は、画像130a、130bに関連する情報(名称、地名、関連建造物や付近建造物等の情報等)を表示する画面である。
【0060】
記号140は、地図画面131上に表示される画像の視点や視野等のことである。視点は点、視野は扇形の角度等で示され、画像130a、130bのそれぞれの動きに合わせて視点、視野も地図上を移動する。尚、記号140は、扇形に限らず、単に矢印で画像のおよその方向を示したものでも良いし、常に同じような視野角度で表示されるような場合には特に必須ではない。
【0061】
図1に示す空間把握システム101は、画像データベース104と情報データベース105と画像検索手段107と画像制御手段109と回転方向制御手段112と画像処理手段122を有する。
【0062】
空間把握システム101に於いて、画像や情報の検索や表示端末103への表示の際に必要となる画像データベース104、情報データベース105に格納されているファイルの構成について図14の一例を用いて説明する。尚、以下に説明するファイル構成は一例であり、これに限るものではなく、後述の画像検索による画像の再生及び回転方向や進行方向の設定、情報検索による情報の表示、地図上の視点及び/又は視野の表示を実現することが出来れば良い。
【0063】
まず、河川、道路、鉄道路線又は地域の名称を定義し、これを軌跡名称又は区域名称と称する。軌跡名称は地点ID135の1番目からn番目の集合体で表現される。ここで地点ID135は地図上の位置を特定する為の情報である。地点ID135の1番目からn番目の集合体が、特定の河川、道路、鉄道路線又は区域の軌跡となる。
【0064】
各地点ID135には属性情報が存在する。地点ID135を特定する所在地名(都道府県名から市町村、番地まで)、地点ID135が含まれている地図のファイル名、距離を算出することが出来る地図上の位置情報、当該地点ID135に関連のあるリンク情報、又、当該地点ID135上にある施設、河川、道路、駅、踏切、交差点、トンネル、橋等の建造物名称等が属性情報となる。建造物名称が存在する場合は更に、その建造物に関する情報が属性情報となる。建造物に関する情報の例は建造物に関する画像、映像、図面、テキスト情報等が挙げられる。
【0065】
更に、各地点ID135は属性情報の他に、画像ファイルAから画像ファイルZの集合体で構成される画像情報を持っている。ここで画像ファイルとは、各地点ID135を基準に撮影されたパノラマ画像ファイルのことである。画像ファイルAからZは、全て同じ地点ID135を基準に撮影された画像ではあるが、撮影視点と撮影視野が異なる。図18を一例とすると、例えば河川の軌跡を作成する場合、画像ファイルAは左岸側の道路から撮影した画像、画像ファイルBは右岸側の道路から撮影した画像、画像ファイルCは河川と河川の周辺全体を空から撮影した画像、となる。これらの画像ファイルが、河川に沿って、軌跡上を連続的に撮影した動画像の一部を抽出したものである場合は、更に時間情報を属性情報として有しても良い。
【0066】
各画像ファイルは、それぞれ地点ID135を基準に周囲360度にわたり撮影されたパノラマ画像の集合体である。図19に於いて、各画像ファイルに於けるパノラマ画像136の撮影範囲の概念を説明すると、任意の地点ID135に於ける画像ファイルであるパノラマ画像136のうちの任意の角度137に於ける画像を表示したい場合は、0度から360度までの角度情報(例えば45度)を指定し、後述の画像処理手段122の中の画像変換手段124によって、指定した角度情報を中心として任意の広がり角を持つ画像を抽出する。更に、抽出された画像はそれぞれに地図上の視点138の位置を示す視点情報と、視点138からの視野距離139で示される視野情報を持っており、地図とリンクしている。視点情報は、小さな河川や道路の場合は画像の種類によらず同一であることが多いが、大きな河川の中州をはさんだ右岸と左岸とでは地図上の位置そのものが異なる為、地点ID135が同じでも視点情報は異なる。視野情報とは抽出された画像が視点138を基準にしてどの範囲まで表示されているかという情報である。
【0067】
