以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の第1の実施形態である毛髪用化粧料組成物は、(A1)粘度(25℃)が500〜5,000Pa・sの末端シラノール基含有ポリジオルガノシロキサンを含むシリコーンエマルジョン0.01〜20重量%と、(A2)粘度(25℃)が0.05〜50Pa・sの末端シラノール基含有ポリジオルガノシロキサンを含むシリコーンエマルジョン0.01〜20重量%と、(B)融点が25℃以上の高融点脂肪族化合物0.1〜15重量%と、(C1)カチオンコンディショニング剤0.1〜10重量%、および(D)水をそれぞれ含有する。
そして、前記した(A1)成分および(A2)成分であるシリコーンエマルジョンが、それぞれ、(a)一般式:HO[(R1)2SiO]mH(式中、R1は互いに同一であるかもしくは異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表し、mは該(a)成分の25℃における粘度を0.01〜2.0Pa・sにする値である。)で示される末端シラノール基含有ポリジオルガノシロキサンと、(b)一般式:R2O(CH2CH2O)nSO3M(式中、R2は炭素原子数8〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表し、Mはアルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウムまたは有機アミン類を表す。nは0〜5の数を表す。)で示されるアニオン性界面活性剤、および(c)水から乳化重合により得られるポリオルガノシロキサンエマルジョンである。
本発明の第2の実施形態である毛髪化粧料組成物は、(A1)粘度(25℃)が500〜5,000Pa・sの末端シラノール基含有ポリジオルガノシロキサンを含むシリコーンエマルジョン0.01〜20重量%と、(A2)粘度(25℃)が0.05〜50Pa・sの末端シラノール基含有ポリジオルガノシロキサンを含むシリコーンエマルジョン0.01〜20重量%と、(E)洗浄性界面活性剤5〜50重量%と、(C2)コンディショニング剤0.1〜20重量%、および(D)水をそれぞれ含有する。
そして、前記した(A1)成分および(A2)成分であるシリコーンエマルジョンが、それぞれ第1の実施形態と同様に、(a)一般式:HO[(R1)2SiO]mH(式中、R1は互いに同一であるかもしくは異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表し、mは該(a)成分の25℃における粘度を0.01〜2.0Pa・sにする値である。)で示される末端シラノール基含有ポリジオルガノシロキサンと、(b)一般式:R2O(CH2CH2O)nSO3M(式中、R2は炭素原子数8〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表し、Mはアルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウムまたは有機アミン類を表す。nは0〜5の数を表す。)で示されるアニオン性界面活性剤、および(c)水から乳化重合により得られるポリオルガノシロキサンエマルジョンである。
まず、(A1)成分であるシリコーンエマルジョンおよび(A2)成分であるシリコーンエマルジョンについて説明する。
(A1)成分であるシリコーンエマルジョンおよび(A2)成分であるシリコーンエマルジョンを構成する主成分は、いずれも
(a)一般式:HO[(R1)2SiO]mH………(I)
で示される分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたポリジオルガノシロキサンから乳化重合により得られる、分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたポリオルガノシロキサンである。前記一般式で示されるポリジオルガノシロキサンは、以下において、α,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンと呼ぶことがある。また、このポリジオルガノシロキサンは、最終重縮合反応生成物であるポリオルガノシロキサンに対してモノマーの関係に立つので、その重合度は最終重縮合生成物のそれよりも低く、オリゴジオルガノシロキサンということもできる。
(a)成分である末端シラノール基封鎖(含有)ポリジオルガノシロキサンは、乳化重合の主原料であり、その分子構造は、前記した一般式(I)で示されるように直鎖状である。分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたものであれば、一部に分岐構造が含まれていてもよいが、最終的に得られる重縮合生成物の特性の観点から直鎖状であることが望ましい。
mは、25℃における当該ポリジオルガノシロキサンの粘度を、0.01〜2.0Pa・s、好ましくは0.015〜1.0Pa・s、より好ましくは0.02〜0.3Pa・sの範囲にする値である。末端シラノール基ポリジオルガノシロキサンの粘度が0.01Pa・s未満のものは、安定に合成し精製することが困難である。粘度が2.0Pa・sを超えると、乳化が困難になる。なお、mの値は、ケイ素原子に結合したR1の種類やその相互の比率によっても異なる。最も好ましいポリジメチルシロキサンの場合、mの値は8〜500の範囲にある。
一般式(I)において、ケイ素原子に結合するR1としては、(1)炭素数1〜30、好ましくは1〜10のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基など、(2)炭素数4〜7、好ましくは6のシクロアルキル基、例えばシクロヘキシル基など、(3)炭素数2〜8、好ましくは2〜3のアルケニル基、例えばビニル基、アリル基など、(4)アラルキル基、特にアリール部分がフェニル基または低級アルキル(C4程度まで)置換フェニル基で、アルキル部分がC4程度までのもの、例えば2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基など、(5)アリール基、特にフェニル基または置換フェニル基(置換基は、例えばC4程度までのアルキル基)、例えばトリル基など、および(6)置換炭化水素基、特に置換基がハロゲンであるもの、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基など、が例示される。
乳化重合によって得られる高分子量ポリオルガノシロキサンが、表面張力が低くて塗布したときの広がりがよく、伸び、撥水性、つやなどに優れ、また生理活性がないことから、分子中のR1の85%以上がメチル基であることが好ましく、実質的にすべてがメチル基であることが特に好ましい。したがって、(a)成分として好ましいものは、α,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)、およびそのジメチルシロキサン単位の一部がメチルエチルシロキサン単位、メチルヘキシルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位などで置換された共重合ポリシロキサンである。これらのうちでも、α,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)であるジメチコノール(両末端ヒドロキシ基ポリジメチルシロキサン)が特に好ましい。
