JP4603776B2 - 溶接部の温度測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、アーク溶接やレーザー溶接などの溶接部の凝固時の温度を測定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、溶接部の溶接金属の機械的特性は、凝固の際の冷却温度に大きな影響を受ける。特に溶接金属の靭性、つまりシャルピー吸収エネルギーの値は、溶接後の冷却温度と高い関連性がある.たとえば鉄鋼材料においては、800℃から500℃までの冷却速度が、材料の機械的特性に大きな影響を与える。冷却速度が大きい場合には、溶接部にマルテンサイトと呼ばれる硬い組織が生じやすくなり、靭性が低下する。
特に、レーザー溶接、あるいは電子ビーム溶接は通常のアーク溶接より著しく溶接速度が大きく、溶接部の性能確保のため、予めその冷却速度を知り、その冷却速度においても材質的に問題が生じないように、特に母材の成分組成を考慮しておくことが必要となる。
【0003】
従来、熱電対を用いた溶接部の温度測定が行われてきた。
図5は従来の溶接部の温度測定方法に用いられる熱電対を示す模式図である 図5の(a)において、熱電対9は2種類の合金ワイヤ91、92(たとえば、白金とロジウム)より構成され、2本のワイヤは、片側の端部の先端93において、互いに溶融接続されている。溶融接続部93は測温端子と称されている。熱電対9は、測温端子93において温度を測定する構造であって、2本のワイヤ91、92間の電圧(温度によって変化する)を測定するものである。
図5の(b)において、熱電対9の測温端子93は通常1600℃程度以上の高温に曝されると溶融するため、溶接のアークやビーム(3000℃程度の高温になると推定される、以下、アーク2と総称する)が直接当たると、溶融して温度測定が不可能となる。なお、図中、1は溶接電極を、94は溶損した測温端子93を示す。
【0004】
図6は従来の溶接部の温度測定方法を示す模式図(以下、従来技術1と称す)である。図6において、母材10(鋼材に同じ)の開先面11と母材20の開先面21を対峙し、開先面11、21によって形成されたV字状溝30に溶接ビード4が肉盛りされる。そして、溶接ビード4の温度を測定するために、母材10には開先面11に到達する貫通穴12が穿設され、貫通穴12に熱電対9が挿入されている。
このとき、熱電対9はアーク2に直接接触すると溶損するため、先端の測温端子93を開先面11から突出して配置することができない(V字状溝30内に配置することができない)。また、アーク2は開先面11を溶融して母材10内に侵入するため、予め溶融する幅を予測して、開先面11から熱電対9の測温端子93を離す必要があり、溶接熱影響部(HAZ)やFL(フュージョンライン、ボンド部)において温度測定が行われている。
【0005】
図7は従来の溶接部の温度測定方法を示す模式図(以下、従来技術2と称す)である。図7において、母材10の表面13に溶接ビード4が肉盛られ、溶接の溶融池3および溶接ビード4の温度を測定するために、溶融池3の中に直接熱電対9が挿入されている。
すなわち、 アーク2が通過した後でアーク2に接触しないように、アーク2の後方から溶融池3の中に熱電対9を挿入する方法(図4)である(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
【非特許文献1】
溶接学会論文集第18巻(2000年)第1号 96頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術1は、開先面11から測温端子93を離しているため、HAZやFL(フュージョンライン)での温度の測定は実施できるが、溶融池3の温度測定が困難であるという問題があった。
すなわち、溶融する幅が予測より大きい場合は、測温端子93が溶けてしまい、計測が不能となることがあった。一方、予測より溶融の幅が小さい場合は、溶融池3より離れた位置の温度を測定することになり、所望の測定が実現していなかった。よって、測定値が低目になり、約1400℃までと言われているFL(フュージョンライン、ボンド部)の温度の測定が出来ず、本来最も溶接によるダメージの大きいFL(フュージョンライン、ボンド部)での温度履歴が正確に知ることが出来なかった。
