以下図面を参照して本発明に係る車両の誘導装置の実施の形態について説明する。
まずはじめに障害物との干渉を回避できる実施形態について説明する。
図7は実施形態の作業現場の全体を示している。本実施形態では複数の無人車両(ダンプトラック)2、2…が広域鉱山現場の積込み領域73で鉱石を含む岩石、土砂を積み込む積込み作業を行い、走行コース領域67上を高速走行して、排土領域65で土砂を排出する排土作業を行う場合を想定している。この場合複数の無人車両2、2…は、後述するように各車両毎に生成された走行コース71に沿って誘導走行される。積込み領域73、走行コース領域67、排土領域65がコースエリア68となる。コースエリア68とは無人車両2が走行可能な領域のことである。コースエリア68の領域外は、図8に示すように崖や切り羽などの車両の走行が不可能な領域となっている。
コースエリア68内には複数の無人車両2、2…以外に、積込み機械14、有人車両20が走行している。積込み機械14はオペレータが搭乗する有人車両であるが、説明の便宜上有人車両20と区別している。
積込み機械14は、積込み領域73(採掘場)で鉱石を採掘して無人車両2に採掘した鉱石(土砂)を積み込む有人作業機械である。たとえばエクスカベータやホイールローダが該当する。積込み機械14は採掘作業の進行に伴いその車両位置が随時変化する。
有人車両20は、オペレータが搭乗して上記積込み作業以外の各種作業を行う有人の作業車両のことである。たとえば有人のダンプトラック、ブルドーザ、モータグレーダ、散水車、給油車、ティーチング作業を行う四輪駆動車が該当する。
たとえば有人車両20がブルドーザであれば、図8に示すように、排土領域65(排土場)で無人車両2が排土した土砂をダンプして整地する作業を行う。有人車両20についても積込み機械14と同様に作業の進行に伴いその車両位置が随時変化する。
上記積込み機械14、有人車両20による作業の進行に伴って積込み領域14、排土領域65の位置、形状が変化する。これは作業に伴って切り羽などの壁や崖の位置形状が変化するからである。なお走行コース領域67の位置形状についても路肩の位置形状が作業の進行に伴い変化することによって変化することがある。
以上のようにコースエリア68の位置、形状は作業の進行に伴い随時変化する。
コースエリア68内は未舗装である。このため複数の無人車両2、2…が走行するに伴い路面状態が随時変化する。また無人車両2の走行中に積み荷である岩石が路面に落下することがある。このため無人車両2の走行コース上に穴やぬかるみなどが形成されて車両の通過が困難になることがある。また走行コース上に岩石が出現して車両の通過が不可能となることがある。したがってこれら穴やぬかるみ、岩石などは無人車両2が走行する上での障害物となる。
そして上記障害物(積み荷)の落下は随時発生する。また障害物(積み荷)が落下したとしてもブルドーザなどの有人車両20がこれを発見すると除去することがある。さらに無人車両2の走行コース上に、他のブルドーザや給油車などの有人作業車両20が停車していることもある。この場合有人車両20が無人車両2にとっての障害物となる。またこの障害物たる有人車両20の停車位置は随時変化する。このように複数の無人車両2、2…が走行するコースエリア68内の障害物は固定的なものではない。無人車両2の走行に伴って新たに障害物が生成されたり除去されたりしてその位置も随時変化する。
以上のようにコースエリア68内の障害物は作業の進行に伴い随時変化する。本実施形態では、図6に示すようにコースエリア68として排土領域65を想定しこの排土領域65における走行コース71を生成する場合を想定する。
同図6に示すように排土領域65は境界線66で囲まれた領域である。排土領域65には無人車両2の出入口が設けられている。排土領域65の出入口と、無人車両2の走行路である走行コース領域67とは接続されている。
無人車両2は走行起点から走行を開始し走行コース領域67上を矢印A方向に走行し排土領域65の入口点69に到達する。そして入口点69を通過して排土領域出入口より排土領域65内に進入する。そして排土領域65内で無人車両2はスイッチバック走行する。すなわち無人車両2は矢印B方向に前進した後、排土方向に沿って矢印C方向に後進する。そして目標排土点72で停車して排土作業を行う。つまりダンプトラック2のベッセルを傾斜させてベッセル内の土砂を目標排土点72で排出する。排土作業を終えた無人車両2は矢印D方向に前進し排土領域出入口より排土領域65から脱出し走行コース領域67に進入する。そして出口点70を通過して走行コース領域67上を矢印E方向に走行し走行終了点まで戻る。以上のような走行コース71に沿って無人車両2は誘導走行される。
ここで排土領域65(境界線66で囲まれた内部)および走行コース領域67の外側、つまりコースエリア68の外側を、実際の地形で示すと、図8に示すように壁や崖など地形的に無人車両2の走行が不可能な領域になっている。
図8に示すように排土領域65の位置形状は作業の進行に伴い随時変化し、排土領域65内の障害物74も随時変化するので、走行コース71は71′に示すように、コースエリア68(排土領域65)内を走行でき、障害物74と干渉しないように随時修正される。
図1は、実施形態における各種データの流れを示すブロック図である。データは監視局8、無人車両2、積込み機械14、有人車両20相互間で送受信される。監視局8は複数の無人車両2、2…を管理、監視する機能を有する。各種データが監視局8、無人車両2、積込み機械14、有人車両20相互間で送受信されることによって、監視局8のデータベースに複数の無人車両2、2…に共通する障害物74のデータが記憶されるとともにコースエリア68の位置形状を示すデータが記憶される。そして複数の無人車両2、2…の走行に伴い障害物74のデータが更新されるとともにコースエリア68のデータが更新される。
走行コース71は、随時更新されるデータに基づいて修正走行コース71′として随時修正される。
図2、図3、図4、図5は、無人車両2、監視局8、積込み機械14、有人車両20の構成をそれぞれブロック図で示している。
まず図2の無人車両2の構成について説明する。
無人車両2の位置計測部33では自己の車両位置(X、Y)が計測される。位置計測の手段としては無人車両2の前輪および後輪に設けられた車輪回転数センサとジャイロが使用される。これら車輪回転数センサの出力信号とジャイロの出力信号とに基づいて車両位置が計測される。本実施形態では車両位置を計測する装置として車両2の対地位置を計測できるGPSも搭載されている。
無人車両2の処理部31では、車輪回転数センサの出力から得られた車両位置と、対地位置計測装置であるGPSの出力から得られた車両位置との偏差が求められる。この偏差から無人車両2が現在走行している路面の路面状態が検出される。
無人車両2には、車両進行方向前方の障害物74を検出する障害物検出器34が搭載されている。障害物検出器34としてはミリ波レーダ、レーザレーダ、視覚センサなどが使用される。
図9に無人車両2の前方の障害物74を検出する様子を示す。矢印75に示す方向に車両2が進行中に、電波ないしはレーザを投射角度θで投射したときに車両進行方向前方の障害物74が障害物検出器34で検出されたとする。このとき電波ないしはレーザの投射角度θと、電波ないしはレーザの送受信時間に対応する障害物74までの距離dとに基づいて、車両2に対する障害物74の相対位置が求められる。無人車両2の絶対位置(X、Y)は位置計測部33で計測されているので、この無人車両2の絶対位置(X、Y)と、障害物検出器34から得られる車両2に対する障害物74の相対位置から、障害物74の絶対位置が計測される。
なお障害物検出器34としては、電波またはレーザを走査する走査機構が設けられた検出器を使用してもよい。また電波またはレーザを一定の方向に投射する障害物検出器を使用してもよい。
また無人車両2近傍に障害物74が存在する場合には、オペレータが搭乗している積込み機械14あるいは有人車両20で、この障害物74が発見される。このとき積込み機械14の通信部55を介して、また有人車両20の通信部63を介して無人車両2に対して停止指令が送信される。停止指令は無人車両2の通信部32で受信される。
無人車両2で計測された自己の車両位置を示すデータ、障害物74の検出位置を示すデータ、路面状態を示すデータ、停止指令を受信したことを示すデータは処理部31で処理され通信部32を介して監視局8に送信される。
監視局8からは自己の無人車両2が走行すべき走行コース71(あるいは修正された走行コース71′)を示すデータが送信され、通信部32で受信される。
そして受信された走行コース71または71′のデータは走行コース記憶部35に記憶される。
処理部31では、位置計測部33で計測された自己の車両位置と、走行コース記憶部35に記憶された走行コース71または71′上の逐次の位置とを比較しつつ、無人車両2が走行コース71または71′上の逐次の位置を順次たどるように走行指令および操舵指令を生成する。これら走行指令および操舵指令は走行機構部36および操舵機構部37に出力される。この結果無人車両2は走行コース71または71′に沿って誘導走行され目標排土点72に到達する。
つぎに図4の積込み機械14の構成について説明する。
積込み機械14には、自己の車両位置を障害物74の位置として計測するために、自己の車両位置を計測する位置計測部51が設けられている。位置計測の手段としてはたとえば自己の車両14の対地位置を計測できるGPSが使用される。
積込み機械14のデータ入力部48からは、コースエリア68の位置、形状を示すデータおよび障害物74の位置、形状、大きさを示すデータが指示入力される。
積込み機械の通信部55では、監視局8から送信された各種データつまり走行コース71、71′のデータ、障害物74のデータ、コースエリア68のデータ、他の車両の位置のデータが受信される。
積込み機械14の表示部50には、コースエリア68と、走行コース71、71′と自己の車両14を含む各種車両と、障害物74とが、同一画面上に表示される。
図12(a)は、表示部50の表示画面76上に、排土領域65と、排土領域65内の走行コース71、71′と、排土領域65内の無人車両2、有人車両20と、排土領域65内の障害物74とが表示されている様子を示す。なお積込み場を表示する場合には、表示部50の表示画面76上に、積込み領域73と、積込み領域73内の走行コース71、71′と、積込み領域73内の無人車両2、積込み機械14と、積込み領域73内の障害物74とが表示されることになる。
表示部50の表示画面76上の各表示物(コースエリア68、障害物74等)の相対位置は、実際の相対位置に相当する。
表示画面76上のコースエリア68の位置、形状および障害物74の位置、形状、大きさは、複数の無人車両2、2…の走行に伴い(各車両の作業の進行に伴い)、データ入力部48から入力されたデータにしたがい変化する。つまりデータ入力部48で新たな指示入力操作がなされると、表示部50の表示画面76上に表示されているコースエリア68の位置、形状、障害物74の位置、形状、大きさが指示操作内容に応じて変化される。
すなわちオペレータは、目視でコースエリア68の位置、形状の変化を捕らえるとともに障害物74の生成、消滅を確認する。
