以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図12および図13は、本発明を適用したシリンダ錠191の外観の例を示している。図12は、シリンダ錠191の前端部側の外観の斜視図である。図13は、シリンダ錠191の後端部側の外観の斜視図である。
シリンダ錠191の、外周シリンダ201の内側には、正規の鍵が挿入された場合に、鍵と共に回動する内周シリンダ203が設けられている。内周シリンダ203が外周シリンダ201に配置された状態において、内周シリンダ203に設けられた、鍵が挿入される鍵穴203aは、外周シリンダ201から外部に露出する。
また、外周シリンダ201の後部には、シリンダ錠191を固定するための取り付けフランジ201aが設けられている。取り付けフランジ201aの上側および下側にそれぞれ、取り付け用のネジなどを貫通させる取り付け用孔202−1および202−2が設けられている。
外周シリンダ201の背面には、背面カバー213が嵌着されている。リセットボタン211を押圧できるように、外周シリンダ201の背面からリセットボタン211、およびジョイントカム212の一部が露出するように、リセットボタン211、およびジョイントカム212が設けられている。ジョイントカム212は、背面カバー213のジョイントカム用孔213aを貫通している。また、ジョイントカム212には、図示せぬ施錠カムが取り付けられる軸部212a、および凸部212bが設けられている。すなわち、外周シリンダ201は、シリンダ錠191において、内周シリンダ203、および各構成部品を保持するケースとなる。
図14は、シリンダ錠191を、鍵穴203aが正面となるような位置からみた外観を表す図であり、図15は、図14に示されるシリンダ錠191を、側面からみた外観を表す図である。
次に、図16乃至図18を参照して、シリンダ錠191の構造を説明する。図16は、シリンダ錠191の構成を示す斜視図である。図17は、シリンダ錠191の縦断面図である。図18は、図17のA−A線におけるシリンダ錠191の縦断面図である。
開閉プレート231−1乃至231−8のそれぞれは、その内周シリンダ203に対する位置によって、内周シリンダ203の回動を可能にするか、または回動を抑制するように動作する。開閉プレート231−1乃至231−8はそれぞれ、後述する係合穴によってタンブラプレート233−1乃至233−8と係合する。
開閉プレート用バネ232−1乃至232−8のそれぞれは、一方の端部が開閉プレート231−1乃至231−8に当接し、他方の端部がバネカバー235に当接するように設けられている。そして、開閉プレート231−1乃至231−8を、シリンダ錠191に挿入された鍵の位置決め面に当接するように、付勢する。図17に示されるように、開閉プレート231−1乃至231−8および開閉プレート用バネ232−1乃至232−8は、それぞれ、内周シリンダ203の開閉プレート用孔281a乃至281hのそれぞれに挿入される。
バネカバー235の孔235aは、内周シリンダ203の凸部291aに嵌合され、バネカバー235の孔235bは、内周シリンダ203の凸部291bに嵌合されることにより、バネカバー235は、内周シリンダ203に固定される(図17)。
サイドバー251は、サイドバー用バネ252−1および252−2によって、外周シリンダ201の内面に押圧される。サイドバー251には、凸部251aおよび傾斜面を有する凸部251b(以下、単に凸部251bと称する)が設けられている。サイドバー251は、外周シリンダ201の凹部201dと噛み合うか、またはその噛み合いが外れることにより、外周シリンダ201に対する内周シリンダ203の回動を規制する。
図18に示されるように、サイドバー251は、サイドバー用孔274に沿って、図中左右の方向に移動可能な構造とされている。シリンダ錠191が開錠可能となる状態においては、サイドバー251の凸部251aは、タンブラプレート233−4の凹部233−4aに嵌合することにより、外周シリンダ201の傾斜面を有する凹部201d(以下、単に凹部201dと称する)とサイドバー251の凸部251bとの嵌合が解除され、内周シリンダ203は回動可能となる。
一方、シリンダ錠191が施錠された状態においては、サイドバー251の凸部251aは、233−1乃至233−8いずれかの、凹部233−1a乃至233−8aの以外の側面(図15中の左側の側面)に当接することにより、外周シリンダ201の凹部201dとサイドバー251の凸部251bとの嵌合は解除されず、内周シリンダ203は回動不可能となる。
なお、サイドバー251は、サイドバー用バネ252−1および252−2(図16)により、通常、サイドバー251の凸部251bが、外周シリンダ201の凹部201dと嵌合する方向、すなわち図中左方向に付勢されている。
図17に示されるように、リセットボタン211は、図中の上下方向に移動可能に設けられている。リセットボタン211の凸部211aが、ジョイントブロック242に当接しており、ジョイントブロック242に当接し、ジョイントブロック242、およびリセットボタン211を図中の上側に付勢するリセット用バネ243が、内周シリンダ203の孔281jに配置されている。なお、リセットボタンの詳細については、図41を参照して後述する。
完全挿入確認バネ311は、その尖端部311aがバネとなっており、尖端部311aが内周シリンダ203の鍵穴203aに係合する形状とされ、鍵が完全に挿入されていない場合、尖端部311aが鍵穴203aを掛止し、鍵が完全に挿入された場合、尖端部311aと鍵穴203aの掛止が解除されるように装着される。なお、完全挿入確認バネ311の詳細は図24乃至図33を参照して後述する。
このように、正規の鍵が挿入された場合、ジョイントカム212と共に内周シリンダ203の回動が可能となり、正規の鍵が挿入されていない場合、内周シリンダ203の回動ができないように、シリンダ錠191は構成されている。
また、正規の鍵が挿入され、リセットボタン211が押圧された場合、ジョイントカム212が外周シリンダ201に対して固定されたままで、内周シリンダ203の回動が可能になる。
次に、図19A、図19B、図20A、および図20Bを参照して、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4の関係について詳細に説明する。上述したように、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4は係合する。このため、開閉プレート231−4の図中右側の上部には、3つの穴により構成される係合穴231−4aが設けられており、図中右側の下部には、やはり3つの穴で構成される係合穴231−4bが設けられている。一方、タンブラプレート233−4には、係合穴231−4aのいずれか1つの穴に係合する径をもつ係合ピン233−4b、および係合穴231−4bのいずれか1つの穴に係合する径をもつ係合ピン233−4cが設けられている。
従って、係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cが、それぞれ係合穴231−4aおよび係合穴231−4bのいずれか1つの穴に係合することにより、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4が係合する。そして、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4が係合することにより、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4の図中上下方向の位置が決まる。
図19Bは、このように構成される開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4を備えるシリンダ錠191の断面図である。
図19Aにおいては、係合穴231−4aおよび係合穴231−4bが、それぞれ独立した3つの穴で構成されるようにしたが、実際には、係合穴231−4aおよび係合穴231−4bを、それぞれ、図20Aに示されるように構成してもよい。
図20Aにおいて、係合穴231−4aおよび係合穴231−4bは、それぞれ独立した3つの穴ではなく、第1番目(図中最上部)の穴の下部と第2番目(図中中間)の穴の上部が当接し、また、第2番目(図中中間)の穴の下部と、第3番目(図中最下部)の穴の上部が当接するように構成されている。
すなわち、図20Aの係合穴231−4aおよび係合穴231−4bは、図19Aに示される、それぞれの3つの穴を、図中縦方向に近接させたものであり、このように係合穴231−4aおよび係合穴231−4bを構成することにより、開閉プレート231−4を、図19Aの場合と比較して、さらに小型化することができる。また、係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cは、やはり、それぞれ係合穴231−4aおよび係合穴231−4bのいずれか1つの穴に係合するので、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4の図中上下方向の位置を決めることができる。
ここでは、開閉プレート231−4およびタンブラプレート233−4を例として説明したが、開閉プレート231−1乃至231−3、および開閉プレート231−5乃至231−8、並びにタンブラプレート233−1乃至233−3、およびタンブラプレート233−5乃至233−8も、それぞれ開閉プレート231−4およびタンブラプレート233−4と同様に構成されている。
図20Bは、このように構成される開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4を用いて構成される、シリンダ錠191の断面図である。
同図に示されるように、上述した係合穴231−4aおよび係合穴231−4b、並びに係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cによって、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4が係合しており、タンブラプレート233−4の凹部233−4aの図中上下方向の高さが、サイドバー251の凸部251aの図中上下方向の高さと一致している。これは、鍵穴203aに挿入された鍵の形状に従って、開閉プレート231−4が図中上下方向に移動し、開閉プレート231−4に係合しているタンブラプレート233−4が、開閉プレート231−4の移動に伴って、図中上下方向に移動した結果であり、鍵の形状によっては、凹部233−4aの図中上下方向の高さが、凸部251aの図中上下方向の高さと一致しない場合もある(鍵の形状については、図22を参照して後述する)。
