以下、添付図面を参照して、本発明に係る可変容量回路、電圧測定装置および電力測定装置の最良の形態について説明する。
最初に、本発明に係る電圧測定装置1について、図面を参照して説明する。
電圧測定装置1は、図1に示すように、プローブユニット2および本体ユニット3を備え、測定対象体4の電圧V1を非接触で測定可能に構成されている。
プローブユニット2は、図1に示すように、ケース11、検出電極12、可変容量回路19、電流検出器15およびプリアンプ16を備えている。ケース11は、導電性材料(例えば金属材料)を用いて構成されている。検出電極12は、例えば、平板状に形成されると共に、その一方の面側がケース11の外表面に露出し、かつ他方の面側がケース11の内部に露出するようにしてケース11に固定されている。一例として、検出電極12は、ケース11に設けられている孔(図示せず)に、この孔を閉塞し、かつケース11に対して電気的に絶縁された状態で取り付けられている。また、本例では、一例として、ケース11は、その表面が樹脂材などで形成された絶縁被膜で覆われている。この場合、検出電極12は、この絶縁被膜で覆われていてもよいし、絶縁被膜から露出していてもよい。
可変容量回路19は、図1に示すように、1つの容量変化機能体13および1つの駆動回路14を備えている。容量変化機能体13は、第1の構成単位31、第2の構成単位32、第3の構成単位33および第4の構成単位34がこの順に環状に接続されて、いわゆるブリッジ回路(本発明における環状回路)に構成されている。この場合、容量変化機能体13は、第1の構成単位31と第4の構成単位34との組、および第2の構成単位32と第3の構成単位33との組のうちの一方の組の各構成単位が互いに接合されたP型半導体およびN型半導体を有して構成された可変容量要素をそれぞれ含むと共に他方の組の各構成単位がコンデンサ、コイル、抵抗および共振体のうちの少なくとも1つをそれぞれ含み、かつ第1の構成単位31および第3の構成単位33の各インピーダンスの積と、第2の構成単位32および第4の構成単位34の各インピーダンスの積とが同一またはほぼ同一に規定されている。
具体的には、図2に示すように、第1の構成単位31と第4の構成単位34との組の各構成単位31,34が、可変容量要素として1つのダイオード(一例として可変容量ダイオード。バリキャップやバラクタダイオードともいう)41,44を備えて構成されている。また、各ダイオード41,44は、環状回路内において所定の向き(同一方向。図2中の矢印Eで示される向き)で配設されている。他方、第2の構成単位32と第3の構成単位33との組の各構成単位32,33は、一例として1つのコンデンサ62,63を備えて構成されている。また、各ダイオード41,44には同一またはほぼ同一の特性の可変容量ダイオードが使用され、かつ各コンデンサ62,63にも同一またはほぼ同一の特性のコンデンサが使用されて、第1の構成単位31および第3の構成単位33の各インピーダンスの積と、第2の構成単位32および第4の構成単位34の各インピーダンスの積とが同一またはほぼ同一(一例として数%程度の範囲内で相違する状態)に設定されている。
なお、可変容量ダイオードは、電圧を逆方向に印加したときにダイオードのPN接合における空乏層の厚みが変化することによる静電容量(接合容量)の変化を利用したものであり、この静電容量の変化を大きくしたものをいう。他方、PN接合で構成される一般的なダイオード(シリコンダイオード)においても、可変容量ダイオードと比べて少ないものの、上記した静電容量(接合容量)の変化は発生する。このため、図2に示すすべての可変容量ダイオード41,44を、一般的なダイオード51,54に置き換えた構成(図3参照)であっても、容量変化機能体13を構成することができる。
また、可変容量回路19は、検出電極12と参照電位となる部位(本例ではケース11)との間に、容量変化機能体13における第1の構成単位31および第4の構成単位34の接続点Aが検出電極12側に位置すると共に第2の構成単位32および第3の構成単位33の接続点Cがケース11側に位置するように配設されている。具体的には、可変容量回路19は、図1に示すように、容量変化機能体13の接続点Aが検出電極12に接続されると共に、容量変化機能体13の接続点Cが電流検出器15を介してケース11に接続されている。また、第1の構成単位31および第2の構成単位32の接続点Bと、第3の構成単位33および第4の構成単位34の接続点Dとが駆動回路14に接続されている。また、可変容量回路19は、ケース11の外部に露出しない状態で、ケース11内部に配設されている。
駆動回路14は、例えば、トランスおよびフォトカプラなどの絶縁用電子部品を用いて構成されて、本体ユニット3から入力した駆動信号S1を、この駆動信号S1と電気的に絶縁されると共に駆動信号S1と同一の周波数f1の交流成分を含む駆動信号S2(本発明における直流電圧)に変換して容量変化機能体13に出力(印加)する。具体的には、本例では、駆動回路14は、図1に示すように、トランス14aおよび直流電源14bを備えて構成されている。トランス14aおよび直流電源14bは、トランス14aの二次巻線14cの一端(同図中の上端)に直流電源14bの負極が接続されて直列回路に構成されて、二次巻線14cの他端(同図中の下端)が容量変化機能体13の接続点Bに接続され、かつ直流電源14bの正極が接続点Dに接続されている。このように構成された駆動回路14は、入力した駆動信号S1をトランス14aで駆動信号S1と電気的に絶縁された交流成分(交流信号)に低歪みで変換すると共に、この交流成分を直流電源14bの直流電圧に重畳させることにより、直流電圧としての駆動信号S2を生成して、容量変化機能体13の接続点B,D間に印加する。なお、上記の駆動回路14に代えて、単独で(本体ユニット3から駆動信号S1を入力せずに)駆動信号S2を出力するフローティング信号源(図示せず)をプローブユニット2内に配設することもできる。
電流検出器15は、一例として抵抗で構成されて、可変容量回路19(具体的には可変容量回路19の容量変化機能体13)とケース11との間に接続されている。これにより、電流検出器15は、容量変化機能体13と直列に接続された状態で検出電極12とケース11との間に配設されて、容量変化機能体13に流れている電流i(物理量)を検出すると共に、この電流iの電流値に比例した値で、かつ電流iの向きに対応した極性の電圧V2をその両端間に発生させる。プリアンプ16は、不図示の直流遮断用の一対のコンデンサ、不図示の増幅回路(演算増幅器など)、および不図示の絶縁用電子部品(トランスおよびフォトカプラなど)を備えて構成されている。また、プリアンプ16は、コンデンサを介して入力した電圧V2を増幅回路で増幅すると共に、増幅した電圧を絶縁用電子部品によって増幅回路に対して電気的に絶縁された検出信号S3に変換して出力する。この場合、電圧V2は電流iの値に比例して変化するため、この電圧V2を増幅して生成された検出信号S3も電流iの値に比例して変化する。また、上記した電流検出器15およびプリアンプ16は、可変容量回路19と共にケース11内部に配設されている。