そして表示画面76上で目視した通りの結果が得られるように、データ入力部48によりデータの指示入力操作を行う。具体的には、表示画面76はタッチパネルで構成されている。なお入力されたデータは後述するようにデータ修正部49で自動修正される。
オペレータの手動操作に応じた走行指令、操舵指令が処理部47で生成され、これら走行指令および操舵指令が走行機構部53および操舵機構部54に出力される。この結果積込み機械14は手動操作の通りに操舵され、走行する。
また積込み機械14は、積込み領域73で無人車両2の走行コース71の目標点となる。このため積込み機械14の走行コース修正部52では、自己の車両14の移動に伴い目標点が変化したことに応じて、走行コース71の経路を修正する処理を行う。
積込み機械14で入力修正された障害物74のデータ、また入力修正されたコースエリア68のデータ、また修正された走行コース71のデータ、計測された自己の車両14の位置を示すデータは処理部47で処理され通信部55を介して監視局8に送信される。また走行コース71が積込み機械14の移動に伴い修正された場合には、その修正後の走行コース71に沿って走行を許可する旨の利用許可を示すデータが監視局8に送信される。
また積込み機械14のオペレータが、走行中の無人車両2の近傍に障害物74が存在していることを目視により発見した場合には、該当する無人車両2に対して停止を指示する旨の停止指令が通信部55を介して送信される。
つぎに図5の有人車両20の構成について説明する。
図5において図4と同一の符号は同一の構成要素である。すなわち有人車両20は、積込み機械14とほぼ同様に構成されている。ただし積込み機械14では走行コース修正部52があるのに対して有人車両20では走行コース修正部52がもたない点が異なる。
つぎに図3の監視局8の構成について説明する。
図3において図4と同一の符号は同一の構成要素である。すなわち監視局8の表示部50では図12(a)の表示画面76と同様の表示がなされる。したがって監視局8のオペレータが障害物74のデータ、コースエリア68のデータをデータ入力部48から指示入力すると、入力された内容に応じて表示画面76の表示内容が変化する。またデータ修正部49では、入力されたデータが自動修正される。
監視局8の通信部45では、複数の無人車両2、2…、積込み機械14および有人車両20から送信された各種データが受信される。各種データは処理部38で処理される。
すなわち複数の無人車両2、2…、積込み機械14および有人車両20の位置データつまり全車両の位置データは、車両位置記憶部46に記憶される。そして記憶内容は、最新の位置データが送信される毎に、当該最新の位置データに書き換えられる。
コースエリア記憶部40には、積込み機械14から送信されたコースエリア68のデータ、有人車両20から送信されたコースエリア68のデータ、監視局8で入力修正されたコースエリア68のデータが記憶される。そして記憶内容は、最新のコースエリア68のデータが送信される毎に、当該最新のデータに書き換えられる。つまりコースエリア記憶部40には、作業の進行に伴い随時変化するコースエリア68の最新の位置、形状のデータが記憶される。
監視局8の処理部38では、無人車両2から送信された車両位置データ、障害物位置データ、路面状態データ、停止指令受信データに基づいて、後述するように障害物74の位置、形状、大きさを示すデータが生成される。
同様にして監視局8の処理部38では、積込み機械14から送信された車両位置データ、障害物データに基づいて、後述するように障害物74の位置、形状、大きさを示すデータが生成される。
同様にして監視局8の処理部38では、有人車両20から送信された車両位置データ、障害物データに基づいて、後述するように障害物74の位置、形状、大きさを示すデータが生成される。
障害物記憶部41には、無人車両2、積込み機械14、有人車両20の送信データに基づき生成された障害物74のデータ、監視局8で入力修正された障害物74のデータが記憶される。そして記憶内容は、最新の障害物74のデータが生成される毎に、当該最新のデータに書き換えられる。つまり障害物記憶部41には、作業の進行に伴い随時変化する障害物74の最新の位置、形状、大きさのデータが記憶される。
表示部50の表示画面76には、車両位置記憶部46の記憶内容、コースエリア記憶部40の記憶内容、障害物記憶部41の記憶内容に基づき、最新の車両位置、最新のコースエリア68(排土領域65)の位置、形状、最新の障害物74の位置、形状、大きさが表示される(図12(a)参照)。
無人車両2の稼働前には予めティーチング用の有人車両20がコースエリア68内を走行して、コースエリア68(排土領域65)の位置データが取得されるとともに、無人車両2の走行コース71の位置データが取得される。これらティーチングにより得られた位置データは監視局8に与えられる。なお測量によってこれら位置データを取得してもよい。
監視局8の走行コース生成部44では、最初は上記ティーチングにより得られた位置データに基づいて走行コース71が生成される。
そして複数の無人車両2、2…の走行に伴い(作業の進行に伴い)、コースエリア記憶部40、障害物記憶部41の記憶データが随時読み出される。そして随時読み出された最新の障害物、コースエリアのデータに基づいて、無人車両2が障害物74と干渉しないでコースエリア68(排土領域65)内を走行して目標排土点72を通過するように、走行コース71が修正される。
走行コース生成部44で生成された走行コース71の位置データあるいは修正された修正走行コース71′の位置データは、通信部45を介して無人車両2に送信される。
つぎに障害物74が随時生成または消滅するに応じて走行コース71を修正する各種態様について説明する。
・態様1
有人車両20の表示部50の表示画面76上には、いま図12(a)に示すように、排土領域65と、排土領域65内の走行コース71と、排土領域65内の無人車両2、有人車両20とが表示されているものとする。
オペレータは目視でコースエリア68内の障害物74の生成、消滅を捕らえる。たとえばオペレータの視野内で無人車両2の積み荷である岩石が路面に落下している場合が該当する。またオペレータの視野内で路面に穴やぬかるみ、荒れた路面などが形成されている場合が該当する。これら穴やぬかるみ、荒れた路面は無人車両搭載の障害物検出器34で検出することができない障害物である。
またオペレータの視野内で落下積み荷(岩石)がブルドーザなどの有人車両20によって除去された場合が該当する。
つぎにオペレータは、表示画面76に目を移し、実際の排土領域65内の障害物74の生成消滅位置を、表示画面76上の位置に置き換える。つまり表示画面76上には排土領域65が表示されているので、この排土領域65との相対位置関係から、障害物74の生成消滅位置を画面上で確認でき、その位置を指示することができる。
たとえば障害物74が新たに生成された場合には、その生成位置、形状、大きさのデータをデータ入力部48から指示、入力する。こうして図12(a)に示すように表示画面76上には、オペレータが捕らえた障害物74が表示されることになる。
有人車両20の表示部50、データ入力部48を通してなされた上記障害物指示処理と同様の処理が、積込み機械14の表示部50、データ入力部48を通してなされる。また監視局8においても同様の障害物指示処理がなされる。
このため監視局8の障害物記憶部41には、各表示部50の表示画面76上で指示された障害物74の位置、形状、大きさのデータが記憶される。そして障害物74が新たに表示画面76上で指示される毎に、障害物記憶部41の記憶内容が更新される。
そして監視局8の走行コース生成部44では、図12(a)の破線に示すように、障害物記憶部41に記憶された障害物74のデータに基づいて、当該障害物74を回避する修正走行コース71′が生成される。表示画面76上には修正後の走行コース71′が表示される。
図8に実際の作業現場における修正走行コース71′を示す。
無人車両2はこの修正走行コース71′に沿って誘導走行される。このため無人車両2は障害物74と干渉することなく安全に走行することができる。
また障害物74の消滅が表示画面76上で指示された場合には、その消滅位置上を車両2が通過しても干渉は発生しない。そこで走行コース生成部44では、障害物消滅位置を通過する走行コースの生成が可能となる。つまり走行コースの不要な修正が防止される。
なおこの実施態様では、表示画面76上での障害物74の生成消滅の指示に応じて走行コース71を修正する処理を、監視局8で行うようにしているが、走行コース71の修正は積込み機械14で行うようにしてもよい。また有人車両20で同様の処理を行わせるような実施も可能である。
以上のように本実施態様によれば、表示画面76上で指示された障害物74が、複数の無人車両2、2…に共通する障害物74の位置として記憶されているので、この記憶データから、複数の無人車両2、2…の各走行コース71、71…の修正作業を容易に短時間で行うことが可能となる。このため走行コース71、71…の修正作業を作業効率よく行うことができる。障害物が発生する毎にティーチング用の車両を走行させなければならないティーチング作業に比較して作業効率が飛躍的に向上する。
また表示画面76上での指示が随時行われることで、障害物74のデータが随時更新されるので、複数の無人車両2、2…が走行する作業現場のように障害物74がリアルタイムに生成消滅していく作業現場に対処できる。つまり随時変化していく障害物74を見逃したり誤って障害物74であると判断してしまうことがなくなる。
また本実施態様によれば、オペレータの目視により障害物74であると確認するようにしているので、無人車両搭載の障害物検出器34で検出不可能な範囲に存在する障害物74あるいは検出不可能な形状の障害物74(穴、ぬかるみ、荒れた路面等)であっても、これを障害物であると判断できる。
また本実施形態によれば、オペレータの目視により障害物74であると確認するようにしているので、障害物検出器34で検出する場合に比較して、周囲環境いかんにかかわらず障害物74が確実に捕らえられる。
・態様2
有人車両20の表示部50の表示画面76上には、いま図12(a)に示すように、排土領域65と、排土領域65内の無人車両2、有人車両20とが表示されているものとする。また表示画面76上には、図12(b)に示すように無人車両2がすでに走行を終えた走行済み走行コース71″が表示される。
この走行済み走行コース71″は、過去にすでに走行を終えた走行コースのうちで最新の走行コースを選択することができる。また無人車両2を特定する符号(車両番号)を指示することよって走行済み走行コース71″を選択して画面上に表示させることができる。
オペレータは目視でコースエリア68内の障害物74の生成を捕らえる。オペレータの視野内で岩石が路面に存在していることが捕らえられると、オペレータは、表示画面76に目を移し、実際の排土領域65内の障害物74(岩石)の生成位置を、表示画面76上の位置に置き換える。
この場合表示画面76上には排土領域65が表示されているので、この排土領域65との相対位置関係で、障害物74の生成位置を判断することができる。
広域鉱山の作業現場では岩石等の障害物74は、主として無人車両2の積み荷が落下することによって生成される。したがってこの障害物74は無人車両2が走行を終えた走行済み走行コース71″上に位置していることが多い。