上述したように、係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cが、それぞれ係合穴231−4aおよび係合穴231−4bのいずれか1つの穴に係合することにより、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4が係合し、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4の図中上下方向の位置が決まる。従って、鍵を挿入したとき、凹部233−4aの図中上下方向の高さを、凸部251aの図中上下方向の高さと一致させるためには、鍵の形状に合わせて、係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cを、それぞれ係合穴231−4aおよび係合穴231−4bのどの穴に係合させるかを決定する必要がある(係合ピン233−1b乃至233−8bおよび係合ピン233−1c乃至233−8c、並びに係合穴231−1a乃至231−8aおよび係合穴231−1b乃至231−8bも、全て同様)。
すなわち、係合ピン233−1b乃至233−8bおよび係合ピン233−1c乃至233−8cを、それぞれ係合穴231−1a乃至231−8aおよび係合穴231−1b乃至231−8bのどの穴に係合させるかが、シリンダ錠191を開施錠する鍵を特定する、キーコードとなる。
図21を参照して、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4に加えて、サイドバー251の関係を詳細に説明する。サイドバー251は、タンブラプレート233−4が嵌合するタンブラプレート用孔251cを有しており、タンブラプレート233−4は、タンブラプレート用孔251cに嵌合し、タンブラプレートの面233−4dが、タンブラプレート用孔251cに隣接するサイドバー251の凸部251dの図中左側の面と当接するように構成されている。そして、サイドバー251が、矢印452の方向に移動することにより、タンブラプレート233−4の凹部233−4aと、サイドバー251のタンブラプレート用孔251cの中に設けられた凸部251aが嵌合する。
すなわち、サイドバー251は、矢印452の方向に移動することができるように構成されており、その場合、タンブラプレート233−4の位置は変化しない。また、サイドバー251が矢印451の方向にも移動することができるように構成されており、その場合、タンブラプレート用孔251cに嵌合しているタンブラプレート233−4もサイドバー251の移動に伴って、矢印451の方向に移動する。
換言すれば、タンブラプレート233−4(タンブラプレート233−1乃至233−8)は、開閉プレート231−4(開閉プレート231−1乃至231−8)の移動に伴って図中上下方向に移動可能であり、サイドバー251の移動に伴って、矢印451の方向、すなわち、シリンダ錠191の鍵の挿入方向にも移動可能となるように構成されている。
上述したように、係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cがそれぞれ係合穴231−4aおよび係合穴231−4bのいずれか1つの穴に係合するので、開閉プレート231−4の面231−4dとタンブラプレート233−4の面233−4dが当接するように、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4は係合している。
サイドバー251が矢印451の方向に移動する場合、タンブラプレート用孔251cに嵌合しているタンブラプレート233−4は、サイドバー251の移動に伴って、矢印451の方向に移動するが、開閉プレート231−4は、図17を参照して上述したように、内周シリンダ203の開閉プレート用孔281dに挿入されて固定されているため移動しない。このため、サイドバー251が矢印451の方向に移動すると、タンブラプレート233−4の面233−4dは、開閉プレート231−4の面231−4dから離れ、その結果、係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cと、係合穴231−4aおよび係合穴231−4bとの係合が解除される。
このように、係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cと、係合穴231−4aおよび係合穴231−4bとの係合を解除する(係合ピン233−1b乃至233−8bおよび係合ピン233−1c乃至233−8c、並びに係合穴231−1a乃至231−8aおよび係合穴231−1b乃至231−8bも、全て同様)ことで、シリンダ錠191のキーコードをリセットすることができる。
なお、同図に示されているように、実際には、係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cは、それぞれその尖端部分が序々に細くなるような傾斜を有する構成とされる。また、係合穴231−4aおよび係合穴231−4bは、それぞれその上部(面231−4d側)が序々に広くなるような傾斜を有する構成とされる。このように構成することにより、係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cの位置が、それぞれ係合穴231−4aおよび係合穴231−4bのいずれか1つの穴の位置に、正確に一致していなくても、係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cが、それぞれ係合穴231−4aおよび係合穴231−4bのいずれか1つの穴に、よりスムーズに係合するようにできる。
このように、本発明のシリンダ錠191においては、係合ピン233−1b乃至233−8bおよび係合ピン233−1c乃至233−8cを、それぞれ係合穴231−1a乃至231−8aおよび係合穴231−1b乃至231−8bと係合させたり、または係合を解除させることにより、簡単にキーコードを設定、またはリセットできる。
次に図22を参照して、シリンダ錠191に挿入される鍵K3の例を説明する。図22は、鍵K3の外観の例を示す斜視図である。鍵K3は、ユーザが鍵K3を回動させる場合に、保持する保持部411、およびシリンダ錠191に挿入する挿入部412により構成されている。挿入部412には、3段階の深さ(高さ)を有するすり鉢形状の孔として位置決め面421乃至428が設けられている。位置決め面421乃至428の3段階の深さ(高さ)の組み合わせにより、鍵K3のキーコードが特定される。
なお、位置決め面421乃至428は、シリンダ錠191に挿入された場合、内周シリンダ203に対する、タンブラプレート233−1乃至233−8のそれぞれの位置を決めることができれば足り、すり鉢形状に限られない。
図23を参照して、正規の鍵K3が挿入されたシリンダ錠191について説明する。図23は、鍵K3が挿入されたシリンダ錠191の縦断面図である。同図に示されるように、シリンダ錠191に鍵K3が挿入されると、開閉プレート231−1乃至231−8のそれぞれは、位置決め面421乃至428のそれぞれに当接することによって、3段階の位置(高さ(図23中の縦方向))のうちの1つの位置に移動する。
また、同図においては、完全挿入確認バネ311の記載が省略されているが、シリンダ錠191に鍵K3が完全に挿入されると、鍵K3の挿入部412の尖端部が完全挿入確認バネ311の尖端部311aに当接する。
図24乃至図28を参照して、完全挿入確認バネ311と鍵K3の関係について詳細に説明する。図24は、完全挿入確認バネ311の、内周シリンダ203またはジョイントカム212に対する取り付け位置を表す斜視図である。同図に示されるように、完全挿入確認バネ311は、内周シリンダ203とジョイントカム212の間に挿入される。上述したように、完全挿入確認バネ311は、その尖端部311aがバネとなっており、通常(鍵K3が完全に挿入されていない場合)、尖端部311aが内周シリンダ203の鍵穴203aに入り込むように、バネ(尖端部311a自身)により付勢されている。
図25は、完全挿入確認バネ311が装着されたシリンダ錠191の縦断面図である。なお、同図は、図23と同様の縦断面図であるが、図25において、内周シリンダ203は、図23の状態から180°回転した状態とされており、これに伴って、開閉プレート231−1乃至231−8などが図中下側に表示されている。
図26は、図25における完全挿入確認バネ311の周辺(図中円で囲まれた部分)を拡大した図である。同図に示されるように、完全挿入確認バネ311が、内周シリンダ203とジョイントカム212の間に装着されており、尖端部311aは、内周シリンダ203の鍵穴203aに係合するため、バネにより付勢されて内周シリンダ203の内部(図中左側)に突出している。この状態では、内周シリンダ203は、完全挿入確認バネ311により掛止(ロック)されるため、ジョイントカム212に対して相対的に回転できない。
図27は、図25のシリンダ錠191に鍵K3が挿入された状態を表す縦断面図である。同図に示されるように鍵K3の挿入部412が挿入されると、挿入部412の尖端部が完全挿入確認バネ311の尖端部311aと当接する。
図28は、図27における完全挿入確認バネ311の周辺(図中円で囲まれた部分)を拡大した図である。同図に示されるように、完全挿入確認バネ311の尖端部311aは、挿入部412の尖端部によって図中右方向に押圧されて、内周シリンダ203の内部に突出しない状態になっている。すなわち、尖端部311aと、内周シリンダ203の鍵穴203aのロックが解除された状態となっている。この状態であれば、内周シリンダ203は、完全挿入確認バネ311によるロックが解除されるため、ジョイントカム212に対して相対的に回転できる。
また、上述したように、完全挿入確認バネ311の尖端部311aは、図中左から挿入される鍵の挿入部412の尖端部により、図中右方向に押圧されるようになっている。従って、シリンダ錠191に対して、鍵412を完全に(図中右方向一杯に)挿入しないと、尖端部311aと、内周シリンダ203の鍵穴203aの係合は解除されない。このため、挿入部412を中途半端に挿入しても、完全挿入確認バネ311によるロックが解除されず、内周シリンダ203は、ジョイントカム212に対して相対的に回転できない。
このように、シリンダ錠191は、鍵K3が完全に挿入された場合、内周シリンダ203が回転するように構成されている。このように構成することで、例えば、ピッキングなどによりシリンダ錠191が不正に開錠されることを抑止し、また、キーコードを変更するとき、鍵が完全に挿入されていない状態で、その形状が誤って認識され、誤ったキーコードが登録されることを抑止することができる。
