以下、添付図面を参照して、本発明に係る電圧測定装置の最良の形態について説明する。
最初に、本発明に係る電圧測定装置1について、図面を参照して説明する。
電圧測定装置1は、図1に示すように、プローブユニット2および本体ユニット3を備え、測定対象体4の電圧V1を非接触で測定可能に構成されている。
プローブユニット2は、図1に示すように、ケース11、検出電極12、可変容量回路19、電流検出器15およびプリアンプ16を備え、本発明におけるセンサ部として機能する。ケース11は、導電性材料(例えば金属材料)を用いて構成されている。検出電極12は、例えば、平板状に形成されると共に、その一方の面側がケース11の外表面に露出し、かつ他方の面側がケース11の内部に露出するようにしてケース11に固定されている。一例として、検出電極12は、ケース11に設けられている孔(図示せず)に、この孔を閉塞し、かつケース11に対して電気的に絶縁された状態で取り付けられている。また、本例では、一例として、ケース11は、その表面が樹脂材などで形成された絶縁被膜で覆われている。この場合、検出電極12は、この絶縁被膜で覆われていてもよいし、絶縁被膜から露出していてもよい。
可変容量回路19は、図1に示すように、1つの容量変化機能体13および1つの駆動回路14を備えている。また、可変容量回路19(具体的には容量変化機能体13)は、第1の構成単位31、第2の構成単位32、第3の構成単位33および第4の構成単位34がこの順に環状(ブリッジ状)に接続されて、いわゆるブリッジ回路に構成されている。具体的には、各構成単位31,32,33,34は、図2に示すように、第1電気的要素E11,E12,E13,E14(以下、特に区別しないときには「第1電気的要素E1」ともいう)をそれぞれ1つずつ含んで構成されている。
この場合、各第1電気的要素E1は、一端が他端に対して高電位のときに抵抗体として機能し、かつ他端が一端に対して高電位のときに容量体としてそれぞれ機能する一対の第1素子41a,41b(以下、特に区別しないときには第1素子41ともいう)をそれぞれ1つずつ含み、各第1素子41が互いに逆向きに直列接続されて構成されている。これにより、各第1電気的要素E1は、直流信号の通過を阻止しつつ印加電圧の絶対値の大きさに応じて容量が変化するように構成されている。本例では、一例として、各第1素子41は、互いに接合されたP型半導体およびN型半導体を有して構成され、具体的には1つのダイオード(一例として可変容量ダイオード。バリキャップやバラクタダイオードともいう。)で構成され、各第1電気的要素E1は、これら2つのダイオードが逆向きに直列接続されて(アノード端子同士が接続されて)構成されている。また、各第1素子41a,41bには同一またはほぼ同一の特性の可変容量ダイオードが使用されて、第1の構成単位31および第3の構成単位33の各インピーダンスの積と、第2の構成単位32および第4の構成単位34の各インピーダンスの積とが同一またはほぼ同一(一例として数%程度の範囲内で相違する状態)に設定されている。
なお、図2に示す容量変化機能体13では、各第1電気的要素E1は、一対の第1素子41a,41bの一端同士を接続して(一対のダイオードのアノード端子同士を接続して)構成されているが、図3に示す容量変化機能体13のように、一対の第1素子41a,41bの他端同士を接続して(一対のダイオードのカソード端子同士を接続して)、各第1電気的要素E1を構成することもできる。また、可変容量ダイオードは、電圧を逆方向に印加したときにダイオードのPN接合における空乏層の厚みが変化することによる静電容量(接合容量)の変化を利用したものであり、この静電容量の変化を大きくしたものをいう。他方、PN接合で構成される一般的なダイオード(シリコンダイオード)においても、可変容量ダイオードと比べて少ないものの、上記した静電容量(接合容量)の変化は発生する。このため、図2,3に示す各容量変化機能体13におけるすべての第1素子41a,41bを、一般的なダイオードで構成された第1素子51a,51b(以下、区別しないときには、第1素子51ともいう)に置き換えた構成(図4,5参照)であっても、容量変化機能体13を構成することができる。
また、可変容量回路19は、図1に示すように、検出電極12と参照電位Vrとなる部位(本例ではケース11)との間に、容量変化機能体13における第1の構成単位31および第4の構成単位34の接続点Aが検出電極12側に接続されると共に第2の構成単位32および第3の構成単位33の接続点Cがケース11側に接続された状態で配設されている。具体的には、可変容量回路19は、容量変化機能体13の接続点Aが検出電極12に直接接続されると共に、容量変化機能体13の接続点Cが電流検出器15を介してケース11に接続されて検出電極12とケース11との間に配設されている。また、第1の構成単位31および第2の構成単位32の接続点Bと、第3の構成単位33および第4の構成単位34の接続点Dとが駆動回路14に接続されている。また、可変容量回路19は、ケース11の外部に露出しない状態で、ケース11内部に配設されている。
駆動回路14は、例えば、トランスおよびフォトカプラなどの絶縁用電子部品を用いて構成されて、本体ユニット3から入力した駆動信号S1を、この駆動信号S1と電気的に絶縁されると共に駆動信号S1と同一の周波数f1の駆動信号S2に変換して容量変化機能体13に出力(印加)する。本例では、一例として、駆動回路14は、図1に示すように、一次巻線Tr1aおよび二次巻線Tr1bを備えた絶縁型のトランスTr1を用いて構成されている。この場合、二次巻線Tr1bの各端部が容量変化機能体13の接続点B,Dに接続されている。駆動回路14では、入力した駆動信号S1に基づいて一次巻線Tr1aが励磁されることで、トランスTr1が二次巻線Tr1bに駆動信号S2を発生させる。この構成により、駆動回路14は、駆動信号S1を低歪みで駆動信号S2に変換し、この駆動信号S2を容量変化機能体13の各接続点B,D間に印加する。本例では、後述するように一例として駆動信号S1として正弦波信号を用いているため、駆動信号S2も正弦波信号として出力される。また、上記の駆動回路14に代えて、本体ユニット3から駆動信号S1を入力することなく駆動信号S2を単独で出力するフローティング信号源(図示せず)をプローブユニット2内に配設することもできる。