ここで図12(b)に示すように、表示画面76上には走行済み走行コース71″が表示されているので、この走行済み走行コース71″との相対位置関係で、岩石等の障害物74の生成位置を更に正確に判断することができる。つまりオペレータは、コースエリア68との相対位置関係で判断した障害物74の位置を、走行済み走行コース71″上の74′に位置されているものと判断を修正して、障害物74の正確な位置データをデータ入力部48から指示入力することができる。なお走行コース71″の曲率等によって積み荷の落下方向が異なる。そこで積み荷の落下方向(車両後方、車両左方向、車両右方向)を考慮して、より精度よく障害物74の位置を修正することができる。
以上のように本実施態様によれば、岩石等の無人車両2の積み荷の落下によって生成された障害物74の位置を表示画面76上で更に正確に指示することができるという効果が得られる。
有人車両20の表示部50、データ入力部48を通してなされた上記障害物指示処理と同様の処理が、積込み機械14の表示部50、データ入力部48を通してなされる。また監視局8においても同様の障害物指示処理がなされる。
なお障害物指示処理がなされた後の処理は、態様1と同様であるので、その説明は省略する。
・態様3
有人車両20の表示部50の表示画面76上には、いま図12(a)に示すように、排土領域65と、排土領域65内の無人車両2、有人車両20とが表示されているものとする。また表示画面76上には、図12(b)に示すように無人車両2がすでに走行を終えた走行済み走行コース71″が表示されている。
オペレータは目視でコースエリア68内の障害物74の生成を捕らえる。オペレータの視野内で岩石が路面に存在していることが捕らえられると、オペレータは、表示画面76に目を移し、実際の排土領域65内の障害物74(岩石)の生成位置を、表示画面76上の位置に置き換える。
この場合表示画面76上には排土領域65が表示されているので、この排土領域65との相対位置関係から、障害物74の生成位置を判断することができる。そこでオペレータはこのように判断した障害物74の位置のデータをデータ入力部48から指示入力する。
広域鉱山の作業現場では岩石等の障害物74は、主として無人車両2の積み荷が落下することによって生成される。したがってこの障害物74は無人車両2が走行を終えた走行済み走行コース71″上に位置していることが多い。
そこでデータ修正部49では、走行済み走行コース71″の位置データに基づいて、図12(b)に示すように、オペレータにより指示された障害物74の位置を、走行済み走行コース71″上の74′に位置するように自動的に修正する処理がなされる。なお走行コース71″の曲率等によって積み荷の落下方向が異なる。そこで積み荷の落下方向(車両後方、車両左方向、車両右方向)を示すデータに基づいて、より精度よく障害物74の位置を修正してもよい。
以上のようにして本実施態様によれば、岩石等の無人車両2の積み荷の落下によって生成された障害物74が表示画面76上で指示入力された場合に、その指示位置が、更に正確な位置74′へと自動修正されるという効果が得られる。
有人車両20の表示部50、データ入力部48、データ修正部49を通してなされた上記障害物指示修正処理と同様の処理が、積込み機械14の表示部50、データ入力部48、データ修正部49を通してなされる。また監視局8においても同様の障害物指示修正処理がなされる。
なお障害物指示修正処理がなされた後の処理は、態様1と同様であるので、その説明は省略する。
・態様4
図9に示すように、無人車両2の障害物検出器34では、車両前方の障害物74が検出される。なお障害物検出器34の配設位置、配設数を適宜変更することで、無人車両2の側方、後方の障害物74を検出してもよい。また有人作業車両20、14に障害物検出器34を搭載させてもよい。また全ての無人車両に障害物検出器34を搭載してもよく、一部の無人車両だけに障害物検出器34を搭載してもよい。
無人車両2の処理部31では、障害物検出器34から投射される電波ないしはレーザの投射角度θと、電波ないしはレーザの送受信時間に対応する障害物74までの距離dとに基づいて、車両2に対する障害物74の相対位置が演算される。さらに無人車両2の処理部31では、障害物検出器34で障害物74を検出したときに位置計測部33で計測される車両2の絶対位置(X、Y)と、上記投射距離dと投射角度θから求められた障害物74の相対位置とを加算することによって障害物74の絶対位置が演算される。
なお障害物検出器34の検出信号を監視局8に送信することによって障害物74の位置を演算する処理を監視局8で行わせるようにしてもよい。
このため監視局8の障害物記憶部41には、複数の無人車両2、2…から送信された障害物74の演算位置のデータが記憶される。そして障害物検出器34で新たに障害物74が検出され障害物74の位置が演算される毎に、障害物記憶部41の記憶内容が更新される。ただし、同じ障害物74を複数の無人車両2、2…が検出する場合がある。この場合には、各車両2、2…から送信された同一の障害物74の演算位置の平均値を求めて、この平均値をその同一の障害物74の位置データとして障害物記憶部41に記憶させることができる。
そして監視局8の走行コース生成部44では、図12(a)の破線に示すように、障害物記憶部41に記憶された障害物74の位置データに基づいて、当該障害物74を回避する修正走行コース71′が生成される。表示画面76上には修正後の走行コース71′が表示される。
図8に実際の作業現場における修正走行コース71′を示す。
無人車両2はこの修正走行コース71′に沿って誘導走行される。このため無人車両2は障害物74と干渉することなく安全に走行することができる。
以上のように本実施態様によれば、ある無人車両2で検出された障害物74が、複数の無人車両2、2…に共通する障害物74の位置として記憶されているので、この記憶データから、複数の無人車両2、2…の各走行コース71、71…の修正作業を容易に短時間で行うことが可能となる。このため走行コース71、71…の修正作業を作業効率よく行うことができる。
また、ある無人車両2が検出した障害物74が、他の無人車両2にとって障害物74とされるので、たとえ他の無人車両2に搭載された障害物検出器34で当該障害物74が検出できなくても確実に他の無人車両2はこの障害物74を回避することができる。つまり他の車両2の障害物検出器34が故障したり、動作が不確実であったり、周囲環境の影響により障害物74を精度よく検出できなかったりする場合でも、他の車両2は確実に障害物74を回避することができる。
また本実施態様によれば、複数の無人車両2、2…で障害物74の検出、演算が随時行われることで、障害物74のデータが随時更新されるので、複数の無人車両2、2…が走行する作業現場のように障害物74がリアルタイムに生成していく作業現場に対処することができる。つまり複数の無人車両から得られたデータを共有することで、随時変化していく障害物74を見逃したりすることがなくなる。
・態様5
無人車両2の処理部31では、車輪回転数センサの出力から得られた車両位置と、対地位置計測装置であるGPSの出力から得られた車両位置との偏差が求められ、この偏差から無人車両2が現在走行している路面の路面状態が検出される。
路面状態データは監視局8に送信され、監視局8の処理部38で路面が障害物74であるか否かが判断される。
すなわち車輪回転数センサの出力から得られた車両位置と、対地位置計測装置であるGPSの出力から得られた車両位置との偏差が、所定のしきい値以上である場合(車輪が回っているのに、対地位置の変化が少ない場合)には、無人車両2は大きくスリップしているものと判断し、そのときの路面は障害物74(ぬかるみ、穴等)であると判断する。そして路面状態データを送信した無人車両2の現在の計測位置(X、Y)が、障害物74(ぬかるみ、穴等)の位置であると判断する。なおスリップの大きさの程度(上記偏差の大きさ)に応じて障害物74(ぬかるみ、穴等)の大きさを設定してもよい。
なお車輪回転数センサの出力から得られた車両位置と、対地位置計測装置であるGPSの出力から得られた車両位置との偏差から、障害物74であるか否かの判断を行っているが、前輪の車輪回転数センサの出力と、後輪の車輪回転数センサの出力との偏差から、障害物74であるか否かの判断を行うようにしてもよい。前輪の回転数と後輪の回転数との差が大きい場合には、無人車両2がスリップしていると判断することができる。
またスリップしたことを検出して障害物74であることを判断しているが、路面の荒れを検出して障害物74であると判断してもよい。
無人車両2には、位置計測部33を構成するものとしてジャイロが搭載されている。このジャイロの出力つまり無人車両2の姿勢角の角速度が路面状態データとして監視局8に送信される。
監視局8では、ジャイロから出力される無人車両2の姿勢角の角速度が、所定のしきい値以上である場合(無人車両2のヨー方向への単位時間当たりの姿勢変化が大きい場合)には、無人車両2の下の路面は大きく荒れているものと判断し、そのときの路面は障害物74(路面荒れ)であると判断する。そして路面状態データを送信した無人車両2の現在の計測位置(X、Y)が、障害物74(路面荒れ)の位置であると判断する。なお路面の荒れの大きさ(上記ジャイロの出力値の大きさ)に応じて障害物74(路面荒れ)の大きさを設定してもよい。
なおジャイロの出力から、障害物74であるか否かの判断を行っているが、無人車両2に傾斜計を搭載して、この傾斜計の出力から得られる単位時間当たりの傾斜角の変化率に基づき、障害物74であるか否かの判断を行うようにしてもよい。傾斜計の出力から得られる単位時間当たりの傾斜角の変化率が大きい場合(無人車両2のローリング方向またはピッチング方向への単位時間当たりの姿勢変化が大きい場合)には、無人車両2の下の路面が荒れていると判断することができる。
また上記スリップや路面荒れの程度が小さくて障害物74であると判断するには至らない場合であっても、スリップや路面荒れの程度に応じて、走行、停止指令を無人車両2に送信することができる。すなわち監視局8は、スリップや路面荒れの大きさに応じて走行速度を低下させるための走行指令を無人車両2に送信することができる。また場合によっては、監視局8は、走行を停止するための停止指令を無人車両2に送信してもよい。
またこの実施態様では、監視局8側で路面状態データに基づきスリップや路面荒れの程度を判断しているが、無人車両2側で路面状態データに基づきスリップや路面荒れの程度を独自に判断してもよい。
この場合無人車両2側でスリップや路面荒れであることが判断されると、無人車両2は、そのスリップや路面荒れの大きさに応じて走行速度を低下させる。さらにスリップや路面荒れが所定のしきい値以上に大きくなった場合には、走行を停止させる。この場合無人車両2の速度が低下したことあるいは走行停止したことを示すデータが監視局8に送信される。
さらに無人車両2において障害物74であるか否かを判断を行い、その判断結果を監視局8に送信してもよい。この場合、監視局8は、無人車両2から送信された判断結果をそのまま採用してもよい。あるいは監視局8において、無人車両2から送信されたデータ(路面状態データ、速度低下/走行停止データ、障害物判断データ)をさらに分析して最終的に障害物74であるか否かを決定してもよい。