この例では、完全挿入確認バネ311の尖端部311aと、挿入部412の尖端部が当接するようにシリンダ錠191が構成されているが、完全挿入確認バネ311の尖端部311aを覆うボタンを設けて、このボタンと、挿入部412の尖端部が当接するようにシリンダ錠191を構成してもよい。図29乃至図33は、完全挿入確認ボタン312を設けた場合の、完全挿入確認バネ311と鍵K3の関係を表す図である。
図29は、完全挿入確認バネ311と完全挿入確認ボタン312の、内周シリンダ203またはジョイントカム212に対する取り付け位置を表す斜視図である。同図は、図24に対応する図であるが、図24の場合と異なり、完全挿入確認バネ311と、内周シリンダ203の間に、完全挿入確認ボタン312が装着されている。そして、鍵K3が完全に挿入されていない場合、完全挿入確認ボタン312が内周シリンダ203の鍵穴203aに係合するように、バネにより付勢されている。
図30は、図25に対応する縦断面図であり、図31は、図30の完全挿入確認ボタン312の周辺(図中円で囲まれた部分)を拡大した図である。
図31に示されるように、完全挿入確認バネ311は、内周シリンダ203とジョイントカム212の間に装着されており、尖端部311aを覆う完全挿入確認ボタン312は、内周シリンダ203の鍵穴203aに係合するため、バネ(尖端部311a)により付勢され、内周シリンダ203の内部(図中左側)に突出している。この状態では、内周シリンダ203は、完全挿入確認ボタン312によりロックされるため、ジョイントカム212に対して相対的に回転できない。
図32は、図30のシリンダ錠191に鍵K3の挿入部412が挿入された状態を表す縦断面図である。同図に示されるように挿入部412が挿入されると、挿入部412の尖端部が完全挿入確認ボタン312と当接する。
図33は、図32における完全挿入確認ボタン312の周辺(図中円で囲まれた部分)を拡大した図である。同図に示されるように、完全挿入確認ボタン312は、図中左方向から挿入される鍵の挿入部412の尖端部により図中右方向に押圧され、挿入部412の尖端部と当接する面が、内周シリンダ203の図中右端の面とほぼ同等の位置となるまで、図中右側に移動している。すなわち、完全挿入確認ボタン312と、内周シリンダ203の鍵穴203aの係合が解除された状態となっている。この状態であれば、内周シリンダ203は、完全挿入確認ボタン312によるロックが解除されるため、ジョイントカム212に対して相対的に回転できる。
このように構成することで、図24を参照して上述した場合と同様に、シリンダ錠191が不正に開錠されることを抑止し、また、キーコードを変更するとき、誤ったキーコードが登録されることを抑止することができるとともに、鍵が完全に挿入されたか否かをより正確に検知することができる。
鍵K3が挿入されたときのシリンダ錠191の内部の状態について、さらに詳細に説明する。図34A、図34B、および図34Cのそれぞれは、図23のC−C線、D−D線、およびE−E線におけるシリンダ錠191の縦断面図である。
図34Aで示されるように、開閉プレート231−3が鍵K3の挿入部412の位置決め面423に当接されることで、開閉プレート231−3を図中下方向に付勢するバネ232−3が縮み、開閉プレート231−3が図中上方向に移動すると共に、開閉プレート231−3と係合しているタンブラプレート233−3の図中上下方向の位置も位置決めされる。すなわち、開閉プレート231−3は、鍵K3の形状に応じて位置決め面423の位置が変化する方向である図34Aの上下方向に移動可能となるように設けられており、タンブラプレート233−3は、係合ピン233−3bおよび233−3cが係合穴231−3aおよび231−3bにそれぞれ係合されているので、開閉プレート231−3の上下方向の位置を追従し、その位置が特定されるように設けられている。
開閉プレート231−3は、鍵K3の挿入部412の位置決め面のうち、最も低い位置決め面423に当接するが、タンブラプレート233−3の係合ピン233−3bおよび233−3cは、開閉プレート231−3の係合穴231−3aおよび231−3bのうち、最も高い位置の穴に係合しているので、タンブラプレート233−3は、位置決め面423に対してより高い位置に配置される。
その結果、タンブラプレート233−3の凹部233−3aの図中の上下方向の位置がサイドバー251の凸部251aの図中の上下方向の位置に一致する。
また、図34Bで示されるように、開閉プレート231−5が鍵K3の挿入部412の位置決め面425に当接して、図中の上方向に移動されることで、開閉プレート231−5と共に、開閉プレート231−5と係合しているタンブラプレート233−5も上方向に移動される。
開閉プレート231−5は、鍵K3の挿入部412の中間の高さの位置決め面425に当接するが、タンブラプレート233−5の係合ピン233−5bおよび233−5cは、開閉プレート231−5の係合穴231−5aおよび231−5bのうち、中間の高さの穴に係合しているので、タンブラプレート233−5は、位置決め面425に対して中間の高さの位置に配置される。
その結果、タンブラプレート233−5の凹部233−5aの図中の上下方向の位置がサイドバー251の凸部251aの図中の上下方向の位置に一致する。
さらに、図34Cで示されるように、開閉プレート231−7が鍵K3の挿入部412の位置決め面427に当接して、図中の上方向に移動されることで、開閉プレート231−7と共に、開閉プレート231−7と係合しているタンブラプレート233−7も上方向に移動される。
開閉プレート231−7は、鍵K3の挿入部412の最も高い位置決め面427に当接するが、タンブラプレート233−7の係合ピン233−7bおよび233−7cは、開閉プレート231−7の係合穴231−7aおよび231−7bのうち、最も低い位置の穴に係合しているので、タンブラプレート233−7は、位置決め面427に対してより低い位置に配置される。
その結果、タンブラプレート233−7の凹部233−7aの図中の上下方向の位置がサイドバー251の凸部251aの図中の上下方向の位置に一致する。
以上、タンブラプレート233−3,233−5および233−7について説明したが、タンブラプレート233−1,233−2,233−4,233−6、および233−8も同様に、その凹部233−1a,233−2a,233−4a,233−6a、および233−8aの位置がサイドバー251の凸部251aの位置に一致する。すなわち、シリンダ錠191は、正規の鍵K3の挿入部412の形状(位置決め面421乃至428の高さ)に合わせてキーコードが設定されているので、鍵K3が挿入された場合、各タンブラプレートの凹部の位置が全てサイドバー251の凸部251aの位置と一致する。従って、サイドバー251の凸部251aは、内周シリンダ203を回動してシリンダ錠191を開錠する際には、タンブラプレート233−1乃至233−8の凹部233−1a乃至233−8aに挿入されることになる。
次に、図35乃至図39を参照して、シリンダ錠191の開錠の詳細について、順を追って説明する。図35は、鍵K3が挿入されていない状態の、図17のA−A線におけるシリンダ錠191の縦断面図である。同図に示されるように、シリンダ錠191には鍵K3の挿入部412が挿入されていないため、開閉プレート231−4は、挿入部412の位置決め面と当接しておらず、開閉プレート用バネ232−4によって、図中下方向に付勢され、開閉プレート231−4と共に、開閉プレート231−4と係合しているタンブラプレート233−4も下方向に付勢されている。その結果、タンブラプレート233−4の凹部233−4aの図中の上下方向の位置とサイドバー251の凸部251aの図中の上下方向の位置が一致していない。
図36は、このときのサイドバー251、開閉プレート231−4、およびタンブラプレート233−4の位置の関係を表す斜視図である。同図においては、タンブラプレート用孔251cの中で、タンブラプレート233−4の凹部233−4aの上下方向の位置とサイドバー251の凸部251aの上下方向の位置が一致しない状態となっており、サイドバー251は、開閉プレート231−4、およびタンブラプレート233−4に対して、後述する図39の場合と比較して、遠い位置にある(離れている)。
次に、シリンダ錠191に鍵K3が挿入されると、図37に示されるように、開閉プレート231−4が鍵K3の挿入部412の位置決め面424に当接して、図中の上方向に移動されることで、開閉プレート231−4と共に、開閉プレート231−4と係合しているタンブラプレート233−4も上方向に移動される。その結果、タンブラプレート233−4の凹部233−4aの図中の上下方向の位置がサイドバー251の凸部251aの図中の上下方向の位置に一致する。
上述したように、正規の鍵K3が完全に挿入されると、タンブラプレート233−4に限らず、タンブラプレート233−1乃至233−8の全てがそれぞれ移動され、タンブラプレート233−1乃至233−8の凹部233−1a乃至233−8aの図中の上下方向の位置が、全てサイドバー251の凸部251aの図中の上下方向の位置に一致する。
この状態で、ユーザが鍵K3を図中時計回りに回動させると、サイドバー251(の凸部251b)は、外周シリンダ201(凹部201d)の形状に沿って、図中右方向に緩やかに押圧される。そして、サイドバー251が右方向に移動して、凸部251aがタンブラプレートの凹部233−1a乃至233−8aに挿入されることになる。
すなわち、図38に示されるように、鍵K3が回動されることで、外周シリンダ201の凹部201dとサイドバー251の凸部251bとの嵌合が解除される(内周シリンダ203が外周シリンダ201に対して回動する状態になる)。
このとき、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4が係合する部分である係合穴231−4aおよび係合穴231−4bと係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cには、図中上下方向に、互いに相反する方向に力がかかる(負荷がかかる)が、係合穴231−4aおよび係合穴231−4bと係合ピン233−4bおよび係合ピン233−4cは、前後方向(図中奥行方向)に係合するように構成されているので、回動中に係合が外れる可能性は低く、その結果シリンダ錠191の耐久性が向上する。
図39は、このときのサイドバー251、開閉プレート231−4、およびタンブラプレート233−4の位置の関係を表す斜視図である。同図においては、タンブラプレート用孔251cの中で、タンブラプレート233−4の凹部233−4aの上下方向の位置とサイドバー251の凸部251aの上下方向の位置が一致した状態となっており、サイドバー251の凸部251aがタンブラの凹部233−1a乃至233−8aに挿入されたため、サイドバー251は、開閉プレート231−4、およびタンブラプレート233−4に対して、図36の場合と比較して近接している。
