JP2696632B2 - ステンレス鋼材の加工フロー腐食防止方法 - Google Patents

ステンレス鋼材の加工フロー腐食防止方法

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JP2696632B2
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崇之 永井
誠一郎 武田
利弘 加藤
一則 川野辺
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    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K2103/00Materials to be soldered, welded or cut
    • B23K2103/02Iron or ferrous alloys
    • B23K2103/04Steel or steel alloys
    • B23K2103/05Stainless steel

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼材の加工
フロー腐食の発生を防止する方法に関し、更に詳しく述
べると、ステンレス鋼材のメタルフロー方向と交差する
面にレーザビームを照射して表面を改質することによ
り、腐食性環境に曝される機器の耐食性を向上させる方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】腐食性物質を取り扱う各種の機器や部品
では、化学物質による機器材料の腐食が原因と考えられ
る故障がしばしば発生している。特にステンレス鋼製の
機器や部品において、メタルフロー方向(伸展加工方
向)と交差する面(これを加工フロー面という)が腐食
性環境に曝された場合、メタルフロー方向に沿って加工
フロー腐食(孔食)が発生する。腐食が進行すると、遂
には部材の裏側まで貫通して機器のトラブルを引き起こ
す。この原因は、ステンレス鋼塊の凝固過程における介
在物やクロム炭化物などの偏析が、圧延加工などにより
メタルフローとして連続し、それに沿って粒界腐食が選
択的に進行するためである。
【0003】この問題を解決するため、従来技術では、
予想される腐食の程度に応じて、機器全体の寿命に見合
った腐食しろをとる方法、あるいは肉盛り溶接(クラッ
ド溶接)を施して加工フロー腐食の発生を防止してき
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、加工フロー腐
食の発生の程度は、素材の品質のばらつきや腐食性環境
によって大きく左右されるため、適正な腐食しろの設定
が難しく、過剰設計となってしまう場合が多い。そのた
め機器の重量やコストが増大する問題が生じる。またク
ラッド溶接を施すと、熱影響部に新たな腐食要因を与え
る可能性があると共に、加工寸法が狂うことから、装置
の製作精度が悪くなる等の欠点がある。
【0005】本発明の目的は、簡便にステンレス鋼材の
加工フロー面そのものの耐食性を向上させて加工フロー
腐食の発生を防止することができ、そのため機器の長寿
命化を図ることができると共に、腐食しろを薄くして機
器を軽量化でき、機器の製作精度を向上させることがで
きる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はステンレス鋼材
の加工フロー面にレーザビームを照射することにより照
射部分を改質して加工フロー腐食の発生を防止する方法
である。照射するレーザビームは、光ファイバケーブル
を伝送可能な波長(0.17〜4μm)の光であり、且
つ単位時間単位面積当たりの照射エネルギーが100〜
2000MW/m2 となるように集光したものである。
レーザ照射は不活性ガスで遮蔽した雰囲気中で行う。前
記のレーザビームによる集光スポットを、単位面積当た
りの照射エネルギーが300〜3000MJ/m2 とな
るように移動させて、少なくとも腐食性環境に曝される
加工フロー面のほぼ全体にわたって走査する。
【0007】レーザ発振器としては、例えばNd3+−Y
AGレーザ(波長:1.06μm)が好ましい。不活性