このため監視局8の障害物記憶部41には、スリップや路面荒れが発生したときの無人車両2の計測位置(X、Y)が障害物74の位置として記憶される。そして障害物検出器34で新たに障害物74(スリップ、路面荒れ)であるとの判断がなされる毎に、障害物記憶部41の記憶内容が更新される。
そして監視局8の走行コース生成部44では、図12(a)の破線に示すように、障害物記憶部41に記憶された障害物74の位置データに基づいて、当該障害物74を回避する修正走行コース71′が生成される。表示画面76上には修正後の走行コース71′が表示される。
図8に実際の作業現場における修正走行コース71′を示す。
無人車両2はこの修正走行コース71′に沿って誘導走行される。このため無人車両2は障害物74と干渉することなく安全に走行することができる。
以上のように本実施態様によれば、ある無人車両2で発生した障害物74(スリップ、路面荒れ)が、複数の無人車両2、2…に共通する障害物74の位置として記憶されているので、この記憶データから、複数の無人車両2、2…の各走行コース71、71…の修正作業を容易にかつ短時間で行うことが可能となる。このため走行コース71、71…の修正作業を作業効率よく行うことができる。
また本実施態様によれば、複数の無人車両2、2…で障害物74(スリップ、路面荒れ)が随時発生することに応じて障害物74のデータが随時更新されるので、複数の無人車両2、2…が走行する作業現場のように障害物74がリアルタイムに生成していく作業現場に対処することができる。つまり複数の無人車両から得られた障害物データを共有することで、随時変化していく障害物74(スリップ、路面荒れ)を見逃したりすることがなくなる。
また本実施態様によれば、無人車両2が走行する路面の状態から障害物74であると判断しているので、無人車両搭載の障害物検出器34で検出不可能な障害物74(ぬかるみ、穴、荒れた路面等)であっても、これを障害物であると判断できる。
なお、ぬかるみ、穴、荒れた路面等の障害物74は、作業の進行に伴い流動的に変化して消滅する場合もある。オペレータは障害物74が消滅したことを目視で判断すると、前述したように、表示画面76上で障害物74の消滅を指示する。 監視局8では、この障害物74の消滅の指示に応じて障害物記憶部41から該当する障害物74のデータを消去する処理がなされる。
また障害物74が障害物記憶部41に記憶格納されてから一定時間経過後に当該障害物74が消滅したか否かを監視局8側からオペレータに対して尋ねるようにしてもよい。またこの実施態様では、全ての無人車両で路面状態を検出する場合を想定しているが、一部の無人車両だけで路面状態を検出してもよい。また積込み車両14、有人車両20で路面状態を検出してもよい。この場合積込み車両14、有人車両20が走行する経路上の障害物74(ぬかるみ、穴、荒れた路面等)を捕らえることができる。
・態様6
有人車両20あるいは積込み機械14のオペレータが、走行中の無人車両2の近傍に障害物74が存在していることを目視により発見した場合には、該当する無人車両2に対して停止を指示する旨の停止指令を通信部55を介して送信する。この場合の障害物74は、無人車両2から落下した積み荷(岩石、土砂等)、ぬかるみ、穴、荒れた路面などである。
監視局8では、停止指令を受けた無人車両2から停止指令を受信した旨のデータを受信している。また監視局8では、この停止指令を受けた無人車両2の現在の計測位置(X、Y)のデータを受信している。そこで監視局8では、この停止指令を受けた無人車両2の計測位置(X、Y)(無人車両2の停止位置)を、障害物74の位置であると判断することができる。
更に、より正確に障害物74の位置を特定するために、停止指令を送信した積込み機械14あるいは有人車両20から、無人車両2に対する障害物74の相対位置を示すデータを監視局8に送信してもよい。
図10、図11はそれぞれ障害物74と走行コースの位置関係を例示している。
図10に示すように有人車両20または積込み機械14のオペレータが、無人車両2の後方に(走行コース71上に)、障害物74が存在することを確認した場合には、無人車両2を原点とする座標系X−Y上の座標位置のデータを、監視局8に送信する。また「無人車両2の後方L(m)」というデータを監視局8に送信してもよい。この場合、有人車両20または積込み機械14の表示部50の表示画面76上で該当する位置を指示することによって、該当するデータが監視局8に送信される。
監視局8では、停止指令を受けた無人車両2の計測位置(X、Y)(無人車両2の停止位置)と、有人車両20または積込み機械14から送信された相対位置データとに基づいて、障害物74の位置が正確に演算される。つまり無人車両2の後方(走行コース71上に)が障害物74の正確な位置であると特定される。
同様に図11に示すように有人車両20または積込み機械14のオペレータが、無人車両2の側方に、障害物74が存在することを確認した場合には、無人車両2を原点とする座標系X−Y上の座標位置のデータを、監視局8に送信する。また「無人車両2の側方L(m)」というデータを監視局8に送信してもよい。この場合、有人車両20または積込み機械14の表示部50の表示画面76上で該当する位置を指示することによって、該当するデータが監視局8に送信される。
監視局8では、停止指令を受けた無人車両2の計測位置(X、Y)(無人車両2の停止位置)と、有人車両20または積込み機械14から送信された相対位置データとに基づいて、障害物74の位置が正確に演算される。つまり無人車両2の側方が障害物74の正確な位置であると特定される。
なお有人車両20または積込み機械14から、障害物74の形状、大きさのデータを監視局8に送信することによって、障害物74の位置ばかりでなく形状、大きさを特定してもよい。
このため監視局8の障害物記憶部41には、停止指令を受けた無人車両2の位置(またはその近傍の位置)が障害物74の位置として記憶される。そして無人車両2が停止指令を受ける毎に、障害物記憶部41の記憶内容が更新される。
そして監視局8の走行コース生成部44では、図12(a)の破線に示すように、障害物記憶部41に記憶された障害物74の位置データに基づいて、当該障害物74を回避する修正走行コース71′が生成される。表示画面76上には修正後の走行コース71′が表示される。
図8に実際の作業現場における修正走行コース71′を示す。
無人車両2はこの修正走行コース71′に沿って誘導走行される。このため無人車両2は障害物74と干渉することなく安全に走行することができる。
以上のように本実施態様によれば、ある無人車両2の停止した場所が、複数の無人車両2、2…に共通する障害物74の位置として記憶されているので、この記憶データから、複数の無人車両2、2…の各走行コース71、71…の修正作業を容易にかつ短時間に行うことが可能となる。このため走行コース71、71…の修正作業を作業効率よく行うことができる。
また本実施態様によれば、複数の無人車両2、2…が随時停止することに応じて障害物74のデータが随時更新されるので、複数の無人車両2、2…が走行する作業現場のように障害物74がリアルタイムに生成していく作業現場に対処することができる。つまり複数の無人車両から得られた障害物データを共有することで、随時変化していく障害物74を見逃したりすることがなくなる。
また本実施態様によれば、オペレータが目視によって障害物74を確認しているので、無人車両搭載の障害物検出器34で検出不可能な障害物74(ぬかるみ、穴、荒れた路面等)であっても、これを障害物であると判断できる。
また本実施形態によれば、オペレータの目視により障害物74であると確認しているので、障害物検出器34で検出する場合に比較して、周囲環境いかんにかかわらず障害物74が確実に捕らえられる。
なお本実施態様では、全ての無人車両が停止指令を受信して停止する機能を有している場合を想定しているが、一部の無人車両のみに停止指令を受信して停止する機能をもたせるような実施も可能である。
・態様7
有人車両20、積込み機械14の位置計測部51では、自己の車両位置が計測される。この計測位置のデータは監視局8に送信される。
有人車両20、積込み機械14は、複数の無人車両2、2…が走行する上で障害物になる。
そこで監視局8の障害物記憶部41には、有人車両20、積込み機械14から送信された計測位置が障害物74の位置として記憶される。そして有人車両20、積込み機械14の計測位置が随時変更される毎に、障害物記憶部41の記憶内容が更新される。
そして監視局8の走行コース生成部44では、図12(a)の破線に示すように、障害物記憶部41に記憶された障害物74の位置データに基づいて、当該障害物74を回避する修正走行コース71′が生成される。表示画面76上には修正後の走行コース71′が表示される。
図8に実際の作業現場における修正走行コース71′を示す。
無人車両2はこの修正走行コース71′に沿って誘導走行される。このため無人車両2は障害物74と干渉することなく安全に走行することができる。
さて、障害物74の記憶位置の更新は、有人車両20、積込み機械14が走行、停止しているにかかわらず、随時行うようにしてもよい。
また障害物74の記憶位置の更新は、有人車両20、積込み機械14の走行中は行わずに、有人車両20、積込み機械14が停止する毎のみ行うようにしてもよい。この場合有人車両20、積込み機械14の走行中は、その走行している車両に該当する障害物のデータが障害物記憶部41の記憶内容から消去されることになる。
ただし、有人車両20、積込み機械14が走行中に、障害物74の記憶位置を随時更新する場合には、煩雑に走行コース71が修正されることになる。これを避けるためには、有人車両20、積込み機械14が停止する毎に、障害物74の記憶位置を更新して、走行コース71を修正することが望ましい。
また有人車両20、積込み機械14を回避するように走行コース71が修正されたとしても、有人車両20、積込み機械14が再度走行を開始すると無人車両2と干渉するおそれがある。そこで、無人車両2と、有人車両20、積込み機械14との相互間で無線通信を行い、相互の位置関係を確認しながら無人車両2を誘導走行させることが望ましい。
本実施態様では、有人車両20、積込み機械14自身を障害物74とする場合を想定しているが、つぎのような実施も可能である。
すなわちオペレータが岩石等の障害物74を発見すると、有人車両20をその障害物74近傍の位置まで走行させる。そこで、有人車両20は、自己の車両20に対する障害物74の相対位置を図10、図11と同様にして特定する。そして、この相対位置データを監視局8に送信する。
監視局8では、送信された有人車両20の計測位置のデータと、有人車両20に対する障害物74の相対位置のデータとに基づいて、障害物74の位置が正確に演算される。そしてこの障害物74の位置データが障害物記憶部41に記憶される。
なお本実施態様では障害物74の位置のデータのみを監視局8に送信しているが、障害物74の形状、大きさのデータを生成して、これを監視局8に送信する実施も可能である。
この場合有人車両20、積込み機械14の位置計測部51の出力に基づいて車両の走行速度および車両の進行方向が演算される。そしてこの演算した車両速度の大きさに応じて障害物74の大きさのデータが生成される。具体的には有人車両20、積込み機械14の走行速度が大きいほど障害物74は大きいと判断することによって、障害物74の大きさが特定される。