電流検出器15は、一例として絶縁型のトランスTr2で構成されて本発明における検出回路として機能する。また、電流検出器15は、トランスTr2の一次巻線Tr2aの一端部が可変容量回路19(具体的には可変容量回路19における容量変化機能体13の接続点C)に接続され、かつ他端部がケース11に接続されて、可変容量回路19とケース11との間に接続されている。これにより、電流検出器15(つまりトランスTr2)は、可変容量回路19と直列に接続された状態で検出電極12とケース11との間に配設されて、可変容量回路19の容量変化機能体13に流れている電流iを検出すると共に、この電流iの電流値(振幅)に比例した振幅の電圧V2を二次巻線Tr2bに誘起(発生)させる。プリアンプ16は、トランスTr2の二次巻線Tr2bに誘起される電圧V2を増幅して、検出信号S3として出力する。この場合、電圧V2は電流iの値に比例して変化するため、この電圧V2を増幅して生成された検出信号S3も電流iの値に比例して変化する。また、上記した電流検出器15およびプリアンプ16は、可変容量回路19と共にケース11内部に配設されている。
本体ユニット3は、図1に示すように、制御部3a、処理部3b、電圧生成部3c、電圧計3dおよび出力部3eを備えて構成されている。この場合、制御部3aは、入力した検出信号S3に基づいて後述するアナログ信号S5と極性信号S8とを生成して電圧生成部3cに出力し、電圧生成部3cに対して参照電位Vrの電圧を変化させる。具体的には、制御部3aは、発振回路21、フィルタ回路22、増幅回路23、検波回路24および極性判定回路25を備えている。発振回路21は、一定の周期T1(周波数f1)の駆動信号S1を生成してプローブユニット2に出力する。また、発振回路21は、周期T1の二分の一の周期T2(周波数f2=2×f1)の検波用信号S11を駆動信号S1に同期させて生成して極性判定回路25に出力する。この場合、本例では、発振回路21は、駆動信号S1および検波用信号S11として正弦波信号を生成する。フィルタ回路22は、プローブユニット2から入力した検出信号S3に含まれている容量変化機能体13の容量変調周波数f2と同じ周波数の信号S3aを選択的に通過させる。
増幅回路23は、フィルタ回路22から入力した信号S3aを増幅して、検出信号S4として出力する。また、増幅回路23は、動作開始直後においては予め設定された初期利得(初期増幅率Ga0)で信号S3aを増幅し、処理部3bから制御信号S12を入力したときには、制御信号S12に基づいてその利得(増幅率)を変更して信号S3aを増幅する。本例では、容量変化機能体13の容量変調周波数f2は、駆動信号S2の周波数f1の2倍であるため、容量変化機能体13の静電容量C1の変化によって生じる電流iの周波数も駆動信号S1の周波数f1の2倍となり、プリアンプ16で生成される検出信号S3中には周波数f1,f2の各信号成分が含まれるものの、増幅回路23から出力される検出信号S4の周波数はフィルタ回路22によるフィルタリングによってf2となる。検波回路24は、例えば包絡線検波方式によって検出信号S4を検波することにより、アナログ信号S5を生成する。この場合、アナログ信号S5は、その振幅(電圧値)が可変容量回路19を流れる電流iの電流値に比例して変化する。したがって、検出信号S3も電流iの振幅(電流値)に比例して変化する信号であるため、アナログ信号S5と検出信号S3とは、互いに同期し、かつ比例した信号となる。極性判定回路25は、検波用信号S11および検出信号S4を入力して検波用信号S11に対する検出信号S4の位相を検出する。また、極性判定回路25は、検出した位相に基づいて、測定対象体4およびケース11の各電圧V1,Vrの電位差(V1−Vr)の極性を判定すると共に、この極性を示す極性信号S8を生成して出力する。一例として、本例では、極性判定回路25は、電位差(V1−Vr)の極性と同じ極性で極性信号S8を出力する。
処理部3bは、一例としてCPUおよび内部メモリを備えて構成されて、電圧測定装置1のフィードバックループの利得を設定する利得設定処理を実行する。また、処理部3bは、現在のフィードバックループの利得が適切なものであるか否かを示すデータD1を出力部3eに出力する出力処理を実行する。なお、内部メモリには、利得設定処理で使用される規定値(−Vdr以上+Vdr以下)、増幅回路23に対する複数の増幅率Ga1,Ga2,Ga3,・・・(Ga0<Ga1<Ga2<Ga3,・・・)が予め記憶されている。
電圧生成部3cは、電圧生成回路27およびトランス(昇圧トランス)Tr3を備えて構成されている。電圧生成回路27は、電圧信号S6を生成して出力する。この場合、電圧生成回路27は、出力している電圧信号S6の電圧を、入力したアナログ信号S5の振幅(電圧値)に比例した量だけ、入力した極性信号S8の極性が「正」のときには増加させ、逆に「負」のときには減少させる。トランスTr3は、絶縁型のトランスであって、一次巻線Tr3a(巻数:n1)および二次巻線Tr3b(巻数:n2>n1)を備えて昇圧トランスとして構成されている。この場合、一次巻線Tr3aおよび二次巻線Tr3bは、それぞれの一端部が接地(グランドに接続)されている。また、一次巻線Tr3aの他端部は電圧生成回路27に、二次巻線Tr3bの他端部はプローブユニット2のケース11にそれぞれ接続されている。この構成により、トランスTr3は、一次巻線Tr3aに入力した電圧信号S6を昇圧して、参照電位信号S7として二次巻線Tr3bの他端部に出力すると共に、プローブユニット2のケース11に印加する。このようにしてケース11は、その電位(参照電位)Vrが参照電位信号S7の電圧に規定される。
電圧計3dは、参照電位信号S7の電圧(参照電位Vr)を測定して、その電圧値を表示する。なお、電圧計3dは、測定した参照電位Vrを表示する構成に代えて、プリンタなどの印刷装置に出力したり、外部メモリなどの記憶装置に記憶させたり、外部機器に伝送したりする構成にすることもできる。出力部3eは、本例では一例として表示装置で構成されて、処理部3bからのデータD1に基づいて、現在のフィードバックループの利得が適切なものであるか否かを示す内容を表示する。一例として出力部3eは、フィードバックループの利得が適切であるときには「測定値有効」という文字を表示し、適切でないときには「測定値無効」という文字を表示する。なお、出力部3eとしては、表示装置以外に、「測定値有効」および「測定値無効」などの文字を印刷する印刷装置を採用することもできるし、現在のフィードバックループの利得が適切なものであるか否かをブザー音、音声およびLEDの点灯状態で報知する報知装置や、その旨を示すデータを送信する伝送装置を採用することができる。
次いで、電圧測定装置1の測定動作について説明する。なお、発明の理解を容易にするため、一例として、電圧生成回路27は、電圧測定装置1の測定動作開始時(時刻t0)は、ゼロボルトの電圧信号S6を生成し、その後、その電圧を増加または減少させるものとする。したがって、電圧生成部3cは、図7において実線で示すように、参照電位信号S7をゼロボルトから生成し始めるものとする。
