JP4606229B2 - シクロペンタジエニル鉄(ii)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の製造法 - Google Patents
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Description
R1FeR2 (1a)
R3FeR3 (1b)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいシクロペンタジエニルアニオンを示し、R3はインデニルアニオンを示す]
で表されるフェロセン又はフェロセン類縁体を、金属還元剤と、Ti(IV)四ハロゲン化物、Zr(IV)四ハロゲン化物及びHf(IV)四ハロゲン化物からなる群より選択された少なくとも1種のルイス酸の存在下、π−アレーンと反応させてシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体を生成させる工程A、及び工程Aで得られたシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の水性溶液と、下記式(2)
MX (2)
(式中、Xは、PF6、AsF6、SbF6、BF4又はCF3SO3を示し、MはH、置換されていてもよいアンモニウム又は金属原子を示す)
で表される化合物の水性溶液とを混合して、下記式(3)
[R4FeR5]+X- (3)
[式中、R4は炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいシクロペンタジエニルアニオン又はインデニルアニオン示し、R5はπ−アレーンを示す。Xは前記に同じ]
で表されるシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体を得る工程Bとを含むシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の製造法であって、前記工程Aにおいて、Ti(IV)四ハロゲン化物、Zr(IV)四ハロゲン化物及びHf(IV)四ハロゲン化物からなる群より選択された少なくとも1種のルイス酸の総使用量を式(1a)又は(1b)で表されるフェロセン又はフェロセン類縁体1モルに対して0.7モル以上とし、反応温度を40〜90℃とするとともに、工程Bにおいて、工程Aで得られたシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の水性溶液の濃度を0.01〜1.00モル/kg、前記式(2)で表される化合物の水性溶液の濃度を0.1〜0.8モル/kgとし、且つ混合時の温度を−20℃〜80℃とすることを特徴とするシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の製造法を提供する。
工程Aでは、前記式(1a)又は(1b)で表されるフェロセン又はフェロセン類縁体を、金属還元剤と、Ti(IV)四ハロゲン化物、Zr(IV)四ハロゲン化物及びHf(IV)四ハロゲン化物からなる群より選択された少なくとも1種のルイス酸の存在下、π−アレーンと反応させてシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体を生成させる。
工程Bでは、工程Aで得られたシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の水性溶液と、前記式(2)で表される化合物の水性溶液とを混合して、塩交換反応により、前記式(3)で表されるシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体を得る。前記水性溶液には水溶液、水と水混和性有機溶媒との混合溶媒の溶液が含まれる。工程Aで得られたシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の水性溶液としては、クエンチ後の分液で得られる水層又はこれを濃縮若しくは希釈したものであってもよく、その後適宜な分離手段によりシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体を単離し、これを水(又は水含有溶媒)に溶解した水性溶液であってもよい。
(1)核磁気共鳴法(1H−NMR)による純度測定
アセトン−d6に、1,2−ジクロロエタン(EDC;内部標準)、四塩化炭素(内部標準希釈液)及びサンプルを溶かして1H−NMR測定を行い、内部標準の量、サンプルの量、NMRチャートにおけるEDCのCH2プロトンのシグナルの積分値、及びNMRチャートにおけるシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩のシクロペンタジエニル基のCHプロトンのシグナルの積分値よりシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩の純度を算出した。
(2)TG/DTA(熱重量測定/示差熱分析)による熱重量減少量の測定
セイコー電子工業製、装置名「TG/DTA6300」を用い、アルミ製パンにサンプルを、リファレンス用パンにアルミナをのせ、窒素気流中、室温から450℃まで毎分20℃ずつ昇温させて、サンプルの熱重量減少量(40℃〜400℃)を測定した。