(b)成分は、(a)成分を水中に乳化させるために必要な成分であり、アニオン性界面活性剤である。また、(b)成分は、乳化剤として機能する他に、後述するように(a)成分に対する重合用触媒としても機能し得るものである。すなわち、(b)成分は(a)成分である末端シラノール基含有ポリジオルガノシロキサンを(c)成分である水に分散・乳化させる界面活性剤として働くとともに、(a)成分のシラノール基の脱水重縮合反応の触媒として機能することができる。
実施形態において、(b)成分のアニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸およびアルキル硫酸、の塩から選ばれる少なくとも2種の化合物である。
これらのアニオン性界面活性剤において、アルキル基の炭素数、エチレンオキサイドの平均付加モル数などは特に限定されず、一般に市販されている化合物はいずれも使用することができる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸として、ポリオキシエチレン(2)オクチルエーテル硫酸、ポリオキシエチレン(8)デシルエーテル硫酸、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸などが、アルキル硫酸として、ラウリル硫酸、ミリスチル硫酸、セチル硫酸などが挙げられ、それらの塩がアニオン性界面活性剤に含まれる。塩の種類としては、乳化効果の点から、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびトリエタノールアミンなどのアミン塩が好ましく、入手しやすさや感触の点から、それらの中でも、トリエタノールアミンおよび/またはナトリウム塩の使用が好ましい。
上記したような(b)成分は、酸の形で(a)成分とともに配合して乳化に供してもよいが、水溶性塩ないし中和塩の形で乳化剤として用いた後、酸を添加して反応系内で酸型の(b)成分を生成させ、乳化重合触媒として機能させることもできる。特に、乳化を高温で行う場合または乳化の際に温度が上昇する場合には、はじめは(b)成分を界面活性剤として作用させ、その後は重合用触媒として作用させることが好ましい。このように構成した場合には、乳化重合条件の制御が容易であるうえに、乳化状態が良好であり、保存中に高分子量ポリオルガノシロキサンの浮きが発生せず、安定性に優れたエマルジョンが得られる。さらに、得られるエマルジョン中の環状シロキサンオリゴマーの含有量をより低くすることもできる。
本発明の実施形態においては、前記(b)アニオン性界面活性剤の2種以上を併用することが好ましく、その配合比率は、2種のアニオン性界面活性剤を併用する場合、1:20〜20:1の範囲であり、好ましくは1:10〜10:1の範囲である。1:20〜20:1の範囲外では、安定性が悪くなり十分な効果が得られない。また、3種を併用する場合の配合比率は、(1〜20):(1〜20):(1〜20)の範囲であり、好ましくは(1〜10):(1〜10):(1〜10)である。
(b)成分の使用量は、(b)成分を界面活性剤として使用する場合、および重合触媒として使用する場合のいずれをも考慮して、本発明の目的に沿うものであれば任意の量とすることができる。代表的な具体例を挙げれば、下記の通りである。すなわち、酸型またはその塩のアニオン性界面活性剤の合計量は、酸に換算して、(a)成分100重量部に対して0.5〜100重量部の範囲が好ましい。1〜50重量部がより好ましく、2〜10重量部が特に好ましい。0.5重量部未満では、エマルジョンの安定性が悪化して分離することがあり、100重量部を超えると、エマルジョンが増粘して流動性が悪くなる場合がある。
本発明の実施形態では、重合用触媒を用いてもよい。(a)成分の重合は、末端水酸基の脱水を伴う重合、すなわち重縮合の範疇に属するものである。重合用触媒成分としては、無機酸および有機酸がある。無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸などがある。有機酸としては、カルボン酸(ギ酸を包含する)、スルホン酸、硫酸モノエステルなどがある。有機酸のうちでスルホン酸および/または硫酸モノエステルは、その有機基の寄与の大きいもの、したがって界面活性を有するものも包含する。(b)成分として、触媒作用を有するアニオン性界面活性剤を使用する場合には、重合用触媒はその少なくとも一部を省略することができる。
前記したように、乳化剤として加えられた塩型のアニオン性界面活性剤を、酸を加えて酸型のアニオン性界面活性剤に変えることにより、重合用触媒を得ることもできる。その場合、乳化後に添加される酸は、塩型のアニオン性界面活性剤の少なくとも一部を酸型に変換し、重合用触媒として作用させる働きをもつ。このような酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、ギ酸などが例示される。それ自体が(a)成分のシラノール基の脱水重縮合反応の触媒として機能し、かつ低温でも大きな重合速度が得られることから、硫酸および塩酸が好ましい。このようにして酸を併用する場合は、その酸の使用量は特に限定されないが、(a)成分100重量部に対して0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
(c)成分である水は、(a)成分を分散させ乳化させる媒体である。(c)成分の使用量は、(a)成分100重量部に対して30〜1,000重量部であり、エマルジョン中の(a)成分の濃度が10〜70重量%になるような量であることが好ましい。実施形態のエマルジョンは、高濃度のものが良好な安定性を有するので、その特徴を生かすために、(c)成分の使用量はエマルジョン中の(a)成分の濃度が40〜70重量%となる量が特に好ましい。
本発明の実施形態において、(A1)成分であるシリコーンエマルジョンおよび(A2)成分であるシリコーンエマルジョンは、それぞれ、上記(a)成分〜(c)成分を含有するエマルジョンについて(a)成分の重合を行わせることによって得られるものであるが、重合前のエマルジョンは(a)成分〜(c)成分を必須成分として含有するものであれば、その他の補助的成分を溶存ないし分散させたものであってもよい。その他の補助的成分は、重合前のまたは重合中の前記エマルジョンに添加してもよいし、重合後のエマルジョンに添加してもよい。(a)成分の重合を阻害しないものである限り、これらの成分は、重合前または重合中に添加する方がその分散性が良好となるので好ましい。
実施形態の(A1)成分および(A2)成分のシリコーンエマルジョンは、それぞれ次のようにして製造することができる。すなわち、まず前記(a)成分である分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたポリジオルガノシロキサンと、(b)成分であるアニオン性界面活性剤、および(c)水を予備混合する。混合順序は任意であるが、例えば撹拌槽中で(c)成分に(b)成分を混合して溶解し、これに撹拌しながら(a)成分を添加する。次いで、ホモジナイザー、コロイドミル、ラインミキサー、ソノレーターなどの乳化機を通す。ホモミキサー、コロイドミルまたはラインミキサーなどの乳化機を用いて粗乳化し、さらに加圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーなどの乳化機を通して乳化することが好ましい。必要であれば、さらに水を加えて均一に乳化分散させる。乳化の際に(b)成分として塩を用いたときは、酸を加えて分散させ、(b)成分であるアルキル硫酸などを生成させる。これらは、乳化重合用の触媒として機能するものであり、このように重合触媒を「現場(in situ)」形成できることは前記した通りである。
