ところが、このような定着装置では、一般に電源投入時等の時期に、その加熱ロールを加熱源による急激な加熱により所定の温度(最終的に定着温度)まで短時間で加熱させるためのウォームアップ動作を実行するが、このような加熱動作を行なうことにより次のような問題がある。
即ち、ウォームアップ動作のような急激な加熱を行なった場合は、加熱ロールの内周面側と外周面側の間で急激な温度差が生じやすく、特に加熱ロールのうち剥離部材の先端部が近接する部位を含む領域が他の部位よりも加熱源によって強く加熱されて当該急激な温度差が生じてしまうと、その該当領域が他も部位よりも熱膨張して変形する可能性が高まる。これにより、加熱ロールの外周面に対して当初より近接した状態で設置されている剥離部材とその加熱ロールとが互いに一層接近した状態になるか又は完全に接触した状態になってしまう。
そして、このような状態になった場合は、加熱ロールに付着しているトナー等がその加熱ロールに異常接近又は完全接触した状態にある剥離部材側に転移して付着したり、あるいは、その剥離部材側に付着したトナー等が剥離時に定着対象の用紙側に転移付着して汚してしまう等の問題がある。また、剥離部材の先端部が加熱ロールに接触することで、加熱ロールの外周面を損傷させてしまうという問題がある。
ちなみに、ウォームアップ中に加熱ロールを回転させて加熱状態を均一化させる対策も考えられる。しかし、この場合は、加熱された加熱ロールに圧接して従動回転する加圧ロール部材に加熱による熱が伝わって消失されてしまうことにより、ウォームアップの所要時間が長くなってしまう。このため、この対策は、ウォームアップ時の短縮化が要請されている昨今の状況下では適当な対策にはなり得ないものである。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、加熱ロールのウォームアップ動作の所要時間を延ばすことなく、ウォームアップ時等のような加熱動作を行なった際に加熱ロールと剥離部材の先端部との異常接近又は完全接触という現象の発生を防止することができ、これにより、剥離部材へのトナー等の転移付着やその剥離部材から定着時のシート状物への転移付着、さらには剥離部材の接触による加熱ロールの損傷等の問題の発生を防止することができる定着装置及びこれを用いた画像形成装置を提供するものである。
本発明の定着装置は、回転する円筒状の加熱ロールと、この加熱ロールの中空内部に設置されて通電によりその加熱ロールを内周面側から加熱する加熱源と、前記加熱ロールに圧接するように設置されて未定着トナー像を担持するシート状物を通過させるニップ部を形成する加圧部材と、前記加熱ロールの外周面に先端部が近接した状態で設置されて前記ニップ部を通過した後のシート状物をその加熱ロールから剥離する剥離部材を有する定着装置であって、前記加熱ロールのウォームアップ時に、その加熱ロールのうち前記剥離部材の先端部が近接して対向する部位を中心にした特定の内周面領域を加熱するレベルをその他の内周面領域を加熱するレベルよりも低減する加熱低減手段を設けたことを特徴とするものである。
ここで、上記加熱低減手段における加熱ロールの「特定の内周面領域」とは、図3に例示するように、その加熱ロール(22)のうち剥離部材(25)の先端部(25a)が近接して対向する部位を中心(基点)Sにして加熱ロールの回転方向A及びその反対方向Bに好ましくはそれぞれw1=5mm(回転方向),w2=5mm(反回転方向)に至る前後の位置q1,q2までの軸方向幅W(=w1+w2)をもつロール内周面の領域(E)である。その他の内周面領域とは、その特定の内周面領域(E)をロール内周面全領域から除いたロール内周面の領域となる。
また、上記加熱低減手段において「加熱するレベルを低減する」とは、ウォームアップ時において上記特定の内周面領域を加熱する合計割合を他の内周面領域を加熱する合計割合よりも相対的に少なくすることであり、そのウォームアップの終了時において特定の内周面領域又はその外周面領域の温度がその他の内周面領域又はその外周面領域の温度よりも相対的に低い状態になって急激な温度上昇に伴う加熱ロールの熱膨張による変形が生じにくい結果が得られるような加熱方式である。
このような加熱するレベルを低減するには、具体的には、加熱ロールの上記加熱源による加熱範囲、加熱強度、加熱時間等を適宜制限、調整又は配分することで実現することができる。ウォームアップとしての加熱動作は、電源投入時や、待機状態(低電力モード時やスリープモード時)からの復帰時などに行なわれる。ちなみに、上記特定の内周面領域以外の領域に対しては、ウォームアップ時の加熱レベルのように使用可能な電力をフルに使用した状態で加熱するようにする。また、ウォームアップ時において加熱ロールは回転させない。上記シート状物は、トナー像を担持して上記定着ニップ部を通過することにより正常な定着処理が可能なものであればよい。
上記加熱低減手段は、たとえば、前記加熱源と前記加熱ロールの特定の内周面領域との間に当該加熱源からの輻射熱を遮蔽する遮蔽部材を設置して構成される。