また上記演算した車両の進行方向に応じて障害物74の形状のデータが生成される。具体的には障害物74は、有人車両20、積込み機械14が進行する方向に、長い形状であると判断することによって、障害物74の形状が特定される。
こうして障害物74の位置、形状、大きさのデータが障害物記憶部41に記憶される。
なお本実施態様では、有人の作業車両20、14が無人車両2にとっての障害物であるとしているが、かかる作業車両20、14は無人車であってもよい。
以上のように本実施態様によれば、作業車両20、14が、複数の無人車両2、2…に共通する障害物74の位置として記憶されているので、この記憶データから、複数の無人車両2、2…の各走行コース71、71…の修正作業を容易にかつ短時間で行うことが可能となる。このため走行コース71、71…の修正作業を作業効率よく行うことができる。
また作業車両20、14の位置が随時変更されるに応じて障害物74のデータが随時更新されるので、複数の無人車両2、2…が走行する作業現場のように障害物74がリアルタイムに変化する作業現場に対処できる。つまり随時変化していく障害物74を見逃したりすることがなくなる。
なお以上説明した実施形態では、障害物74のデータに応じて修正走行コース71′を生成する場合を想定した。しかし本発明としては必ずしも走行コースを生成する必要はない。少なくとも障害物74のデータさえ取得できればよい。たとえば人工知能を有した無人車両に適用する場合には、障害物74のデータのみを当該車両に与えれば、無人車両は推論エンジンにしたがい、障害物74を回避する経路を通って目標排土点72まで到達することができる。
以下、コースエリア、目標点が変更される場合に容易に誘導走行コースを生成することができる実施形態について説明する。
図15において、コースエリア1は、鉱山における作業エリア(積み込みエリアもしくは排土エリア)である。無人移動体たる無人オフロードダンプトラック2は、このコースエリア1の入り口分岐点の位置SP に到達した後、後述の誘導コースに沿って移動目的点の位置TP に向かって走行し、この位置TP で所定の作業(積み込み作業もしくは排土作業)を実施する。
上記無人オフロードダンプトラック2(以下、無人ダンプという)は、図13に示すような走行制御系を備えている。
この図13において、モード設定部3は、計測モードと自動運転モードを設定するものであり、たとえば、スイッチによって構成される。
また、位置計測部4は、図示していないGPS(グローバル ポジショニングシステム)、走行距離情報を得るためのタイヤ回転数検出センサ、走行方向情報を得るための光ファイバジャイロ等を用いて上記無人ダンプ2の現走行位置を検出するものである。
図14は、誘導コースの生成手順を例示している。
この手順では、まず、上記コースエリア1の形状入力処理が実行される(ステップ100)。
コースエリア1の形状を入力する場合には、図示していないエリア計測用ダンプトラック(以下、計測用ダンプという)が走行される。すなわち、この計測用ダンプにオペレータが搭乗し、前記モード設定部3を操作して上記計測モードを設定した後、該ダンプ2をコースエリア1の境界に沿って走行させる。
このとき、計測用ダンプ用ダンプの位置計測部4は、該計測用ダンプの時々刻々の走行位置を検出して、コースエリア記憶部6に記憶させる。したがって、コースエリア記憶部6には、コースエリア1の形状が、上記走行位置の座標点列として記憶されることになる。
なお、コースエリア内に走行できない領域(例えば、大きな岩石がある領域)が存在する場合には、計測用ダンプをその近傍まで移動させた後、その位置からの相対的な範囲をマニュアルにて入力するか、グラフィックインターフェースを用いてオペレータが画面上で入力する。
図13に示す通信部7は、所定の場所に設置された監視局8との間で通信を行うものであり、上記計測用ダンプの通信部7は、上記計測したコースエリアの形状を示すデータを監視局8に送信する。
ところで、作業用の無人ダンプ2の積み込み作業は、鉱石を採集しているホイルローダやパワーショベルなどのローディング装置に該ダンプ2が接近し、このローディング装置がダンプに鉱石を積み込むことによって行われる。
上記移動目的点の位置TP は、ローディング装置のローディング位置であるが、このローディング位置は作業の進展に伴って変化する。
そこで、この実施例では、ローディング装置上のGPSと、地磁気方位センサとを用いてホイルローダやパワーショベルのバケット位置および無人ダンプ2の進入角を得るようにしている。
上記ローディング装置は、無線通信装置を備えており、ローディング時のバケット位置を上記移動目的点の位置TP として前記監視装置8に送信する。
なお、特開平9−44242号に示すように、ローディング装置の位置変化に従って、前回のローディング位置からの相対位置を指示するようにしても、上記移動目的点の位置TP を得ることができる。
監視局8は、作業用の無人ダンプ2に対して、上記コースエリアの形状を示すデータと、上記コースエリア1の入り口分岐点(移動起点)の位置SP と、上記移動目的点の位置TP を送信する。
そこで、無人ダンプ2の処理部5は、上記分岐点の位置SP と移動目的点の位置TP を通信部7を介して入力し(ステップ101)、ついで、後述の誘導コース生成回数nとベスト評価値E bestをそれぞれ0に初期値化する(ステップ102)。
そして、処理部5は、上記コースエリア1内における1つの中間点の位置MPの座標と、該中間点の位置MP における無人ダンプ2の方位角度とをランダムに設定した後(ステップ103)、上記分岐点の位置SP と上記中間点の位置MPとの間を結ぶ無人ダンプ2の誘導コースを生成する(ステップ104)。
いま、図15に示したように、上記分岐点の位置SP での無人ダンプ2の方向ベクトルを spv、上記中間点の位置MP での同方向ベクトルを mpv、上記目的点の位置TP での同方向ベクトルを tpvとすると、ステップ104における誘導コースの生成手順は以下の通りである。
(A) 図16および図17に示すように、直線SP + m spv上に位置MP が存在する場合。
(a−1)
図16に示すように、 spv= mpvであるときには、位置SP ,MP を結ぶ直線を誘導コースとして生成する。
(a−2)
図17に示すように、 spv≠ mpvであるときには、下記の条件1,2を満たす円S1,S2を設定し、位置SP ,MP 間に介在する該円S1,S2上の円弧の組み合わせからなるラインを誘導コースとして生成する。
条件1: 円S1は、その円周が位置SP を通りかつ直線SP + k spvを接線とする。円S2は、その円周が位置MP を通りかつ直線MP + l mpvを接線とする。
条件2: 円S4の中心は、位置SP からみて位置MP 側にあり、円S5の中心は、位置MP からみて位置SP 側にある。
条件3: 円S1,S2は、同径でかつ互いに接する。
(B) 図18〜図22に示すように、直線SP + m spv上に位置MP が存在せず、かつ、 spv≠ mpvおよび spv≠− mpvであるときには、直線SP + m spvと直線MP + n mpvの交点SMp を求める。
(b−1)
図18に示すように、が位置SP の前方でかつ位置MP の後方である場合には、位置SP を通りかつベクトル spvを含む直線と、位置MP を通りベクトル mpvを含む直線とを接線とする円S3を設定し、位置SP ,MP 間に介在する円S3上の円弧と直線を通る誘導コースを生成する。
つまり、交点SMP と位置SP の距離が、交点SMP と位置MP との距離より近い場合、位置SP から円MP を通りベクトル mpvと平行な直線との交点に至る円弧と、該交点から位置MP に至る線分をコースとして生成する。
逆に、交点SMP と位置MP との距離が近い場合、位置SP からベクトル spvを含む直線が円に接する点に至る線分と、その接点から位置MP に至る円上の円弧とからなるコースを生成する。
(b−2)
図19に示すように、上記交点SMp が位置Sp および位置MP の後方である場合、あるいは、図20に示すように、上記交点SMp が位置Sp および位置MP の前方である場合には、それぞれ下記条件1〜3を満たす円S4,S5円を設定し、位置SP ,MP 間に介在する該円S4,S5上の円弧の組み合わせからなるラインを誘導コースとして生成する。
条件1: 円S4は、位置SP を通りかつベクトル spvを含む直線を接線とする。円S5は、位置MP を通りかつベクトル mpvを含む直線を接線とする。
条件2: 円S4の中心は、位置SP からみて位置MP 側にあり、円S5の中心は、位置MP からみて位置SP 側にある。条件3: 円S4,S5は、同径でかつ互いに接する。
(b−3)
図21に示すように、上記交点SMp が位置Sp の後方でかつ位置MP の前方である場合、ベクトル spvを含む直線と、ベクトル mpvを含む直線とを接線とする円S6を設定する。そして、位置SP からベクトル spvを含む直線が円S6に接する点に至る直線と、その接点から位置MP 間に至る円S6上の円弧とからなるラインを誘導コースとして生成する。
(C) 図22に示すように、直線SP + m spv上に位置MP が存在せず、しかも、ベクトル spv, mpvが互いに平行でかつ spv= mpvの場合には、前記(b−2)に示した条件を満たす円S4,S5を設定し、位置SP ,MP 間に介在する該円S4,S5上の円弧の組み合わせからなるラインを誘導コースとして生成する。
(D) 図23、図24に示すように、直線SP + m spv上に位置MP が存在せず、かつ、ベクトル spv, mpvが互いに平行で spv=− mpvの場合。
(d−1)
図23に示すように、ベクトル spvと位置Sp から位置Mp に向かうベクトルとの内積( spv,Mp −Sp )が( spv,Mp −Sp )>0のとき、円周が位置Mp を通り、かつ、直線SP + k spvと直線MP + l mpvを接線とする円S7を設定する。そして、位置SP から接線SP + k spvが円8に接する点に至る直線と、該接点から位置MP に至る円8上の円弧とからなるラインを誘導コースとして生成する。
(d−2)
図24に示すように、上記内積( spv,Mp −Sp )が( spv,Mp −Sp )≦0のとき、円周が位置SP を通り、かつ、直線SP + k spvと直線MP + l mpvを接線とする円S9を設定する。そして、位置SP から直線MP + l mpvが円S10に接する点に至る円S9上の円弧と、該接点から位置MP に至る直線とからなるラインを誘導コースとして生成する。
上記入り口分岐点の位置SP と上記中間点の位置MP 間での無人ダンプ2の誘導コースの生成手順は以上のとおりである。なお、図19、図20および図22に示したコース生成手法においては、2つの円の径を等しく設定しているが、これは演算の容易化を図るためであって、各円の径を等しく設定しなくてもコース生成は可能である。
次ぎに、処理部5は、中間点の位置MP と目的点の位置TP 間の誘導コースを生成するが(ステップ105)、この誘導コースを生成は、上述した分岐点の位置SP と中間点の位置MP 間における誘導コースの生成手法に準じているので、ここでは、その説明を省略する。