まず、電圧V1の測定に際して、検出電極12が非接触な状態で測定対象体4に対向するように、プローブユニット2を測定対象体4の近傍に配設する。これにより、図1に示すように、検出電極12と測定対象体4との間に静電容量C0が形成された状態となる。この場合、静電容量C0の容量値は、検出電極12と測定対象体4の距離に反比例して変化するが、プローブユニット2を配設し終えた後は、湿度などの環境条件が一定のもとでは一定となる(変動しない)。ただし、静電容量C0は、湿度等の環境条件が変化したときには変動する。
次いで、電圧測定装置1の起動状態において、制御部3aでは、発振回路21が駆動信号S1および検波用信号S11の生成を開始して、駆動信号S1をプローブユニット2に、また検波用信号S11を極性判定回路25に出力する。プローブユニット2では、可変容量回路19の駆動回路14が、入力した駆動信号S1を駆動信号S2に変換して容量変化機能体13の各接続点B,D間に印加(出力)する。容量変化機能体13では、各接続点B,D間に印加された駆動信号S2が分圧されて、第1の構成単位31、第2の構成単位32、第3の構成単位33および第4の構成単位34にそれぞれ印加される。
この場合、図6に示すように、駆動信号S2の1周期T1のうちの期間Ta(接続点Dを基準として接続点Bの電位が高電位になり、かつ相互間の電位差が徐々に大きくなる期間)では、各第1電気的要素E1における逆電圧が印加されて(逆バイアスされて)コンデンサとして機能する各第1素子41の各静電容量が徐々に減少する。具体的には、各第1電気的要素E11,E14では、逆バイアスされている各第1素子41bの静電容量が、また各第1電気的要素E12,E13では、逆バイアスされている各第1素子41aの静電容量が徐々に減少する。また、駆動信号S2の1周期T1のうちの期間Tb(接続点Dを基準として接続点Bの電位が高電位になり、かつ相互間の電位差が徐々に小さくなる期間)では、逆バイアスされている各第1素子41、具体的には各第1電気的要素E11,E14では各第1素子41b、また各第1電気的要素E12,E13では各第1素子41aの各静電容量が徐々に増加する。
また、駆動信号S2の1周期T1のうちの期間Tc(接続点Dを基準として接続点Bの電位が低電位になり、かつ相互間の電位差が徐々に大きくなる期間)では、逆バイアスされてコンデンサとして機能する各第1素子41、具体的には各第1電気的要素E11,E14では各第1素子41a、また各第1電気的要素E12,E13では各第1素子41bの各静電容量が徐々に減少する。また、駆動信号S2の1周期T1のうちの期間Td(接続点Dを基準として接続点Bの電位が低電位になり、かつ相互間の電位差が徐々に小さくなる期間)では、逆バイアスされている各第1素子、具体的には各第1電気的要素E11,E14では各第1素子41a、また各第1電気的要素E12,E13では各第1素子41bの各静電容量が徐々に増加する。なお、各第1電気的要素E1に含まれている第1素子41a,41bのうちの順電圧が印加されている(順バイアスされている)第1素子41a,41bは等価的に抵抗として機能している。このため、各第1電気的要素E1の静電容量は、駆動信号S2の1周期T1内において、減少および増加を2回繰り返す。
このようにして、駆動信号S2の1周期T1内において、各構成単位31〜34に含まれている各第1電気的要素E1の静電容量が増加および減少を2回ずつ繰り返すため、これらの静電容量を合成してなる容量変化機能体13の静電容量C1(接続点A,B間の静電容量)も増加および減少を2回繰り返す。つまり、可変容量回路19は、入力した駆動信号S2の周期T1に同期して、かつ周期T1の二分の一の周期T2(周波数f2=2×f1)でその静電容量C1を連続的(本例では周期的)に変化させる動作を実行する。この場合、上記したように、可変容量回路19は電流検出器15を介在させた状態でケース11と検出電極12との間に直列に接続されているため、その静電容量C1と、測定対象体4および検出電極12の間に形成される静電容量C0とは、測定対象体4とケース11との間に直列に接続された状態になっている。このため、静電容量C1が周波数f2(容量変調周波数)で周期的に変化することにより、測定対象体4とケース11との間の静電容量C2(各静電容量C0,C1の直列合成容量)も、図6に示すように、駆動信号S2の周期T1に同期して、かつ周期T1の二分の一の周期T2(周波数f2)で変化する。
また、可変容量回路19では、上記したように、容量変化機能体13の各第1素子41には同一またはほぼ同一の特性の可変容量ダイオード(または一般的なダイオード)が使用され、この結果、第1の構成単位31および第3の構成単位33の各インピーダンスの積と、第2の構成単位32および第4の構成単位34の各インピーダンスの積とが同一またはほぼ同一に設定されている。したがって、ブリッジ回路でもある容量変化機能体13は、ブリッジ回路としての平衡条件を満足しているため、駆動信号S2の電圧成分(駆動信号S1と同じ周波数f1の電圧信号)が各接続点A,C間にほとんど発生しない状態で、その静電容量C1を周期T2で変化させている。また、接続点Aに接続されている各構成単位31,34に含まれている各第1電気的要素E11,E14の組、および接続点Cに接続されている各構成単位32,33に含まれている各第1電気的要素E12,E13の組のうちの少なくとも一方の組に含まれている2つの第1電気的要素E1が共に常時コンデンサとして機能しているため、検出電極12とケース11とは、可変容量回路19を介して交流的に接続されているものの直流的には短絡されない状態に維持されている。
このため、静電容量C1の周期T2での周期的な変化に基づいて測定対象体4とケース11との間の静電容量C2が周期T2で周期的に変化することにより、可変容量回路19には、測定対象体4およびケース11の各電圧V1,Vrの電位差(V1−Vr)に応じた振幅の電流i(周期T2)が流れる。具体的には、電流iは、電位差(V1−Vr)が大きいときにはその振幅(電流値)が大きくなり、電位差(V1−Vr)が小さいときにはその電流値が小さくなる。
したがって、図7に示すように、測定対象体4の電圧V1が正の電圧のとき(時刻t0)に、電圧測定装置1が測定動作を開始したときには、電位差(V1−Vr)は正の電圧となり、電流iは、図示はしないが、その周期がT2であって、その振幅が電位差(V1−Vr)に応じて変化する交流信号として流れる。プリアンプ16は、この電流iに起因して電流検出器15を構成するトランスTr2の二次巻線Tr2bに誘起される電圧V2を増幅して、検出信号S3として出力する。この場合、検出信号S3には、電流iの周波数f2と同一の周波数成分が主として含まれると共に、駆動信号S2の周波数f1と同一の周波数成分も含まれている。