本体ユニット3は、図1に示すように、発振回路21、増幅回路22、同期検波回路23、積分器24、電圧生成回路25および電圧計26を備えて構成されている。発振回路21は、一定の周期T1(一定の周波数)の駆動信号S1を生成してプローブユニット2および同期検波回路23に出力する。この場合、本例では、発振回路21は、駆動信号S1として正弦波信号を生成する。増幅回路22は、プローブユニット2から入力した検出信号S3を予め設定された電圧レベルまで増幅して、検出信号S4として出力する。本例では、容量変化機能体13の静電容量C1についての容量変調周波数は、後述するように駆動信号S2に含まれている交流成分の周波数と同一になる。このため、この静電容量C1の変化によって生じる電流iの周波数は駆動信号S1の周波数と同一となり、プリアンプ16で生成される検出信号S3の周波数も駆動信号S1の周波数と同一となる。したがって、本例では、同期検波回路23は、検出信号S4を駆動信号S1で同期検波することにより、パルス信号S5を生成するように構成されている。この場合、パルス信号S5は、その振幅が容量変化機能体13を流れる電流iの値に比例して変化し、かつその極性が容量変化機能体13を流れる電流iの向きに応じて変化する。積分器24は、パルス信号S5を連続的に積分することで直流電圧V3を生成して、電圧生成回路25に出力する。本例では、一例として、積分器24は、積分動作を開始した後に、最初のパルス信号S5が入力されるまでの間、ゼロボルトの直流電圧V3を出力するように設定されている。これらの増幅回路22、同期検波回路23および積分器24は、制御部CNTを構成して、電圧生成回路25を制御する。電圧生成回路25は、制御部CNTの制御下で、フィードバック電圧V4を生成してプローブユニット2のケース11に印加する。具体的には、電圧生成回路25は、入力した直流電圧V3を増幅することにより、フィードバック電圧V4を生成する。これにより、参照電位であるケース11の電圧は、フィードバック電圧V4と等しく維持される。電圧計26は、フィードバック電圧V4を測定して、その電圧値を表示する。
次いで、電圧測定装置1を使用した測定対象体4の電圧V1の測定方法と共に、電圧測定装置1の測定動作について説明する。なお、発明の理解を容易にするため、一例として、電圧V1が正の定電圧であるとして説明するが、電圧V1が負の定電圧であるときにも、対応する信号や電圧の極性が逆になる以外は、正の定電圧のときと同様にして測定される。また、電圧V1が交流のときにも、原理的には正の定電圧や負の定電圧のときと同様にして測定される。
まず、電圧V1の測定に際して、検出電極12が非接触な状態で測定対象体4に対向するように、プローブユニット2を測定対象体4の近傍に配設する。これにより、図1に示すように、検出電極12と測定対象体4との間に静電容量C0が形成された状態となる。この場合、静電容量C0の容量値は、検出電極12と測定対象体4の距離に反比例して変化するが、プローブユニット2を一旦配設した後は、一定の(変動しない)値となる。
次いで、電圧測定装置1の起動状態において、本体ユニット3では、発振回路21が駆動信号S1の生成を開始して、駆動信号S1をプローブユニット2および同期検波回路23に出力する。プローブユニット2では、駆動回路14が、入力した駆動信号S1を、直流電源14bの直流電圧にこの駆動信号S1と同じ周波数f1の交流成分が重畳された駆動信号S2に変換して容量変化機能体13の各接続点B,D間に、接続点Bに対して接続点Dが常時正電位(高電位)となるように印加(出力)する。
容量変化機能体13では、各接続点B,D間に印加された駆動信号S2が、分圧されて第1の構成単位31、第2の構成単位32、第3の構成単位33および第4の構成単位34にそれぞれ印加される。この場合、各構成単位31,34を構成する各ダイオード41,44は、逆電圧が常時印加されて(逆バイアスされて)コンデンサとして機能している。また、印加されている電圧の電圧値が駆動信号S2の交流成分の周期(駆動信号S1と同じ周期T1)で連続的に変化しているため、コンデンサとして機能する各ダイオード41,44は、それぞれの静電容量を駆動信号S2の交流成分の周期T1で、かつ駆動信号S2の交流成分に同期して連続的に変化させている。したがって、容量変化機能体13は、駆動信号S2の交流成分の周期T1で、かつ駆動信号S2の交流成分に同期してその静電容量C1(接続点A,B間の静電容量)を連続的に変化させている。また、このように容量変化機能体13では、各構成単位31,34を構成する各ダイオード41,44が逆バイアスされて常時コンデンサとして機能しているため、すべての各構成単位31〜34が交流電流の通過を許容し、かつ直流電流の通過を阻止するように機能している。このため、プローブユニット2では、容量変化機能体13を介して検出電極12とケース11とが直流的に短絡されないように(この容量変化機能体13に直流電流が流れないように)維持されている。
また、容量変化機能体13では、上記したように、第1の構成単位31および第3の構成単位33の各インピーダンスの積と、第2の構成単位32および第4の構成単位34の各インピーダンスの積とが同一またはほぼ同一に設定されている。したがって、ブリッジ回路でもある容量変化機能体13は、ブリッジ回路としての平衡条件を満足しているため、駆動信号S2の交流成分についての電圧成分(駆動信号S1と同じ周波数f1の電圧信号)が各接続点A,C間にほとんど発生しない状態で、その静電容量C1を周期T1で変化させている。なお、フィードバック電圧V4が電圧V1と一致するまでの間、つまりフィードバック電圧V4と電圧V1との間に電位差が生じている間は、容量変化機能体13の各接続点A,C間には、測定対象体4とケース11との間の電位差(V1−V4)を静電容量C0と静電容量C1とで分割した電圧が発生している。
また、積分器24は、電圧測定装置1の動作開始直後において、ゼロボルトの直流電圧V3を出力するため、電圧生成回路25は、所定電圧のフィードバック電圧V4(一例として、電圧V1よりも低電圧であって、ほぼゼロボルトとする)を生成してプローブユニット2のケース11に印加する。このため、測定対象体4とケース11との間には電位差(V1−V4)が生じた状態になっている。したがって、上記したように、静電容量C1の周期T1での周期的な変化に基づいて測定対象体4とケース11との間の静電容量C2が周期T1で周期的に変化することにより、容量変化機能体13には、電流値を周期T1で変化させつつ電流iが流れる。この場合、電流iは、電位差(V1−V4)が大きいときにはその電流値が大きくなり、電位差(V1−V4)が小さいときにはその電流値が小さくなる。また、電流iは、電位差(V1−V4)の極性が正のときには検出電極12から電流検出器15に向かって流れ、電位差(V1−V4)の極性が負のときには逆向きに流れる。本例では、電圧V1は正の定電圧であり、フィードバック電圧V4がゼロボルトからスタートするため、電位差(V1−V4)は常にゼロボルト以上の電圧となる。したがって、電流iは、本例では、常に検出電極12から電流検出器15に向かって、その電流値を周期T1で変化させつつ流れる。プリアンプ16は、この電流iに起因して電流検出器15の両端に発生する電圧V2を増幅することにより、正極性の検出信号S3を本体ユニット3に出力する。この場合、検出信号S3の周波数は、電流iの周波数f1と同一になる。