撹拌を継続すると、(a)成分の分子鎖末端のシラノール基の重縮合反応によって、高分子量ポリオルガノシロキサンが合成され、これを含有するエマルジョンが得られる。より重合度の高いポリオルガノシロキサンを得、かつクラッキング反応を減少させるためには、重縮合反応の温度は低いほどよい。一方、過度に冷却すると生成するエマルジョンの安定性が損われるので、これらの点を総合して好ましい縮合条件は、エマルジョン凍結点〜30℃、より好ましくはエマルジョン凍結点〜20℃、さらに好ましくはエマルジョン凍結点〜20℃で2〜48時間である。必要に応じて、さらに長時間をかけて反応させてもよい。特に好ましい縮合条件は、エマルジョン凍結点〜5℃未満である。
シリコーンエマルジョンの乳化重合においては、重縮合反応の温度を低くすることにより、より高分子量のものが得られることが知られている。しかしながら、重合速度を高めて重合反応の効率を高めるために、反応の初期には加熱を行っており、このような条件では、得られるエマルジョン中の低分子量シロキサンオリゴマーの量をより少なくすることは困難であった。本発明の実施形態においては、重縮合反応の初期から終了まで、好ましくはエマルジョン凍結点〜30℃の温度で反応を行うことにより、低分子量シロキサンオリゴマーの量が少なくなり、より高分子量のポリオルガノシロキサンのエマルジョンが得られる。さらに、エマルジョン凍結点〜5℃未満とすることにより、より高分子量で粒子径の小さい、例えば平均粒子径が280nm以下のポリオルガノシロキサンエマルジョンが得られる。
所望の重合度に達したならば、アルカリ性物質を添加することにより、触媒である酸型のアニオン性界面活性剤ならびに添加されて存在する酸を中和し、重合反応を停止する。アルカリ性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムおよび酢酸カリウムのような無機物質、ならびにトリエタノールアミンのようなアミン類などが例示される。
こうして得られる(A1)成分であるシリコーンエマルジョン中の末端シラノール基含有ポリジオルガノシロキサンは、25℃における粘度が500〜5,000Pa・sのものである。粘度が500Pa・sより低いと、毛髪の乾燥時に十分なコンディショニング効果を与えることができず、反対に粘度が5,000Pa・sを超えると、すすぎ時にきしみ感を生じる。より好ましい範囲は500〜3,000Pa・sであり、さらに好ましい範囲は500〜2,000Pa・sである。
また、(A2)成分であるシリコーンエマルジョン中の末端シラノール基含有ポリジオルガノシロキサンは、25℃における粘度が0.05〜50Pa・sのものである。粘度がこの範囲を外れると、すすぎ時の櫛通り性や乾燥時の十分なまとまり性を与えることができない。より好ましい範囲は0.1〜20Pa・sであり、さらに好ましい範囲は0.1〜10Pa・sである。
(A1)成分であるシリコーンエマルジョンと(A2)成分であるシリコーンエマルジョンとの配合比は、1:10〜10:1の範囲が好ましく、2:10〜10:2の範囲がさらに好ましい。
(A1)成分および(A2)成分に含まれる環状シロキサンオリゴマーの量は、出発原料として使用される(a)成分中の環状シロキサンオリゴマー含有量によって概ね支配され、乳化重合中に副生する1.0重量%以下の環状シロキサンオリゴマーが加わるに過ぎない。したがって、乳化重合後のポリオルガノシロキサン中の環状シロキサンオリゴマーの含有量は、(A)成分中の含有量を前述のように抑制することにより、3.5重量%以下より好ましくは1.0重量%以下に抑制することができる。
本発明の実施形態において、(A1)成分および(A2)成分であるシリコーンエマルジョンの安定性を向上するために、(b)成分の他に、他のアニオン性および/またはノニオン性の界面活性剤の1種または2種以上を、最初の乳化の際にまたは(a)成分の重縮合反応の後、その他任意の段階で配合してもよい。このように(b)成分と併用する他のアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルタウリン酸塩などが例示される。
このように任意に配合されるアニオン性界面活性剤の量は、(b)成分を触媒として用いる乳化重合の前に添加する場合には、(b)成分の触媒能を損なわない範囲であることが必要であり、具体的には、(b)成分または当初に配合されるその塩の5倍(重量で)以下である。
また、本発明の効果を損なわない範囲において、乳化重合によって得られる高分子量ポリオルガノシロキサンの分子末端のシラノール基を、安定なトリオルガノシリル基で封鎖するために、あるいは当該ポリオルガノシロキサンの平均重合度を所望の値に制御する末端停止剤として、乳化の際に、トリオルガノシリル基を有するシロキサンオリゴマーを微量添加することができる。トリオルガノシリル基がトリメチルシリル基の場合、添加されるシロキサンオリゴマーとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンなどが例示され、エマルジョン凍結点〜30℃の温度領域で、酸性触媒による反応速度に優れ、かつ過剰に添加した場合にも残存分を揮発によって容易に除去しうることから、ヘキサメチルジシロキサンが好ましい。また、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンのようなビニル基を有するシロキサンオリゴマーを添加して、分子末端にトリオルガノシリル基としてビニルジメチルシリル基を導入し、ビニル基の反応性を利用して、架橋性の高分子量ベースポリマーのエマルジョンとすることもできる。
乳化重合によって得られるポリオルガノシロキサンエマルジョンを、毛髪の表面処理に用いて強固な被膜を形成するために、メチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのような反応性シランを、また毛髪の表面に良好な滑り性、柔軟性を付与するために、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、および3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランのような反応性シランを、乳化重合の際または乳化重合後に少量添加することもできる。さらに、エマルジョンを保存するための防腐剤、防カビ剤、金属の腐食を防止するための防錆剤などを添加してもよい。
本発明の第1の実施形態において、(A1)成分であるシリコーンエマルジョンおよび(A2)成分であるシリコーンエマルジョンとともに配合する(B)高融点脂肪族化合物は、25℃以上の融点を有するものであり、脂肪族アルコール、脂肪酸、これらの誘導体、およびこれらの混合物から選択される。
(B)高融点脂肪族化合物の例は、国際化粧品成分辞典(International Cosmetic Ingredient Dictionary)、第5版、1993年、およびCTFA(化粧品、洗面用品、および芳香剤協会(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association, Inc.)の化粧品成分ハンドブック(Cosmetic Ingredient Handbook)、第2版、1992年に記載されているが、これらに限定されない。
