JP4607206B2 - 摩擦攪拌接合用形材および摩擦攪拌接合部構造 - Google Patents

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Description

本発明は摩擦攪拌接合用形材および摩擦攪拌接合部構造に関する。
摩擦攪拌接合方法は、下記特許文献1のように、アルミニウムの形材の突き合せ部に回転工具を挿入して攪拌し、形材を軟化させ、固層接合する方法である。
この場合、部材の端部に、部材の板の厚さ方向に突出する凸部を設け、凸部側から回転工具を挿入して、突き合せ部に隙間がある場合に、隙間を該凸部の金属で埋めるようにしている。凸部は接合部に若干残るので、残った凸部を摩擦攪拌接合の終了後、グラインダーで切削して除いている。
形材の幅寸法は約30cmから40cmであるので、これより広い部材を得る場合には複数個の形材を接合している。凸部の高さは各部同一である。
特許第3014654号
しかしながら、鉄道車両構体への実際の施行を考えると、鉄道車両の構体では、場所により、板厚が異なるので、回転工具の小径部の長さは板厚とほぼ同一にしなければならない。そうすると、接合個所毎に回転工具の大きさが異なり、回転工具の取り扱い、管理が必要になり、面倒である。
具体的に図7から図9で説明する。これは鉄道車両の側構体であり、ここでは3つの形材(中空形材)10,11,12を突き合せ、治具15上に載っている。車両構体の形材はもっと多いが、ここでは3枚とする。2つの接合部A,Bがある。形材10,11,12は面板14の上面に強度用のリブ17があるが、形材11のみに示し、他の形材10、12は省略している。リブには補強部材(図示せず)を溶接する。形材10,11,12の幅方向の端部の突き合せ部には凸部18が面板14の板厚の外方(図7の上方)に突出してある。
形材10の面板14の厚さが他の形材11,12の面板14の板厚よりも厚い。これは,形材10には窓(図示せず)があり、他の形材11,12には窓がないためである。このため、中央部の形材11の面板14は形材10側が形材10の面板14の厚さと同一であり、形材12との接合部側の板厚は形材12の面板14の厚さと同一である。
形材10と形材11との突き合せ部Aの凸部18,18の突出代は同一である。凸部18,18の幅も同一である。凸部18の突出代は、回転工具30の大径部31と小径部32との境33が凸部18の内部に位置するようにして、摩擦攪拌接合するのを考慮している。小径部32と凸部18の重なり代が零(面板14の外面の延長線上に境33が位置する)であれば、面板14の外面がへこむため、これを除くために境33を凸部18内に位置させている。小径部32の長さは小径部32の先端が面板14の裏面(治具15)近傍に位置する長さである。
形材11と12との突き合せ部Bの凸部18、18の高さ、幅は同一であり、形材10、11の凸部の大きさと同一である。回転工具30の大径部31と小径部32との境33が凸部18の内部に位置するようにして、摩擦攪拌接合する。小径部32の長さは小径部32の先端が面板14の裏面(治具15)近傍に位置する長さである。
面板14の板厚について一例を説明すると、形材10の面板14の板厚:4mm、形材12の面板13の板厚:3mm,形材11の面板14の板厚:形材10側が4mm,形材12側が3mmである。接合部Aの凸部18の突出代:2mm、接合部Bの凸部18の突出代2mmである。凸部18の幅:6.5mmである。
このため、回転工具30は接合部Aの回転工具30の小径部32の長さ:5mm、接合部Bの回転工具30の小径部32の長さ:3mmとなり、接合部A,Bに対応して小径部32の長さが異なる回転工具30が必要になる。
このため、複数の摩擦接合個所がある場合、摩擦攪拌接合個所毎に回転工具を準備しなければならない。
本発明の目的は、回転工具30の大きさを同一にできるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明の摩擦攪拌接合用形材は、基本的手段として、形材の一方の端部の凸部を形成した板部の厚さと、前記板材の他方の端部の凸部を形成した板部の厚さが異なっており、厚さの異なる一方の板部に形成された凸部の当該一方の板部からの突出代と当該一方の板部の厚さ寸法との加算値が、厚さの異なる他方の板部に形成された凸部の当該他方の板部からの突出代と当該他方の板部の厚さ寸法との加算値と、実質的に同一であること、を特徴とするものである。
そして、摩擦攪拌接合部構造は、接合される一方の形材の凸部を形成した板部と接合される他方の形材の凸部を形成した板部との厚さは異なる寸法であり、前記一方の形材の板部の厚さ寸法とその凸部の板部からの突出代の寸法の加算値と、前記他方の形材の板部の厚さ寸法とその凸部の板部からの突出代の寸法の加算値とが、実質的に同一であること、を特徴とするものである。