尚、パノラマ画像の撮影方法の一例としては、効率の高い魚眼レンズもしくはそれに類するレンズを使用し、レンズを上に向けてスチルカメラかビデオカメラに装着して撮影する。これにより周囲空間が撮影される。ハイビジョンカメラを使うとより高画質の画像が得られる。撮影の結果、ドーナツ型もしくは円状のパノラマ画像136が得られ、この画像から任意の角度137に相当する画像を抽出し、画像変換手段124に於いて変換する。尚、スチルカメラにより撮影されたフィルムやビデオカメラにより撮影されたビデオテープ等のアナログ媒体を介すことなく、画像撮影結果を直接コンピュータやそれに類するデジタル機器に取り込んで、画像撮影から画像変換処理までをリアルタイムで行っても良い。又、複数台のカメラでそれぞれ角度を変えた撮影を行い、これより得られた複数の画像を合成することによりパノラマ画像を構成しても良い。
【0068】
画像データベース104、情報データベース105に格納されているファイルは上記説明の構成である。即ち、画像データベース104は、撮影されたパノラマ画像及び地図を格納しているデータベースであり、情報データベース105は、地点ID135、地点ID135の属性情報、関連する画像ファイル名等を格納しているデータベースである。パノラマ画像及び地図データは容量が大きいので、本実施例に於いては画像データベース104と情報データベース105を区別したが、必ずしも別々のデータベースを用意する必要はない。又、空間把握システム101は、どこに於いても構築することが出来る。ハードディスクやCD−ROMやDVD等の記録媒体にデータベースを保有し、1台のパソコンで動作させることによって実現しても良いし、データベースをサーバに保有し、インターネットやLAN等のネットワークでパソコンや携帯電話などの表示機能を備えた表示端末103と接続することによって実現しても良い。
【0069】
図1のシステム構成の説明に戻ると、画像検索手段107は、入力端末102を介して、表示端末103に表示されている地図上の任意の地点を指示したり、ある基準地点からの距離をキロメートルやメートル等に換算して入力したり、関連するキーワード等を入力することによって、必要な画像を特定する手段である。
【0070】
画像制御手段109は、画像検索手段107に於いて検索された画像を表示端末103に表示するに際して、表示の設定を行う手段である。画像制御手段109は、画像種類選択手段110と進行方向選択手段111を有する。尚、画像制御手段109は、図13の表示画面上では、制御コマンド画面132の中の各コマンドに相当するものである。
【0071】
画像種類選択手段110は、画像検索手段107に於いて検索された画像のうち、表示端末103に表示したい画像種類を選択する手段である。表示端末103に表示出来る画像種類の数は、画面構成及び画像種類の数に応じて変えることが可能である。画像種類とは、図18を一例とすると、左岸側の道路から撮影した画像ファイルA、右岸側の道路から撮影した画像ファイルB、河川周辺全体を空から撮影した画像ファイルCの3種類を示す。
【0072】
進行方向選択手段111は、画像検索手段107に於いて検索された画像を再生、表示する際の進行方向を選択する手段である。例えば上りから下りに向かって進行した状態を表示するか、下りから上りに向かって進行した状態を表示するかどうかを選択する。又、進行を止め、画像を一時停止させることも可能である。進行方向を設定するコマンドの一例を図16に示す。
【0073】
回転方向制御手段112は、画像検索手段107に於いて検索された画像を表示する方向を設定する手段である。回転方向制御手段112は、後で図12に示すように、回転方向制御手段A112aと回転方向制御手段B112bを有する。これらは、それぞれ画像種類選択手段110で選択された画像ファイルAと画像ファイルBのそれぞれの回転方向設定に対応しており、このように複数種類の画像を表示端末103に表示する場合は、各々の表示画像に対し、独立に回転方向を設定出来る。
【0074】
画像処理手段122は、画像検索手段107に於いて検索された画像を含む画像ファイルを選択し、加工した上で表示端末103に表示する手段である。画像処理手段122は、図12に例示するように、ファイル選択手段123と画像変換手段124と画像再生手段125を有する。
【0075】
ファイル選択手段123は、画像検索手段107に於いて検索された画像を含む画像ファイルの中から、更に画像種類選択手段110に於いて選択された種類の画像ファイルを抽出する。
【0076】
画像変換手段124は、ファイル選択手段123に於いて抽出された画像ファイルから、回転方向制御手段112に於いて設定された角度情報を持つ画像を抽出し、表示端末103に表示出来るように変換する手段である。表示端末103に表示する画像の数だけ、画像変換手段124を有するか、又は、1つの画像変換手段124で並列的に複数種類の画像の処理を行い、あたかも同時に画像変換しているように見せても良い。尚、パノラマ画像から任意の角度の画像を抽出する方法については先に説明した通りである。