なお、前記ステップ103では、中間点の位置MP の座標をランダムに設定しているが、該座標をコースエリア1の所定の端部の座標から順次設定するようにしても良い。また、前記ステップ105において中間点の位置MP と目的点の位置TP 間の誘導コースを生成する際には、必要に応じてそれらの位置間に1ないし複数の別の中間点を設定しても良い。
以上で、入り口分岐点の位置SP から中間点の位置MP を経由して目的点の位置TP に至る1つの誘導コース、例えば、図25に例示するような誘導コースの生成が終了する。そこで、処理部5は、この誘導コースと前記コースエリアの境界間の最小距離を演算する(ステップ106)。
すなわち、上記生成された誘導コースは、前記コースエリア1の形状と同様に座標点の列として表現される。そこで、処理部5は、上記誘導コース上の各点で示される線分とコースエリア1上の各点で示される線分との距離をそれぞれも止め、上記最小距離を求める。
ところで、上記生成された誘導コースは、コースエリア1の境界からの距離ができるだけ大きくなるように、また、無人ダンプ2ができるだけ大きい回転半径で移動できるように、更に、ダンプ2ができるだけ短い距離で目的点の位置TPに到達できるように設定されることが望ましい。
そこで、処理部は、上記生成された誘導コースを下記の評価関数によって評価する(ステップ107)。
E=f1〔min(distance for edge)〕+f2(minimum R)+f3(length of course)
ただし、min(distance for edge):誘導コースとコースエリア1の境界との間の最小距離。
minimum R :誘導コースの円弧部分の半径の最小値
length of course:誘導コースの長さ
ステップ108では、上記最小距離がダンプ2の車幅の1/2よりも小であるか否かが判断され、また、ステップ109では、上記最小半径が基準半径(ダンプ2の最小旋回半径)よりも小であるか否かがそれぞれ判断される。
上記最小距離がダンプ2の車幅の1/2よりも小であることは、ダンプ2がコースエリア1の境界に干渉する虞れのあることを示唆し、また、上記最小半径が基準半径よりも小であることは、上記生成された誘導コースがダンプ2の旋回が不可能な部分を含んでいることを示唆している。
そこで、ステップ108,109の判断結果のいずれかがYESの場合には、上記評価値Eを0にする処理が実行される(ステップ110)。
ステップ111では、上記評価値Eがそれまでに得られた最良の評価値E bestよりも大きいか否かが判断される。
そして、ステップ111の判断結果がYESである場合には、上記評価値Eによってそれまでの最良評価値が更新されるとともに、ステップ103で設定された中間点の位置Mp とステップ104,105において生成された誘導コースが図13に示した誘導コース記憶部9に記憶される(ステップ112)。
次のステップ113では、上記評価値Eが予め設定された基準評価値よりも大きいか否かが判断され、評価値Eが基準評価値よりも大きい場合には、現在、誘導コース記憶部9に記憶されている中間点の位置Mp と誘導コースを採用中間点の位置および採用誘導コースとして決定する(ステップ114)。
一方、ステップ111およびステップ113の判断結果がNOの場合には、誘導コース生成回数n(コースエリアの大きさ等に応じて適宜設定される)が1だけインクリメントされ(ステップ115)、ついで、上記生成回数nが設定回数に達したか否かが判断される(ステップ116)。
そして、生成回数nが設定回数に達していない場合には、手順がステップ103に戻され、また、同回数nが設定回数に達した場合には、手順がステップ114に移行される。
前記したように、ステップ108,109の判断結果がYESの場合には、上記評価値Eを0にする処理が実行されるので、ステップ111の判断結果がNOとなり、その結果、手順がステップ103に戻されて別のコースの生成処理が実行される。
それ故、上記手順によれば、生成された誘導コースがダンプ2の旋回が不可能な部分を含んでいる場合や、ダンプ2がコースエリアの境界と干渉する虞れがある場合に、該誘導コースとは異なる別の誘導コースが再生成される。
そして、最終的には、ダンプ2の旋回が不可能な部位が存在せず、かつ、上記干渉を生じる虞のない誘導コースが生成されることになる。
なお、ステップ108の判断対象である最小距離には、コースエリアの計測誤差が含まれている。また、上記コースデータに基づいてダンプ2を誘導走行させる場合には、位置計測誤差、走行制御誤差等の誤差が生じる。したがって、ステップ108における干渉チェックの信頼性を向上するには、上記車幅の1/2に上記の誤差を加味した判断基準を採用することが望ましい。
以上の説明から明らかなように、上記手順によれば、ランダムに指定される中間点の位置MP の座標に基づき、入り口分岐点の位置SP から該中間点の位置MP を経由して目的点の位置TP に至る誘導コース、具体的には、直線または円弧もしくはそれらの組合わせによって構成された誘導コースが生成される。
そして、生成された誘導コースの評価値が基準評価値よりも高い場合、あるいは、誘導コースの生成回数nが設定回数に達した場合に、採用中間点の位置および採用誘導コースが決定される。
なお、処理部5は、上記採用中間点の位置および採用誘導コースを図13に示した通信部7を介して前記監視局8に送信する。
上記誘導コースの生成方法においては、上記中間点の位置MP をランダムに設定しているが、この中間点の位置MP を前記コースエリアの1の任意の端位置から順次設定するようにしても良い。また、コースエリアの所定の区域を指定し、その区域の任意の端位置から中間点の位置MP を順次設定しても良い。
更に、上記誘導コースの生成方法においては、誘導コースを直線または円弧あるいはそれらの組み合わせによって構成しているが、上記位置SP ,MP 間および位置MP ,TP 間をそれぞれスプライン曲線で結んだ誘導コースを構成することも可能であり、また、直線と円弧とスプライン曲線を組み合わせて構成しても良い。
更にまた、上記においては、干渉を発生しない誘導コースを自動生成しているが、1つのコースが生成されるごとに、そのコースに対するオペレータの応答を求めるようにしても良い。
つまり、1つのコースが生成されるごとに、そのコースについての干渉の発生の有無および干渉の危険度を表示し、その表示に基づいてオペレータに最良なコースを選択させるという実施の形態も取り得る。
つぎに、上記誘導コースを用いたダンプ2の誘導走行について説明する。
自動運転によって上記入り口分岐点の位置SP まで走行してきた無人ダンプ2は、上記監視局8からの停止指令によって一旦停止する。そして、該監視局8から自動運転指令が送信された時点で、上記コースエリア1内での自動運転走行を開始する。
すなわち、処理部5は、上記自動運転指令に基づき、走行機構部10を起動して無人ダンプ2を走行させ、また、同時に、走行位置計測部4の出力に基づいて無人ダンプ2の現在位置を認識し、この現在位置と前記誘導コース記憶部9に記憶された前記誘導コースとに基づいて、無人ダンプ2が誘導コース上に位置されるように該ダンプ2の操舵機構部11を制御する。それ故、無人ダンプ2は、上記誘導コース上を走行しながら目的点の位置TP に到達することになる。
上記実施形態においては、無人ダンプ2の分岐点SP をコースエリア1の入り口に設定しているが、コースエリア1の入り口までのダンプ2の走行路であるいわゆるホールロードと該コースエリア入り口との境界が明朗でない場合や、コースエリア1が長大である場合には、上記ホールロードの任意の位置に上記分岐点SP を設けても良い。
この場合、上記分岐点SP は、前記目的点の位置TP から所定距離はなれたホールロード上の位置として一意的に決定するか、もしくは、上記分岐点の位置SP を上記ホールロード上の位置を定めるパラメータ(例えば、上記ホールロード上に予め設定された誘導コースにおける所定の出発位置からのダンプ2の移動距離)を用いて表現し、このパラメータを前記中間点の位置MP とともに検索して上記分岐点SP を決定しても良い。
また、上記実施形態においては、中間点の位置MP を直交座標(X,Y)で与えているが、この中間点の位置MP を円筒座標(θ,l)で与えることも可能である。そして、座標系の基準として直角な2つのベクトルを使用しても良いし、異なる方向の任意のベクトル、例えば、上記入り口分岐点の位置SP や目的点の位置TP を用いても良い。
一方、上記中間点の位置MP を次のようにして与えることも可能である。
すなわち、前記入り口分岐点の位置SP を通り方向ベクトルspv に接する円を描画し、この円の半径と該円における位置SP からの円弧の長さとよって上記中間点の位置MP を設定することができる。
また、同様に、前記移動目的点の位置TP を通りベクトルtpv に接する円を描画し、この円の半径と該円における位置TP からの円弧の長さとによって上記中間点の位置MP を設定することも可能である。
なお、この場合、位置SP から位置TP に至る部分誘導コース、または、位置TP から中間点の位置MP に至る部分誘導コースが該中間点の位置MP の設定と同時に作成されることになるので、前述したアルゴリズムにしたがってこの部分誘導コースを作成する必要がなくなる。
そして、上記部分誘導コースは、上記円の半径をダンプ2の最少旋回半径以上に設定しておくことにより、ダンプ2の旋回が十分に可能なコースとして構成されることになる。
以上では、1つの円を描画して上記中間点の位置MP を設定しているが、複数の円を描画して、各円の半径と該各円における円弧長とによって上記中間点の位置MP を設定することもできる。
すなわち、例えば、図26に示すように、移動目的点の位置TP を通りベクトル tpvに接する円S10と、この円S10に接する同径の円S11とを描画し、これらの円の半径と、位置TP から円S10,S10の接点にいたる円弧の長さと、該接点から中間点の位置MP 1に至る円弧の長とに基づいて移動目的点の位置TP を基準とした中間点の位置MP を設定することができる。
なお、移動目的点の位置TP を通りベクトル tpvに接する円は、ベクトルspvの上方に位置する図示の円S10と、ベクトル spvの下方に位置する図示していない円の2種が存在する。
そこで、上記2つの円を描画して中間点の位置MP を設定するためには、該円の半径、一方の円における円弧の長さ、他方の円における円弧の長さ、および、左方の円が接線の下方に位置しているか上方に位置しているかを指示するフラグという合計4つのパラメータの値を指定することになる。なお、上記2つの円は、必ずしも径を等しく設定しなくても良い。
上記のように、複数の円を描画して中間点の位置MP を設定する場合も、その設定と同時に中間点の位置MP に至る部分誘導コースが作成されるので、前述したアルゴリズムに用いて該部分誘導コースを作成する必要がなくなる。
そして、この部分誘導コースも、上記各円の半径をダンプ2の最少旋回半径以上に設定することにより、無人ダンプ2の旋回が不可能な部分を含まないことになる。
ところで、図14に示した位置計測部4は、前記GPSを備えているが、図27に示すよう、このGPSのアンテナ12が無人ダンプ2の前部中央に配設されている場合、GPSはこのアンテナ12の配設位置を無人ダンプ2の走行位置として計測する。