このように、シリンダ錠191は、正規の鍵K3を完全に挿入し、回動させることで開錠することができる。シリンダ錠191の開錠を制御する部品は、主に、サイドバー251、開閉プレート231−1乃至231−8、およびタンブラプレート233−1乃至233−8なので、従来のシリンダ錠に比べて部品数が少なく、シリンダ錠191を、簡単かつ耐久性の高い構造にすることができる。
一方、正規の鍵K3が完全に挿入されていない場合、シリンダ錠191を開錠することはできない。すなわち、正規の鍵以外の鍵を挿入したり、正規の鍵K3の挿入が完全でないような(鍵K3を中途半端に挿入したような)場合、図40に示されるように、開閉プレート231−4が挿入された鍵の位置決め面に当接して、図中の上方向に移動されることで、開閉プレート231−4と共に、開閉プレート231−4と係合しているタンブラプレート233−4も上方向に移動されるものの、タンブラプレート233−4の凹部233−4aの図中の上下方向の位置がサイドバー251の凸部251aの図中の上下方向の位置に一致しない状態になる。
なお、図40において、シリンダ錠191には正規の鍵K3以外の鍵が挿入されており、開閉プレート231−4は、その鍵の位置決め面(位置決め面424とは、図中上下方向の位置が異なる位置決め面)と当接しているものとする。
この状態で、鍵を回動しようとすると、サイドバー251(の凸部251b)は、上述した場合と同様に、外周シリンダ201(凹部201d)の形状に沿って、図中右方向に緩やかに押圧されるが、凸部251aが、タンブラプレート233−4の凹部233−4aのやや上の部分に当接してしまい、サイドバー251は、図中右側に移動することができない。従って、外周シリンダ201の凹部201dとサイドバー251の凸部251bとの嵌合が解除されず、鍵を回動させることはできない。
仮に、その鍵の開閉プレート231−4に対応する位置決め面の高さが、偶然適当な位置に設定されており、凹部233−4aの図中の上下方向の位置がサイドバー251の凸部251aの図中の上下方向の位置に一致したとしても、正規の鍵K3を完全に挿入しなければ、凹部233−1a乃至233−8aのいずれかのうち、少なくとも1つは、サイドバー251の凸部251aと、図中の上下方向の位置が一致しない状態になる。
従って、サイドバー251(の凸部251b)を図中右方向に押圧しても、タンブラプレート233−1乃至233−8のいずれかのうち、少なくとも1つは、サイドバー251の凸部251aと、その凹部233−1a乃至233−8a以外の部分で当接してしまい、サイドバー251の凸部251aが、タンブラの凹部233−1a乃至233−8aに挿入されず、外周シリンダ201の凹部201dとサイドバー251の凸部251bとの嵌合が外れることがないため内周シリンダ203は外周シリンダ201に対して回動することができないことになる。
このように、シリンダ錠191は、正規の鍵K3が完全に挿入されなければ、開錠できないように施錠されている。
次に、図41乃至図46を参照してシリンダ錠191のキーコードをリセットするリセット状態への移行について説明する。図41は、リセットボタン211を説明する図である。同図に示されるように、リセットボタン211は、図中の上下方向に移動可能に設けられている。リセットボタン211の凸部211aは、ジョイントブロック242に当接し、ジョイントブロック242に当接するリセット用バネ243は、内周シリンダ203の孔281jに配置される。リセット用バネ243は、ジョイントブロック242、およびリセットボタン211を図中の上側に付勢する。
リセットボタン211が図中の下方向に押圧されていない状態においては、ジョイントブロック242が、内周シリンダ203の孔281jに挿入され、嵌合されると共に、ジョイントブロック242は、ジョイントカム212の凹部212cと嵌合する。従って、リセットボタン211が図中の下方向に押圧されていない状態においては、内周シリンダ203にジョイントカム212が固定される。
一方、リセットボタン211が図中の下方向に押圧された場合、ジョイントブロック242が、図中の下方向に移動し、リセットボタン211がジョイントカム212に嵌合する。そして、ジョイントブロック242の上側の面と、ジョイントカム212の内周の面とが一致することにより、外周シリンダ201に対して、内周シリンダ203は回動自在となるとともに、ジョイントカム212は、外周シリンダ201に固定される。
図42Aは、正規の鍵K3が挿入され、リセットされていないシリンダ錠191について、図17の図中上方向からみた断面図である。図42Bは、図42AのF−F線におけるシリンダ錠191の縦断面図である。
図42Aに示されるように、開閉プレート231−1乃至231−8は、タンブラプレート233−1乃至233−8と係合されており、図42Bに示されるように、正規の鍵K3が挿入されることで、タンブラプレート233−4(タンブラプレート233−1乃至233−8も同様)は、タンブラプレート233−4の凹部233−4aの図中の上下方向の位置がサイドバー251の凸部251aの図中の上下方向の位置に一致するように位置決めされている。
シリンダ錠191をリセットする場合、リセットボタン211を押下した状態で、鍵K3を回動させる。すなわち、シリンダ191を開錠する場合と同様に、外周シリンダ201の凹部201dとサイドバー251の凸部251bとの嵌合が解除され、内周シリンダ203が外周シリンダ201に対して回動するが、シリンダ191を開錠する場合と異なり、リセットボタン211がジョイントカム212に嵌合しているため、ジョイントカム212は、外周シリンダ201に固定され、回動しない。
図43は、図42Aに示される状態から、リセットボタン211を押下して、鍵K3を180°回動させた状態を表す図である。同図においては、内周シリンダ203の回動に伴って、開閉プレート231−1乃至231−8、タンブラプレート233−1乃至233−8、およびサイドバー251も回動している。すなわち、図42Aにおいて、タンブラプレート233−1乃至233−8およびサイドバー251は、図中左側に表示されているが、図43において、タンブラプレート233−1乃至233−8およびサイドバー251は、図中右側に表示されている。なお、開閉プレート231−1乃至231−8は、図42Aの状態から、その上下が逆転した状態となっている。
サイドバー251は、サイドバー251の図43中上方向の端部に当接するように装着されたサイドバー前後移動用バネ252−3により図43中下方向に付勢される。さらにジョイントカム212は、図43中左側の端部212dに対して、図43中右側の端部212eの方が下方向に突出するように構成されており、ジョイントカム212の端部に、図43中上側の端部を当接させながら回動するサイドバー251は、サイドバー前後移動用バネ252−3とジョイントカム212端部212eにより図43中下方向に付勢され、サイドバー251全体が、図43中下方向に移動する。その結果、サイドバー251の図43中下側の端部251dが、外周シリンダ201の凹部201eに嵌合する。
このとき、図21を参照して上述したように、サイドバー251のタンブラプレート用孔251cに嵌合しているタンブラプレート233−1乃至233−8もサイドバー251の移動に伴って、図43中下方向に移動する。そして、タンブラプレート233−1乃至233−8の面233−1d乃至233−8dは、開閉プレート231−1乃至231−8の面231−1d乃至231−8dから離れ、係合ピン233−1b乃至233−8bおよび係合ピン233−1c乃至233−8cと、係合穴231−1a乃至231−8aおよび係合穴231−1b乃至231−8bとの係合が解除される。
図44A、図44B、図45A、および図45Bを参照して、サイドバー251の移動に伴って、開閉プレート231−1乃至231−8とタンブラプレート233−1乃至233−8の係合が解除される様子を説明する。
図44Aは、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4の係合が解除されていない状態の、サイドバー251の位置を表す斜視図である。同図において、サイドバー251(内周シリンダ203)は、その端部251dが、図43の外周シリンダ201の凹部201eに嵌合する位置まで回動されていないものとする。
図44Bは、図44Aを矢印491の方向からみた図である。同図に示されるように、タンブラプレート233−4の係合ピン233−4bおよび233−4cが開閉プレート231−4の係合穴231−4aおよび係合穴231−4bと係合し、その結果、開閉プレート231−4の面231−4dとタンブラプレート233−4の面233−4eとがほぼ当接している。
図45Aは、図44Aに示される状態から、内周シリンダ203がさらに回動され、サイドバー251の端部251dが、図43の外周シリンダ201の凹部201eに嵌合する位置となった状態を表す斜視図である。同図においては、サイドバー251が、矢印511で示される方向に移動しており、サイドバー251の移動に伴って、タンブラプレート233−4も矢印511で示される方向に移動している。これに対して、開閉プレート231−4は移動していない。
図45Bは、図45Aを図45Aの矢印492の方向からみた図である。同図に示されるように、サイドバー251の移動に伴って、タンブラプレート233−4も図中右方向に移動したため、開閉プレート231−4の面231−4dからタンブラプレート233−4の面233−4eが離れ、係合ピン233−4bおよび233−4cと、開閉プレート231−4の係合穴231−4aおよび係合穴231−4bとの係合が解除されている。
図44A、図44B、図45A、および図45Bにおいては、例として、開閉プレート231−4とタンブラプレート233−4との係合が解除される様子を説明したが、開閉プレート231−1乃至3とタンブラプレート233−1乃至3の係合、および開閉プレート231−5乃至8とタンブラプレート233−5乃至8の係合も同様にして解除される。
この状態で、鍵K3をシリンダ錠191から引き抜くと、リセットが完了する。
図46は、図43のG−G線におけるシリンダ錠191の縦断面図である。図46において、鍵K3はシリンダ錠191から引き抜かれたものとする。同図に示されるように、鍵K3が引き抜かれたことにより、開閉プレート231−4(開閉プレート231−1乃至231−8も同様)は、開閉プレート用バネ232−4により付勢され、図中上方向に移動する。一方、タンブラプレート233−4は、凹部233−4aがサイドバー251の凸部251aに嵌合して固定されているため移動しない。このとき、開閉プレート231−4は、係合穴231−4aおよび係合穴231−4bのいずれの穴の位置も、タンブラプレート233−4の係合ピン233−4bおよび233−4cの位置と一致しない状態となるまで、図中上方向に移動する。