有用な脂肪族アルコールは、14〜30個好ましくは16〜22個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは飽和型であり、直鎖状または分枝状アルコールであることが好ましい。脂肪族アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびこれらの混合物が例示されるが、これらに限定されない。
脂肪酸としては、10〜30個好ましくは12〜22個さらに好ましくは16〜22個の炭素原子を有するものが挙げられる。これらの脂肪酸は飽和型でありかつ直鎖状または分枝状の炭素骨格を有する酸であることができる。二塩基酸、三塩基酸およびそれ以上の多塩基酸が含まれ、これらの脂肪酸の塩も含まれる。ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セバシン酸およびこれらの混合物が例示されるが、これらに限定されない。
脂肪族アルコール誘導体および脂肪酸誘導体としては、前記脂肪族アルコールのアルキルエーテル、アルコキシル化脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコールのアルキルエーテル、脂肪族アルコールのエステル、エステル化可能なヒドロキシ基を有する化合物の脂肪酸エステル、ヒドロキシ置換脂肪酸、およびこれらの混合物が挙げられる。
脂肪族アルコール誘導体および脂肪酸誘導体の具体例としては、メチルステアリルエーテルなど;セテス−1からセテス−45のようなセテスシリーズで、数字表示がエチレングリコール部分の数を表すセチルアルコールのエチレングリコールエーテル;ステアレス−1から10のようなステアレスシリーズで、数字表示がエチレングリコール部分の数を表すステアレスアルコールのエチレングリコールエーテル;セテアレス1から10で、セテアレスアルコールのエチレングリコールエーテル、すなわちセチルアルコールおよびステアリルアルコールを主として含有する脂肪族アルコールの混合物で、数字表示がエチレングリコール部分の数を表すもの;前記セテス、ステアレス、およびセテアレス化合物の炭素数1〜30のアルキルエーテル;ベヘニルアルコールのポリオキシエチレンエーテル;エチルステアレート、セチルステアレート、セチルパルミテート、ステアリルステアレート、ミリスチルミリステート、ポリオキシエチレンセチルエーテルステアレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテルステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテルステアレート、エチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールジステアレート、トリメチロールプロパンジステアレート、ソルビタンステアレート、ポリグリセリルステアレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、グリセリルトリステアレートおよびそれらの混合物などが挙げられる。
高純度の単一化合物である高融点脂肪族化合物が好ましく、純粋なセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールから成る群から選択される純粋な脂肪族アルコールの単一化合物が特に好ましい。
なお、本明細書において、「純粋」なる語は、化合物が少なくとも90%好ましくは少なくとも95%の純度を有することを意味する。高い純度の単一化合物は、すすぎ落しの際に良好なすすぎ落し効果を発揮する。
このような高融点脂肪族化合物の市販品としては、新日本理化社製のコノール(KONOL)シリーズ、日本油脂社製のNAAシリーズのセチルアルコール、ステアリルアルコール、およびベヘニルアルコール、和光化学社製の1−ドコサノール(1-DOCOSANOL)の純ベヘニルアルコール、米国アクゾ(Akzo)社製のネオ−ファット(NEO-FAT)、米国ウィトコ(Witco Corp.)社製のヒストレン(HYSTRENE)、およびイタリアベビー(Vevy)社製のダーマ(DERMA)などが挙げられる。
前記した(B)25℃以上の融点を有する高融点脂肪族化合物は、毛髪化粧料組成物中に0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%より好ましくは0.75〜5重量%の割合で含有される。そして、後述するカチオンコンディショニング剤とともにゲル状および網状構造を提供し、湿った毛髪におけるつるつるした滑らかな感触と、乾燥した毛髪における柔軟性、潤い感、毛髪のはねの抑えなどの種々のコンディショニング効果を発揮する。
第1の実施形態において(C1)成分であるカチオンコンディショニング剤は、カチオン性界面活性剤、カチオンポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される。これらの(C1)カチオンコンディショニング剤は、毛髪化粧料組成物中に0.1〜10重量%、好ましくは0.25〜8重量%より好ましくは0.5〜3重量%の割合で含有される。
カチオン性界面活性剤としては、以下の一般式(1)で表されるものが好適に用いられる。
式中、R3、R4、R5およびR6のうちで少なくとも1つは、8〜30個の炭素原子を有する脂肪族基あるいは22個以下の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基から選択され、残りのものは独立して、1〜22個の炭素原子を有する脂肪族基あるいは22個以下の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基から選択される。Xはハロゲン(例えば塩化物、臭化物)、アセテート、クエン酸、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩およびアルキルスルホン酸ラジカルなどから選択される塩形成アニオンである。
脂肪族基は、炭素および水素原子に加えてエーテル結合およびアミノ基のような他の基を含有することができる。さらに、長鎖の脂肪族基、例えば炭素数12以上のものは、飽和でも不飽和でもよい。R3、R4、R5およびR6が、独立して炭素数1〜22個のアルキル基から選択されることが好ましい。
有用なカチオン性界面活性剤の具体例としては、以下のCTFA名称:クオタニウム−8、クオタニウム−14、クオタニウム−18、クオタニウム−18メソスルフェート、クオタニウム−24およびこれらの混合物を有する物質が含まれるが、これらに限定されない。