【0077】
画像再生手段125は、画像変換手段124に於いて変換された画像を進行方向選択手段111に於いて選択された方向に向かって連続的に再生し、表示端末103に表示する手段である。先に画像変換手段124に於いて変換された画像の数だけ、画像再生手段125を有するか、又は1つの画像再生手段125であたかも2種類以上の画像を同時に再生しているように見せても良い。
【0078】
次に本実施例のプロセスの流れの一例を詳細に説明する。画像の検索から画面への表示に至るまでのプロセスの流れの一例を図15のフローチャート及び、図11及び図12のシステム構成図を用いて説明する。
【0079】
まず、必要とする画像を画像検索手段107に於いて検索する方法は複数あり(S10)、例えば距離入力(S30)、建造物・地名入力(S40)が挙げられる。
【0080】
S30の距離入力の場合は、図6に例示するように、基準地点からの距離を入力する。距離を入力する画面の例を図6に示す。
【0081】
S40の建造物・地名入力の場合は、図6に例示するように、建造物のカテゴリ別に建造物が分類されており、カテゴリから該当する建造物を選択する。又は、建造物名や地名が50音順に並べられている中から選択出来るようにしても構わない。更に建造物名や地名は都道府県名、市町村名から順番に選択出来るようでも構わない。
【0082】
画像を検索する為の情報を入力した結果、画像検索手段107に於いて入力した情報が属している軌跡名を持つ画像ファイルを画像データベース104から検索し、抽出する(S50)。例えば、東北自動車道沿いにあるトンネル名を入力情報として指定した場合は、「東北自動車道」と名付けられた画像ファイルの中から当該トンネルが属する地点ID135に於ける画像ファイルを抽出する。
【0083】
次に画像種類選択手段110に於いて画像種類を選択する(S60)。S50に於いて抽出された画像ファイルは、同じ地点ID135を持つ複数種類の画像ファイルの集合である。表示端末103には複数種類の画像を表示することが可能である。ここでは例えば、上り車線の道路から撮影した画像と、道路及び道路の周辺全体を空から撮影した画像の2種類の画像を選択する。
【0084】
次に進行方向選択手段111に於いて選択した画像の進行方向を選択する(S70)。例えば、上りから下りに向かう画像を表示したい時は、上りから下りへ、というように選択を行う。進行方向を設定するコマンドの一例を図16に示す。
【0085】
次に、先に選択した画像種類毎に、回転方向制御手段112に於いて向きを設定する(S80)。ここで言う向きはS70に於ける進行方向とは異なり、選択された地点ID135に於ける0度から360度までのパノラマ画像のうちのどの角度の画像を表示するかどうかである。向きを設定するコマンドの一例を図17に示す。尚、向きを設定するコマンドは図17の一例に限らず、画面上に表示された矢印キー等を直接マウスでドラッグしても良い。
【0086】
画像変換手段124に於いて、選択した画像種類毎に、設定された向きの角度情報を持つ画像を抽出し、表示出来るように変換し、画像再生手段125に於いて進行方向選択手段111に於いて選択した進行方向に再生し、表示端末103に表示する(S90)。
【0087】
設定に変更がなければ、最初に検索された地点を起点とし、進行方向選択手段111に於いて設定した進行方向に向かって画像は随時更新、再生される(S100)。
【0088】
途中で画像の回転方向を変えたい場合はS80に戻り(S110)、進行方向を変えたい場合はS70に戻り(S120)、画像種類を変えたい場合はS60に戻れば良い(S130)。新たに別の地点を再検索したい場合は(S140)、再検索された地点の画像を起点として画像が設定方向に向かって更新、再生される。
【0089】
表示されている画像は、画像再生手段125に於いて一時停止させることも出来るし、コマ送りさせることも出来る。図16に示した進行方向設定コマンドで、一時停止やコマ送りを行う。
【0090】
【実施例3】
本実施例に於いては、地図と地図上に視点、視野を表示し、実施例2を更に便利にした空間把握システム101である場合を説明する。
【0091】
図20の空間把握システム101は、図11の空間把握システム101のシステム構成の他に、画像編集手段126と地図種類選択手段127と表示手段115を有する。図11に記載されているものと同じ手段の説明は省略する。
【0092】
