JP4608658B2 - ヘドロ処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ヘドロ処理方法に関し、特に、土として再使用でき、また、燃料を抽出できるヘドロ処理方法に関する。
河川や湖沼、また、ダムなどに溜まっているヘドロは、その量が膨大であり、処理に困っていた。従来では、これを浚渫し適宜埋立て用の土として用いたり、セメントなどで固化したりしていた。また、ポリビニルアルコールのような樹脂と混合し固定化する方法も提案されている(特許文献1)。
特開2005−035868号 特願2005−022319号
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
まず、埋立て用の土に用いたり、コンクリートの骨材ないし増量材として用いたりするなどしても、その成分が長い間に土壌に浸透拡散していき、土壌を汚染してしまうという問題点がある。特に、ヘドロは塩化物を含む場合があり、塩素イオンが流出して環境に良くないという問題点があった。特に、農業用に使用すると塩害が発生してしまう。また、内湾や汽水域にあるヘドロは塩分があるためコンクリートへの使用は不向きであるという問題点もある。これらの問題は、樹脂と混合した場合でも同様である。なお、石油化学系の樹脂を用いる方法は、それ自身の環境への影響からなるべく使用したくないという潜在的な要望もある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、ヘドロからエネルギーも抽出し、環境に負荷をかけない土へ再生する技術を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のヘドロ処理方法は、ヘドロを200℃以下の温度で水分を飛ばしながら造粒しつつ一次固化し、得られた粒状固形物を水洗することにより除塩および脱硫し、さらに、その粒状固形物を350℃以上の温度で炭化水素を抽出しつつ二次固化して無害化土を得ることを特徴とする。
すなわち、請求項1に係る発明は、造粒固化過程で粒中の通水経路を経て表面に集まった塩と硫化物を水洗のみにより簡便に除去できるため、塩害の発生しにくい土を得ることができ、また、脱硫してあるので質の高い炭化水素を得ることができる。また、造粒により水洗の際の表面の水の流れが粉状である場合より良くなるため、水洗による脱塩脱硫を効率的におこなうことができる。また、200℃以下の低い温度で加熱するため一次固化時には炭化水素の漏出を防いで二次固化の際に炭化水素を最大限抽出することが可能となる。また、二次固化により汚泥臭も取り除くことができるので、無害化土の用途を広げることも可能となる。
また、請求項2に記載のヘドロ処理方法は、請求項1に記載のヘドロ処理方法において、二次固化の温度を500℃〜600℃としたことを特徴とする。
すなわち、請求項2に係る発明は、炭化水素の組成ないし構造にかかわらず600℃であれば総ての炭化水素が漏出ないし揮発するので、一次固化された粒状固形物から炭化水素を経済的にかつ効率よく抽出できる。
また、請求項3に記載のヘドロ処理方法は、請求項1または2に記載のヘドロ処理方法において、ヘドロに活性汚泥を混合して一次固化することを特徴とする。
すなわち、請求項3に係る発明は、活性汚泥に含まれる油脂分が、いわゆる「つなぎ」となって、造粒または造粒制御を容易とする。また、原料として、産業副生成物であって、処理に困る活性汚泥を用いるため、ヘドロと共に、いらない物をいらない物で処理できるという利点がある。
また、請求項4に記載のヘドロ処理方法は、請求項3に記載のヘドロ処理方法において、ヘドロと活性汚泥の混合物のうち、活性汚泥を乾燥重量にして10重量%〜50重量%としたことを特徴とする。
すなわち、請求項4に係る発明は、造粒化と炭化水素抽出効率に適した処理方法を提供できる。なお、活性汚泥の割合が小さいと粒が小さくなり、活性汚泥の割合が大きいと粒が大きくなる。なお、大粒の場合は、混練の際のトルクが大きくなるため装置負荷が大きくなってしまうと共に、比表面積が小さくなってしまうので好ましくない。このような観点から、好ましくは活性汚泥の割合は、10重量%〜40重量%であり、更に好ましくは20重量〜30重量%である。
なお、ヘドロは無機成分がその構成成分のほとんどである泥をいい、活性汚泥は有機成分がその構成成分のほとんどである泥をいう。なお、粒状固形物表面を水洗により脱塩脱硫するという点、および、炭化水素を抽出して無害化ペレットを得るという点では、ヘドロや活性汚泥には採取場所による大きな差はない。
また、請求項5に記載のヘドロ処理方法は、請求項1〜4のいずれか一つに記載のヘドロ処理方法において、粒状固形物の大きさが略2mm〜5mmの間になるように一次固化することを特徴とする。
すなわち、請求項5に係る発明は、造粒の際の負荷を少なく、また、水洗効率を高くすることが可能となる。また、この大きさであれば水はけが良く園芸用や農業用の土としての使用にも適している。
また、請求項6に記載のヘドロ処理方法は、請求項1〜5のいずれか一つに記載のヘドロ処理方法において、抽出した炭化水素を熱源または動力源として使用することを特徴とする。
すなわち、請求項6に係る発明は、炭化水素を燃料として使用できる。従って、たとえば、造粒の動力源に用いたり、一次固化または二次固化の際の熱源としても利用可能となる。
本発明によれば、共に処理が期待されていたヘドロと活性汚泥を用いて品質の良い燃料と無害化された土とを、簡便に得ることが可能となる。
以下、本発明を図表を参照しながら詳細に説明する。
ヘドロとしては、島根県松江市松江港においてグラブ船浚渫されたヘドロを用いた。このヘドロは含水率80%であり、粒度は0.2mmのふるいを97%通過するものであった。水分調整として1日静置し、上記上澄みを捨て含水比75%とした。