本体ユニット3の制御部CNTでは、増幅回路22が、検出信号S3を増幅して検出信号S4を生成して同期検波回路23に出力する。次いで、同期検波回路23は、入力した検出信号S4を駆動信号S1で同期検波することにより、パルス信号S5を生成して、積分器24に出力する。続いて、積分器24は、パルス信号S5を連続的に積分することで直流電圧V3を生成して、電圧生成回路25に出力する。この場合、上記したように、本例では、検出信号S3が常に正極性の信号となり、同様にして検出信号S4も正極性の信号となるため、パルス信号S5は、常に正極性のパルス信号となる。この結果、積分器24、つまり制御部CNTから出力される直流電圧V3は徐々にその電圧値が上昇する。したがって、電圧生成回路25で生成されるフィードバック電圧V4も、図4に示すように、その電圧値が徐々に上昇する。この結果、電流検出器15、プリアンプ16、増幅回路22、同期検波回路23、積分器24および電圧生成回路25で構成されるフィードバックループ内で、測定対象体4とケース11との間の電位差(V1−V4)が徐々に低下(減少)するように負のフィードバックが行われる。したがって、電流iは、電流値が徐々に低下(減少)していく。
その後、フィードバック電圧V4が電圧V1に達したときには、電位差(V1−V4)がゼロボルトになる。この状態では、測定対象体4とケース11との間の静電容量C2が周期的に変化していたとしても、電流iが流れない。また、電流iが流れないため、電流検出器15において電圧V2が発生しない(電圧V2がゼロボルトになる)結果、プリアンプ16から検出信号S3が出力されなくなる。また、検出信号S3が出力されないため、増幅回路22からも検出信号S4が出力されない状態となり、同期検波回路23からのパルス信号S5の出力も停止し、この結果、積分器24から出力される直流電圧V3の上昇も停止して一定の電圧に維持される。このため、電圧生成回路25から出力されるフィードバック電圧V4の上昇が停止して、図4に示すように、フィードバック電圧V4が一定の電圧に維持される。したがって、電圧計26で表示されている電圧値(フィードバック電圧V4)を継続して観察し、その電圧値の上昇が停止して一定になったとき(すなわち、電流iがゼロアンペアになったときに)、そのときの電圧計26で表示されている電圧値(フィードバック電圧V4)を測定対象体4の電圧V1として測定する。以上により、測定対象体4の電圧V1が完了する。
このように、この電圧測定装置1では、4つの構成単位31〜34がこの順に環状に接続されると共に、第1の構成単位31と第4の構成単位34との組、および第2の構成単位32と第3の構成単位33との組のうちの一方の組の各構成単位(本例では構成要素31,34)が互いに接合されたP型半導体およびN型半導体を有して構成された可変容量要素(ダイオード41,44)を含み、かつ他方の組の各構成単位(本例では構成要素32,33)がコンデンサ62,63を含んで構成された容量変化機能体13を備えて可変容量回路19が構成されている。したがって、この可変容量回路19によれば、機械的に可動する構成が存在していないため、数百kHz〜数MHzといった高い周波数での容量変化動作が可能(動作周波数の高速化が可能)で、かつ信頼性の高い可変容量回路を実現することができると共に、可変容量回路を大幅に小型化することもできる。また、この電圧測定装置1では、可変容量要素としてダイオードを使用し、かつ第1の構成単位31および第4の構成単位34に含まれている各ダイオード41,44を環状回路内において同一方向の向きとなるように配設して容量変化機能体13が構成されている。また、駆動回路14における直流電源14bの正極が容量変化機能体13の接続点Dに接続され、直流電源14bの負極がトランス14aの二次巻線14cを介して接続点Bに接続されている。このため、各ダイオード41,44に対して駆動回路14から直流電圧を印加することにより、各ダイオード41,44を常時逆バイアスした状態にできる。したがって、この容量変化機能体13を含む可変容量回路19によれば、各ダイオード41,44を確実に可変容量要素として作動させることができる。また、第1の構成単位31と第4の構成単位34との接続点Aから、各構成単位31〜34を介して第2の構成単位32と第3の構成単位33との接続点Bに直流電流が流れるのを阻止することができ、この可変容量回路19を介しては検出電極12とケース11とが直流的に短絡されないようにすることができる。
また、この可変容量回路19を使用した電圧測定装置1では、測定対象体4に検出電極12を対向させることによって測定対象体4と検出電極12との間に一定の(固定の)静電容量C0を形成した状態とし、この状態において、容量変化機能体13の静電容量C1を周期的に変化させ、この容量変化機能体13の容量変化動作を利用して測定対象体4の電圧V1を測定している。したがって、この電圧測定装置1によれば、機械的に可動する構成を含む可変容量回路を用いた構成と比較して、装置自体の信頼性を十分に向上させつつ、フィードバック電圧V4に対して数百kHz〜数MHzといった高い周波数での制御が可能になる結果、短時間で測定対象体4の電圧V1を測定することができる。さらに、この電圧測定装置1によれば、検出電極12をケース11の表面に配設し、可変容量回路19をケース11の内部に配設した状態で測定対象体4の電圧V1を測定できるため、可変容量回路19を測定対象体4と直接対向させるための孔をケース11に設ける必要がなくなる。この結果、この孔を介して異物がケース11内に誤って挿入される事態、およびこの誤挿入に起因したケース11内の部品の破損を確実に回避することができるため、電圧測定装置1の信頼性を一層向上させることができる。
また、電圧測定装置1では、容量変化機能体13が静電容量C1を周期的に変化させているときに、制御部CNTが電圧生成回路25に対してフィードバック電圧V4の電圧を変化させている。したがって、この電圧測定装置1によれば、容量変化機能体13の周期的な容量変化時において容量変化機能体13に発生する(流れる)電流iを検出しつつ、この電流iがゼロアンペアとなったときのこのフィードバック電圧V4を測定対象体4の電圧V1として測定することで、測定対象体4の電圧V1を高い精度で測定することができる。さらに、この電圧測定装置1によれば、制御部CNTが、検出した電流iが減少するように電圧生成回路25に対してフィードバック電圧V4の電圧を変化させることにより、フィードバック電圧V4を測定対象体4の電圧V1に短時間で、しかも確実に一致させることができる。この結果、高い測定精度を維持しつつ、短時間で、しかも確実に測定対象体4の電圧V1を測定することができる。特に、この電圧測定装置1によれば、上述したような高い周波数で測定対象体4とケース11との間の静電容量C2を変化させることができるため、電流検出器15〜電圧生成回路25のフィードバックループの応答速度を高速化できる結果、一層短時間で測定対象体4の電圧V1を測定することができる。このため、この電圧測定装置1によれば、測定対象体4の電圧V1が時間的に変動するときや、測定対象体4の電圧V1が周期的に変化する交流電圧のときにも、その電圧V1を正確に測定することができる。