画像編集手段126は、画像再生手段125に於いて再生された画像を編集、加工する手段である。表示端末103に表示される画像から任意の静止画像又は動画像を切り取って、必要部分を拡大縮小して資料作成等に使用することが出来る。
【0093】
地図種類選択手段127は、表示端末103に表示する地図の種類を選択する手段である。地図上の地点を探す為に広い範囲から探したい時、狭い範囲から探したい時とによって地図を切替えたり、異なる出版元の地図から選択することが出来る。最初に広い範囲の地図を表示し、任意の地点を指定する度に、狭い範囲の地図に切り替わるようにしても良い。
【0094】
表示手段115は、画像データベース104に格納されている地図や地図上に視点視野を表示端末103に表示する手段である。表示手段115は、地図表示手段119と視点視野表示手段120を有する。
【0095】
地図表示手段119は、画像検索手段107に於いて画像の検索を行う時に使用する地図又は検索された地図そのものを表示端末103に表示する手段である。即ち、画像検索手段107に於いては、画像の検索のみならず、地図の検索を行うことも出来る。又、地図は地点ID135とリンクしていることは当然である。
【0096】
視点視野表示手段120は、表示端末103に表示された地図上に、画像検索手段107に於いて検索された画像に対応する視点及び/又は視野を表示する手段である。先の実施例で説明した通り、画像変換手段124によって抽出された画像が持つ視野情報を元に、例えば図13の記号140として地図画面131上に表示される。視点及び/又は視野は画像種類及び回転方向によって異なる為、回転方向制御手段A112aと回転方向制御手段B112bと連動して表示端末103に表示されている画像の数だけ視点及び/又は視野が表示される。尚、表示端末103には、視点と視野の両方を表示させる必要は必ずしもなく、用途に応じて視点のみを表示させても良いし、視野のみを表示させても良い。
【0097】
次に本実施例のプロセスの流れの一例を詳細に説明する。画像の検索から画面への表示に至るまでのプロセスの流れの一例を図21のフローチャート及び、図20のシステム構成図を用いて説明する。尚、先の実施例と同じプロセスについては説明を省略する。
【0098】
必要とする画像を画像検索手段107に於いて検索する方法は複数あり(S210)、先の実施例に於いて説明した以外に、地図上の地点選択(S220)が挙げられる。但し、地図上の位置が分からない時には、S230の距離入力やS240の建造物・地名入力が便利である。
【0099】
S220の地図上の地点選択の場合は、地図種類選択手段127に於いて地図の種類を選択し(S225)、表示端末103に表示された地図上の任意の地点を選択する。
【0100】
地図上の任意の地点を入力した結果、地図上の地点ID135が属している軌跡名を持つ画像ファイルを画像データベース104から検索し、抽出する(S250)。
【0101】
S260からS290までの画像表示については、先の実施例に於けるS60からS90までと同様である。
【0102】
更に、表示した画像から視野情報を抽出し(S300)、画像が位置する地点を含む地図が表示されていない時には、地図表示手段119に於いて地図を表示し、地図上の該当する地点に現在表示されている画像の視点及び/又は視野を視点視野表示手段120に於いて表示する(S310)。図5に地図上に視点及び/又は視野を表示した画面の一例を示す。視野を地図上に表示することによって、どの範囲までが見えているのかが一目瞭然となる。
【0103】
設定に変更がなければ、最初に検索された地点を起点とし、進行方向選択手段111に於いて設定した進行方向に向かって画像は随時更新、再生される(S320)。画像が更新される毎に、地図及び地図上に表示される視点及び/又は視野も更新される。
【0104】
表示されている画像は、画像再生手段125に於いて一時停止させることも出来るし、コマ送りさせることも出来る。又、一時停止させた画像を画像編集手段126に於いて切り取ったり、拡大したりして編集することが出来、事故、災害時の資料等を作成するのが容易となる。
【0105】
【実施例4】
情報の検索から情報の表示に至るまでのプロセスの流れの一例を図22のフローチャート及び、図20のシステム構成図を用いて説明する。
【0106】
図20に於いて、検索手段106は、画像又は情報を検索する手段である。検索手段106は、先の実施例で説明した画像検索手段107の他に、情報検索手段108を有する。