本体ユニット3の制御部3aでは、フィルタ回路22が、検出信号S3に含まれている周波数f2の信号成分を信号S3aとして選択的に出力し、増幅回路23は、この信号S3aを初期増幅率で増幅して検出信号S4を生成して検波回路24に出力する。次いで、検波回路24は、入力した検出信号S4を検波してアナログ信号S5を生成して電圧生成部3cに出力する。この場合、アナログ信号S5は、その振幅が電位差(V1−Vr)の値に比例して変化する信号となる。また、極性判定回路25は、検波用信号S11および検出信号S4を入力して検波用信号S11に対する検出信号S4の位相を検出することにより、電位差(V1−Vr)の極性と同じ極性となる極性信号S8を生成して電圧生成部3cに出力する。
本体ユニット3の電圧生成部3cでは、電圧生成回路27が、出力している電圧信号S6の電圧を、入力したアナログ信号S5の振幅(電圧値)に比例した量だけ、入力した極性信号S8の極性が「正」のときには増加させ、逆に「負」のときには減少させる。したがって、図7に示すように、測定対象体4の電圧V1が正の電圧のとき(時刻t0)に、電圧測定装置1が測定動作を開始したときには、電圧信号S6は当初ゼロボルトであるため、参照電位信号S7もゼロボルトである。この結果、電位差(V1−Vr)は正の電圧となり、これによって極性信号S8の極性も正となる。このため、電圧生成部3cでは、電圧生成回路27が、入力したアナログ信号S5の振幅に比例した量だけ、電圧値を増加させて電圧信号S6を出力する。次いで、トランスTr3が電圧信号S6を昇圧して参照電位信号S7を出力してケース11に印加する。この結果、電流検出器15、プリアンプ16、フィルタ回路22、増幅回路23、検波回路24および電圧生成部3c(電圧生成回路27とトランスTr3)で構成されるフィードバックループ(本発明におけるセンサ部および電圧生成部を含むフィードバックループの一例)内で、測定対象体4とケース11との間の電位差(V1−Vr)が徐々に低下(減少)するように負のフィードバックが行われる。
したがって、電流iは、電流値(振幅)が徐々に低下(減少)していく。一般的には、電圧測定装置1では、参照電位Vrの測定対象体4の電圧V1への収束が短時間で完了するように、その過渡特性が設定される。このため、参照電位信号S7は、図7に示すように、電圧V1に対してオーバーシュートしつつ時刻t1において収束する。なお、オーバーシュートして、参照電位Vrが測定対象体4の電圧V1を上回ったときには、電位差(V1−Vr)は負の電圧となり、これによって極性信号S8の極性も負となる。このため、電圧生成部3cでは、電圧生成回路27が、入力したアナログ信号S5の振幅に比例した量だけ、電圧値を減少させて電圧信号S6を出力する。その後は、電圧測定装置1は、上記のフィードバック動作を継続することにより、変化する測定対象体4の電圧V1に対して一定の偏差内に収まるように参照電位信号S7の電圧値(参照電位Vr)を変化させる。この場合、参照電位信号S7(および電圧信号S6)は、測定対象体4の電圧V1に同期して変化する交流信号となる。電圧計3dは、参照電位信号S7の電圧をリアルタイムで計測して、その電圧値(参照電位Vr)を表示する。
一方、処理部3bは、測定開始(時刻t0)から時間(t1−t0)だけ経過した後に、図8に示す利得設定処理100を実行する。この利得設定処理100では、処理部3bは、まず、増幅回路23の増幅率がGa0のときのアナログ信号S5の振幅Vp1を第1振幅として検出する(ステップ101)。ここで、上記したように検出信号S3とアナログ信号S5とは比例するため、アナログ信号S5の振幅Vp1を検出することは、実質的には検出信号S3の振幅を検出することと等価である。次いで、処理部3bは、検出したアナログ信号S5の第1振幅Vp1を内部メモリ(図示せず)の第1振幅記憶領域に記憶する(ステップ102)。
続いて、処理部3bは、増幅回路23の増幅率を1段階増加させる(ステップ103)。具体的には、処理部3bは、増幅率Ga0の次に値の大きい増幅率Ga1を内部メモリから読み出すと共に、この増幅率Ga1に対応する制御信号S12(例えば、増幅率Ga1に対応する電圧レベルの制御信号S12)を生成して増幅回路23に出力する。次いで、処理部3bは、増幅回路23の増幅率がGa1のときのアナログ信号S5の振幅Vp2を第2振幅として検出し(ステップ104)、次いで、検出したアナログ信号S5の第2振幅Vp2を内部メモリの第2振幅記憶領域に記憶する(ステップ105)。このようにして増幅回路23の増幅率(利得)を増加させることにより、電圧測定装置1のフィードバックループの利得も増加するため、測定対象体4の電圧V1に対する参照電位信号S7の電圧(参照電位Vr)の偏差も、増幅回路23の増幅率(利得)の増加前と比較して小さくなる。続いて、処理部3bは、第1振幅記憶領域および第2振幅記憶領域に記憶されている各振幅Vp1,Vp2を読み出して、これらの差分値Vdif(=Vp1−Vp2)を算出し(ステップ106)、次いで、規定値(−Vdr以上+Vdr以下)と比較する(ステップ107)。
この比較の結果、差分値Vdifが規定値(−Vdr以上+Vdr以下)の範囲外のとき(規定値を満たさないとき)には、処理部3bは、内部メモリの第2振幅記憶領域に記憶されている第2振幅Vp2を第1振幅Vp1として第1振幅記憶領域に上書き記憶する(ステップ108)。次いで、処理部3bは、上記のステップ103〜ステップ107を実行する。この際に、処理部3bは、ステップ103において、増幅率Ga1の次に値の大きい増幅率Ga2を内部メモリから読み出すと共に、この増幅率Ga2に対応する制御信号S12(例えば、増幅率Ga2に対応する電圧レベルの制御信号S12)を生成して増幅回路23に出力する。したがって、処理部3bは、2回目のステップ106において、第1振幅記憶領域に記憶されている増幅率Ga1のときの振幅Vp1と、第2振幅記憶領域に記憶されている増幅率Ga2のときの振幅Vp2との差分値Vdifを算出し、次のステップ107において、この差分値Vdifを規定値と比較する。
