JP4604010B2 - 過給式ディーゼルエンジン - Google Patents

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Description

本発明は、過給式ディーゼルエンジンに関し、詳しくは、加速をスムーズに行うことができる過給式ディーゼルエンジンに関するものである。
従来の過給式ディーゼルエンジンとして、本発明と同様、燃料噴射ポンプの燃料調量ラックをガバナレバーに連動連結し、このガバナレバーをガバナスプリングを介して調速レバーに連動連結するとともに、ガバナ力発生手段に連携させ、ガバナスプリング力とガバナ力との不釣合い力でガバナレバーを揺動させ、このガバナレバーで燃料調量ラックの調量位置を制御し、ブーストコンペンセータを設け、過給のブースト圧とブーストスプリングとの不釣合い力でブーストレバーを揺動させ、このブーストレバーで燃料調量ラックの燃料増量を制限するようにしたものがある。
しかし、従来の過給式ディーゼルエンジンは、ガバナレバーをブーストレバーで受け止める構造になっているため、問題がある。
上記従来技術では、次の問題がある。
《問題》 加速がスムーズに行われない場合がある。
ガバナレバーをブーストレバーで受け止める構造になっているため、低回転領域で調速レバーを加速操作すると、加速がスムーズに行われない場合がある。
その理由は、次のように推定される。すなわち、ガバナスプリングとカバナ力との不釣合い力で揺動するガバナレバーをブーストレバーで受け止めるため、ブーストスプリングのバネ圧をこれに見合う強いものにしておく必要があり、低回転領域で調速レバーを加速操作した場合には、ブースト圧が増加しても、燃料制限が緩和されないためと推定される。
本発明は、上記問題点を解決することができる過給式ディーゼルエンジン、すなわち、加速をスムーズに行うことができる過給式ディーゼルエンジンを提供することを課題とする。
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、燃料噴射ポンプ(7)の燃料調量ラック(8)をガバナレバー(2)に連動連結し、このガバナレバー(2)をガバナスプリング(9)を介して調速レバー(10)に連動連結するとともに、ガバナ力発生手段(6)に連携させ、ガバナスプリング力(9a)とガバナ力(6a)との不釣合い力でガバナレバー(2)を揺動させ、このガバナレバー(2)で燃料調量ラック(8)の調量位置を制御し、
ブーストコンペンセータ(16)を設け、過給のブースト圧(24)とブーストスプリング(44)との不釣合い力でブーストレバー(39)を揺動させ、このブーストレバー(39)で燃料調量ラック(8)の燃料増量を制限するようにした、過給式ディーゼルエンジンにおいて、
図1に例示するように、燃料調量ラック(8)に連動体(37)を固定し、この連動体(37)をガバナレバー(2)にスライド自在に連結し、始動用スプリング(26)で連動体(37)を燃料調量ラック(8)の燃料増量方向に付勢し、この付勢された連動体(37)をガバナレバー(2)で受け止めることにより、ガバナレバー(2)で燃料調量ラック(8)を調量し、
図2に例示するように、低回転領域では、この付勢された連動体(37)が受けている始動用スプリング(26)の付勢力をブーストレバー(39)で受け止めて、ガバナレバー(2)が干渉しない位置で、ブーストレバー(39)による燃料調量ラック(8)の燃料制限を行うようにし、
図3に例示するように、燃料調量ラック(8)を感温作動手段(18)に連携させ、温間始動時には、感温作動手段(18)の感温作動に基づいて、冷間始動時よりも燃料調量ラック(8)の始動調量位置を燃料減量側に制限するに当たり、
感温作動手段(18)を付勢スプリング(19)で燃料減量方向に付勢し、ブーストレバー(39)に解除アーム(21)を設け、
図1または図2に例示するように、過給のブースト圧(24)が所定値を超えると、ブーストレバー(39)の揺動により解除アーム(21)が付勢スプリング(19)の付勢力(19a)に抗して感温作動手段(18)を押圧し、感温作動手段(18)を燃料調量ラック(8)の調量を制限しない制限解除位置に保持する、ことを特徴とする過給式ディーゼルエンジン。
(請求項1に係る発明)
《効果》 加速をスムーズに行うことができる。
図2に例示するように、低回転領域では、この付勢された連動体(37)が受けている始動用スプリング(26)の付勢力をブーストレバー(39)で受け止めて、ガバナレバー(2)が干渉しない位置で、ブーストレバー(39)による燃料調量ラック(8)の燃料制限を行うようにしたので、低回転領域で調速レバー(10)を加速操作しても、加速がスムーズに行なわれる。
その理由は、次のように推定される。すなわち、始動用スプリング(26)で付勢された連動体(37)が受けている始動用スプリング(26)の付勢力をブーストレバー(39)で受け止めるため、ブーストスプリング(44)のバネ圧(44a)はこれに見合う弱いもので足り、低回転領域で調速レバー(10)を加速操作した場合には、ブースト圧(24)の増加に伴い、燃料制限速やかに緩和され、加速がスムーズに行われるためと推定される。