【0107】
情報検索手段108は、入力端末102を介して、表示端末103に表示されている画像を指定したり、地図上の任意の地点を指示したり、ある基準地点からの距離をキロメートルやメートル等に換算して入力したり、関連するキーワード等を入力することによって、必要な情報を特定する手段である。
【0108】
表示手段115は、先の実施例に於いて説明した構成の他に、情報表示手段121を有し、情報検索手段108に於いて検索された情報を表示端末103に表示する。
【0109】
図22のフローチャート図に基づいて説明すると、情報検索手段108に於いて、必要とする情報を検索する方法は複数あり(S400)、例えば画像選択(S410)、地図上の地点選択(S420)、距離・地名入力(S430)、建造物入力(S440)が挙げられる。画像選択以外の方法については、先の実施例で記載した画像検索方法と同様であるので説明を省略する。
【0110】
S410の画像選択の場合は、表示端末103が表示している画像に関連する情報を検索したい時に、当該画像を一時停止させる等して、表示画像を指定する。
【0111】
画像選択、地図上の地点選択、距離入力又は地名入力を行った場合は、入力した情報が属する地点ID135の属性情報を情報表示手段121に於いて表示する(S450)。又、入力した情報が属する地点ID135上に建造物がある場合は(S460)、その建造物の名称を表示し(S470)、更に建造物の属性情報を情報表示手段121に於いて表示する(S490)。入力した情報が属する地点ID135に建造物がない場合は、付近にある建造物を検索しその建造物の名称を情報表示手段121に於いて表示し(S480)、更に属性情報や距離も表示することが出来る(S490)。
【0112】
建造物入力を行った場合は(S440)、該当する建造物の属性情報を検索し、情報表示手段121に於いて表示する(S490)。
【0113】
【実施例5】
監視カメラ等により現在時刻に於ける画像を取り込んだり、画像を蓄積する場合の実施例を図20のシステム構成図を用いて説明する。尚、先の実施例に於いて説明したシステム構成と同一部分については説明を省略する。
【0114】
通常、空間把握システム101は道路、河川、鉄道路線沿いを連続的に構成するパノラマ画像を複数種類用意し、当該画像を画像データベース104に蓄積しておき、画像を検索したい時に画像検索手段107に於いて逐次検索を行うものであるが、当該道路、河川、鉄道路線沿い及び周辺のうち、特に重要とされる地点や、状況が日々変わりやすい地点等には、監視カメラ141等を予め設置しておく。この監視カメラ141は、周囲360度のパノラマ画像が撮影出来るカメラであるとより望ましい。
【0115】
監視カメラ141は無線又は有線で空間把握システム101に接続され、空間把握システム101は監視カメラ141から送られた撮影画像を画像取込み手段128に於いて取り込むことが出来るものである。尚、監視カメラ141が地図上のどの地点を撮影しているものかどうかの情報を、予め情報データベース105等に格納しておく必要がある。
【0116】
監視カメラ141を設置した地点周辺に於いて事故や災害が発生した場合は、直ちに監視カメラ141から撮影される映像を画像種類選択手段110に於いて選択し、画像再生手段125に於いて再生させることが可能である。又、パノラマ画像である場合は先の実施例に於いて記載したフローと同様に回転方向制御手段112に於いて見たい方向を設定出来る。
【0117】
状況が変わりやすい地点に監視カメラ141を設置しておいても良い。この場合、画像取込み手段128に於いて取り込んだ画像には逐次、撮影年月日等の情報を付加し画像データベース104に格納しておく。これにより、画像種類選択手段110に於いて、撮影年月日毎の画像を表示させたり、画像データベース104内の画像情報の更新を行うことが出来る。
【0118】
本発明に於ける各手段、データベースは、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。又データベースの代わりにデータファイルであっても良いことは言うまでもなく、データベースとの記載にはデータファイルをも含んでいる。
【0119】
尚、本発明を実施するにあたり本実施態様の機能を実現するソフトウェアのプログラムを記録した記憶媒体をシステムに供給し、そのシステムのコンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによって実現し得る。