また、この可変容量回路19によれば、上述したように第1の構成単位31および第3の構成単位33の各インピーダンスの積と、第2の構成単位32および第4の構成単位34の各インピーダンスの積とが同一またはほぼ同一となるように容量変化機能体13を構成したことにより、各構成単位31〜34を環状に接続してブリッジ回路(環状回路)として構成した容量変化機能体13がブリッジ回路としての平衡条件を満足するため、各接続点B,D間に駆動信号S2を印加したときに、駆動信号S2の交流成分についての電圧成分(駆動信号S1と同じ周波数f1の電圧信号)が各接続点A,C間にほとんど発生しない状態で、その静電容量C1を周期T1で変化させることができる。したがって、この可変容量回路19を用いた電圧測定装置1によれば、静電容量変化時において容量変化機能体13に発生する電流iへの駆動信号S2の影響(駆動信号S2の交流成分の影響)を排除できる結果、この電流iをより正確にプリアンプ16で検出することができ、これにより、測定対象体4の電圧V1をより正確に測定することができる。
また、この電圧測定装置1によれば、検出電極12とケース11との間に可変容量回路19(具体的には容量変化機能体13)と直列にインピーダンス素子で構成された電流検出器15を配設すると共に、この電流検出器15に電流iが流れたときに発生する電圧V2が減少するように制御部CNTが電圧生成回路25に対してフィードバック電圧V4(ケース11の電圧)を変化させる構成を採用したことにより、インピーダンス素子のインピーダンス値を変えることで電流iが流れたときに発生する電圧V2の値を任意に変更することができる。このため、低電圧から高電圧までの広い電圧範囲に亘って測定対象体4の電圧V1を測定することができる。
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、上記した電圧測定装置1では、I(比例)制御でフィードバック電圧V4を制御しているが、さらにフィードバックループ内に積分回路および微分回路(いずれも図示せず)のうちの少なくとも1つを追加することにより、PI(比例・積分)制御、PD(比例・微分)制御およびPID(比例・積分・微分)制御のいずれかでフィードバック電圧V4を制御することもできる。このPID制御を採用することにより、電圧V1への追従性を高めることができるため、特に、測定対象体4の電圧V1が変化するときにおいて、その電圧V1を精度良く測定することができる。
また、上記した電圧測定装置1では、1つのダイオードで各構成単位31,34を構成しているが、第1の構成単位31および第3の構成単位33の各インピーダンスの積と、第2の構成単位32および第4の構成単位34の各インピーダンスの積とが同一またはほぼ同一となる限り、2つ以上のダイオードを順方向(向きを揃えて)で直列や並列に接続して各構成単位31,34を構成することもできる。
また、容量変化機能体13における第2および第3の構成単位32,33のコンデンサ62,63に代えて、図2に示すように、電気的特性(インダクタンス値)の同じ一対のコイル62a,63aを使用してもよいし、電気的特性(抵抗値)の同じ一対の抵抗62b,63b、または電気的特性(周波数−インピーダンス特性)の同じ一対の共振体62c,63cを使用してもよい。この場合、共振体62c,63cについては、駆動信号S2の交流成分と同一の周波数のときにインピーダンスが最小となり、かつそれ以外の周波数のときに十分に高いインピーダンスとなる電気的特性の共振体を使用する。具体的には、セラミック共振器、水晶振動子、およびコイルとコンデンサとで構成されたLC共振回路(直列共振回路)などの各種共振体を用いることができる。また、この共振体62c,63cについては、直流電流の通過を許容する構成でもよい。
コンデンサ62,63に代えてコイル62a,63a等を用いて構成された容量変化機能体13においても、コンデンサ62,63を用いて構成された容量変化機能体13と同様にして、機械的に可動する構成が存在していないため、高い周波数での容量変化動作が可能で、しかも信頼性の高い可変容量回路19を実現することができる。また、上記した電気的特性の共振体62c,63cを使用することにより、容量変化機能体13(具体的には可変容量要素である各ダイオード41,44)を変調する周波数(交流成分の周波数)において、各共振体62c,63c(つまり共振体62c,63cで構成された各構成単位32,33)のインピーダンスを低くすることができる結果、容量変化機能体13に十分な交流電流(電流i)を流すことができる。このため、例えば容量変化機能体13に流れる交流電流(電流i)を利用した測定対象体4についての電圧V1の電圧検出の精度を十分に高めることができる。
また、図示はしないが、容量変化機能体13は、第1および第4の構成単位31,34がコンデンサ、コイル、抵抗および共振体のいずれか1つをそれぞれ含み、かつ第2および第3の構成単位32,33がダイオード(各カソード端子が接続点D側になる向きで配設されているダイオード)をそれぞれ含む構成(図2に示す容量変化機能体13に対して、接続点B,Dを含む仮想直線を基準として線対称となる構成)でもよく、この容量変化機能体13でも、図2に示す容量変化機能体13と同様の作用効果を奏することができる。
また、図5に示すように、第1および第2の構成単位31,32Aの組、および第3および第4の構成単位33A,34Aの組のうちの一方の組の各構成単位(同図では一例として構成単位31,32A)が互いに接合されたP型半導体およびN型半導体を有して構成された可変容量要素(ダイオード41,42)をそれぞれ含むと共に、他方の組の各構成単位(一例として構成単位33A,34A)がコンデンサ63,64および共振体63d,64aのうちの少なくとも一方をそれぞれ含んで容量変化機能体13Aを構成することもできる。なお、容量変化機能体13と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この容量変化機能体13Aでは、第1の構成単位31に含まれているダイオード41と、第2の構成単位32に含まれているダイオード42とは、環状回路内において互いに逆向き(図5中の矢印E,Fで示される各向き)で配設されている。また、第1および第3の構成単位31,33Aの各インピーダンスの積と、第2および第4の構成単位33A,34Aの各インピーダンスの積とが同一またはほぼ同一に規定されている。また、容量変化機能体13Aの各ダイオード41,42は、駆動回路14から印加されている直流電圧(駆動信号S2)により、常時逆バイアスされた状態となる。このため、この容量変化機能体13Aを有する可変容量回路19においても、接続点Aから各構成単位31〜34Aを介して接続点Bに直流電流が流れるのが阻止されており、可変容量回路19を介して検出電極12とケース11とが直流的に短絡されることが回避されている。また、共振体63d,64aについては、駆動信号S2の交流成分と同一の周波数のときにインピーダンスが最小となり、かつそれ以外の周波数のときに十分に高いインピーダンスとなる電気的特性を備えると共に、交流電流の通過を許容すると共に直流電流の通過を阻止する機能を備えた共振体を使用する。具体的には、セラミック共振器、水晶振動子、およびコイルとコンデンサとで構成されたLC共振回路(直列共振回路)などの各種共振体を用いることができる。