上記したように、増幅回路23の増幅率(利得)をさらに増加させることにより、電圧測定装置1のフィードバックループの利得もさらに増加するため、測定対象体4の電圧V1に対する参照電位信号S7の電圧(参照電位Vr)の偏差も、増幅回路23の増幅率(利得)の変更前と比較してさらに小さくなる。処理部3bは、ステップ103〜ステップ108を、ステップ103において増幅回路23の増幅率を段階的に増加させながら、ステップ107において、差分値Vdifが規定値内(規定値の範囲内)となるまで繰り返し実行する。その結果、ステップ107において、差分値Vdifが規定値内となったときには、現在の増幅率のときのアナログ信号S5の振幅Vp2は、一つ前の増幅率(一段階小さい増幅率)のときのアナログ信号S5の振幅Vp1と比較して、規定値(−Vdr以上+Vdr以下)の範囲内でしか大きくなっていないこと、言い換えれば、現在の増幅回路23の増幅率(つまりフィードバックループの利得)および増幅回路23の一つ前の増幅率において、電圧測定装置1は、所望の精度で測定対象体4の電圧V1を測定していることを意味している。したがって、これ以上、増幅回路23の増幅率を増加させて、電圧測定装置1のフィードバックループの利得を増加させる必要がないため、処理部3bは、この利得設定処理100を終了して、出力処理を実行する。
この出力処理では、処理部3bは、「測定値有効」を示すデータD1を出力部3eに出力する。出力部3eは、入力したデータD1に基づいて、「測定値有効」という文字を表示する。したがって、出力部3eに「測定値有効」が表示されたときに電圧計3dに表示されている電圧値(参照電位Vr)を測定することにより、所望の精度での測定対象体4の電圧V1の測定が可能となる。なお、利得設定処理100の実行中においては、処理部3bは、「測定値無効」を示すデータD1を出力部3eに出力し、出力部3eが、入力したデータD1に基づいて、「測定値無効」という文字を表示する。したがって、測定対象体4の電圧V1についての所望の精度以下での測定を回避することが可能となる。
このように、この電圧測定装置1では、処理部3bがフィードバックループの利得を少なくとも1段階増加させて、増加の前後の各利得において検出したプローブユニット2から出力される検出信号S3の振幅(本例では、一例として検出信号S3に比例するアナログ信号S5の振幅)をそれぞれ記憶すると共に相互の差分値Vdifを算出して、この差分値Vdifが規定値(−Vdr以上+Vdr以下)内のときに出力部3eに対して「測定値有効」を表示させる。したがって、この電圧測定装置によれば、この表示に基づいて、検出信号や参照電位がほとんど変化しない利得であって、しかも下限値または下限値に極めて近い利得にフィードバックループの利得を設定した状態で、測定対象体4の電圧V1を測定することができる。このため、湿度等の環境条件の変化に起因してフィードバックループの利得が低下して所望の測定精度を確保できない事態や、逆にフィードバックループの利得を必要以上に大きく設定したときに生じる耐ノイズ特性の低下に起因して所望の測定精度を確保できないという事態を回避できる結果、測定対象体4の電圧測定についての信頼性を十分に高めることができる。
また、この電圧測定装置1では、測定対象体4に対向可能な検出電極12と、検出電極12に接続されてその静電容量C1を変化可能に構成された可変容量回路19と、電流検出器15とを備えてプローブユニット2がセンサ部として構成されている。したがって、この電圧測定装置1によれば、検出電極12をプローブユニット2の表面に配設し、かつ可変容量回路19および電流検出器15をプローブユニット2の内部に配設した状態で測定対象体4の電圧V1を測定することができるため、可変容量回路19を測定対象体4と直接対向させるための孔を設けることなくプローブユニット2を構成することができる。したがって、この電圧測定装置1によれば、この孔を介して異物がプローブユニット2内に誤って挿入される事態、およびこの誤挿入に起因したプローブユニット2内の部品の破損を確実に回避することができるため、装置全体の信頼性を向上させることができる。
また、この電圧測定装置1によれば、直流信号の通過を阻止しつつ印加電圧の絶対値の大きさに応じて容量が変化する第1電気的要素E1を含んで可変容量回路19を構成したことにより、駆動信号S2の周波数f1の2倍の周波数f2で静電容量C1を変化させることができ、ひいては測定対象体4とケース11との間の静電容量C2を周波数f2で変化させることができる。したがって、電圧測定装置1によれば、電流検出器15〜電圧生成部3c(電圧生成回路27とトランスTr3)のフィードバックループの応答速度を高速化できるため、参照電位信号S7(参照電位Vr)を電圧V1に正確に追従させることができる結果、測定対象体4の電圧V1を正確に測定することができる。
また、この電圧測定装置1によれば、ブリッジ状に接続された4つの第1電気的要素E1を備えて可変容量回路19を構成し、かつ可変容量回路19がブリッジ回路としての平衡条件を満足するように各第1電気的要素E1の各インピーダンスを設定したことにより、可変容量回路19は、その各接続点B,D間に駆動信号S2が印加されているときに、駆動信号S2の電圧成分(駆動信号S2と同じ周波数f1の電圧信号)が各接続点A,C間にほとんど発生しない状態(発生したとしても、非常にレベルの小さい電圧信号が発生している状態)で、その静電容量C1を周期T2で変化させることができる。したがって、この可変容量回路19を用いた電圧測定装置1によれば、静電容量変化時において可変容量回路19に発生する電流iへの駆動信号S2の影響を排除できる結果、この電流iをプローブユニット2においてより正確に検出することができ、これにより、測定対象体4の電圧V1をより正確に測定することができる。
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、上記した電圧測定装置1では、動作を開始する都度、増幅回路23が動作開始直後においては予め設定された初期利得(初期増幅率Ga0)で信号S3aを増幅し、処理部3bから制御信号S12を入力したときには制御信号S12に基づいてその利得(増幅率)を変更する構成を採用しているが、電圧測定装置1の測定動作開始時において処理部3bが増幅回路23の初期利得を設定してフィードバックループの初期利得を設定し、増幅回路23がこの設定された初期利得で信号S3aの増幅を開始する構成とすることもできる。この構成を採用することにより、処理部3bが既に実行した利得設定処理100において最終的に増幅回路23に対して設定した利得(差分値Vdifが規定値内となったときの利得)を次の測定動作開始時の初期利得として設定することができるため、測定対象体4の電圧V1を再度測定する際や、同種の測定対象体4の電圧を連続的に測定する際に、測定の開始当初から適切な測定精度で測定対象体4の電圧V1を測定することができる。