冷却管と撹拌装置を装備した200mlのガラス製フラスコに、クメン48.1g(0.4モル)、フェロセン7.44g(0.04モル)、アルミニウム粉末0.35g(0.013モル)及び無水塩化アルミニウム14.1g(0.11モル)を入れ、その混合物に、撹拌しながら、窒素下で、25℃で30分かけて、四塩化ジルコニウム(無水物)9.32g(0.04モル)を添加した。この混合物を60℃で2時間撹拌した後、25℃まで冷却した。撹拌装置を備えた500mlのガラス製フラスコに、0℃の塩酸水溶液(32重量%塩酸15gと水65gの混合物)を入れ、ここに反応混合液をゆっくりと注いでいった。25℃まで昇温し、30分撹拌した。得られた混合物を濾紙(5C)、引き続き0.5μmのメンブレンフィルターを用いて減圧濾過し、分液後、水層をカチオン水溶液(シクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩の水性溶液)として以下の塩交換反応に用いた。
得られたカチオン水溶液(0.38ミリモル/g)に対して、カリウムヘキサフルオロホスフェート(KPF6)8.1gと水110gからなる水溶液(0.37ミリモル/g)を25℃で加えた。その後、沈殿した(η6−クメン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートを濾別し、水で洗浄を行った(50ml×2回)。その後、真空乾燥機において乾燥し、大部分の溶媒を留去した後、一旦取り出して粒子の大きさを確認し、次いでスパチュラを用いて簡単にかき混ぜ、さらに50℃で8時間真空乾燥を行った。
得られた(η6−クメン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート(黄色固体)の収量は13.1g、1H−NMRによる純度は100%であり、TG/DTAによる熱重量減少量は82.9%であった。
実施例1と同様にして得られたカチオン水溶液(シクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩の水性溶液)(0.38ミリモル/g)に対して、カリウムヘキサフルオロホスフェート(KPF6)8.1gと水42gからなる水溶液(0.88ミリモル/g)を25℃で加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた(η6−クメン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートの収量は13.8g、1H−NMRによる純度は68%であり、TG/DTAによる熱重量減少量は58.1%であった。
四塩化ジルコニウム(無水物)の添加量を4.66g(0.02モル)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた(η6−クメン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート(黄色固体)の収量は11.7g、1H−NMRによる純度は92%であり、TG/DTAによる熱重量減少量は77.8%であった。
四塩化ジルコニウム(無水物)を添加した後の混合物を60℃で2時間撹拌した後、100℃まで昇温し、さらに1時間撹拌したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた(η6−クメン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート(黄色固体)の収量は12.1g、1H−NMRによる純度は89%であり、TG/DTAによる熱重量減少量は76.2%であった。
実施例1で得られた(η6−クメン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート10.02gを、25℃にて、アセトン10gに溶解し、メンブレンフィルター(0.5μm)を使い減圧濾過を行った。この濾液(アセトン溶液)を、2−プロパノール100g中に、25℃で撹拌しながら3分かけて滴下していった。アセトン溶液の入っていた容器を少量(約2g)のアセトンで洗浄し、その洗浄液も前記2−プロパノールへ加えた。滴下終了後、熟成の目的でさらに30分間撹拌を続けた。25℃を保ちながら、60mmHg(=8kPa)でアセトンを留去した。得られた固体を濾紙(5C)を用いて濾別した。濾紙上のケーキを冷水(4℃;15ml)で2回リンスした(冷水を注いでから3〜5分間静置後、吸引濾過した)。室温にて、デシケーター(青色シリカゲル)を用いて真空ポンプにより減圧乾燥を行った。6時間後、9.36gの(η6−クメン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートの精製品を得た(回収率93.4%)。精製品中の水分(カールフィッシャーにより測定)は840重量ppmであった。
(製造工程)
窒素雰囲気下、ガラス製反応器にフェロセン25.11g(0.135モル)とクメン163.77g(1.362モル)を入れて溶解させ、溶解を確認した後、アルミニウム1.2g(0.044モル)と無水塩化アルミニウム47.80g(0.358モル)をこの順に加えた。反応液の温度を20℃に維持したまま、塩化ジルコニウム(無水物)31.83g(0.137モル)をゆっくりと加えた。その後、反応液の温度を60℃まで昇温し、その温度を維持したまま、3時間撹拌を続けた。その後、ガスクロマトグラフィーにてフェロセンの消失を確認した後、反応液の温度を30℃まで冷却した。この間も撹拌を続けた。
6重量%塩酸水溶液277.64gを別の反応器に用意し、この温度を5℃に維持し、撹拌しながら、前記の反応混合液をゆっくりと加えていった。その後、混合液の温度を20℃まで上昇させて、さらに30分間撹拌し、その後、30分間静置した。分層状態のまま、下層(水層)を一旦きれいな容器に移した。この時、できる限りクメン層を水層に混入しないように気をつけた。この水層をカチオン水溶液(シクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩の水性溶液)として以下の塩交換反応に用いた。