その遮蔽部材は、耐熱性を有し、加熱源からの輻射熱を効果的に遮蔽することができるものであればよく、その形状や数量等については特に制限されるものではない。特に加熱源が複数設置される場合には、そのすべての加熱源に対して個々に対応する遮蔽部材を設置することも可能であるが、少なくとも特定の内周面領域の近傍に1つの遮蔽部材を設置することであってもよい。
このように構成した場合には、加熱源から放射される輻射熱のうち加熱ロールの特定の内周面領域に直接むかう分の輻射熱が遮蔽部材により遮蔽されることになり、加熱ロールの当該特定の内周面領域を加熱するレベルをその他の内周面領域を加熱するレベルよりも比較的容易かつ的確に低減することができる。
また、上記加熱低減手段は、前記加熱源としてウォームアップ時に通電する加熱源と通電しない加熱源を設置するとともにその通電しない加熱源を通電する加熱源と前記加熱ロールの特定の内周面領域との間に配置し、かつ、その通電しない加熱源を前記遮蔽部材として使用することで構成することもできる。
その通電しない加熱源としては、たとえば、特定の定着時(たとえばニップ部を通過するシート状物の幅が他に比べて特別狭いものに対して行なう定着動作時など)にのみ通電して使用する加熱源を適用することができる。
この場合は、通電しない加熱源が遮蔽部材として有効に利用されるようになり、専用の遮蔽部材を別途新たに追加設置する必要性がなくなく、また、定着時には必要に応じて加熱源として使用することができ、これにより、ウォームアップ時に加熱ロールの特定の内周面領域を加熱するレベルをその他の内周面領域を加熱するレベルよりも無駄なく合理的に低減することが可能になる。
また、上記加熱低減手段は、前記加熱源として複数の加熱源を設置するとともにその複数の加熱源のうちの少なくとも一部を前記加熱ロールの特定の内周面領域に対して離間距離が異なる位置に設置し、かつ、その複数の加熱源のうち当該特定の内周面領域から遠い位置に設置された加熱源にのみ通電するように制御する通電制御手段を設けて構成することもできる。
この場合は、ウォームアップ時に加熱ロールの特定の内周面領域から遠い位置に設置された加熱源によって加熱されることになり、反対に特定の内周面領域から近い位置に設置されている加熱源によっては加熱されないので、全体的にみれば、ウォームアップ時に加熱ロールの特定の内周面領域を加熱するレベルをその他の内周面領域を加熱するレベルよりも容易に低減することが可能になる。なお、この加熱を行なう特定の内周面領域から遠い位置に設置された加熱源は、その特定の内周面領域から最も近い加熱源を除く加熱源のうちの全部であってもその一部(その中でも特定の内周面領域から遠い位置にある加熱源)であってもよい。
さらに、上記加熱低減手段は、前記加熱源として複数の加熱源を設置するとともにその複数の加熱源のうちの少なくとも一部を前記加熱ロールの特定の内周面領域に対して異なる離間位置に設置し、かつ、その複数の加熱源のうち当該特定の内周面領域から近い位置に設置された加熱源への通電をウォームアップ時の一定の時間帯だけ行なわないように制御する通電制御手段を設けて構成することもできる。
この場合は、ウォームアップ時に一定の時間帯だけ通電を行なわない分だけ他の常時通電する加熱源よりも加熱するレベルが低減されるようになり、これにより、ウォームアップ時に加熱ロールの特定の内周面領域を加熱するレベルをその他の内周面領域を加熱するレベルよりも容易に低減することが可能になる。また、前記した特定の内周面領域から近い位置に設置された加熱源への通電をウォームアップ時にまったく行なわない場合に比べて、その一定の時間帯だけ通電することもある分、ウォームアップ時に必要な加熱レベルを確保することができ、これによりウォームアップの所要時間の延長を確実に回避することも可能になる。
この特定の加熱源への通電をウォームアップ時の一定の時間帯だけ行なわない加熱低減手段の場合においては、たとえば、当該特定の内周面領域から近い位置に設置された加熱源への通電を断続的に行うように制御することが有効である。
この場合は、特定の内周面領域に該当する内周面部分とその外周面部分との温度差を大きくせずにウォームアップを行うことができ、加熱ローラの熱膨張による変形が起こり難くなる等のメリットがある。その断続的に行なう通電の配分については、ウォームアップ開始時及びその終期時に少なくとも通電しない時間帯を配分する構成を採用することが好ましい。
また、この特定の加熱源への通電をウォームアップ時の一定の時間帯だけ行なわない加熱低減手段の場合においては、当該特定の内周面領域から近い位置に設置された加熱源への通電をウォームアップ時の少なくとも終期となる時間帯だけ行なわないように制御することも有効である。
この場合は、ウォームアップ時の終わりの段階で特定の内周面領域に対する加熱するレベルが他の内周面領域に比べて低減することができ、その特定の内周面領域を必要以上の温度まで加熱することを回避することができる。また、その終期の時間帯を除く時間帯ではウォームアップ時に必要な加熱レベルを確保できるため、ウォームアップの所要時間の延長を確実に回避することも可能になる。なお、ウォームアップ時の「終期」とは、たとえば、定着温度よりも30℃程度低い温度まで加熱された時点以降の時期である。