前記一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤の中では、少なくとも16個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル鎖を分子内に含有しているものが好ましい。このようなカチオン性界面活性剤の例としては:例えば、クローダ(Croda)社製の商品名インクロクァット(INCROQUAT)TMC−80や、三洋化成社からエコノール(ECONOL)TM22として入手可能なベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド;ニッコー・ケミカルズ(Nikko Chemicals)社から商品名CA−2350として入手可能なセチルトリメチルアンモニウムクロリド;水素添加タローアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキル(14〜18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、二水素添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジ(ベヘニル/アラキジル)ジメチルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルプロピレングリコールホスフェートジメチルアンモニウムクロリド、ステアロイルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアロイルアミドプロピルジメチル(ミリスチルアセテート)アンモニウムクロリド、およびN−(ステアロイルコラミノホルミルメチル)ピリジニウムクロリドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましいカチオン性界面活性剤は、置換基の少なくとも1つが、ラジカル鎖に置換基または結合として存在する1つ以上の芳香族基、エーテル基、エステル基、アミド基、またはアミノ部分を含有し、R3〜R6基の少なくとも1つがアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基)、ポリオキシアルキレン基(好ましくは炭素数1〜3のポリオキシアルキレン基)、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アルキルエステル基、およびこれらの組み合わせから選択される1つ以上の親水性部分を含有する親水的に置換されたカチオン性界面活性剤である。親水的に置換されたカチオン性界面活性剤は、前記範囲内に位置する2〜10個の非イオン親水性部分を含有していることが好ましい。親水的に置換された好ましいカチオン性界面活性剤には、以下の式(2)から(8)に表されるものが含まれる
式中、pは8〜28、x+yは2〜40の数を表し、Z
1は短鎖アルキル基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基、あるいは(CH
2CH
2O)
zHである。x+y+zは60以下、Xは前記塩形成アニオンである。
式中、qは1〜5の数、R
7、R
8およびR
9のうち1つ以上は、それぞれ独立して炭素数1〜30のアルキル基であり、その他はCH
2CH
2OHであり、R
10、R
11およびR
12のうち1つまたは2つはそれぞれ炭素数1〜30のアルキル基であり、その他はCH
2CH
2OHである。Xは前記塩形成アニオンである。
式(4)および(5)のそれぞれにおいて、Z
2はアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基より好ましくはメチル基であり、Z
3は短鎖ヒドロキシアルキル基好ましくはヒドロキシメチル基またはヒドロキシエチル基であり、rおよびsはそれぞれ2〜4の整数で、好ましくは2〜3、より好ましくは2である。R
13およびR
14は、それぞれ置換または非置換炭化水素、好ましくは炭素数12〜20のアルキル基またはアルケニル基、Xは前記の塩形成アニオンである。
式中、R
15はヒドロカルビル基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基より好ましくはメチル基であり、Z
4およびZ
5はそれぞれ短鎖ヒドロカルビル基、好ましくは炭素数2〜4のアルキル基またはアルケニル基より好ましくはエチル基であり、aは2〜40好ましくは7〜30の数、Xは前記の塩形成アニオンである。
式中、R
16およびR
17は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基より好ましくはメチル基、Z
6は炭素数12〜22のヒドロカルビル基、アルキルカルボキシ基またはアルキルアミド基である。Aはたんぱく質、好ましくはコラーゲン、ケラチン、乳たんぱく質、シルク、大豆たんぱく質、小麦たんぱく質、またはそれらの加水分解型であり、Xは前記塩形成アニオンである。
式中、bは2または3、R
18およびR
19は、それぞれ炭素数1〜3のヒドロカルビル基好ましくはメチル基であり、Xは前記塩形成アニオンである。
有用な親水的に置換されているカチオン性界面活性剤の例としては、次のCTFA名称:クオタニウム−16、クオタニウム−26、クオタニウム−27、クオタニウム−30、クオタニウム−33、クオタニウム−43、クオタニウム−52、クオタニウム−53、クオタニウム−56、クオタニウム−60、クオタニウム−61、クオタニウム−62、クオタニウム−70、クオタニウム−71、クオタニウム−72、クオタニウム−75、クオタニウム−76加水分解コラーゲン、クオタニウム−77、クオタニウム−78、クオタニウム−79加水分解コラーゲン、クオタニウム−79加水分解ケラチン、クオタニウム−79加水分解乳タンパク質、クオタニウム−79加水分解シルク、クオタニウム−79加水分解大豆タンパク質およびクオタニウム−79加水分解小麦タンパク質、クオタニウム−80、クオタニウム−81、クオタニウム−82、クオタニウム−83、クオタニウム−84を有する物質ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
とりわけ好ましい親水的に置換されているカチオン性界面活性剤としては、ジアルキルアミドエチルヒドロキシエチルモニウム塩、ジアルキルアミドエチルジモニウム塩、ジアルキロイルエチルヒドロキシエチルモニウム塩、ジアルキロイルエチルジモニウム塩、およびこれらの混合物が挙げられる。
これらは、次のような商品名で市販されている。すなわち、ウィットコ化学(Witco Chemical)社のバリソフト(VARISOFT)110、バリクァット(VARIQUAT)K1215および638、マクインタイア(McIntyre)社のマックプロ(MACKPRO)KLP、マックプロWLW、マックプロMLP、マックプロNSP、マックプロNLW、マックプロWWP、マックプロNLP、マックプロSLP、アクゾ(Akzo)社のエトクァッド(ETHOQUAD)18/25、エトクァッド0/12PG、エトクァッドC/25、エトクァッドS/25、およびエトデュオクァッド、ヘンケル(Henkel)社のデェイクァッド(DEHYQUA)SP、およびICIアメリカ社のアトラス(ATLAS)G265などである。
一級、二級、および三級脂肪族アミンの塩は、好適なカチオン性界面活性剤である。このようなアミンのアルキル基は、好ましく12〜22個の炭素原子を有し、かつ置換または非置換型であることができる。一般式:R20CONH(CH2)lN(R21)2で表されるアミドアミンが特に有用である。式中R20は炭素数11〜24の脂肪酸の残基、R21は炭素数1〜4のアルキル基を表し、lは1〜4の整数である。
好ましいアミドアミンとしては、ステアロアミドプロピルジメチルアミン、ステアロアミドプロピルジエチルアミン、ステアロアミドエチルジエチルアミン、ステアロアミドエチルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミンおよびこれらの混合物が挙げられる。より好ましくは、ステアロアミドプロピルジメチルアミン、ステアロアミドエチルジエチルアミン、およびこれらの混合物が挙げられる。