ガスとしてはアルゴンガスや窒素ガス等を用いる。不活
性ガスは照射面に向かって吹き付けるようにするのがよ
い。
【0008】
【作用】レーザビームを照射したステンレス鋼材の加工
フロー面は、レーザビームの高い照射エネルギーのため
に、表層のみが極めて短い時間で溶融する。その後、集
光スポットの移動あるいは照射停止によって、照射され
た部位は急速に凝固し、金属組織は均一且つ微細な組織
に改質される。このため加工フロー腐食の原因である介
在物やクロム炭化物の偏析を拡散、消滅させると共に、
微細化によって侵食深さが低減することにより耐食性が
向上するのである。
【0009】ステンレス鋼材の加工フロー面に照射する
レーザビームの単位時間単位面積当たりの照射エネルギ
ーを100〜2000MW/m2 とするのは、100M
W/m2 未満では改質層の厚さが薄くなるため実用的な
耐食性が得られず、2000MW/m2 を超えると改質
層にクラックが発生する虞れがあるからである。またレ
ーザビームによる集光スポットを、単位面積当たりの照
射エネルギーが300〜3000MJ/m2となるよう
に移動させるのは、300MJ/m2 未満では単位時間
単位面積当たりの照射エネルギーが低い場合は殆ど改質
されず、また単位時間単位面積当たりの照射エネルギー
が高い場合は改質層にクラックが発生するし、3000
MJ/m2 を超えると改質層の組織粒が肥大化すると共
にレーザ照射熱による母材部の鋭敏化(700℃程度で
熱処理すること)が起こるため耐食性が悪化するからで
ある。なおレーザ照射条件を単位時間単位面積当たりの
照射エネルギーと単位面積当たりの照射エネルギーの両
方で規定しているのは、両者が、「単位時間単位面積当
たりの照射エネルギー」×「照射時間」=「単位面積当
たりの照射エネルギー」という関係にあり、「単位面積
当たりの照射エネルギー」が等しいからといって必ずし
も同じ表層改質効果が得られる訳ではないからである。
【0010】光ファイバケーブルを伝送可能な波長のレ
ーザビームを使用することで、表面改質処理作業時にレ
ーザ発振器を移動する必要性を無くし、作業性を高め、
照射装置のコンパクト化を図っている。照射部近傍を遮
蔽する不活性ガス雰囲気は、照射部の酸化及び組成変化
を防止する。照射面に向かって不活性ガスを吹き付ける
と、集光ヘッド(レーザ照射装置の先端)及びレーザ照
射面の過熱を防ぎ、また照射面の塵埃を除去することが
できる。
【0011】
【実施例】図1は本発明方法をステンレス鋼管の断面に
適用した例を示している。ステンレス鋼管10は展伸操
作によって成形され、中心軸方向がメタルフロー方向M
Fである。従って端面はメタルフロー方向に対し垂直と
なり加工フロー面12となる。この加工フロー面12に
レーザビーム14を照射して、加工フロー腐食の発生を
防止するのが本発明方法である。レーザビームは集光ヘ
ッド16によって集光し、加工フロー面12で単位時間
単位面積当たりの照射エネルギーが100〜2000M
W/m2 となる集光スポット18が得られるようにす
る。この集光スポット18を、単位面積当たりの照射エ
ネルギーが300〜3000MJ/m2 となるように移
動させて、腐食性環境に曝される加工フロー面12の表
面ほぼ全体にわたってジグザグ状に走査する。この時、
不活性ガスを集光ヘッド16の側方から導いて照射面に
吹き付け、照射面を不活性ガスで遮蔽する。ここでレー
ザビーム照射による改質部分を符号20で示し、集光ス
ポット18の中心の軌跡を符号22で示す。
【0012】図2は本発明で使用するレーザビーム照射
装置の全体構成例を示している。レーザ発振器30から
のレーザビームは入射ユニット32に入り、光ファイバ
ケーブル34を介して集光ヘッド(集光レンズ内蔵)3
6まで伝送され、集光レンズによって集光する。集光ヘ
ッド36の側面に不活性ガス供給管38を接続し、不活
性ガスをレーザビームとともに照射対象物40に向けて
吹き付けることができるようになっている。なお入射ユ
ニット32の上面には光路調整窓42が設けられ、レー
ザ発振器30からのレーザビームが効率よく集光ヘッド
36へ伝送されるように光路調整できるようになってい
る。
【0013】図3は計装用ノズル50の先端への適用例
を示している。この場合、腐食性環境に曝されるのはノ