【0120】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラム自体が前記した実施態様の機能を実現することとなり、そのプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を当然のことながら構成することになる。
【0121】
プログラムを供給する為の記憶媒体としては、例えば磁気ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を使用することが出来る。又、プログラムをサーバ内に格納し、インターネット等のネットワークを介してコンピュータの記憶媒体にダウンロードさせても良い。
【0122】
又、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、上述した実施態様の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステムなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前記した実施態様の機能が実現される場合も含まれる。
【0123】
【発明の効果】
本発明により、状況を把握したい道路、河川、鉄道路線沿いを連続的に構成するパノラマ画像を用意し、パノラマ画像を画像処理することによって、任意の地点の画像を検索し、表示された複数種類の画像の向きを各々独立に変えることが出来、地図上に当該画像が相当する地点及び当該画像が表示している視野範囲を表示し、更に当該画像付近の建造物の情報を検索したり、逆に建造物を指定することによって当該建造物のある地点の画像を表示することが出来る。
【0124】
道路の管理に於いて、本発明により道路及び道路を含む空間全体を把握することが可能になり、より有効な災害対応が出来るようになる。例えば、山間部や傾斜地に於いて豪雨により斜面や盛土部分の土砂崩れや道路の陥没が発生した場合、現地から詳細災害報告が来る前に現地の形状や状況を全体的な視点及び局部的な視点の両方から把握することにより予め被災予測を立てることが出来る。詳細な災害報告がきてからは、災害前の貴重な資料としてパノラマ画像や視点や視野を含む地図を活用することが可能となる。又、現地に監視カメラを設置している場合は監視カメラから取り込んだ画像と、同地点に於ける災害前の画像を比較し、変化点を知ることが可能である。図7は土砂災害の画像の一例である。
【0125】
地震に備え、道路の被害予測を立てたり危険箇所の割り出しを行う場合、調査したい道路を空間把握システム内で走らせ、危険箇所になり得る地点については全方向から詳細に調べることが出来、その地点の付近にある建造物等の情報を検索出来る。その建造物等の周辺状況を確認したい場合は直ちに該当する画像にジャンプし、どんな建物か、ブロック塀等通行人に害を及ぼすものが歩道脇にないか、樹木の実態はどうか等を確認することが出来る。万が一の震災発生時は、視点視野が表示された地図と画像との連動により、瞬時に被害地の検索と状況把握が出来る。
【0126】
同じく道路管理に関して、平常時の許認可業務や苦情等も歩道や道路脇に関するものが多く、本発明により道路前方だけでなく人間の視覚により近い空間的全体的な状況把握が可能になる。都市部に於ける高架橋や高速道に於いては遮音壁等で道路全体が人工の道路施設で覆われていることも多い。こうした箇所にも本発明は管理業務支援に極めて有効である。図8は遮音壁の画像の一例である。又、管理の難しいトンネルに関しては、トンネル内部を360度撮影し、その画像を利用することでトンネル内部全体の状況把握も可能となる。
【0127】
道路事故については道路管理者以外にも多くの関係者が存在する。特に交差点に関しては、本発明により4方向とも1つの画像で見渡せるようになり、事故に関わる警察や損害保険会社等にとっては、調査及び報告書作成の貴重な手段となる。図9は交差点の画像の一例である。河川での水難事故や船舶事故、鉄道での踏切事故も同様である。
【0128】
道路に於いて自動車事故が発生した場合、事故現場を瞬時に特定し、現場周辺の建物等の情報を知ることが出来る。更に、自動車が事故を起こすまでの道路走行を事故を引き起こした自動車の視点や、道路全体を上空から見下ろした視点から同時にプレイバック(走行)することにより多面的な空間把握が可能であり、事故発生原因の解決や事故調査資料の作成にも役立つものである。
【0129】