また、本発明の画像形成装置は、画像情報に基づくトナー像を形成して最終的にシート状物に未定着トナー像として転写する作像装置と、この作像装置で転写された未定着トナー像を担持するシート状物を通過させて加熱加圧することによりトナー像の定着を行なう定着装置を有し、前記定着装置として上記した各構成からなる定着装置のいずれかを用いることを特徴とするものである。画像形成装置としては、一般にカラー画像を形成することができるものが対象となるが、単色(主に白黒)画像のみを形成する画像形成装置を対象にしてもよい。
本発明の定着装置によれば、加熱ロールのウォームアップ時に、加熱低減手段によってその加熱ロールのうち剥離部材の先端部が近接して対向する部位を中心にした特定の内周面領域を加熱するレベルがその他の内周面領域を加熱するレベルよりも低減されるようになるため、その特定の内周面領域に該当するロール部分の熱膨張による変形を他のロール部分に比べて抑制することが可能になる。また、この際、その特定の内周面領域以外に対しては、通常の加熱条件でウォームアップによる加熱が実行されることになる。
従って、加熱ロールのウォームアップ動作の所要時間を延ばすことなく、ウォームアップ時等のような加熱動作を行なった際に加熱ロール(の上記特定の内周面領域に該当する部分)と剥離部材の先端部との異常接近又は完全接触という現象の発生を防止することが可能になり、これによって、加熱ロールから剥離部材へのトナー等の転移付着やその剥離部材から定着時のシート状物へのトナー等の転移付着をはじめ、剥離部材の接触による加熱ロールの損傷発生等の各種問題の発生を防止することができる。
また、本発明の画像形成装置によれば、上記したような定着装置を用いることにより、加熱ロールのウォームアップ動作の所要時間の延長を回避しつつ画像形成動作を開始することができ、しかも、そのウォームアップ後の画像形成において定着装置の剥離部材から定着対象のシート状物へのトナー等の転移付着の発生や剥離部材の接触による加熱ロールに損傷の発生のおそれのない良好で安定した画像形成を行なうことができる。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置及び定着装置の要部を示すものである。
この画像形成装置1は、例えば電子写真方式を利用したプリンタを構成するものである。このプリンタ1は、その本体2の内部に、トナー像Tを形成した後に用紙Pに転写する作像ユニット10と、この作像ユニット10で転写された未定着トナー像Tを担持する用紙Pを通過させてそのトナー像Tの定着を行う定着装置20Aと、作像ユニット10に用紙Pを供給したりあるいは所定の部位に搬送する用紙搬送装置30などが適宜配分されて設置されることで構成されている。図1において符号3は、プリンタ全体の動作を総括的に制御するシステムコントローラである。
作像ユニット10は、像担持体としての感光ドラム11と、この感光ドラム11の周囲に配置される帯電手段としての帯電ロール、像露光手段としてのレーザ走査装置(ROS)及び現像手段としての現像装置からなる作像機器12と、帯電手段としての帯電ロール15とを主に備えている。ちなみに、この作像ユニット10は、白黒画像を形成するタイプのものを例示しているが、好ましくはカラー画像を形成することができるタイプの作像ユニットを採用する。
感光ドラム11は、回転自在に支持される導電性ドラムの周面に有機感光材料等からなる感光層を形成したものであり、画像形成動作(プリント)時になると、図示しない駆動装置によって矢印方向に所定の速度で回転駆動する。そして、感光ドラム11の周面は作像機器12の帯電ロールによって一様に帯電された後、その帯電後の表面に対して作像機器12のレーザ走査装置から画像情報に基づいて変調されたレーザビーム光が走査露光されることにより静電潜像が形成される。レーザ走査装置は、外部から適宜入力される画像情報を本体2内に設置される図示しない画像処理装置において所定の処理をした後に得られる画像信号に基づいて動作する。
続いて、感光ドラム11上の静電潜像は、作像機器12の現像装置から供給される現像剤(トナー)によって現像されて(未定着)トナー像とされ、しかる後、そのトナー像は所定のタイミングで供給される用紙P上に転写ロール15によって転写される。この転写後の感光ドラム11の周面は、その周面に付着する残留トナー、紙粉等の不要物が図示しないクリーニング装置によって除去されることで清掃される。
用紙Pは、給紙カセット31内に収容されており、送出ロール及びリタードロールからなる送出装置32により給紙カセット31から1枚ずつ送り出された後、複数の搬送ロール対33やガイド部材を経てレジストロール対34まで搬送される。その後、用紙Pは、前記トナー像の転写タイミングを見計らってレジストロール対34により転写位置(感光ドラム11と転写ロール15の間)にむけて供給される。転写位置で未定着トナー像Tが転写された用紙Pは、その後、定着装置20Aにむけて搬送されて定着処理される。