このようにして、シリンダ錠191に設定されていた鍵K3に対応するキーコードがリセットされる。
次に、シリンダ錠191のキーコードを、新しい鍵K4に対応するキーコードに変更する操作について説明する。キーコードを変更する場合、鍵K3をシリンダ錠191から引き抜いた後、新しい鍵K4をシリンダ錠191に挿入し、鍵K4を回動させる。
図47Aは、図43に示される状態から、鍵K3が引き抜かれ、新しい鍵(例えば、鍵K4)が挿入された状態を表す図である。図47Bは、図47AのH−H線におけるシリンダ錠191の縦断面図である。図47Bに示されるように、鍵K4が挿入されたことにより、開閉プレート231−4(開閉プレート231−1乃至231−8も同様)が、鍵K4の所定の位置決め面に当接することにより図中下方向に移動する。この例では、開閉プレート231−4は、係合穴231−4aおよび係合穴231−4bの図中最も下側の穴の位置が、タンブラプレート233−4の係合ピン233−4bおよび233−4cの位置と一致する状態となるまで、図中下方向に移動している。
この状態で、鍵K4を反時計回り(時計回りでもよい)に回動させることによりシリンダ錠191のキーコードは変更される。図47Aにおいて、鍵K4を反時計回り(時計回りでもよい)に回動させるとき、サイドバー251は、外周シリンダの凹部201eの形状に従って、図中上方向に緩やかに押圧され、内周シリンダ203(鍵K4)の回動に伴って、図中上方向に移動する。これにより、図44A、図44B、図45A、および図45Bを参照して上述した場合とは逆に、サイドバー251の移動に伴って、開閉プレート231−1乃至231−8とタンブラプレート233−1乃至233−8が係合する。
図48Aは、図47Aに示される状態から、鍵K4(内周シリンダ203)を反時計回り(時計回りでもよい)に180°回動させた状態を表す図である。同図において、内周シリンダ203の回動に伴って、開閉プレート231−1乃至231−8、タンブラプレート233−1乃至233−8、およびサイドバー251も回動している。すなわち、図47Aにおいて、タンブラプレート233−1乃至233−8およびサイドバー251は、図中右側に表示されているが、図48Aにおいて、タンブラプレート233−1乃至233−8およびサイドバー251は、図中左側に表示されている。なお、開閉プレート231−1乃至231−8は、図47Aの状態からその上下が逆転した状態となっている。そして、サイドバー251が図中上方向に移動したことに伴って、開閉プレート231−1乃至231−8と、タンブラプレート233−1乃至233−8が、鍵K4の位置決め面に合わせた状態に係合されている。
また、リセット用バネ243の付勢力によってリセットボタン211が図41の上方向に戻り、再び内周シリンダ203とジョイントカム212がジョイントブロック242を介して固定される。
図48Bは、図48AのI−I線におけるシリンダ錠191の縦断面図である。同図に示されるように、鍵K4が挿入されたことで、タンブラプレート233−4(タンブラプレート233−1乃至233−8も同様)は、タンブラプレート233−4の凹部233−4aの図中の上下方向の位置がサイドバー251の凸部251aの図中の上下方向の位置に一致するように位置決めされている。すなわち、シリンダ錠191のキーコードが、新しい鍵K4に対応するキーコードに変更されている。
サイドバー251は、サイドバー左右移動用バネ252−1および252−2により図中左方向に付勢されるため、外周シリンダ201の凹部201dとサイドバー251の凸部251bが嵌合し、サイドバー251は、図中左の方向に移動する。これにより、サイドバー251の凸部251aとタンブラプレート233−4の凹部233−4aの嵌合が解除される。
この状態で、鍵K4をシリンダ錠191から引き抜くと、キーコードの変更が完了する。タンブラプレート233−1乃至233−8は、鍵K4の位置決め面に基づいて、その凹部233−1a乃至233−8aの図中の上下方向の位置がサイドバー251の凸部251aの図中の上下方向の位置に一致するように位置決めされているので、キーコードの変更が完了した後、シリンダ錠191は、鍵K4以外の鍵では開錠できないようになる。
このようにしてシリンダ錠191のキーコードが変更される。
次に、図49乃至図52を参照して、シリンダ錠191の中で、鍵が挿入される内周シリンダ203の内部構造の詳細について説明される。
図49は、内周シリンダ203の外観を表す図であり、図50は、図49の斜線で示される面551に沿って内周シリンダ203を切断した場合の断面図である。上述したように、ユーザは、鍵(例えば、鍵K3)を内周シリンダの鍵穴203aに挿入する。このとき、鍵K3の挿入部412は、その尖端が図中左側(シリンダ錠191において鍵穴203aが露出する側)から、図中右側(ジョイントカム212側)に向かって挿入される。なお、図50では、完全挿入確認バネ311の記載を省略している。
図51は、図50の内周シリンダ203の図中右側の端部付近(図中円で囲まれた部分)を拡大した図である。同図に示されるように、内周シリンダ203の内側の面(鍵K3の挿入部412と当接する側の面)におけるジョイントカム212側の図中上側に位置する端部203bは、図中右側に向かって下がる傾斜を有している。端部203bの傾斜は、鍵K3の挿入部412の尖端部の形状に合わせて形成されており、鍵K3が内周シリンダの鍵穴203aに完全に挿入されたとき、挿入部412の尖端部が端部203bと当接する。
また、図51には記載が省略されているが、端部203bと対面するように、内周シリンダ203の内側の面(鍵K3の挿入部412と当接する側の面)におけるジョイントカム212側の図中下側に位置する端部203cも、鍵K3の挿入部412の尖端部の形状に合わせて、図中右側に向かって上がる傾斜を有している。従って、鍵K3が内周シリンダの鍵穴203aに完全に挿入されたとき、挿入部412の尖端部が、端部203bと端部203cに挟まれるようにして止まる。
図52は、鍵K3が完全に挿入されたときのシリンダ錠191の断面図である。同図に示されるように、挿入部412の尖端部が、端部203bと端部203cに挟まれるように当接している。
内周シリンダ203の内部をこのように構成することで、完全に挿入された鍵K3は、挿入部412の尖端部が、端部203bと端部203cにより挟まれて止まるので、内周シリンダ203の中で、挿入部412の図中上下方向の高さが一定に保持される。その結果、開閉プレート231−1乃至231−8は、それぞれ挿入部412の所定の位置決め面と正確に当接し、シリンダ錠191の開施錠の動作の安定性を向上させることができる。
すなわち、内周シリンダ203の内側の面に設けられた端部203bと203cは、シリンダ錠191に挿入された鍵の振れを防止して、鍵の位置を安定させる振れ止め機構として機能する。
ところで、完全挿入確認バネ311、または完全挿入確認ボタン312を用いてシリンダ錠191に鍵が完全に挿入されたか否かを検知する方法については、図24乃至図33を参照して上述したが、シリンダ錠191に鍵が完全に挿入されたか否かをさらに別の方法で検知することもできる。図53は、シリンダ錠191に鍵が完全に挿入されたことを検知する完全挿入確認プレート313を用いて、シリンダ錠191を構成する例を示す図である。
図53に示されるように、内周シリンダ203の、ジョイントカム212と当接する面に近い位置(図中右側)に、完全挿入確認プレート用孔203dが設けられており、完全挿入確認プレート用孔203dに完全挿入確認プレート313が装着される。
完全挿入確認プレート用孔203dは、内周シリンダ203のジョイントカム212と当接する面に近い位置、すなわち、鍵K3が完全に挿入されたとき、挿入部412の尖端部と当接する端部203bと端部203cが位置する部分に、完全挿入確認プレート313を、鍵K3の挿入方向と直交する方向に装着できるように設けられている。完全挿入確認プレート用孔203dは、同図には示されていないが、内周シリンダ203を、図中下方向に向かって貫通している。完全挿入確認プレート313は、図中上側の端部313aが、挿入された鍵K3の挿入部412の尖端部と当接し、図中下側の端部313bが、内周シリンダ203を貫通して、外周シリンダ201の一部と係合するように装着される。
完全挿入確認プレート用バネ314は、その端部314aが内周シリンダの凹部203eに嵌合するように装着され、完全挿入確認プレート313を図中下方向に付勢する。
図54は、完全挿入確認プレート313が装着されたシリンダ錠191の縦断面図である。同図に示されるように、内周シリンダ203の端部203bにおいて、鍵穴203aの図中奥行方向の後ろ側(裏側)に設けられた完全挿入確認プレート用孔203dに装着された完全挿入確認プレート313の端部313aが、完全挿入確認プレート用バネ314により付勢されて図中下方向に向かって鍵穴203aの中に突出している。
図55は、図54のJ−J線におけるシリンダ錠191の縦断面図である。同図に示されるように、完全挿入確認プレート313は、完全挿入確認プレート用孔203dに沿って、図中上下方向(鍵K3の挿入方向と直交する方向)に移動可能となるように装着されている。完全挿入確認プレート313は、鍵K3が完全に挿入されていない場合、完全挿入確認プレート用バネ314により付勢されて図中下方向の端部313bが、外周シリンダ201に設けられた係合穴201eに係合し、図中上方向の端部313a(の一部)が、鍵穴203aの中に突出するように構成されている。この状態では、完全挿入プレート313の端部313bが外周シリンダ201の係合穴201eに係合してロックされているため、内周シリンダ203を、外周シリンダ201に対して回動させることができない。
シリンダ錠191に鍵K3が挿入されるとき、挿入部412が、図54の図中左方向から右方向に向かって挿入され、その尖端部を完全挿入確認プレート313の端部313aと当接させながら、尖端部が内周シリンダ203の端部203bと203cに当接するまで、さらに右方向に挿入されていく。その結果、完全挿入確認プレート313の端部313aは、挿入部412が図54中右方向に挿入されるのに伴って、図55(図54)中上方向に押圧され、完全挿入確認プレート313全体が、図55中上方向に移動する。