さらに、FLに測温端子93を合せようとすると、まず、溶接を行って溶接部の断面のマクロ組織を撮影し、この顕微鏡写真をもとに開先面11からFLの位置までの寸法を測定する必要があり、測温端子93(熱電対9の先端に同じ)をその寸法の位置に固定してから、再度溶接を行っていた。また、溶接条件(溶接電流×アーク電圧×溶接速度)が変わると、溶け込み形状が異なるため、そのたびに、マクロ組織を撮影する必要があり、溶接部の温度測定にひじょうに時間がかかるという問題があった。
また、該作業を繰り返しても、測温端子93の位置がFLに正確に一致しないことがあり、温度した値の正確性ないし信頼性に問題があった。
【0008】
また、従来技術2は、アーク2が通過した瞬間に溶融池3の中に熱電対9を挿入するため、該挿入のタイミングの取り方が困難であり、また、挿入深さが一定しないため、測定の度に測定値がバラツク(冷却速度が異なる)ことがあり、再現性に問題があった。
【0009】
本発明は前記問題を解決するためになされたものであり、溶接部の溶融部(溶融池)の温度を、精度高く容易に計測できる測定方法を得ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る溶接部の温度測定方法は、以下のとおりである。
【0012】
(1)溶接開先部に到達する貫通孔に光ファイバーを挿入して、その先端を予め前記溶接開先部に配置する工程と、
溶接によって前記溶接開先部に溶融部が形成された際、該溶融部内の放射光を前記先端から前記光ファイバー内に取り入れる工程と、
該取り入れた放射光を前記光ファイバーを通じて温度計測器に導き、前記溶融部の温度を測定する工程と、
前記溶融部が凝固した後も温度測定を継続する工程と、
を有することを特徴とするものである。
これによると、光ファイバの先端部を温度測定した位置に予め配置したり、先端部の溶損量を推定して所定の位置に予め配置したりすることができるから、予め設定した所望の位置における温度測定が可能になる。
また、光ファイバの先端部が溶損した場合でも、新しい先端面から放射光を取り込むことができるから、前記溶融部が凝固した後も放射光が発せられる限り温度測定を継続することが可能になる。
【0014】
(2)前記(1)において、前記光ファイバーを保護管に挿入することを特徴とするものである。
これによると、光ファイバーの周囲が保護管によって包囲されるため、側面から侵入する光による測定誤差が僅少になるから、測定精度が向上する。また、光ファイバーの溶損や折損が防止されるから、作業が容易になる。さらに、保護管をセラミック管にした場合には、セラミックの溶融池への溶け込み量が少ないため、溶接金属の化学組成が変わることないから、元のままの化学組成である溶接金属の温度測定をすることが可能になる。
【0015】
(3)前記(2)において、前記光ファイバーの外径と保護管の内径との隙間を、半径にて5μm〜500μmとすることを特徴とするものである。
これによると、かかる隙間を設定することによって、溶接部が凝固して光ファイバーの先端が拘束された状態で光ファイバーが自重で垂れ下がった場合であっても、光ファイバーの曲がりが小さいため、光ファイバーの折損が防止される。
【0016】
(4)前記(1)乃至(3)の何れかにおいて、前記光ファイバーの外径を80μm〜1000μmとすることを特徴とするものである。
これによると、かかる太さの光ファイバーを選定することによって、溶接部の溶融金属が凝固収縮した場合であっても、凝固収縮時の応力による折損が発生し難くなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(光ファイバー)
図1は本発明の実施の形態に係る溶接部の温度測定方法に用いる光ファイバーを説明する模式図である。
図1の(a)において、石英系ガラスよって形成された光ファイバ5はアーク1内に暴露されているため、先端が溶損して溶滴51となって落下している。このとき、溶損した後の光ファイバー5の先端52は、新しい端面として放射光を取り込むことができる。
したがって、光ファイバ5を溶接の溶融池に浸漬して先端部が溶損した場合でも、新しい端面から放射光を取り込むことができるから、温度測定を継続することが可能である。また、溶融池が凝固して固体になった後も、放射光を取り込むことができるから、温度測定を継続することが可能である。
すなわち、光ファイバー5は2層構造(コア層とクラッド層)のため、最初は、一方向からしか光を取り込めないものの、加熱によって石英が再結晶化して2層構造が崩れると、光ファイバー5の全方向から光を取り込むことが可能となり測定精度が向上するものである。
【0018】
(光ファイバーの外径)