《効果》 感温作動手段が通常運転に支障を及ぼすおそれがない。
図1または図2に例示するように、過給のブースト圧(24)が所定値を超えると、ブーストレバー(39)の揺動により解除アーム(21)が付勢スプリング(219)の付勢力(19a)に抗して感温作動手段(18)を押圧し、感温作動手段(18)を燃料調量ラック(8)の調量を制限しない制限解除位置に保持するので、エンジン始動後は、感温作動手段(18)が燃料調量ラック(8)の調量の邪魔をせず、感温作動手段(18)が通常運転に支障を及ぼすおそれがない。
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1から図6は本発明の実施形態に係る過給式ディーゼルエンジンを説明する図で、この実施形態では、過給式多気筒ディーゼルエンジンを用いて説明する。
このエンジンの概要は、次の通りである。
図4に示すように、シリンダブロックの横にポンプケース(31)を取り付け、このポンプケース(31)内に列型の燃料噴射ポンプ(7)と燃料噴射カム軸(32)を収容し、ポンプケース(31)の後部にガバナケース(33)を配置し、このガバナケース(33)内にメカニカルガバナ(1)を収容している。ガバナケース(33)にはエンジン停止用ソレノイド(34)とブーストコンペンセータ(16)を取り付けている。
図1に示すように、燃料噴射ポンプ(7)の燃料調量ラック(8)をガバナレバー(2)に連動連結し、このガバナレバー(2)をガバナスプリング(9)を介して調速レバー(10)に連動連結するとともに、ガバナ力発生手段(6)に連携させ、ガバナスプリング力(9a)とガバナ力(6a)との不釣合い力でガバナレバー(2)を揺動させ、このガバナレバー(2)で燃料調量ラック(8)の調量位置を制御する。ブーストコンペンセータ(16)を設け、過給のブースト圧(24)とブーストスプリング(44)との不釣合い力でブーストレバー(39)を揺動させ、このブーストレバー(39)で燃料調量ラック(8)の燃料増量を制限する。
メカニカルガバナの具体的構成は、次の通りである。
図1に示すように、メカニカルガバナ(1)のガバナレバー(2)をガバナ力入力レバー(3)とスプリング力入力レバー(4)とで構成し、各レバー(3)(4)をガバナレバー軸(5)で揺動自在に枢支し、ガバナ力入力レバー(3)の入力部にガバナ力発生手段(6)を当接させ、ガバナ力入力レバー(3)の出力部に燃料噴射ポンプ(7)の燃料調量部(8)を連動連結し、スプリング力入力レバー(4)をガバナスプリング(9)を介して調速レバー(10)に連動連結している。図中の符号(11)はトルクライズ装置であり、(12)はトルクバネケース、(13)はトルクピン、(14)はトルクバネ、(14a)はトルクバネ力であり、過負荷運転時にトルクライズを行う。
図4〜図6に示すように、ガバナ力入力レバー(3)とスプリング力入力レバー(4)とは、いずれも板金の折り曲げ成型品である。ガバナレバー軸(5)は、ガバナケース(33)に架設している。図4に示すように、ガバナ力発生手段(6)は、フライウェイト(35)とガバナスリーブ(36)からなる。燃料噴射カム軸(32)の後端部をガバナケース(33)内に突出させ、この突出部にフライウェイト(35)とガバナスリーブ(36)とを取り付けている。ガバナ力入力レバー(3)の出力部には、連動体(37)を介して、燃料噴射ポンプ(7)の燃料調量部(8)を連動連結している。
ブーストコンペンセータの構成は、次の通りである。
図1に示すように、ブーストコンペンセータ(16)はブースト作動器(38)とブーストレバー(39)とを備えている。ブースト作動器(38)内には、ブースト圧室(40)とダイヤフラム(41)と戻しバネ(42)とを収容し、ダイヤフラム(41)に出力ロッド(43)を取り付け、出力ロッド(43)の先端部を揺動アーム(39)の入力部に当接させている。ダイヤフラム(41)は戻しバネ力(42a)でブースト圧室(40)に向けて付勢されている。ブーストレバー(39)は、バネ(44)の付勢力(44a)で出力ロッド(43)の先端部に圧接させている。
この実施形態の工夫、次の通りである。
図1に示すように、燃料調量ラック(8)に連動体(37)を固定し、この連動体(37)をガバナレバー(2)にスライド自在に連結し、始動用スプリング(26)で連動体(37)を燃料調量ラック(8)の燃料増量方向に付勢し、この付勢された連動体(37)をガバナレバー(2)で受け止めることにより、ガバナレバー(2)で燃料調量ラック(8)を調量し、図2に示すように、低回転領域では、この付勢された連動体(37)が受けている始動用スプリング(26)の付勢力をブーストレバー(39)で受け止めて、ガバナレバー(2)が干渉しない位置で、ブーストレバー(39)による燃料調量ラック(8)の燃料制限を行うようにしている。