河川管理業務に関しても、特に画像による管理を要する重要河川は道路より数倍広く、従来のビデオ画像では部分しか映らず有効な手段になり得なかったが、本発明により、河川全体の把握が可能となり、左右岸の堤防上を道路同様走行し、堤防の川側である川表と民家等がある川裏の様子全体を把握することが可能となり、堤防からの漏水対策、河川占用や河川敷利用の管理業務に有効な手段となる。
【0130】
又、大きな河川や高速道路等の場合、川幅又は道路幅が広いだけでなく、河川に中州があったり、道路の中央分離帯が広く上りと下りの間が仕切られている時がある。この場合でも、パノラマ画像は従来の画像よりも有効な状況把握を可能とし、更には必要に応じて、河川の場合は河川全体の画像と左岸右岸の各画像を、道路の場合は上下線それぞれの画像を、同時に又は切替えて見ることにより、的確な状況把握が可能となる。
【0131】
鉄道管理業務に関しても、騒音や振動問題等単に軌道部だけでなく、軌道周囲の状況を把握する必要がある。本発明に於いて、軌道周辺の住宅状況等、鉄道空間を広く把握することが可能となる。又、一般からの意見や苦情処理業務の効率化を図ることが可能となる。
【0132】
広く普及してきたカーナビゲーションシステムに於いても、本発明のパノラマ画像と地図により、道路周辺の施設の紹介を臨場感を持った画像で紹介することが可能となり、複雑な交差点や高速道路の出入り口等では、よりドライバーにわかりやすく親切なナビゲートが可能となる。
【0133】
空間把握システムは事故、災害時等の現場把握に利用出来るだけでなく、一般ユーザ向けに様々な道路、河川、鉄道路線を疑似散策体験するシステムとして提供することも可能である。特に鉄道分野に於いては、車窓風景を様々な角度より楽しんだり、同時に駅や周辺施設や踏切の情報を容易に得ることも可能であり、鉄道ファンに喜ばれるものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の空間把握システムの画面構成の一例を示す図である。
【図2】 制御コマンドの一例を示す図である。
【図3】 地図上の視点や視野を示す記号の一例を示す図である。
【図4】 視野方向コマンドの方向変換により視野方向が変わった場合の画面の一例を示す図である。
【図5】 上り車線と下り車線が分かれている場合の画面に表示されている地図上にそれぞれの視点と視野を表示した画面の一例を示す図である。
【図6】 カテゴリ選択による画像、情報検索と、距離入力による画像、情報検索コマンドの一例を示す図である。
【図7】 土砂災害現場の画像の一例を示す図である。
【図8】 高速道路の遮音壁がある箇所の画像の一例を示す図である。
【図9】 交差点に於ける画像の一例を示す図である。
【図10】 魚眼レンズを使ってパノラマ画像を撮影する方法を示す図である。
【図11】 本発明の空間把握システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図12】 画像処理手段のシステム構成の一例を示す図である。
【図13】 本発明の空間把握システムの画面構成の他の一例を示す図である。
【図14】 情報データベースと画像データベースに格納されているファイルの構成の一例を示す図である。
【図15】 本発明の空間把握システムのプロセスの流れの一例を示すフローチャート図である。
【図16】 進行方向設定コマンドの一例を示す図である。
【図17】 回転方向設定コマンドの一例を示す図である。
【図18】 任意の地点IDに属する画像の種類の概念の一例を示す図である。
【図19】 パノラマ画像から任意の角度の画像を抽出し、視点と視野を表示する概念の一例を示す図である。
【図20】 本発明の空間把握システムの他のシステム構成の一例を示す図である。
【図21】 本発明の空間把握システムのプロセスの流れの一例を示すフローチャート図である。
【図22】 本発明の空間把握システムのプロセスの流れの一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1:画像
2:制御コマンド群
3:地図
4:記号群
5:検索コマンド群
20:画像の進行方向制御コマンド
25:視野方向コマンド
26:下り車線用視野方向コマンド
27:上り車線用視野方向コマンド
40:視点記号
41:下り車線用視点記号
42:上り車線用視点記号
45:画像視野表示記号
46:下り車線用画像視野表示記号
47:上り車線用画像視野表示記号
101:空間把握システム
102:入力端末
103:表示端末
104:画像データベース
105:情報データベース
106:検索手段
107:画像検索手段