好ましいアミドアミンは、L−グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、L−グルタミン酸塩酸塩、酒石酸およびこれらの混合物からなる群から選択された酸、特に好ましくはL−グルタミン酸、乳酸、塩酸およびこれらの混合物により、部分的に四級化されたものである。アミドアミンと酸とのモル比は、好ましくは1:0.3〜1:1、より好ましくは1:0.5〜1:0.9である。
第1の実施形態において有用なカチオンポリマーについて記載する。なお、本発明において、「ポリマー」なる用語は、1種類のモノマーの重合によって製造される物質、および2種以上のモノマーによって製造される物質を包含するものとする。
カチオンポリマーは、水溶性カチオンポリマーであることが好ましい。「水溶性」カチオンポリマーとは、水に十分に可溶性であり、25℃の水(蒸留水または同等の水)に0.1%の濃度で肉眼で見て実質的に透明な溶液を形成するポリマーを意味する。好ましいカチオンポリマーは、十分に可溶性であり、0.5%の濃度でさらに好ましくは1.0%の濃度で実質的に透明な溶液を形成する。
また、実施形態のカチオンポリマーは、少なくとも5,000、典型的には少なくとも10,000でありかつ10,000.000未満の平均分子量を有する。好ましい平均分子量は、100,000〜2,000,000である。そして、第四級アンモニウム部分および/またはカチオンアミノ部分のようなカチオン窒素含有部分を有する。
カチオン電荷密度は、好ましくは0.1meq/g以上、より好ましくは0.5meq/g以上、さらに好ましくは1.1meq/g、よりいっそう好ましくは1.2meq/g以上である。カチオンポリマーのカチオン電荷密度は、ケルダール法により測定することができる。アミノ含有ポリマーの電荷密度はpHおよびアミノ基の等電点により変化するので、電荷密度は所望の用途のpHで前記範囲内に設定される。
水溶解度の基準が満たされる限り、カチオンポリマーに対していかなるアニオン対イオンも利用することができる。好適な対イオンとしては、ハライド(例えばCl、Br、IまたはF化物、好ましくはCl、BrまたはI化物)、サルフェートおよびメチルサルフェートが挙げられるが、他のものを使用することもできる。
カチオン窒素含有部分は、カチオンポリマーの全モノマー単位に置換基として存在する。したがって、このカチオンポリマーは、第四級アンモニウムまたはカチオンアミン置換モノマー単位、およびスペーサモノマー単位と呼称される他の非カチオン単位のコポリーまたポリマーなどを含んでいる。このようなポリマーは当該技術分野で既に公知であり、国際化粧品成分辞典、第3版、1982年などに記載されている。
好適なカチオンポリマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキルアクリルアミドおよびジアルキルアクリルアミド、アルキルメタクリルアミドおよびジアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、ならびにビニルピロリドンのような水溶性スペーサモノマー、カチオンアミンまたは四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーとのコポリマーが挙げられる。
アルキル置換モノマーおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくは炭素数1〜7のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基を有する。他の好適なスペーサモノマーとしては、ビニルエステル、ポリ酢酸ビニルの加水分解により得られるビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールなどがある。
前記カチオンアミンは、第一級、第二級または第三級アミンであることができる。第二級および第三級アミンが好ましく、特に第三級アミンが好ましい。
アミン置換ビニルモノマーをアミン形態で重合させることができ、その後任意に四級化反応によりアンモニウムに変換することができる。ポリマーが形成された後に、アミンを同様にして四級化することもできる。例えば、第三級アミン官能基を、式R0Xの塩と反応させることによって四級化することができる。ここで、R0は短鎖アルキル基、好ましくは炭素数1〜7のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、Xは四級化アンモニウムと水溶性の塩を形成するアニオンである。
好適なカチオンアミノモノマーおよび第四級アンモニウムモノマーとしては、例えばジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム塩、ジアリル第四級アンモニウム塩で置換されたビニル化合物、およびピリジニウム、イミダゾリウムといった環状カチオン窒素含有環を有するビニル第四級アンモニウムモノマーおよび四級化ピロリドン、例えば、アルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、アルキルビニルピロリドン塩が挙げられる。
これらのモノマーのアルキル部分は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくは炭素数1または2のアルキル基のような低級アルキル基である。好適なアミン置換ビニルモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、およびジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドが挙げられる。ここでアルキル基は、好ましくは炭素数1〜7のヒドロカルビル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
このカチオンポリマーは、アミンおよび/または第四級アンモニウム置換モノマーおよび/または相溶性スペーサモノマーから誘導されるモノマー単位の混合物を含むことができる。
好適なカチオンポリマーとしては、例えば、1−ビニル−2−ピロリドンおよび1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩(例えば塩化物)のコポリマー(「CTFA」ではポリクアテリウム−16と呼ばれる)、BASFワイアンドット(BASF Wyandotte Corp.、米国ニュージャージー州、パルシパニー)社より市販されている商品名ルビクアット(LUVIQUAT)(例えば、ルビクアット FC 370);1−ビニル−2−ピロリドンおよびジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(「CTFA」ではポリクアテリウム−11と呼ばれる)、ガフコーポレーション(Gaf Corporation、米国、ニュージャージー州、ウェイン)社より市販されている商品名ガフクアット(GAFQUAT)(例えばガフクアット755N);ジメチルジアリルアンモニウム塩化物ホモポリマーおよびアクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウム塩化物コポリマーを含むカチオンジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー、(「CTFA」業界ではポリクアテルニウム6およびポリクアテルニウム7と呼ばれる);米国特許第4,009,256号に記載の3〜5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーのアミノアルキルエステルの鉱酸塩が挙げられる。