以下、本発明の実施例を説明する。
以下本発明の一実施例を図1から図3により説明する。図1において、形材10、11、12の面板14の厚さは図7と同一である。形材10の面板14の板厚は4mm、形材12の面板14の板厚は3mm、形材11の面板14の板厚は、形材10側が4mm、形材12側が3mmである。
形材10と形材11との接合部Aの凸部18、18の突出代は、2mm、形材12と形材11との接合部Bの凸部18、18の突出代は、3mmであり、接合部Bの凸部の突出代が接合部Aの凸部18の突出代よりも大きい。このため、複数の形材10,11における、凸部18,面板14を含む形材10,11の厚さは全て同一である。
回転工具30の小径部32の長さは、全ての接合部A,Bの回転工具とも同一である。すなわち,接合部Bの回転工具30の小径部32の長さは、接合部Aの回転工具と同一である。小径部32の長さは、面板14の板厚が厚い個所の板厚よりも長い。具体的には、板厚14が厚い個所Aの板厚が4mmであれば、回転工具の小径部32の長さは5mmであり、凸部18と小径部32との重なり代は1mmである。板厚が薄い個所Bの板厚が3mmであれば、凸部18と小径部32との重なり代は2mmである。各接合部A,Bの回転工具30の大径部31の外径は同一である。小径部32の外径も同一である。
かかる構成において、各接合部A,Bに前記大きさの回転工具30を配置し、摩擦攪拌接合を行う。板厚が厚い個所の接合部Aでは回転工具の小径部32の挿入代が従来と同様のため、従来と同様に摩擦攪拌接合が行われる。
板厚が薄い個所の接合部Bでは、小径部32と大径部31との境33を面板14の上面から1mm下方に位置させ、摩擦攪拌接合を行う。回転工具30の小径部32の挿入代は全て同一にする管理を行う。この下方1mmの挿入代は接合部A,Bで同一である。
このため、接合部A、B毎に、回転工具30の大きさを変える必要がなく、また、回転工具30の挿入代も同一でよい。
したがって、作業を容易に行えるものである。
凸部18側が構体の外面側であれば、摩擦攪拌接合後、凸部18を切削して除き、面板14の外面と同一面にする。
上記実施例では接合部毎に回転工具を配置し、同時に摩擦攪拌作業を行っているが、一方の接合部Aを摩擦攪拌接合し、次に他方の接合部Bを接合部Aに使用した回転工具30を用いて摩擦攪拌作業を行ってもよい。
また、アルミ押し出し形材ではなく、他の部材にも適用できる。
上記実施例はシングルスキン形材であったが、ダブルスキン形材(中空形材)であっても利用できる。中空形材は接合部の裏面が治具15に接していないので、回転工具30の接合厚さは明確に言えないが、基本的には板厚である。
図4において、中空形材100、110、120は、2枚の実質的に平行な面板13,14と、面板13,14を接続する接続板16,17,形材の幅方向の端部の凸部18とからなる。形材100,110,120の面板13,14の厚さは図5の面板14の板厚と同一である。形材100の面板13,14の板厚は形材120の面板13,14の板厚よりも厚い(形材120の面板13,14の板厚は薄い)。形材110と120の接合部Bの近傍の形材110の面板13,14の板厚は薄く、形材100と110との接合部Aの近傍の形材110の面板13,14の板厚は厚い。
突き合せ部の凸部18は面板13,14の端部に中空形材の外面に突出してある。凸部18の突出代は、接合部Aについては前記と同様である。接合部Bの凸部18の突出代については、接合部Aの突出代よりも大きい。複数の接合個所A,Bに用いる回転工具30,30の大きさ、および挿入代は全て同一である。具体的には、面板14の厚い個所の板厚が例えば4mmであれば、回転工具の小径部の長さは5mmであり、凸部18と小径部32との重なり代は約1mmである。板厚が薄い個所Bの面板13,14の板厚が3mmであれば、凸部18と小径部32との重なり代は約2mmである(小径部32の長さが5mmのため)。したがって、凸部18、面板13,14を含む形材100,110,120の厚さはすべて同一である。
回転工具の大径部31の外形は接合部Aの回転工具30と同一である。小径部32の外形も接合部Bの回転工具30と同一である。
接合部A,Bにおいて、一方の形材110,120の端部には他方の形材100,110の端部が挿入している。接続板16の板厚の中心の延長線上に、凸部18,18(面板13,14)の端部がある。接続板16と凸部18(面板13,14)との接合部は凹部になっている。この凹部に他方の中空形材の面板13,14が入っている。
形材100,110,120は治具15に載っており、摩擦攪拌接合しない側の面板13の凸部18の頂面が治具15に載っている。