108:情報検索手段
109:画像制御手段
110:画像種類選択手段
111:進行方向選択手段
112、112a、112b:回転方向制御手段
115:表示手段
119:地図表示手段
120:視点視野表示手段
121:情報表示手段
122:画像処理手段
123:ファイル選択手段
124、124a、124b:画像変換手段
125、125a、125b:画像再生手段
126:画像編集手段
127:地図種類選択手段
128:画像取込み手段
130a、130b:画像
131:地図画面
132:制御コマンド画面
133:検索コマンド画面
134:情報表示画面
135:地点ID
136:パノラマ画像
137:角度
138:視点
139:視野距離
140:記号
141:監視カメラ
Claims (8)
- 道路、河川、鉄道その他の連続空間を連続的にパノラマ撮影することで得られた全方位連続画像を格納する画像データベースと、
前記全方位連続画像の地図上の位置情報を格納した情報データベースと、
前記画像データベースから必要とする画像を検索する画像検索手段と、
前記画像検索手段によって抽出された画像の回転方向の向きを設定し、0°〜360°までのパノラマ画像のうち、全方位画像から任意角度画像までの表示を、角度変更可能に設定する回転方向制御手段と、
前記回転方向制御手段によって設定された角度成分を持つ画像を抽出し表示できるように変換する画像変換手段と、
前記画像変換手段によって変換された画像の進行方向を設定する進行方向選択手段と、
前記進行方向選択手段によって設定された進行方向に従って前記変換された画像を前記地図上の位置情報の順番に従って再生する画像再生手段と、
前記画像再生手段により再生された画像を表示する表示端末とを有するパノラマ画像による道路や河川、鉄道の空間把握システムであって、
前記空間把握システムは、表示される画像種類を選択する画像種類選択手段と、
前記画像検索手段に於いて検索された1種類以上の画像の中から前記画像種類選択手段に於いて選択された種類の画像を抽出するファイル選択手段とを有することを特徴とするパノラマ画像による道路や河川、鉄道の空間把握システム。 - 請求項1の空間把握システムは、前記構成に加えて、
前記画像を撮影した地点を含む地図を表示する地図表示手段を有することを特徴とするパノラマ画像による道路や河川、鉄道の空間把握システム。 - 前記画像検索手段は、前記地図表示手段により表示された地図からの選択、基準となる地点からの距離入力、又は地名・建造物名等のキーワード入力のいずれかによる画像又は地図の検索が可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のパノラマ画像による道路や河川、鉄道の空間把握システム。
- 前記地図表示手段に於いて表示された地図上に、前記画像再生手段に於いて再生された1種類以上の画像の示す視点及び/又は視野を前記画像種類毎に表示する視点視野表示手段を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のパノラマ画像による道路や河川、鉄道の空間把握システム。
- 前記表示手段に於いて表示された画像又は前記画像再生手段に於いて再生された画像の、縮小、拡大、切り取り等の編集が可能な画像編集手段を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のパノラマ画像による道路や河川、鉄道の空間把握システム。
- 前記地図表示手段は、表示される地図の種類を選択する地図種類選択手段を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の空間把握システム。
- 前記情報データベースは、前記全方位連続画像が撮影された付近の情報を格納し、前記情報データベースから必要とする情報を検索する情報検索手段と、前記情報検索手段に於いて検索された情報を表示する情報表示手段とを有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のパノラマ画像による道路や河川、鉄道の空間把握システム。
- 監視カメラによってパノラマ撮影されることで得られた全方位連続画像を取り込む画像取込み手段を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のパノラマ画像による道路や河川、鉄道の空間把握システム。
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