使用できる他のカチオンポリマーとしては、多糖ポリマー、例えばカチオンセルロース誘導体およびカチオンデンプン誘導体が挙げられる。好適なカチオン多糖ポリマーとしては、次の式(9)を有するものが挙げられる。
式中、Aはデンプン無水グルコース残基またはセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基であり、Rは、アルキレンオキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、またはヒドロキシアルキレン基またはこれらの組み合わせである。R22、R23およびR24は、それぞれ独立してアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、またはアルコキシアリール基から選択され、それぞれの基は18個以下の炭素を含有し、各カチオン部分の炭素総数(すなわちR22、R23およびR24の炭素数の合計)は好ましくは20以下である。Xは前述のようなアニオン対イオンである。
カチオンセルロースは、アメルコール社(Amerchol Corp.、米国、ニュージャージー州、エディソン)から商品名ポリマーJRおよびLRシリーズで、ヒドロキシエチルセルロースとトリメチルアンモニウム置換エポキシドを反応させた塩として市販されており、「CTFA」業界ではポリクオタニウム10と呼ばれている。他の型のカチオンセルロースとしては、ヒドロキシエチルセルロースとラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドを反応させたポリマー第四級アンモニウム塩、「CTFA」業界ではポリクオタニウム24と呼ばれるものが挙げられる。これらの物質は、前記アメルコール社から商品名ポリマーLM−200として市販されている。
他のカチオンポリマーとしては、グアーヒドロキシプロピル塩化トリモニウム(ケラネ−ゼ社(Celanese Corp.)から市販されている商品名ジャガーR(JaguarR)シリーズ)のようなカチオングアーゴム誘導体が挙げられる。また、第四級窒素含有セルロースエーテル(例えば米国特許3,962,418に記載されているもの)、およびエーテル化セルロースおよびデンプン(例えば米国特許3,958,581に記載されているもの)が挙げられる。
本発明の第1の実施形態において、(D)成分である水は、(A1)成分および(A2)成分であるシリコーンエマルジョンと(B)高融点脂肪族化合物(融点25℃以上)および(C1)カチオンコンディショニング剤の分散媒として用いられる。(D)水の配合により、均一な毛髪化粧料組成物を得ることができる。
本発明の第2の実施形態において、(E)洗浄性界面活性剤は、組成物に洗浄性能を与えることを目的とし、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン界面活性剤およびそれらの混合物から選ばれる界面活性剤を含有する。
なお、「洗浄性界面活性剤」という用語は、これらと、主として界面活性剤を乳化する界面活性剤、すなわち乳化の利益を与えかつ低い洗浄性能を有する界面活性剤とを区別することを意図している。しかし、多くの界面活性剤は、洗浄性と乳化性の両方を有するので、乳化性界面活性剤を本発明の洗浄性界面活性剤から除外するものではない。さらに、(E)成分の洗浄性界面活性剤は、前記した(A1)成分および(A2)成分であるシリコーンエマルジョンに含まれる界面活性剤と同じであっても異なっていてもよい。
この(E)洗浄性界面活性剤は、毛髪化粧料組成物の5〜50重量%、好ましくは8〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%の割合で含有される。
第2の実施形態において、(C2)コンディショニング剤としては公知のコンディショニング剤を使用することができる。好適する(C2)コンディショニング剤としては、前記した(A)シリコーンエマルジョンの製造に有用なカチオン性界面活性剤、水溶性のカチオン性重合体、脂肪化合物、非揮発性分散シリコーン、炭化水素、プロテインおよびそれらの混合物がある。これらのコンディショニング剤は、毛髪化粧料組成物の0.1〜20重量%の割合で含有される。
(D)成分である水は、前記した(A1)成分および(A2)成分と(E)洗浄性界面活性剤、および(C2)コンディショニング剤の分散媒として用いられる。(D)水の配合により、均一な毛髪化粧料組成物、例えばシャンプー組成物を得ることができる。
本発明の実施形態の毛髪化粧料組成物によれば、毛髪に対して優れたコンディショニング効果を発揮し、すすぎ時のきしみ感を改善し、乾いた髪に対して優れた指通り性を付与することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、これらの例において、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表わす。また、乳化重合によって得られたエマルジョンに含まれる高分子量ポリオルガノシロキサンの粘度、および環状シロキサンオリゴマーの含有量は、それぞれ次のようにして測定したものである。
[ポリマー粘度]
得られたエマルジョン100部にイソプロピルアルコール200部を加えて十分に撹拌し、24時間静置して2層に分離させた後、オイル層のみをシャーレに移し、150℃で45分間オーブンに入れた。こうして、残存するイソプロピルアルコールと水分を完全に蒸発させ、ポリオルガノシロキサンを得た。これを25℃に冷却し、このときの粘度を回転粘度計を用いて測定した。
[環状シロキサンオリゴマーの含有量]
エマルジョン5容量部を採取し、これにメタノール50容量部、n−ヘキサン100容量部および水50容量部を加えて強く振盪し、24時間静置して2層に分離させた。その後、n−ヘキサン層をマイクロシリンジで採取してガスクロマトグラフィにかけ、試料中の環状シロキサンオリゴマーを定量した。この値と、別途n−ヘキサン層からn−ヘキサンを揮発させて得たポリオルガノシロキサンの量から、ポリオルガノシロキサン中の環状シロキサンオリゴマーの含有量を算出した。
{エマルジョンの調製}
(合成例1)
ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン2部とラウリル硫酸トリエタノールアミン3部を、脱イオン水455部中に均一に分散させた。これに、環状シロキサンオリゴマーを1.3%含有する粘度0.085Pa・sのα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)500部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザー(圧力500kgf/cm2)で2回処理することにより、α,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)を含むエマルジョンを得た。
次いで、このエマルジョンに、硫酸0.5部を添加し、撹拌しながら25℃で7時間反応を行った。その後、撹拌を続けながら10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより重合反応を停止させ、シリコーン分50%のα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)を含むエマルジョン(E−1)を得た。