具体的には、互いの差分値Vdifが規定値(−Vdr以上+Vdr以下)内となったときの増幅回路23の各利得のうちのいずれかを、処理部3bが次の測定動作開始時において増幅回路23に対して初期利得(等価的にはフィードバックループの初期利得)として設定する構成を採用することができる。この場合、互いの差分値Vdifが規定値(−Vdr以上+Vdr以下)内となったときの増幅回路23の各利得のうちの大きい方を初期利得として設定することにより、耐ノイズ特性の低下を回避し得る範囲内でフィードバックループの利得をより大きくして、測定精度を一層高めることができる。
一方、増幅回路23の最終の利得とその1つ前の増幅回路23の利得との間の差分値Vdifが規定値内になっていることを考慮すれば、この1つ前の利得、つまり小さい方の利得でも十分に精度の高い、つまり信頼性の高い測定が可能であると考えられる。また、耐ノイズ特性を考えれば、フィードバックループの利得は精度を確保できる範囲内においてより小さい方のが好ましい。そこで、処理部3bが、増幅回路23に対して、小さい方の利得、つまり最終の利得の1つ前の利得を初期利得として設定する構成を採用することもできる。
また、上記した電圧測定装置1では、増幅回路23の利得を変更することにより、電圧測定装置1のフィードバックループの利得を変更する構成を採用しているが、図1において破線で示すように、処理部3bが電圧生成回路27の利得を変更して電圧測定装置1のフィードバックループの利得を変更するように構成してもよい。さらには、図示はしないが、電流検出器15から電圧生成回路27までの経路内に増幅回路23以外の増幅回路を設けてこの増幅回路の利得を変更することで、電圧測定装置1におけるフィードバックループの利得を変更するようにしてもよい。さらに、可変容量回路19に出力する駆動信号S1の電圧値を変更することもできる。
また、上記した電圧測定装置1では、フィードバックループの利得を1段階増加させたときの前後における各利得でのアナログ信号S5の各振幅の差分値Vdifに基づいて、フィードバックループの利得として設定すべき利得を特定する構成を採用しているが、参照電位信号S7の電圧(参照電位Vr)を例えば抵抗などで分圧して低電圧化し、フィードバックループの利得を1段階増加させたときの前後の各利得におけるこの電圧(低電圧化した電圧)の差分値に基づいて、フィードバックループの利得とすべき利得を特定する構成を採用することもできる。また、フィードバックループの利得(具体的には増幅回路23の利得)を1段階ずつ増加させる構成について上記したが、逆に、フィードバックループの利得を1段階ずつ減少させる構成を採用することもできる。この構成では、処理部3bは、フィードバックループの利得(具体的には増幅回路23の利得)を1段階ずつ減少させたときの前後における各利得でのアナログ信号S5の各振幅の差分値Vdifが規定値(−Vdr以上+Vdr以下)外となる1つ前およびさらに1つ前の各利得のうちのいずれかをフィードバックループの利得として設定する。この場合、上記した理由により、大きい方の利得、つまり最終の利得の2つ前の利得が好ましい。
また、上記した電圧測定装置1では、フィードバックループの利得を変化させる方式として、電圧測定装置1のフィードバックループ内の信号(アナログ信号S5や電圧信号S6など)に対する増幅率を変化させる方式を採用しているが、検出電極12の測定対象体4に対する有効面積を変化させたり、検出電極12の測定対象体4に対する結合距離を変化させる方式を採用することもできる。この場合、検出電極12の測定対象体4に対する有効面積を変化させる構成としては、検出電極12を複数の電極で構成してこの電極の数を変化させる構成や、検出電極12の表面に遮蔽部材を配置してこの遮蔽部材によって覆われる検出電極12の面積(遮蔽面積)を変化させる構成を採用することができる。また、検出電極12の測定対象体4に対する結合距離を変化させる構成としては、検出電極12をボールねじなどで駆動する構成を採用することができる。
また、上記した電圧測定装置1では、処理部3bが利得設定処理100の結果に基づいてフィードバックループの利得を適切な利得に自動的に変化させる構成を採用しているが、処理部3bが利得設定処理100の結果を出力するだけで、フィードバックループの利得を自動的には変化させない構成を採用することもできる。この構成においても、作業者が、出力部3eに出力された結果を確認することにより、電圧計3dに表示されている参照電位Vrが測定対象体4の電圧V1を示すものとして信頼性のあるものであるか否かを判別することができる。また、この構成においては、手動でフィードバックループの利得を変更可能に構成することにより、作業者が出力部3eに出力されている結果を見ながら、フィードバックループの利得を自ら変更して適切な利得に設定することができる。
また、上記した電圧測定装置1では、図2〜図5に示すように、第1電気的要素E11〜E14のみをそれぞれ含むようにしてすべての構成単位31〜34を構成しているが、これに限定されるものではなく、同各図に示す容量変化機能体13において、第1〜第4の構成単位31〜34のうちの第1の構成単位31と第4の構成単位34との組、および第2の構成単位32と第3の構成単位33との組のうちの一方の組の各構成単位に含まれている第1電気的要素を、交流信号の通過を許容する第2電気的要素で置き換えて、容量変化機能体を構成することもできる。この場合、第2電気的要素は、コンデンサ、コイル、抵抗および共振体のうちの少なくとも1つを含んで構成される。一例として、図9に示す容量変化機能体13Aは、図2に示す容量変化機能体13における第2の構成単位32および第3の構成単位33の各第1電気的要素E12,E13を第2電気的要素E22,E23(電気的特性の同じコンデンサ62,63)でそれぞれ置き換えて構成された第2の構成単位32Aおよび第3の構成単位33Aを含んで構成されている。なお、コンデンサ62,63に代えて、電気的特性(インダクタンス値)の同じ一対のコイル62a,63aを使用してもよいし、電気的特性(抵抗値)の同じ一対の抵抗62b,63bを使用してもよいし、または電気的特性(周波数−インピーダンス特性)の同じ一対の共振体62c,63cを使用してもよい。この場合、共振体62c,63cについては、駆動信号S2の周波数f1の2倍の周波数(容量変調周波数)f2のときにインピーダンスが最小となり、かつそれ以外の周波数のときに十分に高いインピーダンスとなる電気的特性の共振体を使用する。具体的には、セラミック共振器、水晶振動子、およびコイルとコンデンサとで構成されたLC共振回路(直列共振回路)などの各種共振体を用いることができる。また、この共振体62c,63cについては、直流電流の通過を許容する構成でもよい。