定着装置20Aを通過することによってトナー像Tが定着された用紙Pは、定着装置20Aから排出された後、排出ロール対35によりそのまま排出トレイ36上に排出される。これにより基本的なプリントが終了する。
次に、このプリンタ1における定着装置20Aについて説明する。
定着装置20Aは、図2等に示すように、その本体21の内部に、回転駆動するように設置される加熱ロール22と、この加熱ロール22に圧接させて未定着トナー像Tを担持する用紙Pを通過させる定着ニップ部Nを形成するように設置される加圧ロール23と、前記定着ニップ部Nを通過した後の用紙Pを加熱ロール22から剥離する剥離シート25とが主に設置されている。図2等において符号29Aは定着ニップ部Nの入口側の用紙導入ガイド板、29Bは定着ニップ部Nの出口側の用紙排出ガイド板である。
加熱ロール22は、アルミニウム、ステンレス等の金属によって比較的薄肉の円筒形状に形成された芯金と、この芯金の外周面に被覆形成されるテトラフロオロエチレン、PFA等の離型性材料からなる離型層で構成されており、そのロール内部(芯金の中空部)のほぼ中心位置に加熱源としての1本のハロゲンヒータ24が設置されている。また、加熱ロール22は、図示しない回転駆動装置の回転動力を受けて矢印方向Aに所定の速度で回転駆動する。
この加熱ロール22は、そのロール表面温度を測定する温度センサ26からの検知情報が定着部コントローラ27に送信され、その定着部コントーラ27が所定の制御プログラムに基づいてハロゲンヒータ24に通電する電源装置28の通電動作を制御(ON,OFF制御)することにより、所定の温度(定着温度、待機時温度など)に保たれるように加熱される。定着部コントローラ27は、前記システムコントローラ3と接続されており(図1)、必要な制御及び情報交換が行われている。
加圧ロール23は、ステンレスやアルミウム等の金属によって中実の円柱形状に形成された芯金と、この芯金の外周面に形成されるシリコーンゴム等からなる耐熱性弾性層と、この弾性層の表面に被覆されるテトラフロオロエチレン、PFA等の離型性材料からなる離型層で構成されている。この加圧ロール23は、図示しない加圧機構により回転駆動する加熱ロール22に所定の圧力で圧接されるように支持されており、これにより従動回転する。
剥離シート25は、図2や図3に示すように、加熱ロール22の軸方向に伸びる長方形状のシートを図示しないホルダーに支持したものであり、その全体がニップ部Nの出口よりも加熱ロール22の回転方向下流側に少し後退した位置に配置されており、しかも、その先端部25aが加熱ロール22の外周面から所定の間隙d(200〜500μm程度)をあけて近接した状態となるように設置されている。
そして、この定着装置20Aにおいては、図2〜図4に示すように、加熱ロール22のウォームアップ時に、その加熱ロール22のうち剥離シート25の先端部25aが近接して対向する部位(S)を中心にした特定の内周面領域(E)を加熱するレベルをその他の内周面領域を加熱するレベルよりも低減する加熱低減手段4を設けている。
上記特定の内周面領域Eとは、図3に示すように、その加熱ロール22のうち剥離シート25の先端部が近接して対向する部位を中心(基点)Sにして加熱ロール22の回転方向A及びその反対方向Bにそれぞれ距離w1(回転方向)及びw2(反回転方向)に至る前後位置q1,q2までの軸方向幅W(=w1+w2)をもつロール内周面22bの領域(E)である。別の言い方をすれば、加熱レベル低減対象領域となる。この例では、たとえば加熱ロール22としてロール芯金の外径が35mm、その肉圧が3mmであるものを使用した場合、w1=5mm、w2=5mmとした幅W=10mmのロール内周面部分を特定内周面領域Eとした。図3中の括弧書き符号Oは加熱ロール22の(回転)中心点を示す。
この例では、加熱低減手段4Aとして、前記1つのハロゲンヒータ24と加熱ロール22の特定の内周面領域Eとの間にハロゲンヒータ24からの輻射熱(H)を遮蔽する遮蔽板41を設置して構成したものを適用している。
遮蔽板41は、ステンレスからなり、特定内周面領域Eの軸方向幅Wより少し広めの幅及びハロゲンヒータ24の長さとほぼ同じ長さを有する平面長方形の板状にしたものである。加熱低減手段4Aでは、この遮蔽板41をハロゲンヒータ24と加熱ロール22の特定内周面領域Eとの間で少し特定内周面領域E寄りの位置に、その板面がハロゲンヒータ24の中心と特定内周面領域Eの中心(ロール周方向の中心)とを結ぶ直線(ロールの半径と同じ)に対してほぼ直角に交差するような状態で、しかもロールの軸方向に平行するような状態となるように設置している。また、この遮蔽板41の取り付けは、ハロゲンヒータ24のブラケットに対してロール軸方向の熱膨張による変形(変位)分を逃がせるように取り付けている。
次に、このような加熱低減手段4Aを設けた定着装置20Aの動作について説明する。