このエマルジョン(E−1)中のポリオルガノシロキサンの平均粒径は0.18μmであり、粘度(ポリマー粘度)は750Pa・s、環状シロキサンオリゴマーの含有量は1.6%であった。
(合成例2)
ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン2部とラウリル硫酸トリエタノールアミン3部を、脱イオン水455部中に均一に分散させた。これに、環状シロキサンオリゴマーを1.3%含有する粘度0.085Pa・sのα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)500部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザー(圧力500kgf/cm2)で2回処理することにより、α,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)を含むエマルジョンを得た。
次いで,このエマルジョンに、硫酸0.5部を添加し、撹拌しながら25℃にて2時間反応を行った。その後、撹拌を続けながら10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより重合反応を停止させ、シリコーン分50%のα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)を含むエマルジョン(E−2)を得た。
このエマルジョン(E-2)中のポリオルガノシロキサンの平均粒径は0.19μmであり、ポリマー粘度は12Pa・s、環状シロキサンオリゴマーの含有量は1.4%であった。
(合成例3)
ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム2部とラウリル硫酸ナトリウム3部を、脱イオン水455部中に均一に分散させた。これに、環状シロキサンオリゴマーを1.3%含有する粘度0.085Pa・sのα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)500部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザー(圧力500kgf/cm2)で2回処理することにより、α,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)を含むエマルジョンを得た。
次いで、このエマルジョンに、硫酸0.5部を添加し、撹拌しながら25℃で8時間反応を行った。その後、撹拌を続けながら10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより重合反応を停止させ、シリコーン分50%のα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)を含むエマルジョン(E−3)を得た。
このエマルジョン(E−3)中のポリオルガノシロキサンの平均粒径は0.23μmであり、粘度(ポリマー粘度)は1,900Pa・s、環状シロキサンオリゴマーの含有量は2.2%であった。
(合成例4)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム2部とラウリル硫酸ナトリウム3部を、脱イオン水455部中に均一に分散させた。これに、環状シロキサンオリゴマーを1.3%含有する粘度0.085Pa・sのα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)500部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザー(圧力500kgf/cm2)で2回処理することにより、シリコーン分50%のα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)を含むエマルジョンを得た。
次いで、このエマルジョンに、硫酸0.5部を添加し、撹拌しながら25℃で1時間反応を行った。その後、撹拌を続けながら10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより重合反応を停止させ、シリコーン分50%のα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)を含むエマルジョン(E−4)を得た。
このエマルジョン(E−4)中のポリオルガノシロキサンの平均粒径は0.23μmであり、ポリマー粘度は3Pa・s、環状シロキサンオリゴマーの含有量は1.4%であった。
(合成例5)
ドデシルベンゼンスルホン酸30部を、脱イオン水455部中に均一に分散させた。これに、オクタメチルシクロテトラシロキサン500部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザー(圧力500kgf/cm2)で2回処理することにより、オクタメチルシクロテトラシロキサンを含むエマルジョンを得た。
次いで、このエマルジョンを撹拌しながら85℃で3時間保持し、さらに3時間かけて25℃まで冷却した後、撹拌しながら25℃で5時間反応を行った。その後、撹拌を続けながら10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより、重合反応を停止させ、ポリオルガノシロキサンを含むエマルジョン(E−5)を得た。
このエマルジョン(E−5)中のポリオルガノシロキサンの平均粒径は0.20μmであり、ポリマー粘度は270Pa・s、環状シロキサンオリゴマーの含有量は9.6%であった。
実施例1〜3,比較例1〜3[ヘアコンディショナー組成物]
前記合成例1〜5で得られたシリコーンエマルジョン(E−1)〜(E−5)を用いて、表1に示す組成でヘアコンディショナー組成物を調製した。そして調製されたコンディショナー組成物について、以下に示す方法および基準にしたがって特性評価を行った。
[評価方法]
市販のブリーチ剤を用いて処理した長さ25cmの毛髪10gを、12人のパネリストがそれぞれ40℃の水に浸し、コンディショナー組成物2gを濡れた髪に塗り広げ、1分後30秒間40℃の水ですすいだ。次いで、ドライヤーで乾燥して毛髪サンプルを作成した。この毛髪サンプルの作成段階で、「すすぎ時のきしみ感の無さ」、「乾燥後の指通り性」、「乾燥後のしっとり感」および「乾燥後のまとまり感」を、各パネリストに下記の基準で5段階の点数付けを行ってもらい、その平均値を算出した。
その平均値を算出した。
[評価基準]
5…極めて優れている
4…優れている
3…良い
2…やや劣る
1…劣る
これらの評価結果を表1に示す。
実施例4〜6,比較例4〜6[シャンプー組成物]
前記合成例1〜5で得られたシリコーンエマルジョン(E−1)〜(E−5)を用いて、表2に示す組成でシャンプー組成物を調製した。そして、調製されたシャンプー組成物について、以下に示す方法および基準にしたがって特性評価を行った。
[評価方法]
市販のブリーチ剤を用いて処理した長さ25cmの毛髪10gを、12人のパネリストがそれぞれ40℃の水に浸し、シャンプー組成物2gで1分間洗浄した後、30秒間40℃の水ですすぎ、ドライヤーで乾燥させて、毛髪サンプルを作成した。この毛髪サンプルの作成段階で、各パネリストに、「洗浄およびすすぎ時のきしみ感の無さ」、「乾燥後の指通り性」および「乾燥後のしっとり感」を、下記の基準で5段階の点数付けを行ってもらい、その平均値を算出した。
[評価基準]
5…極めて優れている
4…優れている
3…良い
2…やや劣る
1…劣る
これらの評価結果を表2に示す。