JP4605470B2 - コンデンサマイクロホン - Google Patents
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このコンデンサマイクロホンによると、ダイヤフラムは、それが位置する開口を形成している第一スペーサ及び第二スペーサから離れており、ダイヤフラムが位置する開口内に突出している梁部の先端部に上面が接合されている第三スペーサの下面に、対向する2辺の近傍が接合されている。第三スペーサを構成している第三膜の膜厚を調整することにより、ダイヤフラム上面から梁部下面までの高さを調整することができる。第三膜の膜厚が厚いほど、ダイヤフラムを構成している第二膜を形成した後に残留する第二膜の内部応力が第三スペーサの下面に及ぼすトルクが大きくなる。第三スペーサの下面に作用するトルクに応じて第三スペーサが回転し梁部が変形する。すなわち、第二膜の内部応力に応じて第三スペーサが回転し梁部が変形することにより、第二膜からなるダイヤフラムの内部応力が緩和される。さらに、このコンデンサマイクロホンのダイヤフラムは2辺が固定された両持ち梁のような構造であるため、全周が固定されたダイヤフラムに比べ音圧に対する振幅が大きくなる。第三スペーサに接合されているダイヤフラムの2辺の近傍の振幅は中央部に比べて小さいため、その2辺の近傍に向かい合う位置にプレートが存在する場合には、プレートとダイヤフラムで形成されるコンデンサの全容量に対してほとんど変化しない容量の割合が高くなる。このコンデンサマイクロホンによると、プレートはその2辺だけが第二スペーサに固定されるから、第三スペーサに接合されているダイヤフラムの2辺の内側にプレートの2辺を位置させることができる。このため、このコンデンサマイクロホンによると、プレートとダイヤフラムで形成されるコンデンサの全容量に対してほとんど変化しない容量の割合を低減できる。したがってこのコンデンサマイクロホンは感度が高い。さらにこのコンデンサマイクロホンによると、梁部はプレートと同一の膜からなり、第三スペーサはプレートを構成する膜とダイヤフラムを構成する膜の間に当然に必要な膜からなる。すなわち、このコンデンサマイクロホンの構造は、基本的なコンデンサマイクロホンに必須の膜のパターニング次第で実現できる簡素な構造である。
このコンデンサマイクロホンによると、ダイヤフラムが基板のキャビティを覆っているため、音波は第一スペーサと第二スペーサを貫く開口を通ってキャビティに伝搬するまでにダイヤフラムの外側からダイヤフラムと基板との間に回り込む。すなわち、このコンデンサマイクロホンによると、ダイヤフラムの外側を回り込む伝搬経路の音響抵抗が高い。したがって、このコンデンサマイクロホンによると、ダイヤフラムの外側を直進しても音波がキャビティに伝搬するコンデンサマイクロホンに比べ、ダイヤフラムが受ける音波のエネルギーが大きいため、感度が高い。ダイヤフラムがキャビティを覆う場合、ダイヤフラムと基板の一部が対向し、それらの間に容量が形成される。このコンデンサマイクロホンによると、ダイヤフラムと基板とが実質的に同じ電位になるため、そのような容量が形成されない。また、基板とダイヤフラムが同じ電位である場合、プレートを構成している膜のプレートの外側の部分と基板との間に容量が形成される。このコンデンサマイクロホンによると、それらの間にプレートと実質的に同一の電位になるガード電極を備えるため、ガード電極とプレートとの間に容量が形成されない。
このコンデンサマイクロホンによると、ダイヤフラムがその長手方向に湾曲するように振動するため、ダイヤフラムがその短手方向に湾曲する場合に比べて、ダイヤフラムの振幅が大きくなる。
コンデンサマイクロホン1の感音部は、基板17、第一膜、第二膜、第三膜及び第四膜からなる積層構造を有している。
基板17は例えば単結晶シリコンからなる。基板17にはダイヤフラム12が検出対象の音波の進行方向と反対側から受ける圧力を緩和するためのキャビティ16が形成されている。
第一スペーサ19及び第二スペーサ6には開口13が形成されている。開口13は、第一スペーサ19及び第二スペーサ6を貫いてキャビティ16に通じている。
ダイヤフラム12は、長方形の膜であり、梁部10及び第三スペーサ9によって開口13の内部に2辺が固定された両持ち梁のようにつり下げられ、キャビティ16を覆っている。ダイヤフラム12をつり下げている2つの第三スペーサ9は次のように梁部10及びダイヤフラム12に接合されている。第三スペーサ9は、ダイヤフラム12の短辺近傍上に堆積した第三膜の一部である。したがって、第三スペーサ9の下面はダイヤフラム12の対向する2つの短辺近傍に接合されている。梁部10の先端部は、第三スペーサ9の上面上に堆積した第四膜の一部である。したがって、第三スペーサ9の上面は梁部10の下面に接合されている。
プレート3及び梁部10のそれぞれには多数の通孔5、8が形成されている。