図56は、鍵K3が完全に挿入されたシリンダ錠191の縦断面図である。鍵K3の挿入部412の尖端部は、図中右側から左側に向かって序々に広がっていく傾斜を有する形状とされているので、最初に完全挿入プレート313の端部313aの図中下側に当接した挿入部412の尖端部は、図中右方向に挿入されていくとき、その形状(傾斜)に従って、端部313aを序々に図中上方向に押圧していく。そして、同図に示されるように、挿入部412の尖端部が内周シリンダ203の端部203bおよび203cと当接する位置まで、図中右方向に挿入されたことに伴い、完全挿入確認プレート313の端部313aは、挿入部412の尖端部によって押圧され、鍵穴203aの中に突出しない位置まで、
図中上方向に移動している。
図57は、図56のK−K線におけるシリンダ錠191の縦断面図である。同図に示されるように、挿入部412の尖端部によって、完全挿入確認プレート313の端部313aが押圧され、完全挿入確認プレート313全体が、矢印501の方向(図中上方向)に移動している。その結果、完全挿入プレート313の端部313bと外周シリンダ201の係合穴201eとの係合(ロック)が解除され、内周シリンダ203を回動させることができる。
シリンダ錠191をこのように構成することで、シリンダ錠191が不正に開錠されることを抑止し、また、鍵が完全に挿入されたか否かをより正確に検知することにより、キーコードを変更するとき、鍵が完全に挿入されていない状態のままキーコードが変更されて、誤ったキーコードが登録されることを抑止することができる。
上述したように、鍵が完全に挿入されたか否かは、完全挿入確認プレート313が、鍵K3の挿入部412の尖端部の傾斜に従って移動することにより検知される。鍵K3において挿入部412の尖端部の最も尖った部分(図56中最も右側に位置する部分)は、長い期間鍵K3を使用していると、摩耗して擦り減ってしまう恐れがある。従って、挿入部412の尖端部の最も尖った部分が摩耗するのに伴って、挿入部412の長さが短くなり、完全挿入確認バネ311または完全挿入確認ボタン312を用いても、鍵が完全に挿入されたか否かを正確に検知できなくなる恐れがある。そこで、長い期間鍵K3を使用しても、比較的摩耗するおそれが少ない挿入部412の尖端部の傾斜を利用して鍵が完全に挿入されたことを検知する。このようにすることで、摩耗した鍵が挿入された場合であっても、鍵が完全に挿入されたか否かを正確に検知することができる。
また、挿入部412の尖端部のみを利用して鍵が完全に挿入されたことを検知するようにしたことにより、鍵K3の挿入部412の位置決め面421乃至428のぞれぞれは全て、開閉プレート231−1乃至231−8の位置を特定するキーコードとして利用することができ、その結果、シリンダ錠191のセキュリティを低下させることなく、鍵が完全に挿入されたか否かを正確に検知することができる。
ところで、遊技場においてシリンダ錠により開施錠される遊技機としては、パチンコ台の他にも、いわゆるスロット遊技台が設置されている場合が多い。スロット遊技台は、メーカや機種によって、鍵の正面(鍵挿入口)が位置する正面扉の正面と、錠前がカム体を介して施錠開錠操作する竿(施錠開錠機構)との距離が異なっている場合が多い。このため、遊技場において使用されるシリンダ錠は、どのスロット遊技台にも利用できるように、その奥行方向の長さが可変であることが望ましい。
図58乃至図61は、奥行方向(鍵の挿入方向)の長さが可変になるように構成されたシリンダ錠192の外観の例を示している。図58は、シリンダ錠192の前端部側の外観の斜視図である。図59は、シリンダ錠192の後端部側の外観の斜視図である。
シリンダ錠192の外周のシリンダは、前部外周シリンダ200、後部外周シリンダ204、並びに図60及び図61を参照して後述する中部外周シリンダ206により構成されている。すなわち、前部外周シリンダ200、後部外周シリンダ204、および中部外周シリンダ206は、シリンダ錠192において、各構成部品を保持するケースとなる。
前部外周シリンダ200には、カシメピン取り付け穴331−1が設けられており、この図には示されてしないが、前部外周シリンダ200において、図中下側のカシメピン取り付け穴331−1と対向する位置にカシメピン取り付け穴331−2が設けられている。また、後部外周シリンダ204には、カシメピン取り付け穴332−1が設けられており、この図には示されてしないが、後部外周シリンダ204において、図中下側のカシメピン取り付け穴332−1と対向する位置にカシメピン取り付け穴332−2が設けられている。なお、カシメピンについては、図62を参照して後述する。
前部外周シリンダ200の内側には、正規の鍵が挿入された場合に、鍵と共に回動する内周シリンダ203が設けられている。内周シリンダ203が前部外周シリンダ200の内部に配置された状態において、内周シリンダ203に設けられた、鍵が挿入される鍵穴203aは、前部外周シリンダ200から外部に露出する。
後部外周シリンダ204の後部には、シリンダ錠192を固定するための取り付けフランジ204aが設けられている。取り付けフランジ204aの上側および下側にそれぞれ、取り付け用のネジなどを貫通させる取り付け用孔205−1および205−2が設けられている。
後部外周シリンダ204の背面には、背面カバー213が嵌着されている。また、必要に応じてリセットボタン211を押圧(押下)できるように、後部外周シリンダ204の背面からリセットボタン211、およびジョイントカム212の一部が露出するように、リセットボタン211、およびジョイントカム212が設けられている。ジョイントカム212は、背面カバー213のジョイントカム用孔213aを貫通している。さらに、ジョイントカム212には、図示せぬ施錠カムが取り付けられる軸部212aが設けられている。
図60および図61は、図58および図59のシリンダ錠192の奥行方向の長さを伸長させた場合の外観の例を示している。図60および図61においては、図58および図59と比較してシリンダ錠192の長さが奥行方向(鍵の挿入方向)に伸長されており、その結果、図58および図59においては、後部外周シリンダ204の内側に隠れていた中部外周シリンダ206が、前部外周シリンダ200と後部外周シリンダ204の間から外部に露出している。
図62は、シリンダ錠192の構成を示す斜視図である。同図に示されるように、前部外周シリンダ200の内部に内周シリンダ203が装着されるように構成されている。
内周シリンダ203の内部には、図16を参照して上述した場合と同様に、その内周シリンダ203に対する位置によって、内周シリンダ203の回動を可能にするか、または回動を抑制するように動作する、開閉プレート231−1乃至231−8およびタンブラプレート233−1乃至233−8(図示せず)が装着されており、必要に応じてシリンダ錠192(内周シリンダ203)の鍵のキーコードをリセットすることができる。また、内周シリンダ203の上部には開閉プレート用バネ232−1乃至232−8(図示せず)が当接するようにバネカバー235が装着されている。内周シリンダ203にはさらに、図53を参照して上述した完全挿入確認プレート313が装着されるようにしてもよい。なお、内周シリンダ203の構成は、上述したものに限られるものではなく、キーコードを変更できる構成をもつものであればよい。
また、内周シリンダ203の後部(図中右側)に当接するように、連結軸207が設けられている。連結軸207の前端部207aは、円形の面で構成されており、内周シリンダ203の後部と当接する。さらに、前端部207a上に設けられた凸部207bが、内周シリンダ203の後部にある凹部に係合し、連結軸207は、内周シリンダ203とともに回動するように構成されている。連結軸207の軸部207cは、円柱の外周部分に複数の凸部を有する形状とされており、その断面が出力軸208の軸穴208aと同じ形状となるように構成されている。
また、前部外周シリンダ200の後部(図中右側)には、中部外周シリンダ206が当接するように構成されている。中部外周シリンダ206の前部には、複数の凸部206bと、凸部206bに挟まれる凹部206cが設けられており、複数の凸部206bと、複数の凹部206cのそれぞれが、前部外周シリンダの後部の内側の面に設けられた凹凸に係合するように構成されている。さらに、中部外周シリンダ206の前部には、中部外周シリンダ206の外周に沿って枠(段差)206dが設けられており、枠206dにより、中部外周シリンダ206は、前部外周シリンダ200に対して前後方向(図中左右の方向)に位置決めされる。
また、中部外周シリンダ206の前部には、カシメピン取り付け用穴206a―1が設けられており、この図には示されてしないが、中部外周シリンダ206において、図中下側のカシメピン取り付け穴206a−1と対向する位置にカシメピン取り付け穴206a−2が設けられている。中部内周シリンダ206は、カシメピン351−1および351−2により前部外周シリンダ200に固定される。すなわち、カシメピン351−1および351−2のそれぞれは、前部外周シリンダ200のカシメピン取り付け穴331−1および331−2を貫通し、中部外周シリンダ206の前部に設けられたカシメピン取り付け穴206a―1および206a−2に係合するように構成されている。
なお、この図には示されていないが、カシメピン取り付け穴331−1および331−2は、それぞれ前部外周シリンダ200の内側の面に設けられた凸部を貫通するように設けられている。このように、前部外周シリンダ200の中で厚みを有する部分にカシメピン取り付け穴331−1および331−2を設けることで、カシメピン351−1および351−2は、前部外周シリンダ200(カシメピン取り付け穴331−1および331−2)によって強く保持(固定)され、その結果中部内周シリンダ206を後部外周シリンダ204に、より確実に固定することができる。
中部外周シリンダ206の枠206dの後ろ側(後部外周シリンダ204側)には、やはり複数の凸部206eと、凸部206eに挟まれる凹部206fが設けられており、複数の凸部206eと、複数の凹部206fのそれぞれが、後部外周シリンダ204の内側に設けられた凹凸に係合するように構成されている。
後部外周シリンダ204は、凹凸を有する内部の面に中部外周シリンダ206の外側の面、すなわち複数の凸部206eと、複数の凹部206fのそれぞれが当接するように構成されているが、一方で後部外周シリンダ204の内部に挿入された中部外周シリンダ206が完全に固定されない程度に、中部外周シリンダ206よりやや大きい径を有するように構成されている。すなわち、中部外周シリンダ206は、その外部の面を後部外周シリンダ204の内部の面に当接させながら、前後方向(鍵の挿入方向)に移動可能となる。
これにより、図60または図61に示されるように、シリンダ錠192の奥行方向の長さを伸長させたり、図58または図59に示されるように、シリンダ錠192の奥行方向の長さを短縮させることができる。