したがって、無人ダンプ2をコースエリア1の境界に沿って走行させ、その際に得られるGPSの時々刻々の位置検出結果に基づいてコースエリア1の形状を計測しようとした場合、計測されたコースエリア1の形状は、実際のコースエリア1の境界を無人ダンプ2の車幅の約1/2の距離だけ内側にシフトさせた形状となる。つまり、計測されたコースエリア1の形状は、上記車幅の約1/2の距離に相当する誤差を含むことになる。
図28は、上記誤差を可及的に低減するための手順を例示したものである。なお、この手順は上記処理部5において実行されるが、その実行に際しては、上記モード設定部3によって計測モードが設定される。
GPSは、所定の周期でダンプ2の位置を示すデータ(以下、GPSデータという)を出力する。図28に示す手順では、フラグおよびダンプ2の方位角がそれぞれ0に初期値化された後(ステップ200)、読込んだGPSデータ{ GPSx,GPS y}が前周期に出力されたGPSデータ{ GPS old x,GPS old y}として設定される(ステップ201)。
次に、GPSデータ{ GPS x,GPS y}が読み込まれるとともに(ステップ202)、上記フラグが1にセットされているか否かが判断される(203)。
現時点においては、上記フラグが0であるので、ステップ203の判断結果はNOとなる。そこで、上記フラグが1にセットされた後(ステップ204)、手順がステップ201に戻される。
その後、前記ステップ201〜203の手順が再度実行されるが、上記フラグが1にセットされていることから、ステップ203の判断結果はYESとなる。以上によって、前周期に出力されたGPSデータ{ GPS old x,GPS old y}と現周期に出力されたGPSデータ{ GPS x,GPS y}が得られたので、下式(1)に基づいて、無人ダンプ2の方位角が演算される(ステップ205)。
Angle=atan2(GPS y - GPS old y,GPS x - GPS old x)…(1)
ただし、atan2 は、X,Yの符号を加味して角度を求めるアークタンジェント関数である。
次に、無人ダンプ2の左端を計測位置にするか否かが判断される(ステップ206)。なお、図14に示す計測位置指示スイッチ13は、計測位置として無人ダンプ2の左端と右端を選択的に指示するものであり、ステップ206における判断は、このスイッチ13の指示に基づいて実行される。
上記左端計測位置が指示された場合には、下式(2),(3)に基づいて上記左端の位置が走行位置として演算され(ステップ207)、また、上記右端が指示されている場合には、下式(4),(5)に基づいて該左端の位置が走行位置として演算される(ステップ208)。
Edge x=Gps x+l1*cos(Angle)-12*sin(Angle)…(2)
Edge y=Gps y+l1*cos(Angle)-12*cos(Angle)…(3)
Edge x=Gps x+l1*cos(Angle)-13*sin(Angle)…(4)
Edge y=Gps y+l1*cos(Angle)-13*cos(Angle)…(5)
ただし、l1,l2 およびl3は、ダンプ2におけるGPSアンテナ12の位置関係を示すパラメータである(図27参照)。
上記演算された走行位置{Edge x, Edge y}は、前記コースエリア記憶部6に記憶される(ステップ209)、以後、上記手順が繰り返される。
したがって、例えば、上記左端計測位置を指示した状態で、無人ダンプ2をその左端がコースエリア1の境界に沿うように走行させれば、コースエリア1の形状を極めて精度よく計測することができる。
なお、上記手順においては、無人ダンプ2の方位角を無人ダンプ2の位置変化量に基づいて算定しているが、光ファイバジャイロや地磁気センサを用いて上記方位角を計測しても良い。また、異種の複数のセンサを複合的に用いて検出精度を向上させるいわゆるセンサフュージョン手法を上記方位角の計測に導入することもできる。
ところで、上記GPSアンテナ12の実際の配設位置を変更して、コースエリア1の形状計測精度を向上することも可能である。
この場合、例えば、GPSアンテナ12を取り付けるコネクタを無人ダンプ2の左端および右端にも設け、上記コースエリアの境界に対するダンプ2の走行態様に応じて上記各コネクタにGPSアンテナ12を選択的に連結する。
もちろん、上記左端および右端のそれぞれに各別なGPSアンテナを取り付けておき、スイッチ手段によってそれらのアンテナをGPS受信機に選択的に接続するように構成することも可能である。
なお、上記コースエリア1が前記積み込みエリアあるとすると、掘削機械の掘削作業の進展に伴って該コースエリア1が拡大する。つまり、コースエリア1の形状が変化する。
コースエリア1の形状が変化すると、図14のステップ106で算定される最小距離に誤差を生じ、これはステップ107における評価値に影響を与える。また、コースエリア1の拡大変化に伴って、無人ダンプ2の誘導コースの変更も必要になる。
上記コースエリア1の形状変化に対応するためには、上記コースエリア1の形状計測操作を定期的に実施れば良いが、これは作業性を低下させるので得策ではない。
そこで、以下、上記計測操作を実施することなくコースエリア1の形状を更新する手法について説明する。
図29に示すように、コースエリア1の積み込み場所には、ホイールロ−ダ等の積み込み機械(ローディング装置)14が位置している。
この積み込み機械14は、図32に示すように、GPSを備えた位置計測部15、光ファイバジャイロ等を備えた方位計測部16、前記監視局8と通信する通信部17、誘導コース記憶部18および処理部19を備えている。
上記監視局8から送信されたコースエリア1の形状を示すデータは、通信部17で受信された後、処理部18を介してコースエリア記憶部19に記憶される。なお、上記コースエリア1の形状を示すデータは、前記無人ダンプ2によって実測されたコースエリアに関するものであり、以下、このコースエリアを初期コースエリアという。
図33に示すように、上記処理部19は、位置計測部15で計測された積み込み機械14の現在位置を入力するとともに(ステップ300)、その位置と上記初期コースエリア1の境界との間の距離を算定し(ステップ301)、ついで、上記距離が0になったか否かを判断する(ステップ302)。
積み込み機械14は、図29に矢視したように、鉱石の掘削の進展に伴って初期コースエリア1の外方に向かって進行し、その結果、その位置と上記初期コースエリア1の境界との間の距離が徐々に減少する。
そして、図30に示すように上記距離が0になるまで積み込み機械14が進行すると、ステップ302の判断結果がYESになるので、処理部18においてコースエリア形状の更新処理が実行される(ステップ303)。
すなわち、初期コースエリアに積み込み機械14の進入エリアが付加されるように、上記記憶部18に記憶されたコースエリア形状データを更新する。
この更新処理の結果、上記記憶部18には、図31に示すような拡大されたコースエリア形状を示すデータが格納されることになる。そして、上記更新されたコースエリアは、積み込み機械14のその後の進行に伴って再更新される。
なお、積み込み機械14の占有エリアおよび左右前端の各位置は、該積み込み機械14の位置、形状および方位に基づいて上記処理部19で演算される。
上記更新されたコースエリア形状は、上記通信部17を介して上記監視局8に送信される。そこで、監視局8は、積み込み機械14の移動に対応して前記移動目的点の位置TP を更新し、この更新した移動目的点の位置TP と上記更新されたコースエリア形状を示すデータを前記ダンプ2に向けて送信する。
図13に示したダンプ2の処理部5は、上記更新後の移動目的点の位置TP とコースエリア形状とに基づいて図15に示す誘導コース生成手順を実行する。この結果、ダンプ2は、コースエリア形状の変化に適合した誘導コースに沿って移動目的点の位置TP まで誘導されることになる。
以上では、積み込み機械14の位置変化に基づいて上記コースエリア形状を更新しているが、掘削機械の作業形態、例えば、図34に示すパワーショベル20の作業形態に基づいて上記コースエリアの形状を更新することも可能である。
この場合、パワーショベル20には、図35に示すように、GPS等からなる3次元位置計測部21、バケット位置計測部22、前記監視局8と通信する通信部23、コースエリア形状を記憶させるコースエリア記憶部24および処理部25が設けられる。
なお、上記バケット位置計測部22は、上記3次元位置計測器21によって計測されるパワーショベル20の3次元位置と、ブーム25、アーム26およびバケット27の各回動角と、上部旋回体28の旋回角とに基づいてバケット27の3次元位置を計測する。
また、コースエリア記憶部24には、前記監視局8から送信されたコースエリア(前記初期コースエリア)1の形状を示すデータが通信部23および処理部25を介して記憶される。
図36は、処理部25において実行されるコースエリア形状の更新手順を例示している。
この手順では、位置計測部21で計測されたパワーショベル20の位置が入力され(ステップ400)、ついで、バケット位置計測部22で計測されたバケット27の位置が入力される(ステップ401)。
パワーショベル20の掘削部位の地上高さは、掘削の進展に伴って低下し、やがて、コースエリア内の地面の高さに一致する。そこで、次のステップ402では、バケット27の高さがコースエリア内の初期地面高さに一致した否かが判断される。
ステップ402の判断を実行する場合において、バケット27の高さは、バケット位置計測部22の出力から得ることができる。また、コースエリア内の初期地面高さは、予め適宜な手段で計測しておく。
なお、バケット27をコースエリア内の地面に当接させれば、上記バケット位置計測部22より出力される3次元位置における高さ位置がこの地面高さを示すことになるので、パワーショベル20自身で上記初期地面高さを計測することも可能である。
ステップ402の判断結果がYESになると、コースエリアの更新処理が実行される(ステップ403)。すなわち、上記初期コースエリアにバケット27の専有エリアが付加されるように、上記記憶部24に記憶されているコースエリア形状データを更新する。なお、上記更新された上記形状データは、パワーショベル20によるその後の掘削の進行に伴って再更新される。
上記コースエリア1が前記排土エリアの場合にも、該コースエリアの形状の更新が可能である。
すなわち、排土エリアでは、ダンプ2の排土作業に伴って該エリアの形状が変化するが、その排土位置はダンプ2の位置から知られ、また、排土範囲は該ダンプの排土量から知られる。
そこで、コースエリアの上記排土位置に相当する部分が上記排土範囲だけ減じられるようにコースエリアの形状データを更新する。もちろん、更新された形状データは、その後の排土作業に伴って再新される。
ところで、上記実施形態においては、コースエリア1の形状を計測するために前記計測用ダンプトラックを実際に走行させているが、上記コースエリア1の例えば入口部分に垂直軸を中心として旋回しながらレーザー光を水平方向に投射するレーザー投光器と、上記レーザー光の反射光(コースエリア1の境界からの反射光)を受光する受光器とを配設し、上記レーザー光が投射された時点から上記反射光が受光されるまでの時間に基づいて、上記コースエリア1の形状を計測することも可能である。
この方法によれば、コースエリア全域を計測することが可能であるが、低パワーのレーザー光を用いて、該エリアの形状変化区域の形状のみを計測するようにしてもよい。