光ファイバー5の外径としては、250μm〜1000μm(1mm)が適している。外径1000μm以上では、光ファイバー5の外径が大きすぎるため、ノイズとなる放射光の混入を招きやすく、測定精度が低下しやすくなる。
一方、250μmより細い光ファイバー5の場合には、光ファイバー5がガラスと同じ成分である石英で構成されているため、折れやすいという問題が生じる。すなわち、溶接部の溶融金属は凝固する際に凝固収縮を行うため、光ファイバー5を溶融金属の内部に浸漬した際、凝固収縮によって軸方向の圧縮応力を受けて細い光ファイバー(外径250μm以下)の場合には、折れることがあった。また、250μmの光ファイバー径が最適であった。
【0019】
(保護管)
図1の(b)において、光ファイバ5は保護管6に挿入されている。保護管6は、金属管あるいはセラミック管であって、光ファイバー5が側面からの光を受けることがないよう周囲を包囲している。これによって、光ファイバー5にはその先端50(先端50が溶融した場合は先端52)からのみ放射光が侵入するから、測定誤差が僅少になり測定精度が向上する。
また、石英系ガラスによって形成された光ファイバー5は折れやすいものの、周囲を保護管6で保護しているから、光ファイバー5自体のハンドリングが容易になるとともに、損傷を与えずに溶融池3に挿入することが容易になる。
なお、保護管6は金属管あるいはセラミック管に限定するものではなく、樹脂で被覆するものであってもよい。このとき、光ファイバー5の折れ曲がりを低減することができる。
【0020】
(光ファイバーと保護管との隙間)
光ファイバー5の内径と保護管6の外径の隙間は、半径にて5μm〜500μmが最も適切である。この数値限定の根拠は、以下である。
すなわち、外径の大きな保護管6を利用したところ、折れやすかった。この理由は、溶接部が凝固するため光ファイバー5の先端52が溶融部によって拘束され、該拘束状態で光ファイバー5が自重で垂れ下がった場合、先端52が自由に動くことができないため、曲がりが発生して折れたと考えられる。
具体的には、外径は250μmである光ファイバー5を、外径1.8mm(内径1.6mm)の保護管6に挿入した場合、光ファイバー5が折れることがあった。そこで、細い保護管である外径0.9mm(内径0.7mm)の保護管(SUS304製)を利用したところ、折れなかった。すなわち、自重を受けても、光ファイバー5の曲がりが小さかったためと思われる。
さらに、適正な範囲の調査を続けたところ、保護管6と光ファイバー5との隙間としては、半径において(片側)5μm〜500μmが最も適切であることが明らかとなった。
【0021】
(温度測定方法)
図2は本発明の実施の形態に係る溶接部の温度測定方法を説明する模式図である。
図2の(a)において、母材10の一方の側縁に開先面11が設けられ、開先面11に到達する貫通穴12が穿設され、貫通穴12に光ファイバー温度計7が挿入されている。光ファイバー温度計7は保護管6に光ファイバー5が挿入されている。
そして、光ファイバー温度計7の先端70は開先面11から所定の距離だけ突出している。
【0022】
図2の(b)において、母材20の一方の側縁にも開先面21が設けられ、開先面11と開先面21が対峙して、開先面11、21によってV字状溝30が形成されている。そして、溶接の開始に伴って、V字状溝30に向けて溶接電極1からアーク2が発生し、アーク2の経路内にある光ファイバー温度計7の先端70は一部が溶損して溶滴71となって落下している(図示しない光ファイバー5の先端50は一部が溶損して溶滴51となって落下しているに同じ)。
【0023】
図2の(c)において、溶接によって、V字状溝30に溶融池3が形成されている。このとき、光ファイバー温度計7の先端70は溶融池3に浸漬された状態にあって、光ファイバー温度計7の先端70は一部が溶損したものの、図示しない光ファイバー5の新しい端面52からは放射光が取り込まれる。したがって、溶融池3から発する放射光は端面52から光ファイバー5に取り込まれ、図示しない放射温度計に送られて、温度測定がなされている。
【0024】
図2の(d)において、V字状溝30に形成された溶融池3は凝固して溶接ビード4になっている。このとき、光ファイバー温度計7の先端70は一部が溶損した(図示しない光ファイバー5の先端50は一部が溶損したに同じ)ものの、溶接ビード4の内部に侵入したままであるから、溶接ビード4から発する放射光は継続して図示しない光ファイバー5の端面52から光ファイバー5に取り込まれ、図示しない温度測定手段に送られている。