ズル外面であるから、メタルフロー方向MFに垂直な先
端面(これが加工フロー面となる)全体にわたって前述
したような所定の照射条件でレーザビームを走査し、表
面改質を行う。斜線で表した領域が改質部分52を示し
ている。図4はくり抜き加工で製作した反応塔頭部54
への適用例を示している。この場合、腐食性環境に曝さ
れるのは反応塔頭部内面であるから、メタルフロー方向
MFに垂直な内面(これが加工フロー面となる)全体に
わたって前述したような所定の照射条件でレーザビーム
を走査し、表面改質を行う。斜線で表した領域が改質部
分56を示している。
【0014】本発明方法においてレーザ照射処理する加
工フロー面は、メタルフロー方向に対して垂直な面に限
られるものではなく、ある角度をもって交差する面(メ
タルフロー方向に平行していない面)も含まれることは
言うまでもない。
【0015】次に加工フロー面にレーザビームを照射し
た試験片の腐食試験結果について述べる。試験条件は以
下の通りである。 試験片(素材) :R−SUS310Nb レーザ照射条件 レーザ発振器 :Nd3+−YAGレーザ(波長:
1.06μm) 不活性ガス :窒素ガス 不活性ガス流量 :20リットル/分 ビーム照射送り速度:200mm/分 集光スポット径 :1mmφ 単位時間単位面積当たりの照射エネルギー:700M
W/m2 単位面積当たりの照射エネルギー :420M
J/m2 腐食試験条件 試験液組成 :8規定硝酸+V5+0.1モル/リット
ル 試験液温度 :沸点 浸漬腐食時間:288時間
【0016】上記の条件で腐食試験を行った結果を表1
に示す。
【表1】 表1に示すように、ステンレス鋼材の加工フロー面に適
切な条件下でレーザ照射を行うことにより、母材のまま
の試験片に比べ、平均腐食速度が約60%低減し、加工
フロー腐食の発生は認められなかった。
【0017】
【発明の効果】本発明では、ステンレス鋼材の加工フロ
ー面に、不活性ガス雰囲気中でレーザビームを照射する
ことにより、加工フロー面の耐食性が照射前よりも大幅
に向上し、腐食性環境で使用するステンレス鋼製の機器
や部品を長寿命化できる。その結果、腐食しろを薄くで
き機器などの軽量化を図ることができる他、クラッド溶
接加工の必要がなくなるため機器の製作精度が向上する
効果がある。
【0018】本発明方法では光ファイバケーブルを伝送
可能な波長のレーザビームを用いるため、レーザ発振器
を移動することなく、先端の集光ヘッドを動かす簡単な
作業でレーザビームを所望の加工フロー面に照射でき、
高耐食性のステンレス鋼製機器の製作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の説明図。
【図2】本発明で使用するレーザビーム照射装置の全体
構成図。
【図3】本発明方法を計測用ノズル先端に適用した例を
示す説明図。
【図4】本発明方法を反応塔頭部内面に適用した例を示
す説明図。
【符号の説明】
10 ステンレス鋼管 12 加工フロー面 14 レーザビーム 16 集光ヘッド 18 集光スポット 20 改質部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川野辺 一則 茨城県那珂郡東海村大字村松4番地33 動力炉・核燃料開発事業団東海事業所内 (56)参考文献 特開 平3−17234(JP,A) 特開 昭63−53213(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバケーブルを伝送可能な波長を
    有し且つ単位時間単位面積当たりの照射エネルギーが1
    00〜2000MW/m2 となるように集光したレーザ
    ビームを、不活性ガスで遮蔽した雰囲気中で、ステンレ
    ス鋼材のメタルフロー方向と交差する加工フロー面に照
    射し、単位面積当たりの照射エネルギーが300〜30
    00MJ/m2 となるように集光スポットを移動して、
    少なくとも腐食性環境に曝される加工フロー面のほぼ全
    体にわたって走査することを特徴とするステンレス鋼材
    の加工フロー腐食防止方法。
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