連動体(37)には燃料増減方向に長い長孔(47)を形成し、ガバナ力入力レバー(3)に揺動レバー(45)を枢支し、この揺動レバー(20)の途中に係止部(46)を設け、この係止部(46)を長孔(47)に差し込み、図1に示す高速運転時には、ガバナ力入力レバー(3)の先端部(48)で揺動レバー(45)を受け止め、揺動レバー(45)の係止部(46)で長孔(47)の燃料減量側の端部周肉部(49)を受け止めることにより、連動体(37)をガバナレバー(2)で受け止めている。図2に示す低速運転時には、ブーストレバー(39)で揺動レバー(45)の先端部(50)を受け止め、揺動レバー(45)の係止部(46)で長孔(47)の燃料減量側の端部周肉部(49)を受け止めることにより、ガバナ力入力レバー(3)の先端部(48)から揺動レバー(45)が離れ、ガバナレバー(2)が干渉しない位置で、ブーストレバー(39)による燃料調量ラック(8)の燃料制限を行うようにしている。
図3に示すように、燃料調量ラック(8)を感温作動手段(18)に連携させ、温間始動時には、感温作動手段(18)の感温作動に基づいて、冷間始動時よりも燃料調量ラック(8)の始動調量位置を燃料減量側に制限するに当たり、図1に示すように、感温作動手段(18)を付勢スプリング(27)で燃料減量方向に付勢し、ブーストレバー(39)に解除アーム(21)を設け、過給のブースト圧(24)が所定値を超えると、ブーストレバー(39)の揺動により解除アーム(21)が感温作動手段(18)を押圧し、付勢スプリング(27)の付勢力(27a)に抗して感温作動手段(18)を燃料調量ラック(8)の調量を制限しない制限解除位置に保持する。感温作動手段(18)は冷間時には収縮し、温間時には伸長するワックスタイプのものである。感温作動手段(18)は、冷間時には、図3に示すように、揺動レバー(51)を介してスプリング力入力アーム(3)を受け止め、温間時には、図1または図2に示すように、解除アーム(21)が揺動レバー(51)を押すことにより、感温作動手段(18)を押圧ようになっている。感温作動手段(18)で連動体(37)を受け止めてもよい。
本発明の実施形態に係る過給式ディーゼルエンジンのメカニカルガバナ周辺の模式図で、高速運転時のものである。 低速運転時に加速した時の図1対応図である。 始動時の図1対応図である。 本発明の実施形態に係るのエンジンのガバナレバー周辺の縦断側面図である。 図4の反対側の縦断側面図である。 図5のVI方向矢視図で、一部を縦断した図である。
(2) ガバナレバー
(6) ガバナ力発生手段
(6a) ガバナ力
(7) 燃料噴射ポンプ
(8) 燃料調量ラック
(9) ガバナスプリング
(9a) ガバナスプリング力
(10) 調速レバー
(16) ブーストコンペンセータ
(18) 感温作動手段
(19) 付勢スプリング
(19a) 付勢力
(21) 解除アーム
(26)始動用スプリング
(37) 連動体
(39) ブーストレバー
(44) ブーストスプリング

Claims (1)

  1. 燃料噴射ポンプ(7)の燃料調量ラック(8)をガバナレバー(2)に連動連結し、このガバナレバー(2)をガバナスプリング(9)を介して調速レバー(10)に連動連結するとともに、ガバナ力発生手段(6)に連携させ、ガバナスプリング力(9a)とガバナ力(6a)との不釣合い力でガバナレバー(2)を揺動させ、このガバナレバー(2)で燃料調量ラック(8)の調量位置を制御し、
    ブーストコンペンセータ(16)を設け、過給のブースト圧(24)とブーストスプリング(44)との不釣合い力でブーストレバー(39)を揺動させ、このブーストレバー(39)で燃料調量ラック(8)の燃料増量を制限するようにした、過給式ディーゼルエンジンにおいて、
    燃料調量ラック(8)に連動体(37)を固定し、この連動体(37)をガバナレバー(2)にスライド自在に連結し、始動用スプリング(26)で連動体(37)を燃料調量ラック(8)の燃料増量方向に付勢し、この付勢された連動体(37)をガバナレバー(2)で受け止めることにより、ガバナレバー(2)で燃料調量ラック(8)を調量し、
    低回転領域では、この付勢された連動体(37)が受けている始動用スプリング(26)の付勢力をブーストレバー(39)で受け止めて、ガバナレバー(2)が干渉しない位置で、ブーストレバー(39)による燃料調量ラック(8)の燃料制限を行うようにし、
    燃料調量ラック(8)を感温作動手段(18)に連携させ、温間始動時には、感温作動手段(18)の感温作動に基づいて、冷間始動時よりも燃料調量ラック(8)の始動調量位置を燃料減量側に制限するに当たり、
    感温作動手段(18)を付勢スプリング(19)で燃料減量方向に付勢し、ブーストレバー(39)に解除アーム(21)を設け、
    過給のブースト圧(24)が所定値を超えると、ブーストレバー(39)の揺動により解除アーム(21)が付勢スプリング(19)の付勢力(19a)に抗して感温作動手段(18)を押圧し、感温作動手段(18)を燃料調量ラック(8)の調量を制限しない制限解除位置に保持する、ことを特徴とする過給式ディーゼルエンジン。
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