JP4823715B2 - 眼鏡用金属部材のレーザー光溶接方法 - Google Patents
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さらに詳しくは、眼鏡用の金属部材である第一金属部材に第二部材を起立させた状態で該第二金属部材の方向からレーザー光を照射して両金属部材の接合部を溶接するレーザー光溶接方法に関する。
このろう付けは金属部材接合方法の一種で、溶接とは異なり、金属部材同士を「ろう」と呼ばれる低融点の金属(接合する金属部材よりも低融点)を媒介にして、接合部を溶かすことなく、金属部材同士を接合する方法である(特許文献1参照)。
ろう付けは、金属部材自体を溶かすことがないため、融点の異なる異種金属同士であっても容易に接合することができ、比較的汎用性がある。
金属部材が鈍って軟化すると、眼鏡としてのフレーム全体の弾性が低下するので、鈍りによる軟化の影響を最小限に抑える工夫が必要である。
そのため、設計の段階から熱による影響を考慮して太さの大きい金属部材を用いることが行われており、デザインや重さの上で様々な制限が加わることになっていた。
この場合、第一金属部材である金属板の上に第二金属部材である金属棒を平行に沿わせて配置しレーザー溶接により両者を接合するのであるが、第一金属部材に第二金属部材を起立させて照射する場合には、一般に図10に示すような方法が採用されている。
すなわち第一金属部材に第二金属部材を起立させた状態にして、第二金属部材の側面側から溶接部(いわゆる第二金属部材2の付け根の部分)に対して斜め方向からレーザー光を照射して両金属部材をレーザーで点溶接する方法である。
より具体的には、焦点の位置を溶接部に合わせ、照射口を第二金属部材の周囲に沿って移動させながら、溶接部に対して斜め方向から順次レーザー光を照射して点溶接していく手法である。
このレーザー光を使った溶接方法により、両金属部材に加わる熱影響を極力排除することができる。
或いは、レーザー光の照射口を一定位置に固定し溶接部、すなわちワークである第一金属部材と第二金属部材とを同時に同体で移動させなければならない。
何れにしてもレーザー光照射口やワークを移動させる必要があり、位置決めやレーザー光の焦点合わせという観点では不正確(照射精度が不正確)になり易い。
そのため、溶接位置や溶接強度が各照射毎に異なり、結果的に溶接ムラが生じて接合強度も低下する。
特に第一金属部材に第二金属部材を起立させた状態の溶接においては、例えば、ある一定の方向からの力に対して第二金属部材の支持強度が弱くなる。
そして、多数回レーザーを照射して、点溶接を行っていく方法では溶接効率が悪い。
即ち、本発明の目的は、第一金属部材に第二金属部材を起立させた状態で該第二金属部材の方向からレーザー光を照射して両金属部材の接合部を溶接する眼鏡用部材のレーザー光溶接の方法において、高い照射精度を必要とせずに均一な接合強度が得られ、且つ溶接効率が良いレーザー光の溶接の方法を提供することを目的とする。
また、第一金属部材及び第二金属部材の少なくとも一方の材質がチタン系金属の場合にも、同様な効果が期待できるものである。
以下、図面を用いて本発明における実施の形態について説明する。
図に示す通り、第一金属部材1上に第二金属部材2を垂直に起立させ、その上方にレーザー光照射口3を配置する。
この時、接合部のレーザー光の照射強度が周方向に均一となるように、レーザー光の中心と第二金属部材2の中心を一致させることが好ましい。
ここで第一金属部材1の形状は特に限定されるものではなく、表面が平面となっているものであれば採用可能であり、例えば平板や角柱を用いることができる。
また、第二金属部材の形状としては円柱に限らず、第一金属部材に対して垂直に起立した状態に当接できる細長い部材であればよく、例えば角柱でも採用可能である。
すなわち図2に示すように、接合部S2がレーザー照射領域に内包されるように、焦点距離L2を距離Lよりも離隔距離L1だけ長くすることで、溶接部P(いわゆる第二金属部材2の付け根の部分)が確実にレーザー照射領域内に内包される。
なお、第二金属部材2付近は、レーザー光照射口3付近よりも拡大して示してある。
この状態で溶接部Pに向かってレーザー光を照射すると、環状の溶接部Pを一度に加熱することができるので一回の照射で溶接を完了でき極めて効率がよい。