この容量変化機能体13Aを使用した構成においても、容量変化機能体13を使用した構成と同様にして、機械的に可動する構成が存在していないため、高い周波数での容量変化動作が可能で、しかも信頼性の高い可変容量回路19を実現することができる。加えて、可変容量回路19を大幅に小型化することもできる。また、上記した電気的特性の共振体63d,64aを使用することにより、容量変化機能体13A(具体的には可変容量要素である各ダイオード41,42)を変調する周波数(交流成分の周波数)において、各共振体63d,64a(つまり共振体63d,64aで構成された各構成単位33A,34A)のインピーダンスを低くすることができる結果、駆動信号S2が両端に印加される第1の構成単位31と第4の構成単位34Aとの組、および第2の構成単位32Aと第3の構成単位33Aとの組において、各組にそれぞれ含まれている可変容量要素(ダイオード41,42)に対して十分な駆動信号S2(具体的には駆動信号S2に含まれている交流成分)を印加することができて各可変容量要素の容量を十分に変調できる。したがって、容量変化機能体13Aに流れる交流電流(電流i)の変化率を大きくできるため、容量変化機能体13Aに流れる交流電流を利用した測定対象体4についての電圧V1の電圧検出の精度を十分に高めることができる。
また、図5に示す容量変化機能体13Aでは、各構成単位31,32Aをダイオード(可変容量ダイオード)41,42で構成しているが、図6に示す容量変化機能体13Aのように、PN接合で構成される一般的なダイオード(シリコンダイオード)51,52で構成することもできる。また、この容量変化機能体13Aでは、各構成単位31,32Aを構成する一対のダイオード51,52は、アノード端子同士が接続点Bにおいて接続されることにより、環状回路内において互いに逆向きに直列接続されている。すなわち、各構成単位31,32Aからなる直列回路は、P型半導体とN型半導体とが、N−P−P−Nというように配列されて構成されている。このため、図6に示す容量変化機能体13Aにおいて各構成単位31,32Aを構成する一対のダイオード51,52を1つのNPN型バイポーラトランジスタTR1で置き換えることもできる。このトランジスタTR1を含む構成の容量変化機能体13Bでは、トランジスタTR1のコレクタ端子およびエミッタ端子の一方が接続点Aにおいて第4の構成単位34Aと接続され、かつコレクタ端子およびエミッタ端子の他方が接続点Cにおいて第3の構成単位33Aと接続され、ベース端子が接続点Bとして機能する。また、トランジスタとして、バイポーラトランジスタを使用する例について説明したが、NPN型バイポーラトランジスタに代えて同型のMOSFET(電界効果型トランジスタ)を使用してもよいのは勿論である。このようにトランジスタTR1を使用して隣接する一対の構成単位31,32Aを構成することにより、さらに構造の簡易な容量変化機能体13Bを実現することができる。
また、図7に示すように、第1および第2の構成単位31A,32Bの組、および第3および第4の構成単位33B,34の組のうちの一方の組の各構成単位(同図では一例として構成単位33B,34)が可変容量要素(ダイオード43,44)をそれぞれ含むと共に他方の組の各構成単位(一例として構成単位31A,32B)がコンデンサ61,62をそれぞれ含んで容量変化機能体13Cを構成することもできる。また、この容量変化機能体13Cにおいても容量変化機能体13Aと同様にして、コンデンサ61,62に代えて、またはコンデンサ61,62と共に共振体61a,62dを含んで各構成単位31A,32Bを構成することもできる。この場合、共振体61a,62dとしては、共振体63d,64aと同じ電気的特性の共振体を使用する。これにより、この容量変化機能体13Cにおいても容量変化機能体13Aと同様の作用効果を奏することができる。
また、図7に示す容量変化機能体13Cでは、各構成単位33B,34をダイオード(可変容量ダイオード)43,44で構成しているが、図8に示す容量変化機能体13Cのように、PN接合で構成される一般的なダイオード(シリコンダイオード)53,54で構成することもできる。また、この容量変化機能体13Cでは、各構成単位33B,34を構成する一対のダイオード53,54は、カソード端子同士が接続点Dにおいて接続されることにより、環状回路内において互いに逆向きに直列接続されている。すなわち、各構成単位33B,34からなる直列回路は、P型半導体とN型半導体とが、P−N−N−Pというように配列されて構成されている。このため、図8に示す容量変化機能体13Cにおいて各構成単位33B,34を構成する一対のダイオード53,54を1つのPNP型バイポーラトランジスタTR2で置き換えることもできる。このトランジスタTR2を含む構成の容量変化機能体13Dでは、トランジスタTR2のコレクタ端子およびエミッタ端子の一方が接続点Aにおいて第1の構成単位31Aと接続され、かつコレクタ端子およびエミッタ端子の他方が接続点Cにおいて第2の構成単位32Bと接続され、ベース端子が接続点Dとして機能する。また、トランジスタとして、バイポーラトランジスタを使用する例について説明したが、PNP型バイポーラトランジスタに代えて同型のMOSFET(電界効果型トランジスタ)を使用してもよいのは勿論である。このようにトランジスタTR2を使用して隣接する一対の構成単位33B,34を構成することにより、さらに簡易な構造の容量変化機能体13Dを実現することができる。