はじめに、通常の定着動作について説明する。その定着時になると、定着温度に加熱されて矢印方向Aに回転する加熱ロール22と加圧ロール23の間の定着ニップ部Nに対し、作像ユニット10側で未定着トナー像Tが転写された用紙Pが入口側の用紙導入ガイド板29Aに案内されながら導入される(図1、図2)。そして、この定着ニップ部Nを通過するときに加熱加圧されることにより、未定着トナー像Tが用紙Pに融着されることで定着される。
この定着が終了して定着ニップ部Nから排出される用紙Pは、図2等に示すように、自力又は剥離シート26の剥離作用により加熱ロール22から剥離された後、出口側の用紙排出ガイド板29Bに誘導されて定着装置本体21の外部に排出される。これにより、定着処理が終了する。
続いて、この定着装置20A(実際にはプリンタ1本体)の電源投入時に行なわれる加熱ロール22のウォームアップ動作について説明する。
電源が投入されると、定着部コントローラ27の制御動作によって電源装置28から加熱ロール22のハロゲンヒータ24に対してウォームアップ時用の電力(通常の定着動作時に供給する電圧又は電流と同等か又は多めの電力である。この例では同等の電力を適用した)が通電される。この際、加熱ロール22は回転を停止した状態にあり、また、加圧ロール23は回転を停止して加熱ロール22に圧接された状態にある。
このハロゲンヒータ24への通電により、図4に示すように、ハロゲンヒータ24が強く発熱して強力な輻射熱(H)をロール内周面22bの全域にむけて放射するため、加熱ロール22はその内周面22b側から急激に加熱されることになる。これにより、加熱ロール22は比較的短時間で所定の温度(定着温度)を少し超える温度(閾値温度)まで加熱される(図6参照)。このときのロール温度は温度センサ26によって検出されている。そして、この閾値温度まで加熱された時点でウォームアップが終了する。このウォームアップ終了後は、加熱ロール22は定着温度に保たれるように制御されて、定着動作が可能な状態になる。
一方、このウォームアップ時において、加熱ロール22の内周面22bにおける特定内周面領域Eは、加熱低減手段4Aの遮蔽板41の存在により、ハロゲンヒータ24から放射される輻射熱(H)のうち特定内周面領域Eにむけて放射される輻射熱(Hn)が遮蔽板41によってその進路を阻まれて特定内周面領域Eに直接到達しない状態となる。このため、この特定周面領域Eは、その領域にむかう輻射熱(Hn)が遮蔽される分、他の周面領域のようにハロゲンヒータ24によって加熱されることはない。
従って、この定着装置20Aにおいては、ウォームアップ時であるにもかかわらず、加熱ロール22の特定内周面領域Eを加熱するレベルがその他の内周面領域を加熱するレベルよりも低減されるため、その特定内周面領域Eに該当するロール部分の熱膨張による変形を他のロール部分に比べて抑制することができる。また、この際、その特定内周面領域E以外に対しては、前述したように通常の加熱条件でウォームアップによる加熱が実行される。
この結果、ウォームアップ時に、加熱ロール22の外周面22aと剥離シート25の先端部25aとが異常に接近したり又は完全に接触するという現象の発生が防止される。これによって、その異常接近又は完全接触の発生した場合における加熱ロール22から剥離シート25へのトナー等の転移付着やその剥離シート25から定着時の用紙Pへのトナー等の転移付着の発生も防止され、しかも、剥離シート25の完全接触による加熱ロール22の周面損傷の発生も防止されるようになる。
また、この定着装置20Aのウォームアップ時の効果により、プリンタ1にとっても、加熱ロール22のウォームアップ終了後の最初のプリント動作を今まで通りのタイミングで開始することが可能になる。また、そのウォームアップ後のプリント動作において定着装置20Aの剥離シート25から定着対象の用紙Pへのトナー等の転移付着の発生等がない良好で安定したプリント動作を行なうことができる。
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係るプリンタの一部(定着装置)を示すものである。
このプリンタにおける定着装置20Bは、遮蔽板41を適用した加熱低減手段4Aに代えて別の加熱低減手段4Bを採用することに関連して一部を変更した以外は実施の形態1のプリンタ1における定着装置20Aと同じ構成からものである。このため、図5等においては実施の形態1に係るプリンタ1や定着装置20Aと共通する部分に対して同じ符号を付しており、また、以下においてはその共通する構成部分についての説明を必要なときを除いて省略している(これ以降の実施の形態においても同様とする)。
定着装置20Bにおける加熱低減手段4Bは、加熱ロール22におけるハロゲンヒータ24としてウォームアップ時に通電する第1ハロゲンヒータ24Aと通電しない第2ハロゲンヒータ24Bを設置し、また、その通電しない第2ハロゲンヒータ24Bを通電する第1ハロゲンヒータ24Aと加熱ロールの特定内周面領域Eとの間に配置したうえで、この第2ハロゲンヒータ24Bを遮蔽部材(42)として使用するように構成している。