また溶接部Pを点状に複数回溶接するのではなく、環状に一挙に加熱することできるため均一な接合強度を得ることが可能となる。
図3は、図4のレーザー光照射領域内にある第二金属部材2(実線)の端面Tの位置Aでの熱量を示した図である(なお、図は測定値を模式化して示した)。
図3から分かるように、端面Tの位置における熱量分布は、レーザー光の中心部の熱量が他と較べて小さい。
レーザー光反射用のキャップとしては、例えば、銅製キャップ、アルミ製キャップ、ステンレス製キャップ等が採用される。
このキャップは、第二金属部材の端面Tが覆い被せることができる形状のものであればよく、円筒状や角筒状のものが好ましい。
このキャップは、端面Tに被せることができる限り、異なる金属部材のロットにも適用可能である。
図7は、第一金属部材に窪み部Kを形成した場合における溶接前と溶接後を概略的に示す説明図である。
第一金属部材1に第二金属部材2の太さよりも大きい窪み部Kを設け、そこに第二金属部材2を挿入して起立させる。
そのために溶接跡が均一となる。
因みに従来のように多数回、点状に溶接した場合には、まず溶接部P1を点状に固まらせて、次に該溶接部P1に隣接した溶接部P2を溶融させて点状に固まらせる。
以降、同様な操作を繰り返していくために、溶接部P1と溶接部P2との界面に温度差が生じて不連続な金属組織層が形成される(図8参照)。
先ず、以下の条件の下で本発明の溶接方法で溶接を行った。
第一金属部材としてチタン製の平板(厚さ2mm)を用い、第二金属部材としてチタン製の中実の円筒(長さ10mm、直径2mm)を用いた。
レーザー照射装置にはYAGレーザー照射装置を用いた。
そして、レーザーの焦点を接合部から15mm離隔させ、出力8kwで7mmsec間第二金属部材に照射した。
その試験方法は、接合した眼鏡用部材を引っ張り試験機で加重していき、破断したときの加重の大きさを記録した。
その試験結果を表1に示す。
レーザー光の焦点の位置を接合部から17mm離隔させたこと以外は全て実施例1と同様の条件で実施及び試験をし、その試験結果を実施例1と比較して表1に示す。
第一金属部材に窪み部を設けたこと以外は全て実施例1と同様の条件で実施及び試験をし、その試験結果を実施例と比較して表1に示す。
なお、参考までに窪み部を設けて溶接を行った状態を撮影した写真を図9に示す。
そして、参考までに製造から検品までに要する工程を、従来の接合方法の場合と、レーザー光溶接を行った場合の両方について比較した表を表2に示す。
2 第二金属部材
3 レーザー光照射口
K 窪み部
Lレーザー照射口と接触部分までの距離
L1離隔距離
L2焦点距離
P溶接部
P1溶接部
P2溶接部
S1 接触部分
S2 接合部
Claims (7)
- 第一金属部材に第二金属部材を起立させた状態で該第二金属部材の方向からレーザー光を照射して両金属部材の接合部を溶接する眼鏡用金属部材のレーザー溶接方法であって、
レーザー光の焦点の位置を接合部の位置から離隔させて、レーザー光の照射領域内に接合部を内包させることを特徴とする眼鏡用金属部材のレーザー光溶接方法。 - 接合部と反対側の第二金属部材の端部にレーザー光反射用のキャップを被せることを特徴とする請求項1記載の眼鏡用金属部材のレーザー光溶接方法。
- レーザー光反射用のキャップが第二金属部材の太さより大きい筒状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の眼鏡用金属部材のレーザー光溶接方法。
- 第一金属部材に第二金属部材よりも大きい窪み部を設け、該窪み部に第二金属部材を起立させることを特徴とする請求項1記載の眼鏡用部材のレーザー光溶接方法。
- 窪み部がレーザー照射領域に内包させることを特徴とする請求項4記載の眼鏡用金属部材のレーザー光溶接方法。
- 第一金属部材及び第二金属部材の少なくとも一方の材質がチタンまたはチタン合金であることを特徴とする請求項1記載の眼鏡用金属部材のレーザー光溶接方法。
- 離隔する距離を調整することで、溶接部分の面積を変更することを特徴とする請求項1記載の眼鏡用金属部材のレーザー光溶接方法。
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