以上、各種の容量変化機能体13〜13D(特に区別しないときには、これらをまとめて容量変化機能体13ともいう)について説明したが、図9に示すように、電流検出器15を配設せずに、プローブユニット2Aを構成することもできる。このプローブユニット2Aでは、プリアンプ16が、容量変化機能体13の両端間電圧V5、つまり容量変化機能体13における検出電極12側の端部(接続点A)と容量変化機能体13におけるケース11側の端部(接続点C)との間に発生する電圧を検出して検出信号S3として出力する。したがって、このプローブユニット2Aを使用する電圧測定装置1Aでは、両端間電圧V5に比例して変化する検出信号S3に基づいて制御部CNTが電圧生成回路25を制御して、測定対象体4の電圧V1を測定する。この場合、プリアンプ16における一対の入力端子のうちの一方の入力端子は、同図に示すように、コンデンサ17を介して容量変化機能体13における検出電極12側の端部(接続点A)に接続され、他方の入力端子は、容量変化機能体13におけるケース11側の端部(接続点C)に接続されている。なお、この構成以外の構成については、電圧測定装置1Aは電圧測定装置1と同一のため、図9では、電圧測定装置1の各構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、同図では、図1における第1の構成単位31,31Aについては、これらをまとめて第1の構成単位31として表している。同様にして、第2の構成単位32,32A,32Bについてはこれらをまとめて第2の構成単位32として、また第3の構成単位33,33A,33Bについてはこれらをまとめて第3の構成単位33として、また第4の構成単位34,34Aについてはこれらをまとめて第4の構成単位34としてそれぞれ表している。この電圧測定装置1Aにおいても、上記の容量変化機能体13を含む可変容量回路19を使用したことにより、電圧測定装置1と同様にして、電流検出器15〜電圧生成回路25のフィードバックループの応答速度を高速化できる結果、短時間で測定対象体4の電圧V1を測定することができると共に、測定対象体4の電圧V1が時間的に変動するときや、測定対象体4の電圧V1が周期的に変化する交流電圧のときにも、その電圧V1を正確に測定することができる。また、電圧測定装置1Aによれば、信頼性の高い可変容量回路19を使用したことにより、装置自体の信頼性を一層向上させることができる。
また、電圧測定装置1,1Aでは、同期検波回路23を用いて検出信号S4に含まれている周波数f1を含む所定の帯域の周波数成分を抽出する構成を採用しているが、これに限定されるものではなく、図示はしないが、同期検波方式に代えて、公知の包絡線検波方式を採用することもできる。
また、電圧測定装置1では、容量変化機能体13とケース11との間に電流検出器15を配設しているが、図10に示す電圧測定装置1Bのように、検出電極12Aと容量変化機能体13との間に電流検出器15を配設することもできる。また、電圧測定装置1では、アナログ信号で作動する増幅回路22、同期検波回路23および積分器24を用いて電圧生成回路25をアナログ的にフィードバック制御しているが、電圧測定装置1Bのように、検出信号S3をディジタルデータに変換することによって電圧生成回路25をディジタル的にフィードバック制御することもできる。
以下、この電圧測定装置1Bについて、この電圧測定装置1Bを用いて構成した電力測定装置71と共に、図10参照して説明する。なお、この電圧測定装置1Bの構成要素のうち、電圧測定装置1と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
電力測定装置71は、直流および交流の電力を測定可能に構成されており、電圧測定用のクランプ式プローブユニット2B、電流測定用のクランプ式プローブユニット5、および本体ユニット3Aを備えて構成されている。この場合、電力測定装置71では、プローブユニット2Bと本体ユニット3Aに含まれている後述の構成要素とで、測定対象体4(一例として電線。以下、「電線4」ともいう)の電圧V1を測定する電圧測定装置1Bが構成されている。また、プローブユニット5と本体ユニット3Aに含まれている後述の構成要素とで、電線4に流れている電流I1を測定する電流測定装置81が構成されている。電力測定装置71は、電圧測定装置1Bによって測定された電圧V1の電圧値と電流測定装置81によって測定された電流I1の電流値とに基づいて、電線4に供給されている電力W1を測定する。
電圧測定装置1Bは、プローブユニット2Bと、本体ユニット3A内に配設されている発振回路21、A/D変換回路72、CPU73、D/A変換回路74、電圧生成回路25および電圧計26Aとを備えて構成されている。この場合、プローブユニット2Bは、ケース11、検出電極12A、可変容量回路19(上記の容量変化機能体13,13A〜13Dのいずれか(本例では容量変化機能体13)を含む可変容量回路)、電流検出器15、プリアンプ16および一対のコンデンサ18a,18bを備えている。検出電極12Aは、各々が樹脂材などで形成された絶縁被膜RE1によって全体的に被覆されると共に各々の一端側がケース11において回動自在に連結され、これによって各々の他端側同士が接離自在に構成された一対の弧状電極P1,P2で構成されている。この構成により、検出電極12Aは、電線4をクランプすることが可能となっている。また、可変容量回路19、電流検出器15、プリアンプ16および一対のコンデンサ18a,18bは樹脂材などで形成された絶縁被膜RE2で被覆されたケース11内に配設されている。また、容量変化機能体13および電流検出器15は、互いに直列に接続された状態で、検出電極12Aとケース11との間に配設されている。また、電圧測定装置1Bでは、電圧測定装置1とは異なり、電流検出器15が検出電極12Aに接続されて、容量変化機能体13がケース11に接続されている。また、電流検出器15を検出電極12A側に配設したことによってプリアンプ16を介して検出電極12Aが直流的に参照電位側に接続されるのを回避するため、電圧V2を検出するプリアンプ16の各入力端子と電流検出器15の各端部との間に直流遮断用のコンデンサ18a,18bがそれぞれ配設されている。なお、電圧測定装置1と同様にして、容量変化機能体13および電流検出器15の順序でこれらを検出電極12Aとケース11との間に直列に接続することもでき、この構成ではプリアンプ16の各入力端子と電流検出器15の各端部との間へのコンデンサ18a,18bの配設が不要となる。
本体ユニット3B内に配設されたA/D変換回路72は、CPU73およびD/A変換回路74と共に、本発明における制御部CNT1を構成し、アナログ信号としての検出信号S3をディジタルデータD1に変換してCPU73に出力する。CPU73は、入力したディジタルデータD1から例えば駆動信号S1の周波数f1を含む所定の周波数帯域の成分についてのデータを抽出する検波処理と、この検波処理によって抽出されたデータを積分する積分処理とを実行する。また、CPU73は、この積分処理によって得られた積分データD2をD/A変換回路74に出力する。また、CPU73は、後述するように、電流測定装置81の一部としても機能して、A/D変換回路75から出力されたディジタルデータD4に基づいて、測定対象体4に流れている電流I1の電流値を算出(測定)する電流算出処理も実行する。さらに、CPU73は、算出した電流I1の電流値と、電圧計26Aから出力されたフィードバック電圧V4の電圧値(ディジタルデータD3で示される値)とに基づいて、電線4に供給されている電力W1を算出(測定)する電力算出処理も実行する。D/A変換回路74は、積分データD2をアナログ信号としての直流電圧V3に変換して電圧生成回路25に出力する。電圧計26Aは、フィードバック電圧V4を測定して、その電圧値を表示すると共に、測定したフィードバック電圧V4の電圧値をディジタルデータD3に変換してCPU73に出力する。