得られたカチオン水溶液(0.38ミリモル/g)をガラス製反応器に入れ、20℃を維持しながら撹拌し、そこに、別途調製したカリウムヘキサフルオロホスフェート(KPF6)27.24gと水366.73gからなる水溶液(0.38ミリモル/g)をゆっくりと加えていった。その後、20℃を維持しながら60分間撹拌を続け、熟成した。沈殿した(η6−クメン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートを濾紙(5C)を用いて減圧濾過し、固体(ケーキ)を濾取した。ケーキの水リンスを6回行い、濾液のpHが5になったことを確認した。ケーキを数箇所からサンプリングし、カールフィッシャーにより水分濃度を測定し、何れの箇所においても水分濃度が20重量%以下になったことを確認して減圧濾過を終了した。
窒素雰囲気下、室温(20℃)にて、上記(η6−クメン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートの湿晶57.03gをアセトン57.13gに溶解した(1時間撹拌後、サンプリングにより溶解を確認した)。これをメンブレンフィルター(0.5μm)で濾過し、濾液をサンプリングして、目視で不溶解物がないことを確認した。室温(20℃)で撹拌しながら、2−プロパノール570.75gへ、前記濾液(アセトン溶液)をゆっくりと加えていった。アセトン溶液の入っていた容器を少量(約5g)のアセトンで洗浄し、その洗浄液も前記2−プロパノールへ加えた。滴下終了後、60mmHg(=8kPa)を保ちながらアセトンを留去した(バス温度を30℃に維持する)。熟成の目的で、さらに5℃まで冷却し、30分間撹拌を続けた。得られた固体を濾紙(5C)を用い、減圧濾過で固体を濾取した。濾紙上のケーキを冷水(5℃;75ml)で2回リンスした。このケーキを真空乾燥機(内温50℃以下)を用いて乾燥した。乾燥時間5時間で、カールフィッシャーにより水分測定を行い、1000重量ppm以下であることを確認し、乾燥を終了した。その結果、39.07gの(η6−クメン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートの精製品を得た(一貫収率75.0%)。
Claims (2)
- 下記式(1a)又は(1b)
R1FeR2 (1a)
R3FeR3 (1b)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいシクロペンタジエニルアニオンを示し、R3はインデニルアニオンを示す]
で表されるフェロセン又はフェロセン類縁体を、金属還元剤と、Ti(IV)四ハロゲン化物、Zr(IV)四ハロゲン化物及びHf(IV)四ハロゲン化物からなる群より選択された少なくとも1種のルイス酸の存在下、π−アレーンと反応させてシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体を生成させる工程A、及び工程Aで得られたシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の水性溶液と、下記式(2)
MX (2)
(式中、Xは、PF6、AsF6、SbF6、BF4又はCF3SO3を示し、MはH、置換されていてもよいアンモニウム又は金属原子を示す)
で表される化合物の水性溶液とを混合して、下記式(3)
[R4FeR5]+X- (3)
[式中、R4は炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいシクロペンタジエニルアニオン又はインデニルアニオン示し、R5はπ−アレーンを示す。Xは前記に同じ]
で表されるシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体を得る工程Bとを含むシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の製造法であって、前記工程Aにおいて、Ti(IV)四ハロゲン化物、Zr(IV)四ハロゲン化物及びHf(IV)四ハロゲン化物からなる群より選択された少なくとも1種のルイス酸の総使用量を式(1a)又は(1b)で表されるフェロセン又はフェロセン類縁体1モルに対して0.7モル以上とし、反応温度を40〜90℃とするとともに、工程Bにおいて、工程Aで得られたシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の水性溶液の濃度を0.01〜1.00モル/kg、前記式(2)で表される化合物の水性溶液の濃度を0.1〜0.8モル/kgとし、且つ混合時の温度を−20℃〜80℃とすることを特徴とするシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の製造法。 - 工程Aにおいて、式(1a)又は(1b)で表されるフェロセン又はフェロセン類縁体とπ−アレーンとの反応を、さらにAl(III)三ハロゲン化物の存在下で行う請求項1記載のシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩又はその類縁体の製造法。
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JPH01146889A (ja) * | 1987-10-26 | 1989-06-08 | Ciba Geigy Ag | 鉄‐アレーン錯体の製造方法 |
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