また、後部外周シリンダ204の前部には、カシメピン取り付け穴332−1、および後部外周シリンダ204において、カシメピン取り付け穴332−1と対向する位置にカシメピン取り付け穴332−2が設けられている。そして、中部内周シリンダ206は、カシメピン352−1および352−2により後部外周シリンダ204に固定される。すなわち、カシメピン352−1および352−2のそれぞれは、後部外周シリンダ204のカシメピン取り付け穴332−1および332−2を貫通し、中部外周シリンダ206の外部の面に当接し、押圧することにより、中部内周シリンダ206を後部外周シリンダ204に対して前後方向(鍵の挿入方向)の任意の位置に固定する。
なお、カシメピン取り付け穴332−1および332−2は、それぞれ後部外周シリンダ204の内側の面に設けられた凸部204bを貫通するように設けられている。このように、後部外周シリンダ204の中で厚みを有する部分にカシメピン取り付け穴332−1および332−2を設けることで、カシメピン352−1および352−2は、後部外周シリンダ204(カシメピン取り付け穴332−1および332−2)によって強く保持(固定)され、その結果中部内周シリンダ206を後部外周シリンダ204に対して前後方向の任意の位置に、より確実に固定することができる。
出力軸208は、前後方向(鍵の挿入方向)の長さが、後部外周シリンダ204の前後方向の長さとほぼ同じであり、後部外周シリンダ204の内部に挿入される。また、出力軸208の軸部208cは、中部外周シリンダ206の内部に挿入可能となるような径を有するように構成されている。
上述したように、出力軸208には、連結軸207の軸部207cの断面とほぼ同じ形状の軸穴208aが設けられており、連結軸207の軸部207cが軸穴208aに係合し、出力軸208は、連結軸207とともに回動するように構成されている。また、連結軸207の軸部207cは、出力軸208の内部に挿入され、出力軸208の内部において前後方向(鍵の挿入方向)に移動可能となるように構成されている。なお、連結軸207と出力軸208の関係については、図65と図66を参照して後述する。
出力軸208の後部208bは、円形の形状を有しており、ジョイントカム212の後部内側に係合するように構成されている。また、出力軸208の後部208bには、ジョイントブロック242と係合する凹部が設けられている。リセットボタン211が押下されていない場合、ジョイントブロック242は、ジョイントカム212の凹部212cと嵌合し、ジョイントブロック242により、出力軸208がジョイントカム212に連結(固定)されるので、出力軸208が回動されるときジョイントカム212を伴って回動されるように構成されている。また、リセットボタン211が押下されている場合、ジョイントブロック242の、ジョイントカム212の凹部212cとの嵌合が解除され、出力軸208が回動されても、ジョイントカム212は回動されないように構成されている。
図63は、鍵の挿入方向である奥行方向(図中左右の方向)の長さが短縮されている場合のシリンダ錠192の鍵が挿入される方向における縦断面図である。同図においてシリンダ錠192には、鍵が挿入されていない状態であり、内周シリンダ203の開閉プレート用孔281a乃至281hのそれぞれに挿入された開閉プレート231−1乃至231−8は、開閉プレート用バネ232−1乃至232−8により図中下方向に付勢されている。
この例では、シリンダ錠192の奥行方向の長さは、最大限に短縮されているので、中部外周シリンダ206は、後部外周シリンダ204の内部に挿入され、外部に露出しない状態となっている。この状態で、シリンダ錠192に、鍵穴203aから正規の鍵が挿入されて、回動されると、図35乃至図39を参照して上述した場合と同様に内周シリンダ203が回動される。また、内周シリンダ203の回動に伴って、その凸部207bが内周シリンダ203に係合している連結軸207も回動される。さらに、連結軸207の軸部207cは、出力軸208の軸穴208aに係合しているので、出力軸208も回動され、ジョイントブロック242により出力軸208と連結されているジョイントカム212も回動される。
このように、図中左側の鍵穴203aから挿入された鍵を回動させることにより、ジョイントカム212が回動され、シリンダ錠192の開錠または施錠が行われる。
図64は、鍵の挿入方向である奥行方向(図中左右の方向)の長さが伸長されている場合のシリンダ錠192の鍵が挿入される方向における縦断面図である。同図においてシリンダ錠192には、鍵が挿入されていない状態であり、シリンダ錠192の奥行方向の長さは、最大限に伸長されているので、中部外周シリンダ206のほぼ全体が、外部に露出した状態となっている。
すなわち、図63に示される状態から、シリンダ錠192が奥行方向である図中左右の方向に伸長されたことにより、例えば、前部外周シリンダ200が図中左方向に移動し、カシメピン351−1と351−2により前部内周シリンダ200に固定された中部外周シリンダ206も、後部外周シリンダ204の内部の面に沿って図中左方向に移動され、その結果、図63で後部外周シリンダ204の内部に隠れていた中部外周シリンダ206が外部に露出している。また、このとき連結軸207も図中左方向に移動する。
この状態で、シリンダ錠192に、鍵穴203aから正規の鍵が挿入されて、回動されると、図35乃至図39を参照して上述した場合と同様に内周シリンダ203が回動される。また、内周シリンダ203の回動に伴って、凸部207bが内周シリンダ203に係合している連結軸207も回動される。上述したように連結軸207は、図63の状態から左に移動しているが、軸部207cの図中右側の先端部は、出力軸208の軸穴208aに係合しているので、やはり出力軸208も回動され、ジョイントブロック242により出力軸208と連結されているジョイントカム212も回動される。
このように、シリンダ錠192においては、その奥行方向の長さを変えることができるとともに、奥行方向の長さが短縮されている場合も、伸長されている場合も、図中左側の鍵穴203aから挿入された鍵を回動させることにより、ジョイントカム212が回動され、シリンダ錠192の開錠または施錠を行うことができ、その結果、1つの種類のシリンダ錠192を、例えば、奥行が短いスロット遊技台にも、奥行が長いスロット遊技台にも利用することができる。
図65と図66は、シリンダ錠192の奥行方向の長さが短縮されている場合と、シリンダ錠192の奥行方向の長さが伸長されている場合の、内周シリンダ203、連結軸207、出力軸208、およびジョイントカム212の関係を示す図である。上述したように、出力軸208には、連結軸207の軸部207cの断面とほぼ同じ形状の軸穴208aが設けられており、連結軸207の軸部207cが軸穴208aに係合するともに、軸部207cが、出力軸208の内部に挿入され、出力軸208の内部において鍵の挿入方向である奥行方向に移動可能となるように構成されている。図65の例では、シリンダ錠192の奥行方向の長さが短縮されており、連結軸207の軸部207cのほぼ全体が出力軸208の内部に隠れているが、図66の例では、シリンダ錠192の奥行方向の長さが伸長されており、連結軸207の軸部207cのほぼ全体が外部に露出している。
なお実際には、連結軸207の外側に中部外周シリンダ206が設けられているため、シリンダ錠192の奥行方向の長さが伸長されている場合でも、連結軸207の軸部207cは、中部外周シリンダ206の内部に隠れるため、外部に露出することはない。
図67は、鍵の挿入方向である奥行方向(図中左右の方向)の長さが短縮されている場合のシリンダ錠192の鍵が挿入される方向における別の縦断面図である。同図においてシリンダ錠192は、リセット状態とされている。すなわち、図63の場合と比較して、リセットボタン211が図中下方向に押下され、内周シリンダ203が180°回転(回動)された状態となっている。このとき、リセットボタン211が押下されたことにより、ジョイントブロック242がジョイントカム212の凹部212cとの嵌合が解除され、出力軸208とジョイントカム212との連結が解除されるので、内周シリンダ203が回動に伴って、連結軸207および出力軸208が回動されてもジョイントカム212は回動されない。
図63の場合と同様に、この例では、シリンダ錠192の奥行方向の長さは、最大限に短縮されているので、中部外周シリンダ206は、後部外周シリンダ204の内部に挿入され、外部に露出しない状態となっている。
図68は、鍵の挿入方向である奥行方向(図中左右の方向)の長さが伸長されている場合のシリンダ錠192の鍵が挿入される方向における別の縦断面図である。同図においてシリンダ錠192は、リセット状態とされている。すなわち、図64の場合と比較して、リセットボタン211が図中した方向に押下され、内周シリンダ203が180°回転(回動)された状態となっている。このとき、リセットボタン211が押下されたことにより、ジョイントブロック242がジョイントカム212の凹部212cとの嵌合が解除され、出力軸208とジョイントカム212との連結が解除されるので、内周シリンダ203が回動に伴って、連結軸207および出力軸208が回動されても、やはりジョイントカム212は回動されない。
また、図64の場合と同様に、この例では、シリンダ錠192の奥行方向の長さは、最大限に伸長されているので、中部外周シリンダ206のほぼ全体が、外部に露出している。
このように、シリンダ錠192においては、その奥行方向の長さを変えることができるとともに、奥行方向の長さが短縮されている場合も、伸長されている場合も、キーコードをリセットすることができ、その結果、1つの種類のシリンダ錠192を、例えば、奥行が短いスロット遊技台にも、奥行が長いスロット遊技台にも利用することができるとともに、いずれの場合も簡単にキーコードをリセットすることができる。
図69は、本発明のシリンダ錠192が取り付けられたスロット遊技台600の外観を示す斜視図である。図70は、図69のスロット遊技台600を背面からみた斜視図である。なお、図69と図70は、説明の便宜上、内部が透視できるように表現されている。
同図に示されるようにスロット遊技台600は、ドラム表示部603が設けられた前扉602と、本体601により構成されている。シリンダ錠192は、前扉602に設けられた穴などに、前部外周シリンダ200および後部外周シリンダ204が挿入され、後部外周シリンダ204の取り付けフランジ204aの裏側のジョイントカム212の軸部212aが、本体601に設けられた施錠カムなどに取り付けられるように構成されている。シリンダ錠192を開錠することにより、例えば、前扉602を、図69の手前方向に開いて本体601に設けられた所定の部分にメダルを出し入れしたり、エラーをリセットしたりすることができる。