電流測定装置81は、図10に示すように、プローブユニット5と、本体ユニット3B内に配設されているA/D変換回路75、CPU73および表示装置76とを備えて構成されている。この場合、プローブユニット5は、クランプした電線4に流れる電流I1の電流値を非接触で検出すると共に、電流値に応じて振幅が変化する検出信号S6をA/D変換回路75に出力する。A/D変換回路75は、入力した検出信号S6をディジタルデータD4に変換してCPU73に出力する。CPU73は、上述した電流算出処理を実行することにより、ディジタルデータD4に基づいて電流I1の電流値を算出して表示装置76に表示させる。
このように構成された電力測定装置71では、電圧測定装置1Bが、制御部CNT1を構成するA/D変換回路72、CPU73およびD/A変換回路74が検出信号S3をディジタルデータD1に変換すると共にそのディジタルデータD1に基づいて電圧生成回路25をディジタル的にフィードバック制御する以外は、電圧測定装置1の制御部CNTの各構成要素と同様にして電圧生成回路25をフィードバック制御して、フィードバック電圧V4を電圧V1に一致させる。
他方、電流測定装置81は、A/D変換回路75がプローブユニット5で検出された検出信号S6をディジタルデータD4に変換してCPU73に出力し、CPU73がこのディジタルデータD4に基づいて電流算出処理を実行することによって電線4に流れている電流I1の電流値を算出する。
また、CPU73は、電圧計26Aから入力したディジタルデータD3で示されるフィードバック電圧V4の電圧値(つまり電圧V1の電圧値)と、電流算出処理によって算出した電流I1の電流値とに基づいて電力算出処理を実行することにより、電線4に供給されている電力W1を算出(測定)して、表示装置76に表示させる。これにより、電力W1の測定が完了する。この場合、CPU73は、電力W1および電流I1の電流値と共に、電圧V1の電圧値を表示装置76に表示させる。なお、これらの電流値や電圧値を表示装置76に表示させる構成に代えて、ストレージ装置(図示せず)に記憶させたり、データ伝送装置(図示せず)を介して外部に伝送する構成を採用することもできる。
このように、この電圧測定装置1Bでは、測定対象体4としての電線4の電圧V1を測定する際に、容量変化機能体13に流れている電流iを示す検出信号S3をディジタルデータD1に変換し、このディジタルデータD1に基づいて電圧生成回路25をディジタル的にフィードバック制御する。したがって、制御部CNT1(A/D変換回路72、CPU73およびD/A変換回路74)をCPUやDSPを用いて簡易に構成することができる。また、電圧測定装置1Bでは、絶縁被膜RE1によって全体的に被覆された一対の弧状電極P1,P2で検出電極12Aが構成され、かつ可変容量回路19、電流検出器15、プリアンプ16および一対のコンデンサ18a,18bが絶縁被膜RE2で被覆されたケース11内に配設されている。したがって、検出電極12A、可変容量回路19、電流検出器15、プリアンプ16および一対のコンデンサ18a,18bが外部に露出していないため、これらの回路および部品と、装置外部の異物との接触を確実に回避することができる。また、機械的に可動する構成を含まない信頼性の高い可変容量回路19を使用している。したがって、電圧測定装置1Bの信頼性を十分に向上させることができると共に、この電圧測定装置1Bを用いた電力測定装置71についても、信頼性を十分に向上させることができる。
また、ディジタル的にフィードバック制御する電圧測定装置1Bを用いた電力測定装置71について説明したが、図11に示すように、アナログ的にフィードバック制御する電圧測定装置1Cを用いて電力測定装置91を構成することもできる。以下、この電力測定装置91について説明する。なお、電圧測定装置1と同一の構成要素、および電力測定装置71と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
電力測定装置91は、直流および交流の電力を測定可能に構成されており、図11に示すように、プローブユニット2B,5、および本体ユニット3Bを備えて構成されている。この場合、電力測定装置91では、プローブユニット2Bと本体ユニット3Bに含まれている後述の構成要素とで、測定対象体4(一例として電線4)の電圧V1を測定する電圧測定装置1Cが構成されている。また、プローブユニット5と本体ユニット3Bに含まれている後述の構成要素とで、電線4に流れている電流I1を測定する電流測定装置81が構成されている。電力測定装置91は、電圧測定装置1Cによって測定された電圧V1の電圧値と電流測定装置81によって測定された電流I1の電流値とに基づいて、電線4に供給されている電力W1を測定する。
電圧測定装置1Cは、プローブユニット2Bと、本体ユニット3B内に配設されている発振回路21、制御部CNT、電圧生成回路25および電圧計26Aとを備えて構成されている。この場合、制御部CNTは、アナログ信号としての検出信号S3に基づいて直流電圧V3を生成して電圧生成回路25に出力することにより、アナログ的にフィードバック電圧V4をフィードバック制御して、フィードバック電圧V4を電圧V1に一致させる。電流測定装置81は、プローブユニット5と、本体ユニット3A内に配設されているA/D変換回路75、CPU73および表示装置76とを備えて構成されている。この場合、CPU73は、電流算出処理を実行することにより、A/D変換回路75から入力したディジタルデータD4に基づいて電流I1の電流値を算出して表示装置76に表示させる。また、CPU73は、電圧計26Aから入力したディジタルデータD3に基づいてフィードバック電圧V4(電圧V1)の電圧値を表示装置76に表示させる。さらに、CPU73は、電圧計26Aから入力したディジタルデータD3で示されるフィードバック電圧V4の電圧値(つまり電圧V1の電圧値)と、電流算出処理によって算出した電流I1の電流値とに基づいて電力算出処理を実行することにより、電線4に供給されている電力W1を算出(測定)して、表示装置76に表示させる。
この電力測定装置91においても、電圧測定装置1Bと同様にして電圧測定装置1Cの信頼性を十分に向上させることができる結果、この電圧測定装置1Cを用いた電力測定装置91自体の信頼性を十分に向上させることができる。