【0025】
よって、溶接の開始から溶接ビード4が所定の低温になるまでの長い時間に渡って、温度変化を測定することができる。
また、光ファイバー5の先端52を溶融池3に埋設しているから、溶接作業時に発生するアーク光やレーザー光が光ファイバー5に取り込まれることがなく、かかる外乱による温度の検出誤差等の発生が防止されている
【0026】
なお、光ファイバー温度計7の保護管6をセラミック管にした場合には、セラミックが溶融しにくいため、光ファイバー5の先端をV字状溝30(アーク2が直射される溶融池3に同じ)の中央域に配置することが可能になる。また、セラミックは溶融池3への溶け込み量が少ないため、溶接金属の化学組成を変更させることが少ないから、化学組成が変更しないままの好ましい状態で、溶接金属の温度測定が可能である(通常、化学組成によって溶接部の挙動が変化する)。
【0027】
[実施例1:レーザ溶接]
図3は本発明の実施の形態に係る溶接部の温度測定方法のレーザ溶接における実施例1を説明する模式図である。なお、図1、2と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図3の(a)は、母材10の端面11と母材20の端面21を突き合わせて、表面13および表面23に向けてレーザビームを照射する前の状態を示している。すなわち、母材の10の内部に端面11に到達する貫通穴12が穿設され、内部に光ファイバー温度計7が挿入されている。光ファイバー温度計7の先端70は母材20の端面21に当接している(溶接部の中心に相当する)。
【0028】
このとき、母材10、20は、板厚12.1mmの鋼材SM490Aで、それぞれ幅30mm×厚み12mm×長さ150mm、75mm×厚み12mm×長さ150mmである。両母材の突き合わせ部は、ルートギャップ0mmのI型開先面に相当している。
また、溶接装置は、加工点最高出力4.5kWのLD励起Nd:YAGレーザ装置である。
そして、溶接条件としては、加工点でのレーザー出力:3.0kW、溶接速度:30cm/分、レンズの焦点距離:200m、焦点位置を母材10、20の表面13、23とした。シールドガスは、炭酸ガス100%である。
光ファイバー5としては外径250μmの石英系を、金属保護管6としては外径0.9mmのSUS304ステンレス管を用いた。
【0029】
図3の(b)は、(a)においてレーザビームを照射した後の断面を示す顕微鏡写真である。溶接中のレーザービームによって、光ファイバー5の当初の先端50は溶融しているものの、溶損後の先端52は溶接金属4の内部に侵入したままである。
また、溶接中にレーザービームによって、光ファイバー5の先端52は溶融しているが、逐次新しい断面から放射光を取り込むことができるため、溶融池内部の凝固中の温度の推移を、1540℃の溶融温度域から凝固後の300℃まで連続的に測定することができた。該測定結果において、800℃から500℃までの平均冷却速度は、61℃/secであった。また、再度、同一の測定をしたところ、62℃/minであり、再現性が高いことが確認された。
【0030】
表1は、図3に示すレーザー溶接において、溶融池の温度推移を従来技術2によって測定した測定結果である。このとき、熱電対9と光ファイバー温度計7とを束ねたものをレーザービーム2に接触しないように溶接部の後方から溶融池3に挿入して、温度測定を実施した。
光ファイバー5で測定した値と、熱電対9で測定した値との差異は、2℃以下であることから、光ファイバー5を用いてもレーザー溶接部の温度の測定が可能であり、測定した温度は熱電対9とほぼ同等であることが確認された。
【0031】
【表1】
【0032】
[実施例2:アーク溶接]
図4は本発明の実施の形態に係る溶接部の温度測定方法の炭酸ガスアーク溶接における実施例2を説明する模式図である。なお、図1、2と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図4において、母材10、20は、板厚19.0mmの鋼材SM490Aで、溶接部の開先面11、21は、ルートギャップ1mmのV型開先面である。
溶接方法は、炭酸ガスアーク溶接を採用し、溶接ワイヤは外径1.2mmのJIS Z 3312 YGW11を用いた。溶接条件は、溶接電流を250A、アーク電圧を23V、溶接速度を20cm/分とした。シールドガスは、炭酸ガス100%である。