かかる構成において、各接合部に前記大きさの回転工具30をそれぞれ配置し、摩擦攪拌接合を行う。板厚が厚い個所の接合部Aでは回転工具の小径部32の挿入代が従来と同様のため、従来と同様に摩擦攪拌接合が行われる。
板厚が薄い個所の接合部Bでは、小径部32と大径部31との境33を面板の上面から2mm上方に位置させ、摩擦攪拌接合を行う。挿入した回転工具30の挿入力は凸部18,18から、接続板16、凸部18,18を介して治具15に伝えられる。
このため、接合部A、B毎に、回転工具30の大きさを変える必要がなく、また、回転工具30の挿入代も同一でよい。
面板14側の摩擦攪拌接合が終了したら、形材100,110,120をうら返し、面板13側の凸部を上方に突出させ、同一の回転工具30を用い、同一の挿入量で摩擦攪拌接合を行う。
本発明の一実施例の摩擦攪拌接合時の側構体の縦断面図。 図1のA部の縦断面図。 図1のB部の縦断面図。 本発明の他の実施例の側構体の摩擦攪拌接合時の正面図。 図4のA部縦断面図。 図4のB部縦断面図。 従来の側構体の摩擦攪拌接合時の正面図。 図7のA部縦断面図。 図7のB部縦断面図。
符号の説明
10,11,12,100,110,120:形材
13,14:面板
15:治具
18:凸部
30:回転工具
31:大径部
32:小径部
A、B:摩擦攪拌接合部

Claims (4)

  1. 板部の両端部に板厚方向に突出する凸部を形成した形材であって、接合される他の形材の端部に前記形材の前記凸部を突き合せて、その突き合せ部を摩擦攪拌接合する摩擦攪接合用形材において、
    前記形材の一方の端部の凸部を形成した板部の厚さと、前記板材の他方の端部の凸部を形成した板部の厚さが異なっており、
    厚さの異なる一方の板部に形成された凸部の当該一方の板部からの突出代と当該一方の板部の厚さ寸法との加算値が、厚さの異なる他方の板部に形成された凸部の当該他方の板部からの突出代と当該他方の板部の厚さ寸法との加算値と、実質的に同一であること、
    を特徴とする摩擦攪拌接合用形材。
  2. 板部の両端部に板厚方向に突出する凸部を形成した一方の形材と、板部の両端部に板厚方向に突出する凸部を形成した他方の形材とを、各形材の凸部を突き合せて、その突き合せ部を摩擦攪拌接合した摩擦攪接合部構造であって、
    接合される一方の形材の凸部を形成した板部と接合される他方の形材の凸部を形成した板部との厚さは異なる寸法であり、
    前記一方の形材の板部の厚さ寸法とその凸部の板部からの突出代の寸法の加算値と、前記他方の形材の板部の厚さ寸法とその凸部の板部からの突出代の寸法の加算値とが、実質的に同一であること、
    を特徴とする摩擦攪拌接合部構造。
  3. 請求項2に記載の摩擦攪拌接合部構造において、
    前記一方の形材は、前記板部が実質的に平行な2枚の板部材と前記2枚の板部材を接続する接続板とからなり、前記2枚の板部材の両端部に板厚方向に突出する凸部をそれぞれ形成した中空形材であり、
    前記他方の形材は、前記板部が実質的に平行な2枚の板部材と前記2枚の板部材を接続する接続板とからなり、前記2枚の板部材の両端部に板厚方向に突出する凸部をそれぞれ形成した中空形材であり、
    接合される一方の中空形材の凸部を形成した各板部材と接合される他方の中空形材の凸部を形成した各板部材との厚さは異なる寸法であり、
    前記一方の中空形材の板部材の厚さ寸法とその凸部の板部材からの突出代の寸法の加算値と、前記他方の中空形材の板部材の厚さ寸法とその凸部の板部材からの突出代の寸法の加算値とが、実質的に同一であること、
    を特徴とする摩擦攪拌接合部構造。
  4. 実質的に平行な2枚の板部と、前記2枚の板部を接続する接続板とからなり、前記各板部の一方の端部および他方の端部に板厚方向に突出する凸部をそれぞれ形成した中空形材であって、隣接する他の中空形材の端部に前記中空形材の端部を突き合せて、その突き合せ部を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用中空形材において、
    前記中空形材は、各板部の一方の端部の凸部を形成した板部の厚さと各板部の他方の端部の凸部を形成した板部の厚さが異なる寸法に形成されており、
    前記各板部の前記一方の端部の板厚と当該一方の端部の凸部の板部からの突出代の寸法の加算値と、前記各板部の前記他方の端部の板厚と当該他方の端部の凸部の板部からの突出代の寸法の加算値とが、実質的に同一であること、
    と特徴とする摩擦攪拌接合用中空形材。
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