なお、上記形状変化区域の形状は、前記計測用のダンプトラックをこの形状変化区域で走行させることによって計測することも可能である。
上述した実施例では、パワーショベル20のバケット27の高さをバケット位置計測部22で計測してこのバケット位置計測部22で計測された高さがコースエリア1の初期地面高さになったときにバケット27の占有エリア分だけコースエリア1を拡大更新するようにしている。
しかし実際の積込み機械14ではバケット位置計測部22等の作業機位置計測部が備えられていないことが多い。そこでつぎにバケット位置計測部22等の作業機位置計測部が搭載されない場合であってもコースエリア1を更新する処理が可能な実施例について述べる。
・実施例1
エクスカベータやホイールローダなどの積込み機械14の位置はGPSなどの位置計測装置によって計測されるものとする。積込み機械14で計測された位置が、無人ダンプ2の移動目的点Tpに設定される。たとえば積込み機械14がエクスカベータの場合、その位置はエクスカベータの本体あるいはアームあるいはブームに取り付けられた1つまたは複数のGPSによって計測される。
図39は積込み機械14で計測される同積込み機械14の現在位置に基づいてコースエリア1を拡大させる更新処理を説明する図である。図39において破線で示す1aはコースエリア1の境界線を示している。
同図39(a)に示すように積込み機械14は図34と同様にいわゆるトップローディングにて掘削作業を行う。したがって積込み機械14による掘削、積込み作業の進展に伴ってコースエリア1は図39(a)に示す状態から同図39(b)に示す状態に変化する。このようにして積込み機械14のオペレータは、掘削に応じて作業面を均し、新たに無人ダンプ2が走行可能なコースエリア1を拡大していく。
この場合積込み機械14にバケット位置計測部22等の作業機位置計測部が搭載されている場合には、前述した実施例と同様に、バケット位置計測部22で計測されたバケット27の高さがコースエリア1の初期地面高さになったときのバケット27の位置からコースエリア1が拡大する部分の位置データを取得することができる。そしてコースエリア1がバケット27の占有エリア分だけ拡大される。
また積込み機械14にバケット位置計測部22等の作業機位置計測部が搭載されていない場合には、積込み機械14搭載の位置計測装置(GPS)で計測された積込み機械14の現在位置つまり無人ダンプ2の移動目的点Tp(積込み位置)に基づいてコースエリア1が拡大する位置および拡大する範囲が求められる。すなわち無人ダンプ2の目的位置Tpとして指示される領域は、積込み機械14によって地面の荒れなどが整地された領域である。そして、この整地された領域は、無人ダンプ2の走行に適していると積込み機械14のオペレータによって保証されている領域である。
そこで積込み機械14搭載の位置計測装置(GPS)で積込み機械14の現在位置が計測され無人ダンプ2の移動目的点Tp(積込み位置)が与えられる毎に、その移動目的点Tpがコースエリア1の拡大位置とされ、コースエリア1が順次拡大され自動的にコースエリア1の更新処理がなされる。
移動目的点Tpが与えられたときにコースエリア1の拡大する範囲をどのように設定するかは任意である。たとえばコースエリア1が拡大する範囲は図39(a)に示すように、無人ダンプ2の移動目的点Tp(積込み位置)を中心(基準)とする車両占有範囲2aの大きさに設定することができる。この車両2の占有範囲2aを設定する際に一定の余裕を見込んでもよい。このように同図39(a)に示すように無人ダンプ2の移動目的点Tpが与えられる毎に、車両2の占有範囲2a分づつ順次コースエリア1が拡大していく。
また無人ダンプ2の移動目的点Tpが与えられると、無人ダンプ2がその移動目的点Tpに向かって移動する。この無人ダンプ2が移動目的点Tp(占有範囲2a)に向かって移動するために必須の走行コースも、積込み機械14によって整地されているものと見なし、同時にコースエリア1の拡大範囲に追加する実施も可能である。
・実施例2
つぎにコースエリア1が縮小するように更新される場合の実施例について説明する。この場合積込み機械14は図40(b)に示す状態で掘削、積込み作業を行う。このため積込み機械14の作業の進展に伴ってコースエリア1の境界線1aが内側に移行してコースエリア1が縮小されることになる。エクスカベータのような積込み機械14は、バケットを作動させて土砂を掘削し、その後本体(上部旋回体)を旋回(回転)させてバケット内の鉱石を無人ダンプ2に運搬して積み込むという一連の掘削、積込み作業を行う。積込み機械14の本体の旋回速度は、車両の移動速度に比較して高速である。このため土砂を掘削した後の土砂(鉱石)の運搬作業(積込み作業)は本体を回転させることで行われ車両自体は移動しない。したがって無人ダンプ2に土砂を積み込むときには、積込み機械14の本体の回転中心位置を基準にして一定範囲内の土砂が掘削され整地されることになる。このことから無人ダンプ2の目的点Tpが与えられた時点で、積込み機械14の回転中心位置を基準にして、掘削された(掘削する)領域を推定することができる。
たとえばエクスカベータのような積込み機械14は、図40(a)に示すように、そのアームが届く範囲のいずれの領域も掘削することが可能である。そこで、無人ダンプ2の目的点Tp(積込み位置)が指示された時点で、そのときの積込み機械14の回転中心位置に基づいて、アームが届く範囲のすべて領域14bをコースエリア1から取り除くようにする。この結果積込み機械14が領域14b内でどのような作業を行っていても無人ダンプ2が掘削している領域に進入することが回避される。
しかし積込み機械14のアームが届く領域14bの全てをコースエリア1から取り除くと、そのままでは無人ダンプ2の移動目的点Tpは、コースエリア1外になってしまう。そこで実施例1と併用して無人ダンプ2の移動目的点Tpがコースエリア1内となるように、積込み機械14のアームの届く範囲14bをコースエリア1から取り除く処理が実行される。
すなわち無人ダンプ2の目的点Tpは積込み機械14によって整地され車両の走行が可能な領域である。そこで積込み機械14のアームが届く円14aの中からこの目的点Tpのみが除かれる。積込み機械14の周囲14aのうち目的点Tpを除いた領域は掘削されている可能性があると考えられるからである。
・実施例3
実施例2において積込み機械14のアームが届く範囲14bすべてをコースエリア1から取り除くのではなく、その一部を取り除く実施も可能である。つまり通常の採掘作業では、何もないコースエリア1の中心から掘削を開始することはなく、コースエリア1の境界1aからの一定範囲内を掘削し、その他の部分を無人ダンプ2の走行が可能なコースエリアとして残すのが一般的である。また掘削の進行に伴って積込み機械14は随時1〜3m程度のピッチで移動を繰り返す。したがってコースエリア1から取り除く範囲をたとえば車体の大きさ程度の範囲にした場合であっても、掘削によって変化するコースエリア1をカバーすることができる。そこで図40(a)に示すように積込み機械14の移動に伴って、積込み機械14のアームが届く範囲の円14bのうちでコースエリア1の境界1aから一定範囲に存在する車体の大きさ程度の領域14a(八角形の領域14a)が、コースエリア1から順次取り除かれる。積込み機械14が大きな速度で移動したことを判定した場合には、図41に示すように積込み機械14のアームが届く範囲の円14bのうちで、コースエリア1の境界1aからの距離が一定となる領域14cがコースエリア1から順次除外される。
・実施例4
掘削の作業形態が一定の規則性を持たない場合にはコースエリア1から除外する範囲を積込み機械14のオペレータが直接指示してもよい。たとえば積込み機械14がエクスカベータの場合、バケットを掘削しようとする位置の上に移動させ、そのときにオペレータがボタンなどを押すことによって、現在のバケット位置をコースエリア1から取り除く範囲として指示するという実施が考えられる。この場合エクスカベータに設けられた複数の位置計測装置(GPS)によってエクスカベータの回転中心位置と方向を求められる。そしてこれらと予め与えられたバケットと本体の回転中心との距離を用いてバケットの位置が計算される。
さて上記実施例1でコースエリア1が拡大する場合の更新処理を説明し、上記実施例2、3、4でコースエリア1が縮小する場合の更新処理を説明した。作業状況に応じてコースエリア1を拡大させる更新処理と縮小させる更新処理のいずれかを行わせるようにしてもよい。たとえば積込み機械14の作業形態に応じて、コースエリア1が拡大するか縮小するかを選択する選択スイッチを設け、この選択スイッチで選択された結果に応じてコースエリア1を拡大する更新処理と縮小する更新処理のいずれかを行わせる実施が考えられる。
さて上記した誘導コースは、ヒューリスティックな問題解決技法によって得ているが、このような解決技法については、様々な方法が提案されている。単純に複数回の試行を行い、その中で最も評価関数値の良い試行を選択するのがモンテカルロ法である。また、試行を全空間の中で行わず、前回の試行に近い解空間の中で実施し、その評価値を前回の評価値と比較して、評価値が向上しているときに新たな試行を採用する方法がヒルクライム法と呼ばれるものであり、ヒューリスティックな問題を高速に解決するのに有効な技法である。
ヒルクライム法では、解空間の中に局所解が存在すると最適解が選ばれないことがある。例えば、コースエリアに中に、島状に進入禁止エリアがあるときなどは、局所解が存在することがあり、この場合、最適解が選ばれない虞れがある。Genetic Aigorithm(GA) も、ヒューリスティックな方法の一つである。これは、複数の候補の一部のデータを交換して、新しい候補を作る「交叉」と、候補者の一部を変更する突然変異を繰り返し実施して、より良い評価値を持った子孫を作り出す計算方法である。
この方法は、突然変異を全解空間の中から行うので、局所解の陥る恐れが少ない。したがって、モンテカルロ法に比べて求める解に高速に到達し、そのため良く使われている。
本実施例では、Genetic Aigorithm を利用しているが、その詳細は割愛する。
さて本実施例では、図15に示したように移動起点Spとその位置での方向spvを与えることによって、誘導走行コースのデータを生成しているが、移動起点Spとその位置での方向spvを与える代わりに、コースエリア1に進入するコース上の複数の点列を与えることによって、誘導走行コースのデータを生成してもよい。この場合コースエリア1に進入するコース上の複数の点列を選択する方法としてはつぎの方法が考えられる。すなわち中間点Mpと同様に変化させてみて評価関数値が最適となる場合を選択すればよい。またオペレータが任意に選択してもよい。また点列で与えなくても、線分や円弧あるいはスプライン曲線上の点として、その内の1箇所を選択してもよい。
なお本発明としては誘導走行コースを評価する評価関数は、上述した実施例記載のものに限定されるわけではない。たとえば誘導走行コースを移動するときに予想される時間を評価の対象としてもよい。この場合移動時間が短い程、評価値が良くなる。またスイッチバックの位置を評価の対象としてもよい。この場合スイッチバックの位置が目的点に近い程、評価値が良くなる。あるいはスイッチバックの位置での姿勢角度と、目的位置での姿勢角度との変化が小さい程、評価値が良くなる。