このように、スロット遊技台600においては、シリンダ錠192を開錠することにより、エラーがリセットされ、また、ゲームに必要なメダルの補給または回収が行われる。したがって、鍵穴に異物が挿入されてキー操作が不可能となった場合(シリンダ錠192に鍵が挿入できなくなった場合)、シリンダ錠192を開錠する鍵が破損した場合、紛失した場合などは、スロット遊技台600を利用したゲームの継続ができなくなり、遊技場の営業に支障がでる恐れがある。
このため、鍵穴に異物が挿入されてキー操作が不可能となった場合、シリンダ錠192を開錠する鍵が破損した場合、紛失した場合などに備えて、例えば、専用の治具などを用いて、シリンダ錠192を開錠することが可能となるようにシリンダ錠192が構成されることが望ましい。
図71と図72は、専用の治具などを用いて、開錠することが可能となるように構成されたシリンダ錠192の外観の例を示している。図71は、シリンダ錠192の前端部側の外観の斜視図である。図72は、シリンダ錠192の後端部側の外観の斜視図である。図71と図72は、それぞれ図58と図59に対応する図であり、対応する各部には同一の符号が付されている。
図71と図72においては、図58と図59の場合と異なり、前部外周シリンダ200の前端部側の所定の位置に、ノッチ(切り込み)701が設けられている。このシリンダ錠192は、専用の治具を用いて前部外周シリンダ200を、ノッチ701の位置において破断させ、前部外周シリンダ200の前部200aを後部200bから切り離し、前部外周シリンダ200の内部の内周シリンダ203を、内周シリンダ203に装着された(内周シリンダ203の所定の部位に係合されるなどした)開閉プレート231−1乃至231−8、タンブラプレート233−1乃至233−8、サイドバー251などとともに、外部に引き出すことが可能となるように構成されている。
なお、前部外周シリンダ200の前部200aと後部200bは、いずれも前部外周シリンダ200と同一の筐体の一部であり、別々に設けられるものではない。すなわち、外周シリンダ200において、ノッチ701の位置より前側(鍵穴側)の部分を前部200a、ノッチ701の位置より後側(後部外周シリンダ204側)の部分を後部200bと呼んでいる。
図73は、図71と図72に示されるシリンダ錠192を横方向(鍵の挿入方向に対して直角となる方向)から見た図である。同図に示されるように、ノッチ701は、前部外周シリンダ200の形状に沿って、円周状に設けられている。
図74は、図73に示されるノッチ701の一部(図中円で囲まれた部分)を拡大した図である。同図に示されるように、ノッチ701は、前部外周シリンダ200の前部200a側から斜め下側に向かう斜面701a、前部外周シリンダ200の後部200b側から斜め下側に向かう斜面701b、および底面701cからなるV字型の切り込みとして構成される。
図75は、図73に示されるシリンダ錠192を上方向から見た斜視図であり、図76は、図75の斜線で示される面561に沿ってシリンダ錠192を切断した場合の断面図である。図75または図76に示されるように、前部外周シリンダ200は、ノッチ701の位置を基準にして、鍵穴203a側が前部200aとされ、後部外周シリンダ204側が後部200bとされる。図69に示されるように、スロット遊技台600において、前部外周シリンダ200の鍵穴203a側、すなわち前部200aは、前扉602から図中手前方向に露出するように取り付けられており、鍵穴203a側から治具をあてて、前部外周シリンダ200を、ノッチ701の位置において破断させることが可能となるように構成されている。
このようにすることで、前部外周シリンダ200の前部200aを後部200bから切り離したとき、内周シリンダ203を、サイドバー251などとともに、スロット遊技台600の外部に引き出すことが可能となる
図77は、図76の一部(図中円で囲まれた部分)を拡大した図である。同図に示されるように、斜面701a、斜面701b、および底面701cからなるノッチ701は、前部外周シリンダ200の前部200aの図中左側端部から所定の距離に、幅Wの円周状の切り込みとして設けられる。
ノッチ701の幅Wおよび深さは、治具を用いて充分強く回転させたときだけ前部外周シリンダ200が破壊されるように設定される。例えば、人が前部200aを手で掴んでひねったときのねじれの力、または、前扉602を図69中手前方向に引いたときの引っ張りの力では、前部外周シリンダ200は破壊されない。
図78は、上述した、前部外周シリンダ200を破断させるとき用いられる治具751の外観の例を示す斜視図である。同図に示されるように治具751は、外周シリンダ200よりも充分硬質な材料で構成され、握り部751cは大きく、先端部751aおよび先端部751aに設けられた凸部751bは小さく構成されている。治具751を用いて前部外周シリンダ200を破断させる場合、後述するように、治具751のユーザは、凸部751bを前部外周シリンダ200の一部に嵌合させて、握り部751cを握って、先端部751aを回転させる。このとき、握り部751cを強く回転させると、先端部751aはさらに強い力で回転し、前部外周シリンダ200が破断する。
図79は、図78の治具751を、先端部751a側から見た図であり、図80は、図79の図中円で囲まれた部分を拡大した図である。図80に示されるように、先端部751aは、図中上下方向に長い板状に構成されており、凸部751bは、先端部751aの図中上下両端に設けられている。
治具751を用いて前部外周シリンダ200を破断させる場合、図81に示されるように、治具751の先端部751aを鍵穴203aに向けて近づけていく。すなわち、正規の鍵を用いてシリンダ錠192を開錠する場合と同様に、鍵穴203aから治具751をあててシリンダ錠192を破壊することができる。
図82は、図81の前部外周シリンダ200の前部200a付近(図中円で囲まれた部分)を拡大した図である。同図に示されるように、前部200aにおいて、鍵穴203aが露出している面には、治具751の凸部751bと嵌合する凹部200cが設けられている。
図83は、図81に示される状態から、治具751をさらに、前部外周シリンダ200に近づけて、治具751の凸部751bと、前部200aの凹部200cを嵌合させた場合の例を示す図であり、図84は、図83の図中円で囲まれた部分を拡大した図である。
図83において、充分大きな力で、治具の握り部751cの図中右端を矢印521の方向に動かし、握り部751cの図中左端を矢印522の方向に動かすと、図84において、先端部751aの図中上側の凸部751bには、矢印523の方向にさらに強い力が加えられ、先端部751aの図中下側の凸部751bには、矢印524の方向にさらに強い力が加えられることになる。
いま、凸部751bは、凹部200cと嵌合しているので、凸部751bに加えられた力が前部外周シリンダ200にも伝わり、外周シリンダ200は図中反時計回りに回転しようとする。しかし、前部外周シリンダ200は、後部外周シリンダ204に対して固定されており、後部外周シリンダ204は、取り付けフランジ204aによりスロット遊技台600に固定されているので、回転することができない。このため、ノッチ701の部分には、強いねじれの力がかかることになり、この力が所定の大きさを超えると、前部外周シリンダ200は、ノッチ701の位置において破壊され、前部200aが、後部200bから切り離されることになる。
図85は、前部外周シリンダ200が、ノッチ701の位置において破壊され、前部200aが、後部200bから切り離された状態のシリンダ錠192の外観を示す斜視図である。同図に示されるように、前部200aが切り離された結果、内周シリンダ203の一部が外部に露出している。
図86は、図85のシリンダ錠192を、図85の図中左方向から見た図である。同図に示されるように、内周シリンダ203とともに、サイドバー251も、その一部が外部に露出している。
シリンダ錠192を開錠する鍵が破損した場合、紛失した場合などは、上述したように、前部外周シリンダ200を破断させた後、図87に示されるように、内周シリンダ203が、サイドバー251などとともに、前部外周シリンダ200(いまの場合、後部200b)から引き出される。そして、さらに内周シリンダ203からサイドバー251が取り外され、内周シリンダ203が再び前部外周シリンダ200の内部に挿入される。
その後、図88に示されるように、鍵K5が内周シリンダ203の鍵穴203aから挿入される。ここで鍵K5は、図22を参照して上述した、鍵K3と同様に、ユーザが鍵K5を回動させる場合に、保持される保持部411、および鍵穴203aに挿入される挿入部412により構成されているが、鍵K3とは異なり、挿入部412に、位置決め面を設ける必要はない。
図37と図38を参照して上述したように、シリンダ錠192は、本来、開閉プレート231−1乃至231−8が正規の鍵K3の挿入部412の位置決め面421乃至428に当接して移動されることで、開閉プレート231−1乃至231−8に係合しているタンブラプレート233−1乃至233−8も移動され、その結果、サイドバー251(の凸部251b)が右方向に移動して、タンブラプレートの凹部233−1a乃至233−8aに挿入されて、内周シリンダ203が外周シリンダ201(前部外周シリンダ200)に対して回動する状態になることにより開錠される。
しかし、図87に示されるように、内周シリンダ203からサイドバー251が取り外されているので、内周シリンダ203は、前部外周シリンダ200に対して常に回動する状態になっており、正規の鍵ではない、鍵K5を挿入して、シリンダ錠192を開錠することが可能となる(勿論、正規の鍵を挿入して開錠することも可能である)。
また、鍵穴に異物が挿入されてキー操作が不可能となった場合であっても、例えば、内周シリンダ203を取り出して、鍵穴から異物を取り除くことにより再びシリンダ錠192を開錠することができる。
図89は、図88のシリンダ錠192を、取り付けフランジ204の裏側から見た図である。鍵K5を回動させると、ジョイントカム212の軸部212aも回動し、シリンダ錠192を開錠することができる。
図88と図89の説明では、鍵K5を用いてシリンダ錠192を開錠する例について説明したが、前部外周シリンダ200を破断させ、サイドバー251が取り外されたシリンダ錠192であれば、鍵K5を用いなくてもシリンダ錠192を開錠することが可能である。例えば、ドライバの先端部を鍵穴203aに挿入し、ドライバを回転されることにより、内周シリンダ203を回動させ、シリンダ錠192を開錠することも可能である。要は、鍵穴203aに係合する先端部を有するものであれば、鍵K5の代わりとして、シリンダ錠192の開錠に利用することができる。従って、鍵穴に異物が挿入されてキー操作が不可能となった場合、正規の鍵を紛失したり破損したりした場合であっても、シリンダ錠192を容易に開錠することが可能であり、スロット遊技台600の管理を安価に(容易に)行うことができる。