また、図2〜図5に示す容量変化機能体13において、第1〜第4の構成単位31〜34のうちの第1の構成単位31と第2の構成単位32との組、および第3の構成単位33と第4の構成単位34との組のうちの一方の組の各構成単位に含まれている第1電気的要素E1を、直流信号の通過を阻止しつつ交流信号の通過を許容する第3電気的要素で置き換えて、容量変化機能体を構成することもできる。この場合、第3電気的要素は、コンデンサおよび共振体のうちの少なくとも1つを含んで構成される。一例として、図10に示す容量変化機能体13Bは、図2に示す容量変化機能体13における第3の構成単位33および第4の構成単位34の各第1電気的要素E13,E14を第3電気的要素E33,E34(一例として電気的特性の同じコンデンサ63,64)でそれぞれ置き換えて構成された第3の構成単位33Bおよび第4の構成単位34Aを含んで構成されている。なお、コンデンサ63,64に代えて、電気的特性(周波数−インピーダンス特性)の同じ一対の共振体63d,64aを使用してもよい。この場合、共振体63d,64aについては、駆動信号S2の周波数f1の2倍の周波数(容量変調周波数)f2のときにインピーダンスが最小となり、かつそれ以外の周波数のときに十分に高いインピーダンスとなる電気的特性の共振体を使用する。具体的には、セラミック共振器、水晶振動子、およびコイルとコンデンサとで構成されたLC共振回路(直列共振回路)などの各種共振体を用いることができる。また、この共振体63d,64aについては、直流電流の通過を阻止する構成とする。
なお、図9,10に示す容量変化機能体13A,13Bについては、上記の構成に限定されるものではなく、図示はしないが、例えば、第1電気的要素E11,E12,E14を可変容量ダイオードに代えて、一般的なダイオード(シリコンダイオード)で構成してもよいし、またカソード端子同士が接続されて直列接続された一対のダイオード(可変容量ダイオードやシリコンダイオード)で構成することもできる。
また、図4に示す容量変化機能体13では、各構成単位31〜34を一対の第1素子51(具体的には一般的なダイオード)でそれぞれ構成しているが、各構成単位31〜34を構成する一対のダイオードは、アノード端子同士が接続されることにより、互いに逆向きに直列接続されている。すなわち、各構成単位31〜34は、P型半導体とN型半導体とが、N−P−P−Nというように配列されて構成されている。このため、図4に示す容量変化機能体13において各構成単位31〜34を構成する一対の第1素子51(ダイオード)を1つのNPN型バイポーラトランジスタTR1〜TR4で置き換えることにより、各構成単位31〜34に含まれている各第1電気的要素E11〜E14を1つのトランジスタでそれぞれ構成して、図11に示す容量変化機能体13Cを構成することもできる。この容量変化機能体13Cでは、各トランジスタTR1〜TR4が、各々の入力端子(コレクタ端子およびエミッタ端子の一方)および出力端子(コレクタ端子およびエミッタ端子の他方)がそれぞれ接続されて(それぞれ接続点となって)、各構成単位31〜34で構成される環状経路内に配設されている。なお、各トランジスタTR1〜TR4の制御端子(ベース端子)は未接続となる(接続点とはならない)。
また、図4に示す容量変化機能体13では、各接続点A,B,C,Dを挟んで、構成単位31,34、構成単位31,32、構成単位32,33、および構成単位33,34の各第1電気的要素E1に含まれている1つのダイオード同士が互いに隣接している(具体的には、各ダイオード同士が互いに逆向きに直列接続されている)。このように、逆向きに直列接続された一対のダイオードで第1電気的要素E1が構成され、かつ少なくとも2つの隣接する構成単位がこの第1電気的要素E1を含んでいる容量変化機能体13では、この2つの構成単位間の接続点を挟んで、各第1電気的要素E1に含まれている1つのダイオード同士が互いに逆向きに直列接続された構成となる。このため、図12に示すように、破線で囲んだ一対のダイオードを1つのPNP型バイポーラトランジスタTR5〜TR8で置き換えることにより、容量変化機能体13Dを構成することもできる。この場合、各第1電気的要素E1は、1つのトランジスタの一部と、他の1つのトランジスタの一部とで構成されることになる。この容量変化機能体13Dでも、容量変化機能体13Cと同様にして、各トランジスタTR5〜TR8が、各々の入力端子(コレクタ端子およびエミッタ端子の一方)および出力端子(コレクタ端子およびエミッタ端子の他方)がそれぞれ接続されて(それぞれ接続点となって)、各構成単位31〜34で構成される環状経路内に配設されている。他方、各トランジスタTR5〜TR8の制御端子(ベース端子)は、容量変化機能体13Cとは異なり、接続点A,B,C,Dとして使用される。
また、カソード端子同士が接続されて互いに直列に接続された一対のダイオードで各構成単位31〜34の各第1電気的要素E11〜E14が構成されている図5に示す容量変化機能体13についても、図4に示す容量変化機能体13と同様にして、各第1電気的要素E11〜E14を構成する一対のダイオードをPNP型バイポーラトランジスタTR5〜TR8で置き換えることにより、図13に示す容量変化機能体13Eを構成することができ、また、上記した各ダイオードの組(各接続点A,B,C,Dを挟んで隣接する一対のダイオードでそれぞれ構成される4つの組)をNPN型バイポーラトランジスタTR1〜TR4で置き換えることにより、図14に示す容量変化機能体13Fを構成することができる。また、トランジスタとして、バイポーラトランジスタを使用する例について説明しているが、NPN型バイポーラトランジスタに代えて同型のMOSFET(電界効果型トランジスタ)を使用してもよいし、またはPNP型バイポーラトランジスタに代えて同型のMOSFET(電界効果型トランジスタ)を使用してもよいのは勿論である。この場合、MOSFETについては、その入力端子はドレイン端子およびソース端子の一方となり、出力端子はドレイン端子およびソース端子の他方となる。また、図12,14に示す構成においては、制御端子としてのゲート端子が接続点A,B,C,Dとして使用される。このようにトランジスタTR1〜TR4(またはTR5〜TR8)を用いて第1電気的要素E1を構成することにより、より少ない部品点数で、簡易、かつ安価に容量変化機能体13C〜13Fを構成することができる。