この例では、第1ハロゲンヒータ24Aをメインの加熱源として使用し、第2ハロゲンヒータ24Bを定着時の補助用加熱源又は特殊領域加熱用加熱源として使用している。また、定着部コントローラ27として、第2ハロゲンヒータ24Bへの定着時及びウォームアップ時における特殊な通電の制御を行なう制御プログラムで動作するように設定したもの(27B)を用いている。特に、図6に示すようにウォームアップ(「W/Up」)時には第2ハロゲンヒータ24Bへの通電をまったく行なわない制御(OFF制御)を実行するようになっている。
次に、このような加熱低減手段4Bを設けた定着装置20Bの動作について説明する。
まず、この定着装置20Bによる未定着トナー像Tの用紙Pへの定着動作は、実施の形態1における定着装置20Aの場合(図2)と同様に行なわれる(図7)。
続いて、加熱ロール22のウォームアップ動作についてであるが、電源が投入されると、図6に示すように、定着部コントローラ27Bの制御動作によって電源装置28から第1ハロゲンヒータ24Aにのみウォームアップ時用の電力が通電される。この際、第2ハロゲンヒータ24Bには通電されない。
この第1ハロゲンヒータ24Aにのみへの通電により、図6や図7に示すように、第1ハロゲンヒータ24Aのみが強く発熱して強力な輻射熱(H)をロール内周面22bの全域にむけて放射するため、加熱ロール22はその内周面22b側から急激に加熱され、そのロール表面温度が閾値温度に達した時点でウォームアップ動作が終了する。このウォームアップ終了後は、加熱ロール22は定着温度に保たれるように制御されて定着動作可能な状態となる。
一方、このウォームアップ時において、加熱ロール22の内周面22bにおける特定内周面領域Eは、通電により発熱している第1ハロゲンヒータ24Aとの間に通電されていない第2ハロゲンヒータ24Bが存在することにより、第1ハロゲンヒータ24Aから放射される輻射熱(H)のうち特定内周面領域Eにむけて放射される輻射熱(Hn)が遮蔽部材42としての第2ハロゲンヒータ24Bによってその進路を阻まれて特定内周面領域Eに直接到達しない状態となる。このため、この特定周面領域Eは、その領域にむかう輻射熱(Hn)が第2ハロゲンヒータ24Bによって遮蔽される分、他の周面領域のように第1ハロゲンヒータ24Aによって加熱されなくなる。
従って、この定着装置20Bにおいては、ウォームアップ時であるにもかかわらず、加熱ロール22の特定内周面領域Eを加熱するレベルがその他の内周面領域を加熱するレベルよりも低減されるため、その特定内周面領域Eに該当するロール部分の熱膨張による変形を他のロール部分に比べて抑制することができる。
この結果、ウォームアップ時に、加熱ロール22の外周面22aと剥離シート25の先端部25aとが異常に接近したり又は完全に接触するという現象の発生が防止され、これによって実施の形態1の場合と同様にウォームアップ時における各種問題の発生が防止されるようになる。また、この定着装置20Bのウォームアップ時の効果により、プリンタ1にとっても、実施の形態1の場合と同様に、ウォームアップ後に定着装置20Bの剥離シート25から定着対象の用紙Pへのトナー等の転移付着の発生等がない良好で安定したプリント動作を行なうことができる。
[実施の形態3]
図8は、本発明の実施の形態3に係るプリンタの一部(定着装置)を示すものである。
このプリンタにおける定着装置20Cは、遮蔽板41を適用した加熱低減手段4Aに代えて別の加熱低減手段4Cを採用することに関連して一部を変更した以外は実施の形態1のプリンタ1における定着装置20Aと同じ構成からものである。
定着装置20Cにおける加熱低減手段4Cは、加熱ロール22におけるハロゲンヒータ24として3つの第1ハロゲンヒータ24C,第2ハロゲンヒータ24D,第3ハロゲンヒータ24Eを加熱ロール22の特定内周面領域E(中心位置)との離間距離mが異なる位置(m1,m2,m3)にそれぞれ配置している(図8、図10)。この例では離間距離mの大小関係を「m1>m3>m2」に設定している。離間距離m2とm3については「m3=m2」と設定してもよい。そして、これら3つのハロゲンヒータ24(C,D,E)のうち特定内周面領域Eから最も遠い位置に設置された第1ハロゲンヒータ24Cにのみウォームアップ時に通電する制御を行なうように構成している。
この例では、第1ハロゲンヒータ24Cと第3ハロゲンヒータ24Eをメインの加熱源として使用し、第2ハロゲンヒータ24Dを定着時の補助用加熱源又は特殊領域加熱用加熱源として使用している。また、定着部コントローラ27として、第2ハロゲンヒータ24D及び第3ハロゲンヒータ24Eへの定着時及びウォームアップ時における特殊な通電の制御を行なう制御プログラムで動作するように設定したもの(27C)を用いている。特に、図9に示すようにウォームアップ時には第1ハロゲンヒータ24Cにのみに通電する制御(ON制御)を行い、第2ハロゲンヒータ24D及び第3ハロゲンヒータ24Eへの通電をまったく行なわない制御(OFF制御)を実行するようになっている。
次に、このような加熱低減手段4Cを設けた定着装置20Cの動作について説明する。