一方、活性汚泥としては、島根県雲南市加茂町の農業集落廃水処理施設から発生するものを用いた。
これらを乾燥重量比率として、活性汚泥:ヘドロ=10:90,20:80,30:70,40:60,50:50の割合で160℃の温度で加熱しながら混練、造粒し、一次固化した。混練機としては、間接加熱撹拌処理装置(黒崎播磨株式会社製:K−10)を用いた。得られた粒状固形物(一次固化物)は、活性汚泥割合が20%のとき、約2mm〜5mm程度の径となった。なお、活性汚泥の割合が高いほど、粒の径が大きくなり装置に負荷がかかりやすいことが確認できた。
得られた粒状固形物を水洗し、電気伝導度を測定することにより脱塩の程度を調べた。試験では、筒に粒状固形物を詰め、上から水を流し、下から流れ落ちた水の電気伝導度を測定することとした。表1は、水洗回数と電気伝導度の関係を活性汚泥の含有割合別に示した表である。
Figure 0004608658
表1から明らかなように、活性汚泥の割合に関係なく、1回もしくは2回程度の水洗で脱塩されていることが分かる。なお、水のpHも測定したが、略中性であることが確認できた。
次に、水洗による脱硫の効果を活性汚泥の含有割合別に調べた。なお、硫酸イオンは、もともと微量であるので、水洗間隔は1日以上空けることとした。また、この試験では、活性汚泥0の場合(ヘドロ100%)も調べた。表2にその結果を示す。
Figure 0004608658
表2から明らかなように、水洗による脱硫も確認できた。なお、活性汚泥の割合が高い場合は、比較的少ない日数で硫酸イオンが抜けきる傾向があり、20%程度の含有量の場合には3日程度で初期除去が達成されることが確認できた。
なお、一次固化物中の重金属が水洗により流出してしまうかを確認した。表3は、水洗前後の元素組成を示した表である。
Figure 0004608658
表3から明らかなように、全硫黄分(Total Sulfur)と、塩分(Cl)は、良く水洗され、一方で有害重金属(Ad,Pb,Cr)は、一次固化物中に固定化されていることが確認できる。なお、二次固化により一次固化物は更に焼きしめられるので固定化が更に進むこととなる。
次に、一次固化物を加熱して、ロックエバル装置(VINICI社製:型番ROCKEVAL2)により、炭化水素量を測定した。表4にその結果を示す。なお、測定試験では、水洗前のものも併せて評価した。また、表中、S1とは、300℃で揮発する炭化水素量であり、S2とは300℃から550℃の範囲で発生する炭化水素量である。また、Tmaxとは、S2のピークに達する温度、すなわち、最も炭化水素の発生量が多い温度を表す。なお、HIは、単位炭素あたりの(S1+S2)量である。
Figure 0004608658
表4に示したように、活性汚泥を20%以上添加した場合には、発生する炭化水素は40mgHC/g以上であり、これは、一般にオイルシェール(非在来型炭化水素資源)の採算ベースとされている値(40mgHC/g)を超えている。従って、本発明の処理方法によれば、いらない物同士から採算ベースを超える燃料を抽出できる技術であるといえる。
表4に示したように、活性汚泥の添加割合が低い方が、Tmaxが低くなっている。このことから、ヘドロ中の無機質が触媒の働きをして有機物の熱分解温度を下げていることが分かる。Tmaxが低いほど、二次固化の際の供給エネルギーは低くて済む。
また、300℃までで揮発するS1は脂肪酸などの酸素化合物を含むため燃焼効率が低く、S2/(S1+S2)が高い方が炭化水素の質が良いといえる。この値は、活性汚泥の添加割合が低い方が高くなっている。
以上、Tmax、S2/(S1+S2)および造粒効率を考慮すると、最適な混合割合は活性汚泥10重量%〜30重量%、特に20重量%が最も良いといえる。
Figure 0004608658
表5は、He雰囲気下の550℃加熱後の汚泥添加率10%〜50%の重量残存率を示した表である。残存率が70%を下回ると、体積収縮が激しく、粒状形態を維持できないものが出てくるため、粒状用途を考える場合には、汚泥添加率10%〜30%が好ましいといえる。
なお、得られた一次固化物を用いて、小松菜を栽培したが、通常の土壌を用いた場合と何ら変わりなく使用できることを確認した。なお、水洗しないものは、塩害により発芽及び生育が極端に悪いことも確認できた。
本発明によれば、もともと塩分を含む港湾中のヘドロや湖のヘドロであっても、適切に処理できる。なお、二次固化物は、炭化水素はなくなるが、単体元素としての炭素が残留し、極めて多くの空孔を有しているので、吸着剤ないし活性炭としての使用も可能となる。

Claims (6)

  1. ヘドロを200℃以下の温度で水分を飛ばしながら造粒しつつ一次固化し、
    得られた粒状固形物を水洗することにより除塩および脱硫し、
    さらに、その粒状固形物を350℃以上の温度で炭化水素を抽出しつつ二次固化して無害化土を得ることを特徴とするヘドロ処理方法。
  2. 二次固化の温度を500℃〜600℃としたことを特徴とする請求項1に記載のヘドロ処理方法。
  3. ヘドロに活性汚泥を混合して一次固化することを特徴とする請求項1または2に記載のヘドロ処理方法。
  4. ヘドロと活性汚泥の混合物のうち、活性汚泥を乾燥重量にして10重量%〜50重量%としたことを特徴とする請求項3に記載のヘドロ処理方法。
  5. 粒状固形物の大きさが略2mm〜5mmの間になるように一次固化することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のヘドロ処理方法。
  6. 抽出した炭化水素を熱源または動力源として使用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のヘドロ処理方法。
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