また、図15に示す電圧測定装置1Aのように、電流検出器15を配設せずに、容量変化機能体13,13A,・・,13F(特に区別しないときには、これらを容量変化機能体13ともいう)の両端間電圧V3をプリアンプ16で検出して検出信号S3としてプローブユニット2A(センサ部)を採用することもできる。ここで、容量変化機能体13の両端間電圧V3とは、容量変化機能体13における検出電極12側の端部(接続点A)と、容量変化機能体13におけるケース11側の端部(接続点C)との間に発生する電圧をいう。この場合、プリアンプ16における一対の入力端子のうちの一方の入力端子は、同図に示すように、コンデンサ17を介して容量変化機能体13における検出電極12側の端部に接続され、他方の入力端子は、容量変化機能体13におけるケース11側の端部に接続されている。なお、この構成以外の構成については、電圧測定装置1Aは電圧測定装置1と同一のため、同図では、電圧測定装置1の各構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。この電圧測定装置1Aにおいても、可変容量回路19の両端間電圧V3への駆動信号S2の影響が排除されるため、この両端間電圧V3に基づいて本体ユニット3が測定対象体4の電圧V1に参照電位信号S7を正確に追従させることができる結果、測定対象体4の電圧V1を正確に測定することができる。
また、電圧測定装置1では、可変容量回路19とケース11との間に電流検出器15を配設しているが、検出電極12と可変容量回路19との間に電流検出器15を配設することもできる。また、電圧測定装置1,1Aでは、フィルタ回路22、増幅回路23および検波回路24についてはアナログ信号で作動する回路構成としているが、フィルタ回路22、増幅回路23、検波回路24、極性判定回路25および処理部3bを1つまたは複数のDSP(Digital Signal Processor)で構成することもできる。
また、上記した各容量変化機能体13の各構成単位については、図2〜図5、および図9〜図14に示すように、第1電気的要素E1(一例として互いに逆向きに直列接続された2つのダイオード(図11〜図14の場合には等価的に2つのダイオード))、第2電気的要素E22,E23、および第3電気的要素E33,E34のいずれかで構成した例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図2に示す第1の構成単位31を例に挙げて、第1電気的要素E11を含む構成単位に関して説明すると、1つの第1電気的要素E11と共にこの第1電気的要素E11以外の構成要素を含んで第1の構成単位31を構成することもできる。具体的には、接続点Aと第1素子41aとの間、接続点Bと第1素子41bとの間の少なくとも1つに、抵抗、コンデンサ、コイルおよび他のダイオードの少なくとも1つを配設することもできる。また、各第1素子41a,41b以外の構成要素を含んで第1電気的要素E1を構成することもできる。具体的には、各第1素子41a,41b間に、抵抗、コンデンサおよびコイルの少なくとも1つを配設して、第1電気的要素E1を構成することもできる。また、第1素子41a,41bの各々、および第1素子41a,41b全体の少なくとも1つに対してコンデンサを並列に接続することもできる。
また、例えば、図9に示す構成単位32Aを例に挙げて、第2電気的要素E22(E23)を含む構成単位に関して説明すると、接続点Bと第2電気的要素E22との間、および接続点Cと第2電気的要素E22との間の少なくとも1つに、抵抗、コンデンサ、およびコイルのうちの少なくとも1つを配設することもできる。また、第2電気的要素E22に対してコンデンサを並列に接続することもできる。また、例えば、図10に示す構成単位33Bを例に挙げて、第3電気的要素E33(E34)を含む構成単位に関して説明すると、接続点Cと第3電気的要素E33との間、および接続点Dと第3電気的要素E33との間の少なくとも1つに、抵抗、コンデンサ、およびコイルの少なくとも1つを配設することもできる。また、第3電気的要素E33に対して他のコンデンサを並列に接続することもできる。
また、可変容量ダイオードも一般的なダイオードも基本的な構成が同じであるため、例えば図2に示す容量変化機能体13において、各第1電気的要素E1を構成する第1素子41a,41bとしての可変容量ダイオードのうちの一方を一般的なダイオードを使用して構成するなど、可変容量ダイオードと一般的なダイオードとを混在して使用することもできる。ただし、可変容量ダイオードと一般的なダイオードとは、逆バイアスが印加されたときの静電容量が異なるため、ブリッジ回路の平衡条件を満足し、かつ接続点A,Cを基準としてその両側に配設されている各構成単位31,32と各構成単位34,33とが線対称となるか、または接続点B,Dを基準としてその両側に配設されている各構成単位31,34と各構成単位32,33とが線対称となるように構成する必要がある。
また、上記した電圧測定装置1,1A等では、電流検出器15としてトランスTr2を使用しているが、抵抗や共振体を使用し、これらの両端間電圧を電圧V2としてプリアンプ16に入力する構成を採用することもできる。
また、本発明における可変容量回路は、上記のようにダイオードなどを使用した構成に限定されるものではなく、例えば、従来例として説明した特開平6−242166号公報に開示されている構成、すなわち、圧電音叉と検知電極(本願の検出電極12に相当する電極)を利用した機械式の構成を採用することもできる。さらには、特開平4−305171号公報に開示されている構成、すなわち、検出電極および振動体を備えた構成(図示せず)を利用して構成することもできる。この構成の可変容量回路(可変容量機構)では、振動体によって検出電極(検出電極12とは別の電極)が検出電極12に対して接離動されることにより、その静電容量C1、つまり検出電極と検出電極12との間の静電容量C1が変化する。また、可変容量回路は、特開平7−244103号公報に開示されている構成、すなわち、導体セクターおよび検出電極(検出電極12とは別の電極)を備えた構成(図示せず)を利用して構成することもできる。この構成の可変容量回路(可変容量機構)では、検出電極を検出電極12に対向させて配設すると共にこの両電極間に導体セクターを配置して、この状態において導体セクターが検出電極12から検出電極に達する電気力線に対して遮蔽と開放とを繰り返すことにより、その静電容量C1、つまり検出電極12と検出電極との間の静電容量C1が変化する。さらに、特開平8−181038号公報や特開平9−153436号公報にそれぞれ開示されている可変容量コンデンサ、すなわち、近接して配設した一対の電極の少なくとも一方を弾性変形させることによって両電極間の距離を変化させて静電容量C1を変化させる可変容量コンデンサ(いずれも図示せず)を可変容量回路として用いることもできる。
また、上記した電圧測定装置1,1A等は、電圧測定装置単体として使用しても良いし、公知の電流測定装置と組み合わせて電力測定装置を構成することもできる。