まず、この定着装置20Bによる未定着トナー像Tの用紙Pへの定着動作は、実施の形態1における定着装置20Aの場合(図2)と同様に行なわれる(図8)。
続いて、加熱ロール22のウォームアップ動作についてであるが、電源が投入されると、図9に示すように、定着部コントローラ27Cの制御動作によって電源装置28から第1ハロゲンヒータ24Cにのみウォームアップ時用の電力が通電される。この際、第2ハロゲンヒータ24D及び第3ハロゲンヒータ24Eには通電されない。
この第1ハロゲンヒータ24Cにのみへの通電により、図9や図10に示すように、第1ハロゲンヒータ24Cのみが強く発熱して強力な輻射熱(H)をロール内周面22bの全域にむけて放射するため、加熱ロール22はその内周面22b側から急激に加熱され、そのロール表面温度が閾値温度に達した時点でウォームアップ動作が終了する。このウォームアップ終了後は、加熱ロール22は定着温度に保たれるように制御されて定着動作可能な状態となる。
一方、このウォームアップ時において、加熱ロール22の内周面22bにおける特定内周面領域Eは、その領域Eから最も遠い位置(離間距離m1の位置)にある第1ハロゲンヒータ24Cのみで加熱されるだけであり、その領域Eから近い位置にある第2ハロゲンヒータ24D及び第3ハロゲンヒータ24Eによっては加熱されないため、第1ハロゲンヒータ24Cから放射される輻射熱(H)も到達距離が長くなる分、他の周面領域に比べると加熱の強さが弱まる状態となる。このため、この特定周面領域Eは、その領域に達する輻射熱の強さが弱まる分、他の周面領域のように第1ハロゲンヒータ24Cによって強く加熱されることはない。
従って、この定着装置20Cにおいては、ウォームアップ時であるにもかかわらず、加熱ロール22の特定内周面領域Eを加熱するレベルがその他の内周面領域を加熱するレベルよりも低減されるため、その特定内周面領域Eに該当するロール部分の熱膨張による変形を他のロール部分に比べて抑制することができる。
この結果、ウォームアップ時に、加熱ロール22の外周面22aと剥離シート25の先端部25aとが異常に接近したり又は完全に接触するという現象の発生が防止され、これによって実施の形態1の場合と同様にウォームアップ時における各種問題の発生が防止されるようになる。また、この定着装置20Cのウォームアップ時の効果により、プリンタ1にとっても、実施の形態1の場合と同様に、ウォームアップ後に定着装置20Cの剥離シート25から定着対象の用紙Pへのトナー等の転移付着の発生等がない良好で安定したプリント動作を行なうことができる。
[実施の形態4]
図11は、本発明の実施の形態4に係るプリンタの一部(定着装置)を示すものである。
このプリンタにおける定着装置20Dは、遮蔽板41を適用した加熱低減手段4Aに代えて別の加熱低減手段4Dを採用することに関連して一部を変更した以外は実施の形態1のプリンタ1における定着装置20Aと同じ構成からものである。
定着装置20Dにおける加熱低減手段4Dは、加熱ロール22におけるハロゲンヒータ24として2つの第1ハロゲンヒータ24F,第2ハロゲンヒータ24Gを加熱ロール22の特定内周面領域E(中心位置)との離間距離mが異なる位置(m4,m5)にそれぞれ配置している(図11、図13)。この例では離間距離mの大小関係を「m4>m5」に設定している。そして、これら2つのハロゲンヒータ24(F,G)のうち特定内周面領域Eから近い位置に設置された第2ハロゲンヒータ24Gへの通電をウォームアップ時の一定の時間帯だけ行なわないように制御するように構成している。
この例では、第1ハロゲンヒータ24Fと第2ハロゲンヒータ24Gのいずれもメインの加熱源として使用している。また、定着部コントローラ27として、第2ハロゲンヒータ24Gへのウォームアップ時における特殊な通電の制御を行なう制御プログラムで動作するように設定したもの(27D)を用いている。特に、図12に示すようにウォームアップ時には、第2ハロゲンヒータ24Gへの通電を断続的に行なう制御(ON・OFF制御)を実行するようにしている。また、これに加えて、第1ハロゲンヒータ24Fへの通電についても断続的に行なう制御を実行するよう設定している。このときの断続的な通電のパターンは、第1ハロゲンヒータ24Fと第2ハロゲンヒータ24Gへの通電を交互に切替えて行い、しかも、最初に第2ハロゲンヒータ24Gへの通電を行い、最後は第1ハロゲンヒータ24Fへの通電を行なって第2ハロゲンヒータ24Gへの通電は行なわないというパターンである。
次に、このような加熱低減手段4Dを設けた定着装置20Dの動作について説明する。
まず、この定着装置20Dによる未定着トナー像Tの用紙Pへの定着動作は、実施の形態1における定着装置20Aの場合(図2)と同様に行なわれる(図11)。