光ファイバー温度計7は、外径125μmである石英製ファイバーの光ファイバー5を外径0.9mmのSUS304ステンレス管からなる金属保護管6に挿入したものである。そして、図2の(a)に示す要領で母材10に設けた貫通孔12に光ファイバー温度計7を挿入し、その先端を開先面11から突出させて固定している。
【0033】
このとき、溶接中にアークによって、光ファイバー5の先端52は溶融しているが、逐次新しい断面から放射光を取り込むことができるため、溶融池内部の凝固中の温度の推移を、1540℃の溶融温度域から凝固後の300℃まで連続的に測定することができた。該測定結果において、800℃から500℃までの平均冷却速度は、24℃/secであった。また、再度、同一の測定をしたところ、25℃/minであり、再現性が高いことが確認された。
【0034】
表2は、図4に示す炭酸ガスアーク溶接において、溶融池の温度推移を従来技術2によって測定した測定結果である。このとき、熱電対9と光ファイバー温度計8(光ファイバー温度計7に同じ)とを束ねたものをアーク2に接触しないように溶接部の後方から溶融池3に挿入して、温度測定を実施した。該測定結果において、光ファイバー8で測定した値と、熱電対9で測定した値との差異は、3℃以下であり、光ファイバー5を用いても、炭酸ガスアーク溶接部の温度の測定が可能であり、測定した温度は熱電対9とほぼ同等であることが確認された。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
本発明によると、溶接アークが直射する溶融部に光ファイバーの先端を配置して、該先端から入射する放射光によって溶接部の溶接金属の温度測定をするから、以下の効果が得られる。
1)開先面内の任意の位置おける温度を測定することが可能になる。
2)また、高い再現性でもって信頼性の高い温度測定を迅速にすることができる。
3)溶接速度が速い場合や溶融池が小さい場合でも、安定して溶接部の溶接金属の温度測定することができる。
4)光ファイバーを保護管内に挿入するから、側面からの光を低減して測定精度を向上させることが可能となる。
5)また、取扱が容易になるとともに、光ファイバー自体の溶損や折損を低減することが可能になる。
6)さらに、光ファイバーの外径を規定したから、光ファイバー自体の溶損や折損を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る溶接部の温度測定方法に用いる光ファイバーを説明する模式図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係る溶接部の温度測定方法を説明する模式図である。
【図3】 本発明の実施の形態に係る溶接部の温度測定方法のレーザ溶接における実施例1を説明する模式図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係る溶接部の温度測定方法の炭酸ガスアーク溶接における実施例2を説明する模式図である。
【図5】 従来の溶接部の温度測定方法に用いられる熱電対を示す模式図である。
【図6】 従来の溶接部の温度測定方法を示す模式図(従来技術1)である。
【図7】 従来の溶接部の温度測定方法を示す模式図(従来技術2)である。
【符号の説明】
1 溶接電極、 2 アーク、 3 溶融池、
4 溶接ビード 5 光ファイバー、 6 保護管
7 光ファイバー温度計 8 光ファイバー温度計、 9 熱電対、
10 母材、 11 開先面、 12 貫通孔、
20 母材、 21 開先面
Claims (4)
- 溶接開先部に到達する貫通孔に光ファイバーを挿入して、その先端を予め前記溶接開先部に配置する工程と、
溶接によって前記溶接開先部に溶融部が形成された際、該溶融部内の放射光を前記先端から前記光ファイバー内に取り入れる工程と、
該取り入れた放射光を前記光ファイバーを通じて温度計測器に導き、前記溶融部の温度を測定する工程と、
前記溶融部が凝固した後も温度測定を継続する工程と、
を有することを特徴とする溶接部の温度測定方法。 - 前記光ファイバーを保護管に挿入することを特徴とする請求項1記載の溶接部の温度測定方法。
- 前記光ファイバーの外径と保護管の内径との隙間を、半径にて5μm〜500μmとすることを特徴とする請求項2記載の溶接部の温度測定方法。
- 前記光ファイバーの外径を80μm〜1000μmとすることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の溶接部の温度測定方法。
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