コンデンサマイクロホン1に到達した音は、通孔5、8などを通って開口13に進入する。通孔5、8から開口13に進入した音のエネルギーはそのほとんどがダイヤフラム12を振動させることによって消費される。ダイヤフラム12の外側を通ってキャビティ16に進入する音(図2(B)において矢印で示す進路で進む音)のエネルギーは、通孔5、8などを通って開口13に進入したエネルギーのうちの極わずかである。なぜならば、音の進行方向に向かって見ると、キャビティ16はダイヤフラム12によって完全に覆われており、また、ダイヤフラム12と基板17とが重なっている部分においてそれらの間隔はわずかだからである。尚、ダイヤフラム12と基板17とが重なっている部分が、音に対して抵抗として働くからである。
図2(A)に示すように、ダイヤフラム12はバイアス電源に接続されている。具体的には次のとおりである。図1(C)に示すように、導電性の第三膜で構成されたリード18が同じく第三膜で構成されたパッド2とダイヤフラム12とを接続している。パッド2にはバイアス電源の端子104に接続されているリード105が接続されている。バイアス電源の端子104には基板17に接続されているリード106も接続されているため、ダイヤフラム12と基板17とは実質的に同じ電位になる。したがって、ダイヤフラム12と基板17によって形成される容量は無い。
プレート3は内部抵抗が大きいオペアンプ101に接続されているため、ダイヤフラム12とプレート3とにより形成される静電容量がダイヤフラム12の振動により変化したとしても、プレート3に存在する電荷のオペアンプ101への移動量は極わずかである。したがって、プレート3及びダイヤフラム12に存在する電荷は変化しないものとみなすことができる。このため、ダイヤフラム12とプレート3とにより形成される静電容量の変化をプレート3の電位変化として取り出すことができる。
図3、図4、図5及び図6は、コンデンサマイクロホン1の製造方法を示す図である。各分図(A)は平面図、各分図(B)はy方向視断面図、(C)はx方向視断面図である。
はじめに、図3に示すように、基板17となるウェハ50の上に、第一スペーサ19になる絶縁性の第一膜51と、導電性の第二膜52とを堆積し、第二膜52をパターニングすることによりダイヤフラム12、ガード電極21などを形成する。具体的には、例えば次のとおりである。プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって二酸化シリコンを単結晶シリコンウェハ50の表面全体に堆積させることにより厚さ2μm程度の第一膜51を形成する。次に減圧CVD法を用いてPが添加されたポリシリコンを第一膜51の上に堆積させることにより、厚さ1μm程度の第二膜52を形成する。次に第二膜52の表面全体にフォトレジスト膜を塗布した後、所定のレジストマスクを用いた露光及び現像を行うフォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、RIE(Reactive Ion Etching)等の異方性エッチングにより第二膜52を選択的に除去するとダイヤフラム12、ガード電極21などが形成される。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。例えば、ダイヤフラムの形状は長方形でなくともよく、固定される端部よりも中央部の幅が狭くなっていてもよいし、固定される端部よりも中央部の幅が広くなっていてもよい。
Claims (3)
- キャビティを有する基板と、
前記基板上に堆積した第一膜からなる第一スペーサと、
前記第一スペーサ上に堆積した絶縁性の第三膜からなる第二スペーサと、
前記第一スペーサ及び前記第二スペーサを貫き前記キャビティに通ずる開口と、
前記第一スペーサ及び前記第二スペーサから離れて前記開口内に位置し、前記第一膜と前記第三膜との間に堆積した導電性の第二膜からなるダイヤフラムと、
前記第三膜上に堆積した導電性の第四膜からなり、仮想の第一軸と実質的に平行な対向する2辺が前記第二スペーサに固定され前記第一軸と実質的に垂直な仮想の第二軸と平行な2辺が前記ダイヤフラムの前記第二軸と平行な2辺の内側に位置するプレートと、
前記開口の両側に設けられ、前記第四膜からなり先端部が前記第二スペーサから前記第一軸と実質的に平行な方向に前記開口側に突出している梁部と、
前記第一スペーサ及び前記第二スペーサから離れて前記開口内に位置し、前記第三膜からなり、上面が前記梁部の先端部にそれぞれ接合され、下面が前記ダイヤフラムの前記第二軸と実質的に平行な2辺の近傍にそれぞれ接合されている第三スペーサと、
を備えるコンデンサマイクロホン。 - 前記ダイヤフラムは前記キャビティを覆い、
前記第一膜は絶縁性であって、
前記第四膜からなり前記第二スペーサに接合され前記プレートの前記第一軸と実質的に平行な対向する2辺に連なっているプレート接合部と、
前記ダイヤフラムから離れて前記プレート接合部と前記基板との間に位置し、前記第二膜からなるガード電極と、
前記ガード電極と前記バックプレートとを実質的に同じ電位にする第一回路要素と、
前記基板と前記ダイヤフラムを同電位にする第二回路要素と、
をさらに備える請求項1に記載のコンデンサマイクロホン。 - 前記ダイヤフラムは長短2つの対称軸を有する形状であって、
前記第一軸は前記ダイヤフラムの長い方の前記対称軸と平行である、
請求項1又は2に記載のコンデンサマイクロホン。
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