また、上記した電圧測定装置1,1B,1Cでは、抵抗を用いて電流検出器15を構成しているが、インピーダンス素子であれば、抵抗に限らず、コンデンサやコイルで構成することもできるし、これらを組み合わせて構成することもできる。このようにインピーダンス素子を用いることにより、インピーダンス素子のインピーダンス値を変えることにより、電流iが流れたときに発生する電圧V2の電圧値を任意に変更することができる。このため、測定対象体4の電圧の高低に応じて電流検出器15に発生する電圧V2を適切な値に設定できる結果、低電圧から高電圧までの広い電圧範囲に亘って測定対象体4の電圧を正確に測定することができる。また、インピーダンス素子に代えて、セラミック共振器や水晶振動子などの各種共振体を含む共振回路、およびコイルとコンデンサとで構成されたLC共振回路(直列共振回路または並列共振回路)のいずれかを用いることもできる。これらの共振回路のうちの共振体を含む共振回路およびLC並列共振回路は、特定の周波数(共振周波数)においてインピーダンスが最大になるという特性を有している。このため、一例として図12に示すように、コイル15aとコンデンサ15bとで構成されたLC並列共振回路を用いて電流検出器15を構成し、この特定の周波数を容量変化機能体13の容量変調周波数と一致させることにより、容量変調周波数とは異なる周波数のノイズが電流iに重畳しているときでも、電流検出器15の両端に発生する電圧V2に含まれている電圧成分のうちの電流iに起因した電圧成分をこのノイズに起因した電圧成分に対して十分に大きくすることができるため、ノイズを抑制することができる。他方、LC直列共振回路は、特定の周波数(共振周波数)において全体としてのインピーダンスが最小(ゼロ)になるという特性を有している。この場合、LC直列共振回路を構成するコンデンサ(コイルも同様)の両端電圧は最大となる。このため、一例として図13に示すように、コイル15aとコンデンサ15bとで構成されたLC直列共振回路を用いて電流検出器15を構成し、この特定の周波数を容量変調周波数と一致させると共に、コンデンサ15b(またはコイル15a)の両端電圧を電圧V2としてプリアンプ16が検出する構成を採用することにより、容量変調周波数とは異なる周波数のノイズが電流iに重畳しているときであっても、上記したLC並列共振回路と同様にして電流検出器15の両端に発生するこのノイズに起因した電圧の発生を抑制することができる。したがって、これらの共振回路で電流検出器15を構成することにより、共振回路の共振時におけるインピーダンス値を変えることで電流iが流れたときに共振回路に発生する電圧の値を任意に変更することができるため、低電圧から高電圧までの広い電圧範囲に亘って測定対象体4の電圧V1を測定することができる。しかも、共振回路の共振周波数で容量変化機能体13の静電容量C1を変化させることで、共振回路に流れる電流iをより大きな電圧として検出することができるため、このノイズに起因した電圧信号の検出信号S3への混入を低減できる結果、電圧測定装置1,1B,1Cの耐ノイズ性能を高めることができる。したがって、誤動作の少ない状態で測定対象体4の電圧V1を測定することができる。また、抵抗等のインピーダンス素子や共振回路を用いて電流を電圧に変換して検出する構成に代えて、電流を直接検出する構成を採用することもできる。この構成においては、電磁誘導型の電流検出器(CT形電流検出器)を用いたり、ホール素子、磁気ブリッジ、フラックスゲートセンサ、MI(磁気インピーダンス)センサ、MR(磁気抵抗効果)センサ、GMR(巨大磁気抵抗効果)センサおよびTMR(トンネル磁気抵抗効果)センサなどの磁気センサを用いて構成することができる。
また、電圧測定装置1,1A,1B,1Cでは、プリアンプ16で生成される検出信号S3を、増幅回路22またはA/D変換回路72に直接入力する例について説明したが、フィルタ回路(図示せず)を介して検出信号S3を増幅回路22またはA/D変換回路32に入力することもできる。この場合、容量変化機能体13の容量変調周波数と同じ周波数の信号を選択的に通過させるようにこのフィルタ回路を構成することにより、容量変調周波数とは異なる周波数のノイズが電流iに重畳しているときでも、このノイズの検出信号S3への混入を抑制することができる。したがって、電圧測定装置1,1A,1B,1Cの耐ノイズ性能を高めることができる。
また、電圧測定装置1B,1Cを電力測定装置71,91に適用する例について説明したが、電圧測定装置1,1A,1B,1Cは、レーザープリンタなどの複写機における感光ドラムの表面電位を検出する表面電位計として利用することができる。また、壁内に配設されている電気配線の位置を検出する探知機として利用することもできる。これらの機器に本発明に係る電圧測定装置を用いることにより、これらの機器の信頼性(耐久性や耐候性を含む)を十分に向上させることができる。さらに、プリント基板に形成されているプリントパターンの断線等を検査する基板検査装置にも本発明を適用することができる。
また、電圧測定装置1,1A,1B,1Cでは、フィードバック電圧V4が電圧V1に達して一定になったとき、つまり、電流iがゼロアンペアになったときや両端間電圧V5がゼロボルトになったときのフィードバック電圧V4を測定対象体4の電圧V1として測定する構成を採用することにより、電圧V1を高精度で測定しているが、測定精度的に許容される場合、電流iや両端間電圧V5が所定値(例えば数ミリアンペアや数ミリボルト)以下となったときのフィードバック電圧V4を測定対象体4の電圧V1として測定する構成を採用することもできる。また、電位差(V1−V4)が所定値(例えば数百ミリボルト)以下に達したときのフィードバック電圧V4を測定対象体4の電圧V1として測定する構成を採用することもできる。この構成を採用することにより、測定対象体4の電圧V1を許容できる精度で、より短時間に測定することができる。
また、上記した各容量変化機能体13の各構成単位については、図2,3、および図5〜図8に示すように、ダイオード(図6の容量変化機能体13Bや図8の容量変化機能体13Dの場合には等価的に1つのダイオード)、コンデンサ、コイル、抵抗および共振体のいずれか1つで構成したが、これに限定されるものではない。例えば、図2に示す構成単位31を例に挙げて、可変容量要素(一例としてダイオード)を含む構成単位の取り得る構成に関して説明すると、接続点Aとダイオード41との間、および接続点Bとダイオード41との間の少なくとも1つに、他の可変容量要素(一例として可変容量ダイオードやシリコンダイオード)、抵抗、コンデンサおよびコイルの少なくとも1つを1つ以上配設することもできる。また、他の可変容量要素(一例としてダイオード)を配設する場合には、上記したように複数の可変容量要素が直列に接続される構成の他に、一部の可変容量要素同士が並列に接続されるように配設することもできる。ただし、1つの構成単位内に複数の可変容量要素(一例としてダイオード)を配設する場合には、この構成単位内において、すべてのダイオードを同一方向の向きで配設する必要がある。また、ダイオード41に対してコンデンサを並列に接続することもできる。他方、例えば、図2に示す構成単位32を例に挙げて、コンデンサを含む構成単位に関して説明すると、接続点Bとコンデンサ62との間、および接続点Cとコンデンサ62との間の少なくとも1つに、抵抗、コンデンサおよびコイルの少なくとも1つを配設することもできる。また、コンデンサ62に対して他のコンデンサを並列に接続することもできる。
また、可変容量ダイオードも一般的なダイオードも逆バイアス時においてコンデンサとして機能する点では同じであるため、1つの構成単位において複数のダイオードを使用するときには、可変容量ダイオードと一般的なダイオードとを混在して使用することもできる。