続いて、加熱ロール22のウォームアップ動作についてであるが、電源が投入されると、図12に示すように、定着部コントローラ27Dの制御動作によって電源装置28から最初に第2ハロゲンヒータ24Gにのみへ所定時間だけ通電し、その時間経過後に第1ハロゲンヒータ24Fにのみへ所定時間だけ通電し、その後はこの通電を交互に行なった後、最後に第1ハロゲンヒータ24Fにのみへ所定時間だけ通電する。なお、この通電時間とその配分は、たとえば「ハロゲンヒータ24Fの通電時間:ハロゲンヒータ24G=離間距離m4:離間距離m5」のように設定される。なお、第2ハロゲンヒータ24Gへの通電の合計時間は、第1ハロゲンヒータ24Fへの通電の合計時間よりも短くすることが望ましい。また、ウォームアップ時の加熱ロールの各ハロゲンヒータへの通電に使用する総合電力量について制限がない場合には、第1ハロゲンヒータ24Fには常時通電するように構成してもよい。
特にこの第1ハロゲンヒータ24Fと第2ハロゲンヒータ24Gへの交互の通電により、図12や図13に示すように、常に一方のヒータ24からの輻射熱(H)がロール内周面22bの全域にむけてそれぞれ放射されるため、加熱ロール22はその内周面22b側から急激に加熱され、そのロール表面温度が閾値温度に達した時点でウォームアップ動作が終了する。このウォームアップ終了後は、加熱ロール22は定着温度に保たれるように制御されて定着動作可能な状態となる。
一方、このウォームアップ時において、加熱ロール22の内周面22bにおける特定内周面領域Eは、その領域Eから近い位置(離間距離m5の位置)にある第2ハロゲンヒータ24Gからは断続的に加熱されるだけであり、その通電されない時間帯がある分、第2ハロゲンヒータ24Gから領域Eに放射される輻射熱(Hx)が少なくなり、他の周面領域に比べると加熱の時間が短くなって加熱の強さも弱まる状態となる。また、この例では、特にウォームアップの終了前にその領域Eから近い位置にある第2ハロゲンヒータ24Gを行なわないため、その領域Eを定着温度を超える高い温度まで加熱するおそれがなくなり、この点でもその領域Eは他の周面領域に比べると加熱の強さが弱まる状態となる。
従って、この定着装置20Dにおいては、ウォームアップ時であるにもかかわらず、加熱ロール22の特定内周面領域Eを加熱するレベルがその他の内周面領域を加熱するレベルよりも低減されるため、その特定内周面領域Eに該当するロール部分の熱膨張による変形を他のロール部分に比べて抑制することができる。
この結果、ウォームアップ時に、加熱ロール22の外周面22aと剥離シート25の先端部25aとが異常に接近したり又は完全に接触するという現象の発生が防止され、これによって実施の形態1の場合と同様にウォームアップ時における各種問題の発生が防止されるようになる。また、この定着装置20Dのウォームアップ時の効果により、プリンタ1にとっても、実施の形態1の場合と同様に、ウォームアップ後に定着装置20Dの剥離シート25から定着対象の用紙Pへのトナー等の転移付着の発生等がない良好で安定したプリント動作を行なうことができる。
なお、この実施の形態4における定着装置20Dは、その加熱低減手段4Dにおいて特定内周面領域Eから近い位置に設置された第2ハロゲンヒータ24Gへの通電をウォームアップ時の一定の時間帯だけ行なわない通電パターンとして、図14に示すように、その第2ハロゲンヒータ24Gへの通電をウォームアップ時の少なくとも終期となる時間帯だけ行なわないようにするパターンを採用してもよい。
この図14に示す例では、最初の半分の時間帯は第2ハロゲンヒータ24Gへの通電のみを行なった後、その前半の時間が経過した後半の時間帯は第1ハロゲンヒータ24Fへの通電のみを行なう通電パターンを採用している。ウォームアップ時の終期は、図14に示すように、定着温度よりも所定の温度(k=約30℃)だけ低い温度(定着温度−k)になった以降の時期である。ただし、この例では、第2ハロゲンヒータ24Gへの通電をウォームアップ時の終期になる少し前の時点から行なわないようにしている。
このような通電パターンを採用した場合には、ウォームアップ時の終わりの段階で特定内周面領域Eを加熱するレベルが他の内周面領域のそれに比べて低減することができ、その特定内周面領域Eを定着温度以上の温度まで加熱することを回避することができる。従って、この定着装置20Dにおいては、ウォームアップ時であるにもかかわらず、加熱ロール22の特定内周面領域Eを加熱するレベルがその他の内周面領域を加熱するレベルよりも容易に低減されるため、その特定内周面領域Eに該当するロール部分の熱膨張による変形を他のロール部分に比べて容易に抑制することができる。
1…プリンタ(画像形成装置)、4A,4B,4C,4D…加熱低減手段、10…作像ユニット(作像装置)、20A,20B,20C,20D…定着装置、22…加熱ロール、22a…外周面、22b…内周面、23…加圧ロール(加圧部材)、24…ハロゲンヒータ(加熱源)、24B…通電しないハロゲンヒータ、24C…遠い位置に設置されたハロゲンヒータ、2G…近い位置に設置されたハロゲンヒータ、25…剥離シート(剥離部材)、25a…先端部、41…遮蔽板(遮蔽部材)、42…遮蔽部材、27B,27C,27D…定着部コントローラ(通電制御手段)、T…未定着トナー像、P…用紙(シート状物)、N…ニップ部、S…対向する部位、E…特定の内周面領域、m…離間距離。